JP2000219588A - 乗員への加害性低減を目的としたエアバッグ用ガス発生剤組成物及び成型体 - Google Patents

乗員への加害性低減を目的としたエアバッグ用ガス発生剤組成物及び成型体

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JP2000219588A
JP2000219588A JP11020181A JP2018199A JP2000219588A JP 2000219588 A JP2000219588 A JP 2000219588A JP 11020181 A JP11020181 A JP 11020181A JP 2018199 A JP2018199 A JP 2018199A JP 2000219588 A JP2000219588 A JP 2000219588A
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kpa
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Hiroshi Yamato
洋 大和
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Abstract

(57)【要約】 【課題】初期の膨張速度を従来よりもより穏やかにし、
初期のバッグ膨張の勢いによる加害性をなくすと共に、
エアバッグ展開時には十分な乗員拘束能を保持したエア
バッグ用ガス発生剤組成物成型体の提供。 【解決手段】単孔状又は多孔状ガス発生剤組成物成型体
であって、側面を燃焼抑制剤でコーティングすることに
よって、初め穏やかに燃焼が開始され、後に激しく燃焼
することを特徴とするエアバッグガス発生剤組成物及び
その成型体を用いたガス発生器システム。 【効果】初期の膨張速度を従来よりもより穏やかにし、
初期のバッグ膨張の勢いによる加害性をなくすと共に、
エアバッグ展開時には十分な乗員拘束能を保持したエア
バッグ用ガス発生剤組成物成型体を得ることが出来る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エアバッグシステ
ムを膨張させるために燃焼してガス成分を供給するガス
発生剤組成物成型体及びその成型体を用いたエアバッグ
用ガス発生器システムに関する。更に詳しくは、本発明
は、自動車、航空機等に搭載される人体保護のために供
せられるエアバッグシステムにおいて作動ガスとなるガ
ス発生剤組成物の新規な成型体及びその成型体を用いた
エアバッグ用ガス発生器システムに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】自動車
等の車両が高速で衝突した際に、慣性により搭乗者がハ
ンドルや前面ガラス等の車両内部の硬い部分に激突して
負傷又は死亡することを防ぐために、ガスによりバッグ
を急速に膨張させ、搭乗者の危険な箇所への衝突を防ぐ
エアバッグシステムが開発されている。このエアバッグ
システムに用いるガス発生剤に対する要求は、バッグ膨
張時間が非常に短時間、通常40〜50ミリ秒以内であるこ
と、さらに燃焼後ガスが人体に対して無害であることな
ど非常に厳しい。
【0003】現在、エアバッグシステムに一般的に用い
られているガス発生基剤としては、無機アジド系化合
物、特にアジ化ナトリウムが挙げられる。アジ化ナトリ
ウムは燃焼性という点では優れているが、ガス発生時に
副生するアルカリ成分は毒性を示し、搭乗者に対する安
全性という点で、上記の要求を満たしていない。また、
それ自体も毒性を示すことから、廃棄した場合の環境に
与える影響も懸念される。
【0004】これらの欠点を補うため、アジ化ナトリウ
ム系に替わるいわゆる非アジド系ガス発生剤も幾つか開
発されてきている。例えば、特開平3−208878号
公報にはテトラゾール、トリアゾール又はこれらの金属
塩と、アルカリ金属硝酸塩等の酸素含有酸化剤とを主成
分とした組成物が開示されている。また、特公昭64−
6156号公報、特公昭64−6157号公報において
は、水素を含まないビテトラゾール化合物の金属塩を主
成分とするガス発生剤が開示されている。
【0005】更に特公昭6−57629号公報にはテト
ラゾール、トリアゾールの遷移金属錯体を含むガス発生
剤が示されている。また、特開平5−254977号公
