JP2000219600A - 微結晶粒および微結晶細線及びそれらの作成方法 - Google Patents

微結晶粒および微結晶細線及びそれらの作成方法

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JP2000219600A
JP2000219600A JP1850099A JP1850099A JP2000219600A JP 2000219600 A JP2000219600 A JP 2000219600A JP 1850099 A JP1850099 A JP 1850099A JP 1850099 A JP1850099 A JP 1850099A JP 2000219600 A JP2000219600 A JP 2000219600A
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Yasuo Takagi
康夫 高木
Morihiro Okada
守弘 岡田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 マイクロクラスターおよび量子ドットを、均
一の大きさで、かつ意図する配列で基板上に大量に作り
込むこと。 【解決手段】 基板1表面に表面波を立て、その表面波
のエネルギーの極大点もしくは極小点に微結晶粒3また
は微結晶細線4を作成する。この方法で作成された微結
晶粒3または微結晶細線4は、表面波の波長と同じか波
長の半分の長さの間隔で、均一の寸法にて大量に規則正
しく基板上に配列される。さらに、表面波によって立つ
任意の定在波文様にしたがって、大量の微結晶粒または
微結晶細線を配列させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はハイブリッド触媒、
ハイブリッドセンサー、光デバイス、電子デバイス等に
用いられる微結晶粒および微結晶細線に関する。
【0002】
【従来の技術】現在量産されている大規模集積回路の最
小回路線幅は約200ナノメートルで、10万個程度の
電子を単位信号として用いているが、回路の微細化がさ
らに進むと、すでに実験レベルで達成されている線幅6
0ナノメートル、酸化膜厚1.2ナノメートルの限界に
達する。このように微細化が進むと、電子の波動性が問
題になる領域に達し、回路の中での電荷の取扱いには量
子効果を考慮しなくてはならなくなるので、従来の集積
回路の延長技術では集積度が上げられなくなる。この物
理的な限界に対して、量子ドットデバイスという、1個
ないし数個の電子を制御する、より集積度が上げられる
デバイスの研究が進められている。量子ドットの作成方
法としては従来、結晶シリコンの陽極エッチング、MB
EもしくはCVDによるモノレーヤー(mono layer)成
長、電子ビームおよびイオンビームによるエッチングな
どの方法がとられてきた。しかしこれらの方法ではシリ
コンウエハー上に大規模集積回路を作り込むようには、
量子ドットを空間的に制御性良く基板上に作り込むこと
はできない。なぜならば現在の技術では、量子ドット
は、材料を基板表面に少量付着または残存させ、その後
の熱処理などによって、材料原子が随意に移動・再配列
するのに任せて作られているからである。たとえば既に
報告されている室温で動作する単電子メモリーでは、ア
モルファスシリコンをアニールによって多結晶化させ、
ランダムにできる低ポテンシャル部分を、偶然に頼って
量子ドットとして使用している。このように1つの孤立
アイランド(island)からなる単電子トランジスタを制
御性良く作ることは難しいので、個々のトランジスター
の性能にばらつきができ、単電子トランジスタをメモリ
ーとして安定に使用することは困難であった。
【0003】基板上の薄膜のモノレーヤー成長の観点か
ら、量子ドットとなり得る結晶粒形成について述べる
と、薄膜成長において微結晶が形成される様式について
は、三次元的成長(Volmer-Weber型)および層形成後の
三次元成長(Stranski-Krastanov型)の様式が良く知ら
れている。これらの様式で膜成長が進行する過程は、基
板温度、成長原子の濃度・吸着エネルギー・拡散エネル
ギーなどのパラメータを用いて説明がなされている。し
かしながら、無限に広い一様な表面で初期核ができる場
所がどの様な機構で決定されていくのかという点につい
ては、基板表面の点欠陥、線欠陥、吸着物、そして薄膜
原子が衝突してできた原子対などが、核形成のきっかけ
となると言われているが、未解明な部分が多く、実際の
