JP2000199031A - 加工性に優れた冷間圧延鋼板およびその製造方法 - Google Patents

加工性に優れた冷間圧延鋼板およびその製造方法

Info

Publication number
JP2000199031A
JP2000199031A JP24188899A JP24188899A JP2000199031A JP 2000199031 A JP2000199031 A JP 2000199031A JP 24188899 A JP24188899 A JP 24188899A JP 24188899 A JP24188899 A JP 24188899A JP 2000199031 A JP2000199031 A JP 2000199031A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rolling
less
steel sheet
cold
rolled steel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP24188899A
Other languages
English (en)
Inventor
Tokiaki Nagamichi
常昭 長道
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority to JP24188899A priority Critical patent/JP2000199031A/ja
Publication of JP2000199031A publication Critical patent/JP2000199031A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 延性と深絞り性に優れ、自動車用や家電製品
に好適な冷間圧延鋼板およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 C≦0.02%、Si:0〜2.0%、
Mn:0.05〜0.50%、S≦0.030%、かつ
Sは原子濃度比でC量の0.7〜2.5倍で、N≦0.
010%、Ti:0.01〜0.20%、かつ、(3.
4N+3.6S)以上を含有するか、または、C≦0.
02%、Si:0〜2.0%、Mn:0.50〜3.0
%、S≦0.030%、N≦0.010%、Ti:0.
01〜0.20%を含有し、破断伸びδ(%)が引張強
さσU (MPa)に対してδ≧22+(7800/
σU )、rm がσU に対してrm ≧630/σU である
冷延鋼板。および、上記の化学組成の鋼を、以下の〜
の条件内で熱間圧延し、冷間圧延後焼鈍する製造方
法;粗圧延最終圧延パスは、Ar3〜1150℃で、圧
下率30%以上、仕上圧延は少なくともAr1点以下で
50%以上の圧下率で圧延、圧延終了後30℃/s以
上で冷却する製造方法。粗圧延後1150〜750℃で
10秒以上保持した後に仕上圧延すればなおよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は自動車、家電製品、
鋼構造物などに使用される加工性、特に深絞り性と延性
に優れた冷間圧延鋼板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車、家電製品、鋼構造物などに使用
される冷間圧延鋼板は、高張力冷間圧延鋼板も含めて、
優れた加工性すなわち優れた延性と深絞り性を有するこ
とが望まれている。延性は引張試験における破断伸びで
代表され、深絞り性はランクフォード値(r値)で代表
される。また、鋼板の破断伸びやr値は、その引張強さ
が高くなるにつれて減少する傾向があることが知られて
いる。
【0003】破断伸びとr値を向上させるには、鋼板の
結晶組織が{111}方位に集積した再結晶集合組織を
有し、かつ、均一で適度の大きさの結晶粒度を有するこ
とが重要とされている。良好な再結晶集合組織を得るに
は、冷間圧延母材である熱延鋼板の結晶組織が均一で微
細なものがよいことも知られている。
【0004】このような良好な結晶組織を得るには、鋼
中の固溶元素や微細な介在物あるいは析出物がないこと
が望ましく、{111}方位の再結晶集合組織を発達さ
せるには、冷間圧延母材である熱延鋼板の結晶組織が均
一で微細なものがよいことなどが知れられており、これ
らを利用した加工性の改善技術が開示されている。
【0005】加工性を向上させる方法として、再結晶促
進に有害な析出物を減少させる方法がある。具体的に
は、析出物の主要構成元素であるCやNなどの不純物元
素の含有量を低減したり、炭窒化物形成元素を含有させ
てCやNの固溶量を低減する方法である。
【0006】特開昭57−41349号公報には固溶元
素を低減した極低炭素Ti添加鋼に多量のPを添加して
強度を高めた高強度冷延鋼板が開示されている。この鋼
はそのTi、CおよびPを、Ti(%)/C(%)≧
4、かつ、P(%)×Ti(%)≦0.010なる関係
を満足する範囲に含有させることにより深絞り性を損な
わずに高強度を得るものである。しかしながらこの鋼板
では、熱間圧延後の冷却および巻取り中に微細なTiC
が析出するため、得られる鋼板のr値や延性は十分では
ない。
【0007】熱間圧延前にスラブを高温に加熱すると、
MnS、TiS、Ti422 等の析出物が鋼中に固溶
し、熱間圧延中にそれらが微細に析出し、冷間圧延して
