JP2000217590A - 光学活性シアノヒドリンの製造方法 - Google Patents

光学活性シアノヒドリンの製造方法

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JP2000217590A
JP2000217590A JP11025640A JP2564099A JP2000217590A JP 2000217590 A JP2000217590 A JP 2000217590A JP 11025640 A JP11025640 A JP 11025640A JP 2564099 A JP2564099 A JP 2564099A JP 2000217590 A JP2000217590 A JP 2000217590A
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Takashi Senba
尚 仙波
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    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
    • C12P13/00Preparation of nitrogen-containing organic compounds
    • C12P13/002Nitriles (-CN)
    • C12P13/004Cyanohydrins

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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 アルデヒドまたはケトンとシアン化水素
または反応系においてシアン化物イオンを生成する物質
とを含む反応溶媒に、ヒドロキシニトリルリアーゼ酵素
遺伝子を組込むことによって形質転換され、かつ当該酵
素活性を有する遺伝子組換え微生物菌体を添加すること
を特徴とする、光学活性シアノヒドリンの製造方法。 【効果】 本発明によれば、ヒドロキシニトリルリアー
ゼ遺伝子組換え菌により産生されるヒドロキシニトリル
リアーゼを、抽出により該組換え菌体から取り出すこと
なく、組換え菌の菌体自体を使用して光学活性シアノヒ
ドリンを簡便に効率よく合成することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学活性シアノヒ
ドリンの製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】光学活性シアノヒドリンは、ピレスロイド
農薬製造や医薬合成の中間体として有用な光学活性有機
合成中間体である。光学活性シアノヒドリンはこれまで
様々な合成方法が提唱されているが、いずれも実用化の
面で問題があり、工業的に直接合成するための方法は確
立されていないのが現状である。例えば、ピレスロイド
農薬製造中間体としての光学活性シアノヒドリンの合成
方法としては、一旦ラセミ体のシアノヒドリンエステル
を化学的に合成し、これを原料として酵素を使い不斉加
水分解する方法が知られているが(特開昭61-5794 号、
特開昭62-65688号)、本方法は製造工程が長いこと、不
斉加水分解反応後に残った対掌体エステルを分解し、ラ
セミ化し、リサイクルするプロセスが必要であるなどの
問題がある。
【0003】最近、アルデヒドまたはケトンと青酸とか
ら直接的に光学活性シアノヒドリンのみを合成する酵素
が報告されており、この酵素を用いた光学活性シアノヒ
ドリンの合成が検討されている。例えば、アーモンド
(Prunus amigdalus) 由来のR−ヒドロキシニトリルリ
アーゼ(EC4.1.2.10) 、アマ (Linum usitatissimum)由
来のR−ヒドロキシニトリルリアーゼなどを用いてR−
シアノヒドリンを合成する方法、モロコシ (Sorghum bi
color)由来のS−ヒドロキシニトリリルアーゼ(EC4.1.
2.11) 、キャッサバ(Manihot esculenta)由来のS−ヒ
ドロキシニトリルリアーゼ(EC4.1.2.37)、パラゴムノ
キ(Hevea brasiliensis) のS−ヒドロキシニトリルリ
アーゼ(EC4.1.2.39)などを用いてS−シアノヒドリン
を合成する方法があるが、これらの方法ではいずれも使
用する酵素は、植物組織から抽出したものか、あるいは
抽出した酵素を固定化させたものである。このように酵
素を植物組織から抽出する方法は、抽出精製する操作が
煩雑で労力がかかる上、酵素の損失も多く、工業的生産
には適さない。また、抽出した酵素を固定化酵素として
使用する方法では、固定化担体のコストが無視できない
ので、反応触媒を安価に得る必要のある工業的生産には
不都合である。
【0004】一方、酵素遺伝子組換え菌を用いる方法と
しては、パラゴムノキ(Hevea brasiliensis) のS−ヒ
ドロキシニトリルリアーゼ(EC4.1.2.39)遺伝子組換え
菌を用いる方法 (wo-98-30711)、キャッサバ(Manihot
esculenta)由来のS−ヒドロキシニトリルリアーゼ(EC
4.1.2.37)遺伝子組換え菌を用いる方法(Angrew. Che
m. Int. Ed. Engl. 35, 437-439, 1996 ;Biotechnol.
