JP2000225792A - ボールペン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】 ドライアップ、インキ洩れ出し、インキ逆流
等の防止性能が確実に維持されると共に、製造しやす
く、安価なボールペンを提供する。 【解決手段】 チップ１内に先端ボール４を押圧するス
プリング５を内蔵し、更にチップ後端に開口する導孔を
開閉可能とするボール弁６が内蔵されてなるボールペン
において、スプリングは、その先端にストレート部５ａ
が、該ストレート部後端より後方に向かって押圧力を付
与する捲線部５ｂが、更に該捲線部の後方に密捲線部５
ｃが設けられると共に密捲線部の後端に突出した棒軸部
５ｄが設けられる。チップは、樹脂製のチップ継ぎ手７
とその先端に金属製のホルダー３が固着されてなる。ス
プリングの密捲線部がチップ継ぎ手の内孔壁に固定され
てストレート部が先端ボールの背面を押圧して先端ボー
ルがホルダーのボール抱持部の内面に液密状に密接され
る。又、インキ収容管に圧着するチップ継ぎ手の軸部の
後方外周部に全周状のクビレ部２ｂが形成される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、筆記時には筆記部であ
る先端ボールがチップ内部に保持されたスプリングの押
圧が筆記に要する筆記圧よりも弱い事を利用してスムー
ズな筆記性能を確保するとともに、非筆記時には先端ボ
ールを弁として利用して、耐衝撃性能やインキのドライ
アップ防止性能の向上や、インキが後方へ移動するイン
キドロップ（インキの逆流）防止などの機能向上を狙い
としたボールペンの改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般的なボールペンでは筆記部である先
端ボールの周辺は筆記に必要なインキが流れ出るための
隙間が適宜設けられている。従ってその隙間からインキ
の蒸発や輸送中の振動、落下、長期放置によるインキの
空気酸化劣化や洩れ出し（インキの直流）や空気が入り
込むことによるカスレの発生、また店頭でのペン立てで
長期間、筆記部を軸方向上方へ向けて保存（上向き）す
ることで、インキが軸方向後方へ落ちてしまうインキド
ロップ（インキの逆流）などの事故がしばしば見られ
る。従来、これらの問題を解決するために、チップ内に
スプリングを内蔵させて、そのスプリング先端の押圧力
で先端ボールをチップのボール抱持部の内縁に液密状に
密接させる手段１が知られている。この手段１はチップ
先端からのインキの直流と乾燥に基づく筆記カスレ及び
インキの逆流を防止可能とする。しかしながら、この手
段１は筆記時に先端ボールとボール抱持部の間に異物が
挟まったり、上向き筆記を繰り返したりした際には先端
から空気が巻き込まれインキの逆流現象を起こして筆記
カスレが発生する欠点がある。又、キャップオフのノッ
ク式筆記具等に搭載した場合にはノック衝撃で筆記カス
レが顕著に発生する欠点がある。又、チップとインキ収
容管を接続する継ぎ手の軸心部にボール弁を遊嵌させた
弁室を設けて、チップが上向きの時にボール弁がインキ
収容管に通じる導孔を閉塞してインキの逆流を防止可能
とする手段２が知られている。又更に、同出願人は上記
手段１の欠点を解決する為に手段１に手段２を併設した
手段３を既に提案している。

