JP2000186714A - 動圧軸受装置およびその製造方法 - Google Patents

動圧軸受装置およびその製造方法

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JP2000186714A
JP2000186714A JP10362880A JP36288098A JP2000186714A JP 2000186714 A JP2000186714 A JP 2000186714A JP 10362880 A JP10362880 A JP 10362880A JP 36288098 A JP36288098 A JP 36288098A JP 2000186714 A JP2000186714 A JP 2000186714A
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bearing
based metal
dynamic pressure
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copper
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JP10362880A
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English (en)
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Masato Gomyo
五明  正人
Toru Nakanishi
徹 中西
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Nidec Sankyo Corp
Original Assignee
Nidec Sankyo Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 外筒軸受と内筒軸受とを十分な接合強度で容
易かつ良好に接合させることができるようにした動圧軸
受装置およびその製造方法を得る。 【解決手段】 略中空円筒状の外筒軸受30の内周側
に、動圧発生用の軸受面が形成される内筒軸受31が接
合された動圧軸受装置であって、動圧軸受装置によって
支承される軸10と同等の線膨張係数を有する鉄系金属
で外筒軸受30が形成され、銅系金属で内筒軸受31が
形成され、外筒軸受30と内筒軸受31が液相拡散接合
されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、動圧面間の軸受ク
リアランス内に充填した潤滑流体の動圧によって軸と軸
受とを相対的に回転自在に支承する動圧軸受装置及びそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】流体動圧軸受は、温度変化によって性能
が大きく変化する。その理由の一つとして、動圧流体の
粘度変化が挙げられる。通常、動圧流体の粘度が高くな
ると剛性は高くなるが、ロストルクが大きくなる。ま
た、二つ目の理由として、軸と軸受との間のいわゆる軸
受クリアランスの変化が挙げられる。軸の材料と軸受の
材料とが同じ熱膨張係数であれば、温度が変化しても軸
受クリアランスは変化しないが、コストや表面粗さなど
の加工性、摩擦係数や耐磨耗性などの摺動性能等を考慮
して、軸および軸受の材料を選定しているため、一般的
には、軸と軸受の材料は、熱膨張係数が異なる金属を使
用している。
【0003】軸の材料の熱膨張係数よりも軸受の材料の
熱膨張係数の方が大きい場合、高温では、軸受クリアラ
ンスが広くなって軸受の剛性が低くなり、動圧流体の粘
度による軸受の剛性の低下と併せて軸受の性能が低下し
てしまう。
【0004】逆に、軸の材料の熱膨張係数よりも軸受の
材料の熱膨張係数の方を小さくした場合、高温では、動
圧流体の粘度が低下して剛性が低くなるが、その反面、
軸受クリアランスが狭くなるため、剛性の低下を抑える
ことができ、その結果、軸受の性能の低下を小さくする
