JP4054898B2 - ボルト軸力の測定装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ボルトの締め付けの良否を判定する為の超音波を利用したボルト軸力の測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来ボルト軸力の測定方法は、トルク法や回転角法を用いられることが多いが、主としてトルク係数が正確に定まらないため、正確な軸力が導入されない場合がある。また、ボルトの保守点検時にトルクレンチを用いて、ボルトが回転し始めるときのトルク値から、ボルト軸力を測定する方法は、前述した理由から正確でないことが多い。
【0003】
そこで、ボルトの軸方向の超音波の伝搬時間の変化を求めボルトの軸力及び伸びを求めたり、ボルトの軸方向の超音波の縦波と横波の音速比より軸力を求めたり、磁気音弾性法により軸力を非破壊的に求める方法が実現されている(図17(a)。
【0004】
しかし、それらの方法では、ボルトの端面の精密仕上・ボルト頭部のマーク削除・精密な音速測定が必要があり、現場での測定は不可能に近い。
【0005】
そこで、従来の方法に代わり、ナット対向面の超音波の透過パルスの大きさからボルトの軸力を求めることを試み、実用的で信頼性のある方法であることを確認してきた(図17(b))。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、鉄塔に適用する場合、測定するナット部に緩み止めのナットがついたりイタリングという緩み止めがついたりすることがある。このため、センサーがナット部に挿入できず軸力を測定するために緩み止めを外す必要があった。
【0007】
また、一般に、探触子の接触媒質としてグリセリンが必要であり、これを供給する装置が別途必要となっていた。また、測定後にナットからグリセリンを除去しなければボルトナットの腐食の原因となっていた。
【0008】
また、ナット面と探触子の距離が一定にならず、測定誤差が生じるおそれもあった。とりわけ、塗装膜の厚いナットでは、顕著であった。
【0009】
【課題を解決するための手段】
然るにこの発明では、測定腕の先端部に探触子を設けると共にケース筒で測定腕を可動させて測定装置を構成したので、前記問題点を解決した。
【0010】
即ちこの発明は、基筒の先端部に、先端に探触子を設けた少なくとも1対の測定腕の基端部を取付け、該測定腕を囲うように円筒状のケースを、前記基筒に沿って摺動可能に配置してなり、前記測定腕は、対向する先端部内面に、高分子化合物からなる皮膜を形成した探触子の測定面を形成し、前記ケースの先端部内側に、ケースの摺動により前記一対の測定腕の測定面が近づくような可動を案内できる案内手段を形成したことを特徴とするボルト軸力の測定装置である。
【0011】
また、前記において、測定腕は、基端部と先端部との間に中間部を有し、対向する測定腕の中間部間にに、障害物収容スペースを形成することが望ましい。また、基筒の先端に取付鍔を形成し、障害物収容スペース内に配置される補助リングを着脱容易に、取り付けることが望ましい。また、測定腕は、先端部に内側に膨出する膨出部を有し、該膨出部に開口を形成し、該開口に出没する探触子を取りつけ、該探触子は内面に測定面を形成し、外面にケース内面の案内手段に対応したローラーを取付けることが望ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
基筒1内にセンサー取付筒8を回動摺動自在に取付ける。基筒1内のセンサー取付筒8の先端部10に、探触子21を設けた3対の測定腕13の基端部14を取付ける。測定腕21は先端部16に内方に向けた膨出部17を有し、膨出部17の開口18内に、出没可能に探触子21が遊嵌されている。探触子21の内面には高分子化合物で被覆された測定面22が形成されている。また、1対の測定腕13、13は、先端部16が離接するように開閉自在に取り付けられている。
【0013】
基筒1の外側に測定腕13、13を囲うように円筒状のケース筒28を、基筒1に沿って摺動可能に配置する。測定腕13の先端部16は、ケース筒28の摺動により測定面22が近づくように案内される。
【0014】