Bioeng. 53, 332-338,1997 ; 特開平9-227488号) など
があるが、これらはいずれも酵素を遺伝子組換え菌の菌
体から抽出により取り出しており、上記の植物組織から
酵素を分離抽出する方法と同様に抽出操作が非常に面倒
である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、光学
活性シアノヒドリンを安価に効率よく製造する方法を提
供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ヒドロキシニトリ
ルリアーゼ遺伝子組換え菌の菌体自体を使用することに
よっても、該組換え菌体から単離した酵素を用いる場合
と同様に光学活性シアノヒドリンの合成が可能であるこ
とを初めて見出し、しかも、菌体を用いる場合には単離
酵素を用いる場合に比べて酵素活性の安定性が高くなる
という知見を得、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明は、アルデヒドまたはケ
トンとシアン化水素または反応系においてシアン化物イ
オンを生成する物質とを含む反応溶媒に、ヒドロキシニ
トリルリアーゼ酵素遺伝子を組込むことによって形質転
換され、かつ当該酵素活性を有する遺伝子組換え微生物
菌体を添加することを特徴とする、光学活性シアノヒド
リンの製造方法である。以下、本発明を詳細に説明す
る。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明において、反応基質となる
アルデヒドまたはケトンは、下記式(I) で表される。
【0009】
【化1】
【0010】上記式(I) において、R1 とR2 は、(i)
水素原子、(ii)置換または非置換の炭素数1〜18の線状
または分枝鎖状の飽和アルキル基、または(iii) 置換ま
たは非置換の環員が5〜22の芳香族基である。ただし、
1 とR2 は同時に水素原子を表すことはない。
【0011】上記(ii)で、R1 とR2 が置換アルキル基
の場合、置換基は、1個またはそれ以上のアミノ基、イ
ミノ基、ヒドロキシ基、炭素数1〜8のアルコキシ基、
ハロゲン、カルボキシル基、炭素数3〜20のシクロアル
キル基、または N 、O、Sのヘテロ原子で置換されてい
てもよい炭素数22までの芳香属基である(ここで、置換
基が環状置換基の場合は、それ自体が1個またはそれ以
上のハロゲン、ヒドロキシ基、炭素数1〜8の線状若し
くは分枝鎖状のアルキル基、炭素数2〜8の線状若しく
は分枝鎖状のアルケニル基で置換されていてもよ
い。)。
【0012】上記(iii) で、芳香族基は、環員の4個ま
でがN、Oおよび/またはSによって置換されているヘ
テロ芳香族基であってもよい。また、R1 とR2 が置換
芳香族基の場合、置換基は、1個またはそれ以上のアミ
ノ基、イミノ基、ヒドロキシ基、炭素数1〜8のアルコ
キシ基、アリルオキシ基、ハロゲン、カルボキシル基、
炭素数22までの線状若しくは分枝鎖状の飽和若しくは不
飽和のアルキル基である(ここで、一つの芳香族基が少
なくとも2個の置換基により置換されてもよい)。
【0013】上記のアルデヒドまたはケトンを光学活性
なシアノヒドリンに変換するためにはシアン化水素を原
料として用いるが、シアン化水素の供給方法は、液体と
して供給する方法、気体として供給する方法のいずれを
も採用できる。また、シアン化水素だけではなく、シア
ン化水素の水溶液であるシアン化水素酸(すなわち青
酸)も全く同様に用いることができる。さらに、反応系
へ添加することによってシアン化物イオン(CN-) を生
じる物質であれば用いることができ、例えば、シアン化
ナトリウムやシアン化カリウムなどのシアン化水素塩、
アセトンシアンヒドリンなどのシアノヒドリン類などが
挙げられる。反応の触媒としては、R体またはS体の光
学活性なシアノヒドリンを合成しうる活性を有する酵素
であるヒドロキシニトリルリアーゼをコードする遺伝子
