JP2000197851A - 金属表面の傷付いた汚損除去コ―ティング領域を回復する方法並びに該方法で得られる表面 - Google Patents

金属表面の傷付いた汚損除去コ―ティング領域を回復する方法並びに該方法で得られる表面

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属基材の傷付いた汚損除去コーティング領
域に二重シリコーン汚損除去系を効果的に直接塗布する
ことのできる簡単な補修プロセスの提供。 【解決手段】 金属基材の傷付いた汚損除去コーティン
グ領域に二液型RTVシリコーンタイコートを直接塗布
する。古いエポキシ又はシリコーン表面に有効量のアミ
ノアルキルトリアルコキシシランを含む二液型RTVシ
リコーンタイコートを直接塗布すると、それに直接塗布
した二液型RTVシリコーントップコートで凝集破壊の
結果が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術的背景】本発明は、船舶の船殻の表面のよ
うな金属基材の傷付いた汚損除去コーティング(foul re
lease coating)領域を有機ケイ素接着促進剤組成物で処
理する方法に関する。かかる有機ケイ素接着促進剤組成
物を塗布した後は、二重シリコーン汚損除去コーティン
グ系の塗布が容易になる。
【0002】船底のように海水中に没する金属構造体に
は一般にフジツボや棲管虫や藻類などの生物が群がっ
て、かかる構造体の表面に付着するようになり、抵抗の
増加によって燃料消費の増大を引き起こすことがある。
慣例として、このような露出される基材の表面を処理し
て汚損生物の付着を最小限にするため防汚塗料が用いら
れる。シリコーン類は、米国特許第4025693号、
同第4080190号及び同第4227929号に記載
されている通り、有効な防汚塗料として早くも1970
年代には知られていた。
【0003】シリコーン類は海水と接しているときは有
効な防汚コーティングと認められるものの、シリコーン
類はエポキシ樹脂のような各種有機材料の耐腐食性を有
していない。その結果、船舶の船殻を前もって研磨して
金属表面を露出させた後にその金属表面に大気条件下で
耐腐食性エポキシコーティングを塗布するのが普通であ
る。続いてシリコーンのような防汚コーティングで処理
するには、一般にシリコーンをエポキシ表面に結合する
ためのタイコートが必要とされる。
【0004】Griffithの米国特許第54495
53号(その開示内容は文献の援用によって本明細書に
取り込まれる)には、無毒性防汚系が開示されており、
二重シリコーン汚損除去コーティングが用いられてい
る。該シリコーンコーティングの一つはGE RTV1
1のような室温加硫性(RTV)組成物である。RTV
組成物は半硬化結合層の上に塗布されるが、この半硬化
結合層自体はエポキシコーティング上に塗布できる。半
硬化結合層の構成成分には、ヒドロキシ末端オルガノポ
リシロキサンと重合性単量体(例えばスチレン)又は共
役ジオレフィン(例えば1,3−ブタジエン)との反応
生成物が含まれている。このヒドロキシ末端オルガノポ
リシロキサン反応生成物は湿分不在下で、エチルシリケ
ートとジブチルスズブトキシクロライドの部分加水分解
生成物と一緒にされ、縮合硬化RTV組成物を形成す
る。
【0005】Griffithの米国特許第54495
53号には、Wacker silicones Co
rporation(米国ミシガン州エイドリアン)製
のSilgan J−501として言及されている関連
した半硬化結合層組成物も示されている。Silgan
J−501も船舶の船殻のようなエポキシ処理した鋼
基材に直接塗布することができ、後で塗布される外側シ
リコーンRTV除去層に対するアンカーとして役立てる
ことができる。これらのRTVの組合せは、「二重シリ
コーン汚損除去系」という表現で包括することができる
が、船舶の船殻、さらに具体的にはエポキシコートした
鋼製船殻に適切に固着すれば汚損除去系として有効であ
ることが判明している。
【0006】しかし、各硬化シリコーン層間の接着、す
なわちシリコーンRTV汚損除去コーティングと上述の
