JP2000189492A - アルブミン製剤収容容器およびその製造方法 - Google Patents

アルブミン製剤収容容器およびその製造方法

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JP2000189492A JP11296495A JP29649599A JP2000189492A JP 2000189492 A JP2000189492 A JP 2000189492A JP 11296495 A JP11296495 A JP 11296495A JP 29649599 A JP29649599 A JP 29649599A JP 2000189492 A JP2000189492 A JP 2000189492A
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Minoru Sano
實 佐野
Yoshihisa Hama
与志久 濱
Toshiya Kai
俊哉 甲斐
Masakazu Mameta
正和 豆田
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Nissho Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】アルブミン加熱変性物の生成を抑制したアルブ
ミン製剤収容容器を提供する。 【解決手段】アルブミンを収容した容器の開口端を密封
して容器頭部を形成したアルブミン製剤収容プラスチッ
ク容器、および(1)一端が閉鎖された円筒状プラスチ
ック成形体を溶融成形し、(2)該成形体を本体金型内
部に設置し、(3)該成形体内部に圧縮ガスを吹き込ん
で容器を成形し、または金型内部を真空にして容器を成
形し、(4)該成形した容器の開口端からアルブミン製
剤を注入し、次いで、(5)得られた薬剤収容容器の開
口端を頭部金型により押圧して密封することを特徴とす
るアルブミン製剤収容容器の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルブミン製剤を収容
したプラスチック容器およびその製造方法に関し、詳し
くは夾雑成分の混入を除去し、アルブミン加熱変性物の
生成を完全に抑制した安定なアルブミン製剤を収容した
プラスチック容器およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アルブミン、特にヒト血清アルブミンは
血漿中に最も多く含まれる蛋白質で肝臓中で作られ、血
流中で正常な浸透圧を維持したり、栄養物質や代謝物質
と結合して運搬するなどの機能をもっている。そのた
め、アルブミンは出血性ショック患者、熱傷患者等の外
傷に関連する症状、低アルブミン血症や胎児性赤芽球症
に罹っている患者の治療に有効とされている。従来、ア
ルブミンは人から採取した血液を分画することによって
製造され、治療薬として「ALBUMIN GC」(吉富製薬社
製)等が市販されてきた。また、近年、遺伝子操作によ
るアルブミンの大量生産、精製技術の研究開発が進み、
遺伝子組換えによる治療薬も市販されようとしている。
【0003】血漿由来のアルブミン中には、肝炎ウイル
スのような好ましくない物質が混入する恐れがあるため
に、通常、アルブミン含有水溶液を加熱処理してウイル
ス等の夾雑成分を除去したアルブミン製剤が製造されて
きた。また、遺伝子操作由来のアルブミン中には、宿主
細胞に由来する蛋白質や多糖類等のヒト生体にとって異
物であり、抗原性に問題のある夾雑成分が含有されるお
それがあるので、これらの培養液(未精製アルブミン)
を加熱処理して精製し、アルブミン製剤を製造してい
る。これらの未精製アルブミンを加熱処理すると、熱に
不安定な夾雑蛋白質の作用で、アルブミンが凝集化した
アルブミン凝集体が生成することは古くから知られてお
り、特開平7-330626号公報には、これらのアルブミン凝
集体を除去する方法が紹介されている。そして、近年、
分子構造は不明であるが、ある種のアルブミン加熱変性
物がアナフィラキシーショックとよばれる急激な症状を
引き起こすことが、問題になっている。
【0004】
【発明が解決しょうとする課題】一方、アルブミン製剤
を収容する容器は、従来からガラス製容器が使用され、
予め成形されたガラス製容器の開口端からアルブミン製
剤を注入した後に、ゴム栓等で開口端を密栓して出荷さ
れている。しかし、このアルブミン製剤の容器への注入
方法は、容器内のアルブミン製剤中に大気中の細菌、そ
の他の夾雑物質が混入する危険があり、これらの夾雑物
質がアルブミン製剤の精製過程で加熱処理する際に、ア
ルブミン加熱変性物の生成を促進し、その結果、アルブ
ミン自体が所有している効能を低減させるので、容器内
