JP2000213797A - 換気装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 台風のような強風時に、風圧を利用して自動
的にガラリ内方の換気路を開閉し、強風時における雨水
の吹込みを防止できる換気装置を提供する。 【解決手段】 ガラリ１の内方に排水勾配を付けた水返
し部３を設け、水返し部３の上部にガラリ内方の換気路
４を開閉する回転自在な遮風板５を設け、遮風板５に
は、遮風板５を全開状態に付勢する復帰用スプリングヒ
ンジ１１付きの回転軸１０を連設し、予め設定した風速
を越える強風時にのみ、遮風板５がスプリングヒンジ１
１に抗して全閉位置まで回転するように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えば体育館や工
場の外壁、集合住宅や事務所ビルの屋上機械室の外壁な
どに設備される換気装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、外壁に設備される換気装置にお
いては、外壁の開口にガラリ（ルーバー）を設けて、雨
水が吹き込まれにくいように構成しているが、台風のよ
うな強風時には、ガラリ自体による雨水の侵入防止効果
は全く期待できず、ガラリの羽根板間の隙間を流れる風
と共に多量の雨水が吹き込まれ、室内に侵入することに
なる。

【０００３】ガラリの羽根板を手動で開閉できるように
したものもあるが、強風雨の度に閉と開の人為操作を繰
り返す必要があり、運用上、不便である。

【０００４】このため、実開昭５６−２２３９２号公報
に見られるように、ガラリの外方にフードを設け、フー
ドの下端部に、下向きに開口させた換気口を設けて、強
い風雨の吹込みを抑制するようにした換気装置が提案さ
れ、広く実施されているが、フード下端部の換気口が常
時開口しているため、台風のような強風時には、フード
下端部の換気口からガラリの羽根板間の隙間を経て多量
の雨水が吹き込まれることになる。因みに、上記公報に
記載の換気装置では、フード下端部の換気口を密閉する
蓋が設けられているが、この蓋は、火災時の延焼を防止
するためのものであって、平常時には、温度ヒューズに
より、閉動用スプリングに抗して開いた状態に維持され
ている。

【０００５】また、外壁の開口に嵌め込まれた筐体枠の
屋外側前面にルーバー（ガラリ）を取り付け、屋内側後
面に多数の小孔を有する換気板を取り付け、筐体枠の内
部には、ルーバーと対向する位置に開口を有する前部風
路規制板と、換気板と対向する位置に開口を有する後部
風路規制板とを設け、さらに、筐体枠の内部で且つ前部
風路規制板と後部風路規制板の間に、前部風路規制板の
開口を閉塞する寸法の前部揺動板と、後部風路規制板の
開口を閉塞する寸法の後部揺動板とを一体に連結してな
る揺動体を、筐体枠の天井から、重力により垂直姿勢を
保ったまま前後方向に揺動し得る状態に吊り下げ、建物
内外の風圧差により、揺動体が前後に揺動して、換気路
の有効面積を自動的に調節し、風圧差が一定以上になる
と換気路を遮断するようにした換気装置も、特開昭６１
−１６８７４２号公報によって提案されている。

【０００６】しかしながら、この換気装置は、暖冷房の
効果が外部の風によって変動しないように、空調に有害
な外気の導入をコントロールする装置であるから、この
目的を達成するためには、風速が約５ｍ／秒程度の僅か
な風でも揺動体が揺動するように構成する必要があり、
これを越える風速では、揺動体が換気路を遮断してしま
うため、換気が行われないことになる。

【０００７】また、上記の換気装置では、揺動体が自重
で元位置に揺動復帰するように構成されているので、こ
の換気装置を台風のような強風時の雨水侵入防止対策に
利用するために、揺動体を吊り下げる支軸に抵抗を与え
て、揺動体が揺動し始める風速を大に設定した場合、強
風時に、建物内外の風圧差により揺動体が揺動して、一
旦、換気路を遮断したら、強風がおさまっても、揺動体
が元位置に自動的には復帰しないことになる。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の点に
留意してなされたものであって、台風のような強風時に
風圧を利用して自動的にガラリ内方の換気路を開閉し、
強風時における雨水の吹込みを防止できるようにした換
気装置を提供することを課題とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明が講じた技術的手段は、次のとおりであ
る。即ち、請求項１に記載の発明による換気装置は、ガ
ラリの内方に排水勾配を付けた水返し部を設け、水返し
部の上部にガラリ内方の換気路を開閉する回転自在な遮
風板を設け、遮風板には、遮風板を全開状態に付勢する
復帰用スプリング付きの回転軸を連設し、予め設定した
風速を越える強風時にのみ、遮風板がスプリングヒンジ
に抗して全閉位置まで回転するように構成してあること
を特徴としている。

