JP2000202206A - 水処理用凝集剤およびその製造方法、並びに水の凝集処理方法 - Google Patents

水処理用凝集剤およびその製造方法、並びに水の凝集処理方法

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JP2000202206A
JP2000202206A JP11220207A JP22020799A JP2000202206A JP 2000202206 A JP2000202206 A JP 2000202206A JP 11220207 A JP11220207 A JP 11220207A JP 22020799 A JP22020799 A JP 22020799A JP 2000202206 A JP2000202206 A JP 2000202206A
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titanium
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Katsuyuki Kataoka
克之 片岡
Takeshi Otsu
健史 大津
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Ebara Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水ガラス酸性化工程、モノマシリカの重合工
程が不要で、酸やアルカリが不要で、重合シリカの粘度
測定が不要で、製造時間が短い活性シリカ製造方法を開
発して、新規かつ飲料水の上水処理に安全に使用できる
水処理用凝集剤及びその製造方法、並びに水の凝集処理
方法を得ること。 【解決手段】 4価チタンイオンを含有する珪酸水溶
液からなる水処理用凝集剤、及び更にα澱粉を含有す
る水処理用凝集剤、並びに、撹拌されている4価チタ
ンイオン含有のpH1以下の酸性水溶液に対し、珪酸ア
ルカリ水溶液を添加混合してチタン含有珪酸酸性水溶液
を得る水処理用凝集剤の製造方法、及び更にα澱粉を
添加・混合する水処理用凝集剤の製造方法、前記凝集
剤を用いる水の凝集処理方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、上水を得るための
浄水場の浄水処理における凝集処理工程に使用する新規
凝集剤及びその製造方法、並びにそれを用いる水の凝集
処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】浄水処理の凝集処理に於いては、凝集剤
として、硫酸アルミニウム(以下、「硫酸バンド」とい
う)、ポリ塩化アルミニウム(以下、「PAC」とい
う)が専ら使用されている。これらの無機凝集剤は、単
独使用では十分大きなフロックが形成されない。従っ
て、その場合には凝集沈殿工程、砂ろ過工程の固液分離
速度が小さい。また凝集分離工程から排出される汚泥の
沈降濃縮脱水性も悪い。特に、浄水処理における原水の
富栄養化が進み、ミクロキスチスなどの藻類が多量に含
まれる原水を処理する際には、PAC又は硫酸バンドを
用いたときには極めて沈降性の悪いフロックしか形成さ
れず、フロックが浮上してしまうこともあり、藻類の効
果的除去ができなくなる。
【0003】浄水処理以外の排水処理分野では各種の合
成高分子凝集剤がフロック形成を促進するために多用さ
れている。しかし、上水を得る目的の浄水処理には合成
有機高分子凝集剤の安全性に心配があるため使用が認可
されていない。従来、浄水処理ではPAC、硫酸バンド
のみが使用されてきた。しかし最近飲料水中のアルミニ
ウムイオンがアルツハイマ症の一原因になる可能性が指
摘された。そのため今後の上水処理においてアルミニウ