部へのアルブミン製剤の注入および容器開口端の密封
は、大気中の夾雑物質と接触しない系で行われるのが好
ましい。また、ガラス容器に代えて、プラスチック容器
を使用することが近年、検討されているが、密封時の熱
によるアルブミンの変性から、その十分な性能を有する
ものが得られていない。
【0005】本発明の目的は、アルブミン加熱変性物の
生成を完全に抑制したアルブミン製剤収容プラスチック
容器を提供することである。本発明者等は、アルブミン
加熱変性物の生成を完全に抑制するアルブミン製剤収容
容器を種々検討した結果、アルブミン容器として、プラ
スチック容器を使用し、かつ、アルブミン製剤を大気中
の夾雑物質と接触しない系で該容器内部に注入し、比較
的低温度で該容器開口端を密封することによって、上記
目的が達成されることを見出し、本発明に到達した。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は容器
本体および容器頭部を有するプラスチック容器であっ
て、該容器本体がアルブミン製剤を収容し、該容器頭部
が容器の開口端を密封して形成されたアルブミン製剤収
容プラスチック容器である。
【0007】また、本発明の一実施態様は、溶融成形し
た一端が閉鎖された円筒状プラスチック成形体を本体金
型内部に設置し、該成形体内部に圧縮ガスを吹き込んで
成形した容器の開口端からアルブミン製剤を注入して得
られた薬剤収容容器の開口端を密封してなるアルブミン
製剤収容容器である。
【0008】また、本発明の別な実施態様は溶融成形し
た一端が閉鎖された円筒状プラスチック成形体を本体金
型内部に設置し、該本体金型内部を真空にして成形した
容器の開口端からアルブミン製剤を注入して得られた薬
剤収容容器の開口端を密封してなるアルブミン製剤収容
容器である。
【0009】更に、本発明の別な実施態様は前記アルブ
ミン製剤収容容器において、容器本体の頭部にゴム状弾
性体が固着されてなるアルブミン製剤収容容器である。
更にまた、本発明の別な実施態様は前記アルブミン製剤
収容容器において、容器本体の首部の長さDと容器本体
の長さLとの比、D/Lが 0.1〜0.5であるアル
ブミン製剤収容容器である。
【0010】また、本発明は(1)一端が閉鎖された円
筒状プラスチック成形体を溶融成形し、(2)該成形体
を本体金型内部に設置し、(3)該成形体内部に圧縮ガ
スを吹き込んで容器を成形し、または本体金型内部を真
空にして容器を成形し、(4)該成形した容器の開口端
からアルブミン製剤を注入し、次いで、(5)得られた
薬剤収容容器の開口端を頭部金型により押圧して密封す
ることを特徴とするアルブミン製剤収容容器の製造方法
である。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明のアルブミン製剤とは、分
子量が約6,7000である血清アルブミンまたは遺伝
子操作由来のアルブミンを精製水に溶解した溶液であ
る。本発明では、アルブミン水溶液中のアルブミン含量
は、 約0.1〜30%(W/V)が好ましい。アルブ
ミン製剤中には、アセチルトリプトフアン塩、炭素数6
〜18の有機カルボン酸またはその塩等の安定化剤が含
有されていてもよい。このような安定化剤、例えばアセ
チルトリプトファンは、アルブミン製剤中に含有される
アルブミン1g当たり約20〜60mgであることが好
ましい。炭素数6〜18の有機カルボン酸としては、カ
プロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、パル
ミチン酸、オレイン酸等が例示され、その塩としてはナ
トリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、カルシウム等
のアルカリ土類金属塩が挙げられる。
【0012】本発明のアルブミン製剤を充填した容器
は、必要により加熱滅菌して、アルブミン製剤中に混入
する恐れのあるウイルス等を不活性化することが必要で
ある。アルブミン製剤を調製するための加熱滅菌温度と
しては、一般には40〜60℃が好ましく、加熱時間は
5〜20時間が好ましい。
【0013】本発明アルブミン製剤収容容器の材料であ
るプラスチックとしては、上記加熱滅菌温度に耐えると
ともに、アルブミン製剤を収容した容器の開口端内面温
度40〜70℃の温度で、頭部金型による押圧により密
封しうる材料が好ましく、例えば、ポリエチレン、ポリ
プロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、エチ
レン・酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。具体的には
融点が90〜140℃であり、密度が0.890〜0.