ことができる。
【0005】一般的に、軸の材料には鉄系金属が用いら
れ、軸受の材料には、ステンレス鋼やインバー等のよう
な、鉄系金属の熱膨張係数と同等かそれよりも低い熱膨
張係数の材料が用いられている。しかしながら、ステン
レス鋼やインバー等のような材料は、加工性が悪く、動
圧軸受に要求される高精度な穴加工を施すのは困難であ
る。
【0006】そこで、従来では、軸受の内径部に加工性
の良い材料を薄く張り付けた複合軸受が提案されてい
る。この複合軸受は、難削加工性材料の外筒軸受に、パ
イプや棒材などの良削加工性材料を圧入あるいは焼きば
めして接合させ、その後、高精度に穴加工を施して製造
している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】内筒軸受とするために
上記良削加工性材料に穴加工を施すと、良削加工性材料
は薄くなり、外筒軸受である難削加工性材料との接合強
度を十分に得ることができなくなってしまう。従って、
単に焼きばめで接合させた場合には、上記穴加工時の切
削加工バイトの切削抵抗や、動圧の溝を形成する際に用
いられる転造工具の抵抗に耐えきれず、上記良削加工性
材料が外筒軸受から剥離したり、抜けてしまうという問
題が生じる。
【0008】また、単なる圧入や焼きばめによって接合
されたものは、軸受長さ方向の静摩擦力のみで接合され
ているため、温度が変化した場合、上記良削加工性材料
からなる内筒軸受が外筒軸受から剥離してしまう場合が
ある。一般的に、内筒軸受として用いられる良削加工性
材料は、外筒軸受として用いられる難削加工性材料に比
べて熱膨張係数が大きいため、低温になった場合には剥
離する可能性が大きい。
【0009】また、内筒軸受として用いられる材料の熱
膨張係数と外筒軸受として用いられる材料の熱膨張係数
とが異なる場合には、どちらか一方の材料が軸受長さ方
向に大きく伸びるため、ラジアル軸受位置が変化すると
いう問題がある。
【0010】本発明は以上のような従来技術の問題点を
解消するためになされたものであり、外筒軸受と内筒軸
受とを十分な接合強度で容易かつ良好に接合させること
ができるようにした動圧軸受装置およびその製造方法を
提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
略中空円筒状の外筒軸受の内周側に、動圧発生用の軸受
面が形成される内筒軸受が接合された動圧軸受装置であ
って、上記動圧軸受装置によって支承される軸と同等の
線膨張係数を有する鉄系金属で上記外筒軸受が形成さ
れ、銅系金属で上記内筒軸受が形成され、上記外筒軸受
と上記内筒軸受が液相拡散接合されていることを特徴と
する。
【0012】請求項2記載の発明は、略中空円筒状の外
筒軸受の内周側に、動圧発生用の軸受面が形成される内
筒軸受が接合された動圧軸受装置であって、上記動圧軸
受装置によって支承される軸と同等の線膨張係数を有す
る鉄系金属で上記外筒軸受が形成され、銅系金属で上記
内筒軸受が形成され、上記外筒軸受と上記内筒軸受が固
相拡散接合されていることを特徴とする。
【0013】請求項3記載の発明は、略中空円筒状の外
筒軸受の内周側に、動圧発生用の軸受面が形成される内
筒軸受を接合することによって動圧軸受装置を製造する
動圧軸受装置の製造方法であって、上記動圧軸受装置に
よって支承される軸と同等の線膨張係数を有する鉄系金
属で上記外筒軸受を形成し、銅系金属で上記内筒軸受を
形成し、上記外筒軸受と上記内筒軸受を液相拡散接合し
たことを特徴とする。
【0014】請求項4記載の発明は、略中空円筒状の外
筒軸受の内周側に、動圧発生用の軸受面が形成される内
筒軸受を接合することによって動圧軸受装置を製造する
動圧軸受装置の製造方法であって、上記動圧軸受装置に
よって支承される軸と同等の線膨張係数を有する鉄系金
属で上記外筒軸受を形成し、銅系金属で上記内筒軸受を
形成し、上記外筒軸受と上記内筒軸受を固相拡散接合し
たことを特徴とする。
【0015】請求項5記載の発明は、請求項3記載の発
明において、上記外筒軸受の内周にはろう材が介在して
いることを特徴とする。
