JP2000206076A - 電気化学センサの保存液、較正液および保存方法 - Google Patents

電気化学センサの保存液、較正液および保存方法

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JP2000206076A JP11010665A JP1066599A JP2000206076A JP 2000206076 A JP2000206076 A JP 2000206076A JP 11010665 A JP11010665 A JP 11010665A JP 1066599 A JP1066599 A JP 1066599A JP 2000206076 A JP2000206076 A JP 2000206076A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】センサ使用中の経時的なセンサ出力の低下を防
止し、繰り返し測定時の再現性を向上させるという新規
な機能を備えたセンサ保存液、較正液およびセンサ保存
方法を提供すること。 【解決手段】電気化学センサの保存液および較正液に、
尿素、チオ尿素、メチル尿素等の尿素化合物を添加す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液体中の特定成分
を電気化学的手法を用いて分析する電気化学センサの保
存液、較正液および保存方法に関する。
【0002】
【従来の技術】生体試料等に含まれる各種成分の測定方
法として、酵素反応と電気化学反応を組み合わせた測定
方法が広く用いられている。たとえば、溶液中の化学物
質を酵素の触媒機能により他の物質に変換し、この物質
を酸化還元反応により計測する電気化学センサが汎用化
している。
【0003】電気化学センサの使用方法として、使用時
以外は保存液に浸漬してセンサの電流値や電圧を安定さ
せておき、使用直前に較正液を用いて較正を行った後、
測定を行うのが一般的である。保存液や較正液として
は、通常、緩衝液が用いられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
センサ保存液や較正液により保存および較正を行ったセ
ンサを用いて測定を行った場合、繰り返し測定中にセン
サの出力が経時的に低下し、正しい測定値が得られなく
なることがあった。特に、尿や血液といった体液を測定
対象とした場合、使用により経時的にセンサ出力が低下
する傾向が顕著であり、繰り返し測定時の再現性に欠け
ていた。このようなセンサ出力の低下が起こる理由は、
電気化学センサの電極に使用されている作用極は反応性
が高いため、汚染物質が吸着しやすいことによるもので
ある。汚染物質とは電極表面に吸着して測定結果に負誤
差を生じる化学物質であり、たとえば、アルブミンや尿
素、尿素化合物、クレアチニン等が挙げられる(199
2年、バイオインダストリーVOL.9、NO.12、
20〜25頁)。尿や血液等の生体の体液には、このよ
うな汚染物質が多量に含まれているため、特にセンサ出
力の低下が顕著となりやすいのである。
【0005】上記事情に鑑み、本発明は、センサ使用中
の経時的なセンサ出力の低下を防止し、繰り返し測定時
の再現性を向上させるという新規な機能を備えたセンサ
保存液、較正液およびセンサ保存方法を提供することを
目的とする。また、長期安定性に優れた電気化学センサ
の保存液および較正液を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、作用極
を含む電極系を備えた電気化学センサを保存する際に用
いられる保存液であって、尿素化合物を含有することを
特徴とする電気化学センサの保存液が提供される。
【0007】また本発明によれば、作用極を含む電極系
を備えた電気化学センサを使用前に較正する際に用いら
れる較正液であって、尿素化合物を含有することを特徴
とする電気化学センサの較正液が提供される。
【0008】さらに本発明によれば、電極系を備えた電
気化学センサの保存方法であって、該電気化学センサの
電極系を尿素化合物を含む保存液に浸漬することを特徴
とする電気化学センサの保存方法が提供される。
【0009】上記保存液および較正液は、尿素化合物を
含有している。このため、上記保存液および較正液に浸
漬等されたセンサの表面には尿素化合物の層が形成され
る。この層が汚染物質から電極を保護する役割を果た
し、センサ出力の経時的低下を防止するのである。この
際、尿素化合物の層は、電極表面の全体を被覆するよう
に形成されることが好ましいが、電極表面の一部を被覆
するものであってもよい。また電極保護層の厚みは特に
制限がないが、数分子が積層された程度、たとえば0.