ム系凝集剤の使用を止め、鉄系凝集剤に変更できないか
との要望も出ている。
【0004】上水を得るための水処理分野では安全性の
高い凝集助剤として、日本では昭和30年代に米国のB
aylis氏が見出した活性シリカの使用が検討され
た。しかし、活性シリカ製造時のゲル化(液全体がゼリ
ー状に固まる現象)トラブルが頻発し、安定して活性シ
リカを製造することが非常に難しかったため、我が国で
は実用化されなかった。Baylis法は、「水ガラス
を水で希釈してシリカ濃度1.5%の水溶液とし、これ
に硫酸を加えてpH8.5に調整し、室温において2時
間撹拌しシリカモノマーを重合させ重合シリカすなわち
活性シリカを得る」方法である。モノマシリカは凝集促
進効果がないが、重合シリカは顕著な凝集促進効果を発
揮するので、「凝集活性のあるシリカ」略して「活性シ
リカ」と呼ばれる。
【0005】しかし最近、活性シリカを再評価しようと
する動きが出ている。例えば日本特許第2732067
号「水処理用凝集剤」には「第2鉄イオンを安定剤とし
て含有しpH1.5以下の珪酸溶液からなる水処理用凝
集剤」が開示されている。日本特許第2732067号
の凝集剤製造方法をその明細書の試験例2から引用して
図3に示す。この方法は、図3のフローシートに示すよ
うに、硫酸又は塩酸水溶液に対し、希釈された強アルカ
リ性の水ガラス水溶液を添加混合した後、pHを4に調
整する「水ガラス酸性化工程」、そのあとシリカモノマ
ーを2時間重合させる「モノマシリカ重合工程」、その
あと第2鉄塩を混合する「第2鉄混合工程」が必要であ
る。
【0006】しかし、本発明者が本技術を詳細に検討し
たところ、次の様な問題点があるので、さらに優れた凝
集剤を開発する必要がある。 シリカ(珪酸)モノマーを重合させて所要極限粘度の
重合シリカを調整するのに必要な時間が2時間程度と長
時間を要する。従って活性シリカの製造に長時間を要す
る。 シリカ濃度、水温、撹拌強度、pHなどの微妙なずれ
によって所要重合時間が大きく変化してしまう。このた
めモノマシリカの重合時間の設定が非常に難しく、重合
時間の設定を誤ると重合中にシリカのゲル化トラブルを
引き起こし凝集剤として使用不能となる。またモノマシ
リカの重合時間が不足すると凝集効果が悪いものしか得
られない。また重合の完了を判断するための極限粘度の
測定には熟練者でも1時間以上かかるので、現場におい
て極限粘度を測定しながら重合時間を制御するという方
法は実際には不可能である。
【0007】強アルカリ性(pH12程度)の水ガラ
スをpH4以下の酸性にするために塩酸、硫酸などの酸
が多量に必要であり、凝集剤製造コストが高くなる。 強アルカリ性(pH12程度)の水ガラスをpH4以
下にしてシリカを重合させる場合、硫酸水溶液に水ガラ
ス液を添加してpHをpH4よりも少し下にする方法
(硫酸の使用量をなるべく少なくするため)を採用した
場合、水ガラスの添加量が少しでも過剰になるとpHが
4以上になってしまい、シリカが急激にゲル化するトラ
ブルが起きる。従って、実際の操作はこのトラブルが起
きないように、過剰の硫酸水溶液に水ガラス水溶液を添
加し、この時点でのpHを2以下になるようにし、その
あと苛性ソーダを添加してpHを徐々に上げ、pH4に
調整する操作が不可欠である。従って、操作が煩雑で、
苛性ソーダが必要で製造コスト、作業の安全性に難点が
ある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のよう
な従来技術の欠点を解決し、かつ次の課題を解決する新
規な水処理用凝集剤及びその製造方法を確立することを
目的とする。 水ガラス酸性化工程、モノマシリカの重合工程が不要
な活性シリカ製造方法の確立。 硫酸などの酸、苛性ソーダなどのアルカリが不要であ