再結晶焼鈍した際の結晶粒の成長や集合組織の形成を阻
害する。このような不具合を抑制する方法として、スラ
ブ低温加熱法が開示されている。
【0008】特開平2−175837号公報には、極低
炭素鋼にTiとNbを含有させた高r値高張力冷間圧延
鋼板が開示されている。しかしながら特開昭57−41
349号公報や上記公報に記載の鋼板はその製造時の熱
間圧延後の冷却中あるいは巻取り中に微細なTiCやN
bCが析出するために、冷間圧延後の再結晶焼鈍時にお
ける{111}再結晶集合組織の発達が十分ではなく、
微細な析出物が鋼中に存在することにより、鋼が硬化す
ることもあって、得られる冷間圧延鋼板の加工性は最良
のものとは言い難い。
【0009】特開昭58−110659号公報には、N
b、TiおよびBを含有させた極低炭素鋼を900℃以
上の温度域で熱間仕上圧延し、700〜650℃の温度
域で巻き取った熱間圧延鋼板を冷間圧延し焼鈍する亜鉛
めっき用鋼板およびその製造方法が開示されている。し
かしながら上記技術では、その製造に際しての熱間圧延
方法が高温仕上かつ高温巻取りであるので熱間圧延鋼板
の結晶組織が粗大化し、冷間圧延後の焼鈍に際して{1
11}再結晶集合組織の発達が不十分で深絞り性が十分
ではないことがある。
【0010】特開平9−256059号公報には、製造
のために消費するエネルギーが少なく、しかも品質欠点
の無い極低炭素冷間圧延鋼板の製造方法として、熱間仕
上圧延をα域でおこなう方法が開示されている。この方
法では、Ar3点以上で粗圧延を完了し、Ar1点以下に冷
却して変態を完了させた後、Ar1点〜750℃の範囲
で、かつ、最終スタンドでの圧下率を20%以上として
仕上圧延する。
【0011】しかしながらこの方法においては鋼板の加
工性に大きく影響する化学組成や析出物制御については
何ら考慮されておらず、安定して良好な加工性が得られ
るとは限らないという問題がある。
【0012】以上述べたように、これまでに開示された
冷間圧延鋼板の加工性を改善する方法では、いずれも延
性や深絞り性の向上効果が十分ではなく、最良の加工性
が得られないという問題がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
したような課題を解決し、通常の冷間圧延鋼板として、
または、亜鉛めっき鋼板のような各種の表面処理鋼板と
しても使用できる、延性と深絞り性とに優れ、自動車用
や家電製品に好適な加工性に優れた冷間圧延鋼板および
その製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】冷間圧延鋼板の結晶組織
を{111}再結晶集合組織を有する結晶粒が適度な大
きさに揃った組織とすることにより、延性と深絞り性を
兼備した鋼板が得られる。鋼中に固溶Cや固溶Nが残存
していると、冷延後の焼鈍時に{111}再結晶集合組
織の発達が抑制され、深絞り性が向上しない。特に固溶
Cが{111}再結晶集合組織の発達を抑制する作用が
大きい。これを防ぐために極低炭素鋼にTiを含有させ
てこれらの固溶元素を析出物として固定する方法が知ら
れている。
【0015】熱間圧延鋼板を冷間圧延した後の再結晶焼
鈍時には、熱間圧延鋼板のフェライト結晶粒界近傍から
{111}再結晶集合組織が発達する。従って熱間圧延
鋼板のフェライト結晶粒を微細化することが冷延焼鈍板
のr値を向上させ、鋼板の深絞り性を向上させるのに有
効である。また、結晶粒が適度な大きさに揃った組織と
するためには、再結晶粒の成長を阻害する微細な析出物
を無くすることが重要である。
【0016】本発明者は上記考え方をさらに発展させ、
冷間圧延鋼板の延性と深絞り性を向上させるべく、その
製造過程で生成する析出物の種類や熱延条件と加工性と
の関係について鋭意研究した結果、以下に述べるような
新たな知見を得た。
【0017】a.熱間圧延鋼板のフェライト結晶粒を微
細化するためには熱間圧延時のγ/α変態前のオーステ
ナイト結晶粒を微細化することが重要である。そのため
には粗圧延の少なくとも最終圧延パスを低温域での大圧
下圧延とするのがよい。特に、粗圧延の少なくとも最終
圧延パスをAr3点以上1150℃以下の温度域で30%
以上の圧下率とするのがよい。
【0018】粗圧延後は、仕上圧延開始までの材料温度
を低くして結晶粒の粗大化を抑制し、かつ、仕上圧延は
少なくともAr1点以下(α域)での合計圧下率が50%
以上のα域大圧下圧延を含む圧延とするのがよい。ま
た、仕上圧延後は結晶粒の成長を抑制するために急速冷
却するのがよく、その冷却速度は30℃/秒以上とする
のがよい。
【0019】b.熱間圧延時に生じる析出物には硫化物
(MnS、TiS、Ti4 2 2など)、窒化物(T
iNなど)および炭化物(TiCなど)が考えられる
が、特に影響が大きいのが硫化物と炭化物である。
【0020】Tiを含有する鋼を高温状態から冷却する
と、高温域でまずTiNが析出し、次いで硫化物が析出
する。硫化物としては、鋼のMn含有量が多い場合には
MnSとして析出し、TiSは形成されにくい。鋼のM
n含有量が少ない場合には主としてTiSやTi4 2
2 が形成される。
【0021】これらの高温で析出する析出物はその大き
さが概ね100nm以上の粗大な析出物であり、熱間圧
延鋼板の結晶組織を微細にする作用がある。しかしなが
らその大きさ故に、冷間圧延後の再結晶焼鈍時の結晶粒
成長を阻害する作用は極めて小さい。従って上記析出物
の効果を利用することにより、冷間圧延母材を細粒化し