【００１０】上記の構成によれば、例えば、風速１５ｍ
／秒を越える台風のような強風時には、風圧により遮風
板がスプリングヒンジに抗して全閉位置まで回転するの
で、雨水の吹込みが防止され、遮風板により侵入を阻止
された雨水は、水返し部により案内され、屋外へ排水さ
れることになり、風速が低下すれば、回転軸の復帰用ス
プリングヒンジにより、遮風板が元位置に自動的に復帰
し、換気が行われることになる。

【００１１】尚、本発明における自動開き装置（自閉装
置）としては、スプリングヒンジの他、オートドアヒン
ジ，フロアーヒンジ等を採用できる。

【００１２】請求項２に記載の発明による換気装置は、
ガラリの内方に排水勾配を付けた水返し部を設け、水返
し部の上部に、横軸芯周りに回転自在で且つ上方へ回転
することにより、ガラリ内方の換気路を閉塞することが
可能な遮風板と、遮風板の上部に連設され、遮風板と一
体に回転動作する遮風板よりも面積の狭い受風板とから
なる回転体を設け、回転軸の復帰用スプリングによって
遮風板を全開状態に付勢するスプリングヒンジを設け、
予め設定した風速を越える強風時にのみ、受風板の前面
に受ける風圧により、遮風板が、スプリングヒンジに抗
して、所定角度まで回転した後、遮風板の前面に受ける
風圧により全閉位置まで回転するように構成してあるこ
とを特徴としている。

【００１３】上記の構成によれば、例えば、風速１５ｍ
／秒を越える台風のような強風時には、先ず、受風板の
前面に受ける風圧が回転軸の復帰用スプリングの力を越
えることにより、受風板がスプリングヒンジに抗して回
転するので、これと一体に遮風板が所定角度まで回転す
る。これにより遮風板がガラリ内方の換気路を横切る位
置に進入するので、遮風板の前面に風が当たり、受風板
よりも面積の広い遮風板の前面に受ける風圧により、遮
風板がプリングヒンジに抗して全閉位置まで回転するこ
とになる。

【００１４】この状態では、換気路が遮風板で遮断され
ているので、雨水の吹込みが確実に防止され、遮風板に
より侵入を阻止された雨水は、水返し部により案内され
て、屋外へ排水されることになる。

【００１５】また、換気路を遮断している遮風板の面積
（受圧面積）が受風板の面積よりも広いので、遮風板に
当たる風が多少弱まっても、遮風板による換気路の遮断
状態が維持され、遮風板の前面に作用する風圧が復帰用
スプリングヒンジの力以下になるまで風速が低下した時
点で、遮風板が元位置に自動的に復帰することになり、
風の脈動に起因する遮風板のバタツキを抑制できるので
ある。

【００１６】

【発明の実施の形態】図１〜図６は、本発明に係る換気
装置の一例を示す。図において、１は、外壁２の開口に
設けたガラリ、３は、ガラリ１の内方に排水勾配を付け
て設けた水返し部である。水返し部３の上部には、横軸
芯Ｐ周りに回転自在で且つ上方へ回転することにより、
ガラリ内方の換気路４を閉塞することが可能な遮風板５
と、遮風板５の上部に連設され、遮風板５と一体に回転
動作する遮風板５よりも面積の狭い受風板６とからなる
回転体７が設けられている。回転体（遮風板５と受風板
６）７は、横軸芯Ｐを中心にして略Ｌ字状に折り曲げら
れた形状に形成されている。遮風板５と受風板６の横軸
芯Ｐ周りでの角度は、図１や図４に示すように、両者
５，６の側部に設けた角度調整板５ａ，６ａと、横軸芯
Ｐを中心とする長孔８と、固定ネジ９とによって長孔８
の範囲で調節できるように構成されている。１０は横軸
芯Ｐを有する回転軸で、回転体７と一体に回転するよう
に回転体７に連設されており、回転軸１０の内部には復
帰用のスプリングヒンジ１１が仕組まれている。１１ａ
はナット、１１ｂは補強座金である。

【００１７】回転体７の遮風板５は、回転軸１０内部に
仕組んだスプリングヒンジ１１により全開状態に付勢さ
れている。１２は、全開状態にある遮風板５の下面と当
接する緩衝ゴム付きのストッパーであり、水返し部３の
両側板３ａに設けられている。１３は水密ゴムである。
スプリングヒンジ１１の強度（復帰用スプリングのばね
力）は前記ナット１１ａにより調節可能に構成されてい
る。そして、予め設定した風速（例えば、１５ｍ／秒）
を越える強風時にのみ、受風板６の前面に受ける風圧に
より、遮風板５が、スプリングヒンジ１１に抗して、所
定角度まで回転し、しかる後、遮風板５の前面に受ける
風圧により全閉位置まで回転するように構成してある。

【００１８】尚、スプリングヒンジ１１は片側だけ設け
て実施してもよいが、図示のように、両側に対称的に設
けて、両者で協働させることが、回転体７の捻じれを防
ぎ、回転軸芯周りでの回転を安定化し得る点で望まし
い。