940である低密度ポリエチレンなどのポリオレフィン
が挙げられる。
【0014】本発明のアルブミン製剤収容容器の製法
は、(1)一端が閉鎖された円筒状プラスチック成形体
(パリソン)を溶融成形し、(2)該成形体を本体金型
内部に設置し、(3)該成形体内部に圧縮ガスを吹き込
んで容器を成形し、(4)該成形した容器の開口端から
アルブミン製剤を注入し、次いで、(5)得られた薬剤
収容容器の開口端を頭部金型により押圧して密封するこ
とを特徴とするアルブミン製剤収容容器の製造方法であ
る。上記圧縮ガスを吹き込んで容器を成形する工程に代
えて、本体金型内を真空にして容器を成形することも可
能である。
【0015】すなわち、本発明アルブミン製剤収容容器
は、型開きした本体金型内に円筒状プラスチック成形体
を溶融押出し、その一端を金型内で閉鎖した円筒状プラ
スチック成形体(パリソン)を作製し、該本体金型内で
該成形体内部に圧縮ガスを吹き込むか、あるいは本体金
型内部を真空にして容器を成形し、該容器が未だ本体金
型内にある間に、アルブミン製剤を容器開口端から内部
に注入する。したがって、アルブミン製剤は大気にほぼ
触れないで、無菌状態で該製剤を該容器に充填すること
ができる。更に、本体金型の冷却によって容器本体は急
冷される。次に、アルブミン製剤が充填された容器の開
口端を頭部金型により押圧して密封する。この時、頭部
金型の冷却により頭部は冷却される。したがって、アル
ブミン加熱変性物の生成を完全に抑制することができ
る。
【0016】本発明のアルブミン製剤収容容器の形状と
しては、上記プラスチックから成形された筒状容器の上
部に開口端を有する容器である。その容器本体および開
口端の水平切断面は、好ましくは円形、楕円形もしくは
ほぼ四角形であってもよい。該容器は筒状容器本体の上
部に、開口端へむかって、内容物が排出しやすい傾斜部
(以下、肩部と称する)および首部を有する。また、成
形法によっては、首部上部に成形時に形成されるフラン
ジを有する。容器本体上部、またはフランジ上部には容
器頭部を有する。本発明では、容器頭部が容器本体と同
じプラスチックから成形され、かつ、開口端が密閉され
て頭部が形成されることが特徴である。
【0017】本発明のアルブミン製剤収容容器は、容器
首部の長さD(肩部上部から開口端、好ましくはフラン
ジまでの長さ)と容器本体の長さL(容器底部から肩部
上部、好ましくはフランジまでの長さ)の比、D/Lが
好ましくは0.1〜0.5、より好ましくは、0.1〜
0.3、もっとも好ましくは0.1〜0.15である。
D/Lが0.1より小さいと、アルブミン製剤が熱の影
響を受ける可能性があり、D/Lが0.5より大きい
と、容器としてのバランスが悪い。
【0018】また、容器本体と容器開口端の水平切断面
との比は、収容されるアルブミン製剤の量によって、種
々異なるが、通常、好ましくは0.01〜0.5、より
好ましくは、0.1〜0.2、もっとも好ましくは0.
1〜0.15である。
【0019】本発明のアルブミン製剤収容容器の大きさ
は、収容するアルブミン製剤の量によって、種々異なる
ものであるが、具体例としては、容器本体である筒状部
が円筒である場合、その直径は、好ましくは10〜15
0mm、さらに好ましくは50〜100mm、もっとも
好ましくは60〜80mmである。該筒状部が楕円形で
ある場合、その長軸/短軸比は、好ましくは1.1以
上、より好ましくは1.5〜5.0、もっとも好ましく
は2.0〜3.0である。また、該筒状部がほぼ四角形
である場合、その横長/縦長比は、好ましくは1.1以
上、より好ましくは1.5〜5.0、もっとも好ましく
は2.0〜3.0である。さらに、容器本体の肉厚は、
通常、0.2〜2.5mm、好ましくは0.3〜1.5
mm、もっとも好ましくは0.4〜0.7mmであり、
容器首部の肉厚は、通常、0.3〜3.0mm、好まし
くは0.8〜2.0mm、もっとも好ましくは1.0〜
1.5mmである。容器肉厚は容器内面温度を支配する
ものであり、金型温度を一定に保っても、肉厚の異なる
容器の部位によって、種々にその内面温度は異なるもの
である。特に肩部の内面温度は他の部位に比べて、高く
なりがちであるから、肩部に関しては、特に金型冷却回