報にはトリアミノグアニジン硝酸塩を含むガス発生剤
が、特開平6−239683号公報にはカルボヒドラジ
ドを含むガス発生剤が、特開平7−61885号公報に
は酢酸セルロースとニトログアニジン等の窒素含有非金
属化合物を含むガス発生剤が開示されている。更に、米
国特許第5,125,684号明細書には15〜30%のセルロース
系バインダーと共存するエネルギー物質としてニ トロ
グアニジンの使用が開示されている。また、特開平4−
265292号公報にはテトラゾール及びトリアゾール
誘導体と酸化剤及びスラグ形成剤とを組み合わせたガス
発生剤組成物が開示されている。
【0006】これらの従来技術によるガス発生挙動及び
バッグ膨脹挙動について、特に運転席(以下D席と略記
する)側では乗員の着座位置が比較的固定化されるため
従来の膨脹挙動性能で十分安全であると信じられてき
た。しかし、エアバッグシステムが広く利用され標準装
備に近付くにつれD席側といえども座高の高い人又は低
い人、ハンドルにしがみついた形で運転する人等百人百
様であり、また助手席等の乗客席(以下P席と略記す
る)側についても子供等を乗車させる場合等、種々の形
態があるのでより安全なエアバッグシステムの技術開発
が望まれるようになってきた。
【0007】すなわち、従来の膨脹挙動性能でも使用可
能であるが、より安全なエアバッグシステムとするため
に初期の膨脹速度、例えばD席側ではガス発生開始から
10ミリ秒の間の膨脹速度を従来よりもより緩やかにし、
初期のバッグ膨脹の勢いによる加害性をなくすと共に30
〜70ミリ秒後においては十分な乗員拘束能を保持するよ
うな技術が望まれるようになってきており、またP席側
においても同様にガス発生挙動を制御する技術が望まれ
ている。
【0008】このような技術として、特開平8−207
696号公報においては二段階でガスを発生させ作動当
初の段階で比較的ゆっくりバッグを膨脹させ、二段目で
迅速なガス発生を行う技術を開示している。一般にこの
ようなシステムはデュアルアウトプットシステムまたは
スマートエアバッグシステム等と呼ばれ、乗員への加害
性を低減するシステムとして注目をされており、また現
在、開発されつつある。しかし、この種の技術では二つ
の着火機構が必要となるために、高価な電気雷管等が二
つ必要となりコスト高の要因となるし、さらにガス発生
器内の構造が複雑となり容器の大きさが大きくなるとい
う欠点がある。
【0009】また、米国特許第5,345,873号明細書には
ディスク又はペレットタイプのガス発生剤組成 物成型
体の片面及び側面を燃焼抑制剤でコーティングし、燃焼
初期のガス発生量を抑制する技術が示されている。しか
し、ディスクタイプのガス発生剤組成物成型体は高燃焼
速度を示すアジド系ガス発生剤でなければ適用は非常に
困難であるし、さらにディスクやペレットタイプのガス
発生剤組成物成型体の片面及び側面を一々コーティング
していたので は、ガス発生剤の量産という点からは現
実味が薄いと言わざるを得ない。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記した課題
を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、単孔状又は多孔状
であっ て、側面を燃焼抑制剤でコーティングされたガ
ス発生剤組成物成型体を使用することにより上記課題が
解決できることを見い出し本発明を完成するに至った。
【0011】即ち、本発明は、単孔状又は多孔状ガス発
生剤組成物成型体であって、側面を燃焼抑制剤でコーテ
ィングされており、初め穏やかに燃焼が開始され、後に
激しく燃焼することを特徴とするエアバッグガス発生剤
組成物及びその成型体を提供するものである。
【0012】また、本発明は、かかる成型体を用いたエ
アバッグ用ガス発生器システムであって、ガス発生器に
よるタンク燃焼試験において所望のタンク最大圧をP(K
Pa)、タンク圧の立ち上 がり開始からタンク最大圧P(K
Pa)到達までの時間をTミリ秒とした時、0.25×Tミリ
秒 後のタンク圧力が 0.20×P(KPa)以下であり、0.80
×Tミリ秒後のタンク圧力が0.70×P(KPa)以上である
ことを特徴とするエアバッグ用ガス発生器システムを提
供するものであ る。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳細
に説明する。