【０００３】又、後述する解決課題に近似した同出願人
による従来例が図３乃至図５に示されている。その概略
について説明すると、この従来例のボールペンは、筆記
部である先端ボールをスプリングでごく弱く押圧して、
筆記時には先端ボールとスプリングは軸後方へ移動して
筆記に必要なインキの流路を確保して一般的なボールペ
ンと同様に良好な筆記が可能なように構成される。チッ
プは先端ボールを抱持したホルダーとスプリングの後端
が当接して抜出不能とするチップ継ぎ手とが圧着されて
構成される。従って、上述したようなチップの加工精度
が容易となり、又、スプリングを抜出不能に内蔵するこ
とが容易となって品質が安定化し、チップ形成の総合コ
ストが安くなることを期待したものである。又、チップ
継ぎ手内にスプリングの後端が当接状態で内挿されてお
り、スプリングの先端に先端ボールに当接するストレー
ト部が、該ストレート部後端より後方に向かって捲線部
が、更に該捲線部の後端に中心に向かう折り曲げ端部が
設けられ、チップ継ぎ手内孔で、スプリング後端の後方
にテーパー状又は球面状のボール受け座と導孔が設けら
れて前記折り曲げ端部とボール受け座の間にボール弁が
遊嵌され、導孔がチップ継ぎ手の後端開口部に連通して
設けられて、以上により構成されるチップが軸継ぎ手の
先端に止着され軸継ぎ手の後方にインキ収容管が設けら
れて成る。この従来例も、スプリングの捲線部の後端に
折り曲げ端部を形成する為に生産性が悪く、又、スプリ
ングをチップ継ぎ手に挿入した後にホルダーをチップ継
ぎ手に固着する為にスプリングの軸心性がかなり要求さ
れることから、品質上の問題やコスト高となる問題が存
在している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従って上述した手段３
や上記従来例は、加工や組立が煩雑となる為にコストア
ップとなる問題がある。そこで本発明は、主に低粘度イ
ンキを使用したボールペンの改良を目的として筆記時の
スムーズな筆記を疎外することなく、インキの揮発によ
るドライアップ防止性能や、落下・輸送中の衝撃による
インキ洩れ出しの防止性能や、店頭で長期上向き保存さ
れた場合などの空気流入によるインキドロップ防止性能
などボールペンにおける事故防止性能を確実に維持する
と共に、従来の技術よりも製造しやすく、安価なボール
ペンを提供可能とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために以下の構成を有する。請求項１に記載の発
明に係るボールペンは、チップ内に先端ボールを押圧す
るスプリングを内蔵し、更にチップ後端に開口する導孔
を開閉可能とするボール弁が内蔵されてなるボールペン
に於いて、スプリングは、その先端にストレート部が、
該ストレート部後端より後方に向かって押圧力を付与す
る捲線部が、更に該捲線部の後方に密捲線部が設けられ
ると共に密捲線部の後端に突出した棒軸部が設けられて
なり、チップは、樹脂製のチップ継ぎ手とその先端に金
属製のホルダーが固着されてなり、上記スプリングの密
捲線部がチップ継ぎ手の内孔壁に固定されてストレート
部が先端ボールの背面を押圧して先端ボールがホルダー
のボール抱持部の内面に液密状に密接され、又、インキ
収容管に圧着するチップ継ぎ手の軸部の後方外周部に全
周状のクビレ部が形成されてその内面を導孔としてその
前後内面にテーパー部が形成され、チップ継ぎ手の軸部
の後端からボール弁が後のテーパー部を押圧することに
よってクビレ部を拡開方向に弾性変形させてボール弁が
上記スプリングの棒軸部の後端と前のテーパー部との間
に遊嵌されると共に、前のテーパー部をボール受け座と
してチップが上向きの時にボール弁がボール受け座に液
密状に密接して導孔が閉塞されるように構成されてな
る。

【０００６】請求項２に記載の発明に係るボールペン
は、請求項１に記載のボールペンに於いて、チップが継
ぎ手の先端に固着され、継ぎ手の後方にインキ収容管が
設けられて、インキ収容管には低粘度或いは静的には高
い粘性を有し、筆記時の先端ボールの回転で粘性が低下
してインキが流出される所謂剪断減粘性を有したインキ
とインキの後端にインキの消耗と共に追随するグリース
状のフォロアが充填されると共に、必要に応じてフォロ
ア内にフォロアと略同等の比重を有する樹脂部材が浸漬
して設けられてなる。

【０００７】

【実施例】図１及び図２は本発明の実施例を示してい
る。先ず、図に示すように実施例に於けるボールペン
は、継ぎ手７前方の前軸部７ａに設けた孔部にチップ１
が圧入固着され、継ぎ手７後方の後軸部７ｃがポリプロ
ピレン樹脂製のチューブよりなるインキ収容管８の前端
孔に圧入固着されて、インキ収容管８の内部に低粘度或
いは静的には高い粘性を有し、筆記時の先端ボールの回
転で粘性が低下してインキが流出される所謂剪断減粘性
を有した油性又は水性のインキ９が充填されると共にイ
ンキの後端に筆記に伴うインキの消耗で追随して移動す
るグリース状のフォロア１０と必要によってフォロア内
にフォロアと略同等の比重を有する樹脂製のフォロア棒
１１が浸漬されてなる。尚、継ぎ手とインキ収容管を一
体と成すことは可能である。

