JP2000183414A - セラミック素子 - Google Patents

セラミック素子

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JP2000183414A
JP2000183414A JP10356691A JP35669198A JP2000183414A JP 2000183414 A JP2000183414 A JP 2000183414A JP 10356691 A JP10356691 A JP 10356691A JP 35669198 A JP35669198 A JP 35669198A JP 2000183414 A JP2000183414 A JP 2000183414A
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Japan
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insulating layer
ceramic element
resin
layer
electrodes
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Withdrawn
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JP10356691A
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English (en)
Inventor
Yukihisa Takeuchi
幸久 武内
Tsutomu Nanataki
七瀧  努
Natsuki Shimokawa
夏己 下河
Takayoshi Akao
隆嘉 赤尾
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NGK Insulators Ltd
Original Assignee
NGK Insulators Ltd
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  • General Electrical Machinery Utilizing Piezoelectricity, Electrostriction Or Magnetostriction (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】アクチュエータ部の変位に伴う絶縁層の剥離現
象の発生を抑制して、絶縁破壊耐性及び短絡現象の発生
を防止し、セラミック素子を用いた各種電子部品の高信
頼性化を図る。 【解決手段】印加電界に応じて一主面に対して法線方向
に変位する形状保持層24と、該形状保持層24に形成
された少なくとも一対の電極28a及び28bとを有す
るアクチュエータ部14とを具備したセラミック素子1
0において、一対の電極28(一方の電極28a及び他
方の電極28b)を覆うように柔軟性を有する絶縁層3
0を形成して構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アクチュエータ、
各種振動子、ディスプレイ、リレー等に用いられる電気
エネルギーを機械エネルギーに変換する素子ないしは、
フィルタ、共振回路等に用いられるコンデンサ素子であ
って、特に逆圧電効果や反強誘電相−強誘電相転移を利
用したセラミック素子に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、光学や精密加工等の分野におい
て、サブミクロンのオーダーで光路長や位置を調整する
変位素子が所望されるようになってきている。
【0003】これに応えるものとして、強誘電体等の圧
電材料に電界を加えたときに起きる逆圧電効果に基づく
ところの変位の発現を利用したアクチュエータの開発が
進められている。
【0004】その中で、本出願人にあっても、先に、特
開平3−128681号公報や特開平5−49270号
公報等において、各種の用途に好適に用いられるセラミ
ックス製の圧電/電歪膜型素子を提案している。
【0005】前記提案例に係る圧電/電歪膜型素子は、
小型で安価な、高信頼性の電気機械変換素子であるとと
もに、低い駆動電圧にて大変位を得られ、また応答速度
が速く、かつ発生力も大きいという優れた特徴を有して
おり、アクチュエータ、ディスプレイ、リレー等の構成
部材等として有用である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、電極に対し
て絶縁のためのコーティングを施すと、電極を空気中に
露出させた場合と比べて絶縁破壊耐性が向上することが
知られている。
【0007】しかしながら、圧電/電歪素子上に設けら
れた電極に対しては、素子自体の伸縮によりコーティン