【0014】本発明のエアバッグ用ガス発生剤組成物成
型体は、該成型体を用いたガス発生器によるタンク燃焼
試験において所望のタンク最大圧をP(KPa)、タンク圧
の立ち上がり開始からタ ンク最大圧P(KPa)到達までの
時間をTミリ秒とした時、0.25×Tミリ秒後のタンク圧
力 が 0.20×P(KPa)以下であり、0.80×Tミリ秒後の
タンク圧力が 0.70×P(KPa)以上であるように調整され
ていることを特徴とする。
【0015】0.25×Tミリ秒後のタンク圧が 0.20×P
(KPa)を超えると、初期のバッグ膨張の勢いが大きすぎ
て、乗員に危害が加わるおそれがあり、また0.80×Tミ
リ秒後のタンク圧が 0.70 ×P(KPa)未満であると、自
動車等の衝突時の乗員の安全性を確保することができな
い。
【0016】本発明の成型体は上記のような特徴を有す
るが、これは単孔状又は多孔状であって、側面を燃焼抑
制剤でコーティングされたガス発生剤組成物成型体を使
用することにより実現できる。
【0017】これまでエアバッグ用ガス発生剤成型体に
は、ペレットを使用するのが一般的であった。ペレット
が燃焼する時、燃焼初期の表面積が一番大きく、燃焼が
進行するに従って表面積が減少し、最後に燃え尽きてし
まうという特性がある。よって、ペレットが着火すると
相対的に多量のガスが発生し、燃焼が終了に近づくにつ
れてガス量が減少するという燃焼特性を持っている。こ
れはつまりエアバッグの膨張初期に激しくエアバッグが
飛び出してくることを意味し、適切な着座位置に座って
いる乗員にとっては特に問題が無いが、不適切な着座位
置に座っている乗員や体の小さな乗員にとっては何らか
の害を受ける可能性がある。
【0018】このような加害性を低減するためにはガス
発生剤組成物成型体の燃焼表面積が燃焼が進行するに従
って増加するようにコントロールすればよいと言える。
つまり、これは燃焼が進行するに従って発生するガス量
が相対的に増加することを意味する。
【0019】実際には、単孔状又は多孔状のガス発生剤
組成物成型体の側面を燃焼抑制剤でコーティングされた
ガス発生剤組成物成型体を使用することにより実現でき
る。このような成型体はコーティングされていない内孔
面及び切断面から燃焼が始まるために、燃焼が進行する
に従って燃焼表面積が増加して行く傾向を示す。
【0020】このため最大圧到達までの時間遅れがなく
初期着火段階のみを制御することができる。本発明の技
術は、この点でガス発生出力全体を若干低下させ初期段
階を制御するいわゆるデパワ−技術と根本的に異なると
認識すべきものである。
【0021】本発明で使用する燃焼抑制剤は、結果とし
て前記の制御に関わる結果が得られるものであればその
種類は問わない。例えば、スチレン樹脂、ブタジエン樹
脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等のプラスチック樹
脂;アルミナ、酸化チタン、シリカ、酸化鉄等の酸化
物;酸性白土、タルク、ベントナイト、ケイソウ土、カ
オリン等のケイ酸塩;水酸化アルミニウム、水酸化マグ
ネシウム、水酸化銅等の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭
酸カルシウム等の炭酸塩;カルボキシメチルセルロース
のナトリウム塩、グアガム、ポリビニルアルコー ル、
ポリアクリルアミド等の有機高分子化合物;硝酸グアニ
ジン、5−アミノテトラゾール等の含窒素化合物等から
選ばれる1種以上を挙げることができる。
【0022】また、本発明で使用する燃焼抑制剤のコー
ティング方法であるが、これも結果として前記の制御に
関わる結果が得られるものであればその方法は問わな
い。例えば、上記燃焼抑制剤を溶液やスラリーにしてス
プレーする方法、溶液やスラリーに浸ける方法、溶液や
スラリーをハケで塗る方法、乾燥粉末を表面に付着させ
る方法を挙げることができる。
【0023】本発明のガス発生剤組成物は、燃料、酸化
剤等を粉末状で混合する乾式法又は水や有機溶剤等の存
在下で混合する湿式法により製造することができる。
【0024】また、本発明のガス発生剤組成物は、所望
の形状に成型することもできる。例えば、圧縮成型機を
用いて圧縮成型して単孔状又は多孔状成型体にしたり、
圧伸機(押出成形機)を用いて押出成型して圧伸薬(単
孔、多孔)にしたりすることができる。
【0025】これらの成型方法は、ガス発生剤組成物の