薄膜成長においては意図的に結晶のステップ端を利用す
るか、ないしは偶然に頼っている。この核形成位置の不
確定さが膜構造の障害となる場合には、薄膜形成後にア
ニールを施こして原子の再配列操作をすることが従来行
われてきた。
【0004】一方、基板に振動を与えながら、該基板上
に物質を気相成長させた例としてK.L.Chopra M.R.Randl
ett, Appl.Phys.Letters,11(1967)p.20
2、高橋武彦 伊藤秀章 金属学会会報第18巻 第1
9号(1979)pp.637−639、特開昭59−
137311号公報、特開平1−270596号公報、
特開平1−301587号公報、特開平2−80396
号公報がある。これら従来技術は、1Hzから20kH
zまでの振動を基板または粒状の基体に与えることによ
り、基板表面に対しては大きな単結晶粒子の成長を防止
し、より均一でち密な多結晶体を作成している。また粒
状基体に対しては振動により基体を流動させて、粒状基
体の全表面で結晶成長を起こさせて、高速度で結晶粉を
合成している。さらに、MHzオーダーの振動を与えた
基板上に成膜を行った例として、M.Takahashi A.Fujita
et.al. 1990 Digests of The Intermag Conference,AQ
-02(1990)、 M.Takahashi A.Fujita et.al., IEEE Tran
s. Magn.,26(1990)p.1453、及び M.Ta
kahashi, H. Shoji, M Tsunoda, J Magn. Magn. Mate
r.,134(1994)p.403がある。これは、L
iNbO3単結晶表面に45MHzの表面弾性波を起こ
しながら、磁化容易軸が制御されかつ保磁力が小さいF
e−Ni合金の多結晶薄膜を、30nmの厚みで気相成
長させている。
【0005】以上に述べた従来技術は、振動により基板
に圧縮と伸長を与えて表面を活性化させ、より多くの核
生成サイトを不特定位置に発生させ、その結果孤立した
大きな単結晶の成長を防ぎ、その上で成膜を続けること
で高速かつ均一に稠密な多結晶膜を得るものである。
【0006】これに対して発明者らは、表面波が立って
いる基板表面での結晶核生成について詳しく研究を行っ
た結果、基板の局所局所での振動のエネルギーの大小が
一つ一つの核発生と関係があり、量子ドットのような微
細構造の制御に効果があることを見いだし、本発明を完
成したものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術では、F
e, Nb, Coなどの金属クラスターを均一の大き
さで、一次元状に配列させたものを一度に大量に作成す
ることはできなかった。そのために個々のクラスター間
でガス分子の吸着反応の速度定数が異なったり、電荷の
受け渡しの効率が低下するという問題点があった。本発
明はこうした課題を解決するものである。さらに従来の
技術では、シリコンウエハー上に大規模集積回路を作り
込むようには、量子ドットを空間的に制御性良く基板上
に作り込むことはできず、偶然や基板の面方位に頼って
量子ドットを作成していた。本発明は、このようなこと
に頼ること無く、基板を選ばずに、規則的・周期的な任
意の多数の場所に、量子ドットを大量に同時に作成でき
るようにする方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、基板表面に表
面波を立てながら微結晶粒または微結晶細線を該基板表
面に作成する方法、および基板表面に表面波を立てるこ
とで得られる該基板表面の表面波のエネルギーの極大点
もしくは極小点に微結晶粒または微結晶細線を作成する
方法、および微結晶粒もしくは微結晶細線の間隔が、基
板表面に印加する表面波の波長と同じか、または波長の
半分の長さであるように配列されていることを特徴とす
る微結晶粒または微結晶細線、そして基板表面に印加す
る表面波の定在波文様に従って配列されている微結晶粒
および微結晶細線に関するものである。
【0009】本発明によって量子ドットなどの微結晶粒
が、作成されるべき位置に確実に作成されるようにな
り、かつこの微結晶粒の大きさや微結晶細線の幅をも制
御可能となった。
【0010】本発明で言う微結晶粒および微結晶細線と
は、結晶の微細な低次元構造のことであり、0次元構造
であれば、径10μm以下0.6nm以上の大きさの微
結晶粒である。特に、径5nm以下の量子サイズ効果が
構築できる微結晶粒は量子ドットと一般に呼ばれてい
る。また、一次元構造であれば線幅が10μm以下0.