を組込むことによって形質転換した微生物を培地に培養
し、当該酵素生産を誘導させた組換え微生物菌体自体を
用いる。
【0014】上記のヒドロキシニトリルリアーゼをコー
ドする遺伝子としては、具体的には、バラ科植物由来、
例えばアーモンド (Prunus amigdalus) 由来のR−ヒド
ロキシニトリルリアーゼ(EC4.1.2.10) 、ブラックベリ
ー(Prunus serotina) 由来のR−ヒドロキシニトリルリ
アーゼ、アマ科植物のアマ (Linum usitatissimum)由来
のR−ヒドロキシニトリルリアーゼ、モロコシ (Sorghu
m bicolor)由来のS−ヒドロキシニトリルリアーゼ(EC
4.2.2.11) 、キャッサバ(Manihot esculenta)由来のS
−ヒドロキシニトリルリアーゼ(EC4.1.2.37)、パラゴ
ムノキ(Hevea brasiliensis) のS−ヒドロキシニトリ
ルリアーゼ(EC4.1.2.39)、キシメニア(Ximenia ameri
cana)由来のS−ヒドロキシニトリルリアーゼなどの各
酵素をコードする遺伝子が挙げられる。
【0015】上記酵素遺伝子を組込むことによって形質
転換する微生物としては、上記酵素遺伝子を組込むこと
が出来、かつ、当該酵素遺伝子を発現して酵素を生産す
ることのできるものであれば特に限定されないが、たと
えば酵母などの真核微生物、大腸菌などの原核微生物が
挙げられる。組換え微生物菌体は反応の触媒として使用
する際には、培地より回収した湿菌体をそのまま用いて
もよいが、反応系内での分散性をよくするために過剰な
水分を乾燥または脱水処理によって除いた乾燥菌体とし
て用いることがより好ましい。
【0016】菌体の乾燥または脱水は、酵素活性を損な
わない方法であれば特に制限はない。例えば、温風で乾
燥する方法、減圧乾燥する方法、凍結乾燥する方法、ス
プレードライする方法、アセトンなど有機溶媒で乾燥す
る方法などが挙げられる。上記の乾燥菌体は、微粉末状
にするか、またはバインダーを混合して造粒してもよ
い。あるいは、不溶性の担体と混合してもよいし、自体
公知の方法にて固定化して固定化菌体としてもよい。反
応の様式は、例えば、菌体を反応溶媒へ懸濁した状態で
用いる場合には回分式または半回分式などが採用でき、
菌体を充填槽に充填して用いる場合は液を流通させるこ
とができるので連続式が有利である。
【0017】反応溶媒としては、反応系内に水が大量に
存在すると、酵素反応によって生成した光学活性シアノ
ヒドリンのラセミ化が起こりやすくなったり、水に対す
る溶解度の小さいアルデヒドまたはケトンを原料として
用いる場合には生産効率が低下するなどの点から、水に
難溶または不溶である有機溶媒を主成分としてなる反応
溶媒を用いることが好ましい。かかる有機溶媒として
は、酵素反応による光学活性シアノヒドリンの合成反応
に影響を与えないものであれば特に制限なく用いること
ができ、合成反応に用いる原料のアルデヒドまたはケト
ンの物性、生成物であるシアノヒドリンの物性に応じて
適宜選択することができる。具体的には、ハロゲン化さ
れていてもよい脂肪族または芳香族の直鎖状または分枝
状または環状の飽和または不飽和炭化水素系溶媒、例え
ば、ペンタン、ヘキサン、トルエン、キシレン、塩化メ
チレンなど;ハロゲン化されていてもよい脂肪族または
芳香族の直鎖状または分枝状または環状の飽和または不
飽和アルコール系溶媒、例えば、イソプルピルアルコー
ル、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノー
ル、ヘキサノール、シクロヘキサノール、n−アミルア
ルコールなど;ハロゲン化されていてもよい脂肪族また
は芳香族の直鎖状または分枝状または環状の飽和または
不飽和エーテル系溶媒、例えば、ジエチルエーテル、ジ
プロピルエーテル、ジイソピルエーテル、ジブチルエー
テル、メチル−t−ブチルエーテルなど;ハロゲン化さ