成型品に対して付与しようとする性質等に応じて適宜選
択することができる。例えば、押出成型法を適用した場
合、ウェブが薄いものを成型することが圧縮成型法より
も容易であるので、燃焼速度の遅い組成でも成型品を得
ることができる。さらに、押出成型法は成型が比較的短
時間ですむため大量生産に向いている。また、燃焼速度
が速い組成の場合は成型品のサイズを大きくできるため
に、より製造効率を上げることができる。そのほか、押
出成型法を適用した場合には、単孔、多孔等の複雑な形
状の成型品を製造できるため、種々の燃焼特性を付与す
ることができる。
【0026】そして、圧縮成型法でも単孔及び多孔の成
型物を作ることができるのでこれも使用でき る。
【0027】しかし、燃焼抑制剤をコーティングする時
の容易性から、押出成型法を適用する方が好ましい。押
出成型法で押出された紐状物に燃焼抑制剤を上記した方
法でコーティングした後にこの紐状物を裁断すれば、側
面だけが燃焼抑制剤でコーティングされたガス発生剤組
成物成型体を容易に得ることができる。
【0028】次に、本発明で使用される非アジド系ガス
発生剤組成物について説明する。本発明で使用される非
アジド系ガス発生剤組成物は、含窒素化合物、酸化剤か
ら成るものが好ましい。さらに、バインダーやスラグ形
成剤を含有することもできる。本発明で用いられる含窒
素化合物としては、グアニジン誘導体、テトラゾール誘
導体、ビテトラゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ヒ
ドラジン誘導体、トリアジン誘導体、アゾジカルボンア
ミド誘導体、ジシアナミド誘導体から成る群から選ばれ
る1種又は2種以上の混合物が挙げられる。これらの具
体例としては、ニトログアニジン、硝酸グアニジン、5
−アミノテトラゾール、ビテトラゾールジアンモニウム
塩、5−オキソ−1,2,4−トリアゾール、シアノグ
アニジン、トリアミノグアニジン硝酸塩、トリヒドラジ
ノトリアジン、ビウレット、アゾジカルボンアミド、ビ
ウレア、カルボヒドラジド、カルボヒドラジド硝酸塩錯
体、蓚酸ジヒドラジド、ヒドラジン硝酸塩錯体、ナトリ
ウムジシアナミド等を挙げることができる。
【0029】これらの含窒素化合物の中ではテトラゾー
ル誘導体及びグアニジン誘導体から成る群から選ばれる
1種又は2種以上が好ましく、特にニトログアニジン、
硝酸グアニジン、シアノグアニジン、5−アミノテトラ
ゾールが好ましい。
【0030】本発明に係わるガス発生剤組成物中の含窒
素化合物の配合割合は、分子式中の炭素元素、水素元素
及びその他の酸化される元素の数によって異なるが、通
常10〜60重量%の範囲が好ましく、12〜50重量
%の範囲が特に好ましい。
【0031】本発明に係わるガス発生剤組成物に用いら
れる酸化剤としては種々のものが使用できる。
【0032】酸化剤としては、酸素酸塩、金属酸化物及
び金属複酸化物から選ばれる1種以上を挙げることがで
きる。
【0033】酸素酸塩としては、アンモニウム、アルカ
リ金属、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属錯体、遷
移金属及び遷移金属錯体の硝酸塩、亜硝酸塩、塩素酸塩
又は過塩素酸塩を挙げることができる。
【0034】このような酸素酸塩としては、例えば、硝
酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸
マグネシウム、硝酸ストロンチウム等の硝酸のアンモニ
ウム塩、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩;亜硝
酸アンモニウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、
亜硝酸マグネシウム、亜硝酸ストロンチウム等の亜硝酸
のアンモニウム塩、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金
属塩;塩素酸アンモニウム、塩素酸ナトリウム、塩素酸
カリウム、塩素酸マグネシウム、塩素酸バリウム等の塩
素酸のアンモニウム塩、アルカリ金属塩又はアルカリ土
類金属塩;過塩素酸アンモニウム、過塩素酸ナトリウ
ム、過塩素酸カリウム、過塩素酸マグネシウム、過塩素
酸バリウム等の過塩素酸のアンモニウム塩、アルカリ金