ること。 重合シリカの粘度測定が不要で、製造工程も従来より
著しく簡単であること。 活性シリカの製造所要時間が数分と非常に短時間であ
ること。 シリカモノマ重合時のpH調整工程が不要であるこ
と。 活性シリカ製造中のシリカのゲル化トラブルが発生し
ないこと。 得られた凝集剤が、飲料水の上水処理に安全に使用で
き、かつ凝集沈降性能に優れること。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記の課題
を解決できる水処理用凝集剤を種々検討したところ、強
酸性(pH1以下)4価チタンイオン含有水溶液(四塩
化チタン又は硫酸チタニル水溶液が好適)を撹拌しなが
ら、pH10以上の強アルカリ性の珪酸アルカリ水溶液
(水ガラス水溶液が好適)を添加し混合するという極め
て簡単な操作で、凝集効果の大きいチタンイオン及び活
性シリカ含有凝集剤が容易かつ短時間(数分)で製造で
きることを見だした。更に、4価チタンイオンと珪酸と
を含有する酸性水溶液にα澱粉を添加・混合するという
極めて簡単な操作で凝集沈降性能の優れた凝集剤が製造
できることを見だした。これを基礎として本発明を開発
した。
【0010】すなわち、本発明は、以下の手段により前
記の課題を解決した。 (1)4価のチタンイオンを含有する珪酸水溶液からな
る水処理用凝集剤。 (2)前記4価チタンイオン含有珪酸水溶液が、更にα
澱粉を含有することを特徴とする前記(2)記載の水処
理用凝集剤。 (3)珪酸アルカリ水溶液と少なくとも4価チタンイオ
ンを含有するpH1以下の酸性水溶液とを混合すること
によって4価チタン含有珪酸酸性水溶液を得ることを特
徴とする水処理用凝集剤の製造方法。 (4)4価チタンイオンと珪酸とを含有する酸性水溶液
に、α澱粉を添加・混合することを特徴とする請求項3
記載の水処理用凝集剤の製造方法。 (5)被処理水に4価のチタンイオンを含有する珪酸水
溶液又は4価のチタンイオンとα澱粉を含有する珪酸水
溶液を添加し、攪拌することを特徴とする水の凝集処理
方法。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明は、強酸性(pH1以下)
の4価チタンイオン含有水溶液(四塩化チタン又は硫酸
チタニル水溶液が好適)を撹拌しながら、pH10以上
の強アルカリ性の珪酸アルカリ水溶液(水ガラス水溶液
が好適)を添加し混合するという極めて簡単な操作で、
凝集効果の大きいチタンイオン及び活性シリカ含有凝集
剤が容易かつ短時間(数分)で製造できるものである。
この結果、従来技術(図3)における水ガラス酸性化工
程、硫酸及び苛性ソーダの添加、シリカ重合工程、極限
粘度測定のすべてが不要になった。
【0012】次に、本発明の実施の形態(第1および第
2の実施の形態)について、図面を参照して詳細に説明
する。
【0013】(第1の実施形態)図1は、本発明に係る
凝集剤の製造方法の一実施の形態(第1の実施形態)を
説明する概略説明図である。容器1内に4価チタンイオ
ン含有水溶液として、例えばpH0の四塩化チタン水溶
液2を入れ、これを攪拌装置3により攪拌しながらpH
10以上の強アルカリ性の水ガラス水溶液4を添加し、
混合して、4価チタンイオン含有の珪酸水溶液を生成さ
せる。この場合、四塩化チタン水溶液と水ガラス水溶液
との混合割合を調整し、生成した珪酸水溶液のpHが0
〜1の範囲にあるようにすることが好ましい。4価チタ
ンイオン含有水溶液における4価チタンイオンの濃度
は、酸化チタン(TiO2)として4〜30重量%の範囲
とすることが好ましい。また、強アルカリ性の珪酸アル
カリ水溶液における珪酸アルカリの濃度は、シリカ(S
iO2)として3〜12重量%の範囲とすることが好まし
い。