路を工夫して金型冷却効率を高くする必要がある。
【0020】本発明のアルブミン製剤収容容器の開口端
とは、アルブミン製剤を該容器に収容するための開口端
であり、容器本体と同じプラスチックから成形される部
位であって、頭部金型により押圧された密閉することに
より、容器頭部を形成する部位である。従来のプラスチ
ック容器では、容器頭部を成形するには、容器開口端に
金属プレートを設置し、その上部にプラスチック製蓋部
材を別に載置し、金属プレートを加熱することにより、
プラスチック製蓋部材および開口端を加温した後、金属
プレートを取り出し、残された該蓋部材および開口端を
余熱により溶融接着させていた。しかしながら、このよ
うな容器頭部の製造方法では、加熱された金属プレート
の熱によりアルブミンが変性する問題がある。ところ
が、本発明のように容器本体と同じプラスチックから成
形される開口端を比較的低温度にて頭部金型を押圧して
接着させて、容器頭部を成形すると、低温度のため、ア
ルブミンが変性しない。
【0021】本発明のアルブミン製剤収容容器を製造す
る装置としては、ロメラグ社のボトルパック機などのブ
ローフィルシールシステムが例示されるが、これらに限
定されない。
【0022】該容器を製造する条件としては、 (1)一端が閉鎖された円筒状プラスチック成形体を溶
融成形するには、まず、材料であるプラスチックを溶融
温度以上に加熱し、筒状のオリフィスを有する押出機か
ら押出し、開かれた金型の間に垂下するように押し出
す。 (2)該成形体を本体金型内部に設置するには、本体金
型および頭部金型を有する金型の本体金型内に、上記溶
融した円筒状プラスチック性成形体を重力により垂下さ
せて、設置する。このとき、本体金型および頭部金型の
温度は、通常、5〜30℃に制御されている。したがっ
て、溶融状態で垂下した円筒状プラスチック成形体は約
100〜150℃に低下している。 (3)該成形体内部に圧縮ガスを吹き込んで容器を成形
するには、上記円筒状プラスチック成形体の開口端から
圧縮ガス、たとえば、空気を吹き込み、上記成形体を膨
張させ、本体金型内面に接触させて容器を成形する。こ
のとき、本体金型の温度が通常、5〜30℃に制御され
ているから、円筒状プラスチック成形体本体の温度は、
たとえば、10〜70℃に低下する。しかしながら、該
円筒状プラスチック成形体の上部であって、本体金型に
接触しない部分(開口端)は、通常、100〜150℃
の状態にある。または金型内部を真空にして成形するに
は、常法に従う。この場合においても、該円筒状プラス
チック成形体の上部であって、本体金型に接触しない部
分(開口端)は、通常、100〜150℃の状態にあ
る。 (4)該成形した容器の開口端からアルブミン製剤を注
入するには、上記円筒状プラスチック成形体から容器を
成形した後、できるかぎり速やかに行う。注入するアル
ブミン製剤の温度は通常、5〜25℃に近いから、該製
剤の注入により、成形された容器本体の温度は、10〜
60℃である。しかし、容器開口部の内面温度は、50
〜90℃の状態のままである。次いで、 (5)得られた薬剤収容容器の開口端を頭部金型により
押圧して密封する。これは、容器開口端の内面温度が4
0〜70℃であるときに行うことが好ましい。該容器を
成形した後、容器開口部の内面温度が40℃未満に低下
すると、該開口部を頭部金型により押圧して密封するこ
とが難しくなる。また、70℃を越えて密封すると、収
容されたアルブミン製剤が変性することもありうる。
【0023】本発明アルブミン製剤収容容器を得る方
法、および得られた容器の一例を図面でもって説明す
る。先ず、図1A,1B,2C,2D、3Eおよび3F
は、本発明アルブミン製剤収容容器の製造工程を順に示
す説明図である。円筒状プラスチック成形体1をブロー
成形する際に用いられる割金型10は、左右一対の本体金
型11と左右一対の頭部金型12とからなる。まず、ブロー
成形する前に割金型10を型開きした状態で割金型10間
に、下端が閉鎖された円筒状プラスチック成形体(パリ
ソン)1を垂下させる(図1−A)。パリソン1は溶融
したプラスチックを押出しノズルから押し出すか、予め
成形されたパリソンを金型内で加温してもよい。次い
で、本体金型11を型締めするとともに、パリソン1を割