属塩又はアルカリ土類金属塩;Mg(N2H4)2(NO3)2、Mg(N2
H4)2(ClO4)2等のアルカリ土類金属錯体の硝酸塩、過塩
素酸塩;Cu(NO3)2・3Cu(OH)2、Cu2(OH)3(NO3)、Co2(OH)3
(NO3)、Mn(OH)2(NO3)等の遷移金属の硝酸塩;Co(NH3)3
(NO3)3、Co(NH3)6(NO3)3、Cu(NH3)2(NO3)2、Co(NH3)3(N
O2)3、Co(NH3)6(ClO4)3等の遷移金属錯体の硝酸塩、亜
硝酸塩、過塩素酸塩を挙げることができる。
【0035】金属酸化物及び金属複酸化物としては、
銅、コバルト、鉄、マンガン、ニッケル、亜鉛、モリブ
デン及びビスマスの酸化物又は複酸化物を挙げることが
できる。
【0036】このような金属酸化物及び金属複酸化物と
しては、例えば、CuO、Cu2O、Co2O3、Co
O、Co3O4、Fe2O3、FeO、Fe3O4、M
nO2、Mn2O3、Mn3O4、NiO、ZnO、M
oO3、CoMoO4、Bi2MoO6又はBi2O3
を挙げることができる。
【0037】本発明に係わるガス発生剤組成物中の酸化
剤の配合割合は用いられるガス発生化合物の種類と量に
より絶対数値は異なるが40〜90重量%の範囲が好ま
しく、50〜88重量%の範囲が特に好ましい。
【0038】本発明に係わるガス発生剤組成物中のバイ
ンダーは、組成物の燃焼挙動に大幅な悪影響を与えない
ものであれば何れでも使用可能である。本発明に用いら
れるバインダーの具体例としては、カルボキシメチルセ
ルロースの金属塩、ヒドロキシエチルセルロース、酢酸
セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロ
ース、ニトロセルロース、微結晶性セルロース、グアガ
ム、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、澱粉
等の多糖誘導体、ステアリン酸カルシウム等の有機バイ
ンダーまたは二硫化モリブデン、酸性白土、タルク、ベ
ントナイト、ケイソウ土、カオリン、シリカ、アルミナ
等の無機バインダーが挙げられる。
【0039】本発明においてバインダーをガス発生剤組
成物中に適量加えることは非常に効果がある。バインダ
ーを加える場合の配合割合は0〜15重量%の範囲が好ま
しい。量的には多い側でより成型体の破壊強度が強くな
るが、量が多いほど組成物中の炭素元素及び水素元素の
数が増大し、炭素元素の不完全燃焼生成物である微量C
Oガスの濃度が増大し、発生ガスの品質を低下させるた
め好ましくない。特に15重量%を超える量では酸化剤の
相対的存在割合の増大を必要とし、ガス発生化合物の相
対的割合が低下し、実用できるガス発生器システムの成
立が困難となる。
【0040】本発明に係わるガス発生剤組成物中のスラ
グ形成剤の機能は、ガス発生剤組成物中の特に酸化剤成
分の分解によって生成するアルカリ金属又はアルカリ土
類金属の酸化物をミストとしてインフレータ外へ放出す
ることを避けるため液状から固体状に変えて燃焼室内に
止める機能であり、金属成分の違いによって最適化され
たスラグ形成剤を選ぶことができ る。
【0041】スラグ形成剤の具体例としては、酸性白
土、シリカ、ベントナイト系、カオリン系等のアルミノ
ケイ酸塩を主成分とする天然に産する粘土;合成マイ
カ、合成カオリナイト、合成スメクタイト等の人工的粘
土;含水マグネシウムケイ酸塩鉱物の1種であるタルク
等;アルミナ、水酸化アルミニウム等;アルミナファイ
バー、セラミックファイバー、ガラスファイバー等の少
なくとも1種から選ばれたスラグ形成剤が挙げられ、こ
れらの中では酸性白土、アルミナ又はシリカが好まし
い。
【0042】本発明においてスラグ形成剤は必須ではな
いがガス発生剤組成物中に適量加えることは非常に効果
がある。スラグ形成剤を加える場合の配合割合は1〜2
0重量%の範囲で変えることができるが、好ましくは3
〜15重量%の範囲である。多すぎると線燃焼速度の低
下及びガス発生効率の低下をもたらし、少なすぎるとス
ラグ形成能を十分発揮することができない。
【0043】次に、本発明のエアバッグ用ガス発生器シ
ステムについて説明する。
【0044】本発明のガス発生器システムは、上記のよ
うにして得られる成型体を用い、ガス発生器によるタン
ク燃焼試験において所望のタンク最大圧をP(KPa)、タ
ンク圧の立ち上がり開始 からタンク最大圧P(KPa)到達