【0014】以下に、本発明者の第1の実施形態の研究
過程中に見出された重要知見で、本発明の実施上に必要
な事項を箇条書きにまとめる。 pH1以下の強酸性4価チタン水溶液(四塩化チタン
水溶液、硫酸チタニル水溶液が好適)とアルカリ性珪酸
ソーダ(水ガラスを使用するのが好適)水溶液を混合撹
拌するだけで、凝集効果が大きいチタン含有活性シリカ
を短時間(数分間)で容易に製造できる。本発明活性シ
リカは製造直後から顕著な凝集効果を発揮する。 チタン含有酸性水溶液を撹拌しながら、これに珪酸ア
ルカリ水溶液(水ガラス水溶液)を添加することが凝集
効果が大きい活性シリカを製造する上で好適である。そ
の逆に珪酸アルカリ水溶液に対しチタン含有酸性水溶液
を添加すると添加中にシリカ沈殿及び水酸化チタン沈殿
が析出し易いので避けるべきである。 4価のチタン水溶液に代えて、前記日本特許第273
2067号に記載されている塩化第2鉄などの第2鉄イ
オン含有水溶液と水ガラス水溶液とを混合してもシリカ
の活性化はほとんど起きず、凝集効果が極めて劣る凝集
剤しか得られない。
【0015】強酸性4価チタン水溶液と水ガラス水溶
液を混合した時点でのSi/Tiモル比が0.2以上に
することが凝集効果が大きい活性シリカを製造するため
に好適であり、凝集剤中のSi/Tiモル比が0.2未
満であると凝集効果が劣るものしか製造できない。 水ガラス水溶液のシリカ濃度が12重量%を超える高
濃度の場合、チタン水溶液に対し濃厚な水ガラス水溶液
を添加すると、シリカ結晶が析出し易い。従って撹拌さ
れているチタン水溶液に対し、希釈水ガラス水溶液(シ
リカ濃度約30重量%のJIS3号水ガラス原液を水で
希釈しシリカ濃度約12重量%以下、好ましくは9重量
%以下とするのが良い)を徐々に添加するとシリカ結晶
析出トラブルを確実に避けることができる。 チタン酸性水溶液に対して添加する水ガラス水溶液の
シリカ濃度が3重量%未満と希薄すぎると、モノマシリ
カの重合速度が著しく遅くなるため、凝集効果の劣る活
性シリカしか製造できない。
【0016】寒冷期にチタン水溶液及び水ガラス水溶
液の水温が10℃未満に低下すると、シリカモノマの重
合速度が低下するため製造された4価チタン含有活性シ
リカの凝集効果がやや悪化する。従って本発明の凝集剤
製造中の液温は10℃以上に加温することが好ましい。 4価のチタンイオン含有酸性液に、他の多価金属イオ
ン(例えば2価Ca,Mg,3価Al,4価Zrなど)
をあらかじめ添加したものと珪酸アルカリ水溶液を混合
しても特に問題無く、効果的な凝集剤を製造できる。な
お、飲料水中のアルミニウムイオンが問題となる、上水
処理においてはアルミニウムイオンの使用は避けるのが
好ましい。
【0017】以上の知見から完成された本発明方法によ
って、従来法のような硫酸又は塩酸を用いる水ガラス酸
性化工程、pHを4程度に調整してモノマーシリカの2
時間ほど重合させる重合工程を設けずに、強力なフロッ
ク形成促進作用を持った凝集剤(チタン含有活性シリ
カ)を容易にかつ短時間に製造できる。本発明のチタン
含有活性シリカは製造中のゲル化トラブルは皆無であ
る。製造後の保存性も良く製造後3日以上ゲル化するこ
となく安定である。従って、浄水場においてオンサイト
で本発明凝集剤を製造し、3日以内に使い切ることによ
ってゲル化トラブルを完全に回避できる。
【0018】本発明によって従来技術(図3)のような
水ガラス酸性化工程、およびシリカモノマの重合工程が
不要にできる理由は次の様に考えられる。すなわち、四
塩化チタン(TiCl4)、硫酸チタニル(TiOSO4)
などの4価チタンの強酸性水溶液と、アルカリ性の水ガ
ラス水溶液とを撹拌混合すると、アルカリ性のシリカモ
ノマ分子がチタン酸性水溶液内に混合拡散する過程で4
価チタンイオンと接触しながらpH中性領域を通過し、