【０００８】又、本発明のボールペンは、チップ１が樹
脂製のチップ継ぎ手２とその先端に金属製のホルダー３
が固着されてなり、チップ継ぎ手２内に先端ボール４を
押圧するスプリング５を内蔵し、更にチップ継ぎ手２後
端に開口する導孔２ｆを開閉可能とするボール弁６が内
蔵されてなる。又、上記のスプリング５は、その先端に
ストレート部５ａが、該ストレート部５ａ後端より後方
に向かって押圧力を付与する捲線部５ｂが、更に捲線部
５ｂの後方に該捲線部５ｂの外形よりやや大径となした
軸方向に非変形な密捲線部５ｃが設けられると共に、密
捲線部５ｃの後端に軸方向に突出した棒軸部５ｄが設け
られてなる。

【０００９】又、チップ継ぎ手２の内孔には段部２ｇが
形成されており、上記スプリング５の密捲線部５ｃの前
端がその段部２ｇに当接された状態で、密捲線部５ｃの
外周がチップ継ぎ手の内孔壁に圧入固定されている。そ
の固定力は上記スプリングのストレート部５ａが先端ボ
ール４の背面を押圧する力（通常の先端ボール径がφ
０．５〜φ０．７程度の場合２〜２０ｇ程度）より大き
くなるように設定される。又、密捲線部５ｃの後端位置
でチップ継ぎ手の内孔壁に突条２ｈを設けてスプリング
の後退を阻止（固定）することもできる。以上により、
ストレート部５ａが先端ボール４の背面を押圧して先端
ボール４がチップのボール抱持部３ｃの内縁に液密状に
密接される。

【００１０】又、継ぎ手７に圧着するチップ継ぎ手の軸
部２ａの後方外周部に全周状のクビレ部２ｂが形成さ
れ、更にその後方に後端部２ｃが形成されている。軸部
２ａは継ぎ手７に圧着されるが、後端部２ｃの外周部寸
法は継ぎ手７の圧着部内周寸法より僅かに小さく設定さ
れている。

【００１１】又、クビレ部２ｂの内面を導孔２ｆとして
その前後内面にテーパー部が形成され、又、後端部２ｃ
の外周部寸法が継ぎ手７の内周寸法より僅かに小さく設
定されているので、チップ継ぎ手の軸部２ａの後端から
ボール弁６が後のテーパー部２ｅを押圧することによっ
て、後端部２ｃが摺動しながら前後のテーパー部が容易
に曲げ変形するのでクビレ部２ｂが拡開方向に弾性変形
されてボール弁６が上記スプリングの棒軸部５ｄの後端
と前のテーパー部との間に遊嵌される。又、前のテーパ
ー部をボール受け座２ｄとして、チップ１が上向きの時
にボール弁６がボール受け座２ｄに液密状に密接して導
孔２ｆが閉塞状態となる。尚、実施例でボール弁６は球
体として示しているが、均等な手段として棒状体等でな
すことも可能である。

【００１２】

【作用】本発明の作用を説明する。筆記部である先端ボ
ール４は球形状であることとチップのボール抱持部３ｃ
によって先端ボール４を後方からスプリング５により押
圧しておくとバルブが閉じられた状態となって外気とチ
ップ内部とが遮断されることにより、インキ９の揮発に
よるドライアップ防止や衝撃、落下による空気の進入防
止やインキ９の洩れ出し防止や空気によるペン先付近の
インク劣化の防止、などが期待できるようになる。

【００１３】筆記時の筆記に要する筆記圧はボールペン
の種類によって違いは有るが一般的に５０ｇから５００
ｇである。本発明の先端ボール４を押圧するスプリング
５の押圧力は２ｇから２０ｇに設定されている為、実際
の筆記時には先端ボール４とボール抱持部３ｃの内縁に
よるバルブ機構は押し広げられた状態となって通常のボ
ールペン同様にインキ９が流れ出し、筆記が可能であ
る。

【００１４】筆記が終了してボールペンを紙面から離し
た瞬間には本発明のスプリングの力により筆記部のバル
ブが瞬時に閉じられて再び耐ドライアップ性能、耐衝撃
性能、耐空気進入防止性能、インキ洩れ出し防止性能が
発揮され、各種の事故防止を行う。又、上向きにしてボ
ール弁６がボール受け座２ｄに密接されることによりイ
ンキ９の逆流が防止される。又、上述したが、先端ボー
ル４とボール抱持部３ｃの内縁との密接不完全状態やノ
ック衝撃に対して二重安全装置としてインキの逆流や筆
記カスレを防止可能となる。

【００１５】又、ボール弁６の挿入時に於いて、チップ
１の後端部２ｃの後端からボール弁６が後のテーパー部
２ｅを押圧することによって、後端部２ｃが摺動しなが
ら前後のテーパー部が容易に曲げ変形するのでボール受
け座２ｄが損傷されることなく容易にボール弁６がスプ
リングの棒軸部５ｄの後端とボール受け座２ｄの前面と
の間に遊嵌される。