6nm以上の微結晶細線であり、特に線幅が5nm以下
のもので量子サイズ効果が現れるものは量子細線と一般
に呼ばれている。このような分類のほかに、物性物理学
では原子数10〜1000個からなる結晶をマイクロク
ラスター、500〜100,000個からなる結晶を超
微粒子と呼んでおり、本発明で言う微結晶粒または微結
晶細線はこれらのものを含める。
【0011】本発明で言う表面波とは、次のようなもの
である。すなわち、固体表面や物質境界面に沿って伝搬
するレイリー波、ラム波、ラブ波、妹沢波のような表面
弾性波であり、これらの表面弾性波の媒質の最小限必要
な厚さは波長の2〜3倍程度である。また本発明の表面
波には弾性体の内部振源による表面波および、物体の振
動による表面の弾性的変形も含める。
【0012】基板に表面波が立っているときに、微結晶
粒や微結晶細線が波の文様に従って生成するメカニズム
については、今のところ次の2つの理由が考えられる
が、不明な点が多く、解明には今後の研究が待たれる。
1つめの理由は次のようなものである。気相原料から基
板表面に微結晶粒を作成するとき、基板に表面波が立っ
ていると析出表面近傍の境膜拡散層内の化学種が大きな
基板振幅によって撹拌されて拡散層の厚さが薄くなるた
めに過飽和度が上がり、その結果結晶粒子の核生成が促
進される。2つめの理由は次のようなものである。見か
けは一様で均質な基板表面でも、詳しく眺めると、表面
には点欠陥、線欠陥、吸着物、及び結晶のステップ端な
ど、”均質”でない場所があり、こうした表面エネルギ
ーの特異点に相当する場所で核生成が起こり易いことは
経験的に知られている。そこで基板表面に波を立てて、
意図的に表面エネルギーの分布を作ってやると、この分
布に沿って、微結晶粒もしくは細線を形成することが可
能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に概念式を用いて、微結晶粒
の配列や分布を制御する方法を詳しく述べる。
【0014】E(x)を基板表面上の位置xで、核の生
成しやすさの指標となるパラメータとする。
【0015】するとE(x)は以下の式に従う。 E(x)=U(x)+I(x) (1) U:振動が与えられていない基板表面の自由エネルギ
ー。欠陥などの表面の構造や温度に依存する。I:波動
によるx点での自由エネルギー。
【0016】ここで、E(x)が低エネルギーから徐々
に上昇してあるエネルギーE1に達すると、位置xで微
結晶粒が作成される場合を考える。説明を簡単にするた
めに、U(x)は位置によらず以下に示すようにU
0(一定)とし、xは一次元とする。 E1>U(x)=U0 (2) ここで波動の強度I(x)を導入するわけであるが、次
式に示すように単純にx軸に沿った一次元のエネルギー
分布を示す正弦波動を仮定する。 I(x)=Imax{sin(2π/λ)x}2 (3) この時、 E1>U0+Imax (4) であると微結晶粒は作成されない。微結晶粒は E1≦U0+Imax (ただしE1>U0) (5) の時作成される。
【0017】このとき、以下の式で与えられる半径rの
微結晶粒が間隔λ/2で作成される(図1)。 r =λ/4−(λ/2π)sin-1{(E1−U0)/Imax1/2 (6) ただし 0<sin-1{(E1−U0)/Imax1/2<π/2 (7) である。図1が記載されている用紙の垂線方向に空間が
一様に広がっている場合には線幅の2分の1が(6)式
で与えられる細線構造となる。
【0018】波動の伝搬を二次元に拡張すると、(3)
式に相当する波動のエネルギー分布は I(x)=Imax{sin(2π/λ1)x・sin(2π/λ2)y}2 (8) となる。ここで,λ1 =λ2 =λ(波動が直交2軸に
沿って等方的)であるとすると、(5)の条件におい
て、以下の式で与えられる半径r(厳密には正方形の一
辺の長さの半分)の微結晶粒が、xあるいはy各座標軸
に沿って間隔λ/2で作成される。 r =λ/4−(λ/2π)sin-1{(E1−U0)/Imax1/4 (9) ただし 0<sin-1{(E1−U0)/Imax1/4<π/2 (10) である。厳密には、sin-1{(E1−U0)/Imax1/4