最終的に酸性になる。このpH中性領域を通過する過程
でチタンイオンの重合促進効果によってシリカモノマの
重合が速やかに進行し、チタン水溶液に均一に混合され
た時点でシリカが重合シリカすなわち活性シリカの状態
で存在するようになるためと考えられる(ただし、これ
は現段階では仮説である)。チタンイオンと珪酸モノマ
が共存すると珪酸モノマの重合が促進されることは従来
知られていなかった本発明の新知見である。
【0019】なお、補足的に説明すると、四塩化チタン
(TiCl4)、硫酸チタニル(TiOSO4)などの4価
チタンイオンを含む水溶液は、チタンを4価の状態に維
持するためには過剰の塩酸や硫酸の存在が必要であり、
そのため強い酸性の状態になっており、それ故この水溶
液にアルカリ性の水ガラス水溶液が添加された段階で、
重合シリカが生成されるのであり、かつ水ガラス水溶液
を格別過剰に加えない限り強い酸性の水処理用凝集剤が
生成される。
【0020】つまり、4価チタン酸性水溶液と水ガラス
水溶液を混合する工程が、従来技術の「水ガラス酸性化
工程」、「シリカモノマーの重合工程」、「第2鉄塩混
合工程」を兼ねている。浄水場などにおいて凝集処理を
行う原水に本発明チタン含有活性シリカを注入し凝集撹
拌槽で撹拌すると、非常に大きなフロックが形成され、
沈殿槽及びろ過層で高速度で固液分離できる。本発明凝
集剤には活性シリカとチタンイオンが共存しているの
で、原水に添加すると4価チタンイオンが原水中のマイ
ナス荷電を強力に中和し、チタンイオンは加水分解して
水酸化チタンフロックになり、活性シリカが水酸化チタ
ンフロック粒径を重合シリカの架橋作用によって著しく
大きくする。従って、本凝集剤のみを原水に注入すれば
他の無機凝集剤(ポリ塩化アルミニウム、硫酸バンド、
塩化第2鉄、ポリ硫酸鉄など)を使用することなく、良
好な凝集を行える。
【0021】(第2の実施形態)図2は、本発明に係る
凝集剤の製造方法の一実施の形態(第2の実施形態)を
説明する概略説明図である。容器1内に4価チタンイオ
ン含有水溶液として、例えばpH0の四塩化チタン水溶
液2を入れ、これを攪拌装置3により攪拌しながらpH
10以上の強アルカリ性の水ガラス水溶液4を添加・混
合した後、α澱粉5を添加・混合する。このような簡単
な操作で、従来技術(特に前記日本特許2732067
号)に比べ、凝集効果の極めて大きい新規な凝集剤が製
造できる。なお、本発明の第2の実施形態において、4
価チタンイオン含有酸性水溶液に、珪酸アルカリ水溶液
を添加混合する工程についての詳細は、前記本発明の第
1の実施形態と同様である。
【0022】以下に、本発明の第2の実施形態の研究過
程中に見出された重要知見を箇条書きにまとめる。 4価チタンイオンの酸性水溶液にアルカリ性珪酸ソ
ーダ水溶液(水ガラスの希釈液が好適)を添加混合した
のち、α澱粉(α澱粉は食品なので、浄水処理に使用し
ても全く安全である)を添加・混合することによって、
マイクロフロック形成速度及び生成フロック径、フロッ
ク沈降速度が非常に大きい凝集剤を製造できる。 生澱粉を加熱又はアルカリ処理して糊化し水溶性を
向上させた澱粉(α澱粉と呼ばれる)を使用すると、β
澱粉(α化させていない生澱粉はβ澱粉と呼ばれ水にほ
とんど溶けない。)を使用するよりも、はるかに効果的
な凝集剤を製造できる。
【0023】 本発明凝集剤中のα澱粉濃度は0.2
〜2重量%程度が適当である。2重量%を超える高濃度
になると液粘性が高くなりハンドリングが悪くなる。
0.2%未満では凝集効果が少なくなる。 四塩化チタン(TiCl4)、硫酸チタニル(TiO
SO4)などの4価チタンイオン含有の強酸性水溶液と、
アルカリ性の水ガラス水溶液とを撹拌混合すると、アル
カリ性のシリカモノマ分子がチタン含有酸性水溶液内に
