JP2000226336A - 免疫グロブリン製剤 - Google Patents

免疫グロブリン製剤

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JP2000226336A
JP2000226336A JP11335227A JP33522799A JP2000226336A JP 2000226336 A JP2000226336 A JP 2000226336A JP 11335227 A JP11335227 A JP 11335227A JP 33522799 A JP33522799 A JP 33522799A JP 2000226336 A JP2000226336 A JP 2000226336A
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cyclodextrin
cyclodextrins
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immunoglobulin
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Rie Okubo
理恵 大久保
Masahiko Suzuki
正彦 鈴木
Takashi Shiokari
隆 塩苅
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Sankyo Co Ltd
Original Assignee
Sankyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 免疫グロブリンの安定な水溶液製剤および凍
結乾燥製剤の提供。 【解決手段】 免疫グロブリンにシクロデキストリン類
を添加することにより、水溶液中および凍結乾燥品中の
免疫グロブリンの安定性を高めた製剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は免疫グロブリンの安
定な水溶液製剤および凍結乾燥製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、免疫グロブリン、特に修飾さ
れたγ−グロブリンは医薬品として感染症の予防や治療
に広く利用されている。しかし、蛋白質であるため、振
盪などにより水溶液中で凝集しやすいという欠点をもっ
ている。
【0003】このような欠点を防ぐため、例えばポリプ
ロピレングリコールおよび/またはポリエチレングリコ
ールの添加による安定化されたγ−グロブリン溶液(Di
abetologia 27, 212-218, 1984)、デキストランまた
はポリビニルアルコールの添加による安定化されたγ−
グロブリンの凍結乾燥品(Phram.Res. 14(6), 736-741,
1997:J.Pham.Sci. 87(2), 147-151, 1998)などがすでに
知られている。
【0004】さらに、蛋白質は凍結乾燥工程で変性しや
すいことが知られている。これは蛋白質分子の水が昇華
する際、蛋白質の構造が壊れるためで、この変性を防ぐ
ために糖類が使用されている(Arakawa et al; Pharm.R
es. 8, 285-291, 1991 : Protein-solvent interactons
in pharmaceutical formulations : John F.Carpenter
et al; Pharm.Res. 14, 969-975, 1997 : Rational De
sign of Stable Lyophilized Protein Formulations: S
ome Practical Advice)。
【0005】一方、シクロデキストリン類を蛋白質の水
溶液または凍結乾燥品の溶解時の凝集抑制のために用い
られた例としては、Interleukin 2およびBovine Insuli
nの凝集抑制(Phram.Res 8(6),792-795,1991)、Insuli
nの凝集抑制(Chem.Pharm.Bull. 45(3),525-531,199
7)、蛋白質の凝集防止等に関する総説 (Phram.Techno
l. 24-38 August 1991)に記載された例などが挙げられ
る。
【0006】とくに、免疫グロブリンとシクロデキスト
リン類を組み合わせた製剤としては、γ−グロブリンに
ヒドロキシプロピル−β―シクロデキストリンを固体状
態で添加することにより、加湿による凝集を防止したも
のが知られている。(J. Pham. Pharmacol. 47,103-10
7, 1995)。
【0007】すなわち、シクロデキストリン類を免疫グ
ロブリンの水溶液もしくは凍結乾燥品に添加し、免疫グ
ロブリンの凝集の抑制または経時による変性を抑制する
ために用いた例はない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】免疫グロブリンのみの
水溶液製剤は免疫グロブリンの凝集がみられ、免疫グロ
ブリンのみの凍結乾燥製剤は保存中に変性したり用時水
溶液にすると凝集するといった欠点がある。本発明者ら
はこれらの欠点を克服した安定な製剤を得るべく鋭意検
討した。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、免疫グロ
ブリンにシクロデキストリン類を添加することにより、
水溶液中および凍結乾燥品中の免疫グロブリンが非常に
安定であることを見出して本発明を完成した。
【0010】本発明で使用されるシクロデキストリン類
としては、天然型シクロデキストリン、修飾シクロデキ
ストリンおよびシクロデキストリンポリマーが挙げられ
る。
【0011】天然型シクロデキストリンとは、グルコー
スが環状に結合したものであり、例えばα−、β−、γ
−、δ−、ε−、ζ−もしくはη−シクロデキストリン
等があげられる。
【0012】修飾シクロデキストリンとしては、 天
