JP2000206255A - X線検出器 - Google Patents
X線検出器Info
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Abstract
ズを低減し、信号電荷検出におけるダイナミックレンジ
の低下を防止するX線検出器を提供する。 【解決手段】最初のX線パルスの印加から次のX線パル
スの印加までの期間において、1画素目の信号を読み出
し(第1サイクル)、その直後から特定時間が経過する
まで(行の画素電荷が1番目のサイクルによって全て読
み出される以前)に、その画素のノイズ信号を収集する
(第2サイクル)。続いて2画素目の信号を読み出し
(第1サイクル)、1画素目と同様に2画素目のノイズ
信号を収集する(第2サイクル)。このような動作をN
行分、すなわち1画像分について繰り返す。
Description
線診断装置に用いられるX線検出器に関する。
読み出しには様々な手法があるが、X線照射後に各画素
に蓄積された画素電荷をスイッチング素子を経由して信
号線に読み出す方式が広く知られており、この方式を実
現する最も簡単な構成の読み出し回路は、図7(図8は
そのタイミングチャート)に示すようなチャージアンプ
で電荷を電圧変換してサンプリングするものであり、参
考文献("Constructionand evaluation of a prototype
real-time detector",Zhao et.al,:Med Phys.Vol.24(1
2),1997)を参考にできる。また、かかる構成を有する
回路は、EG&G社により商品名(Amplifier-Multiple
xer array chip,MB Series)として市販されてもいる。
ように信号線とグランド線の電位分布によるノイズN0
やチャージアンプの差動入力間に発生するノイズN1が
考えられており、後者が支配的であるとされている。ま
た、チャージアンプ出力電圧に重畳するノイズが次式に
よって与えられることも知られている。
ズN1)・(1+(Cs/Cf)) ここで、Csはスイッチング素子からチャージアンプ入
力までの容量成分であり、信号線の浮遊容量なども含ま
れる。Cfはチャージアンプの出力電圧Voと入力電荷
量Qとの関係を与える容量成分であり、チャージアンプ
の出力電圧Vo=入力電荷量Q/Cfと表される。
低減するためには、チャージアンプの性能を格段に向上
させるとともにCsの値を小さくすることが必要であ
る。
可能であるばかりか、2次元アレイ検出器の各画素の電
荷を運ぶ信号線が長くなればなるほど大きくなってしま
う。このためノイズの低減には限界があった。また、仮
にCsが十分に小さくなるような設計がなされたとして
も、チャージアンプのノイズ成分N1以下には低減でき
ない。チャージアンプのノイズは、これを構成する初段
のFET等の性能で決まる。このFET等の性能向上に
も限界があり、低ノイズのものは高価であるため量産が
困難になる。
めには、差動増幅器などの能動素子が使用されるが、一
般に、これら能動素子はオフセット電流を発生する。す
なわち、電荷蓄積が行われている最中に、信号電荷とは
無関係のオフセット電流が発生し、かかるオフセット電
流に基づく電荷が信号電荷に重畳して蓄積されてしま
う。つまり、図8に示されるτの期間に蓄積されるオフ
セット電流が、Cfにオフセット電荷を形成して信号電
荷に重なるわけである。
を照射しない状態の暗時画像をあらかじめ収集してお
き、X線を照射したときの画像から暗時画像を減じるな
どの補正が行われているが、かかる補正を行うことでA
/D変換器のダイナミックレンジが損なわれるという問
題があった。すなわち、信号電荷に比べてオフセット電
荷が同等に存在する場合には、A/D変換器の入力レン
ジの半分をオフセット電荷が占めることになり、ダイナ
ミックレンジが半減する。したがって、オフセット電流
の補正はA/D変換よりも前の段階で行うこととし、有
効ビット数を損なわないようにすることが望ましい。
参考文献(「"CMOSlow noise amplifier for micro