混合拡散する過程で4価チタンイオンと接触しながら短
時間(数分間)でpH中性領域を通過し、最終的に酸性
になる。このpH中性領域を通過する短時間の過程にお
いてシリカモノマの重合が進行し重合シリカ(活性シリ
カともいう)の状態で存在し、シリカ高分子とα澱粉高
分子の相乗効果による大きなフロック架橋作用によって
顕著な凝集効果を示すようになると考えられる。
【0024】以上の知見から完成された本発明の方法に
よって、強力なフロック形成促進作用を持った凝集剤を
容易に製造できる。なおチタン以外に、鉄、アルミニウ
ム、マグネシウム、カルシウムなど任意の金属イオンを
本発明の方法による凝集剤に共存させても当然構わな
い。なお、飲料水中のアルミニウムイオンが問題となる
上水処理においてはアルミニウムイオンの使用は避ける
のが好ましい。
【0025】本発明による凝集剤の製造方法は、製造中
のゲル化トラブルが皆無である。また、製造後の保存性
も良く、製造後3〜5日間ゲル化することなく安定であ
る。従って、浄水場においてオンサイトで本発明により
凝集剤を製造し、1〜3日以内に使い切ることによって
凝集剤保存中のゲル化トラブルを回避できる。
【0026】浄水場などにおいて凝集処理を行う原水に
本発明の製造方法による凝集剤を注入し、凝集攪拌槽で
攪拌すると、速やかに非常に大きなフロックが形成さ
れ、沈殿槽及びろ過槽で高速度でフロックを固液分離で
きる。本発明による凝集剤には重合シリカ、澱粉高分子
とチタンイオンが共存しているので、原水に添加すると
4価チタンイオンが原水中のマイナス荷電を強力に中和
し、チタンイオンは加水分解して水酸化チタンの複合フ
ロックとなり、さらに水酸化チタンフロック粒径を重合
シリカと澱粉高分子の架橋作用によって著しく大きくす
る。従って、本発明による凝集剤のみを原水に注入すれ
ば他の無機凝集剤(ポリ塩化アルミニウム、硫酸バン
ド、塩化第2鉄、ポリ硫酸鉄など)、アルギン酸ナトリ
ウム、ポリアクリル酸ナトリウムなどの有機高分子凝集
剤を使用することなく非常に良好な凝集分離処理を行え
る。
【0027】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。ただし本発明はこれらの実施例のみに限定されるも
のではない。
【0028】実施例1:《本発明のチタン活性シリカの
製造例》 3号水ガラス原液[シリカ(SiO2)濃度30%(重量
%、以下同じ)]を水道水で希釈し、シリカ濃度12%
の珪酸ソーダ水溶液を作製した。四塩化チタン水溶液
(酸化チタン(TiO2)としての含有率15%、pH
0)100gを撹拌しながら、前記珪酸ソーダ水溶液1
00gを5分かけて徐々に四塩化チタン酸酸性水溶液に
添加混合し、チタン含有活性シリカ液(組成TiO2
して7.5%、SiO2 として7.5%、pH0)を得
た。
【0029】実施例2:《硫酸チタニルを用いる本発明
凝集剤の製造例》 3号水ガラス原液を水道水で希釈し、シリカ濃度10%
の珪酸ソーダ水溶液を作製した。硫酸チタニル水溶液
(酸化チタンとしての含有率18%、pH0)100g
を攪拌しながら前記珪酸ソーダ水溶液100gを3分か
けて添加混合した。このチタン含有活性シリカ液の組成
は、TiO2 :7.5%、SiO2 :7.5%、pH0
である。
【0030】比較例1 3号水ガラス原液(シリカ濃度30%)を水道水で希釈
し、シリカ濃度12%の珪酸ソーダ水溶液を作成した。
塩化第2鉄水溶液(塩化第2鉄濃度20%、pH0)1
00gに、この珪酸ソーダ水溶液100gを徐々に添加
し、第2鉄含有珪酸水溶液(組成FeCl3 :10%、
SiO2 :7.5%、pH:0.24)を得た。
【0031】実施例3:《凝集試験》 カオリンを水道水に添加し、SS20mg/リットルの懸濁