然型シクロデキストリンの水酸基の水素原子が種々の置
換基で置換されたシクロデキストリンまたはそれらの塩
である、例えばアルキル基で置換されたアルキル化シク
ロデキストリン、アシル基で置換されたアシル化シクロ
デキストリン、カルボキシアルキル基で置換されたカル
ボキシアルキル化シクロデキストリン、ヒドロキシアル
キル基で置換されたヒドロキシアルキル化シクロデキス
トリン、スルホアルキル基で置換されたスルホアルキル
化シクロデキストリン(スルホアルキルエーテルシクロ
デキストリンまたはアルキルスルホン化シクロデキスト
リンともいう。)またはそれらの塩、天然型シクロデ
キストリンの水酸基と各種酸がエステル結合されたシク
ロデキストリンまたはそれらの塩、例えばシクロデキス
トリン硫酸エステルまたはそれらの塩(ナトリウム塩は
硫酸シクロデキストリンともいう。)、シクロデキスト
リン燐酸エステルまたはそれらの塩、あるいは、 天
然型シクロデキストリンを構成するグルコースの6位の
水酸基とグルコース、マルトース等の糖の水酸基が脱水
縮合した分岐シクロデキストリンなどが挙げられる。
【0013】ここに、上記アルキル化シクロデキストリ
ンとは、天然型シクロデキストリンの水酸基の水素原子
が炭素数1乃至6個を有するアルキル基で置換されたシ
クロデキストリンである。
【0014】このようなアルキル化シクロデキストリン
としては、例えばメチル-α-シクロデキストリン、エチ
ル-α-シクロデキストリン、プロピル-α-シクロデキス
トリン、ブチル-α-シクロデキストリン、ペンチル-α-
シクロデキストリン、メチル-β-シクロデキストリン、
エチル-β-シクロデキストリン、プロピル-β-シクロデ
キストリン、ブチル-β-シクロデキストリン、ペンチル
-β-シクロデキストリン、メチル-γ-シクロデキストリ
ン、エチル-γ-シクロデキストリン、プロピル-γ-シク
ロデキストリン、ブチル-γ-シクロデキストリンもしく
はペンチル-γ-シクロデキストリン等のシクロデキスト
リンを構成するグルコース1分子あたり1つのアルキル
基が置換したモノアルキルシクロデキストリン;ジメチ
ル-α-シクロデキストリン、ジエチル-α-シクロデキス
トリン、メチルエチル-α-シクロデキストリン、ジメチ
ル-β-シクロデキストリン、ジエチル-β-シクロデキス
トリン、メチルエチル-β-シクロデキストリン、ジメチ
ル-γ-シクロデキストリン、ジエチル-γ-シクロデキス
トリンもしくはメチルエチル-γ-シクロデキストリン等
のシクロデキストリンを構成するグルコース1分子あた
り同一または異なった2つのアルキル基が置換したシク
ロデキストリンであるジアルキルシクロデキストリン;
またはトリメチル-α-シクロデキストリン、トリエチル
-α-シクロデキストリン、ジメチルエチル-α-シクロデ
キストリン、トリメチル-β-シクロデキストリン、トリ
エチル-β-シクロデキストリン、ジメチルエチル-β-シ
クロデキストリン、トリメチル-γ-シクロデキストリ
ン、トリエチル-γ-シクロデキストリンもしくはジメチ
ルエチル-γ-シクロデキストリン等のシクロデキストリ
ンを構成するグルコース1分子あたり同一または異なっ
た3つのアルキル基が置換したシクロデキストリンであ
るトリアルキルシクロデキストリン;等が挙げられる。
【0015】上記アルキルは、好適には炭素数1乃至4
個のアルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブ
チル基であり、さらに好適にはメチル基またはエチル基
である。また、上記の修飾されるシクロデキストリン
は、好適には6乃至10個のグルコースからなるシクロ
デキストリンであり、例えばα−、β−、γ−、δ−ま
たはε−シクロデキストリンであり、さらに好適には6
乃至8個のグルコースからなるシクロデキストリンであ
り、α−、β−、γ−シクロデキストリンである。
【0016】また、モノアルキルシクロデキストリンま
たはジアルキルシクロデキストリンにおいてアルキル基
の置換していない水酸基の水素原子は、例えば上述のア
シル基、カルボキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基
またはスルホアルキル基等のアルキル基以外の基で置換
されていてもよい。
【0017】上記アシル化シクロデキストリンとは、天
然型シクロデキストリンの水酸基の水素原子が炭素数1
乃至6個のアルキル部分を有するアシル基で置換された
シクロデキストリンである。
【0018】このようなアシル化シクロデキストリンと
しては、例えばアセチル-α-シクロデキストリン、プロ
ピオニル-α-シクロデキストリン、ブタノイル-α-シク
ロデキストリン、ヘプタノイル-α-シクロデキストリ
ン、ヘキサノイル-α-シクロデキストリン、アセチル-
β-シクロデキストリン、プロピオニル-β-シクロデキ
ストリン、ブタノイル-β-シクロデキストリン、ヘプタ
ノイル-β-シクロデキストリン、ヘキサノイル-β-シク
ロデキストリン、アセチル-γ-シクロデキストリン、プ
ロピオニル-γ-シクロデキストリン、ブタノイル-γ-シ
クロデキストリン、ペンタノイル-γ-シクロデキストリ
ンもしくはヘキサノイル-γ-シクロデキストリン等のシ
クロデキストリンを構成するグルコース1分子あたり1
つのアシル基が置換したモノアシルシクロデキストリ
ン;ジアセチル-α-シクロデキストリン、ジプロピオニ
ル-α-シクロデキストリン、アセチルプロピオニル-α-
シクロデキストリン、ジアセチル-β-シクロデキストリ
ン、ジプロピオニル-β-シクロデキストリン、アセチル
プロピオニル-β-シクロデキストリン、ジアセチル-γ-
シクロデキストリン、ジプロピオニルγ-シクロデキス
トリンもしくはアセチルプロピオニル-γ-シクロデキス
トリン等のシクロデキストリンを構成するグルコース1
分子あたり同一または異なった2つのアシル基が置換し
たシクロデキストリンであるジアシルシクロデキストリ
ン;またはトリアセチル-α-シクロデキストリン、トリ
プロピオニル-α-シクロデキストリン、ジアセチルプロ