て冷間圧延後の再結晶集合組織の集積度を高めることが
できる。さらにこれらの高温で析出する析出物は、再結
晶粒の成長そのものにはあまり悪影響を及ぼさないの
で、適度の大きさの良好な結晶組織を有する鋼板を得る
ことができる。
【0022】c.TiCはAr3点以下の低温域で微細な
TiCとして析出する。通常は仕上圧延後の冷却巻取り
中に析出し、析出温度が低いためにその大きさは100
nm未満と小さい。このように微細な析出物は冷間圧延
後の再結晶焼鈍時に結晶粒の成長を阻害するため、Ti
Cが析出すると冷延鋼板の加工性が損なわれる。
【0023】鋼のMn含有量を低くすると鋼中のSがT
iSやTi4 2 2 として比較的高温で粗大に析出す
るが、その際、固溶CをTi4 2 2 として析出させ
てしまえば、低温域で微細なTiCが析出することがな
くなる。このようにすれば結晶粒成長阻害要因であるT
iCを無くすることができるので、冷間圧延鋼板の加工
性を最大限に向上させることができる。
【0024】d.Ti4 2 2 はCとSの原子濃度比
が1で構成されていることから、Ti4 2 2 の形成
を促進するにはCとSの原子濃度比を1に近づけるのが
よい。Sの割合が少ない場合には全ての固溶CをTi4
2 2 として生成させることができないため、残存し
た固溶Cが冷却巻取り中にTiCとして微細に析出す
る。Sの割合が過剰である場合には、高温でTiSが形
成される。この場合も固溶Cが残存するためTiCが冷
却巻取り中に析出する。
【0025】Tiの全含有量からTiNとして消費され
るTi分を除いたもの「Ti−(48/12)*N」、
以下、単に「有効Ti量」とも記す)が、Ti4 2
2 を形成するのに有効なTi量である。上述したように
CとSの原子濃度比を管理したうえで、前記有効Ti量
を、S含有量との関係から求められる限界値以上とする
ことにより、SをTi4 2 2 として効率的に析出さ
せることができる。
【0026】e.Ti4 2 2 はTiSよりも低温域
でより安定である。従って、Ti42 2 の析出を促
進するには、通常熱間圧延前に施されるスラブ加熱は低
温加熱とするのがよい。スラブ加熱温度を低くすれば加
熱費用の削減やスケール抑制による歩留改善効果も期待
できるため、低コスト化にも有効である。また、仕上圧
延の前に、粗圧延終了後の鋼を所定の温度領域で保持す
ることにより、Ti42 2 の析出をさらに促進させ
ることができる。
【0027】鋼のMn含有量が高い場合には主としてM
nSが析出し、TiSやTi4 22 は析出量が少な
いので固溶Cは主としてTiCとして析出する。このT
iCは、a項で述べたα域での大圧下圧延時に歪み誘起
により高温域から析出を開始するため、通常よりも粗大
な析出物として析出する傾向がある。従って、上記の方
法によれば、従来のγ域で熱間圧延を終了した熱間圧延
鋼板を母材にして冷間圧延する方法に比較して冷間圧延
後の再結晶焼鈍時の結晶粒成長阻害要因が無くなり、良
好な結晶組織を備えた冷間圧延鋼板がえられる。
【0028】本発明は、上記の新たな知見に基づいて完
成されたものであり、その要旨は下記(1)および
(2)に記載の加工性に優れた冷間圧延鋼板、ならびに
(3)〜(5)に記載のその製造方法にある。
【0029】(1)化学組成が重量%で、C:0.02
%以下、Si:0〜2.0%、Mn:0.05〜0.5
0%、S:0.030%以下、P:0.15%以下、
N:0.010%以下、Sol.Al:0.002〜
0.10%、Ti:0.01〜0.20%、Nb:0〜
0.1%、V:0〜0.5%、B:0〜0.005%、
Mo:0〜0.5%、Zr:0〜0.1%を含有し、か
つS含有量は下記式(A)の関係を満たし、Ti含有量
は下記式(B)の関係を満たし、残部がFeおよび不可
避的不純物からなる鋼板であって、破断伸びδ(%)が
引張強さσU (MPa)に対してδ≧22+(7800
/σU )なる関係を満足し、面内平均のランクフォード
値rm がσU に対してrm ≧630/σU なる関係を満
足することを特徴とする加工性に優れた冷間圧延鋼板。
【0030】
【数3】
【0031】
【数4】
【0032】(2)化学組成が重量%で、C:0.02
%以下、Si:0〜2.0%、Mn:0.50〜3.0
%、S:0.030%以下、P:0.15%以下、N:
0.010%以下、Sol.Al:0.002〜0.1
0%、Ti:0.01〜0.20%、Nb:0〜0.1
%、V:0〜0.5%、B:0〜0.005%、Mo:
0〜0.5%、Zr:0〜0.1%を含有し、残部がF
eおよび不可避的不純物からなる鋼板であって、破断伸
びδ(%)が引張強さσU (MPa)に対してδ≧22
+(7800/σU )なる関係を満足し、面内平均のラ
ンクフォード値rm がσU に対してrm ≧630/σU
なる関係を満足することを特徴とする加工性に優れた冷
間圧延鋼板。
【0033】(3)上記(1)に記載の化学組成を有す
る鋼を、下記〜の条件を含む方法で熱間圧延した
後、冷間圧延及び再結晶焼鈍することを特徴とする請求
項1に記載の加工性に優れた冷間圧延鋼板の製造方法; 粗圧延の少なくとも最終圧延パスの圧延を、Ar3点以
上1150℃以下の温度域で、30%以上の圧下率でお
こない、 熱間仕上圧延では、少なくともAr1点以下での合計圧
下率が50%以上の圧延をおこない、 熱間仕上圧延終了後、30℃/s以上の冷却速度で冷
却して巻取る。