【００１６】

【発明の効果】本発明のボールペンの構成及び作用は以
上の如くであり、チップの内部に内蔵されたスプリング
と筆記部である先端ボールのバルブ機構によって筆記時
の性能にはまったく影響がない状態で、筆記していない
場合の耐インキドライアップ防止性能、耐落下衝撃性
能、耐インキボタ落ち性能、耐インキ洩れ出し性能を大
幅にアップすることが可能である。又、本発明の要旨で
あるチップはスプリングとボール弁を同方向で挿入でき
るので組立性が良く安価である。又、スプリングに高精
度を必要としないで安定した品質が期待できる。又、チ
ップがインキ逆流防止機構を必要としない一般の油性ボ
ールペンのチップの外形寸法と同じに成すことが可能で
あり、継ぎ手やインキ収容管を共通化することで生産性
を向上させることが可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例であるボールペンの全体を示す
縦断面図である。

【図２】本発明の要旨であるチップの拡大断面図であ
る。

【図３】従来例であるボールペンの全体を示す縦断面図
である。

【図４】従来例であるチップの拡大断面図である。

【図５】従来例であるチップに使用されたスプリング捲
線部後端の折り曲げ端部を示す図である。

【符号の説明】

１ チップ ２ チップ継ぎ手 ２ａ 軸部 ２ｂ クビレ部 ２ｃ 後端部 ２ｄ ボール受け座 ２ｅ 後のテーパー部 ２ｆ 導孔 ２ｇ 段部 ２ｈ 突条 ３ ホルダー ３ａ 先方部 ３ｂ 軸部 ３ｃ ボール抱持部 ３ｄ チャンネル部 ３ｅ 中心孔 ４ 先端ボール ５ スプリング ５ａ ストレート部 ５ｂ 捲線部 ５ｃ 密捲線部 ５ｄ 棒軸部 ６ ボール弁 ７ 継ぎ手 ７ａ 前軸部 ７ｂ 鍔部 ７ｃ 後軸部 ８ インキ収容管 ９ インキ １０ フォロア １１ フォロア棒 １２ チップ １２ａ 内孔 １３ チップ継ぎ手 １３ａ 軸部 １３ｂ ボール受け座 １３ｃ 導孔 １３ｄ リブ １４ スプリング １４ａ ストレート部 １４ｂ 捲線部 １４ｃ 折り曲げ端部 １５ ボール弁

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 チップ内に先端ボールを押圧するスプリ
   ングを内蔵し、更にチップ後端に開口する導孔を開閉可
   能とするボール弁が内蔵されてなるボールペンに於い
   て、スプリングは、その先端にストレート部が、該スト
   レート部後端より後方に向かって押圧力を付与する捲線
   部が、更に該捲線部の後方に密捲線部が設けられると共
   に密捲線部の後端に突出した棒軸部が設けられてなり、
   チップは、樹脂製のチップ継ぎ手とその先端に金属製の
   ホルダーが固着されてなり、上記スプリングの密捲線部
   がチップ継ぎ手の内孔壁に固定されてストレート部が先
   端ボールの背面を押圧して先端ボールがホルダーのボー
   ル抱持部の内面に液密状に密接され、又、インキ収容管
   に圧着するチップ継ぎ手の軸部の後方外周部に全周状の
   クビレ部が形成されてその内面を導孔としてその前後内
   面にテーパー部が形成され、チップ継ぎ手の軸部の後端
   からボール弁が後のテーパー部を押圧することによって
   クビレ部を拡開方向に弾性変形させてボール弁が上記ス
   プリングの棒軸部の後端と前のテーパー部との間に遊嵌
   されると共に、前のテーパー部をボール受け座としてチ
   ップが上向きの時にボール弁がボール受け座に液密状に
   密接して導孔が閉塞されるように構成されてなるボール
   ペン。
2. 【請求項２】 チップが継ぎ手の先端に固着され、継ぎ
   手の後方にインキ収容管が設けられて、インキ収容管に
   は低粘度或いは静的には高い粘性を有し、筆記時の先端
   ボールの回転で粘性が低下してインキが流出される所謂
   剪断減粘性を有したインキとインキの後端にインキの消
   耗と共に追随するグリース状のフォロアが充填されると
   共に、必要に応じてフォロア内にフォロアと略同等の比
   重を有する樹脂部材が浸漬して設けられてなる請求項１
   に記載のボールペン。