液を作成し、2つの試料にそれぞれ実施例1〜2と比較
例1で作成した凝集剤を添加し(添加率は下記のとお
り)、ジャーテストを行った。ジャーテストの条件は、
撹拌回転数150rpm300秒、50rpm600秒
である。水温は24℃であった。参考のために凝集剤と
して塩化第2鉄のみを注入した場合、及び四塩化チタン
のみを注入した場合の凝集試験も同時に行った。いずれ
の凝集剤も、凝集剤の注入率はTiまたはFeとして4
mg/リットルとした。
【0032】マイクロフロック生成時間(撹拌開始後マ
イクロフロックが肉眼で観察できたときの時間)、ジャ
ーテスト終了後フロックの沈降速度を測定した。この結
果を第1表に示す。
【0033】
【表1】
【0034】本発明のチタン含有珪酸水溶液からなる凝
集剤は、極めて沈降性の良いフロックが形成された。こ
れに対し、塩化第2鉄と水ガラスを混合した比較例1の
凝集剤は、フロック粒径が小さく沈降性が非常に悪かっ
た。また塩化第2鉄、四塩化チタンを注入した場合に比
較しても、本発明凝集剤は、フロック沈降性が約4〜5
倍優れていた。
【0035】実施例4:《本発明のチタンとα澱粉含有
の活性シリカの製造例》 3号水ガラス原液(シリカ濃度:30重量%)を水道水
で希釈し、シリカ濃度6重量%の珪酸ソーダ水溶液50
gを作成した。次に、四塩化チタン水溶液(酸化チタン
濃度:15重量%、pHはpH計で測定するとマイナス
値を示す強酸性である)50gを撹拌しながら、前記珪
酸ソーダ水溶液50gを5分かけて徐々に添加・混合し
たのち、水を加えて全量を100gとし、更にα澱粉粉
末(王子コーンスターチ(株)製品)1gを添加し、3
0分攪拌溶解して、本発明による凝集剤液を得た。液組
成は、TiO2:7.5重量%、SiO2:3重量%、α澱
粉:1重量%、pH:約0である。
【0036】参考例1 塩化第2鉄水溶液(塩化第2鉄濃度:15重量%)10
0gに、α澱粉1gを添加し、鉄/澱粉複合凝集剤を作
成した。液組成は、塩化第2鉄:15重量%、α澱粉:
1重量%、pH:0.5である。
【0037】参考例2 PAC(ポリ塩化アルミニウム)水溶液(Al2 3
度:1重量%)100gに、α澱粉1gを添加・溶解し
て、アルミ/澱粉複合液を作成した。
【0038】比較例2 日本特許2732067号の実施例1に記載の方法によ
って、珪酸共存第2鉄凝集剤を作成した。すなわち、水
ガラスJIS4号品を水で希釈してSi濃度6.6重量
%とした水溶液1リットルを、1.3N(規定)の塩酸(H
Cl)1リットル中に攪拌しながら混合し、pH:2、Si
濃度:3.3重量%の酸性珪酸溶液2リットルを得た。これ
を塩酸でpH1に調製し、塩化第2鉄を混合溶解して、
珪酸第2鉄凝集剤溶液を作成した。
【0039】実施例5:《凝集試験》 カオリンを水道水に添加して、SS:20mg/リットルの
懸濁液を作成した。この懸濁液に、実施例4、参考例
1,2、及び比較例2で作成した各凝集剤を添加し、ジ
ャーテストを行った。ジャーテストの条件は、撹拌回転
数150rpm,180秒、50rpm,600秒であ
る。水温は24℃であった。いずれの凝集剤も凝集剤注
入率はTiまたはFeとして0.05ミリモル/リットルとし
た。マイクロフロック生成時間(撹拌開始後マイクロフ
ロックが肉眼で観察できたときの時間)、及びジャーテ
スト終了後フロックの沈降速度を測定した。この結果を
第2表に示す。
【0040】
【表2】
【0041】第2表より明らかなように、本発明のチタ
ンとα澱粉含有の活性シリカ水溶液からなる実施例4の
凝集剤は、塩化第2鉄と水ガラスを混合した比較例2の
凝集剤に比べ、極めて沈降性の良いフロックが作成され
た。また、本発明のチタン/α澱粉含有の活性シリカ凝
集剤(実施例4)は、塩化第2鉄水溶液にα澱粉を添加