シリコーン有機結合層との接着は概して満足のいくもの
であるものの、シリコーン結合層と船舶の船殻上のエポ
キシコーティングとの間の接着にはエポキシ含有「タッ
クコート」が必要とされることが経験的に判明してい
る。その結果、船舶の船殻用の十分な汚損除去コーティ
ング系には、概して、最初の耐腐食性エポキシコーティ
ングと、エポキシタックコートもしくはミストコート
と、シリコーン結合層と海水と直接接するシリコーン汚
損除去トップコートからなる多層コーティング系が必要
とされる。さらに、シリコーンRTV汚損除去トップコ
ートの十分な接着には概して塗布したてのシリコーン結
合層が必要とされる。
【0007】その結果、船舶がその船殻の周りに傷を負
った場合は、たとえ限られた領域であっても、多層シリ
コーン−エポキシコーティング層の1層以上の貫通もし
くは破壊に至る可能性があり、複雑もしくは面倒な補修
処置が往々にして必要となる。例えば、多層シリコーン
−エポキシコーティング層の回復には、研磨したての鋼
表面に元の耐腐食性エポキシコーティングを再塗装し、
次いでエポキシ層をタイコートで処理した後、二重シリ
コーン汚損除去コーティング系を塗布することが必要と
されることがある。
【0008】そこで、船舶の船殻の傷付いた領域に二重
シリコーン汚損除去系を効果的に直接塗布することので
きる簡単なパッチもしくは補修プロセスを提供すること
が望ましい。
【0009】
【発明の簡単な概要】本発明は、有効量のアミノアルキ
ルトリアルコキシシラン(例えばγ−アミノプロピルト
リメトキシシラン)を含む特定の二液型シリコーンRT
V組成物(本明細書中では以下「シリコーン接着促進
剤」と呼ぶ)の塗布が船舶の船殻の傷付いた領域のパッ
チコートとして有効に塗装でき、二重シリコーン汚損除
去コーティングの塗装ができるようになるという発見に
基づくものである。
【0010】例えば、船殻の傷が露出金属面、露出エポ
キシ面、露出シリコーン面又はこれらの組合せを含んで
いたとしても、上述のシリコーン接着促進剤が二重シリ
コーン汚損除去系用の「パッチコート」として効果的に
使用することができることが今回判明した。具体的な補
修状況下では、所望により、シリコーンRTVトップコ
ートを直接塗布できるように二重シリコーン汚損除去系
中のシリコーン結合層を省くこともでき、シリコーンR
TVトップコートはシリコーン接着促進剤の硬化したて
の面に塗布できる。
【0011】
【発明の態様】本発明では、金属基材上の傷付いた汚損
除去コーティング領域の汚損除去作用を回復する方法で
あって、(a)傷付いた汚損除去コーティング領域を大
気条件下において(i)シラノール末端ポリジオルガノ
シロキサンと(ii)該シラノール末端ポリジオルガノ
シロキサンの重量を基準にして約0.5重量%〜約5.
5重量%のアミノアルキルトリアルコキシシランとを含
んでなる二液型縮合硬化シリコーンRTVの形態の接着
促進剤組成物の有効量で処理し、かつ(b)上記(a)
で処理した領域にトップコートとして二液型シリコーン
縮合硬化RTV汚損除去コーティング組成物を塗布する
ことを含んでなる方法が提供される。
【0012】本発明では、上述の方法で処理して得られ
る金属基材も提供される。
【0013】
【発明の詳しい説明】本発明で用いる「二液型RTV」
という表現は、場合によって「第1成分」及び「第2成
分」と呼ぶ液体シリコーン混合物が両者を室温で混ぜ合
わせたときに液体状態からゴム弾性もしくはゴム状態へ
と転化されることを意味する。
【0014】第1成分中には、一般にシラノール末端ポ
リジオルガノシロキサンのような線状シリコーンポリマ
ー、好ましくはシラノール末端ポリジメチルシロキサン
が炭酸カルシウムのような充填剤とともに存在する。第
2成分中には、一般に1種類以上の金属イオン(カルボ
ン酸の金属塩等)又は金属化合物(例えばジブチルスズ
オキシドのようなスズの酸化物等)を部分縮合アルキル
シリケート(例えばエチルシリケート)とともに含む硬
化剤が存在する。金属イオンは、シラノール末端ポリジ
オルガノシロキサンを基準にして約0.1重量%〜5重
量%の量で存在し得る。アルキルシリケートは、シラノ
ール末端ポリジオルガノシロキサンを基準にして約0.
