JP2000208502A - 光導波路用ガラス膜の製造方法及びその製造装置 - Google Patents

光導波路用ガラス膜の製造方法及びその製造装置

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JP2000208502A
JP2000208502A JP789899A JP789899A JP2000208502A JP 2000208502 A JP2000208502 A JP 2000208502A JP 789899 A JP789899 A JP 789899A JP 789899 A JP789899 A JP 789899A JP 2000208502 A JP2000208502 A JP 2000208502A
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glass film
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Akihiro Hori
彰弘 堀
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Hitachi Cable Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガラス膜上でのパーティクルの発生がない光
導波路用ガラス膜の製造方法及びその製造装置を提供す
ることを提供する。 【解決手段】 真空に保たれた低温プラズマ雰囲気中で
基板6の表面に、屈折率の低いガラス膜あるいは屈折率
の高いガラス膜を形成する光導波路用ガラス膜の製造方
法及びその製造装置において、上記ガラス膜を形成する
前に上記基板6へアルゴンガスを吹き付けると共に上記
基板6が載置される下部電極4と該下部電極4に対向し
てその上側に配置された上部電極3との間に高周波電圧
を印加してプラズマを発生させ、上記基板表面をスパッ
タリングした後、成膜を開始する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光導波路用ガラス
膜の製造方法及びその製造装置に係り、特にプラズマ化
学気相成長法を用いた光導波路用ガラス膜の製造方法及
びその製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、石英ガラス基板やSi基板上に
形成可能な石英系ガラス導波路は、石英系ファイバとの
整合性が良いので、実用的な光導波路部品の実現手段と
して研究開発が進められている。
【0003】これらの基板上に石英系ガラス導波路を形
成する方法として、プラズマ化学気相成長法(プラズマ
CVD法)等がある。
【0004】このプラズマCVD法は、密閉ハウジング
中にプラズマを発生させるための下部電極と上部電極と
が設けられた装置を用い、下部電極に基板を載置した
後、真空に保たれた低温プラズマ雰囲気中で基板の表面
に、屈折率の低いガラス膜あるいは屈折率の高いガラス
膜を形成する光導波路用ガラス膜の製造方法である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来のプラズマCVD法では、下部電極に基板を載置
した後、材料ガスを吹き付け、基板上に結晶成長させて
成膜を行うため、基板表面に異物が付着したり基板表面
が汚れていると、この異物や汚れを核としてガラス膜の
形成が成されてしまうため、ガラス膜上でのパーティク
ルの発生が問題となっていた。
【0006】そこで、本発明の目的は、上記課題を解決
し、ガラス膜上でのパーティクルの発生がない光導波路
用ガラス膜の製造方法及びその製造装置を提供すること
にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に請求項1の発明は、真空に保たれた低温プラズマ雰囲