した鉄/澱粉複合凝集剤(参考例1)およびPAC水溶
液にα澱粉を添加・溶解したアルミ/澱粉複合凝集剤
(参考例2)に比べ、極めて沈降性の良いフロックが作
成された。
【0042】
【発明の効果】1.本発明の第1の実施態様によれば、
次のような優れた効果が得られる。 活性シリカ製造に硫酸、塩酸、苛性ソーダを必要とし
ないので、活性シリカ製造コストが従来より削減され
る。 2時間程度のシリカ重合工程も不要になり、また重合
シリカの極限粘度の測定も不要である。従って凝集剤製
造工程が著しく単純化でき、浄水場において熟練技術者
がいなくても凝集剤をオンサイトで容易に製造できる。 凝集剤製造所要時間が数分と非常に短時間である。 活性シリカ製造中のゲル化トラブルが皆無である。 凝集フロックの沈降性が優れているので高速に固液分
離できる。 2.また、本発明の第2の実施態様によれば、次のよう
な優れた効果が得られる。 重合シリカとα澱粉天然高分子の相乗効果により、マ
イクロフロック形成速度、最終到達フロック粒径、フロ
ック沈降性が、従来の塩化第2鉄と水ガラスを混合した
「鉄と重合シリカ複合凝集剤」より著しく大きいので高
速度で固液分離できる。 澱粉は食品であるので、飲料水を製造する上水処理に
安全性に問題無く使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る水処理用凝集剤の製造方法の一実
施の形態(第1の実施形態)の概要を表した概略説明図
である。
【図2】本発明に係る水処理用凝集剤の製造方法の別の
一実施の形態(第1の実施形態に更にα澱粉を添加・混
合した第2の実施形態)の概要を表した概略説明図であ
る。
【図3】水ガラス酸性化工程及びモノマシリカ重合工程
を有する従来の水処理用凝集剤の製造方法のフォローシ
ートである。
【符号の説明】
1: 容器 2: 四塩化チタン水溶液 3: 攪拌装置 4: 水ガラス水溶液 5: α澱粉

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 4価のチタンイオンを含有する珪酸水溶
    液からなる水処理用凝集剤。
  2. 【請求項2】 前記4価チタンイオン含有珪酸水溶液
    が、更にα澱粉を含有することを特徴とする請求項1記
    載の水処理用凝集剤。
  3. 【請求項3】 珪酸アルカリ水溶液と少なくとも4価チ
    タンイオンを含有するpH1以下の酸性水溶液とを混合
    することによって4価チタン含有珪酸酸性水溶液を得る
    ことを特徴とする水処理用凝集剤の製造方法。
  4. 【請求項4】 4価チタンイオンと珪酸とを含有する酸
    性水溶液に、α澱粉を添加・混合することを特徴とする
    請求項3記載の水処理用凝集剤の製造方法。
  5. 【請求項5】 被処理水に4価のチタンイオンを含有す
    る珪酸水溶液又は4価のチタンイオンとα澱粉を含有す
    る珪酸水溶液を添加し、攪拌することを特徴とする水の
    凝集処理方法。
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WO2009005393A1 (en) * 2007-07-02 2009-01-08 Sittec Closed Joint Stock Company (Sittec Cjsc) Titanium coagulant for natural and waste water purification and disinfection, safe method for producing thereof, and method for utilizing thereof
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