がπ/2近傍の時に微結晶粒が作成され、近傍にないと
きは各点の微結晶粒は近接する微結晶粒とつながってし
まい、2次元の格子状構造になる。
【0019】基板の表面状態U(x)は実際は表面内で
一定ではないので、微結晶粒を意図した位置に確実に作
成するためにはU(x)の揺らぎの最大値よりも、波動
によるエネルギーIを充分大きな値にしておく必要があ
る。さらに結晶のステップ端の利用など従来用いられて
きた他の方法と、本発明の方法とを組み合わせることに
よっても、制御性高く微結晶粒を作成することができ
る。
【0020】これまでの議論では、E(x)が低エネル
ギーから徐々に上昇してE1に達すると、位置xで微結
晶粒が作成される場合について述べた。この場合は、表
面波のエネルギーが高い部分で微結晶粒が作成される。
【0021】一方、上記とは対照的に、融点よりも高い
温度にある溶融状態の物質が徐々に冷却されて融点より
もわずかに低い温度になった時、微視的にはエネルギー
がより低いところから凝固を開始する。また、多くのア
モルファス物質は常温では非平衡状態にあるので、何ら
かのきっかけがあるとより安定した相(例えば結晶相)
に変態する。これらの凝固や結晶化による微結晶粒およ
び微結晶細線の生成にも本発明が適用できる。すなわち
図2に示すように、E(x)がこれまで述べたのとは逆
に高エネルギーから徐々に下降してあるエネルギーレベ
ルE2に達すると、位置xで微結晶粒が作成されること
に相当する。この場合、 E2≧ U0+ Imax (11) の位置で微結晶粒が作成され、 E2< U0+ Imax (12) の位置は微結晶粒は作成されず、微結晶粒を取り囲む相
となる。つまり、表面波のエネルギーが低い部分で微結
晶粒が作成されることになり、表面波が定在波の場合は
微結晶粒の位置の周期はλ/2となる。
【0022】均一な大きさの微結晶粒を作成するメカニ
ズムは、作成位置の制御よりも複雑で、基板の振動以外
の条件が微結晶粒の大きさに大きく影響を及ぼす場合に
は、式(6)および(9)が単純には当てはまらない。
すなわち、基板に吸着後その表面を移動する原子を、表
面弾性波の振幅の極大もしくは極小点で効率良く捕獲
し、それ以外の場所では原子の再脱離が容易に起こる場
合は、前述のモデルの式に従うが、そうでない場合は、
微結晶粒の大きさは堆積させる原子の供給量・供給速度
や基板温度に左右される。のみならず基板の表面形状の
サイズが原子レベルで均一でない場合、微結晶粒の大き
さや微結晶細線の幅にはある程度の揺らぎが発生する。
これを防ぐためには、リソグラフィー、エッチングなど
の基板加工技術によって加工した、基板形状のサイズの
揺らぎが小さい、原子層レベルで制御された基板表面の
作成技術が必要であるが、現在の技術では充分でない。
しかし本発明のように表面波をこれらの揺らぎよりも大
きな振幅で用いると(U<<I max )、これらの揺らぎ
の影響をある程度抑えることが可能となる。
【0023】本発明に適用できる表面波の励振方法には
現在のところ以下の方法がある。 簾状電極トランスデューサーを直接基板に作製する方法 圧電膜あるいは磁性膜を基板にコーティングしその上に
作製した簾状電極を用いる方法 楔型トランスデューサーを用いる方法 ガン効果表面弾性波発生素子を用いる方法 光照射により基板にフォトサーマル振動を与える方法 レーザー光の誘導ブリルアン散乱によるバルク超音波を
用いる方法 2つのレーザー光を混合させ、その差周波数を用いる方
法 2つのレーザー光の干渉による周期的な熱発生分布を用
いる方法 バルク波の熱パルス法を応用した表面熱パルスを用いる
方法 パラメトリック表面弾性波発生素子を用いる方法 ジョセフソン電流密度波によりジョセフソン素子で表面
弾性波を発生する方法。
【0024】以上のうちで、簾状電極トランスデューサ
ーをLiNbO3などの圧電基板に直接作製して表面弾
性波を得る方法が最も容易で廉価であるが、大量生産を