【0034】(4)上記(2)に記載の化学組成を有す
る鋼を、下記〜の条件を含む方法で熱間圧延した
後、冷間圧延及び再結晶焼鈍することを特徴とする請求
項2に記載の加工性に優れた冷間圧延鋼板の製造方法; 粗圧延の少なくとも最終圧延パスの圧延を、Ar3点以
上1150℃以下の温度域で、30%以上の圧下率でお
こない、 熱間仕上圧延では、少なくともAr1点以下での合計圧
下率が50%以上の圧延をおこない、 熱間仕上圧延終了後、30℃/s以上の冷却速度で冷
却して巻取る。
【0035】(5)粗圧延した鋼に1150〜750℃
の温度域で10秒間以上保持する析出処理を施した後、
熱間仕上圧延することを特徴とする上記(3)または
(4)に記載の加工性に優れた冷間圧延鋼板の製造方
法。
【0036】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。なお、以下に記す%表示は重量%を
意味する。
【0037】鋼の化学組成; C:鋼の強度を高める作用があるが、深絞り性に悪影響
を及ぼすのでその含有量は少ない程よい。本発明の鋼で
は、Tiを含有させて固溶Cを析出物として固定し、無
害化させるが、Cの固定に必要なTi量を少なくするた
めにも、Cは少ない方がよい。従ってC含有量は0.0
2%以下とする。好ましくは0.01%以下である。
【0038】Si:必須元素ではないが、鋼を脱酸して
介在物を減少させる作用があるうえ、加工性をさほど損
なわないで鋼の強度を向上させる作用があるので、鋼の
強度を高める必要がある場合には2.0%以下を含有さ
せてもよい。Si含有量が2.0%を超えると鋼の加工
性が悪くなるので良くない。Siは、鋼を硬くする作用
に加えて、鋼の表面性状を劣化させる作用もある。従っ
て鋼の加工性を重視する場合にはSi含有量は少ないほ
ど好ましい。加工性や表面性状に実質的な悪影響を及ぼ
さないようにするには0.5%以下とするのがよい。
【0039】Mn:鋼のSと結合してMnSを形成し、
熱間脆性を防止する作用がある。この効果を得るために
Mnを0.05%以上含有させる。Mnにはさらに、加
工性をさほど損なわないで鋼の強度を向上させる作用も
あるため、鋼の強度を高める目的で含有させることがで
きる。この場合にはMnを0.50%以上含有させるの
が好ましい。しかしながらMn含有量が3.0%を超え
ると成形性が劣化するのでMn含有量は3.0以下とす
る。好ましくは2.0%以下である。
【0040】Mn含有量を0.50%以下に制限すれ
ば、固溶CをTi4 2 2 として粗大に析出させるこ
とができる。この場合には再結晶焼鈍時の結晶粒成長性
が特に良好であるので優れた成形性を備えた冷間圧延鋼
板が得られる。従って特に優れた成形性を得る場合には
Mn含有量を0.50%以下とするのがよい。0.30
%以下とすればなおよい。
【0041】S:S含有量が0.030%を超えると硫
化物の析出量が多くなり、深絞り性や伸びが低下する。
従ってS含有量は0.030%以下とする。
【0042】特に、鋼のMn含有量を0.50%以下と
する場合には、SはCと共にTiと結合させて粗大なT
4 2 2 を形成させ、微細なTiCの析出を抑制す
ることができる。この効果を発揮させるにはC含有量と
S含有量を相互に関連づけて管理するのがよい。すなわ
ち、S含有量は、下記式(A)に示したように、原子濃
度比で、C含有量の0.7〜2.5倍の範囲になるよう
に管理するのがよい。換言すればMn含有量が0.50
%以上のときは、かかる限定は必ずしもおこなう必要は
ない。
【0043】
【数5】
【0044】S含有量が原子濃度比でC量の0.7倍に
満たない場合には、Ti4 2 2の析出が不十分にな
り、仕上圧延完了時に固溶Cが残存し、固溶Cが冷却巻
取り中に微細なTiCとして析出する。より好ましくは
Sを原子濃度比でC量の0.9倍以上(重量%でいえば
2.40* C(%)以上)含有させるのがよい。
【0045】S含有量が原子濃度比でC量の2.5倍を
超える場合には、S量が過剰であるため、Ti系硫化物
としてTi4 2 2 ではなくてTiSが析出し、Cが
Ti4 2 2 として固定され難くなる。このため、仕
上圧延が完了しても固溶Cが残存し、これらはその後の
冷却巻取り中に微細なTiCとして析出する。より好ま
しくはSを原子濃度比でC量の1.5倍以下(重量%で
いえば4.00* C(%)以下)とするのがよい。
【0046】sol.Al:健全な鋳片を得るために脱
酸を十分におこなわせるためと、Tiなど添加元素の歩
留確保を目的に0.002%以上含有させる。その含有
量が0.10%を超えると上記の効果が飽和するので、
Al含有量の上限は0.10%とする。
【0047】Ti:鋼に含有される固溶Cや固溶Nを析
出物として固定して無害化する目的で0.01%以上、
0.20%以下含有させる。Ti含有量が0.01%に
満たない場合には固溶状態のC、N、Sが多くなるため
加工性がよくない。好ましくは0.02%以上、より好
ましくは0.03%以上である。他方、Ti含有量が
0.20%を超えると、化成処理性が損なわれるのでよ
くない。好ましくは0.15%以下、さらに好ましくは
0.10%以下である。
【0048】特に、Mn含有量が0.50%以下と少な
くTi4 2 2 の析出を利用する場合には、TiNと
して消費されるTiを除いた有効Ti量を、Ti4 2
2を形成させるのに必要な範囲で含有させるのがよ
い。このため、Tiは0.01%以上、0.20%以下