気中で基板の表面に、屈折率の低いガラス膜あるいは屈
折率の高いガラス膜を形成する光導波路用ガラス膜の製
造方法において、上記ガラス膜を形成する前に上記基板
へアルゴンガスを吹き付けると共に上記基板が載置され
る下部電極と該下部電極に対向してその上側に配置され
た上部電極との間に高周波電圧を印加してプラズマを発
生させ、上記基板表面をスパッタリングした後、成膜を
開始する方法である。
【0008】上記請求項2の発明は、上記アルゴンガス
の代わりに酸素ガスを用いる方法である。
【0009】上記請求項3の発明は、上記アルゴンガス
の代わりにアルゴンガスと酸素ガスを併用する方法であ
る。
【0010】上記請求項4の発明は、光導波路用ガラス
膜を形成すべく基板を収容する密閉ハウジングと、該密
閉ハウジング内で基板が載置される下部電極と、下部電
極に対向して該下部電極の上面に配置された上部電極
と、密閉ハウジングを真空に保つ排気装置と、上記密閉
ハウジング内にプラズマを発生させるため上記電極間に
高周波電圧を印加する高周波電圧印加装置と、上記密閉
ハウジング内に成膜に必要なガスを供給するガス供給装
置とを備えた光導波路用ガラス膜の製造装置において、
アルゴンガス、酸素ガスを供給するガス供給装置を設け
たものである。
【0011】なお、基板上に屈折率制御用ドーパントの
蒸気ガスと有機オキシシランの蒸気ガスおよび酸素ガス
を吹きつける場合、または、屈折率制御用ドーパントの
原料ガスとモノシランガス(SiH4 )および酸素ガス
を吹きつける場合、あるいは、屈折率制御用ドーパント
の蒸気ガス、有機オキシシランの蒸気ガス、酸素ガス、
屈性率制御用ドーパントの原料ガス、モノシランガスを
併用する場合、該ガス中に不活性ガスを混合させてもよ
い。
【0012】本発明によれば、基板表面をアルゴンガス
あるいは酸素ガスあるいはアルゴンガスと酸素ガスの混
合ガスでスパッタリングした後、屈折率制御用ドーパン
トの蒸気ガスと有機オキシシランの蒸気ガスおよび酸素
ガスを吹きつけ、または、屈折率制御用ドーパントの原
料ガスとモノシランガスおよび酸素ガスを吹きつけ、あ
るいは、屈折率制御用ドーパントの蒸気ガス、有機オキ
シシランの蒸気ガス、酸素ガス、屈折率制御用ドーパン
トの原料ガス、モノシランガスを併用して吹きつけると
共に、上部電極と下部電極の間に高周波電圧を印加する
ことによりプラズマを発生させて成膜を開始するため、
基板表面の異物を取り除きクリーニングしてからの成膜
となるので、異物を核として形成されるガラス膜上での
パーティクルの発生の防止が可能となる。したがって、
本発明で得られたガラス膜付基板を用いて光導波路を形
成することにより、小型、低損失、多機能の光デバイス
を実現することが可能となる。
【0013】本発明で用いられる屈折率を高くする屈折
率制御用ドーパントとしては、例えば、PO(OC2
5 3 、Ge(OC2 5 4 、B(OC2 5 3
のアルコキシド類が挙げられ、屈折率を高くする屈折率
制御用ドーパントの原料ガスとして、PH3 、GeH4
等が挙げられる。
【0014】これに対して、屈折率を低くする屈折率制
御用ドーパントとしては、例えばB(OC2 5 4
アルコキシド類が挙げられ、屈折率を低くする屈折率制
御用ドーパントの原料ガスとしては、B2 6 、C2
6 、CF4 等が挙げられる。
【0015】また、本発明に使用する有機オキシシラン
としては、例えば、Si(OC2 5 4 、Si(OC
3 4 等が挙げられる。
【0016】これらの屈折率制御用ドーパントあるいは
屈折率制御用ドーパントの原料ガス、および有機オキシ
シランあるいはモノシランガス(SiH4 )に、酸素ガ
スあるいは酸素ガスと不活性ガスとの混合ガスがプラズ
マ雰囲気中に供給される。
【0017】
【発明の実施の形態】次に、本発明の好適一実施の形態
を添付図面に基づいて詳述する。