strip readout design and results"」,Nuclear Instru
ments and Method in Physics Research A301(1991))
に記載の回路は、チャージアンプ出力からサンプリング
までの間に、以下のように表される周波数特性の回路
(ノイズ低減回路)をさらに具備して成る。
(SQRは根号を表わす) ここで、a=Cd/Cx,b=1/(Cx・Rx)であ
り、wはこの回路に入力する信号の角周波数成分であ
る。
除去できるため、結果としてサンプリング時のノイズは
低減する。
器で構成された積分器を付加した回路も同参考文献にて
開示されており、このような積分器を付加することによ
って高周波ノイズまでも除去できるという効果がある。
器のようにパルス状に到来する放射線で生じた電荷を逐
次に検出する目的で考案されたものであり、図9に示す
ように出力波形がパルス状になる。このパルスの位置
は、信号線上に存在する抵抗値に依存する。またピーク
値は、この抵抗値と信号源となる電荷量とで定まる。し
たがって、抵抗値が一定であるならばピーク位置をあら
かじめ求めておき、その位置でサンプリングすれことで
電荷量に対応する信号を得ることができる。
するスイッチング素子として抵抗値が電荷量によって変
化する特性のものが使われることがある。つまり、図1
0に示すように電圧(Vds)と電流(Ids)との関
係が線形関係とはならない。これは、トランジスタ構造
を有するスイッチング素子では一般的に観測される特性
であるが、このような特性により、上述したようなノイ
ズ低減回路を使用すると、ピーク位置が電荷量に依存し
て変動し、これにより、一定のタイミングでサンプリン
グすることができなってしまう。また、ピーク値と電荷
量の関係も非常に煩雑な関係となることから、以上述べ
たような従来の回路構成をそのままX線検出器に適用す
ることは困難であるという問題があった。
情を考慮してなされたものであり、その目的は、各画素
のスイッチング素子の特性が非線形特性であっても安定
して画素信号を読み出すことができ、しかもノイズ低減
とオフセット補正を行えるX線検出器を提供することで
ある。
を達成するために、本発明のX線検出器は次のように構
成されている。 (1)本発明のX線検出器は、行×列の2次元マトリク
ス状に配列された複数の画素に対応して設けられ、入射
したX線を電荷に変換する電荷変換手段と、前記電荷変
換手段に対応して設けられ、前記電荷変換手段により変
換された電荷を蓄積する電荷蓄積手段と、前記電荷蓄積
手段に蓄積された電荷を読み出すことで行内の所定の画
素からの信号を得る第1のサイクル、及びこの第1のサ
イクルにおいて画素信号に重畳したノイズ信号を収集す
る第2のサイクルを、当該行の画素電荷が前記第1のサ
イクルによって全て読み出される以前に実行する読み出
し手段と、を具備する。 (2)本発明のX線検出器は、上記(1)に記載の装置
であって、且つ前記読み出し手段は、少なくとも、電荷
蓄積回路及びその電荷蓄積動作を作動させる第1のスイ
ッチ手段、又は電圧積分回路及びその電圧積分動作を作
動させる第2のスイッチ手段のいずれかを含むことを特
徴とする。 (3)本発明のX線検出器は、上記(2)に記載の装置
であって、且つ前記ノイズ信号は、前記電荷蓄積回路又
は電圧積分回路のチャージインジェクションに係る成分
を含むことを特徴とする。 (4)本発明のX線検出器は、上記(2)に記載の装置
であって、且つ前記ノイズ信号は、前記電荷蓄積回路又
電圧積分回路のオフセット電流に係る成分を含むことを
特徴とする。 (5)本発明のX線検出器は、上記(2)乃至(4)の
いずれかに記載の装置であって、且つ前記読み出し手段
の電荷蓄積回路による電荷蓄積動作が作動する期間より
も前記電圧積分回路による電圧積分動作が作動する期間
が短くなるように、前記第1、第2のスイッチ手段を制
御する手段を具備することを特徴とする。 (6)本発明のX線検出器は、上記(1)乃至(5)の