1〜50nm程度の平均厚みがあれば充分である。
【0010】以上のように本発明は、センサの保存中ま
たは較正中にセンサ表面に尿素化合物の層をあらかじめ
形成しておくことで、測定試料中の汚染物質が新たにセ
ンサ表面に付着することを防止するものである。これに
より汚染物質が電極表面へ到達してセンサ出力が変動す
ることを防止する。尿素化合物の層が形成されることに
より一定のセンサ出力が得られ、安定的な測定が実現さ
れる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明における電気化学センサの
保存液とは、不使用時のセンサを浸漬等させて保存して
おくための溶液をいう。保存液中にセンサを浸漬等して
おくことで、センサの電流値や電圧を安定させることが
できる。また、本発明における電気化学センサの較正液
とは、使用前にセンサの電極部を浸漬させ、較正を行う
ための液をいう。較正液には既知濃度の測定対象物質が
溶解している。
【0012】電気化学センサのセンサ出力は電流値や電
圧として得られるため、センサ保存液や較正液は、解離
定数の高い電解質とpH緩衝作用を持つ物質(以下、緩衝
物質と記載する)を含有することが好ましい。電解質は
塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸
カリウムが一般的に用いられるが、解離定数が高く、電
極である作用極と反応しない物質、もしくは反応し難い
物質であればよい。緩衝物質としては、例えばN−トリ
ス(ヒドロキシメチル)−メチル−2−アミノエタンス
ルホン酸(以下、TESと記述する)や、N−2−(ヒ
ドロキシメチル)ピパラジン−N’−2−エタンサルフ
ォニックアシッド(以下、HEPESと記述する)が一般的
に用いられるが、電解質と同様に電極である作用極と反
応しないもの、もしくは反応し難いものであればよい。
【0013】本発明は、汚染物質、特に尿素化合物を含
む試料を測定対象とするセンサに適用した場合により顕
著な効果を発揮する。具体的には、生体の体液、特に尿
または血液を測定対象とするセンサに適用したときに一
層効果的である。生体の体液には尿素化合物等の汚染物
質が含まれており、特に尿や血液には、尿素化合物が大
量に含まれているからである。
【0014】本発明は、種々のタイプのセンサに適用す
ることができる。本発明はアンペロメトリックタイプの
センサに対して有効であるが、イオン感受性電界効果型
トランジスタタイプのセンサにも適用できる。
【0015】本発明は、固定化酵素膜を備えた作用極を
有するセンサに適用した場合、より効果的である。この
ような構造を有するバイオセンサにおいては、尿素化合
物等の汚染物質によりセンサ出力が変動しやすいからで
ある。また本発明は、白金を含む作用極を備えたセンサ
に適用した場合により顕著な効果を発揮する。白金を用
いた電極は、耐薬品性および過酸化水素の検出特性に優
れている一方、汚染物質、特に尿素化合物が付着しやす
いという問題を有していた。本発明を適用することによ
り、白金電極の優れた特性を充分に活かすことができ
る。
【0016】本発明における尿素化合物とは、尿素およ
び尿素の誘導体をいい、このうち尿素、チオ尿素、メチ
ル尿素が好ましく用いられる。このような尿素化合物を
用いればセンサ出力の低下を特に効果的に防止すること
ができる。その理由は必ずしも明らかでないが、これら
の尿素化合物はセンサの電極表面への吸着(付着)性に
優れ、緻密な保護層を形成できることによるものと考え