1重量%〜10重量%の量で存在し得る。
【0015】上述の構成成分に加えて、二液型シリコー
ンRTVの両成分は、それぞれ、これらの塗料様材料の
塗布を容易にするため、炭化水素溶剤のような有機溶
剤、例えばミネラルスピリットを過半量含んでいること
が多い。
【0016】ある状況下では、予め十分な注意を払って
おかないと、二液型シリコーンRTV組成物を混合した
後のポットライフ(「ワークタイム」と呼ばれることも
ある)が、望ましい塗装結果を達成するには短すぎるこ
ともある。例えば、5分のポットライフでは使用がかな
り難しくなる。ポットライフを延ばすのに用いることの
できる一つの方法は、外部混合スプレーノズルを備えた
二槽式圧力供給系を用いることである。もう一つの方法
は、米国特許第3888815号(その開示内容は文献
の援用によって本明細書に取り込まれる)に教示されて
いる通り、酸素化溶剤を使用すること、或いは触媒を改
質することである。
【0017】本発明の実施に用いられるアミノアルキル
トリアルコキシシランは好ましくはγ−アミノプロピル
トリメトキシシランであるが、NH2RSi(OR1)
3(式中、Rはメチレン、ジメチレン又はC(4-8)アルキ
レンであり、R1はC(1-8)アルキルである)のような他
のアミノアルキルトリアルコキシシランを使用すること
もできる。
【0018】当業者が容易に本発明を実施できるよう
に、以下の実施例を例示のために挙げるが、本発明を限
定するためのものではない。特記しない限り、部はすべ
て重量部である。
【0019】
【実施例】接着強さは、鋼基材表面に約16ミルの厚さ
で塗布した硬化性二液性RTV混合物中に埋め込まれた
一連の鋼製ドーリから得た。一つの系列では、一年経過
したエポキシ樹脂でコートした鋼基材を用いた。もう一
つの系列では、1年経過したエポキシ樹脂コーティング
と二重シリコーン汚損除去コーティングで処理した鋼基
材であり、傷を模擬すべく擦って丸のみで彫りを付け
た。接着測定値は、KTA Company(米国ペン
シルヴァニア州ピッツバーグ)のHATE MARK
1V試験装置を用いてポータブルアドヒージョンに関す
るASTM D−4541に準じて得た値である。
【0020】接着試験に使用した硬化性二液型シリコー
ンRTV混合物は、以下「Exsil 2200トップ
コート」というが、これはGE Silicones
(米国ニューヨーク州ウォーターフォード)の製品であ
る。
【0021】Exsil 2200トップコートを塗布
する前に、上述の鋼基材を二液型縮合硬化RTVの形態
のシリコーン接着促進剤もしくは「パッチコート」で処
理した。例えば、一つの系列では、シリコーン接着促進
剤組成物はエポキシコートされた鋼基材に直接塗布され
る。第二の系列では、接着促進剤は、1年経過した多層
エポキシ及びシリコーンでコートされた鋼基材で傷を模
擬すべく擦って丸のみで彫りを付けたものに対して塗布
される。二液性縮合硬化RTVは、大気条件下、すなわ
ち大気温度、大気圧及び大気湿度条件下で基材に塗布し
た。
【0022】二液性シリコーン接着促進剤、すなわちタ
イコート組成物の第1成分は、ヘプタン約40重量%
と、GE Silicones(米国ニューヨーク州ウ
ォーターフォード)の製品であるSEA 210A約6
0重量%である。SEA 210Aは3000センチポ
アズのシラノール末端ポリジメチルシロキサン約25重
量%と沈殿ステアリン酸処理CaCO350重量%とか
らなる。シリコーン接着促進剤組成物の第2成分はミネ
ラルスピリット62%と、部分縮合エチルシリケート1
1.3%と、可溶化ジブチルスズオキシド3.8%と、
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン22.5%とか
らなる。所望により、均一に混合する程度を容易にする
ための指示薬として、少量の染料を用いることもでき
る。
【0023】以下に、「トップコート」と呼ばれるEx
sil 2200トップコートに浸した鋼ドーリを用い
て得られた接着試験の結果を示す。トップコートの前に
各鋼基材に塗布されるシリコーン接着促進剤は「タイコ
ート」と呼ぶ。鋼基材には、エポキシコート鋼基材(す
なわち「エポキシ/鋼」)とエポキシ−二重シリコーン
コート鋼基材(すなわち「エポキシ−シリコーン/
鋼」)とがある。全硬化時間は18時間として示した
が、これはシリコーンRTV塗布から試験測定の間の期
間をカバーしている。
【0024】「破壊の形式」という項目で、接着とはト
ップコートとタイコートとがきれいに剥離することを意
味し、凝集とはトップコートとタイコートが剥離する代
わりにトップコート壁内で破壊が起こることを意味す
る。
【0025】
【表1】
【0026】上記の結果は、接着促進剤もしくはタイコ
ートと呼ぶ二液型縮合硬化RTVが、船舶の船殻の傷付
いたシリコーン汚損除去コーティングの補修に利用でき
ることを示している。上記の凝集破壊の結果とは対照的
に、古いエポキシ表面又は古い二重汚損除去シリコーン
表面に対してタイコートを用いずに直接トップコートを
施した同様のパッチ試験では接着破壊が起きた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ケニス・マイケル・キャロル アメリカ合衆国、ニューヨーク州、オーバ ニー、バークシャー・ブールヴァード、 230番