【0018】図1に本発明にかかる光導波路用ガラス膜
の製造方法を適用したプラズマCVD装置の概略図を示
す。さらに、図2(a)、図2(b)、図2(c)に図
1のプラズマCVD装置に設けられた下部電極の構造の
断面図を示す。
【0019】図1に示すように、本発明にかかる光導波
路用ガラス膜の製造装置は、装置の密閉ハウジング2内
には円板状の上部電極3と下部電極4とが設けられ、こ
れら電極3,4間に、高周波電圧印加装置5が接続さ
れ、13.56MHzの高周波電圧を印加することによ
りプラズマを発生するように構成されている。
【0020】この下部電極4の構造としては、図2
(a)に示すように下部電極4の表面に凹凸が無い平面
でその上に基板6を置くタイプ、図2(b)に示すよう
に下部電極4の表面に基板6が入る大きさの形状で下部
電極4の表面と基板6の表面の高さが等しくなるような
深さを有した窪みがあり、そこに基板6を置くタイプ、
下部電極4の表面に凹凸が無い表面でその上に基板6を
置き、基板周囲を材質が石英ガラスの電極カバー33に
より覆うタイプがあげられる。
【0021】下部電極4の下部には、基板6を最高40
0℃の温度にまで加熱できるように、ヒータ7が取り付
けられている。
【0022】また、上部電極3は、その内部を蒸気(原
材料)ガスが通過できる流路を有しており、かつ壁には
流路に連通する穴が多数開けられている。上部電極3に
は蒸気ガスを送り込むガス噴出管30、アルゴンガス噴
出管31、酸素ガス噴出管32が接続されており、蒸気
ガスがガス噴出管30からアルゴンガスがアルゴンガス
噴出管31から、酸素ガスが酸素ガス噴出管32から上
部電極3に流入し、上部電極3に形成された多数の穴か
ら密閉ハウジング2内の電極3,4間に流入するように
なっている。
【0023】尚、本実施の形態では、蒸気ガスは3種類
の蒸気ガスを用いた場合で示したが、3種類以上の蒸気
ガスを混合して用いても構わない。
【0024】密閉ハウジング2の外には、第1から第3
の3個の蒸気ガス供給タンク17,21,25が設置さ
れている。各蒸気ガス供給タンク17,21,25は、
それぞれバルブ16,20,24を経て、共通のガス導
入管28とバルブ29を介してガス噴出管8に接続され
ている。そして、蒸気ガス供給タンク17,21,25
で発生した蒸気ガスはガス導入管28、ガス噴出管30
を経て上部電極3内に導かれるようになっている。
【0025】これらの3個の蒸気ガス供給タンク17,
21,25は恒温槽からなり、各蒸気ガス供給タンク1
7,21,25には酸素ガスを導入するための管18,
22,26が挿入されている。
【0026】第1の蒸気ガス供給タンク17には屈折率
を低くする屈折率制御用ドーパントを含んだ溶液19、
例えば、B(OC2 5 4 のアルコキシド類の屈折率
制御用ドーパントの溶液を収容しており、その溶液を酸
素ガスで気泡化させて蒸気ガスを発生するようになって
いる。
【0027】第2の蒸気ガス供給タンク21には屈折率
を高くする屈折率制御用ドーパントを含んだ溶液23、
例えば、PO(OC2 5 3 、Ge(OC
2 5 4 、Al(OC2 5 3 等のアルコキシド類
から選ばれた少なくとも1種類の屈折率制御用ドーパン
トの溶液を収容しており、その溶液を酸素ガスで気泡化
させて蒸気ガスを発生するようになっている。
【0028】第3の蒸気ガス供給タンク25には有機オ
キシシラン類、例えばSi(OC25 4 、Si(O
CH3 4 等から選ばれた少なくとも1種類の有機オキ
シシラン27を収容しており、その有機オキシシラン2
7を酸素ガスで気泡化させて蒸気ガスを発生するように
なっている。
【0029】密閉ハウジング2の底部中央には排気口9
が形成されており、この排気口9と下部電極4の中央部
分に形成したハウジング開口部10とが短管8で連通し
ている。そして、密閉ハウジング2内を真空排気するべ