れていてもよい脂肪族または芳香族の直鎖状または分枝
状または環状の飽和または不飽和エステル系溶媒、例え
ば、ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチ
ル、プロピオン酸メチルなどが挙げられ、これらを単独
で用いても、また複数を混合して用いてもよい。また、
これらの有機溶媒は、pH7 以下の水系緩衝液、例えばク
エン酸緩衝液、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液などで飽和さ
せてもよい。
【0018】反応溶媒中のアルデヒドまたはケトンの濃
度は0.01mM〜5Mの範囲が好ましく、アルデヒドまたはケ
トン1モルに対してシアン化水素または反応系において
シアン化物イオンを生成する物質1〜20モル、アルデヒ
ドまたはケトンの濃度に対して1unit/mmol以上の酵素活
性を示す量の前記組換え微生物菌体を使用する。なお、
菌体の酵素活性は、菌体を水または緩衝液に懸濁させて
から破砕し、遠心分離によって得た上澄み液を用い、DL
-マンデロニトリルを基質として、基質が酵素によって
分解されてベンズアルデヒドを生成する際の吸光度変化
を249.6nmの波長で測定することによって算出できる。
【0019】反応溶媒のpHは、上記有機溶媒を水系緩
衝液で飽和させずに用いる場合には調整する必要はない
が、水系緩衝液で飽和させて用いる場合には、水系緩衝
液のpHを3〜7の範囲、好ましくは3〜6の範囲に調
整する。反応温度は酵素反応によらないラセミシアノヒ
ドリンの副生を抑制するために、酵素活性が発揮される
範囲でできる限り低いほうが好ましく、通常0〜40
℃、好ましくは0〜30℃とする。
【0020】反応が終了したならば、反応液と菌体とを
分離して反応生成液を得る。この反応生成液から光学活
性シアノヒドリン以外の成分を分離することによって、
目的の光学活性シアノヒドリンを得る。生成物の分離に
は、蒸留分離、カラムクロマトグラフィー分離、抽出分
離など通常用いられる手段で行いうる。このとき、脱水
剤などを添加して脱水処理をしたり、安定剤などを添加
してもよい。
【0021】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明する
が、本発明はこれに限定されるものではない。 〔実施例1〕 酵素遺伝子組換え菌の調製 (1) 酵素遺伝子の取得 キャッサバの葉を材料として、全mRNAの抽出を行なっ
た。回収したmRNAを鋳型として、cDNA合成を行ない、キ
ャッサバのcDNAライブラリーを作った。文献(Arch. Bi
ochem. Biophys. 311, 496-502, 1994) より入手した、
キャッサバ由来のS-ヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子
の配列情報を参考にして、下記PCRプライマーを合成し
た。 センスプライマー:GGG GAA TTC ATG GTA ACT GCA CAT
TTT GTT CTG ATT C (配列番号1) アンチセンスプライマー:GGG GTC GAC CTC ACG GAT TA
G AAG CCG CCG (配列番号2)
【0022】これらのプライマーを使い、上記のcDNAを
鋳型としてPCR(95℃0.5 分、55℃0.5 分、72℃1 分;
計35サイクル)を行なったところ、S-ヒドロキシニトリ
ルリアーゼをコードする遺伝子に相当する遺伝子を獲得
した。遺伝子配列の解析を行なったところ、文献に示さ
れている配列と一致した。
【0023】(2) 酵素遺伝子組換え菌の調製 アンピシリン耐性遺伝子、酵母 2μプラスミド由来の配
列、組換え酵母の選択マーカ遺伝子であるURA3の配列を
含んでいる、大腸菌−酵母シャトルベクターであるYEp3
52プラスミドベクターに、GAPプロモーター、ターミネ
ーターが組込まれているYEp352-GAPベクターを使い、