念頭に置くと、基板に導波路を押しつけて表面弾性波を
立てる方法、およびレーザー光を遠隔的に基板に照射し
て表面弾性波を立てる方法が望ましい。以下に本発明の
微結晶粒および微結晶細線作成に直接関わる、基板表面
に立たせる波について詳しく述べる。
【0025】表面波が単一方向の進行波の時は、表面波
が通過した基板上の帯状の経路に沿って微結晶粒は作成
される。しかし、個々の微結晶粒の位置はその帯の中で
はランダムとなる。微結晶粒の個々の位置も互いに整列
した規則正しいものとするためには、表面波の定在波を
立てることが有効である。そのためには2つ以上の励振
源を用いたり、励振源と反射器を組み合わせれば良い。
加えて微結晶粒を配列したいパターンに合わせて複数の
励振源と反射器とを配置することも有効である。定在波
と微結晶粒の配列との関係について基本的な点を述べる
と、基板の表面波の伝搬速度をv(m/s)で等方的と
し、波の周波数をν(Hz)、波の波長をλ(m)とす
ると ν=v/λ (13) となる。このとき2つの励振源(たとえば対向する簾状
電極)から平行同期な表面弾性波が生ずるとき、これら
励振源間の距離Lがλの整数倍の時に定在波が立つ。表
面波の振動エネルギーが極大もしくは極小のいずれかの
ところで微結晶粒が作成されるとすると、式(3)から
微結晶粒の間隔はλ/2となる。励振源を1箇所にして
それに対向する場所に反射格子を設けても上の条件は同
様に成り立つ。さらに励振源を3つ以上設けたり、反射
器を励振源に対して角度を傾けて配置したり、平行波の
みならず拡散波を用いたり、逆位相の波で打ち消したり
させて、複雑な2次元パターンを成す定在波を基板表面
に立てて、その文様に従って微結晶粒を作成することが
できる。
【0026】本発明は、基板の種類、基板表面の微視的
な欠陥や汚染、および成膜条件の揺らぎに左右されず
に、大量に安定的・複製的に微結晶粒または微結晶細線
を作成する手段を提示するものである。さらに既存の技
術と本発明とを組み合わせても何らさしつかえない。た
とえば基板表面に反応ガスを誘導して、レーザーや電子
線の干渉によって選択的に原子を堆積させたり、食刻さ
せたりする方法(特開平5−36656号公報や特開平
7−86613号公報)と組み合わせたり、もしくは結
晶のステップを利用したり、結晶面方位に特有の原子取
り込み数を利用した原子の自己集合化・自己組織化の手
法と本発明とを組合わせたり、帯電効果によって微結晶
粒もしくは微結晶細線の構造を動揺させる手法と本発明
とを組み合わせることもできる。
【0027】
【実施例】以下に本発明の実施例を述べる。
【0028】(実施例1)表面(結晶面128°rot
ate Yカット)をRa=5nmの粗度に仕上げたL
iNbO3単結晶1(5×20×1mm)の5×20m
m平面の5mm両短辺に沿って4×6mmの広さに、通
常のフォトリソグラフィーで電極間隔2μmの簾状電極
2を作成した(図3)。この2つの対向する簾状電極間
の距離(結晶軸X方向)は、表面波の波長4μmの整数
倍となるように7892.00μmとした。このLiN
bO3基板1をMBE装置中で温度180℃に保持し、
かつ1GHzの表面弾性波の定在波を立てながら、金属
Ptを0.12原子層/秒の速さで総量2.7原子層分
堆積させたところ図3に示すように、2つの簾状電極2
に挟まれた場所に、直径約80nmのPt微結晶粒3
が、定在波の半波長(2μm)の間隔で整列して作成さ
れた。
【0029】比較として、表面弾性波を立てないで、同
条件でPtを堆積させたところ、図4に示すように直径
約80nmのPt微結晶粒3がランダムに作成された。
【0030】以上から、表面弾性波の使用は微結晶粒を
規則的に整列させることに効果が有ることが解った。
【0031】(実施例2)実施例1と同様のLiNbO
3単結晶基板1の5×20mm平面の5mm両短辺に沿
って4×2mmの広さに、AFM電解蒸発法にて電極間
隔50nmで金の簾状電極2を作成した。この2つの対
向する簾状電極間の距離(結晶軸X方向)は表面波の波