【0016】請求項6記載の発明は、請求項5記載の発
明において、上記ろう材は、メッキ処理で形成されてい
ることを特徴とする。
【0017】請求項7記載の発明は、請求項3記載の発
明において、上記液相拡散接合は、共晶反応によるもの
であることを特徴とする。
【0018】請求項8記載の発明は、請求項3または7
記載の発明において、上記液相拡散接合に要する加圧力
は、上記鉄系金属と上記銅系金属との線膨張係数の差を
利用していることを特徴とする。
【0019】請求項9記載の発明は、請求項4記載の発
明において、上記固相拡散接合に要する加圧力は、上記
鉄系金属と上記銅系金属との線膨張係数の差を利用して
いることを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
にかかる動圧軸受装置およびその製造方法の実施の形態
について説明する。図1には、本発明にかかる動圧軸受
装置を適用した軸固定型のモータの右半部側面を示して
いる。図1に示すように、このモータは、アルミ材等か
らなるフレーム1側に組み付けられた固定部材としての
ステータ組2と、このステータ組2に対し、装置本体に
支承された固定軸10を中心にして図示の上側から組み
付けられた回転部材としてのロータ組3とから主に構成
されている。
【0021】上記ステータ組2を構成しているステータ
コア4は、上記フレーム1に一体的に形成された中空円
筒状の支持ホルダ5の外周に取り付けられていて、この
ステータコア4の各突極部に巻線6がそれぞれ巻回され
ている。一方、上記ロータ組3は、外周にディスクを支
持するためのハブ30aが一体的に形成された略中空円
筒状の外筒軸受30を有している。
【0022】上記外筒軸受30のハブ30aの下部には
外筒部30bが一体に形成されていて、この外筒部30
bの内周面には、上記ステータコア4に対向するように
駆動マグネット35が取り付けられている。上記外筒軸
受30は、上記外筒部30bと、内周側に一体に形成さ
れた内筒部30cとで二重構造になっている。また、上
記外筒軸受30の内筒部30cの内周側には、内筒軸受
31が拡散接合されていて、この内筒軸受31の内周面
には、動圧発生用の軸受面としてのラジアル動圧軸受部
31a、31aが形成されている。図示のように、上記
ラジアル動圧軸受部31a、31aは、内筒軸受31の
内周面の略軸方向中心位置に形成された環状凹部31b
によって、軸方向に区分されている。このラジアル動圧
軸受部31a、31aを介することにより、ハブ30a
が形成された外筒軸受30が固定軸10に回転自在に支
持されている。上記外筒軸受30と内筒軸受31との拡
散接合については後述する。
【0023】上記固定軸10の先端側には、二つのスラ
スト動圧軸受部20a、20bを構成しているリング状
のスラストプレート20が固着されている。図示のよう
に、このスラストプレート20は、外筒軸受30の内筒
部30cの上面と外筒軸受30の上部に取り付けられた
カウンタープレート21の底面とによって僅かな空間を
おいて挟み込まれ、これによって、それぞれの対向面の
間に二つのスラスト動圧軸受部20a、20bがそれぞ
れ構成されている。
【0024】また、上側に形成されたスラスト動圧軸受
部20aより上側、および下側に形成されたラジアル動
圧軸受部31aより下側には、傾斜テーパ面を有する毛
細管シール部22、23がそれぞれ形成され、毛細管シ
ール部22から毛細管シール部23までの間に連続して
動圧軸受用の潤滑流体が充填されている。すなわち、上
記ラジアル動圧軸受部31a、31aの内周面は、固定
軸10の外周面に対して上記潤滑流体を介して非接触の
摺動部を構成しており、ラジアル動圧軸受部31a、3
1aの内周面と固定軸10の外周面とによってラジアル
方向の動圧面が構成されている。
【0025】上記固定軸10は、磁性金属、例えば、ス
テンレス鋼(SUS)のようなクロムを含有する合金鋼
である鉄鋼から形成され、9.8PPM/℃の線膨張係
数を有する磁性SUS材を用いることができる。上記外
筒軸受30は、固定軸10と同等の線膨張係数を有する