く、排気口9には液体窒素トラップ11、ロータリーポ
ンプ12および排ガス処理装置13が短管14,15を
介して接続されている。
【0030】次に、このプラズマCVD装置を用い、光
導波路用ガラス膜の製造方法について説明する。ただ
し、本発明は以下の説明によって制限されないことはい
うまでもない。
【0031】プラズマCVD装置1の密閉ハウジング2
内において、液体トラップ11、ロータリーポンプ1
2、および排ガス処理装置13の駆動によりハウジング
2内を真空排気し、下部電極4上に積載した基板6をヒ
ータ7で100〜400℃の温度に加熱する。次に基板
6の上面にアルゴンガスを、アルゴンガス噴出管31よ
り吹きつける。
【0032】このような状態で上部電極3および下部電
極4の間に13.56MHzの高周波電圧を印加するこ
とによりプラズマ5を発生させ、基板6の上面をスパッ
タリングさせ、付着している異物を取り除く。
【0033】その後、バルブ16,24を開け、タンク
17で発生させた屈折率を低くする屈折率制御用ドーパ
ント19の蒸気ガスおよびタンク25で発生させた有機
オキシシラン27の蒸気ガスと酸素ガスを混合状態で、
開いた状態のバルブ29を介してガス噴出管30から上
部電極3を通して密閉ハウジング2内に噴出させる。
【0034】かかる状態で上部電極3および下部電極4
の間に13.56MHzの高周波電圧を印加することに
よりプラズマ5を発生させる。
【0035】このような状態で基板6の表面に屈折率の
低い屈折率制御用ドーパントを含んだガラス膜(バッフ
ァ層用ガラス膜あるいはクラッド層用ガラス膜)が形成
される。
【0036】また、コア用ガラス膜を形成する場合は、
基板6の上面にアルゴンガスを、アルゴンガス噴出管3
1より吹きつける。
【0037】このような状態で上部電極3および下部電
極4の間に13.56MHzの高周波電圧を印加するこ
とによりプラズマ5を発生させ、基板6の上面をスパッ
タリングさせ、付着している異物を取り除く。
【0038】その後、バルブ20,24を開け、タンク
21で発生させた屈折率を高くする屈折率制御用ドーパ
ント23の蒸気ガス、およびタンク25で発生させた有
機オキシシラン27の蒸気ガスと酸素ガスを混合状態
で、開いた状態のバルブ29を介してガス噴出管30か
ら上部電極3を通して密閉ハウジング2内に噴射させ
る。
【0039】かかる状態で上部電極3および下部電極4
の間に13.56MHzの高周波電圧を印加することに
よりプラズマ5を発生させる。
【0040】プラズマ5により基板6の表面に屈折率の
高い屈折率ドーパントを含んだガラス膜が形成される。
【0041】以上説明したように、本発明によれば、ア
ルゴンスパッタリングにより、基板表面の異物を取り除
いた後に、原材料ガスを供給し、高周波電圧を印加して
プラズマを発生させ成膜を行うため、基板表面の異物を
核としたパーティクルの発生を防止することが可能とな
る。そして、この方法で得られたガラス膜を用いて光導
波路を作ることにより、小型、低損失、多機能性の光デ
バイスを実現することが可能となる。
【0042】また、本実施の形態の変形例1として、ア
ルゴンガスに代えて酸素ガスを酸素ガス噴出管32より
基板上に吹きつけても良い。
【0043】これにより、基板表面が酸素アッシング
(ashing)によりクリーニングされるので、ガラ
ス膜上でのパーティクルの発生の防止が可能となる。
【0044】さらに、本実施の形態の変形例2として、
アルゴンガスに代えてアルゴンガスと酸素ガスの混合ガ
スを基板上に吹きつけても良い。
【0045】これにより、同様に基板表面の異物がアル
ゴンスパッタリングにより取り除かれ、酸素アッシング
により基板表面がクリーニングされるので、ガラス膜上
でのパーティクルの発生の防止が可能となる。
【0046】次に、本発明の他の実施の形態を図3、図