までの時間をTミリ秒とした時、0.25×Tミリ秒後のタ
ン ク圧力が 0.20×P(KPa)以下であり、0.80×Tミリ
秒後のタンク圧力が 0.70×P(KPa)以上であることを特
徴とする。
【0045】本発明に係わるガス発生器システムの構造
としては特に限定されないが、複数個のガス排出口を有
するハウジングと、前記ハウジング内に配設される点火
手段と、前記点火手段により点火されて燃焼ガスを発生
するガス発生手段と、前記ガス発生手段を収容する燃焼
室と、前記燃焼ガスの冷却及び燃焼残渣の捕集を果たす
フィルタ手段とを有し、前記フィルタ手段の外周が前記
ハウジングの外周壁内面と対向し、且つ両者の間に間隙
を形成するように設置されているものが好ましい。
【0046】本発明に係わるガス発生器システムにおい
て、タンク最大圧P(KPa)と、タンク圧の立ち 上がり開
始からタンク最大圧P(KPa)到着までの時間Tミリ秒と
は、タンク最大圧P(KPa)が110〜220(KPa)で、タンク圧
の立ち上がり開始からタンク最大圧P(KPa)到着までの
時間Tが30〜50ミリ秒であるD(ドライバー)席用ガス
発生器システムに重点をおいて説明したが、本技術はD
席用システムに限定されるものではなく、例えば、最大
圧P(KPa)が350〜500(KPa)で、タンク圧の立ち上がり開
始からタンク最大圧P(KPa)到着までの時間Tが50〜70
ミリ秒であるP(パッセンジャー)席用ガス発生器シス
テムにも適用できるもので ある。
【0047】
【実施例】以下実施例及び比較例をあげて本発明を具体
的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定さ
れるものではない。
【0048】
【比較例1】ニトログアニジン55.1部(以下、部は重量
部を示す)、硝酸ストロンチウム44.9部を目開き300μ
mのふるいを使用して混合した。この混合粉をハンドプ
レスを使用して圧力100kg/cm2の加圧条件下で外径9.6m
m、長さ3.6mmのペレットを作成した。
【0049】得られたガス発生剤成型体を、容量1.04リ
ットルの小型タンクに取り付け、室温下、圧力100kg/c
m2、窒素雰囲気下で燃焼させた。試験で得られた圧力〜
時間曲線を図1に示し た。
【0050】ここでは、燃焼曲線の特徴が見やすいよう
にタンク最大圧を100%、タンク圧の立ち上が り開始か
らタンク最大圧到着までの時間を100%とした。
【0051】図1から明らかなように、この試験では、
初期の圧力上昇速度が速く、加害性の高い燃焼曲線とな
っていることが分かる。
【0052】
【実施例1】ニトログアニジン31部、硝酸ストロンチウ
ム54部、酸性白土5部及びカルボキシメチルセルロース
のナトリウム塩10部に組成物全体の量に対して18部に相
当する水を添加し混合捏和した。ついで捏和混合物を外
径3.2mmφ、内径0.80mmφの金型を通して圧力80kg/cm2
の加圧条件下で押出し単孔円筒状の紐状体を作成した。
更に、この紐状体を裁断機により3.0mmの長さに裁断
し、水分を十分に乾燥した。
【0053】そして、このガス発生剤の側面をエポキシ
樹脂接着剤でコーティングし、ガス発生剤成型体を得
た。
【0054】得られたガス発生剤成型体を、比較例1と
同様な条件下で燃焼させた。試験で得られた圧力〜時間
曲線を図1に示した。
【0055】図1から明らかなように、初期のタンク圧
力上昇速度が比較例1より穏やかになってお り、加害
性の低い燃焼曲線となっていることが分かる。
【0056】
【実施例2】ニトログアニジン31部、硝酸ストロンチウ
ム54部、酸性白土5部及びカルボキシメチルセルロース
のナトリウム塩10部に組成物全体の量に対して18部に相
当する水を添加し混合捏和した。ついで捏和混合物を外
径8.0mmφ、内径0.80mmφの7孔用金型を通して圧力80k
g /cm2の加圧条件下で押出し7孔円筒状の紐状体を作
成した。更に、この紐状体を裁断機 により6.0mmの長さ
に裁断し、水分を十分に乾燥した。
【0057】そして、このガス発生剤の側面をエポキシ
樹脂接着剤でコーティングし、ガス発生剤成型体を得
た。
【0058】得られたガス発生剤成型体を、比較例1と
同様な条件下で燃焼させた。試験で得られた圧力〜時間
曲線を図1に示した。
【0059】図1から明らかなように、初期のタンク圧
力上昇速度が比較例1より穏やかになってお り、加害