鉄系金属、例えば、SUS430Fなどで形成されてい
る。また、上記内筒軸受31は、潤滑性、耐磨耗性、快
削性等に優れた銅系金属、例えば、銅、青銅、リン青
銅、ケイ素青銅などで形成されている。
【0026】次に、本発明の特徴である上記外筒軸受3
0と内筒軸受31との拡散接合について説明する。前述
の通り、上記外筒軸受30の内周側には、内筒軸受31
が拡散接合されている。拡散接合とは、周知の通り、母
材を密着させ、母材の融点以下の温度条件で、塑性変形
をできるだけ生じない程度に加圧して、接合面間に生じ
る原子の拡散を利用して接合する方法であり、主とし
て、固相拡散接合、液相拡散接合、共晶接合などがあ
る。
【0027】上記固相拡散接合とは、接合面間を固相状
態で接合する方法であり、上記液相拡散接合とは、接合
面間にインサート金属などを一時的に溶融、溶化した
後、拡散を利用し等温凝固させて接合させる方法であ
る。また、上記共晶接合とは、上記液相拡散接合の一種
で、液化に対して共晶反応を利用する接合方法である。
本発明は、これらの3つの接合方法を、外筒軸受30と
内筒軸受31との接合に利用したものであり、以下、各
接合ごとの製造工程について説明する。
【0028】上記外筒軸受30と内筒軸受31を液相拡
散接合および共晶反応接合させた場合の製造工程につい
て説明する。図3に示すように、まず、外筒軸受30の
内周面にろう材を介在させる。ろう材を介在させる手段
として、ろう材を例えばメッキ処理で形成する。このと
きのろう材の厚さは3〜20μm程にする。また、ろう
材には、銅系金属と固溶しやすいもの、例えば、Sn
(スズ)、Pb(鉛)、Zn(亜鉛)、Ag(銀)、P
(リン)などを用いることができる。Sn(スズ)、P
b(鉛)、Zn(亜鉛)は、液相拡散接合の場合に用
い、Ag(銀)、P(リン)は、共晶反応接合の場合に
用いる。
【0029】次に、この外筒軸受30の内周側に、内筒
軸受31を形成する銅系金属材を予備的に圧入、焼きば
め、挿入等で接合させる。上記銅系金属材には、パイプ
材や棒材などを用いることができるが、接合後の冷却過
程における収縮応力を緩和させるためには、パイプ材を
用いた方が望ましい。以上のように外筒軸受30の内周
側に内筒軸受31を予備的に接合させた状態にしたら、
外筒軸受30と内筒軸受31を液相拡散状態で接合、あ
るいは共晶反応させて接合させる。
【0030】上記液相拡散接合の条件としては、温度を
内筒軸受31を形成する銅系金属の融点以下、かつメッ
キ処理した金属の融点以上とする。雰囲気は、真空、還
元性雰囲気、不活性雰囲気とする。また、接合時の加圧
応力は、外筒軸受30を形成する鉄系金属と、内筒軸受
31を形成する銅系金属との線膨張係数の差を利用し、
接合時の温度で銅系金属の降伏強度以下とする。内筒軸
受31を形成する銅系金属との線膨張係数の差を利用と
は、内筒軸受31を形成する銅系金属の線膨張係数は、
外筒軸受30を形成する鉄系金属の線膨張係数よりも大
きいため、高温状態では接合面に圧力が発生し、この圧
力を接合時の加圧応力とすることである。また、内筒軸
受31を形成する銅系金属材としてパイプ材を用いた場
合、パイプ材の厚さが薄すぎると接合に要する十分な加
圧応力を得ることができないため、線膨張係数の差、接
合温度、材質の機械的特性、外筒軸受30の内外径寸法
等を考慮して、接合に要する十分な加圧応力を得ること
ができる厚さに設定する。
【0031】上記共晶反応接合の条件としては、温度を
内筒軸受31を形成する銅系金属の融点以下、かつメッ
キ処理した金属の融点以下で、銅系金属とメッキ処理し
た金属の共晶温度以上とする。雰囲気は、真空、還元性
雰囲気、不活性雰囲気とする。また、接合時の加圧応力
は、鉄系金属と銅系金属との線膨張係数の差を利用し、
接合時の温度で銅系金属の降伏強度以下とする。
【0032】以上のように、外筒軸受30と内筒軸受3
1を液相拡散状態で接合、あるいは共晶反応させて接合
させたら、切削加工バイトなどで内筒軸受31に内径を
形成(下穴加工)し、その後、内筒軸受31を仕上げ加
工して、転造工具などで動圧溝を形成する。