基筒1内で、測定腕13、13の中間部15、15間に障害物収容スペース44を形成し、基筒1の先端に取付鍔4を有し、障害物収容スペース44内に配置される補助リング37を取付鍔4に着脱自在に固定できる。
【0015】
以上のようにして、構成されるボルト軸力の測定装置35は、ボルト45に反転防止用のナット48が螺合された場合であっても、障害物収容スペース44内にナット48を収容して、ナット47に測定面22を押しあて軸力測定ができる。また、反転防止用のナット48が無いボルト45では、補助リング37を取付て同様に軸力測定ができる。
【0016】
【実施例1】
図面に基づきこの発明の実施例を説明する。
【0017】
円筒状の基筒1の基端部2側に把持部を形成し、先端側に前記基筒1の外径より内径が大きい円筒状のセンサー取付筒8を、ボールベアリング12を介して、回動自在に取り付ける。
【0018】
前記センサー取付筒8の基端部9内側に、3対の測定腕13、13の基端部14を基筒1の軸に対して、直径対称に取付ける(図3(a))。前記測定腕13は、基端部14の軸11により、対応する両測定腕13、13の先端部16、16が離接するように回動可能となっている。また、前記センサー取付筒8と測定腕13との間に介装されたバネ7により、対応する両測定腕13、13の先端部16、16が離れる方向に付勢されている。
【0019】
前記測定腕13は、先端部16に内側に向けた膨出部17を形成し、該膨出部17に基筒1の直径方向の開口18を形成する。前記各測定腕13の開口18内に、測定面22が対向するように探触子(センサー)21を遊嵌する。前記探触子21は、一面(測定腕の膨出側)に密着性を高めた高分子材料(例えば、シリコンゴム)を貼り付けた測定面22を形成し、対向他面23に支持片24、24を並列して突設し、該支持片24、24間にローラー25を架設する(図4(a)(b))。
【0020】
前記探触子21は、前記開口18から外側に脱落しないように、前記膨出部17の外面に、平面コ字状の制御板(弾性を有する材料からなる)19を取り付ける。前記制御板19の開口(切欠)20から両支持片24、24が突出し、前記探触子21の他面(上面)23と制御板19の中央部が固定されている。前記制御板19の両端部と膨出部17の他面との距離L1 は、ばね26を嵌装したねじ27、27で調節できるようになっている(図4)。また、探触子21は、ばね26により放射方向(外側。図4(b)矢示52方向)に付勢されている。
【0021】
また、前記基筒1の先端3には取付鍔4が形成され、該取付鍔4には、補助筒固定用の溝5、ビス孔(螺孔)6、6が形成されている(図3)。
【0022】
また、前記基筒1の外側にケース筒28を、軸方向に摺動自在に嵌装する。前記ケース筒28の基端側は、前記基筒1の基端部2に沿うよう細径部29を形成し、先端側が測定腕13、13の外側を覆うように大径部30が形成されている。また、ケース筒28は基筒1との間にバネ31が介装され、ケース筒28を基筒1の基端部2側に(測定腕13の先端部が露出するように)付勢されている。また、ケース筒28の大径部30の先端側内面はテーパー32が形成され、測定腕13、13を中心側への押圧する際の案内となる。
【0023】
以上のようにして、ボルト軸力測定装置35を構成する(図1)。前記において、測定腕13の膨出部17、17内面間の距離D2 が測定できるナット径に対応している。また、前記において、基筒1の先端3より先であって、測定腕14の膨出部17までの間(測定腕13の中間部15。距離L3 )が障害物収容スペース44を構成し、取付鍔4の外径D1 程度の外径の障害物(ダブルナット、イタリングなど)を回避できる(図1、図3(a))。
【0024】
また、障害物収容スペース44に配置できる補助リング37を組合わせる。補助リング37は、一面38が基筒1の取付鍔4に密着できる形状であり、溝5に対応した突条40が形成され、他面39は、溝41を有し取付鍔4と同一に形成されている。また、取付鍔4の螺孔6に連通する透孔42、42が穿設され、透孔42の他面39側には作業用のドライバー類を挿通できる大径部43を形成してある(図5)。
【0025】
この補助リングは、障害物が距離L3 より小さい場合に、障害物収容スペース44を埋める為のものであり、例えば、厚さD2 は、8mm、12mm、14mmの3種類を用意し、単独又は複数を組み合わせて使用する。