金型10の上方位置で加熱したナイフ18により切断する
(図1−B)。本体金型および頭部金型はその温度が5
〜30℃に制御されている。
【0024】マンドレル14を約100〜150℃に加温
されたパリソン1の上部開口部2から押し込む。このマ
ンドレル14には、空気吹き込み孔15が形成されており、
マンドレル14を本体金型11内に押し込んだ後、空気吹き
込み孔15からパリソン1内部に圧縮空気を注入して、パ
リソン1を所定形状に膨張させる。膨張したパリソン上
部を開口端5と呼ぶ(図2−C)。次いで、マンドレル1
4内に配置されているアルブミン製剤注入用ノズル16
を、その先端が容器本体3の底部近傍位置まで下降さ
せ、ノズル16からアルブミン製剤を注入する。このと
き、容器本体3内部の空気は空気吹き込み孔15から排出
される(図2−D)。
【0025】容器本体3内にアルブミン製剤が充填され
た後、ノズル16が上昇してマンドレル14内に収納され、
マンドレル14は割金型10から取り出される。その後、頭
部金型12が型締めされる。頭部金型12の内壁には、複数
の吸引孔17が設けられており、頭部金型12の間にある容
器開口端5(図示されず)は頭部金型12の形状に沿って
所定形状に真空成形されると同時に密封されて容器頭部
7を形成する(図3−E)。この時の頭部金型12の近辺
にある円筒状プラスチック成形体(容器開口端)の内面
温度は、10〜70℃、好ましくは40〜60℃であ
る。該容器開口端の内面温度が70℃を超えると、容器
本体3内に充填されているアルブミン製剤が加熱されて
アルブミン加熱変性物が生成する恐れがあり、該容器開
口端の内面温度が40℃未満であると、容器開口端5が
完全に密封されにくくなる傾向がある。次に、割金型10
を型開きして割金型10からアルブミン製剤を収容した容
器6を取り出す(図3−F)。
【0026】本発明アルブミン製剤収容容器を得るため
の他の一例を図4で説明する。図4は、溶融成形された
円筒状プラスチック成形体(パリソン)を本体金型22の
内壁に設けられた複数の吸引孔23から吸引し、本体金型
22の形状に沿って所定形状に真空成形する際の説明図で
ある。割金型の間に挿入され、下端が閉鎖されたパリソ
ンを型締めされた本体金型22で固定し、本体金型22の内
壁に設けられた複数の吸引孔23から該パリソンを真空で
吸引して、本体金型22の形状にまで成形し、容器本体3
を形成する。型開きした頭部金型27の内壁にも複数の吸
引孔28が設けられており、マンドレル24の先端がパリソ
ンの開口端に挿入されていて、容器頭部も図3−Eと同
様に、真空成形で形成されるようになっている。
【0027】次いで、図2−Dに示すように、マンドレ
ル14内に配置されているアルブミン製剤注入用ノズル16
からアルブミン製剤を容器本体3に注入し、マンドレル
14を割金型10から取り出す。その後、図3−Eに示すよ
うに、頭部金型12を型締めし、頭部金型12の内壁に設け
られた複数の吸引孔17から真空に吸引して容器首部4を
形成するとともに容器開口端5を密封する。このとき、
容器開口端の内面温度は40〜70℃であることが好ま
しい。次に、割金型10を図3−Fに示すように型開きし
て割金型10からアルブミン製剤を収容した容器6を取り
出す。
【0028】図5は、本発明アルブミン製剤収容容器の
一例を示す一部垂直断面図であって、アルブミン製剤収
容容器の容器頭部7の上面にゴム状弾性体8が固着され
た容器である。頭部7の外周面には径方向外方に突出し
たフランジ9が形成されており、かしめ部剤26の底端と
溶着し、ゴム状弾性体8を容器頭部7に固着している。
また、ゴム状弾性体8の外面には、大気汚染物質が付着
しないように、熱収縮性保護フイルム25が被覆されてい
る。ゴム状弾性体8の材料としては、ブチルゴム、ポリ
イソブチレンゴム、シリコ−ンゴム、エチレン・ポリプ
ロピレンゴム等の合成ゴムまたは天然ゴム等が挙げられ
る。アルブミン製剤収容容器の頭部7の上面にゴム状弾
性体8が固着されていると、穿刺針がゴム状弾性体8お
よび頭部7に穿刺してもゴム状弾性体に穿刺された針穴
は閉塞する方向に復元力が作用するので、穿刺針が針穴
と当接しアルブミン製剤が外部に漏れることはない。か
しめ部材26の材料としては、ポリオレフイン、ポリエス