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属基材上の傷付いた汚損除去コーティ
    ング領域の汚損除去作用を回復する方法であって、 (a)傷付いた汚損除去コーティング領域を大気条件下
    において(i)シラノール末端ポリジオルガノシロキサ
    ンと(ii)該シラノール末端ポリジオルガノシロキサ
    ンの重量を基準にして約0.5重量%〜約5.5重量%
    のアミノアルキルトリアルコキシシランとを含んでなる
    二液型縮合硬化シリコーンRTVの形態の接着促進剤組
    成物の有効量で処理し、かつ(b)上記(a)で処理し
    た領域にトップコートとして二液型シリコーン縮合硬化
    RTV汚損除去コーティング組成物を塗布することを含
    んでなる方法。
  2. 【請求項2】 前記二液型縮合硬化シリコーンRTV接
    着促進剤が、シラノール末端ポリジオルガノシロキサン
    を基準にして、0.1重量%〜10重量%のアルキルシ
    リケート及び0.1重量%〜5重量%の金属イオンを含
    む、請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記二液型縮合硬化RTV汚損除去コー
    ティング組成物が、シリコーンRTV結合層とシリコー
    ンRTVトップコートからなる二重汚損除去コーティン
    グを含んでなる、請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記二重汚損除去コーティング中のシリ
    コーンRTV結合層が重合性低分子量有機材料とヒドロ
    キシ末端ポリジメチルシロキサンとのシラノール末端反
    応生成物を含んでなる、請求項3記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記アミノアルキルトリアルコキシシラ
    ンがγ−アミノプロピルトリメトキシシランである、請
    求項1記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記シリコーンRTV接着促進剤の二液
    成分を、調製したての単一有機溶剤ブレンドとして傷付
    いた汚損除去コーティング領域に噴霧する、請求項1記
    載の方法。
  7. 【請求項7】 前記金属基材が船舶の船殻である、請求
    項1記載の方法。
  8. 【請求項8】 金属基材上の傷付いた汚損除去コーティ
    ング領域の汚損除去作用を回復する方法であって、 (a)傷付いた汚損除去コーティング領域を大気条件下
    において(iii)シラノール末端ポリジメチルシロキ
    サンと(ii)該シラノール末端ポリジメチルシロキサ
    ンの重量を基準にして約0.5重量%〜約5.5重量%
    のγ−アミノプロピルトリメトキシシランとを含んでな
    る二液型縮合硬化シリコーンRTVの形態の接着促進剤
    組成物の有効量で処理し、かつ(b)上記(a)で処理
    した領域に二液型シラノール縮合硬化RTV汚損除去コ
    ーティング組成物を塗布することを含んでなる方法。
  9. 【請求項9】 前記接着促進剤組成物が有効量のエチル
    シリケートとジブチルスズオキシドを有する、請求項8
    記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記接着促進剤組成物の表面に二重シ
    リコーン汚損除去コーティングを塗布する、請求項8記
    載の方法。
  11. 【請求項11】 前記接着促進剤を、外部混合スプレー
    ノズルを備えた二液スプレーガンを用いて、傷付いた領
    域に噴霧する、請求項8記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記金属基材が船舶の船殻である、請
    求項8記載の方法。
  13. 【請求項13】 (a)傷付いた汚損除去コーティング
    領域を大気条件下において(iii)シラノール末端ポ
    リジメチルシロキサンと(ii)該シラノール末端ポリ
    ジメチルシロキサンの重量を基準にして約0.5重量%
    〜約5.5重量%のγ−アミノプロピルトリメトキシシ
    ランとを含んでなる二液型縮合硬化シリコーンRTVの
    形態の接着促進剤組成物の有効量で処理する段階、及び
    (b)上記(a)で処理した領域に二液型シラノール縮
    合硬化RTV汚損除去コーティング組成物を塗布する段
    階によって得られる金属基材。
  14. 【請求項14】 当該金属基材が船舶の船殻である、請
    求項13記載の金属基材。
JP29799399A 1998-12-21 1999-10-20 金属表面の傷付いた汚損除去コーティング領域を回復する方法並びに該方法で得られる表面 Expired - Lifetime JP4657409B2 (ja)

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