ピオニル-α-シクロデキストリン、トリアセチル-β-シ
クロデキストリン、トリプロピオニル-β-シクロデキス
トリン、ジアセチルプロピオニル-β-シクロデキストリ
ン、トリアセチル-γ-シクロデキストリン、トリプロピ
オニル-γ-シクロデキストリンもしくはジアセチルプロ
ピオニル-γ-シクロデキストリン等のシクロデキストリ
ンを構成するグルコース1分子あたり同一または異なっ
た3つのアシル基が置換したシクロデキストリンである
トリアシルシクロデキストリン;等が挙げられる。
【0019】ここで、上記アシル基のアルキル部分のア
ルキルは、前述したものと同意義を示す。また修飾され
るシクロデキストリンも前述したものと同意義を示す。
またモノアシルシクロデキストリンまたはジアシルシク
ロデキストリンにおいてアシル基の置換していない水酸
基の水素原子は、例えば上述のアルキル基、カルボキシ
アルキル基、ヒドロキシアルキル基またはスルホアルキ
ル基等のアシル基以外の基で置換されていてもよい。
【0020】上記カルボキシアルキル化シクロデキスト
リンとは、天然型シクロデキストリンの水酸基の水素原
子が炭素数1乃至6個のアルキル部分を有するカルボキ
シアルキル基で置換されたシクロデキストリンである。
【0021】このようなカルボキシアルキル化シクロデ
キストリンとしては、例えばカルボキシメチル-α-シク
ロデキストリン、カルボキシエチル-α-シクロデキスト
リン、カルボキシプロピル-α-シクロデキストリン、カ
ルボキシブチル-α-シクロデキストリン、カルボキシペ
ンチル-α-シクロデキストリン、カルボキシメチル-β-
シクロデキストリン、カルボキシエチル-β-シクロデキ
ストリン;カルボキシプロピル-β-シクロデキストリ
ン、カルボキシブチル-β-シクロデキストリン、カルボ
キシペンチル-β-シクロデキストリン、カルボキシメチ
ル-γ-シクロデキストリン、カルボキシエチル-γ-シク
ロデキストリン、カルボキシプロピル-γ-シクロデキス
トリン、カルボキシブチル-γ-シクロデキストリンもし
くはカルボキシペンチル-γ-シクロデキストリン等のシ
クロデキストリンを構成するグルコース1分子あたり1
つのカルボキシアルキル基が置換したモノカルボキシア
ルキルシクロデキストリン;ジカルボキシメチル-α-シ
クロデキストリン、ジカルボキシエチル-α-シクロデキ
ストリン、カルボキシメチルカルボキシエチル-α-シク
ロデキストリン、ジカルボキシメチル-β-シクロデキス
トリン、ジカルボキシエチル-β-シクロデキストリン、
カルボキシメチルカルボキシエチル-β-シクロデキスト
リン、ジカルボキシメチル-γ-シクロデキストリン、ジ
カルボキシエチル-γ-シクロデキストリンもしくはカル
ボキシメチルカルボキシエチル-γ-シクロデキストリン
等のシクロデキストリンを構成するグルコース1分子あ
たり同一または異なった2つのカルボキシアルキル基が
置換したシクロデキストリンであるジカルボキシアルキ
ルシクロデキストリン;またはトリカルボキシメチル-
α-シクロデキストリン、トリカルボキシエチル-α-シ
クロデキストリン、ジカルボキシメチルカルボキシエチ
ル-α-シクロデキストリン、トリカルボキシメチル-β-
シクロデキストリン、トリカルボキシエチル-β-シクロ
デキストリン、ジカルボキシメチルカルボキシエチル-
β-シクロデキストリン、トリカルボキシメチル-γ-シ
クロデキストリン、トリカルボキシエチル-γ-シクロデ
キストリンもしくはジカルボキシメチルカルボキシエチ
ル-γ-シクロデキストリン等のシクロデキストリンを構
成するグルコース1分子あたり同一または異なった3つ
のカルボキシアルキル基が置換したシクロデキストリン
であるトリカルボキシアルキルシクロデキストリン;等
が挙げられる。
【0022】ここで、上記カルボキシアルキル基のアル
キル部分の好適なアルキルは、前述したものと同意義を
示す。また好適な修飾されるシクロデキストリンも前述
したものと同意義を示す。またモノカルボキシアルキル
シクロデキストリンまたはジカルボキシアルキルシクロ
デキストリンにおいてカルボキシアルキル基の置換して
いない水酸基の水素原子は、例えば上述のアルキル基、
アシル基、ヒドロキシアルキル基またはスルホアルキル
基等のカルボキシアルキル基以外の基で置換されていて
もよい。
【0023】上記ヒドロキシアルキル化シクロデキスト
リンとは、天然型シクロデキストリンの水酸基の水素原
子が炭素数1乃至6個のアルキル部分を有するヒドロキ
シアルキル基で置換されたシクロデキストリンである。
【0024】このようなヒドロキシアルキル化シクロデ
キストリンとしては、例えばヒドロキシメチル-α-シク
ロデキストリン、2−ヒドロキシエチル-α-シクロデキ
ストリン、2−ヒドロキシプロピル-α-シクロデキスト
リン、3−ヒドロキシプロピル-α-シクロデキストリ
ン、2,3−ジヒドロキシプロピル-α-シクロデキスト
リン、2−ヒドロキシブチル-α-シクロデキストリン、
ヒドロキシメチル-β-シクロデキストリン、2−ヒドロ
キシエチル-β-シクロデキストリン、2−ヒドロキシプ
ロピル-β-シクロデキストリン、3−ヒドロキシプロピ
ル-β-シクロデキストリン、2,3−ジヒドロキシプロ
ピル-β-シクロデキストリン、2−ヒドロキシブチル-
β-シクロデキストリン、ヒドロキシメチル-γ-シクロ
デキストリン、ヒドロキシエチル-γ-シクロデキストリ
ン、2−ヒドロキシプロピル-γ-シクロデキストリン、
3−ヒドロキシプロピル-γ-シクロデキストリン、2,
3−ジヒドロキシプロピル-γ-シクロデキストリンもし
くは2−ヒドロキシブチル-γ-シクロデキストリン等の
シクロデキストリンを構成するグルコース1分子あたり
1つのヒドロキシアルキル基が置換したモノヒドロキシ
アルキルシクロデキストリン;ジヒドロキシメチル-α-
シクロデキストリン、ジ−(2−ヒドロキシエチル)-
α-シクロデキストリン、ジ−(2−ヒドロキシプロピ
ル)-α-シクロデキストリン、ジ−(3−ヒドロキシプ