いずれかに記載の装置であって、且つ前記電荷蓄積手段
から電荷を読み出すためのスイッチング素子をさらに具
備し、前記読み出し手段は、当該スイッチング素子を介
して前記電荷蓄積手段に蓄積された電荷を読み出すこと
を特徴とする。 (7)本発明のX線検出器は、上記(6)に記載の装置
であって、且つ前記ノイズ信号は、前記スイッチング素
子のチャージインジェクションに係る成分及び前記スイ
ッチング素子からのリーク電流に係る成分を含むことを
特徴とする。 (8)本発明のX線検出器は、上記(1)乃至(7)の
いずれかに記載の装置であって、且つ前記第1のサイク
ルにより得られた画素信号を保持する第1の保持手段
と、前記第2のサイクルにより得られたノイズ信号を保
持する第2の保持手段と、前記第1の保持手段により保
持されている画素信号から前記第2の保持手段により保
持されているノイズ信号を減ずる減算手段と、をさらに
具備することを特徴とする。 (9)本発明のX線検出器は、上記(1)乃至(7)の
いずれかに記載の装置であって、且つ前記スイッチング
素子と電荷蓄積回路の間に設けられる電流増幅器と、照
射X線エネルギーの強度に応じて前記電流増幅器を制御
するための抵抗器と、をさらに具備することを特徴とす
る。
の実施形態を説明する。
形態に係るX線検出器の概略構成を示すブロック図であ
る。このX線検出器は、例えば透視モードと撮影モード
を有する医療用のX線診断装置に用いられる。図1に示
すように、このX線検出器は、N行(ライン)×M列の
2次元アレイ状に配列された画素電極2、この画素電極
2に対応して設けられるTFT(薄膜トランジスタ)
3、読み出し回路4、ゲートドライバ5、アナログマル
チプレクサ6、及びA/D変換器8を備える。
線検出手段を備える。このX線検出手段は、アモルファ
スSe等の光導電体から構成されており、X線が入射す
るとその強度に応じた量の正孔と電子を発生する。光導
電体には電界が掛けられており、電子は高電位側の画素
電極に、正孔は低電位の画素電極にそれぞれ引き寄せら
れる。このような誘電作用により生じた電荷を、後述す
る図2の等価回路においてQと表記する。また、電荷Q
を蓄積する容量成分をCpと表記する。Cpは画素電極
とグラウンド電位との間に設けられた補助的な容量成分
により形成される。或いは、実際のX線検出器では上記
光電体がそのまま容量成分を構成する場合もある。
てM個設けられるTFT3は、ON状態が同時に発生し
ないようにゲートドライバ5により互いに時間をずらし
てスイッチング制御され、これにより同じラインにおい
ていずれか一つのみの画素からの電荷が信号線に出力さ
れる。
照射によって各画素に蓄積された電荷QがTFT3及び
信号線を介して読み出され、その電荷量に応じた信号電
圧に変換される。この信号は、Nラインほぼ同時にアナ
ログマルチプレクサ6に入力される。アナログマルチプ
レクサ6は、Nラインの入力信号を順次に切り替えて1
次元の電気信号の流れを形成する。この信号はA/D変
換器8によりデジタル信号に変換されるとともに図示し
ない2次元メモリに格納され、かくして2次元のデジタ
ル画像が形成される。
出器を構成する本実施形態のX線検出器の1ラインに相
当する画素回路を示す図である。なお、この回路図で
は、実際には列数に応じて1ライン上にM個存在する画
素回路のうちの一つが示されている。また、このような
1ライン分の回路が、検出器全体ではライン数に応じて
N個配列される。図2に示すように、画素電極2にはT
FT3を介して信号線9が接続される。この信号線9に
は、電流アンプ10、電荷蓄積回路12、電圧積分回路
14が接続されている。電流アンプ10は、S/N向上
のため設けられるが、本発明において必須の要素ではな
い。
0、電荷蓄積回路12、電圧積分回路14を経て、2回
の読み出しサイクルにおいて得られたサンプリング出
力、つまり、Csample1及びCsample2に
ホールドされた信号電圧が減算器16により差分処理さ
れ、この差分信号がNラインほぼ同時にアナログマルチ
プレクサ6に入力されるものとなっている。
を表す図である。