で、かつ、S含有量に対して下記式(B)で求められる
量以上含有させるのがよい。換言すればMn含有量が
0.50%以上のときは、かかる限定は必ずしもおこな
う必要はない。
【0049】
【数6】
【0050】B:必須元素ではないが、極低炭素鋼板を
絞り加工する際に発生するおそれがある「二次加工割
れ」を防止する作用があるため、含有させても構わな
い。含有させる場合にはその効果を得るために、0.0
002%以上含有させるのがよい。0.005%を超え
ると二次加工割れを防止する作用が飽和するうえ、かえ
って鋼板を脆くすることがある。このため、含有させる
場合の上限は0.005%とする。Bは深絞り性を劣化
させる作用があるので、二次加工割れが問題にならない
場合には含有させなくても構わない。
【0051】Nb、V、MoおよびZr:これらは必須
元素ではないが、鋼の結晶粒を微細化してその強度を上
昇させる作用があるので、鋼の強度を高める必要がある
場合には含有させても構わない。しかしながらこれらの
元素を過度に含有させると、Ti4 2 2 の生成を阻
害するうえコストが高くなる。このため含有させる場合
の上限はNbは0.1%、Vは0.5%、Moは0.5
%、Zrは0.1%とする。
【0052】P:鋼を硬くし脆くする傾向があるので必
須元素ではないが、加工性をさほど阻害することなく鋼
の強度を高める作用がある。このため、鋼の強度を高め
る必要がある場合には含有させても構わない。しかしな
がら過度に含有させるとPは結晶粒界に偏析して鋼が脆
くなるので、含有させる場合でもその上限は0.15%
とする。
【0053】N:不可避的不純物元素であり、鋼の加工
性を損なううえ、Tiと結合してTiNを形成しTiを
消費する。従ってN含有量は少ないほどよい。その影響
が顕著でない許容できる限度として、Nは0.010%
以下とする。
【0054】上記以外は、Feおよび不可避的不純物で
ある。 鋼板の特性;深絞り成形などを伴う加工に際して良好な
結果を得るには、引張試験で得られる破断伸びとr値が
バランス良く、共に優れることが良好な加工性を得るの
に必要である。鋼板の破断伸びやr値は、その引張強さ
が高くなるにつれて減少する傾向があるため、破断伸び
やr値は引張強さと関連させて考える必要がある。
【0055】自動車外装材などの様な製品形状が複雑な
場合や、精度の良い製品形状を必要とする場合などにお
いては、それらの加工素材となる冷間圧延鋼板の破断伸
びδ(%)が引張強さσU (MPa)に対してδ≧22
+(7800/σU )なる関係を満足し、r値の鋼板面
内での平均値であるrm がσU に対してrm ≧630/
σU なる関係を満足するものがよい。さらには、破断伸
びはδ≧23+(7800/σU )、rm はrm ≧66
0/σU なる関係を満足するものがよい。
【0056】なおここで、rm =(r0 +2r45
90)/4であり、r0 、r45およびr90は、それぞれ
圧延方向、圧延方向に対して45°の方向、圧延方向に
対して90°の方向に引張試験をおこなって測定したr
値を意味する。またΔrはr0 、r45、r90の内の最大
値と最小値との差を意味する。加工性に優れた冷間圧延
鋼板は以下の方法で製造するのがよい。
【0057】熱間圧延; スラブ加熱:連続鋳造法、造塊−分塊圧延法などによっ
て製造された上記化学組成からなる鋼のスラブは、その
温度がAr3点以上である場合にはそのまま熱間圧延して
も構わない。スラブの温度がAr3点よりも低い場合には
熱間圧延まえにAr3点以上に加熱する。
【0058】スラブ加熱は、析出物が再固溶して熱間圧
延時に微細に析出するのを抑制するために、低温加熱と
するのが望ましい。加熱温度は1150℃以下とするの
が望ましい。1100℃以下ならなおよい。加熱時間
は、全体が均一な温度になり、かつ、オーステナイト結
晶粒が粗大にならない範囲でスラブの寸法に応じて選定
すればよい。
【0059】粗圧延:粗圧延の少なくとも最終圧延パス
の圧延を、Ar3点以上1150℃以下の温度域で、30
%以上の圧下率で圧延する。これにより、オーステナイ
ト結晶粒が微細化し、γ/α変態後の熱延鋼板のフェラ
イト結晶粒も微細化して冷延焼鈍板の深絞り性が向上す
る。最終圧延パスの圧下率が30%に満たない場合や、
あるいは、その圧延温度がAr3点に満たない場合には、
上述の効果を得ることができないことがある。最終圧延
パスの圧下率は好ましくは40%以上がよい。前述の最
終圧延パスの条件以外は公知の条件で構わない。
【0060】析出処理:粗圧延終了後の鋼片に1150
〜750℃の温度域で10秒以上保持する析出処理を施
せばTiS、Ti4 2 2 、MnS等の形成が促進さ
れる。処理温度が1150℃を超えるとこれらの析出物
の溶解度が大きくなり、析出促進効果が少ない。また、
オーステナイト結晶粒が粗大化して熱間圧延鋼板の結晶
粒が粗大化し、冷延焼鈍板のr値の向上が十分ではない
ことがある。処理温度が750℃に満たない場合には析
出速度が遅くr値や伸びの改善効果が十分ではない。保
持時間が10秒に満たない場合には析出促進効果が少な
く、60分よりも長い場合には析出が飽和し製造コスト
が増す。
【0061】析出処理は、粗圧延後の鋼片をコイル状に
巻いて保温する方法や、保温装置あるいは高周波誘導加
熱や燃焼ガスによる加熱などの加熱手段を有する保温装
置等で処理するのがよいが、これらの方法に限定される
必要はなく、特別な装置を用いないで放冷して所定時間
析出処理させても構わない。