ロピル)-α-シクロデキストリン、ジ−(2,3−ジヒ
ドロキシプロピル)-α-シクロデキストリン、ジ−(2
−ヒドロキシブチル)-α-シクロデキストリン、ジ−ヒ
ドロキシメチル-β-シクロデキストリン、ジ−(2−ヒ
ドロキシエチル)-β-シクロデキストリン、ジ−(2−
ヒドロキシプロピル)-β-シクロデキストリン、ジ−
(3−ヒドロキシプロピル)-β-シクロデキストリン、
ジ−(2,3−ジヒドロキシプロピル)-β-シクロデキ
ストリン、ジ−(2−ヒドロキシブチル)-β-シクロデ
キストリン、ジ−ヒドロキシメチル-γ-シクロデキスト
リン、ジ−ヒドロキシエチル-γ-シクロデキストリン、
ジ−(2−ヒドロキシプロピル)-γ-シクロデキストリ
ン、ジ−(3−ヒドロキシプロピル)-γ-シクロデキス
トリン、ジ−(2,3−ジヒドロキシプロピル)-γ-シ
クロデキストリンもしくはジ−(2−ヒドロキシブチ
ル)-γ-シクロデキストリン等のシクロデキストリンを
構成するグルコース1分子あたり2つのヒドロキシアル
キル基が置換したジ−ヒドロキシアルキルシクロデキス
トリン;またはトリ−ヒドロキシメチル-α-シクロデキ
ストリン、トリ−(2−ヒドロキシエチル)-α-シクロ
デキストリン、トリ−(2−ヒドロキシプロピル)-α-
シクロデキストリン、トリ−(3−ヒドロキシプロピ
ル)-α-シクロデキストリン、トリ−(2,3−ジヒド
ロキシプロピル)-α-シクロデキストリン、トリ−(2
−ヒドロキシブチル)-α-シクロデキストリン、トリ−
ヒドロキシメチル-β-シクロデキストリン、トリ−(2
−ヒドロキシエチル)-β-シクロデキストリン、トリ−
(2−ヒドロキシプロピル)-β-シクロデキストリン、
トリ−(3−ヒドロキシプロピル)-β-シクロデキスト
リン、トリ−(2,3−ジヒドロキシプロピル)-β-シ
クロデキストリン、トリ−(2−ヒドロキシブチル)-
β-シクロデキストリン、トリ−ヒドロキシメチル-γ-
シクロデキストリン、トリ−(2−ヒドロキシエチル)
-γ-シクロデキストリン、トリ−(2−ヒドロキシプロ
ピル)-γ-シクロデキストリン、トリ−(3−ヒドロキ
シプロピル)-γ-シクロデキストリン、トリ−(2,3
−ジヒドロキシプロピル)-γ-シクロデキストリンもし
くはトリ−(2−ヒドロキシブチル)-γ-シクロデキス
トリン等のシクロデキストリンを構成するグルコース1
分子あたり3つのヒドロキシアルキル基が置換したトリ
−ヒドロキシアルキルシクロデキストリン;等が挙げら
れる。
【0025】ここで、上記ヒドロキシアルキル基のアル
キル部分のアルキルは、前述したものと同意義を示す。
また上記修飾されるシクロデキストリンも前述したのと
同意義を示す。またモノヒドロキシアルキルシクロデキ
ストリンまたはジヒドロキシアルキルシクロデキストリ
ンにおいてヒドロキシアルキル基の置換していない水酸
基の水素原子は、例えば上述のアルキル基、アシル基、
カルボキシアルキル基またはスルホアルキル基等のヒド
ロキシアルキル基以外の置換基で置換されていてもよ
い。
【0026】上記スルホアルキル化シクロデキストリン
とは、天然型シクロデキストリンの水酸基の水素原子
が、炭素数1乃至6個のアルキル部分を有するスルホア
ルキル基で置換されたシクロデキストリンである。
【0027】このようなシクロデキストリンとしては、
例えばスルホメチル-α-シクロデキストリン、スルホエ
チル-α-シクロデキストリン、スルホプロピル-α-シク
ロデキストリン、スルホブチル-α-シクロデキストリ
ン、スルホペンチル-α-シクロデキストリン、スルホメ
チル-β-シクロデキストリン、スルホエチル-β-シクロ
デキストリン、スルホプロピル-β-シクロデキストリ
ン、スルホブチル-β-シクロデキストリン、スルホペン
チル-β-シクロデキストリン、スルホメチル-γ-シクロ
デキストリン、スルホエチル-γ-シクロデキストリン、
スルホプロピル-γ-シクロデキストリン、スルホブチル
-γ-シクロデキストリンもしくはスルホペンチル-γ-シ
クロデキストリン等のシクロデキストリンを構成するグ
ルコース1分子あたり1つのスルホアルキル基が置換し
たモノスルホアルキルシクロデキストリン;ジスルホメ
チル-α-シクロデキストリン、ジスルホエチル-α-シク
ロデキストリン、スルホメチルスルホエチル-α-シクロ
デキストリン、ジスルホメチル-β-シクロデキストリ
ン、ジスルホエチル-β-シクロデキストリン、スルホメ
チルスルホエチル-β-シクロデキストリン、ジスルホメ
チル-γ-シクロデキストリン、ジスルホエチル-γ-シク
ロデキストリンもしくはスルホメチルスルホエチル-γ-
シクロデキストリン等のシクロデキストリンを構成する
グルコース1分子あたり同一または異なった2つのスル
ホアルキル基が置換したシクロデキストリンであるジス
ルホアルキルシクロデキストリン;またはトリスルホメ
チル-α-シクロデキストリン、トリスルホエチル-α-シ
クロデキストリン、ジスルホメチルスルホエチル-α-シ
クロデキストリン、トリスルホメチル-β-シクロデキス
トリン、トリスルホエチル-β-シクロデキストリン、ジ
スルホメチルスルホエチル-β-シクロデキストリン、ト
リスルホメチル-γ-シクロデキストリン、トリスルホエ
チル-γ-シクロデキストリンもしくはジスルホメチルス
ルホエチル-γ-シクロデキストリン等のシクロデキスト
リンを構成するグルコース1分子あたり同一または異な
った3つのスルホアルキル基が置換したシクロデキスト
リンであるトリスルホアルキルシクロデキストリン;等
が挙げられる。
【0028】ここで、上記スルホアルキル基のアルキル
部分のアルキルは、前述したものと同意義を示す。また
修飾されるシクロデキストリンも前述したものと同意義
を示す。またモノスルホアルキルシクロデキストリンま
たはジスルホアルキルシクロデキストリンにおいてスル
ホアルキル基の置換していない水酸基の水素原子は、例
えば上述のアルキル基、アシル基、ヒドロキシアルキル
基またはカルボキシアルキル基等のスルホアルキル基以
外の置換基で置換されていてもよい。