テル、ポリアミド等のプラスチックが好ましいが、アル
ミニウム、ステンレス等の金属、セラミック等でもよ
い。
【0029】図6は、本発明アルブミン製剤収容容器の
一例を示す説明図である。容器本体3にアルブミン製剤
を収容した容器6の容器頭部7の上面に、ゴム状弾性体
8がかしめ部材26で固着されたアルブミン製剤収容容器
である。かしめ部材26がプラスチック製の場合には、フ
ランジ9を 300〜450℃の温度に加熱して、かし
め部材26の下端突出部とフランジ部とを溶着させて、ゴ
ム状弾性体8を容器頭部7の上面に装着させる。この
際、容器本体3に収容されているアルブミン製剤の温度
が上昇しないように、容器首部4の長さDを容器本体の
長さLに対し、すなわちD/Lが0.1〜0.5である
のが好ましい。容器首部4とは、容器6のかしめ部材9
からの直管で最下端は容器直径が大きくなる位置までで
あり、その長さはDで表される。容器本体3は、容器首
部4の最下端から容器底部までで、その長さはLで表さ
れる。D/Lが 0.1未満であると、かしめ部材26を
フランジ9に溶着させるときの高温によって、容器本体
3に収容されているアルブミン製剤の一部が加熱変性さ
れる危険があり、D/Lが 0.5を超えると容器6の
直立が不安定になる傾向がある。図6に示されるかしめ
部材は、本発明のアルブミン収容容器から人体へアルブ
ミン製剤を投与するにあたり、穿刺針を刺し込む際に適
度な弾性を付与するものであるが、該部材に代えて、ル
アー付コネクターなどを使用することも可能である。し
たがって、本発明のアルブミン製剤収容容器は、必ずし
もかしめ部材を要件とするものではない。
【0030】
【実施例】以下、実施例にて本発明の一例を説明する。実施例1 密度0.906g/cm3の低密度ポリエチレン(日本ユニカ−社
製DEFD-1137)を溶融し、押出しノズルから押出温度 1
90℃で円筒状に押出し、一端が閉鎖した円筒状成形体
(パリソン)を製造した。このパリソンを割金型10の間
に下降させ(図1-A)、本体金型11を型締めした(図1-
B)。次いで、マンドレル14をパリソン13の上部開口端か
ら押し込み、圧力3kg/cm2で加圧空気をブローし、容器
本体3を成形した。この時の本体金型11の温度は50℃
であった(図2-C)。その後、薬液注入用ノズル16をその
先端が容器本体3の底部まで下降させ、5%アルブミン
水溶液(BUMINATE ALBUMIN, Baxter Healthcare 製)250m
l を容器本体3に注入した(図2-D)。次いで、薬液注入
用ノズル16を上昇させ、開口端内面温度40℃におい
て、頭部金型12を型締めし、吸引孔17から真空成形して
容器頭部7を形成するとともに容器開口端5を密封した
(図3-E)。上記開口端内面温度を種々変化させて、同様
な形状を有する容器3種を製造した。得られたアルブミ
ン製剤収容容器を製造した後、60℃、10時間の加熱
処理を行う前および後に、8,000〜10,000ル
ックスの透過光をあて、内容物中の浮遊成分を肉眼で計
測した。その結果を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】さらに、得られた容器内のアルブミン製剤
(試料1)および容器へ収容する前のアルブミン製剤
(試料1)を常法に従い、電気泳動にかけたところ、い
ずれも同じバンドが検出された(図7、レーンIは収容
前、レーンIIは収容後)。これらの結果から、本発明の
容器に収容されたアルブミン製剤は、変性物を含有しな
いと考えられる。
【0033】実施例2 実施例1の図3-E の頭部金型12を型開きして表出した容
器頭部7に、厚さ2mmのブチルゴムシ−トを載置し、40
0℃の熱風を吹き込んで、図5のフランジ9を加熱し、
かしめ部材26の最下端をフランジ9と溶着して、ブチル
ゴムシ−ト8を容器頭部7に固着した。得られたアルブ
ミン製剤収容容器に透過光をあて、内容物中のアルブミ
ン加熱変性物の生成を検出した。
【0034】
【発明の効果】本発明アルブミン製剤収容容器は、型開
きした金型内に円筒状プラスチック成形体を溶融押出し
て成形し、その一端を金型内で閉鎖した円筒状プラスチ
ック成形体を、金型内で該成形体内部に圧縮ガスを吹き
