JP2000223109A5 - - Google Patents

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【書類名】 明細書
【発明の名称】 単電池
【特許請求の範囲】
【請求項1】 帯状の正負の電極を帯状のセパレータを介して長円筒形にかつ長円筒形の一端側に正極端部が突出し他端側に負極端部が突出するよう巻回した巻回型の発電要素が、複数個、長円筒形の平坦な側面同士を合わせて、電池ケースに、巻回軸線が電池ケース開口面に平行になるように並列接続収納されたことを特徴とする単電池。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、巻回型の発電要素を備えた単電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気自動車等に用いる大型大容量の非水電解質二次電池の従来の構成例を説明する。この非水電解質二次電池は、図5に示すように、方形箱型の電池ケース1内に巻回型の発電要素7を収納している。発電要素7は、帯状の正負の電極を帯状のセパレータを介して円筒形に巻回したものである。これらの正負の電極は、それぞれ巻回軸方向に少しずつずらして巻回することにより、一方の端面には正極の端部を突出させ、他方の端面には負極の端部を突出させている。そして、この発電要素7の一方の端面に正極端子3の集電体3aを配置し、ここに突出する正極の端部を接続すると共に、他方の端面に負極端子4の集電体4aを配置して、ここに突出する負極の端部を接続している。また、これらの正極端子3と負極端子4の先端部は、電池ケース1の端面から外部に突出させて、突出部を封止材等によって絶縁封止している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記非水電解質二次電池は、方形箱型の電池ケース1内に円筒形の発電要素7を収納するので、この電池ケース1の四隅の側面部に隙間(デッドスペース)が生じ、エネルギー密度が低下するという問題があった。しかも、このために電池ケース1を円筒形にしたとしても、電池を搭載する機器や装置側にスペースの無駄が生じ易く、特に電気自動車等の用途では多数の電池を並べて配置するために、このスペースの無駄をなくすことが困難になる。
【0004】
また、上記円筒形の発電要素7を用いる場合に限らず、長円筒形の発電要素を1個だけ電池ケース1内に収納した場合にも、この長円筒形の湾曲した側面部に大きな隙間が生じるのを避けることはできない。しかも、この長円筒形の発電要素を用いて円筒形の発電要素7と同じ容量を得ようとすると、巻軸方向に直交する電池断面が細長い長方形になるため、特に大型大容量の用途では使い辛くなる。さらに、この問題は、非水電解質二次電池に限らず、巻回型の発電要素を用いる電池一般に共通する。
【0005】
なお、図6に示すように、多数枚のシート状の正極8aと負極8bを同じシート状のセパレータ8cを介して積層したスタック型の発電要素8を用いる場合には、この発電要素8を方形箱型の電池ケース1に隙間なく収納することができるので、エネルギー密度が低下するという問題は生じない。しかし、このスタック型の場合には、発電要素8の組み立てが巻回型に比べて面倒になるため、生産性が低下するという別の問題が生じる。
【0006】
本発明は、かかる事情に対処するためになされたものであり、長円筒形の巻回型の発電要素を複数個並べて電池ケースに収納することにより、エネルギー密度を高めることができる電池を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、帯状の正負の電極を帯状のセパレータを介して長円筒形にかつ長円筒形の一端側に正極端部が突出し他端側に負極端部が突出するよう巻回した巻回型の発電要素が、複数個、長円筒形の平坦な側面同士を合わせて、電池ケースに、巻回軸線が電池ケース開口面に平行になるように並列接続収納されたことを特徴とする。
【0008】
請求項1の発明によれば、複数個の長円筒形の発電要素を並べて配置するので、この長円筒形の側面部の湾曲によるスペースの無駄を少なくして、エネルギー密度を高めることができる。
【0009】
【0010】
【0011】
円筒形の発電要素が1個だけ配置される場合には、この発電要素をできるだけ隙間なく方形箱型の電池ケースに収納しても、約22%のスペースの無駄が生じる。しかし、長円筒形の発電要素を2個収納すれば、同じ方形箱型の電池ケースにできるだけ隙間なく収納すれば、スペースの無駄を約11%に減少させることができる。
【0012】
【0013】
また、長円筒形の発電要素を4個収納すれば、2個の場合と同じ方形箱型の電池ケースにできるだけ隙間なく収納することにより、スペースの無駄をさらに約5%まで減少させることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0015】
図1〜図4は本発明の単電池の一実施形態を示すものであって、図1は非水電解質二次電池の電池ケース内に2個の発電要素を収納した場合の構造を示す斜視図、図2は非水電解質二次電池の外観を示す斜視図、図3は従来例と本実施形態での無駄なスペースの割合を比較した図、図4は非水電解質二次電池の電池ケース内に4個の発電要素を収納した場合の構造を示す斜視図である。なお、図5に示した従来例と同様の機能を有する構成部材には同じ番号を付記する。
【0016】
本実施形態も、従来例と同様に、大型大容量の非水電解質二次電池について説明する。この非水電解質二次電池は、図2に示す方形箱型の電池ケース1内に、図1に示すように、長円筒形の巻回型の発電要素2を2個収納している。電池ケース1は、ステンレス鋼板の方形容器状の上端開口部に同じステンレス鋼板の方形の蓋板を溶接で接合したものである。そして、この電池ケース1の蓋板の両端部に正極端子3と負極端子4の上端部を突出させている。