【0029】またこれらのスルホアルキル化シクロデキ
ストリンは塩を形成することもできるが、本発明にはそ
のような塩も含むものとする。そのような塩としては、
例えばナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩のような
アルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩のよう
なアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩、鉄塩、亜鉛
塩、銅塩、ニッケル塩、コバルト塩等の金属塩;アンモ
ニウム塩;t−オクチルアミン塩、ジベンジルアミン
塩、モルホリン塩、グルコサミン塩、フェニルグリシン
アルキルエステル塩、エチレンジアミン塩、N−メチル
グルカミン塩、グアニジン塩、ジエチルアミン塩、トリ
エチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’
−ジベンジルエチレンジアミン塩、クロロプロカイン
塩、プロカイン塩、ジエタノールアミン塩、N−ベンジ
ル−N−フェネチルアミン塩、ピペラジン塩、テトラメ
チルアンモニウム塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミ
ノメタン塩のようなアミン塩が挙げられるが、好適には
アルカリ金属塩であり、さらに好適にはナトリウム塩ま
たはカリウム塩であり、最適にはナトリウム塩である。
【0030】上記シクロデキストリン硫酸エステルと
は、天然型シクロデキストリンの水酸基と硫酸がエステ
ル結合したシクロデキストリンである。
【0031】このようなシクロデキストリンとしては、
例えばα-シクロデキストリン硫酸エステル、β―シク
ロデキストリン硫酸エステル、γ―シクロデキストリン
硫酸エステルのようなシクロデキストリンを構成するグ
ルコース1分子あたり1つの硫酸エステルが存在するシ
クロデキストリンモノ硫酸エステル;α-シクロデキス
トリンジ硫酸エステル、β―シクロデキストリンジ硫酸
エステル、γ―シクロデキストリンジ硫酸エステルのよ
うなシクロデキストリンを構成するグルコース1分子あ
たり2つの硫酸エステルが存在するシクロデキストリン
ジ硫酸エステル;α-シクロデキストリントリ硫酸エス
テル、β―シクロデキストリントリ硫酸エステル、γ―
シクロデキストリントリ硫酸エステルのようなシクロデ
キストリンを構成するグルコース1分子あたり3つの硫
酸エステルが存在するシクロデキストリントリ硫酸エス
テル;等が挙げられる。
【0032】ここで、修飾されるシクロデキストリンは
前述したものと同意義を示す。またシクロデキストリン
モノ硫酸エステルまたはシクロデキストリンジ硫酸エス
テルにおいて硫酸エステルを形成していない水酸基の水
素原子は、例えば上述のアルキル基、カルボキシアルキ
ル基、アシル基、ヒドロキシアルキル基またはスルホア
ルキル基等の置換可能な置換基で置換されていてもよ
い。またこれらシクロデキストリン硫酸エステルは塩を
形成することもできるが、本発明にはそのような塩も含
むものとする。そのような塩は上述の塩と同意義であ
る。
【0033】上記シクロデキストリン燐酸エステルと
は、天然型シクロデキストリンの水酸基と燐酸がエステ
ル結合されたシクロデキストリンである。
【0034】このようなシクロデキストリン燐酸エステ
ルとしては、例えばα-シクロデキストリン燐酸エステ
ル、β―シクロデキストリン燐酸エステル、γ―シクロ
デキストリン燐酸エステルのようなシクロデキストリン
を構成するグルコース1分子あたり1つの燐酸エステル
が存在するシクロデキストリンモノ燐酸エステル;α-
シクロデキストリンジ燐酸エステル、β―シクロデキス
トリンジ燐酸エステル、γ―シクロデキストリンジ燐酸
エステルのようなシクロデキストリンを構成するグルコ
ース1分子あたり2つの燐酸エステルが存在するシクロ
デキストリンジ燐酸エステル;α-シクロデキストリン
トリ燐酸エステル、β―シクロデキストリントリ燐酸エ
ステル、γ―シクロデキストリントリ燐酸エステルのよ
うなシクロデキストリンを構成するグルコース1分子あ
たり3つの燐酸エステルが存在するシクロデキストリン
トリ燐酸エステル;等が挙げられる。
【0035】ここで、好適な修飾されるシクロデキスト
リンは前述したのと同意義を示す。またシクロデキスト
リンモノ燐酸エステルまたはシクロデキストリンジ燐酸
エステルにおいて燐酸エステルを形成していない水酸基
の水素原子は、例えば上述のアルキル基、カルボキシア
ルキル基、アシル基、ヒドロキシアルキル基またはスル
ホアルキル基等の置換可能な置換基で置換されていても
よい。またこれらシクロデキストリン燐酸エステルは塩
を形成することもできるが、本発明にはそのような塩も
含むものとする。そのような塩は上述の塩と同意義であ
る。
【0036】上記分岐シクロデキストリンとは、天然型
シクロデキストリンを構成するグルコースの6位の水酸
基とグルコースまたはマルトース等の糖類の水酸基が脱
水縮合したシクロデキストリンである。
【0037】このような分岐シクロデキストリンとして
は、例えばグルコシル−α−シクロデキストリン、グル
コシル−β−シクロデキストリン、グルコシル−γ−シ
クロデキストリン等のグルコシルシクロデキストリン;
マルトシル−α−シクロデキストリン、マルトシル−β
−シクロデキストリン、マルトシル−γ−シクロデキス
トリン等のマルトシルシクロデキストリン;トリグルコ
シル−α−シクロデキストリン、トリグルコシル−β−
シクロデキストリン、トリグルコシル−γ−シクロデキ
ストリン等のトリグルコシルシクロデキストリン;ジマ
ルトシル−α−シクロデキストリン、ジマルトシル−β
−シクロデキストリンまたはジマルトシル−γ−シクロ
デキストリン等のジマルトシルシクロデキストリン;等
が挙げられる。
【0038】ここで、好適な修飾されるシクロデキスト
リンは前述したのと同意義を示す。またシクロデキスト
リンを構成するグルコース単位の2位または3位の水酸