性の低い燃焼曲線となっていることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 比較例1及び実施例1〜2の試験で得られた
圧力〜時間曲線である。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】単孔状又は多孔状ガス発生剤組成物成型体
    であって、側面を燃焼抑制剤でコーティングされてお
    り、初め穏やかに燃焼が開始され、後に激しく燃焼する
    ことを特徴とするエアバッグガス発生剤組成物及びその
    成型体。
  2. 【請求項2】エアバッグ用ガス発生剤組成物成型体であ
    って、該成型体を用いたガス発生器によるタンク燃焼試
    験において所望のタンク最大圧をP(KPa)、タンク圧の
    立ち上がり開始からタン ク最大圧P(KPa)到達までの時
    間をTミリ秒とした時、0.25×Tミリ秒後のタンク圧力
    が 0.20×P(KPa)以下であり、0.80×Tミリ秒後のタン
    ク圧力が0.70×P(KPa)以上であるように調整されてい
    ることを特徴とする請求項1記載のエアバッグ用ガス発
    生剤組成物成型体。
  3. 【請求項3】ガス発生剤組成物が含窒素化合物、酸化剤
    から成る請求項1〜2記載の成型体。
  4. 【請求項4】さらに、バインダーを含有することを特徴
    とする請求項3記載の成型体。
  5. 【請求項5】さらに、スラグ形成剤を含有することを特
    徴とする請求項3〜4記載の成型体。
  6. 【請求項6】含窒素化合物がグアニジン誘導体、テトラ
    ゾ−ル誘導体、ビテトラゾ−ル誘導体、トリアゾール誘
    導体、ヒドラジン誘導体、トリアジン誘導体、アゾジカ
    ルボンアミド誘導体及びジシアナミド誘導体から成る群
    から選ばれる1種又は2種以上である請求項3〜5記載
    の成型体。
  7. 【請求項7】請求項1〜6のいずれか一項に記載の成型
    体を用いたエアバッグ用ガス発生器システムであって、
    ガス発生器によるタンク燃焼試験において所望のタンク
    最大圧をP(KPa)、タン ク圧の立ち上がり開始からタン
    ク最大圧P(KPa)到達までの時間をTミリ秒とした時、
    0.25×Tミリ秒後のタンク圧力が0.20×P(KPa)以下で
    あり、0.80×Tミリ秒後のタンク圧力が0.70×P(KPa)
    以上であることを特徴とするエアバッグ用ガス発生器シ
    ステム。
  8. 【請求項8】ガス発生器が、複数個のガス排出口を有す
    るハウジングと、前記ハウジング内に配設される点火手
    段と、前記点火手段により点火されて燃焼ガスを発生す
    るガス発生手段と、前記ガス発生手段を収容する燃焼室
    と、前記燃焼ガスの冷却及び燃焼殘渣の捕集を果たすフ
    ィルタ手段とを有し、前記フィルタ手段の外周が前記ハ
    ウジングの外周壁内面と対向し、且つ両者の間に間隙を
    形成するように設置されていることを特徴とする請求項
    7記載のエアバッグ用ガス発生器システム。
  9. 【請求項9】タンク最大圧P(KPa)が 110〜220(KPa)
    で、タンク圧の立ち上がり開始からタンク最大圧 P(KP
    a)到着までの時間Tが30〜70ミリ秒である請求項7又は
    8記載のエアバッグ用ガス 発生器システム。
  10. 【請求項10】タンク最大圧P(KPa)が 350〜500(KPa)
    で、タンク圧の立ち上がり開始からタンク最大圧 P(KP
    a)到着までの時間Tが50〜90ミリ秒である請求項7又は
    8記載のエアバッグ用ガス 発生器システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011236067A (ja) * 2010-05-06 2011-11-24 Asahi Kasei Chemicals Corp 高漸増燃焼性ガス発生剤
JP2016523646A (ja) * 2013-06-28 2016-08-12 エラクレスHerakles 少なくとも1つの火薬からの燃焼ガスによって加圧された液体を送達する方法

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