【0026】
次に、前記実施例に基づくこの発明のボルト軸力測定装置35の使用について説明する。
【0027】
使用しない時には、ケース筒28はバネ31に付勢され、測定腕13、13の膨出部17は、ケース筒28の先端33から突出している(図2)。また、測定腕13、13はバネ7により、開いた状態になっている。
【0028】
ボルトの軸46にナット47が螺合締結された軸力を測定する。廻り防止用の補助ナット48が螺合されている。補助ナット48の厚さが障害物収容スペースと同等であれば、補助リング37は使用しない。
【0029】
ナット47の外側に測定腕13の膨出部が位置するように、測定装置35を嵌装する。この際、補助ナット48が基筒1の取付鍔4に当設する(図2)。
【0030】
続いて、ケース筒28を矢視49方向に摺動させ(図2)、テーパー32を測定腕13のローラー25に当設する(図4(b))。更に、ケース筒28を摺動させると、テーパー32に沿って、膨出部17はバネ7に抗して矢視50方向に移動し(図4(c))、更に探触子21は、バネ26、制御板19に抗して、開口18内を矢示50方向に摺動して(図4(c))、測定面22は膨出部17の内面17aから突出して、ナット47の表面に密着押圧される(図1、図4(c))。これにより、正確なボルト軸力の測定が可能である。1対の測定腕17の一方の探触子21から超音波を発信して他方の探触子で受信して、透過パルスの大きさを測定して、予め比較しておいたひずみ測定の軸力などに対応させて、ボルト軸力を求める。
【0031】
また、補助ナット48が取り付けられていないボルトの場合には、取付鍔4に補助リング37a、37bを重ね、透孔42、42に細いビスを挿通して、取付鍔4の螺孔6に螺合する(図6)。前記補助ナット48のある場合と同様に、測定腕13、13をナット47に嵌装する。この状態で、ナット47と補助リング37bの他面39とが密着している。続いて、ケース筒28を摺動させ、同様にナット47に探触子21の測定面22を密着押圧させて測定する。
【0032】
【比較例】
前記実施例に基づくボルト軸力測定装置35の有効性をボルトに貼り付けたひずみゲージで測定した軸力と比較することによって確認した。
【0033】
1.実験方法
【0034】
1−1 試験片及び試験体
(1)ナット形対比試験片(材質:SM57Q、ナット形状に切削、表面状態:25S、サイズ:M24)
(2)ボルト試験体 図7に示す試験体を3組(1組にひずみゲージを貼り付けたM24のダブルナットボルトを4本取付け)
【0035】
1−2 使用装置等
Figure 0004054898
【0036】
1−3 実験方法
(1)試験治具にひずみゲージを貼り付けたボルト45、45を4本挿入し、ナット47及び緩み止めのナット48を手で締め付ける。このとき、ひずみ測定器の0点調整を行い、超音波ボルト軸力計のデータを読み取る。センサーをナットに挿入際はナット面に水スプレーで水滴を付着させる。
(2)緩み止めのナット48を外し、トルクレンチによって、1500 kgf・cmトルクで縮め付け、緩み止めナット48を取りつけ、ひずみ測定器及び超音波ボルト軸力計のデータを読み取る。
(3)緩み止めのナット48を外し、トルクレンチによって3000 kgf・cmのトルクで締め付け、緩み止めナット48を取りつけ、ひずみ測定器及び超音波ボルト軸力計のデータを読み取る。
(4)緩み止めのナット48を外し、PTレンチ設定によって軸力8tとし、緩み止めナット48を取りつけ、ひずみ測定器及び超音波ボルト軸力計のデータを読み取る。
(5)緩み止めのナット48を外し、PTレンチ設定によって軸力14tとし、緩み止めのナットを手で取りつける。このとき、ひずみ測定器及び超音波ボルト軸力計のデータを読み取る。
(6)以上の測定を3組の試験体について行う。
【0037】
2.実験結果
【0038】
(1)超音波ボルト軸力計の測定結果
超音波ボルト軸力計による測定結果を表1−1、1−2に示す。
【0039】
【表1】
Figure 0004054898
【0040】
【表2】
Figure 0004054898
【0041】
表1−1、1−2において、