基の水素原子は、例えば上述のアルキル基、カルボキシ
アルキル基、アシル基、ヒドロキシアルキル基またはス
ルホアルキル基等の置換基で置換されていてもよい。
【0039】これらの修飾シクロデキストリンには、シ
クロデキストリンを構成するすべてのグルコース分子が
修飾されたシクロデキストリンのみならず、シクロデキ
ストリンを構成する一部のグルコース分子のみが修飾さ
れたシクロデキストリンも含まれる。
【0040】また、これらの修飾シクロデキストリンに
は、シクロデキストリンを構成するすべてのまたは一部
のグルコース分子が、上述の置換基のうち2種以上の置
換基で修飾されたシクロデキストリンも含まれる。
【0041】シクロデキストリンポリマーとは、上述の
天然型シクロデキストリンの重合体、修飾シクロデキス
トリンの重合体または公知の高分子鎖に天然型もしくは
修飾シクロデキストリンを組み込んだ共重合体のことで
あり、例えばポリ−α−シクロデキストリンなどが挙げ
られる。
【0042】本発明に用いられるシクロデキストリン類
のうち、好適には修飾シクロデキストリンであり、特に
アルキルシクロデキストリン、スルホアルキルシクロデ
キストリンの塩(スルホアルキルエーテルシクロデキス
トリンともいう。)またはシクロデキストリン硫酸エス
テルの塩が挙げられる。これらのうち、好適にはジメチ
ル−β−シクロデキストリン、スルホブチル−β−シク
ロデキストリンのナトリウム塩(スルホブチルエーテル
−β−シクロデキストリンともいう。)またはβ−シク
ロデキストリン硫酸エステルのナトリウム塩(硫酸シク
ロデキストリンともいう)が挙げられ、特に好適にはス
ルホブチル−β−シクロデキストリンのナトリウム塩
(スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリンとも
いう。)が挙げられる。
【0043】本発明の免疫グロブリンには、α−、β
−、γ−グロブリンをはじめとしてその成分であるIg
G、IgA、IgM、IgD、IgEなどが包含される。また、ペプ
シンやプラスミンなどの酵素処理を施した免疫グロブリ
ン断片、スルホ化、アルキル化など化学的修飾を施した
修飾免疫グロブリン、酸、ポリエチレングリコールまた
はイオン交換樹脂などで処理した免疫グロブリンなども
含まれる。
【0044】免疫グロブリンを安定化するためのシクロ
デキストリン類濃度は、重量濃度比で、免疫グロブリン
1重量部に対してシクロデキストリン類が0.01乃至
100重量部であり、好的には0.1乃至10重量部で
あり、さらに好的には0.5乃至5重量部である。
【0045】本発明において、シクロデキストリン類
を、免疫グロブリンの水溶液製剤を製造する時に添加す
ることにより、免疫グロブリンの凝集抑制効果が得られ
る。
【0046】また、本発明においてシクロデキストリン
類を、免疫グロブリンの凍結乾燥品を製造する時に添加
することにより、凍結乾燥品中の免疫グロブリンの経時
安定性および用時水溶液にした時には免疫グロブリンの
凝集抑制効果が得られる。
【0047】これらの、(1)シクロデキストリン類を
添加した免疫グロブリンの水溶液製剤または凍結乾燥製
剤において、好適には、(2)シクロデキストリン類が
修飾シクロデキストリンである(1)記載の免疫グロブ
リンの水溶液製剤または凍結乾燥製剤、(3)シクロデ
キストリン類がアルキル化シクロデキストリン、スルホ
アルキル化シクロデキストリン(スルホアルキルエーテ
ルシクロデキストリンともいう。)もしくはそれらの
塩、アシル化シクロデキストリン、カルボキシアルキル
化シクロデキストリン、シクロデキストリン硫酸エステ
ルもしくはそれらの塩またはシクロデキストリン燐酸エ
ステルもしくはそれらの塩である(1)または(2)記
載の免疫グロブリンの水溶液製剤および凍結乾燥製剤、
(4)シクロデキストリン類がアルキル化シクロデキス
トリン、スルホアルキル化シクロデキストリンもしくは
それらの塩(スルホアルキルエーテルシクロデキストリ
ンともいう。)またはシクロデキストリン硫酸エステル
もしくはそれらの塩である(1)乃至(3)のいずれか
ひとつに記載の免疫グロブリンの水溶液製剤および凍結
乾燥製剤、(5)シクロデキストリン類がジメチル−β
−シクロデキストリン、スルホブチル−β−シクロデキ
ストリンのナトリウム塩(スルホブチルエーテル−β−
シクロデキストリンともいう。)またはβ−シクロデキ
ストリン硫酸エステルのナトリウム塩(硫酸シクロデキ
ストリンともいう)である(1)乃至(4)のいずれか
ひとつに記載の免疫グロブリンの水溶液製剤および凍結
乾燥製剤、(6)シクロデキストリン類がスルホブチル
−β−シクロデキストリンのナトリウム塩(スルホブチ
ルエーテル−β−シクロデキストリンともいう。)であ
る(1)乃至(5)のいずれかひとつに記載の免疫グロ
ブリンの水溶液製剤および凍結乾燥製剤、である。
【0048】
【発明の実施の形態】本発明に使用するシクロデキスト
リン類は、以下の文献に記載の方法に準じて得られる。
例えば、天然型シクロデキストリンは、でんぷんをシク
ロデキストリングリコシルトランスフェラーゼにより分
解、再編成することにより製造できる(Inst. Phys. Che
m. Res., Jpn. Maize Prod. Co.; Belg. Pat. 883, 57
9, 1980)。修飾シクロデキストリンは天然型シクロデキ
ストリンを化学的修飾することにより製造できる(Croft
A. P. and Bartsch R. A.; Tetrahedron 39, 1417, 19
83: Synthesis of chemically modified cyclodextrin
s)。または、該シクロデキストリン類は市販品として入
手することもできる。
【0049】本発明に使用する免疫グロブリンは以下の
文献に記載の方法に準じて得られる。例えば、血漿より
Cohnの冷エタノール分画法の第6法および第9法を用い
て分離精製したり(Cohn, E, J. et al; J.Am.Chem.Soc.