(1) にて取得したS-ヒドロキシニトリルリアーゼのcDNA
について、該YEp352-GAPベクターのGAPプロモーターと
ターミネーターの間に、該cDNA配列を挿入して、酵母エ
ピソーム型発現ベクターYEp352-GCを作成した。この発
現ベクターYEp352-GC を使い、宿主酵母菌Saccharomyce
s cerevisiae Inv-Sc1株の形質転換を行なった。ウラシ
ルを含まない下記組成を有する最少選択培地で組換えク
ローンを選抜した。
【0024】
【表1】
【0025】以上の操作によって取得した組換え酵母菌
株(YEp352-GC-S2 株) を、下記の組成を有するYNBDCas
液体培地で24時間培養し、培養液を遠心分離して菌体を
回収した。得られた湿菌体にアセトンを加え攪拌濾過
し、アセトン乾燥菌体を得た。
【0026】
【表2】
【0027】湿菌体と乾燥菌体の酵素活性は以下のよう
にして測定した。菌体に0.5mm径のガラスビーズを0.1ml
添加し、液体窒素で凍結した。次いで、0.15Mクエン酸
ナトリウム緩衝液(pH5)を0.2ml 添加し、攪拌によっ
て菌体破砕をした。菌体破砕液を遠心分離することによ
って上澄み液を得た。この上澄み液を酵素活性測定に用
いた。活性値は、DL-マンデロニトリルを基質として、
基質が酵素によって分解されてベンズアルデヒドを生成
する際の吸光度変化を249.6nmの波長で測定することに
よって算出し、1分間に基質1μmol を分解する活性を
1unit とした。上記測定によれば、本組換え菌株(YEp35
2-GC-S2 株) の湿菌体の酵素活性は200 unit/g(湿重
量)、乾燥菌体の酵素活性は1000 unit/g であった。
【0028】〔実施例2〕ジイソプロピルエーテル2.5m
l に、実施例1で調製したアセトン乾燥菌体120mg 、ベ
ンズアルデヒド0.5mmol、青酸56.6μl を添加し、室温
下(20〜25℃) で攪拌しつつ合成反応を行った。24時間
後に反応液を下記条件下で液体クロマトグラフィーで分
析した結果、転換率89.7% で、光学純度94.1%ee のS-マ
ンデロニトリルが生成されていた。 クロマトグラフィー分析条件 カラム:ダイセル化学製 Chiralcel-OJ カラム温度:25℃ 溶離液:n−ヘキサン:イソプロピルアルコール=80:2
0 流速:0.7ml/min 検出:UV検出器 波長254nm 施光度検出器
【0029】〔実施例3〕実施例2で用いた乾燥菌体を
反応液より分離し、ジイソプロピルエーテルで洗浄し
た。ジイソプロピルエーテル2.5ml に、前記洗浄菌体12
0mg 、ベンズアルデヒド0.5mmol、青酸56.6μl を添加
し、室温下(20〜25℃) で攪拌しつつ合成反応を行っ
た。24時間後に反応液を液体クロマトグラフィー(同
上)で分析した結果、転換率71% で、光学純度93.6%ee
のS-マンデロニトリルが生成されていた。同じ条件で、
菌体のみをリサイクルして反応を繰り返したところ、計
5回の反応を行った結果においても菌体の酵素活性の低
下は見られなかった。
【0030】〔比較例1〕ジイソプロピルエーテル2.5m
l に、固定化酵素〔酵素遺伝子組換え大腸菌によって生
産された酵素を部分精製して得た酵素液(491.3unit/m
l)75 μl とアビセルセルロース75mgを混合して調
製〕、3−フェノキシベンズアルデヒド0.5mmmol、青酸
55.6mgを添加し、室温下(20 〜25℃) で攪拌しつつ合成
反応を行った。24時間後に反応液を液体クロマトグラ
フィー(同上)で分析した結果、転換率62%で、光学
純度92%ee のS-3-フェノキシベンズアルデヒドシアノヒ
ドリンが生成されていたが、その後、同じ固定化酵素を
リサイクルして同様にして合成反応を行ったところ、2
回目の分析結果では、転換率24% で、光学純度22%ee と
低下し、3回目においては酵素活性が見られなくなっ
た。
【0031】〔実施例4〕実施例1で回収した組換え酵