4を用いて説明する。
【0047】図3に、本発明の他の実施の形態としての
光導波路用ガラス膜の製造装置を示す。
【0048】図3に示すように、この光導波路用ガラス
膜の製造装置は、図1に示したプラズマCVD装置との
相違点が、屈折率制御用ドーパントの蒸気ガスと有機オ
キシシランの蒸気ガスと酸素ガスを吹きつける代わり
に、屈折率制御用ドーパントの原料ガスとモノシラン
(SiH4 )ガスおよび酸素ガスとを吹きつける点であ
るものである。
【0049】この光導波路用ガラス膜の製造装置に設け
られた下部電極4は、図2(b)に示したような下部電
極4の表面に基板6が入る大きさ形状で下部電極4の表
面と基板6の表面の高さが等しくなるような深さを有し
た窪みがあり、そこに基板6をおくタイプである。
【0050】すなわち、この光導波路用ガラス膜の製造
装置は、図1に示した装置に用いられる密閉ハウジング
2の外に設置した3個の蒸気ガス供給タンク17,2
1,25に代えて、3個のガスボンベ35,38,41
を用いており、それぞれガスボンベ35はバルブ34、
ガス導入管43を介して、ガスボンベ38はバルブ3
7、ガス導入管44を介して、ガスボンベ41はバルブ
40、ガス導入管45を介して上部電極3中に導かれ
る。
【0051】第1のガスボンベ35は、屈折率を低くす
る屈折率制御用ドーパントの原料ガス36、例えば、B
2 6 、C2 6 、CF4 等のガスを収容している。
【0052】第2のガスボンベ38は、屈折率を高くす
る屈折率制御用ドーパントの原料ガス39、例えば、P
3 、GeH4 等のガスを収容している。
【0053】第3のガスボンベ41は、モノシランガス
42を収容している。
【0054】さらに密閉ハウジング2には、上述したよ
うに内部に酸素を噴出できるように、酸素ガス導入管3
2が接続されている。
【0055】この図3に示した製造装置による光導波路
用ガラス膜の製造方法について説明する。
【0056】プラズマCVD装置1の密閉ハウジング2
内において、液体トラップ11、ロータリーポンプ12
および排ガス処理装置13の駆動により密閉ハウジング
2内を真空排気し、下部電極4上に載置した基板6をヒ
ータ7により100〜400℃の温度に加熱する。次に
基板6の上面にアルゴンガスを、アルゴンガス噴出管3
1より吹きつける。
【0057】このような状態で上部電極3および下部電
極4の間に13.56MHzの高周波電圧を印加するこ
とによりプラズマ5を発生させ、基板6の上面をスパッ
タリングさせ、付着している異物を取り除く。
【0058】その後、バルブ34,40を開け、ガスボ
ンベ35より屈折率を低くする屈折率制御用ドーパント
の原料ガス36をガス導入管43を介して上部電極3へ
導入し、ガスボンベ41よりモノシランガス42をガス
導入管45を介して上部電極3へ導入する。さらに酸素
導入管32により酸素ガスを上部電極3へ導入する。そ
うすることにより、これらのガスが上部電極3より密閉
ハウジング2内に噴出する。
【0059】このような状態で上部電極3および下部電
極4の間に13.56MHzの高周波電圧を印加するこ
とによりプラズマ5を発生させる。
【0060】プラズマ5により基板6の表面が酸素アッ
シングされてクリーニングにされると共に、その基板6
の表面に屈折率の高い屈折率制御用ドーパントを含んだ
バッファ層用あるいはクラッド用ガラス膜が形成され
る。
【0061】コア層用ガラス膜を形成するには、最初
に、基板6の上面にアルゴンガスを、アルゴンガス噴出
管31より吹きつける。
【0062】このような状態で上部電極3および下部電
極4の間に13.56MHzの高周波電圧を印加するこ
とによりプラズマ5を発生させ、基板6の上面をスパッ
タリングさせ、付着している異物を取り除く。
【0063】その後、バルブ37,40を開け、ガスボ
ンベ38より屈折率を高くする屈折率制御用ドーパント