68, 459-475, 1946 : OncleyJ. L. et al; J.Am.Chem.
Soc. 71, 541-550, 1949)、上記の精製された免疫グロ
ブリンに様々な処理を施すことによって製造できる(ペ
プシン処理人免疫グロブリン;Schultze H. E. et al;
Deutsche Med. Wochenschr. 87, 1643-1650, 1962、プ
ラスミン処理人免疫グロブリン;Sgouris J.T.; Vox S
ang. 13, 71-84, 1967、pH4処理人免疫グロブリン;Kob
let H. et al; Vox Sang. 13, 93-102, 1967 、スルホ
化人免疫グロブリン;Masuho Y. et al; Vox Sang. 32,
175-181, 1977、アルキル化人免疫グロブリン;Fernan
des P. M. et al; Vox Sang. 39, 101-112, 1980、ポリ
エチレングリコール処理人免疫グロブリン;Polson A.
et al;Vox Sang. 23, 107-118, 1972、イオン交換樹脂
処理人免疫グロブリン;HoppeH. H. et al; Vox Sang.
25, 308-316, 1973)。または、該免疫グロブリンは市
販品として入手することもできる。
【0050】本発明の水溶液製剤または凍結乾燥製剤
は、通常注射剤で使用される等張化剤(例えば塩化ナト
リウム、グルコース、マンニトール、サッカロース等の
糖類)、安定化剤(例えばグリセリン、プロピレングリ
コール等の多価アルコール)、無痛化剤(例えばアルブ
ミン、グリセリン、プロピレングリコール等の多価アル
コール、リドカイン塩酸塩、ベンジルアルコールな
ど)、溶存酸素を除去することを目的として使用される
不活性ガス類(例えば窒素、二酸化炭素など)、抗酸化
剤(例えば亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウ
ム、チオ硫酸ナトリウム、ロンガリット、L−アスコル
ビン酸、エリソルビン酸など)、安定剤(EDTA、チ
オグリコール酸、チオグリセリンのようなキレート化合
物等)等の添加剤を含んでもよい。
【0051】また本発明の、シクロデキストリン類を添
加した免疫グロブリンの水溶液または凍結乾燥品に、安
定化の目的で前述したポリプロピレングリコールおよび
/またはポリエチレングリコールなどの水溶性高分子(Ph
ram.Res. 14(6), 736-741,1997:J.Pham.Sci. 87(2), 14
7-151, 1998)および/またはグルコースまたはラクトー
ス等の糖類(Arakawa et al; Pharm.Res. 8, 285-291,
1991 : Protein-solvent interactons in pharmaceutic
al formulations : John F.Carpenter et al; Pharm.Re
s. 14, 969-975, 1997 : Rational Design of Stable L
yophilized Protein Formulations: Some Practical Ad
vice)などの安定化剤を添加してもよい。
【0052】本発明の水溶液製剤は、シクロデキストリ
ン類の水溶液に免疫グロブリンを添加しても、免疫グロ
ブリンとシクロデキストリン類を同時に水に溶解して
も、または免疫グロブリンの水溶液にシクロデキストリ
ン類を添加しても(すなわち、凝集した免疫グロブリン
の水溶液製剤にシクロデキストリン類を添加する)、免
疫グロブリンの安定化した水溶液製剤を製造できるが、
好適には免疫グロブリンをシクロデキストリン類を含む
水溶液で溶解するか、または免疫グロブリンとシクロデ
キストリン類を同時に水に溶解して製造する。
【0053】また、本発明の凍結乾燥製剤は、まずシク
ロデキストリン類と免疫グロブリンを含む水溶液を上記
水溶液製剤と同様に製造し、その水溶液をバイアルに小
分けし、凍結乾燥を行う。その後バイアル内を窒素ガス
でリーク後、打栓し製造する。
【0054】本製剤の使用法としては、例えば水溶液製
剤の場合はそのまま、凍結乾燥製剤の場合は注射用蒸留
水で溶解して、生理食塩水に添加して点滴静注する方法
が挙げられる。また本製剤の用量としては、例えば無ま
たは低γ−グロブリン血症、重傷感染症において抗生物
質との併用に使用する場合、通常成人に対してヒト免疫
グロブリンGとして2500乃至5000mg、小児に
対しては50乃至150mg/kg体重といった量が挙
げられるが、年齢および症状に応じて適宜増減する。
【0055】
【実施例】次に実施例等を用いて本発明を説明するが、
本発明はこれに限定されるものではない。 (実施例1) シクロデキストリン類を添加したγ−グ
ロブリンの水溶液製剤の製造 シクロデキストリン類として、ジメチル−β−シクロデ
キストリン(日本食品化工株式会社製)、スルホブチル
−β−シクロデキストリンのナトリウム塩(スルホブチ
ルエーテル−β−シクロデキストリンともいう。:商品
名;CaptisolTM,サイデックスインコーポレー
テッド製)またはβ−シクロデキストリン硫酸エステル
のナトリウム塩(硫酸シクロデキストリンともいう。;
アルドリッチケミカルカンパニー製)に、注射用蒸留水
(第13改正日本薬局方収載品)を加えて各1%溶液を
調製した。γ−グロブリン(シグマケミカルカンパニー
製)50mgを上記の各溶液5mLに溶解させ(γ−グロブ
リン濃度1%)、シクロデキストリン類を添加したγ−
グロブリンの水溶液製剤を調製した。 (比較例1) γ−グロブリンの水溶液製剤の製造 γ−グロブリン(シグマケミカルカンパニー製)50mg