【００１９】上記の構成によれば、外部風が予め設定し
た風速（例えば、風速１５ｍ／秒を越える台風のような
強風）になるまでは、受風板６の前面に受ける風圧が小
さいため、回転体（遮風板５と受風板６）７は回転せ
ず、図１、図６のＡに示すように、遮風板５は全開状態
に維持される。

【００２０】そして、予め設定した風速に達すると、受
風板６の前面に受ける風圧が回転軸の復帰用スプリング
ヒンジの力を越えるので、受風板６がスプリングヒンジ
に抗して回転し、これと一体に遮風板５が所定角度まで
上方へ回転する。これにより、図６のＢに示すように、
遮風板５がガラリ内方の換気路４を横切る位置に進入す
るので、遮風板５の前面に風が当たり、受風板６よりも
面積の広い遮風板５の前面に受ける大きな風圧により、
遮風板５がスプリングヒンジに抗して全閉位置まで回転
することになる。

【００２１】この状態では、図１の仮想線と図６のＢで
示すように、換気路４が遮風板５で遮断されているの
で、風の流れが断たれ、雨水の吹込みが確実に防止され
る。遮風板５により侵入を阻止された雨水は、水返し部
３により案内されて、屋外へ排水されることになる。ま
た、遮風板５が閉鎖するとき受けた水は一時的に受風板
６との間に溜まるが、風の脈動により外部に排水され
る。遮風板５と受風板６は水返し部側板と水密ゴムで接
している。

【００２２】また、換気路４を遮断している遮風板５の
面積（受圧面積）が受風板６の面積よりも広いので、一
旦、換気路４が遮断されると、遮風板５に当たる風が多
少弱まっても、遮風板５による換気路４の遮断状態が維
持され、遮風板５の前面に作用する風圧が復帰用スプリ
ングヒンジの力以下になるまで風速が低下した時点で、
復帰用スプリングヒンジの力によって遮風板５が元位置
に自動的に復帰することになり、風の脈動に起因する遮
風板５のバタツキを抑制できるのである。

【００２３】図７は、別の実施の形態を示し、前記スプ
リングヒンジ１１に代えて、回転軸１０の軸端にフロア
ーヒンジ１４を仕組んだ点に特徴がある。１５は低摩擦
樹脂製の丸座である。その他の構成および作用は、図１
〜図６で説明した実施の形態と同じであるため説明を省
略する。

【００２４】

【発明の効果】本発明は、上記の構成よりなり、台風の
ような強風時に風圧を利用して自動的にガラリ内方の換
気路を開閉し、強風時における雨水の吹込みを防止でき
る効果がある。

【００２５】殊に、請求項２に記載の発明によれば、換
気路を遮断している遮風板の面積（受圧面積）が受風板
の面積よりも広いので、遮風板に当たる風が多少弱まっ
ても、遮風板による換気路の遮断状態が維持され、遮風
板の前面に作用する風圧が復帰用スプリングヒンジの力
以下になるまで風速が低下した時点で、遮風板が元位置
に自動的に復帰することになり、風の脈動に起因する遮
風板のバタツキを抑制できる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る換気装置の縦断側面図である。

【図２】換気装置の横断平面図である。

【図３】換気装置の斜視図である。

【図４】換気装置の要部の詳細図である。

【図５】換気装置の要部の断面図である。

【図６】換気装置の作用図である。

【図７】別の実施の形態を示す換気装置の要部の断面図
である。

【符号の説明】

１…ガラリ、３…水返し部、４…換気路、５…遮風板、
６…受風板、７…回転体、１０…回転軸、１１…スプリ
ングヒンジ。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ガラリの内方に排水勾配を付けた水返し
   部を設け、水返し部の上部にガラリ内方の換気路を開閉
   する回転自在な遮風板を設け、遮風板には、遮風板を全
   開状態に付勢する復帰用スプリング付きの軸を連設し、
   予め設定した風速を越える強風時にのみ、遮風板がスプ
   リングヒンジに抗して全閉位置まで回転するように構成
   してあることを特徴とする換気装置。
2. 【請求項２】 ガラリの内方に排水勾配を付けた水返し
   部を設け、水返し部の上部に、横軸芯周りに回転自在で
   且つ上方へ回転することにより、ガラリ内方の換気路を
   閉塞することが可能な遮風板と、遮風板の上部に連設さ
   れ、遮風板と一体に回転動作する遮風板よりも面積の狭
   い受風板とからなる回転体を設け、回転軸に仕組んだス
   プリングヒンジによって遮風板を全開状態に付勢し、予
   め設定した風速を越える強風時にのみ、受風板の前面に
   受ける風圧により、遮風板が、スプリングヒンジに抗し
   て、所定角度まで回転した後、遮風板の前面に受ける風
   圧により全閉位置まで回転するように構成してあること
   を特徴とする換気装置。
3. 【請求項３】 遮風板と受風板が、横軸芯を中心にして
   略Ｌ字状に折り曲げられた形状に形成されている請求項
   ２に記載の換気装置。