【0033】次に、上記外筒軸受30と内筒軸受31を
固相拡散接合した場合の製造工程について説明する。図
4に示すように、まず、外筒軸受30の内周側に内筒軸
受31を形成する銅系金属材を予備的に圧入、焼きば
め、挿入等で接合させる。上記銅系金属材には、パイプ
材や棒材などを用いることができるが、接合後の冷却過
程における収縮応力を緩和させるためには、パイプ材を
用いた方が望ましい。このように外筒軸受30の内周側
に内筒軸受31を予備的に接合させた状態にしたら、外
筒軸受30と内筒軸受31を固相拡散状態で接合させ
る。
【0034】上記固相拡散接合の条件としては、温度を
内筒軸受31を形成する銅系金属の再結晶温度以上、か
つ融点以下とする。雰囲気は、真空、還元性雰囲気、不
活性雰囲気とする。また、接合時の加圧応力は、外筒軸
受30を形成する鉄系金属と、内筒軸受31を形成する
銅系金属との線膨張係数の差を利用し、接合時の温度で
銅系金属の降伏強度以下とする。内筒軸受31を形成す
る銅系金属との線膨張係数の差を利用とは、内筒軸受3
1を形成する銅系金属の線膨張係数は、外筒軸受30を
形成する鉄系金属の線膨張係数よりも大きいため、高温
状態では接合面に圧力が発生し、この圧力を接合時の加
圧応力とすることである。また、内筒軸受31を形成す
る銅系金属材としてパイプ材を用いた場合、パイプ材の
厚さが薄すぎると接合に要する十分な加圧応力を得るこ
とができないため、線膨張係数の差、接合温度、材質の
機械的特性、外筒軸受30の内外径寸法等を考慮して、
接合に要する十分な加圧応力を得ることができる厚さに
設定する。
【0035】以上のように、外筒軸受30と内筒軸受3
1を固相拡散状態で接合させたら、切削加工バイトなど
で内筒軸受31に内径を形成(下穴加工)し、その後、
内筒軸受31を仕上げ加工して、転造工具などで動圧溝
を形成する。
【0036】発明が解決しようとする課題の欄で述べた
とおり、単に焼きばめで外筒軸受と内筒軸受を接合させ
た場合には、内筒軸受の穴加工時の切削加工バイトの切
削抵抗や、動圧の溝を形成する際に用いられる転造工具
の抵抗に耐えきれず、内筒軸受が外筒軸受から剥離した
り、抜けてしまうという問題が生じてしまうが、上記実
施の形態では、外筒軸受30と内筒軸受31を液相拡散
接合あるいは固相拡散接合させているため、接合力が非
常に強く、内筒軸受31が外筒軸受30から剥離した
り、抜けてしまうことはなく、信頼性を向上させること
ができる。
【0037】また、単なる圧入や焼きばめによって接合
されたものは、軸受長さ方向の静摩擦力のみで接合され
ているため、温度が変化した場合、内筒軸受が外筒軸受
から剥離してしまう場合があるが、上記実施の形態で
は、外筒軸受30を鉄系金属で形成し、内筒軸受31を
銅系金属で形成して、外筒軸受30と内筒軸受31を液
相拡散接合あるいは固相拡散接合させているため、温度
が変化しても内筒軸受31が外筒軸受30から剥離して
しまうことはなく、信頼性を向上させることができる。
【0038】また、軸と同等の線膨張係数を有する鉄系
金属で外筒軸受30を形成しているため、温度が変化し
ても、軸受クリアランス等に変化がなく、軸受の性能を
向上させることができる。
【0039】また、精密加工を要する内筒軸受31を快
削性等に優れた銅系金属で形成しているため、高精度な
加工を容易に施すことができ、軸径の小さなものや肉厚
が薄いものなどを容易に加工することができる。また、
加工時間を短縮することができ、コストを低減させるこ
とができる。さらには、内筒軸受31に内径を形成する
際に用いられる切削加工バイトや動圧溝を形成する際に
用いられる転造工具の寿命を延ばすことができ、工具費
を低減させることができる。
【0040】また、外筒軸受30と内筒軸受31を液相
拡散状態で接合させた場合には、接合前に接合面の表面
粗さや形状などの精度を上げなくても、容易に接合させ
ることができ、加工時間を短縮させることができる。ま
た、共晶反応接合は、ろう材が銅材金属と接触し、銅材
金属との共晶点に達したときに反応して液相が形成さ
れ、銅材金属と接触していない部分には液相が形成され