を注射用蒸留水(第13改正日本薬局方収載品)5mLに溶
解させ(γ−グロブリン濃度1%)、γ−グロブリンの水
溶液製剤を調製した。 (実施例2) スルホブチル−β−シクロデキストリン
のナトリウム塩を添加したγ−グロブリンの凍結乾燥製
剤の製造 シクロデキストリン類からスルホブチル−β−シクロデ
キストリンのナトリウム塩を選び、注射用蒸留水(第1
3改正日本薬局方収載品)を加えて5%溶液を調製し
た。γ−グロブリン1.0gを上記の溶液20mLに溶解
し(γ−グロブリン濃度5%)、0.22μmのメンブラ
ンフィルター(マイレクスGV、日本ミリポア株式会社
製)でろ過後、バイアルに1mLずつ小分けし、凍結乾燥
機(VirtisGenesis 12 freeze-dryer, VIRTIS製)の棚
に入れた。−45℃で3時間放置し凍結させ、一次乾燥
を−20℃で20時間、二次乾燥を20℃で11時間行
なった。窒素リーク後、打栓すると、スルホブチル−β
−シクロデキストリンのナトリウム塩を添加したγ−グ
ロブリンの凍結乾燥製剤が得られた。 (比較例2) γ−グロブリンの凍結乾燥製剤の製造 γ−グロブリン1.0gを注射用蒸留水(第13改正日
本薬局方収載品)20mLに溶解し(γ−グロブリン濃度
5%)、0.22μmのメンブランフィルター(マイレ
クスGV、日本ミリポア株式会社製)でろ過後、バイアル
に1mLずつ小分けし、凍結乾燥機(Virtis Genesis 12
freeze-dryer, VIRTIS製)の棚に入れた。−45℃で3
時間放置し凍結させ、一次乾燥を−20℃で20時間、
二次乾燥を20℃で11時間行なった。窒素リーク後、
打栓すると、γ−グロブリンの凍結乾燥製剤が得られ
た。 (試験例1) γ−グロブリンの水溶液製剤の安定性 実施例1および比較例1で調製した水溶液製剤の濁度の
指標とするため、吸光度(測定機器:UV1600−P
C(島津製作所製);測定波長600nm)を測定し
た。結果を図1に示す。図1より明らかなように、比較
例1の水溶液製剤は、γ−グロブリンが凝集し水溶液が
白濁するが、実施例1の水溶液製剤では、凝集が抑制さ
れ澄明な水溶液を得られた。 (試験例2) γ-グロブリン凍結乾燥製剤の安定性 実施例2および比較例2で得られた凍結乾燥製剤の再溶
解後の凝集の有無および40℃における経時安定性を観
察した。凍結乾燥製剤は蒸留水1mLで溶解し、濁度の
指標として吸光度(測定機器:UV−1600PC(島
津製作所製);測定波長600nm)を測定した。結果
を図2に示す。図2より明らかなようにγ−グロブリン
のみの凍結乾燥製剤に比べ、γ−グロブリンにスルホブ
チル−β−シクロデキストリンのナトリウム塩を加えた
凍結乾燥製剤はγ−グロブリンの凝集を抑制し、再溶解
後も澄明な水溶液を得ることができた。
【0056】また40℃において6週間まで保存したと
ころ、γ−グロブリンのみの凍結乾燥製剤は経時により
γ−グロブリンが変性し、再溶解後の水溶液の吸光度値
は増加した。しかし、スルホブチル−β−シクロデキス
トリンのナトリウム塩を加えた凍結乾燥製剤は吸光度値
の変化を顕著に抑制し、γ−グロブリンの経時による変
性を防止する効果が観察された。
【0057】
【発明の効果】免疫グロブリンの水溶液製剤および凍結
乾燥製剤にシクロデキストリン類を添加することによ
り、免疫グロブリンの安定性を高めることができ、医療
現場により品質の高い免疫グロブリン製剤を供給するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 γ−グロブリンの水溶液製剤(比較例1)と
β−シクロデキストリン硫酸エステルのナトリウム塩
(硫酸シクロデキストリンともいう;S−β−CD)、
ジメチル−β−シクロデキストリン(DM−β−CD)
またはスルホブチル−β−シクロデキストリンのナトリ
ウム塩(スルフォブチルエーテル−β−シクロデキスト
リンともいう。;SBE−β−CD)を添加したγ−グ
ロブリンの水溶液製剤の吸光度。
【図2】 γ-グロブリンの凍結乾燥製剤(比較例2)
およびスルホブチル−β−シクロデキストリンのナトリ
ウム塩(スルフォブチルエーテル−β−シクロデキスト
リンともいう。)を添加したγ-グロブリンの凍結乾燥
製剤(実施例2)の再溶解後の吸光度ならびにその経時
安定性。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シクロデキストリン類を添加した免疫グロ
    ブリンの水溶液製剤または凍結乾燥製剤。
  2. 【請求項2】シクロデキストリン類が修飾シクロデキス
    トリンである請求項1に記載の免疫グロブリンの水溶液
    製剤または凍結乾燥製剤。
  3. 【請求項3】シクロデキストリン類がアルキル化シクロ
    デキストリン、スルホアルキル化シクロデキストリンも
    しくはそれらの塩(スルホアルキルエーテルシクロデキ
    ストリンともいう。)またはシクロデキストリン硫酸エ
    ステルもしくはそれらの塩である請求項1または2に記
    載の免疫グロブリンの水溶液製剤および凍結乾燥製剤。
  4. 【請求項4】シクロデキストリン類がジメチル−β−シ
    クロデキストリン、スルホブチル−β−シクロデキスト
    リンのナトリウム塩(スルホブチルエーテル−β−シク
    ロデキストリンともいう。)またはβ−シクロデキスト
    リン硫酸エステルのナトリウム塩(硫酸シクロデキスト
    リンともいう。)である請求項1乃至3のいずれかひと
    つに記載の免疫グロブリンの水溶液製剤および凍結乾燥
    製剤。
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