られる。また、特に尿素は緩衝液に対し高い溶解度を示
す上、低毒性であり、価格も安く、本発明に好適に用い
ることができる。
【0017】本発明の電気化学センサの保存液や電気化
学センサの較正液の尿素化合物濃度は、センサの構造や
測定対象に応じて適宜設定され特に限定されないが、好
ましくは0.01〜60g/dl、さらに好ましくは1
〜60g/dl、最も好ましくは10〜60g/dlと
する。このような濃度の溶液をセンサ保存液または較正
液として用いることにより、センサ使用時の出力低下を
より一層効果的に防止することができる。
【0018】本発明の電気化学センサの保存液および電
気化学センサの較正液は、抗菌剤を含むものであること
が好ましい。抗菌剤とは微生物の繁殖を抑制する物質を
いう。抗菌剤をセンサ保存液や較正液に添加することに
より微生物等の繁殖が抑えられ、保存液および較正液の
品質が長期間、一定に保たれる。これにより電気化学セ
ンサの性能の劣化を効果的に防ぐことができる。
【0019】本発明に用いられる抗菌剤としては、銀、
銅等に代表される無機化合物と骨格中に炭素−リン結合
を持つ有機化合物が挙げられ、このうち銀が好ましく用
いられる。センサの作用極や、保存液・較正液、尿素化
合物に対する反応性に乏しく、また、環境への負荷が小
さい上、価格が安いからである。銀や銅の濃度は特に限
定されないが、重量基準で、好ましくは1〜100pp
m、さらに好ましくは5〜20ppmとする。
【0020】本発明の電気化学センサの保存液におい
て、電極系、特に作用極に対して一定の電圧を常時、印
加させておけば、より効果的にセンサの性能劣化を防ぐ
ことができる。一定の電位が印加されることにより、作
用極等の電極に対する尿素化合物の反応性が一定に保た
れ、電極部が効率良く尿素化合物で覆われるからであ
る。これにより、測定対象物質中に含まれる尿素化合物
等の汚染物質が、電極表面に新たに付着し難くなる。電
圧は特に作用極に印加することが効果的である。印加電
圧は、銀/塩化銀電極を参照電極として用いた場合、好
ましくは0.01〜1.5V、さらに好ましくは0.1
〜0.9Vとする。上記範囲の電圧とすることにより、
尿素化合物の層がより効率的に形成される。
【0021】電気化学センサの使用方法として、使用時
以外は保存液に浸漬し、使用直前に較正液を用いて較正
を行った後、測定を行うのが一般的である。このような
使用方法に対して本発明を適用する場合、尿素化合物は
保存液と較正液のどちらか一方に添加されていれば良い
が、好ましくは両方の液に添加されるのがよい。その理
由は作用極表面に吸着(付着)した尿素は、吸脱着反応
や加水分解反応を示すため、尿素化合物が添加されてい
ない溶液中にセンサを放置すると、作用極表面に吸着し
た尿素化合物が脱着したり、分解されるためである。
【0022】
【実施例】実施例1 電流検出型の電気化学センサで尿中のグルコースを繰り
返し測定したときの測定精度を求めた。電気化学センサ
は作用極である白金電極(面積7mm2)、対極である白金
電極(面積7mm2)、および参照電極(面積1.5mm2)であ
る銀塩化銀電極で構成され、1v/v%の3-アミノプロピル
トリエトキシシランで処理した作用極表面に、22.5w/v%
の牛血清アルブミンと1v/v%のグルタルアルデヒド架橋
を用いて56.5u/mlグルコース酸化酵素を固定化したもの
を用いた。
【0023】この電気化学センサを0.01g/dlの濃度の尿
素と、1mMTES、および150mM塩化ナトリウム溶液から