本発明の読み出し動作のタイミングチャート示してお
り、読み出しTFT(2)は、従来例の読み出し動作の
タイミングチャートを示している。
スの印加までの期間において、本発明では、1画素目の
信号を読み出し(第1サイクル)、その直後から特定時
間が経過するまで(行の画素電荷が1番目のサイクルに
よって全て読み出される以前)に、その画素のノイズ信
号(ノイズの内訳については後述する)を収集する(第
2サイクル)。
イクル)、1画素目と同様に2画素目のノイズ信号を収
集する(第2サイクル)。このような動作をN行分、す
なわち1画像分について繰り返す。
線パルスの印加から次のX線パルスの印加までの期間に
おいて、1画素目,2画素目,3画素目,...という
具合に順番に読み出してゆき、N行分すなわち1画像分
の読み出しが終了したら、オフセット1,オフセット
2,オフセット3,...という具合に、N行分すなわ
ち1画像分についてオフセット収集(ノイズ信号の収
集)を行う。
の読み出し動作を実現するものであり、以下、同回路の
動作を図4を参照しながら説明する。図4は同回路にお
ける所要なコントロール信号及び出力信号の波形を示す
図である。
の画素にそれぞれ対応して設けられるTFT3がOFF
状態のとき、X線照射が行われる。これにより生じた電
荷Qは電荷蓄積手段Cpに蓄積される。
電荷蓄積手段Cpに蓄積された電荷を読み出すことで行
内の所定の画素からの信号を得るための1番目のサイク
ル(第1のサイクル)が開始される。すなわち、先ずリ
セットスイッチSW1がONからOFFに設定される。
W1からのチャージインジェクションが生じ、V1がわ
ずかに変化する。その後、TFT3がONに設定され、
このとき同様にチャージインジェクションが生じてV1
はさらにわずかに変化するとともにTFT3を経由して
電荷Qが電流アンプ10に向って移動を開始する。図4
において、この電荷移動の様子が電流I1として示され
ている。
R1を通過するときはRi/R1の増幅率で増培され、
次段の電荷蓄積回路12のコンデンサC1に流入し、電
荷が蓄積される。電荷蓄積回路12は、図示のように能
動素子により形成されている場合、オフセット電流Io
s1を発生する。このオフセット電流Ios1は、電流
アンプ10を経由してきた電流と同様にコンデンサC1
に流入し、電荷が蓄積される。
荷の蓄積によって生じる電圧に、オフセット電流Ios
1の蓄積によって生じる電圧が重畳されたものである。
これにより、十分に時間が経過して電荷Qがコンデンサ
C1に蓄積された後、電圧V1は一定の値に落ち付くは
ずであるが、実際にはオフセット電流Ios1のために
上昇を続けることになる。また、電圧積分回路14の差
動増幅器からも同様にオフセット電流Ios2が発生す
る。
C1に蓄積された後、リセットSW2がONからOFF
に制御される。その結果、電圧V2は、SW2をOFF
した瞬間のチャージインジェクションによる電圧変化
に、電圧V1の積分結果が重畳された波形となる。ま
た、電圧V2にはオフセット電流による等価な電圧成分
が混入し、つまり図中で示されるように、時間とともに
次第に上昇する電圧波形が生じるが、その波形には、以
下、乃至の成分が重畳している。
成分 TFT3のチャージインジェクションの積算成分 電圧積分回路14のチャージインジェクション成分 オフセット電流の積算成分 TFT3からのリーク電流による成分 したがって、SW2をOFFした瞬間から時間τ1が経
過した時点でSWsample1を制御してサンプリン
グを行うと、結果的には次の信号が保持されることにな
る。
(,,,,の成分) ここで、α1は電流アンプ10、電荷蓄積回路12、電
圧積分回路14を通したゲインである。
1,SW2を全てONにすると、図4の回路における所
定のコンデンサに蓄積した電荷が消滅するとともに電圧
V1,V2はグラウンドレベルに復帰する(第1のサイ
クル終了)。しかる後、1番目のサイクルにおいて画素
信号に重畳したノイズ信号を収集するための2番目のサ
イクルが開始される。
同様にTFT,SW1,及びSW2を順にOFFしてい