の原料ガス39をガス導入管44を介して上部電極3へ
導入し、ガスボンベ41よりモノシランガス42をガス
導入管45を介して上部電極3へ導入する。さらに酸素
導入管32により酸素ガスを上部電極3へ導入する。こ
れらのガスは、上部電極3から密閉ハウジング2内に噴
出される。
【0064】このような状態で上部電極3および下部電
極4の間に13.56MHzの高周波電圧を印加するこ
とによりプラズマ5が発生する。
【0065】プラズマ5により基板6の表面が酸素アッ
シングされてクリーニングにされると共に、その基板6
の表面に屈折率の高い屈折率制御用ドーパントを含んだ
コア膜用のガラス膜が形成される。
【0066】尚、図3に示した光導波路用ガラス膜の製
造装置では、3種類のガスを用いたが、3種類以上のガ
スを混合して用いても構わない。
【0067】図4に、本発明の他の実施の形態としての
光導波路用ガラス膜の製造装置を示す。
【0068】図4に示すように、この光導波路用ガラス
膜の製造装置は、図3に示したプラズマCVD装置との
相違点が、屈折率制御用ドーパントの蒸気ガス、有機オ
キシシランの蒸気ガス、屈折率制御用ドーパントの原料
ガスとモノシランガスを併用した点であるものである。
【0069】この光導波路用ガラス膜の製造装置に設け
られた下部電極4は、図2(c)に示したような下部電
極4の表面に凹凸が無い平面でその上に基板6を置き、
基板周囲を材質が石英ガラスの電極カバーで覆うタイプ
である。
【0070】すなわち、この光導波路用ガラス膜の製造
装置は、図1、図3に示した装置に用いられる密閉ハウ
ジング2の外に設置した1個のガスボンベ47および2
個の蒸気ガス供給タンク50,54を用いている。
【0071】第1のガスボンベ47は、屈折率を低くす
る屈折率制御用ドーパントの原料ガス48、例えば、B
2 6 、C2 6 、CF4 等のガスを収容している。
【0072】第1の蒸気ガス供給タンク50は、屈折率
を高くする屈折率制御用ドーパントを含んだ溶液52、
例えばPO(OC2 5 3 、Ge(OC2 5 4
Al(OC2 5 3 等のアルコキシド類から選ばれた
少なくとも1種類の屈折率制御用ドーパントの溶液を収
容しており、その溶液を酸素ガス導入管51から導入さ
れる酸素ガスで気泡化させて蒸気ガスを発生するように
なっている。
【0073】第2の蒸気ガス供給タンク54には、有機
オキシシラン類、例えばSi(OC2 5 4 、Si
(OCH3 4 等から選ばれた少なくとも1種類の有機
オキシシラン56を収容しており、その有機オキシシラ
ン56を酸素ガス導入管55から導入される酸素ガスで
気泡化させて蒸気ガスを発生するようになっている。
【0074】この図4に示した製造装置による光導波路
用ガラス膜の製造方法について説明する。
【0075】プラズマCVD装置1の密閉ハウジング2
内において、液体トラップ11、ロータリーポンプ12
および排ガス処理装置13の駆動により密閉ハウジング
2内を真空排気し、下部電極4上に載置した基板6をヒ
ータ7により100〜400℃の温度に加熱する。次に
基板6の上面にアルゴンガスを、アルゴンガス噴出管3
1より吹きつける。
【0076】このような状態で上部電極3および下部電
極4の間に13.56MHzの高周波電圧を印加するこ
とによりプラズマ5を発生させ、基板6の上面をスパッ
タリングさせ、付着している異物を取り除く。
【0077】その後、バルブ46,53を開け、ガスボ
ンベ47より屈折率を低くする屈折率制御用ドーパント
の原料ガス48を、蒸気ガス供給タンク54より有機オ
キシシラン56をガス導入管57、バルブ58、及びガ
ス噴出管59を介して上部電極3内へ導入し、密閉ハウ
ジング2内に噴出させる。
【0078】このような状態で上部電極3および下部電
極4の間に13.56MHzの高周波電圧を印加するこ
とによりプラズマ5を発生させる。