【0017】
発電要素2は、帯状の正負の電極を帯状のセパレータを介して長円筒形に巻回したものである。正極は、薄い帯状のアルミニウム箔の一方の端部を除く表面にリチウムコバルト複合酸化物等の正極活物質を塗布したものであり、負極は、薄い帯状の銅箔の他方の端部を除く表面にグラファイト等の負極活物質を塗布したものである。これらの正負の電極は、それぞれ巻回軸方向に少しずつずらして巻回することにより、一方の端面には正極のアルミニウム箔を露出させ、他方の端面には負極の銅箔を露出させている。このように構成された2個の発電要素2は、長円筒形の平坦な側面同士を合わせて、巻回軸線が電池ケース開口面に平行になるように電池ケース1内に収納される。
【0018】
上記2個の発電要素2は、一方の端面側に共通の正極集電体5を配置して、ここに突出する正極端部のアルミニウム箔をそれぞれこの正極集電体5に接続すると共に、他方の端面側に共通の負極集電体6を配置して、ここに突出する負極端部の銅箔をそれぞれこの負極集電体6に接続する。従って、これら2個の発電要素2は、電池ケース1内で並列に接続されて1個の単電池を構成する。正極集電体5と負極集電体6は、それぞれアルミニウム板と銅板を波板状に繰り返し屈曲させたものであり、これらの波板状の各間隙に正極のアルミニウム箔や負極の銅箔を多数枚ずつ挟み込んで両側から押さえ付け超音波溶接やレーザー溶接等により溶着させることにより接続を行う。また、これらの正極集電体5と負極集電体6には、それぞれ波板状の部分から突出した接続部5a,6aが形成され、2個の発電要素2の間に挿入される。そして、正極集電体5の接続部5aの上方に突出する端部を正極端子3の下端部に接続固定すると共に、負極集電体6の接続部6aの上方に突出する端部を負極端子4の下端部に接続固定する。
【0019】
上記正極端子3と負極端子4は、それぞれ予め電池ケース1の蓋板の両端部の開口孔に上端部を挿入し、封止材を介してナットでネジ止めすることによって絶縁封止しておく。そして、この後に2個の発電要素2に接続された正極集電体5と負極集電体6の接続部5a,6aの上端部をそれぞれ正極端子3と負極端子4の下端部に接続固定し、最後に電池ケース1の方形容器にこれら2個の発電要素2を収納して蓋板を接合する。
【0020】
上記構成の非水電解質二次電池によれば、電池ケース1内に2個の発電要素2を並べて配置するので、この発電要素2の長円筒形の側面部の湾曲によるスペースの無駄を少なくすることができる。即ち、図3に示すように、円筒形の発電要素7を1個だけ用いる場合には、方形箱型の電池ケース1に収納しても、全体の約22%の隙間G1 が生じるが、本実施形態では、長円筒形の発電要素2を2個用いるので、同じ方形箱型の電池ケース1に収納しても、隙間G2 は約11%に減少する。従って、本実施形態の非水電解質二次電池によれば、電池ケース1内の無駄なスペースが少なくなるので、電池のエネルギー密度を高めることができる。
【0021】
なお、上記実施形態では、電池ケース1内に2個の長円筒形の発電要素2を収納する場合について説明したが、3個以上の発電要素2を収納すれば、さらに無駄なスペースを省くことができるようになる。例えば図4に示すように、長円筒形の発電要素2を4個にした場合には、図3に示すように、方形箱型の電池ケース1に収納したときの隙間G3 が約5%にまで減少する。
【0022】
また、上記実施形態では、複数個の発電要素2を正極集電体5と負極集電体6とを用いて並列に接続したが、この接続手段は任意であり、発電要素2の正負の電極と正極端子3や負極端子4との接続手段も任意である。
【0023】
さらに、上記実施形態では、非水電解質二次電池について説明したが、本発明はこれに限らず、巻回型の発電要素を用いる任意の電池にも同様に実施可能である。
【0024】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の単電池によれば、複数個の長円筒形の発電要素を並べて、長円筒形の平坦な側面同士を合わせて巻回軸線が電池ケース開口面に平行になるように並列接続収納されるので、この長円筒形の側面部の湾曲によるスペースの無駄を少なくして、エネルギー密度を高めることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の一実施形態を示すものであって、非水電解質二次電池の電池ケース内に2個の発電要素を収納した場合の構造を示す斜視図である。
【図2】
本発明の一実施形態を示すものであって、非水電解質二次電池の外観を示す斜視図である。
【図3】
本発明の一実施形態を示すものであって、従来例と本実施形態での無駄なスペースの割合を比較した図である。
【図4】
本発明の一実施形態を示すものであって、非水電解質二次電池の電池ケース内に4個の発電要素を収納した場合の構造を示す斜視図である。
【図5】
従来例を示すものであって、非水電解質二次電池の電池ケース内に円筒形の巻回型の発電要素を収納した場合の構造を示す斜視図である。
【図6】
従来例を示すものであって、非水電解質二次電池の電池ケース内にスタック型の発電要素を収納した場合の構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 電池ケース
2 発電要素
3 正極端子
4 負極端子
5 正極集電体
6 負極集電体
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