く動作である。この2番目のサイクルは、電荷Qが既に
読み取られている点のみについて1番目のサイクルと相
違し、すでに説明したチャージインジェクションやオフ
セット電流が電圧V2の生成原因となる。
サイクルと同じに設定すれば、1番目のサイクルとの差
は電荷Qによる成分のみとなる。ここで、1番目のサイ
クルのサンプリングによって既に保持されている電圧V
OUT1と、2番目のサイクルのサンプリングにより保
持された電圧VOUT2との差分を減算器15により求
める。これにより、オフセット電流やチャージインジェ
クションによる成分が除かれた信号、つまり電荷Qだけ
で決まる信号を得ることができる。
討する。
ともノイズ源N0,N1,及びN2が存在し、電圧V1
はこれらのノイズが重畳した波形となるが、このノイズ
は電圧積分回路14により大幅に低減される。すなわ
ち、電圧積分回路14の周波数伝達関数は、 1/(R2・C2・w) (wは入力信号の周波数fに
2πを乗じたもの) であり、周波数が高ければ高いほど、電圧積分回路14
によるノイズ低減効果は高くなる。
れるが、V1に対してV2には、 V2=(V1・τ1)/(R2・C2) という電圧が生じる。
をN(w)とすると、 V1でのS/N=V1/N(w)、 V2でのS/N=(V1/N(w))・τ1・w と推定され、τ1・wの倍率でS/Nを改善できる。具
体的には、例えばτ1を5μsに設定すると1MHzの
ノイズに対して約30倍のS/N改善が見込めることに
なる。
成分に近い場合は、τ1を大きくしない限りS/Nを改
善できないことになるが、このような低周波成分のノイ
ズについては、減算器16により1番目のサイクルのサ
ンプル値と2番目のサイクルのサンプル値との差分を得
る過程で除去される。
波成分のノイズについては電圧積分回路14により低減
でき、低周波成分のノイズについては減算器16により
除去でき、高周波及び低周波の両ノイズを低減できる。
体的なパラメータを与えた場合について説明する。
蓄積される電荷は、約1fCから10pC程度を想定す
る。これは、医療用のX線診断装置に用いられるX線検
出器としては、透視モードから撮影モードまでサポート
する必要があり、約1万倍ものダイナミックレンジが要
求されるからである。この電荷はTFT3がON状態に
あるときの抵抗値とCpの時定数を伴って電流アンプ1
0に流入し、電流アンプ10の出力端子では次に示す電
圧が発生する。
ほぼ1MΩであり、Cpを1pFとすれば、電圧Vの最
小値はRi×1×10−9であるから、最低でも100
μVの電圧を発生させるために、Riの値を100kΩ
に設定する。
る熱雑音電圧の振幅がΔf=1MHzで約50μVであ
るため、最低でもこの雑音と信号との間でS/N=2程
度以上を確保するためである。さらに電流I2はRi/
R1の増幅率で増幅される。この電流が大きければ大き
いほど図中の電圧V1は大きくなる。この電圧V1は十
分時間が経過した後には、次式(1)で表される信号電
圧を発生する。
1=100kΩ、C1=10pFという設定を行えばよ
く、この程度の電圧が確保されれば熱雑音に対する影響
は殆ど無視できる。一方、最大値は1V程度であり、差
動増幅器内部の電圧として全く障害が生じるレベルでは
ない。
に積分される。このときV2の信号成分に対する波形
は、 V2=(Ri/(C1・R1・C2・R2))・Q・τ1 …(2) となる。2次元アレイ検出器が例えば1000×100
0マトリクスで構成されていると仮定し、1秒間に30
フレームの画像収集を行う場合には、1ラインあたり3
3msの時間でライン上のデータを読み取る必要があ
る。この場合、1画素の読み出し時間は約30μsであ
る。したがって、1番目のサイクル及び2番目のサイク
ルは、ともに15μs以下に設定しなければならない。
一方、V1が十分安定するまでの時間はCp・Rの時定
数に従うが、Cp・Rt=1μsであり、TFTをON
して10μs経過した時点では十分安定している。従っ
てτ1は5μs以下に設定する。ここではτ1=3μs
と仮定すると、C2・R2=3μsとなるように選択す