【0062】仕上圧延:仕上圧延は、熱間圧延鋼板のフ
ェライト結晶粒を微細化するために、Ar1点以下で、圧
下率として50%以上のα域圧延を含むものとする。A
r1点以下での圧延が仕上圧延の複数の圧延パスでなされ
る場合には、Ar1点以下での合計の圧下率が50%以上
であればよい。
【0063】Ar1点以下での合計圧下率が50%に満た
ない場合には、フェライトの再結晶が生じず、フェライ
ト結晶粒の微細化効果が小さい。これは、フェライトは
加工されても回復による軟化が速く、加工歪みが蓄積さ
れにくいためである。好ましくは70%以上である。複
数の圧延パスでα域圧延をおこなう場合には、各圧延パ
スの圧下率を25%以上とすると、上記の微細化がより
促進されるので好ましい。
【0064】仕上圧延開始温度はAr3点+100℃以
下、終了温度はAr1点−130℃以上とするのが望まし
い。仕上圧延開始温度がAr3点+100℃よりも高い場
合には、Ar1点以下での合計圧下率を50%以上とする
ことが困難になる。終了温度がAr1点−130℃よりも
低くなると、熱間圧延鋼板の結晶組織がフェライト粒の
加工組織となり、等方的で微細なフェライト組織となら
ないことがある。
【0065】なお、粗圧延後の鋼片温度が低下し、仕上
圧延の終了温度をAr1点−130℃以上にすることが困
難な場合には、仕上圧延の入側で鋼片を、高周波加熱、
バーナなどによる輻射加熱、その他公知の方法で加熱す
ればよい。
【0066】上記のAr1点以下での仕上圧延に際して
は、必須事項ではないが、熱間潤滑剤を用い、圧延ロー
ルと被圧延材との間の摩擦係数μが0.2以下となるよ
うにして圧延するのが望ましい。これにより板厚方向の
加工変形が均一化されるので、冷間圧延し、再結晶焼鈍
した後には、冷間圧延鋼板の板厚表層部のr値が改善さ
れる。この結果、板全体のr値をさらに向上させること
ができる。熱間潤滑剤としては公知のものでよく、例え
ば摩擦係数を低減した機械油などを用いればよい。
【0067】仕上圧延機の入側で、鋼片の先端を先行す
る被圧材の後端と接合し、粗圧延材を連続して圧延す
る、いわゆる仕上連続圧延法により圧延すれば、熱間潤
滑圧延をおこなう際に発生するおそれがある被圧延材と
ロール間のスリップ現象や噛み込み不良を防止できるの
で、さらに歩留が向上し特性が均一化される。
【0068】冷却および巻取り:フェライト結晶粒を微
細にするために、仕上圧延の最終圧延パスが終了した
後、30℃/s以上の冷却速度で冷却するのがよい。最
終圧延パス終了後冷却開始までの時間は短い方がよく、
好ましくは3秒以下がよい。
【0069】巻取温度が800℃を超えると、スケール
ロスの増加や表面性状の劣化、熱間圧延鋼板フェライト
結晶粒の粗大化等が問題になることから、巻取温度は8
00℃以下とすることが望ましい。
【0070】冷間圧延および再結晶焼鈍;熱間圧延鋼板
は常法により酸洗などの方法で表面の酸化物や汚れを除
去した後冷間圧延され再結晶焼鈍される。冷間圧延前に
は、冷延後の焼鈍時に{111}再結晶集合組織を発達
させるために熱延板でも{111}集合組織を発達させ
ておくことを目的として、700℃以上の温度に加熱す
る条件で熱間圧延鋼板焼鈍を施しても構わない。
【0071】冷間圧延では、圧延集合組織を発達させ、
再結晶焼鈍工程でr値の向上と面内異方性の最小化に好
ましい{111}集合組織を発達させるために、50%
以上の圧下率で最終板厚に加工することが望ましい。
【0072】再結晶焼鈍は、冷間圧延により導入された
圧延集合組織から、深絞り性に好ましい集合組織を発達
させるために、600〜900℃の温度範囲に加熱し焼
鈍するのがよい。600℃より低い温度では長時間の焼
鈍でも再結晶が十分に進行せず、一方、900℃を超え
る温度ではr値が低下する。焼鈍方法は任意であり、箱
焼鈍法や連続焼鈍法、あるいは溶融亜鉛メッキ処理の際
に通常おこなわれる連続焼鈍でもよい。
【0073】冷間圧延、再結晶焼鈍の後、公知の方法に
より、圧下率が10%未満の調質圧延(スキンパス)、
あるいは、溶融亜鉛めっき、合金化溶融亜鉛めっき、電
気めっき、有機被覆コーティング等の表面処理を施して
も構わない。溶融亜鉛めっき設備や合金化溶融亜鉛めっ
き設備内で再結晶焼鈍が可能な場合には、上記の再結晶
焼鈍は当該設備で施すのがよい。これらの鋼板は、プレ
ス加工を施した後、例えば自動車、家電製品、鋼構造物
などに使用される。
【0074】
【実施例】(実施例1)表1に示した化学組成を有する
厚さ200mmのスラブを粗圧延した後、仕上圧延して
厚さ4mmの熱間圧延鋼板を得た。これを酸洗し、冷間
圧延し、さらに再結晶焼鈍および調質圧延を施して厚さ
0.8mm、幅1220mmの冷間圧延鋼板を製造し
た。圧延条件および焼鈍条件を表2に示す。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】得られた冷間圧延鋼板からJIS−Z22
01に規定される5号引張試験片による引張試験をおこ
なって、圧延方向(0°方向)の降伏強さ、引張強さ、
破断伸びを測定した。さらに、圧延方向、幅方向(90
°方向)および斜め方向(45°方向)のr値を測定
し、平均r値(rm )を求めた。表3にこれらの性能測
定結果を示す。
【0078】
【表3】
【0079】表3に示されているように、本発明で規定
する条件で製造された試験番号1〜16の鋼板はそれぞ
れの引張強さ(σU )に応じた良好な破断伸びとrm