グ層との界面で剥離が生じやすくなる。一旦、コーティ
ング層の剥離が生じると、絶縁破壊耐性が激減し、絶縁
破壊や短絡現象を生じるおそれがある。
【0008】本発明は、このような課題を考慮してなさ
れたものであり、圧電/電歪部の変位に伴う絶縁層の剥
離現象の発生を抑制して、絶縁破壊耐性及び短絡現象の
発生を防止することができ、高信頼性のあるセラミック
素子を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、形状保持層
と、該形状保持層に形成された少なくとも一対の電極と
を有する圧電/電歪部とを具備したセラミック素子にお
いて、前記一対の電極を覆うように柔軟性を有する絶縁
層を形成して構成する。
【0010】絶縁層は柔軟性を有するため、該絶縁層が
電極に対して高い密着性で覆われることになり、圧電/
電歪部が変位してもそれに追従して変位する。従って、
電極と絶縁層との界面における絶縁層の剥離現象はほと
んど生じなくなり、絶縁破壊耐性及び短絡現象の発生を
防止することができ、セラミック素子の高信頼性を達成
させることができる。
【0011】絶縁層は電極に対して高い密着性で覆われ
ていることから、仮に絶縁破壊が生じたとしても、電極
破片の僅かな移動も許さず、これにより短絡現象を効果
的に防止することができる。
【0012】圧電/電歪部は、加えられる変位に応じた
電流レベルあるいは電圧レベルの電気信号に変換するセ
ンサとして用いることができるほか、印加電界に応じて
一主面に対して法線方向に変位するアクチュエータに用
いても好適である。
【0013】特に、アクチュエータとして用いた場合に
おいては、一般に、圧電/電歪部の変位が大きくなり、
絶縁層の剥離現象が生じやすくなるが、本発明によれ
ば、前記圧電/電歪部上に形成された絶縁層の剥離現象
はほとんど生じなくなり、絶縁破壊耐性及び短絡現象の
発生を防止することができる。
【0014】そして、前記構成において、前記絶縁層
を、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、吸湿
硬化性樹脂、常温硬化性樹脂、又はこれらの混合物にて
構成するようにしてもよい。
【0015】この場合、ビニルブチラール系樹脂、アク
リル系樹脂、変性アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、変性
エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、
又はこれらの混合物が好ましく用いられる。
【0016】更に好ましくは、エポキシ樹脂、変性エポ
キシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、又は
これらの混合物である。
【0017】前記絶縁層の性状は、ショアA硬度では1
0〜90が好ましく、20〜80が最も好ましい。ショ
アD硬度では50以下が最も好ましい。
【0018】この特性は、形状保持層の変位動作に追従
することで、電極と絶縁層との界面での応力を緩和し、
絶縁層の界面剥離が生じるのを抑制する効果がある。ま
た、変位特性を阻害しないという付帯効果もある。
【0019】仮に、電極の一部で絶縁破壊が発生した際
に、硬い樹脂を用いた場合においては、破壊のエネルギ
ーにより破壊箇所周辺の樹脂全体が損傷を受け、電極の
露出をもたらすのに対し、柔軟性のある樹脂では、破壊
のエネルギーを吸収し損傷がごく一部の範囲にとどまる
ため、電極露出や劣化を最小限に抑えることが可能とな
る。
【0020】また、前記絶縁層の伸び率は、10%以上
が好ましく、より好ましくは50%以上である。この特
性は、変位動作により生ずる形状保持層との界面での応
力を緩和し、界面剥離が生じるのを抑制する効果があ
る。
【0021】前記絶縁層の体積抵抗率は、1×108 Ω
cm以上であることが好ましく、より好ましくは1×1
10Ωcm以上である。これにより、絶縁材料としての
機能を満たすことができる。
【0022】前記絶縁層の厚みは、0.1μm〜1mm
が望ましいが、特に限定されるものではない。更に好ま
しくは1〜100μmである。
【0023】前記絶縁層は難燃性を有することが望まし
い。これは、火花放電や短絡による熱の発生が生じた場
合に、絶縁層が燃えないようにする効果がある。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るセラミック素
子の実施の形態例(以下、単に実施の形態に係るセラミ
ック素子と記す)を図1〜図5を参照しながら説明す
る。
【0025】本実施の形態に係るセラミック素子10
は、図1に示すように、例えばセラミックスにて構成さ
れた基体12を有し、該基体12の所定箇所にアクチュ
エータ部14が配設されている。
【0026】前記基体12は、一主面が連続した面(面
一)とされ、前記アクチュエータ部14に対応した位置
に空所16が設けられている。各空所16は、基体12