なる保存液中に浸漬した(表1中のNO.2)。この
際、参照電極に対して作用極に0.7V印加し、電流値が定
常状態になるまで放置した。
【0024】保存後、既知濃度のグルコースを含む尿の
測定を行った。コントロール尿(バイオラッド(株)社製
のライフォチェックコントロール正常、約20mg/dlグル
コースを含む)中にセンサを浸漬し、得られる電流値
と、定常状態の電流値との差を算出し、センサ出力とし
た。10回繰り返したときのセンサ出力の変動係数を求
め、測定精度を評価した。変動係数とは(標準偏差/平
均値)×100で表される数値を指す。評価するセンサはn
=3とした。
【0025】上記と同様にして、保存液の尿素濃度を変
え、センサの保存・測定を行った。尿素濃度は、1、2
0、60g/dlとした(NO.3〜5)。
【0026】また、対照実験として、1mMのTESおよ
び150mM塩化ナトリウム溶液からなる保存液中に浸漬し
た後、測定を行った(NO.1)。なお、電極への電圧
の印加は行わなかった。
【0027】実験結果を表1および図1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】表1は測定値の変動係数を示したものであ
る。また図1は、20g/dl尿素、1mMTES、および150mM
塩化ナトリウムを含む保存液(NO.4)と、1mMTE
S、150mM塩化ナトリウムのみの保存液(NO.1)を
用いたセンサの電流値の変動を比較したものである。尿
素含有保存液を用いることにより、測定値の変動係数が
低減し、センサ出力(電流値)の低下が効果的に防止さ
れ、高い測定精度が得られた。
【0030】実施例2 保存液の種類を以下のように変更したこと以外は実施例
1と同様にして、センサの保存、および測定を行った。 NO.5(対照実験) 1mMのTESおよび150mM塩化ナトリウム溶液からなる保
存液中に浸漬した。 NO.6〜9 1mMTESと150mM塩化ナトリウム溶液に、それぞれ1、2
0g/dlのチオ尿素または尿素を添加した溶液を保存液と
した。浸漬中、参照電極に対して作用極に0.7V印加し、
電流値が定常状態になるまで放置した。
【0031】保存後、既知濃度のグルコースを含む尿の
測定を行った。すなわち、コントロール尿(バイオラッ
ド(株)社製のライフォチェックコントロール正常、約20
mg/dlグルコースを含む)中にセンサを浸漬し得られる
電流値と、定常状態の電流値との差を算出し、センサ出
力とした。10回繰り返したときのセンサ出力の変動係数
を求め、測定精度とした。変動係数とは(標準偏差/平
均値)×100で表される数値を指す。対照実験として、1
mMTES、および150mM塩化ナトリウム溶液からなる保
存液中で同様に評価した。評価するセンサはn=3とし
た。表2に変動係数を示す。
【0032】
【表2】
【0033】尿素含有保存液を用いることにより、測定
値の変動係数が低減し、センサ出力(電流値)の低下が
効果的に防止され、高い測定精度が得られた。
【0034】実施例3 電流検出型の電気化学センサで尿検体中のグルコースを
測定したときの測定精度を求めた。電気化学センサは作
用極である白金電極(面積7mm2)、対極である白金電極
(面積7mm2)、および参照電極(面積1.5mm2)である銀
塩化銀電極で構成され、作用極表面に1v/v%の3-アミノ
プロピルトリエトキシシラン、5v/v%ナフィオン(登録
商標)、22.5w/v%牛血清アルブミンと1v/v%グルタルア
ルデヒドを含む56.5u/mlグルコース酸化酵素、および0.