記号CTOO1O−01〜CTOO1O−12 :軸力0t
記号CTOO11−01〜CTOO11−12 :
トルクレンチでのトルク設定値が1500 kgf・cm
記号CTOO12−01〜CTOO12−12 :
トルクレンチでのトルク設定値が3000 kgf・cm
記号CTOO13−01〜CTOO13−12 :
PTレンチの軸力設定8t
記号CTOO14−01〜CTOO14−12 :
PTレンチの軸力設定14t
の場合を夫々表わす。
【0042】
また、CH1 〜CH3 は1から3チャンネルの透過パルスの測定値、平均値は超音波ボルト軸力計のCH1 〜CH3 の測定値の平均値(小数点以下切り捨て)を示す。
【0043】
測定に要した時間は、ボルト締付けや段取り替えも含み12本×5条件=60回の測定に130分であった。
【0044】
ひずみ測定による軸力値とその時に測定された超音波軸力計の透過パルスの大きさの関係を図9に示す。透過パルスの大きさから軸力を求める近似式を求めたグラフを図10に示す。
【0045】
また、ひずみ測定による軸力値と近似式をボルト軸力計に内蔵できる近似式
Y=−1.68X+63.8
とし、透過パルスの大きさから求めた軸力の関係を図11に示す。
【0046】
ひずみ測定による軸力と透過パルスの大きさ(六角形の試験片の透過パルスの大きさを基準としたdB差)の関係はほぼ直線的な関係となり、その相関性は、
2 =0.8953
とかなり強い相関関係となった。
【0047】
さらに、ひずみ測定による軸力を真値とした場合の超音波ボルト軸力計の誤差を表2−1、2−2に示す。
【0048】
【表3】
Figure 0004054898
【0049】
【表4】
Figure 0004054898
【0050】
(2)各種レンチの測定結果
各種レンチの設定値とひずみ測定による軸力測定結果を表3−1、3−2に示す。
【0051】
【表5】
Figure 0004054898
【0052】
【表6】
Figure 0004054898
【0053】
トルクレンチの場合は、トルクから軸力を、計算式、
N=T/(d・k)
より求めた。ただし、軸力N(t)、トルクT(kgf ・cm)、ボルト径d(mm)、トルク係数 k=0.3 とした。トルク係数kを0.3としたのはボルト締結に際してなたね油を使用しなかったためで、通常の0.11〜0.15の値より大きな値とした。
【0054】
また、PTレンチについては、設定したボルト軸力を与える油圧で動作が停止するようにし、その設定軸力をPTレンチの軸力とした。
【0055】
ひずみ測定による軸力と各種レンチの設定値の関係は、図12に示すように、ほぼ直線的な関係となり、その相関性は、
2 =0.9276
と超音波ボルト軸力計の測定軸力より強い相関関係となった。ただし、近似曲線はトルクレンチとPTレンチの側定値を合わせたデータによって作成したが、グラフに示すようにトルクレンチとPTレンチでは傾向がやや異なった。
【0056】
3.実験結果の考察
【0057】
(1)超音波ボルト軸力計の判定結果
新型のセンサーと旧型センサーを比較した場合、軸力0t以外ではほぼ同様の透過パルスの大きさとなったが、軸力0tの場合新型センサーの透過パルスの大きさが40dB程度、旧型センサーの透過パルスの大きさが50dBと、新型センサーの軸力0tの場合の透過パルスの大きさはかなり大きくなった。
【0058】
これは、図13、図14に示すように、新型センサーの振動子(コンポジット振動子)を変更したため、やや波数が多く最短距離以外の透過パルスの大きさが大きくなったことが原因と考えられる。
【0059】
しかしながら、軸力0tとひずみ測定による軸力5t以上では明確な差があり確実に判別できる。
【0060】
測定に要した時間は、ボルト締付けや段取り替えも含め130分であったが、各ボルトの測定のみの時間は3本で1分程度であり、旧型センサーと同様に20秒程度で1本の測定が行えた。このことから、新型センサーでも従来のセンサーと同様の時間で測定が行えると考えられる。
【0061】
透過パルスの大きさから軸力を求める近似式
Y=−1.63X+63.8
は従来の近似式とやや異なるが、これは軸力0tの場合の透過パルスの大きさが旧型センサーに比較して新型センサーが10dB程度大きいためと考えられる。