長100nmの整数倍となるように15360.00μ
mとした。このLiNbO3基板1をMBE装置中で温
度180℃に保持し、かつ40GHzの表面弾性波の定
在波を立てながら、金属Ptを0.12原子層/秒 の
速さで総量2.7原子層分堆積させたところ図5に示す
ように、2つの簾状電極2に挟まれた場所に、線幅約2
0nmのPt微結晶細線4が、定在波の半波長50nm
の間隔で整列して作成された。
【0032】比較として、表面弾性波を立てないで、同
条件でPtを堆積させたところ、直径約40nmのPt
微結晶粒3がランダムに作成された。
【0033】以上から、表面弾性波の使用は規則的に整
列させた微結晶細線4を作成することに効果が有ること
が解った。
【0034】(実施例3)直径0.8mmのSi単結晶
粒5に硫酸過水溶液−純水−1%希弗酸−純水の順に洗
浄を施し、表面を水素終端させた。このSi単結晶粒5
を、表面(結晶面128°rotate Yカット)を
a=5nmの粗度に仕上げたLiNbO3単結晶1(5
×20×1mm)の中央部近傍に乗せた。この時Si単
結晶粒5とLiNbO3基板1との間には、ファンデァ
ワールス力により、Si単結晶粒の自重の数倍の付着力
が生じるためにSi単結晶粒5は安定して基板に固定さ
れる。次にこのSi単結晶粒5が固定されたLiNbO
3基板1を減圧CVD装置中で270℃に保持した後
に、図6に示すように2つのくさび型振動子6を789
2.00μmの距離に対向させて接触させた。これらの
くさび型振動子6は接触面積が4×6mm、接触角が2
2.3°の銅製の振動子で、厚み振動する圧電振動子が
装着されている。
【0035】この2つのくさび型振動子6から1GHz
の同期する縦波をLiNbO3基板1に与えると、基板
には表面弾性波定在波が立ち、この状態で水素ガスでバ
ブリングした0.3%DMAHガス((CH32Al
H)を全圧1Torrで1分間導入した。このときSi
単結晶粒5表面には単結晶粒自身の3次元的な共振によ
り表面に1μmの間隔の縞状の模様7が浮かび上がる。
この結果、図5に示すように幅約0.2μmのAl微結
晶細線4が、縞の文様に沿って1μmの間隔で整列して
作成された。
【0036】比較のため、 LiNbO3基板1に表面
弾性波を立てないで、その他は同じ条件でSi単結晶粒
にAlを堆積させたところ、 Si単結晶粒の表面は一
様にAl膜でおおわれてしまった。以上から、表面波の
使用は規則的に整列させた微結晶細線を作成することに
効果が有ることが解った。
【0037】(実施例4)基板としてGaAsの(10
0)面3インチウエハー8を用いた。この表面にGaA
sバッファー層をMBE成長させて平坦面を得た後に、
真空中でS原子を吸着させ、表面の結合手の終端処理を
施した後に、さらに真空中でAFM電解蒸発法にて電極
間隔25nmの2つの金の簾状電極2を、図7に示すよ
うに表面弾性波が[011]方向と[0−1 1]方向
とに進むように作成した。さらにこの2つの簾状電極2
から発生する直行する2つの表面弾性波が交差する場所
に、同じくAFM電解蒸発法で金の周期摂動回路(反射
格子9)を、2つの表面弾性波が互いに相手の発信源の
簾状電極2に向かうように設置した。[011]方向の
表面弾性波を発生させる簾状電極2と反射格子9との距
離は表面波の波長50nmの整数倍の1020.50μ
m、[0 −1 1]方向の表面弾性波を発生させる簾
状電極2と反射格子9との距離も表面波の波長50nm
の整数倍の985.25μmである。次に、MBE装置
中で基板温度を400℃に保持し、かつ48GHzの表
面弾性波定在波を2つの簾状電極2で同期させて立てな
がら、まずGaをGaAs換算で1.8分子層堆積さ
せ、次に単原子分子換算で3.8×1018個/m2のA
sを照射した。その結果、図7に示すように、簾状電極
2の付近では直径約5nmのGaAsの量子ドット10
aが、表面弾性波の定在波の半波長25nmの等間隔で
作成された。そして反射格子9近傍の表面弾性波定在波
が交差して立つところでは、一辺が25nmの格子文様