込むか、あるいは金型内部を真空にして成形した容器が
未だ金型内にある間にアルブミン製剤を容器開口端から
内部に注入する。したがって、アルブミン製剤は大気に
ほぼ触れないで、すなわち無菌状態で充填することがで
きる。更に、アルブミン製剤が充填された容器の開口端
内面温度40〜70℃で該開口端を密封するので、アル
ブミン加熱変性物の生成を完全に抑制することができ
る。また、低分子量の薬剤を従来のプラスチック容器に
収容する場合に比べて、高分子である蛋白質を、プラス
チック容器の製造とほぼ同時に該容器に収容し、かつ、
その変性を抑制できることは、予測できない顕著な効果
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明アルブミン製剤収容容器の製造工程の一
部を示す説明図である。
【図2】本発明アルブミン製剤収容容器の製造工程の一
部を示す説明図である。
【図3】本発明アルブミン製剤収容容器の製造工程の一
部を示す説明図である。
【図4】本発明アルブミン製剤収容容器の製造の他の一
例を示す説明図である。
【図5】本発明アルブミン製剤収容容器の一例を示す一
部垂直断面図である。
【図6】本発明アルブミン製剤収容容器の一例を示す概
観図である。
【図7】本発明のアルブミン製剤収容容器に収容する前
後のアルブミン製剤の電気泳動の結果を示す図面に代わ
る写真である。
【符号の説明】
1 円筒状プラスチック成形体 3 容器本体 4 容器首部 5 容器開口部 6 アルブミン製剤収容容器 7 容器頭部 8 ゴム状弾性体 10 割金型 11 本体金型 12 頭部金型 14 マンドレル 16 アルブミン製剤注入用ノズル 17 吸引孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 豆田 正和 大阪市北区本庄西3丁目9番3号 株式会 社ニッショー内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 容器本体および容器頭部を有するプラス
    チック容器であって、該容器本体がアルブミン製剤を収
    容し、該容器頭部が容器の開口端を密封して形成された
    アルブミン製剤収容プラスチック容器。
  2. 【請求項2】 溶融成形した一端が閉鎖された円筒状プ
    ラスチック成形体を本体金型内部に設置し、該成形体内
    部に圧縮ガスを吹き込んで成形した容器の開口端からア
    ルブミン製剤を注入して得られた薬剤収容容器の開口端
    を密封してなるアルブミン製剤収容容器。
  3. 【請求項3】 溶融成形した一端が閉鎖された円筒状プ
    ラスチック成形体を本体金型内部に設置し、金型内部を
    真空にして成形した容器の開口端からアルブミン製剤を
    注入して得られた薬剤収容容器の開口端を密封してなる
    アルブミン製剤収容容器。
  4. 【請求項4】 容器本体の頭部にゴム状弾性体が固着さ
    れてなる請求項1〜3のいずれか1項に記載のアルブミ
    ン製剤収容容器。
  5. 【請求項5】 容器本体の首部の長さDと容器本体の長
    さLとの比、D/L= 0.1〜0.5である請求項1
    〜4のいずれか1項に記載のアルブミン製剤収容容器。
  6. 【請求項6】 (1)一端が閉鎖された円筒状プラスチ
    ック成形体を溶融成形し、(2)該成形体を本体金型内
    部に設置し、(3)該成形体内部に圧縮ガスを吹き込ん
    で容器を成形し、または金型内部を真空にして容器を成
    形し、(4)該成形した容器の開口端からアルブミン製
    剤を注入し、次いで、(5)得られた薬剤収容容器の開
    口端を頭部金型により押圧して密封することを特徴とす
    るアルブミン製剤収容容器の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記薬剤収容容器の開口端の内面温度4
    0〜70℃において、得られた薬剤収容容器の開口端を
    頭部金型により押圧して密封する請求項6記載のアルブ
    ミン製剤収容容器の製造方法。
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