示した。Mn含有量が0.50%以下の鋼に関しては、
Ti含有量が少ない鋼Mを用いた試験番号17、C含有
量が高くS含有量が式Aで求められる下限値よりも低い
鋼Nを用いた試験番号18、S含有量が高い鋼Pを用い
た試験番号19、N含有量が高い鋼Qを用いた試験番号
20、Ti含有量が式Bで求められる下限値よりも低い
鋼Rを用いた試験番号21、S含有量が式Aで求められ
る下限値よりも低い鋼Sを用いた試験番号22あるいは
S含有量が式Aで求められる上限値を超えている鋼Tを
用いた試験番号23など、いずれも熱延条件が本発明で
規定する範囲内であっても加工性がよくなかった。
【0080】図1は上記試験で得られた鋼板の破断伸び
と引張強さの関係を示したグラフである。実線はδ=2
2+(7800/σU )なる関係を表し、破線はδ=2
3+(7800/σU )なる関係を表す。図2は同様に
m と引張強さの関係を示したグラフであり、実線はr
m ≧630/σU なる関係を表し、破線はrm ≧660
/σU なる関係を表す。本発明の条件を満たす鋼はいず
れも良好な破断伸びおよびrm を有していることがわか
る。
【0081】(実施例2)実施例1で使用した鋼Eのス
ラブを種々の条件で熱間圧延して得た熱間圧延鋼板を、
酸洗し、圧下率82%で冷間圧延して厚さ0.72mm
の冷間圧延板とし、820℃で50s保持する連続焼鈍
をおこなった後伸び率0.3%の調質圧延を施して冷間
圧延鋼板を製造し、これらの降伏強さ、引張強さ、破断
伸びおよびrm を調査した。析出処理は高周波誘導加熱
によりおこなった。表4に熱間圧延条件および冷間圧延
鋼板の性能測定結果を示す。
【0082】
【表4】
【0083】表4で試験番号24〜29に示された結果
からわかるように、本発明の規定する条件で熱間圧延さ
れた鋼板を母材とした冷間圧延鋼板は良好な破断伸びお
よびrm を示した。中でも試験番号25、27、29の
ように、熱間仕上圧延前に析出処理を施した鋼板は特に
破断伸びとrm が良好であった。試験番号30の粗圧延
条件が好ましくなかったもの、試験番号31の粗圧延最
終パス温度(860℃)がAr3−点(876℃)よりも
低かったもの、試験番号32のα域圧延の合計圧下率が
不足したもの、試験番号33の仕上圧延後の冷却速度が
遅かったもの、試験番号34のα域圧延をおこなわなか
ったものなどを母材として作製した冷間圧延鋼板の加工
性はよくなかった。
【0084】(実施例3)表1に記載されている鋼Kの
厚さ200mmのスラブを種々の条件で熱間圧延して厚
さ4mmの熱間圧延鋼板を得た。これを酸洗し、冷間圧
延し、820℃に60秒間保持する連続焼鈍を施し、圧
下率0.5%で調質圧延して厚さ0.8mm、幅122
0mmの冷間圧延鋼板を製造した。得られた冷間圧延鋼
板から実施例1に記載したのと同様の条件で特性値を求
めた。熱間圧延条件および冷間圧延鋼板の試験結果を表
4に示す。
【0085】
【表5】
【0086】表5で試験番号41〜46に示された結果
からわかるように、本発明の規定する条件で熱間圧延さ
れた鋼板を母材とした冷間圧延鋼板は良好な破断伸びお
よびrm を示した。中でも試験番号42、44、46の
ように、熱間仕上圧延前に析出処理を施した鋼板は特に
破断伸びとrm が良好であった。試験番号47〜50の
ように粗圧延条件が好ましくない場合、試験番号51〜
53のように仕上圧延条件あるいは仕上圧延後の冷却条
件が好ましくない場合などの熱間圧延鋼板を母材として
製造して得られた冷間圧延鋼板の加工性はよくなかっ
た。
【0087】
【発明の効果】本発明の鋼板は優れた延性と深絞り性と
を兼ね備えているので極めて加工性が優れている。従っ
て、自動車、家電製品、鋼構造物などの難加工部品を容
易に成形することができる。また、本発明の製造方法に
よれば鋼の鋼の化学組成の最適化と熱間圧延条件の組み
合わせにより、容易に加工性に優れた冷間圧延鋼板を安
定して製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた鋼板の破断伸びと引張強さ
の関係を示すグラフである。
【図2】実施例1で得られた鋼板のrm と引張強さの関
係を示すグラフである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化学組成が重量%で、C:0.02%以
    下、Si:0〜2.0%、Mn:0.05〜0.50
    %、S:0.030%以下、P:0.15%以下、N:
    0.010%以下、Sol.Al:0.002〜0.1
    0%、Ti:0.01〜0.20%、Nb:0〜0.1
    %、V:0〜0.5%、B:0〜0.005%、Mo:
    0〜0.5%、Zr:0〜0.1%を含有し、かつS含
    有量は下記式(A)の関係を満たし、Ti含有量は下記
    式(B)の関係を満たし、残部がFeおよび不可避的不
    純物からなる鋼板であって、破断伸びδ(%)が引張強
    さσU (MPa)に対してδ≧22+(7800/
    σU )なる関係を満足し、面内平均のランクフォード値
    m がσU に対してrm ≧630/σU なる関係を満足
    することを特徴とする加工性に優れた冷間圧延鋼板。 【数1】 【数2】
  2. 【請求項2】 化学組成が重量%で、C:0.02%以
    下、Si:0〜2.0%、Mn:0.50〜3.0%、
    S:0.030%以下、P:0.15%以下、N:0.