母菌株(YEp352-GC-S2 株) の湿菌体を、凍結乾燥するこ
とによって凍結乾燥菌体を得た。ジイソプロピルエーテ
ル2.5ml に、前記凍結乾燥菌体120mg 、ベンズアルデヒ
ド0.5mmol、青酸56.6μl を添加し、室温下(20〜25℃)
で攪拌しつつ合成反応を行った。45時間後に反応液を
液体クロマトグラフィー(同上) で分析した結果、転換
率65% で、光学純度65.1%ee のS-マンデロニトリルが生
成されていた。
【0032】〔実施例5〕pH4の0.15Mクエン酸ナトリウ
ム緩衝液で飽和させたジイソプロピルエーテル2.5ml
に、実施例1で調製したアセトン乾燥菌体120mg、3−
フェノキシベンズアルデヒド1mmol、青酸300μlを添加
し、室温下(20〜25℃) で攪拌しつつ合成反応を行っ
た。60時間後に反応液を液体クロマトグラフィー(同
上) で分析した結果、96.9% の転換率で、光学純度が5
8.6%ee のS-3-フェノキシベンズアルデヒドシアノヒド
リンが生成されていた。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、ヒドロキシニトリルリ
アーゼ遺伝子組換え菌により産生されるヒドロキシニト
リルリアーゼを、抽出により該組換え菌体から取り出す
ことなく、組換え菌の菌体自体を使用して光学活性シア
ノヒドリンを簡便に効率よく合成することができる。
【0034】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> NIPPON SHOKUBAI CO., LTD. <120> Methods for preparing optically active cyanohydrins <130> P98-0672 <160> 4 <170> Patent in Ver. 2.0 <210> 1 <211> 37 <212> DNA <213> Artificial Sequence <400> 1 ggggaattca tggtaactgc acattttgtt ctgattc 37 <210> 2 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <400> 2 ggggtcgacc tcacggatta gaagccgccg 30

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルデヒドまたはケトンとシアン化水素
    または反応系においてシアン化物イオンを生成する物質
    とを含む反応溶媒に、ヒドロキシニトリルリアーゼ酵素
    遺伝子を組込むことによって形質転換され、かつ当該酵
    素活性を有する遺伝子組換え微生物菌体を添加すること
    を特徴とする、光学活性シアノヒドリンの製造方法。
  2. 【請求項2】 遺伝子組換え微生物菌体が、菌体培養後
    に回収した菌体を乾燥または脱水処理して得られた菌体
    であることを特徴とする、請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 反応溶媒として、水に難溶または不溶で
    ある有機溶媒を用いることを特徴とする、請求項1記載
    の製造方法。
JP11025640A 1999-02-03 1999-02-03 光学活性シアノヒドリンの製造方法 Pending JP2000217590A (ja)

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DE2000612802 DE60012802T2 (de) 1999-02-03 2000-02-03 Verfahren zur Herstellung von optisch aktiven Cyanhydrinen

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