れば、V2の変動幅はV1の変動幅と同じに設計できる
ことになる。実際には、すでに述べたようにオフセット
電流やチャージインジェクションの影響でV1、V2は
大きくなるが、差動増幅器内の電圧のダイナミックレン
ジを十分超えない範囲になるような設計が可能であるこ
とは明白である。
るサンプルホールド値が本発明の回路から出力される
が、この差分を生成する回路(減算器16)や、さらに
後段の回路、例えばA/D変換器などの入力ダイナミッ
クレンジに合わせてC2・R2の値を選択することも可
能である。以上述べた設定例の他にも回路定数の選択が
可能であることは言うまでもない。
R1を切り替える手段について説明する。
10pCまでの広い変動幅がある。より安全に回路を設
計するためにより広い変動幅を考慮することも得策であ
る。しかしながら、一回のX線照射で空間的に大幅に変
動するわけではなく、照射手技(照射モード)全てを含
めてこのような変動が生じるということを考慮すべきで
ある。例えば、透視モード時は電荷Qは1fC〜1p
C、撮影モード時は10fC〜10pCと簡単に近似す
ることもできる。図5に示す抵抗器R1は、このような
2つのモードに対して電流増幅率を変化させる目的で構
成されている。例えば図5(a)は、透視モード時には
図示したSWをONし、撮影モード時にはOFFするた
めの回路構成である。この構成によれば、透視モードに
おいて電流増幅率を10倍ほど大きくすることができ
る。例えば、R1−1を10kΩ、R1−2を90kΩ
に設定すると、透視モード時にはV1及びV2の電圧を
10倍ほど上昇させることができる。これにより透視モ
ードでは信号成分を相対的に大きくすることができ、こ
れによりS/Nを向上できる。また、VOUT1及びV
OUT2の電圧のダイナミックレンジを低減させること
が可能になり、A/D変換器のビット数を減らして回路
規模を減少させることなどにも効果がある。
ば、2次元アレイ検出器を構成するスイッチング素子の
電圧−電流特性が電荷量によって変動したり、あるいは
温度のような外部環境によって影響を受けた場合でも、
安定して信号検出を行うことのできるX線平面検出器を
提供できる。
形態を説明する。
1実施形態において図2に示した回路の動作タイミング
の変形例を示している。
のサイクルの周期を短くしている。これにより、1画素
の読み出しサイクルを短縮でき、あるいは積分時間を長
くすることでノイズ低減効果を向上できるなどの利点が
得られる。しかし、この例では1番目のサイクルと2番
目のサイクルのSWの開閉タイミングを変化させるもの
であるため、1番目のサイクルでサンプリングされた結
果から単純に2番目のサンプリングの結果を減じても、
オフセット電流やチャージインジェクションを完全には
補正できない。
おくなどして適切な補正を行う必要があるが、チャージ
インジェクションとオフセット電流の一部を低減できる
ので、A/D変換器など後段の回路のダイナミックレン
ジを損なう度合いを軽減できるという利点が得られる。
らにTFTをONして十分な時間(Cp・Rtより十分
大きい時間)が経過した後、V1には信号成分Sigと
オフセット電流による成分Bi、及びチャージインジェ
クションによる成分Bcが含まれている。信号成分Si
gは式(1)によって表わされることについてはすでに
述べたが、オフセット電流の成分Biは、コンデンサC
1に流入していくための項のみが時間tともに次第に増
加していく。
るわけであるから、1番目のサイクルのサンプリングで
サンプルされた電圧V2(1)は図示したタイミングパ
ラメータτ1、τ2を用いて、 V2(1)=τ1・Sig+τ1・Bc+(2・τ2−
τ1)・τ1・Bi/2 なる電圧を形成する。
でに消滅しているため、BcとBiの成分だけがサンプ
ルされ、図示したタイミングパラメータτ3、τ4を用
いてV2(2)=τ3・Bc+(2・τ4−τ3)・τ
3・Bi/2となる。ここで、τ1=τ3となるように
設定してV2(1)からV2(2)を減じると、 V2(2)−V2(1)=τ1・Sig+τ1・Bi・