【0062】
この近似式から求めた軸力のひずみ測定による軸力を真値とした場合の誤差を図15、図16に示す。標準偏差は、
トルク1500 kgf・cm で、1.305t
トルク3000 kgf・cm で、2.284t
PTレンチ軸力8tで、1.750t
PTレンチ軸力14tで、2.030t
であり、各種レンチの設定と比較すると2倍程度になるが超音波ボルト軸力計の絶対値はほぼひずみ測定による測定値に近かった。これは、トルクレンチにおけるトルク係数の変動やPTレンチにおける油圧と軸力の関係の変動が超音波ボルト軸力計では無関係であるためと考えられる。
【0063】
(2)各種レンチの測定結果
ひずみ測定による軸力と各種レンチの設定値の関係はほぼ直線的な関係であり、その相関性は、
2 =0.9276
と超音波ボルト軸力計の測定軸力より強い相関関係となったが、これは絶対的なボルト軸力の正確さよりも、相対的なバラツキが小さかったためと考えられる。
【0064】
また、図12に示すようにトルクレンチとPTレンチでは傾向がやや異なったのは、トルクレンチとPTレンチではボルトに軸力を与える原理が異なるためと考えられる。
【0065】
さらに、図14、図15に示すように、各種レンチと超音波ボルト軸力計の誤差の比較を行う各種レンチのバラツキは小さい。そのため、標準偏差は、
トルク1500 kgf・cm で、0.724t
トルク3000 kgf・cm で、1.083t
PTレンチ軸力8tで、0.797t
PTレンチ軸力14tで、1.038t
であり、超音波ボルト軸力計の半分程度になった。しかしながら、設定軸力の絶対値は、ひずみ測定の軸力とかなり差があり、超音波ボルト軸力計より軸力の測定精度は低下する。
【0066】
4.まとめ
ナット部の超音波の透過量からボルト軸力を求める超音波軸力計について実験を継続してきたが、今回、鉄塔に適用する場合問題となるダブルナットやイタリングを障害としない新型センサーを製作し実験を行った結果、必要な精度を確保でき、実用的であることが明らかになった。
【0067】
以下に明らかになったことを記す。
【0068】
(1)新型センサーで旧型センサーと同様に、透過パルスの大きさから近似式でボルト軸力を求めることができた。
(2)新型センサーの近似式は、
Y=−1.63X+63.8
となり、旧型センサーの近似式と比べやや異なったが、これは軸力0tの場合の透過パルスの大きさが異なったことによる。
(3)新型センサーの超音波ボルト軸力計で軸力0tとひずみ測定による軸力5t以上では明確な差があり確実に判別できる。
(4)測定時間は旧型センサーでも新型センサーでも変わりはなかった。
(5)メーカーが異なった場合やボルトとナットの間が腐食している場合やナットが腐食して表面が著しく粗い場合同様の実験結果が得られるかどうか確認する必要がある。
(6)超音波ボルト軸力計はトルクレンチやPTレンチと比較すると2倍程度のバラツキとなったが、測定軸力の絶対値は超音波ボルト軸力計の方が精度は高かった。
(7)各種レンチではトルク係数の変動や油圧と軸力の関係の変動で正しい軸力を導入できない場合があるものと考えられる。
(8)ボルトの保守点検ではトルク係数が不明なためトルクレンチでの軸力測定は不可能に近い。
また、現状では超音波ボルト軸力計の透過パルスの平均値は少数点以下を切り捨てているが、透過パルスの平均値を少数点以下1位まで求めると全般的に標準偏差小さくなり精度は向上した。
【0069】
【発明の効果】
測定腕の先端部に探触子を設けると共にケース筒で測定腕を可動させたので、測定腕の中間部付近に、障害物収容スペースを構成でき、補助ナットを使用したダブルナットボルトやイタリングを使用したボルトであっても、探触子は補助ナット等を飛び越えて、締め付けたナットに密着でき有効な軸力の測定ができる効果がある。
【0070】
また、筒状のケースの案内手段により一対の測定腕の測定面が近づくような可動を案内できるので、測定腕に高剛性の材料を使用しなくとも、測定腕の変形を防止して、探触子をナットに密着させることができる。従って、ナット表面に多少のゴミや錆の付着、厚い塗装膜、部分的な塗装の剥げが生じていても十分な超音波の送受が可能であり、測定対象のボルトの巾を広げる効果がある。
【0071】