ないため、外筒軸受30と内筒軸受31を液相拡散状態
で接合させるよりも、共晶反応で接合させた方が製造上
便利である。
【0041】なお、図1に示す内筒軸受31は、ラジア
ル軸受部形成用として設けているが、図2に示すよう
に、内筒軸受31の上端部に鍔部を半径方向外方に形成
し、この鍔部にスラスト動圧発生用溝を形成するように
することもできる。また、図2に示すカウンタープレー
ト21は、固定軸10と外筒軸受30の内周部30bの
上部との間、すなわち、スラストプレート20の上面に
蓋をして上部が密閉構造となるように構成されている。
このようにしておけば、潤滑流体のシール部23を下側
のみに設ければよく、上側のシール部を設ける必要がな
い。
【0042】いままでに述べた実施の形態では、磁気デ
ィスク駆動用のモータに適用された動圧軸受装置を示し
ているが、本発明にかかる動圧軸受装置は、磁気ディス
ク駆動用以外の他のモータにも同様に適用することがで
きる。また、上記実施の形態で示すものは、軸が固定さ
れたモータを示しているが、軸が回転するモータにも適
用することができる。
【0043】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、略中空円
筒状の外筒軸受の内周側に、動圧発生用の軸受面が形成
される内筒軸受が接合された動圧軸受装置であって、上
記動圧軸受装置によって支承される軸と同等の線膨張係
数を有する鉄系金属で上記外筒軸受が形成され、銅系金
属で上記内筒軸受が形成され、上記外筒軸受と上記内筒
軸受が液相拡散接合されているため、外筒軸受と内筒軸
受とを十分な接合強度で容易かつ良好に接合させること
ができ、信頼性を向上させることができる。
【0044】請求項2記載の発明によれば、略中空円筒
状の外筒軸受の内周側に、動圧発生用の軸受面が形成さ
れる内筒軸受が接合された動圧軸受装置であって、上記
動圧軸受装置によって支承される軸と同等の線膨張係数
を有する鉄系金属で上記外筒軸受が形成され、銅系金属
で上記内筒軸受が形成され、上記外筒軸受と上記内筒軸
受が固相拡散接合されているため、外筒軸受と内筒軸受
とを十分な接合強度で容易かつ良好に接合させることが
でき、信頼性を向上させることができる。
【0045】請求項3記載の発明によれば、略中空円筒
状の外筒軸受の内周側に、動圧発生用の軸受面が形成さ
れる内筒軸受を接合することによって動圧軸受装置を製
造する動圧軸受装置の製造方法であって、上記動圧軸受
装置によって支承される軸と同等の線膨張係数を有する
鉄系金属で上記外筒軸受を形成し、銅系金属で上記内筒
軸受を形成し、上記外筒軸受と上記内筒軸受を液相拡散
接合したため、外筒軸受と内筒軸受とを十分な接合強度
で容易かつ良好に接合させることができ、信頼性を向上
させることができる。
【0046】請求項4記載の発明によれば、略中空円筒
状の外筒軸受の内周側に、動圧発生用の軸受面が形成さ
れる内筒軸受を接合することによって動圧軸受装置を製
造する動圧軸受装置の製造方法であって、上記動圧軸受
装置によって支承される軸と同等の線膨張係数を有する
鉄系金属で上記外筒軸受を形成し、銅系金属で上記内筒
軸受を形成し、上記外筒軸受と上記内筒軸受を固相拡散
接合したため、外筒軸受と内筒軸受とを十分な接合強度
で容易かつ良好に接合させることができ、信頼性を向上
させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる動圧軸受装置の実施の形態を示
す右半部正面断面図である。
【図2】本発明にかかる動圧軸受装置の別の実施の形態
を示す右半部正面断面図である。
【図3】上記実施の形態を示す製造工程図である。
【図4】別の実施の形態を示す製造工程図である。
【符号の説明】