【0079】プラズマ5により基板6の表面に屈折率の
低い屈折率制御用ドーパントを含んだバッファ層用ある
いはクラッド用ガラス膜が形成される。
【0080】コア層用ガラス膜を形成するには、最初
に、基板6の上面にアルゴンガスを、アルゴンガス噴出
管31より吹きつける。
【0081】このような状態で上部電極3および下部電
極4の間に13.56MHzの高周波電圧を印加するこ
とによりプラズマ5を発生させ、基板6の上面をスパッ
タリングさせ、付着している異物を取り除く。
【0082】その後、バルブ49,53を開け、第1の
蒸気ガス供給タンク50で発生させた屈折率を高くする
屈折率制御用ドーパント52の蒸気ガス及び第2の蒸気
ガス供給タンク54で発生させた有機オキシシラン56
の蒸気ガスを、ガス導入管57、バルブ58を介して上
部電極3へ導入し、密閉ハウジング2内に噴出させる。
【0083】このような状態で上部電極3および下部電
極4の間に13.56MHzの高周波電圧を印加するこ
とによりプラズマ5が発生する。
【0084】プラズマ5により基板6の表面に屈折率の
高い屈折率制御用ドーパントを含んだコア膜用のガラス
膜が形成される。
【0085】尚、図4に示した光導波路用ガラス膜の製
造装置では、3種類のガス及び有機オキシシランを用い
たが、3種類以上のガス及び有機オキシシランを混合し
て用いても構わない。
【0086】次に、光導波路の作成プロセスを図5を用
いて説明する。
【0087】図5に示すように、まず、上記の方法で基
板表面に、バッファ層用の屈折率の低いガラス膜を形成
し(S1工程)、さらにコア膜用の屈折率の高いガラス
膜を形成した(S2工程)後、この基板を高温(800
℃〜1300℃)で熱処理する(S3工程)。この熱処
理は、必要に応じて酸素ガスあるいは窒素ガス雰囲気で
行うことが望ましい。この熱処理より、より緻密で透明
なガラス膜にすることができる。ついで、そのガラス膜
表面にメタルマスク用のメタル膜、例えばWSiからな
るマスクを形成させ(S4工程)、そのメタル膜の上に
フォトレジストパターンを形成するためのフォトリソグ
ラフィを行った(S5工程)後、ドライエッチングプロ
セスを行う(S6工程)。ついで、クラッド膜形成プロ
セス(S7工程)において、基板上のガラス膜のエッチ
ングパターン全面にバッファ層のガラス膜の屈折率とほ
ぼ等しい屈折率のガラス膜を形成することにより、埋め
込み型あるいはリッジ型の光導波路が実現される。
【0088】次に、光導波路用ガラス膜について具体的
な数値を挙げて説明するが、これに限定されるものでは
ない。
【0089】図1に示した装置を用いて図5に示す光導
波路の作成プロセス、すなわち本発明にかかる光導波路
用ガラス膜の製造方法によって図6に示すような構造の
直線ガラス導波路を作成した。図6は図1に示したプラ
ズマCVD装置により形成した石英系光導波路の断面図
である。
【0090】図6に示すように、基板60上に形成され
た石英系ガラスからなるコア62のサイズは、シングル
モードとなるように幅約9μm、高さ約9μmとし、石
英系ガラスからなるバッファ層61及びクラッド層63
の高さを約10μmとした。また直線ガラス導波路の長
さを約50mmとし、コア62とクラッド層63との比
屈折率差が0.45%となるように調整した。
【0091】比較例として、従来の装置を用いて図5に
示す光導波路の製造プロセス、すなわち従来の光導波路
用ガラス膜の製造方法によって図7に示す構造の直線ガ
ラス導波路を製造した。
【0092】図7に示すように、従来の石英系ガラスか
らなるコア66のサイズは、シングルモードとなるよう
に、幅約9μm、高さ約9μmとし、石英系ガラスから
なるバッファ層65及びクラッド層67の厚さを約10
μmとした。また直線ガラス導波路の長さを約50mm
とし、コア66とクラッド層67との比屈折率差が0.