状にGaAsの量子ドット10bが作成され、さらに、
格子の交点にある量子ドットは、他の量子ドットよりも
大きかった。作成された量子ドットは結晶軸が[01
1]方向または[0 −1 1]方向に配向しているも
のが多かった。
【0038】比較として表面弾性波を立てずに、その他
は同じ条件で試料を作成したところ直径約50nmのG
aAsの微結晶粒が面密度4.7個/μm2でランダム
に作成された。従って表面弾性波の使用がGaAsの量
子ドットを等間隔に配置することに効果があることが明
らかになった。
【0039】(実施例5)実施例4と同様の、簾状電極
付きGaAs(100)3インチウエハーをMBE装置
中で400℃に保持し、かつ48GHzの表面弾性波定
在波を2つの簾状電極2で同期させて立てながら、固体
ソースからGaとInを供給し、PH3を1.2scc
m流しながら(GaP)1.5(InP)1.88超格子膜を
300nmの厚みに成長させた。その結果、[011]
方向の表面弾性波を発生させる簾状電極付近で図8に示
すように、Inリッチ細線11とGaリッチ細線12と
が面内周期25nmで並ぶような、微結晶細線構造が形
成された。
【0040】比較のため表面弾性波を立てずに、その他
は同じ条件で試料を作成したところ、図9に示すような
直線性・周期性に劣る微結晶細線構造が形成された。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、微結晶粒または微結晶
細線を意図するデザインで作成することが可能になり、
特に成長方向に対して横方向の構造制御が精密に行なえ
るようになり、加えて大量の微結晶粒または微結晶細線
を均質に作成することができるようになるので、ハイブ
リッドセンサー、ハイブリッド触媒や量子効果を応用す
る光デバイス・電子デバイスを工業的に製造することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】基板表面の自由エネルギー分布と作成される微
結晶粒との関係を表した図。
【図2】基板表面の自由エネルギー分布と作成される微
結晶粒との関係を表した図。
【図3】表面弾性波定在波を立てながら作成されたPt
微結晶粒を模式的に表した図。
【図4】表面弾性波定在波を立てずに作成されたPt微
結晶粒を模式的に表した図。
【図5】表面弾性波定在波を立てながら作成されたPt
微結晶細線を模式的に表した図。
【図6】表面波が立っているSi単結晶粒表面に作成さ
れたAl微結晶細線を模式的に表した図。
【図7】表面弾性波定在波を立てながら作成されたGa
As量子ドットを模式的に表した図。
【図8】表面弾性波定在波を立てながら作成されたGa
P/InP微結晶細線を模式的に表した図。
【図9】表面弾性波定在波を立てずに作成されたGaP
/InP微結晶細線を模式的に表した図。
【符号の説明】
1 LiNbO3単結晶(基板) 2 簾状電極 3 微結晶粒 4 微結晶細線 5 Si単結晶粒 6 くさび型振動子 7 縞状の模様 8 GaAsウエハー 9 反射格子 10 量子ドット 11 Inリッチ細線 12 Gaリッチ細線

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板表面に表面波を立てながら微結晶粒
    または微結晶細線を該基板表面に作成する方法。
  2. 【請求項2】 基板表面に表面波を立てることで得られ
    る該基板表面の表面波のエネルギーの極大点もしくは極
    小点に、微結晶粒または微結晶細線を作成する請求項1
    記載の方法。
  3. 【請求項3】 微結晶粒もしくは微結晶細線の間隔が、
    基板表面に印加する表面波の波長と同じか、または波長
    の半分の長さであるように配列されていることを特徴と
    する微結晶粒または微結晶細線。
  4. 【請求項4】 基板表面に印加する表面波の定在波文様
    に従って配列されている微結晶粒および微結晶細線。
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