また、測定面に高分子材料からなる皮膜を形成したので、グリセリンなどの接触媒質を不要とし、ボルトの腐食を防止できる。
【0072】
よって、総じて、超音波を利用したボルト軸力測定を簡易かつ正確に実施できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例の軸力測定装置の縦断面図で、測定前を表す。
【図2】同じく軸力測定装置の縦断面図で、測定中を表す。
【図3】(a)は図1のA−A線における断面図、(b)は図1のB−B線における断面図である。
【図4】(a)はこの発明の軸力測定装置に使用する測定腕の拡大正面図で、(b)は(a)のC−C線における断面図で測定前を表し、(b)は同じく測定中を表す。
【図5】(a)はこの発明の実施例に使用する補助リングの正面図で、(b)は(a)のD−D線における断面図である。
【図6】この発明の実施例で、補助リングを使用した実施例の軸力測定装置の縦断面図である。
【図7】この発明の比較例で、ナット対比試験片を表し、(a)は平面図、(b)は正面図を表す。
【図8】同じく比較例で、測定システムを表す概略した構成図である。
【図9】同じく比較例で、軸力と透過パルスの関係を表すグラフである。
【図10】同じく比較例で、透過パルスから軸力を求める近似式のグラフである。
【図11】同じく比較例で、ひずみ測定による軸力と近似式による軸力を表すグラフである。
【図12】同じく比較例で、ひずみ測定による軸力と近似式による軸力を表すグラフである。
【図13】同じく比較例で、新型センサーを使用した場合の超音波波形(透過パルス)で、(a)は六角形試験片、(b)は軸力0t、(c)は締付けボルトを夫々表す。
【図14】同じく比較例で、旧型センサーを使用した場合の超音波波形(透過パルス)で、(a)は六角形試験片、(b)は軸力0t、(c)は締付けボルトを夫々表す。
【図15】同じく比較例で、発明の実施例の超音波ボルト軸力計とトルクレンチの誤差を表すグラフで、(a)は設定トルク1500 kgf・cm 、(b)は設定トルク3000 kgf・cmを夫々表す。
【図16】同じく比較例で、発明の実施例の超音波ボルト軸力計とPTレンチの誤差を表すグラフで、(a)は設定トルク1500 kgf・cm 、(b)は設定トルク3000 kgf ・cmを夫々表す。
【図17】(a)は従来例の測定方法を説明する概念図で、(b)この発明の測定装置の測定原理を説明する概念図である。
【符号の説明】
1 基筒
2 基筒の基端部
3 基筒の先端部
4 取付鍔
5 溝(取付鍔)
6 螺孔(取付鍔)
8 センサー取付筒
13 測定腕
14 測定腕の基端部
15 測定腕の中間部
16 測定腕の先端部
17 測定腕の膨出部
21 探触子
22 測定面
25 ローラー
28 ケース筒
31 ばね
32 ケース筒のテーパー
33 ケース筒の先端
35 ボルト軸力測定装置
37 補助リング
44 障害物収容スペース
46 ボルトの軸
47 ナット
48 補助ナット

Claims (4)

  1. 基筒の先端部に、先端に探触子を設けた少なくとも1対の測定腕の基端部を取付け、該測定腕を囲うように円筒状のケースを、前記基筒に沿って摺動可能に配置してなり、前記測定腕は、対向する先端部内面に、高分子化合物からなる皮膜を形成した探触子の測定面を形成し、前記ケースの先端部内側に、ケースの摺動により前記一対の測定腕の測定面が近づくような可動を案内できる案内手段を形成したことを特徴とするボルト軸力の測定装置。
  2. 測定腕は、基端部と先端部との間に中間部を有し、対向する測定腕の中間部間にに、障害物収容スペースを形成した請求項1記載のボルト軸力の測定装置。
  3. 基筒の先端に取付鍔を形成し、障害物収容スペース内に配置される補助リングを着脱容易に、取り付けたことを特徴とした請求項2記載のボルト軸力の測定装置。
  4. 測定腕は、先端部に内側に膨出する膨出部を有し、該膨出部に開口を形成し、該開口に出没する探触子を取りつけ、該探触子は内面に測定面を形成し、外面にケース内面の案内手段に対応したローラーを取付けたことを特徴とする請求項1記載のボルト軸力の測定装置。
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