3v/v%ポリメタクリル酸1H、1H-パーフルオロオクチルを
順次スピンコートして作製された。
【0035】センサの保存液は、20g/dl尿素、1mMTE
S、および150mM塩化ナトリウムを含む溶液とした。ま
た、この保存液にそれぞれ50、100、300、500、700、10
00、2000、3000mg/dlグルコースを添加した溶液をグル
コース較正液とした。
【0036】グルコースデヒドロゲナーゼ法による臨床
検査装置で測定済みの30尿検体中の測定値と、同センサ
の測定値を比較し、相関式を求めた。
【0037】対象実験として、尿素を含まないこと以外
は上記と同じ構成の保存液および較正液を用いて保存、
較正および測定を行い、相関式を求めた。
【0038】評価するセンサはn=3とした。
【0039】表3に相関式を示す。また、本発明と対照
実験を比較したグラフを図2に示す。その結果、尿素を
添加した保存液と較正液を用いた電気化学センサは、X
係数がほぼ1になり、臨床検査装置と一致する値を示し
た。
【0040】
【表3】
【0041】実施例4 電流検出型の電気化学センサで尿中のグルコースを2回
/1日毎に繰り返し測定したときの保存液中の状態を観
察した。電気化学センサは作用極である白金電極(面積
7mm2)、対極である白金電極(面積7mm2)、および参照
電極(面積1.5mm2)である銀塩化銀電極で構成され、1v
/v%の3-アミノプロピルトリエトキシシランで処理した
作用極表面に、22.5w/v%牛血清アルブミンと1v/v%グル
タルアルデヒド架橋を用いて56.5u/mlグルコース酸化酵
素を固定化したものを用いた。
【0042】この電気化学センサを20g/dl尿素、1mMT
ES、および150mM塩化ナトリウム、および10ppm(重量
基準)の硝酸銀を含む保存液中に浸漬した。この際、参
照電極に対して作用極に0.7V印加し、電流値が定常状態
になるまで放置した。
【0043】保存後、既知濃度のグルコースを含む尿の
測定を行った。コントロール尿(バイオラッド(株)社製
のライフォチェックコントロール正常、約20mg/dlグル
コースを含む)中にセンサを浸漬し、得られる電流値
と、定常状態の電流値との差を算出し、センサ出力とし
た。1ヶ月間測定した後の保存液の状態を観察した。観
察はカビの有無、色を目視で確認するとともに、におい
の有無を確認した。対照実験として、硝酸銀を含まない
こと以外は上記保存液と同じ構成の保存液(20g/dl尿
素、1mMTES、および150mM塩化ナトリウムを含む溶
液)中で同様に評価した。評価するセンサはn=3とし
た。
【0044】表4に結果を示す。銀を添加した保存液は
カビの発生、においおよび色の変化がなく、保存液とし
ての品質を保つことができた。
【0045】
【表4】
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
繰り返し測定中のセンサ出力の低下を防止し、測定値の
再現性を改善することができる。その理由は、センサの
表面に尿素が付着して電極保護層を形成するため、測定
時に汚染物質が電極表面に付着することを防止できるか
らである。
【0047】この効果は、生体の体液、特に血液や尿を
測定対象とするセンサに適用した場合により顕著とな
る。また、固定化酵素膜を備えた電極や白金を含む電極
を備えたセンサに適用した場合により顕著となる。
【0048】また、尿素化合物として尿素、チオ尿素、
またはメチル尿素を用いれば、センサ出力の低下を特に
効果的に防止することができる。その理由は必ずしも明
らかでないが、尿素はセンサの電極表面への吸着(付
着)性に優れ、緻密な保護層を形成できることによるも
のと考えられる。
【0049】また、保存液に抗菌剤を含有させた構成と
すれば、電気化学センサの保存液や較正液の品質が長期
間にわたって維持される。溶液中に微生物が繁殖せず、
また微生物に由来する不純物が発生しないため、保存液
を初期の状態のままに保つことができるからである。
【0050】また、センサの保存中、電極系に一定の電
圧を印加すれば、さらに効果的に繰り返し測定中のセン
サ出力の低下を防止することができる。尿素化合物に対
する反応性が一定に保たれ、緻密な尿素化合物の層が効
率よく形成されるためである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の保存液および従来技術に係る保存液を
用いた場合のセンサ出力の経時変化を比較した結果を示
す図である。
【図2】センサ測定値と臨床検査による測定値との相関
を示す図である。