1 フレーム 2 ステータ組 3 ロータ組 4 ステータコア 5 支持ホルダ 10 固定軸 20 スラストプレート 21 カウンタープレート 20a スラスト動圧軸受部 20b スラスト動圧軸受部 22 毛細管シール部 23 毛細管シール部 30 外筒軸受 30a ハブ 31 内筒軸受 31a ラジアル動圧軸受部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3J011 AA04 BA02 CA02 DA01 DA02 SB02 SB03 4E067 AA02 AA07 AB06 AD02 AD09 BA03 BA05 EB00

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 略中空円筒状の外筒軸受の内周側に、動
    圧発生用の軸受面が形成される内筒軸受が接合された動
    圧軸受装置であって、 上記動圧軸受装置によって支承される軸と同等の線膨張
    係数を有する鉄系金属で上記外筒軸受が形成され、銅系
    金属で上記内筒軸受が形成され、 上記外筒軸受と上記内筒軸受が液相拡散接合されている
    ことを特徴とする動圧軸受装置。
  2. 【請求項2】 略中空円筒状の外筒軸受の内周側に、動
    圧発生用の軸受面が形成される内筒軸受が接合された動
    圧軸受装置であって、 上記動圧軸受装置によって支承される軸と同等の線膨張
    係数を有する鉄系金属で上記外筒軸受が形成され、銅系
    金属で上記内筒軸受が形成され、 上記外筒軸受と上記内筒軸受が固相拡散接合されている
    ことを特徴とする動圧軸受装置。
  3. 【請求項3】 略中空円筒状の外筒軸受の内周側に、動
    圧発生用の軸受面が形成される内筒軸受を接合すること
    によって動圧軸受装置を製造する動圧軸受装置の製造方
    法であって、 上記動圧軸受装置によって支承される軸と同等の線膨張
    係数を有する鉄系金属で上記外筒軸受を形成し、銅系金
    属で上記内筒軸受を形成し、 上記外筒軸受と上記内筒軸受を液相拡散接合したことを
    特徴とする動圧軸受装置の製造方法。
  4. 【請求項4】 略中空円筒状の外筒軸受の内周側に、動
    圧発生用の軸受面が形成される内筒軸受を接合すること
    によって動圧軸受装置を製造する動圧軸受装置の製造方
    法であって、 上記動圧軸受装置によって支承される軸と同等の線膨張
    係数を有する鉄系金属で上記外筒軸受を形成し、銅系金
    属で上記内筒軸受を形成し、 上記外筒軸受と上記内筒軸受を固相拡散接合したことを
    特徴とする動圧軸受装置の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記外筒軸受の内周にはろう材が介在し
    ていることを特徴とする請求項3記載の動圧軸受装置の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 上記ろう材は、メッキ処理で形成されて
    いることを特徴とする請求項5記載の動圧軸受装置の製
    造方法。
  7. 【請求項7】 上記液相拡散接合は、共晶反応によるも
    のであることを特徴とする請求項3記載の動圧軸受装置
    の製造方法。
  8. 【請求項8】 上記液相拡散接合に要する加圧力は、上
    記鉄系金属と上記銅系金属との線膨張係数の差を利用し
    ていることを特徴とする請求項3または7記載の動圧軸
    受装置の製造方法。
  9. 【請求項9】 上記固相拡散接合に要する加圧力は、上
    記鉄系金属と上記銅系金属との線膨張係数の差を利用し
    ていることを特徴とする請求項4記載の動圧軸受装置の
    製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9555501B2 (en) * 2013-04-09 2017-01-31 Aktiebolaget Skf Process for obtaining a mechanical component
US10737354B2 (en) 2013-04-09 2020-08-11 Aktiebolaget Skf Bearing component

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