45%となるように調整した。
【0093】このようにして本発明にかかる光導波路用
ガラス膜の製造方法により得られた直線ガラス導波路と
従来の光導波路用ガラス膜の製造方法により得られた直
線ガラス導波路の波長1.3μmにおける損失特性を表
1に示す。
【0094】
【表1】
【0095】表1に示すように、従来の光導波路用ガラ
ス膜の製造方法により製造作成したガラス導波路の損失
特性が0.15dB/cmであるのに対して、本発明の
光導波路用ガラス膜の形成方法により作成したガラス導
波路の損失特性が0.09dB/cmであり、低損失で
あることが分かる。
【0096】以上において、本発明にかかる光導波路用
ガラス膜の製造方法によれば、アルゴンスパッタリング
により、基板表面の異物を取り除いた後に、原材料ガス
を供給し、高周波電圧を印加してプラズマを発生させ成
膜を行うため基板表面の異物を核としたパーティクルの
発生を防止することが可能となる。したがって低損失の
光導波路を得ることができる。
【0097】
【発明の効果】以上要するに本発明によれば、次のよう
な優れた効果を発揮する。
【0098】アルゴンスパッタリングにより、基板表面
の異物を取り除き、あるいは酸素アッシングにより基板
表面をクリーニングした後に、原材料ガスを供給し、高
周波電圧を印加してプラズマを発生させ、成膜を行うた
め、基板表面の異物を核としたパーティクルの発生を防
止することが可能となり、この方法で得られたガラス膜
付基板(予め低屈折率のガラス膜を有する)を用いて光
導波路を作ることにより、小型、低損失、多機能性の光
デバイスを実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す光導波路用ガラス
膜の製造装置の概略図である。
【図2】図1の光導波路用ガラス膜の製造装置の下部電
極の拡大図である。
【図3】本発明の他の実施の形態を示す光導波路用ガラ
ス膜の製造装置の概略図である。
【図4】本発明の他の実施の形態を示す光導波路用ガラ
ス膜の製造装置の概略図である。
【図5】本発明の光導波路の製造プロセスを示す流れ図
である。
【図6】本発明により製造した石英系光導波路の断面図
である。
【図7】従来の光導波路用ガラス膜の製造方法により作
成した石英系光導波路の断面図である。
【符号の説明】
2 密閉ハウジング 3 上部電極 4 下部電極 5 高周波(RF)電圧印加装置 6 基板 31 Arガス導入管 32 O2 ガス導入管 p プラズマ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空に保たれた低温プラズマ雰囲気中で
    基板の表面に、屈折率の低いガラス膜あるいは屈折率の
    高いガラス膜を形成する光導波路用ガラス膜の製造方法
    において、上記ガラス膜を形成する前に上記基板へアル
    ゴンガスを吹き付けると共に上記基板が載置される下部
    電極と該下部電極に対向してその上側に配置された上部
    電極との間に高周波電圧を印加してプラズマを発生さ
    せ、上記基板表面をスパッタリングした後、成膜を開始
    することを特徴とする光導波路用ガラス膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 アルゴンガスの代わりに酸素ガスを用い
    る請求項1記載の光導波路用ガラス膜の製造方法。
  3. 【請求項3】 アルゴンガスの代わりにアルゴンガスと
    酸素ガスを併用する請求項1記載の光導波路用ガラス膜
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 光導波路用ガラス膜を形成すべく基板を
    収容する密閉ハウジングと、該密閉ハウジング内で基板
    が載置される下部電極と、該下部電極に対向してその上
    側に配置された上部電極と、密閉ハウジングを真空に保
    つ排気装置と、上記密閉ハウジング内にプラズマを発生
    させるため上記電極間に高周波電圧を印加する高周波電
    圧印加装置と、上記密閉ハウジング内に成膜に必要なガ
    スを供給するガス供給装置とを有する光導波路用ガラス
    膜の製造装置において、上記密閉ハウジング内にアルゴ
    ンガスと酸素ガスを供給するガス供給装置を備えたこと
    を特徴とする光導波路用ガラス膜の製造装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017028012A (ja) * 2015-07-17 2017-02-02 ラピスセミコンダクタ株式会社 半導体製造装置及び半導体製造方法
WO2023073878A1 (ja) * 2021-10-28 2023-05-04 株式会社Fuji プラズマ照射装置及びプラズマ処理液体製造方法

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