    010%以下、Sol.Al:0.002〜0.10
    %、Ti:0.01〜0.20%、Nb:0〜0.1
    %、V:0〜0.5%、B:0〜0.005%、Mo:
    0〜0.5%、Zr:0〜0.1%を含有し、残部がF
    eおよび不可避的不純物からなる鋼板であって、破断伸
    びδ(%)が引張強さσU (MPa)に対してδ≧22
    +(7800/σU )なる関係を満足し、面内平均のラ
    ンクフォード値rm がσU に対してrm ≧630/σU
    なる関係を満足することを特徴とする加工性に優れた冷
    間圧延鋼板。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の化学組成を有する鋼
    を、下記〜の条件を含む方法で熱間圧延した後、冷
    間圧延及び再結晶焼鈍することを特徴とする請求項1に
    記載の加工性に優れた冷間圧延鋼板の製造方法; 粗圧延の少なくとも最終圧延パスの圧延を、Ar3点以
    上1150℃以下の温度域で、30%以上の圧下率でお
    こない、 熱間仕上圧延では、少なくともAr1点以下での合計圧
    下率が50%以上の圧延をおこない、 熱間仕上圧延終了後、30℃/s以上の冷却速度で冷
    却して巻取る。
  4. 【請求項4】 請求項2に記載の化学組成を有する鋼
    を、下記〜の条件を含む方法で熱間圧延した後、冷
    間圧延及び再結晶焼鈍することを特徴とする請求項2に
    記載の加工性に優れた冷間圧延鋼板の製造方法; 粗圧延の少なくとも最終圧延パスの圧延を、Ar3点以
    上1150℃以下の温度域で、30%以上の圧下率でお
    こない、 熱間仕上圧延では、少なくともAr1点以下での合計圧
    下率が50%以上の圧延をおこない、 熱間仕上圧延終了後、30℃/s以上の冷却速度で冷
    却して巻取る。
  5. 【請求項5】 粗圧延した鋼に1150〜750℃の温
    度域で10秒間以上保持する析出処理を施した後熱間仕
    上圧延することを特徴とする請求項3または4に記載の
    加工性に優れた冷間圧延鋼板の製造方法。
JP24188899A 1998-10-29 1999-08-27 加工性に優れた冷間圧延鋼板およびその製造方法 Pending JP2000199031A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24188899A JP2000199031A (ja) 1998-10-29 1999-08-27 加工性に優れた冷間圧延鋼板およびその製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10-308756 1998-10-29
JP30875698 1998-10-29
JP24188899A JP2000199031A (ja) 1998-10-29 1999-08-27 加工性に優れた冷間圧延鋼板およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000199031A true JP2000199031A (ja) 2000-07-18

Family

ID=26535496

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP24188899A Pending JP2000199031A (ja) 1998-10-29 1999-08-27 加工性に優れた冷間圧延鋼板およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000199031A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1568791A1 (en) * 2004-02-25 2005-08-31 JFE Steel Corporation High strength cold rolled steel sheet and method for manufacturing the same
WO2010074308A1 (ja) * 2008-12-24 2010-07-01 Jfeスチール株式会社 製缶用鋼板の製造方法
CN103140594A (zh) * 2010-09-29 2013-06-05 杰富意钢铁株式会社 深拉性和延伸凸缘性优良的高强度热镀锌钢板及其制造方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1568791A1 (en) * 2004-02-25 2005-08-31 JFE Steel Corporation High strength cold rolled steel sheet and method for manufacturing the same
WO2010074308A1 (ja) * 2008-12-24 2010-07-01 Jfeスチール株式会社 製缶用鋼板の製造方法
JP2010150571A (ja) * 2008-12-24 2010-07-08 Jfe Steel Corp 製缶用鋼板の製造方法
US8372221B2 (en) 2008-12-24 2013-02-12 Jfe Steel Corporation Manufacturing method of steel sheet for cans
CN103140594A (zh) * 2010-09-29 2013-06-05 杰富意钢铁株式会社 深拉性和延伸凸缘性优良的高强度热镀锌钢板及其制造方法
CN103140594B (zh) * 2010-09-29 2016-06-22 杰富意钢铁株式会社 深拉性和延伸凸缘性优良的高强度热镀锌钢板及其制造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3821036B2 (ja) 熱延鋼板並びに熱延鋼板及び冷延鋼板の製造方法
JP2005290547A (ja) 延性および伸びフランジ性に優れた高炭素熱延鋼板およびその製造方法
JPWO2019151017A1 (ja) 高強度冷延鋼板、高強度めっき鋼板及びそれらの製造方法
JP4414883B2 (ja) 成形性及び溶接性に優れた超深絞り用高強度冷延薄鋼板とその製造方法
JP3901039B2 (ja) 成形性に優れる超高強度冷延鋼板およびその製造方法
JP4003401B2 (ja) 降伏強さと破断伸びの変動が小さく高成形性と低降伏比とを有する鋼板およびその製造方法
JP4205893B2 (ja) プレス成形性と打抜き加工性に優れた高強度熱延鋼板及びその製造方法
JP2002256390A (ja) 高成形性鋼板およびその製造方法
JP2987815B2 (ja) プレス成形性および耐二次加工割れ性に優れた高張力冷延鋼板の製造方法
JP4010131B2 (ja) 深絞り性に優れた複合組織型高張力冷延鋼板およびその製造方法
JP4333356B2 (ja) 冷延鋼板の製造方法
JP2000199031A (ja) 加工性に優れた冷間圧延鋼板およびその製造方法
JP3857875B2 (ja) 穴拡げ性と延性に優れた高強度熱延鋼板及びその製造方法
KR20220024957A (ko) 고강도 강판, 고강도 부재 및 그것들의 제조 방법
JP4114521B2 (ja) 成形性に優れる超高強度冷延鋼板およびその製造方法
JP3818025B2 (ja) 異方性の小さい冷延鋼板の製造方法
JP3109388B2 (ja) 面内異方性の小さい高加工性冷延鋼板の製造方法
JP3735142B2 (ja) 成形性に優れた熱延鋼板の製造方法
JP3204101B2 (ja) 深絞り用鋼板及びその製造方法
JP3446001B2 (ja) 加工性に優れた冷延鋼板及び溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP3596045B2 (ja) 成形性に優れる焼付硬化型冷延鋼板の製造方法
JP4332960B2 (ja) 高加工性軟質冷延鋼板の製造方法
JP3224732B2 (ja) 耐時効性の良好な冷延鋼板とその製造方法
JP3261037B2 (ja) 耐時効性の良好な冷延鋼板の製造方法
JP2003013176A (ja) プレス成形性と歪時効硬化特性に優れた高延性冷延鋼板およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20060322

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A977 Report on retrieval

Effective date: 20071015

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20080701

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20081028