(τ2−τ4) が得られる。
セット電流が蓄積された分が誤差としてSigに重畳す
る。この誤差は後段のA/D変換器のダイナミックレン
ジを損なうが、従来回路ではτ2の間のオフセット電流
が蓄積されることと比較すれば(τ2−τ4)/τ2だ
けオフセット成分を低減できるという効果が生じる。
ば、画像処理などの追加的な補正が必要となるが、A/
D変換器のダイナミックレンジの改善を期待でき、しか
もノイズを低減できる。このような本実施形態は、高速
に読み出すことが必要な状況(例えば透視モード)で有
効である。
れず種々変形して実施可能である。
積した信号電荷の読み出し時に重畳するノイズを低減
し、信号電荷検出におけるダイナミックレンジの低下を
防止するX線検出器を提供できる。
構成を示すブロック図
る第1実施形態のX線検出器の1ラインに相当する画素
回路を示す図
び出力信号の波形を示す図
ための回路図
おいて図2に示した回路の動作タイミングの変形例を示
す図
イミングチャート
(Ids)との関係を示すグラフ
Claims (9)
- 【請求項1】 行×列の2次元マトリクス状に配列され
た複数の画素に対応して設けられ、入射したX線を電荷
に変換する電荷変換手段と、 前記電荷変換手段に対応して設けられ、前記電荷変換手
段により変換された電荷を蓄積する電荷蓄積手段と、 前記電荷蓄積手段に蓄積された電荷を読み出すことで行
内の所定の画素からの信号を得る第1のサイクル、及び
この第1のサイクルにおいて画素信号に重畳したノイズ
信号を収集する第2のサイクルを、当該行の画素電荷が
前記第1のサイクルによって全て読み出される以前に実
行する読み出し手段と、 を具備することを特徴とするX線検出器。 - 【請求項2】 前記読み出し手段は、少なくとも、電荷
蓄積回路及びその電荷蓄積動作を作動させる第1のスイ
ッチ手段、又は電圧積分回路及びその電圧積分動作を作
動させる第2のスイッチ手段のいずれかを含むことを特
徴とする請求項1に記載のX線検出器。 - 【請求項3】 前記ノイズ信号は、前記電荷蓄積回路又
は電圧積分回路のチャージインジェクションに係る成分
を含むことを特徴とする請求項2に記載のX線検出器。 - 【請求項4】 前記ノイズ信号は、前記電荷蓄積回路又
電圧積分回路のオフセット電流に係る成分を含むことを
特徴とする請求項2に記載のX線検出器。 - 【請求項5】 前記読み出し手段の電荷蓄積回路による
電荷蓄積動作が作動する期間よりも前記電圧積分回路に
よる電圧積分動作が作動する期間が短くなるように、前
記第1、第2のスイッチ手段を制御する手段を具備する
ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載のX
線検出器。 - 【請求項6】 前記電荷蓄積手段から電荷を読み出すた
めのスイッチング素子をさらに具備し、 前記読み出し手段は、当該スイッチング素子を介して前
記電荷蓄積手段に蓄積された電荷を読み出すことを特徴
とする請求項1乃至5のいずれかに記載のX線検出器。 - 【請求項7】 前記ノイズ信号は、前記スイッチング素
子のチャージインジェクションに係る成分及び前記スイ
ッチング素子からのリーク電流に係る成分を含むことを
特徴とする請求項6に記載のX線検出器。 - 【請求項8】 前記第1のサイクルにより得られた画素
信号を保持する第1の保持手段と、 前記第2のサイクルにより得られたノイズ信号を保持す
る第2の保持手段と、 前記第1の保持手段により保持されている画素信号から
前記第2の保持手段により保持されているノイズ信号を
減ずる減算手段と、 をさらに具備することを特徴とする請求項1乃至7のい
ずれかに記載のX線検出器。 - 【請求項9】 前記スイッチング素子と電荷蓄積回路の
間に設けられる電流増幅器と、 照射X線エネルギーの強度に応じて前記電流増幅器を制
御するための抵抗器と、 をさらに具備することを特徴とする請求項1乃至7のい
ずれかに記載のX線検出器。
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