JP2000213169A - 建物の構築方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】低価格で、短い工期で高品質の建物を構築する
ことができる、建物の構築方法を提供することを目的と
する。 【解決手段】先行して建物の壁面と屋根を構築する。建
物の内部で各階層の床板を製造する。この床板群を、最
上階の床面の高さまで吊り上げる。一階層づつ吊り下ろ
して、一階層ごとに１枚の床板を、先行して構築した建
物の該当階位置に固定する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、建物の構築方法に
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の中、高層の建築物は現場打設の鉄
筋コンクリート構造か、あるいはプレキャストコンクリ
ートを使用したプレハブ構造のものがほとんどである。

【０００３】

【解決すべき問題】上記したような従来の技術は次のよ
うな問題点を備えている。 ＜イ＞現場で鉄筋、型枠を組み立て、コンクリートを打
設する構造は、構造形式が複雑で経済的ではない。ま
た、打設したコンクリートの硬化を待って次の工程にと
りかかる湿式工法であるために長い工期を必要とする。 ＜ロ＞プレキャストコンクリートの板体を組み立てるプ
レハブ工法は、一般的に住戸境が耐震壁で設計してあ
る。そのために重厚な構造となり施工時には大型の機械
が必要となり、不経済である。

【０００４】

【本発明の目的】本発明は、前記したような従来の構築
方法の問題を改善するためになされたもので低価格で、
短い工期で高品質の建物を構築することができる、建物
の構築方法を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記のような目的を達成
するために、本発明の建物の構築方法は、先行して建物
の壁面と屋根を構築し、建物の内部で各階層の床板を製
造し、この床板群を、最上階の床面の高さまで吊り上
げ、一階層づつ吊り下ろして、一階層ごとに１枚の床板
を、先行して構築した建物の該当階位置に固定して行
う、建物の構築方法を特徴としたものである。

【０００６】

【本発明の実施の態様】以下図面を参照しながら本発明
の建物の構築方法の実施例を説明する。

【０００７】＜イ＞壁面の構築。 建物のコーナー部に柱１を立て、その柱１間に壁面パネ
ル２を取り付けて、内側の空間の周囲を包囲する状態で
壁面を構築する。最上階まで壁面パネル２が組み上がっ
たら、その上部に屋根３を設ける。この屋根３には上下
方向に吊り上げ用の穴を貫通し、この吊り上げ穴の上に
はセンターホールジャッキ４を設置する。柱１と壁面パ
ネル２で包囲する基本形状は矩形であり、その基本形状
を一列に連続すれば図７に示すような多数の居室を備え
た住宅を形成できる。また、柱１と壁面パネル２によっ
て矩形に包囲した空間を、平面的に広げれば、図８に示
すような形状の居室を形成することができる。あるいは
変形した四辺形を図９に示すように平面的に広げて連結
することもできる。

【０００８】＜ロ＞プレート付きコンクリート板による
構築。 先行して構築する建物は従来の方法で構築することがで
きる。あるいは、コンクリート製の柱や壁の端部に鋼製
プレートを突設した部材を使用することができる。例え
ば図５に示すように、断面Ｔ字状のコンクリート製の柱
１において、その上下端部から鋼製プレート１ａを突設
する。また壁面パネル２も図６に示すように、その上下
端部、両端部から鋼製プレート２ａを突設する。構築に
際しては、柱１および壁面パネル２の間を、鋼製プレー
ト１ａ，２ａを介してボルトで連結して行う。

【０００９】＜ハ＞床板の製造。 こうして周囲を柱１と壁面パネル２で包囲し、上部に屋
根３を設けると、その内部には中空の巨大な空間が構成
される。この空間の基盤の面を利用して各階層の床板５
を製造する。床板５の製造は、柱１と壁面パネル２で包
囲した空間の床に相当する水平な基盤の上に鉄筋を組み
立て、コンクリートを打設すれば１階層の床板５を簡単
に製造することができる。その床板５の上にシートなど
の縁切り材を水平に敷設し、鉄筋組み立て、コンクリー
トの打設を行えば、順次、簡単に多数枚の床板５を積み
重ねた状態で製造することができる。さらに多数枚の床
板５を短時間でコンクリートの打設ができるから、１枚
づつ製造する場合に比較して、多数枚の床板５であって
も短時間の内にすべてを硬化させて所定の強度を得るこ
とができる。すべての床板５には、上下方向に吊りケー
ブル６を貫通させておく。