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電極系を備えた電気化学センサを保存す
    る際に用いられる保存液であって、尿素化合物を含有す
    ることを特徴とする電気化学センサの保存液。
  2. 【請求項2】 前記電気化学センサは、生体の体液を測
    定対象とすることを特徴とする請求項1に記載の電気化
    学センサの保存液。
  3. 【請求項3】 前記体液が尿または血液であることを特
    徴とする請求項2に記載の電気化学センサの保存液。
  4. 【請求項4】 前記電気化学センサは、固定化酵素膜の
    設けられた作用極を有することを特徴とする請求項1乃
    至3いずれかに記載の電気化学センサの保存液。
  5. 【請求項5】 前記電気化学センサは、白金を含む作用
    極を有することを特徴とする請求項1乃至4いずれかに
    記載の電気化学センサの保存液。
  6. 【請求項6】 前記尿素化合物が尿素、チオ尿素、また
    はメチル尿素であることを特徴とする請求項1乃至5い
    ずれかに記載の電気化学センサの保存液。
  7. 【請求項7】 抗菌剤をさらに含むことを特徴とする請
    求項1乃至6いずれかに記載の電気化学センサの保存
    液。
  8. 【請求項8】 電極系を備えた電気化学センサを使用前
    に較正する際に用いられる較正液であって、尿素化合物
    を含有することを特徴とする電気化学センサの較正液。
  9. 【請求項9】 前記電気化学センサは、生体の体液を測
    定対象とすることを特徴とする請求項8に記載の電気化
    学センサの較正液。
  10. 【請求項10】 前記体液が尿または血液であることを
    特徴とする請求項9に記載の電気化学センサの較正液。
  11. 【請求項11】 前記電気化学センサは、固定化酵素膜
    の設けられた作用極を有することを特徴とする請求項8
    乃至10いずれかに記載の電気化学センサの較正液。
  12. 【請求項12】 前記電気化学センサは、白金を含む作
    用極を有することを特徴とする請求項8乃至11いずれ
    かに記載の電気化学センサの較正液。
  13. 【請求項13】 前記尿素化合物が尿素、チオ尿素、ま
    たはメチル尿素であることを特徴とする請求項8乃至1
    2いずれかに記載の電気化学センサの較正液。
  14. 【請求項14】 抗菌剤をさらに含むことを特徴とする
    請求項8乃至13いずれかに記載の電気化学センサの較
    正液。
  15. 【請求項15】 電極系を備えた電気化学センサの保存
    方法であって、該電気化学センサの電極系を、尿素化合
    物を含む保存液に浸漬することを特徴とする電気化学セ
    ンサの保存方法。
  16. 【請求項16】 前記保存液に浸漬している間、前記電
    極系に所定の電圧を印加することを特徴とする請求項1
    5に記載の電気化学センサの保存方法。
  17. 【請求項17】 前記電極系が作用極と銀/塩化銀電極
    からなる参照極とを含み、該参照極に対して該作用極に
    0.01〜1.5Vの電圧を印加することを特徴とする
    請求項16に記載の電気化学センサの保存方法。
  18. 【請求項18】 前記電気化学センサは、生体の体液を
    測定対象とすることを特徴とする請求項15乃至17い
    ずれかに記載の電気化学センサの保存方法。
  19. 【請求項19】 前記体液が尿または血液であることを
    特徴とする請求項18に記載の電気化学センサの保存方
    法。
  20. 【請求項20】 前記電気化学センサは、固定化酵素膜
    の設けられた作用極を有することを特徴とする請求項1
    5乃至19いずれかに記載の電気化学センサの保存方
    法。
  21. 【請求項21】 前記電気化学センサは、白金を含む作
    用極を有することを特徴とする請求項15乃至20いず
    れかに記載の電気化学センサの保存方法。
  22. 【請求項22】 前記尿素化合物が尿素、チオ尿素、ま
    たはメチル尿素であることを特徴とする請求項15乃至
    21いずれかに記載の電気化学センサの保存方法。
  23. 【請求項23】 前記保存液が抗菌剤を含むことを特徴
    とする請求項15乃至22いずれかに記載の電気化学セ
    ンサの保存方法。
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