【００１０】＜ニ＞床板５の吊り上げ。 床板５群が所定の強度に達したら、吊りケーブル６を屋
根３に設置したジャッキ４で把握して吊り上げる。床板
５群を、いったん最上階の床面の高さまで吊り上げた
ら、床板５群の内の最上部の１枚だけを、周囲の壁面に
固定する。そのために例えば、床板５の内部に、側面か
ら水平方向に出入りする支持材をセットしておき、取り
付ける際に水平に引き出して周囲の構造物との連結を図
るように構成することができる。

【００１１】＜ホ＞床板５の吊り下ろし。 床板５群の内、最上部の床板５を１枚だけ周囲の構造物
に取り付けたら、床板５群を一階層分だけ吊り下ろす。
そして次の床板５を、先行して構築した周囲の該当階位
置に固定する。こうして床板５群を一階層ごとに吊り下
ろし、最上部の床板５を１枚づつ周囲に取り付けてすべ
ての階層の床板５の取り付けを完了する。

【００１２】

【本発明の効果】本発明の建物の構築方法は以上説明し
たようになるから次のような効果を得ることができる。 ＜イ＞床板５の製造、各階層への取り付けの作業はすべ
て、すでに周囲を壁面で包囲され、最上部に屋根を設置
した空間の内部で行うことができる。したがって天候に
左右されることなく、快適な作用環境の下で安全に行う
ことができる。 ＜ロ＞床板５を各階ごとに製造するのでは、硬化までに
長時間を要する。その点、本発明は床板５を重ねて順次
製造してしまい、その床板５群を最上階まで吊り上げて
から吊り下ろす方法を採用する。したがって工期を大幅
に短縮することができる。 ＜ハ＞一度にすべての床板５を重ねて順次製造するの
で、床板製造用の底型枠は１階の床を使用できる。した
がって底型枠を特別に製作して設置する必要がなく、型
枠製造費の低減をはかることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の建物の構築方法の実施例の説明図。

【図２】施工順序の説明図。

【図３】施工順序の説明図。

【図４】施工中の状態の説明図。

【図５】使用する部材の実施例の説明図。

【図６】使用する部材の実施例の説明図。

【図７】本発明の方法で構築した建物の実施例の平面
図。

【図８】本発明の方法で構築した建物の他の実施例の平
面図。

【図９】本発明の方法で構築した建物の他の実施例の平
面図。

フロントページの続き (72)発明者 光延 静夫 東京都新宿区西新宿一丁目25番１号 大成 建設株式会社内 (72)発明者 風間 義仁 東京都新宿区西新宿一丁目25番１号 大成 建設株式会社内 (72)発明者 酒井 ▲富▼久彌 東京都新宿区西新宿三丁目１番２号 廣川 ビル７階 ブイ・エヌ・エンジニアリング 株式会社内 (72)発明者 鈴木 悦郎 神奈川県川崎市中原区今井南町441 Ｆターム(参考） 2E174 AA01 AA03 BA01 BA03 BA05 CA03 CA11 CA14 CA34 DA12 DA14 DA17 DA18 DA63 DA67

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】先行して建物の壁面と屋根を構築し、 建物の内部で各階層の床板を製造し、 この床板群を、最上階の床面の高さまで吊り上げ、 一階層づつ吊り下ろして、 一階層ごとに１枚の床板を、 先行して構築した建物の該当階位置に固定して行う、 建物の構築方法
2. 【請求項２】先行して構築する建物は、 柱および壁を、コンクリート製パネルにプレートを突設
   して形成し、 これらの柱と壁とをプレートにおいて接続して構築す
   る、 請求項１記載の、建物の構築方法。