の他端面に設けられた径の小さい貫通孔18を通じて外
部と連通されている。
【0027】前記基体12のうち、空所16が形成され
ている部分は薄肉とされ、それ以外の部分は厚肉とされ
ている。薄肉の部分は、外部応力に対して振動を受けや
すい構造となって振動部20として機能し、厚肉とされ
た空所16以外の部分は前記振動部20を支持する固定
部22として機能するようになっている。
【0028】つまり、基体12は、最下層であるベース
プレート12Aと中間層であるスペーサプレート12B
と最上層である閉塞プレート12Cの積層体であって、
スペーサプレート12Bのうち、アクチュエータ部14
に対応する箇所に空所16が形成された一体構造体とし
て把握することができる。ベースプレート12Aは、補
強用基板として機能するほか、配線用の基板としても機
能するようになっている。なお、前記基体12は、一体
焼成であっても、別途製作したものを接合してもよい。
【0029】前記アクチュエータ部14は、図1に示す
ように、前記振動部20と固定部22のほか、該振動部
20上に直接形成された圧電/電歪層や反強誘電体層等
の形状保持層24と、該形状保持層24の上面に形成さ
れた一対の電極28(一方の電極28a及び他方の電極
28b)とを有するアクチュエータ部本体26を有して
構成されている。
【0030】一対の電極28は、形状保持層24に対し
て上下に形成した構造や片側だけに形成した構造のいず
れであってもかまわないが、基体12と形状保持層24
との接合性を有利にするには、この例のように、基体1
2と形状保持層24とが段差のない状態で直接接するよ
うに、形状保持層24の上部(基体12とは反対側)の
みに一対の電極28を形成した方が好ましい。
【0031】一対の電極28の平面形状としては、図2
に示すように、多数のくし歯が相補的に対峙した形状と
してもよく、その他、特開平10−78549号公報に
も示されているように、渦巻き状や多枝形状などを採用
することができる。
【0032】形状保持層24の平面形状を例えば楕円形
状とし、一対の電極28をくし歯状に形成した場合は、
図3A及び図3Bに示すように、形状保持層24の長軸
に沿って一対の電極28のくし歯が配列される形態や、
図4A及び図4Bに示すように、形状保持層24の短軸
に沿って一対の電極28のくし歯が配列される形態など
がある。
【0033】そして、図3A及び図4Aに示すように、
一対の電極28のくし歯の部分が形状保持層24の平面
形状内に含まれる形態や、図3B及び図4Bに示すよう
に、一対の電極28のくし歯の部分が形状保持層24の
平面形状からはみ出した形態などがある。図3B及び図
4Bに示す形態の方がアクチュエータ部14の屈曲変位
において有利である。
【0034】そして、本実施の形態に係るセラミック素
子10は、図1に示すように、形状保持層24上に、一
対の電極28を覆うように柔軟性を有する絶縁層30が
形成されて構成されている。
【0035】前記絶縁層30としては、アクリル系樹
脂、変性アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ
樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、酢酸ビニ
ル系樹脂、EVA系樹脂、メタクリル系樹脂、変性メタ
クリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、特殊シリコーン
変性ポリマー、ポリカーボネート系樹脂、天然ゴム、合
成ゴム等の、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹
脂、吸湿硬化性樹脂、常温硬化性樹脂、又はこれらの樹
脂の混合物を使うことができる。
【0036】中でも、ビニルブチラール系樹脂、アクリ
ル系樹脂、変性アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、変性エ
ポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、又
はこれらの樹脂の混合物が好ましく用いられる。
【0037】更に好ましくは、エポキシ樹脂、変性エポ
キシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、又は
これらの樹脂の混合物である。
【0038】樹脂の性状としては、ショアA硬度では1
0〜90が好ましく、20〜80が最も好ましい。ショ
アD硬度では50以下が最も好ましい。
【0039】この特性は、形状保持層24の変位動作に
追従することで、一対の電極28と絶縁層30との界面
並びに形状保持層24と絶縁層30との界面での応力を
緩和し、絶縁層30の界面剥離が生じるのを抑制する効
果がある。また、変位特性を阻害しないという付帯効果
もある。
【0040】仮に、一対の電極28の一部で絶縁破壊が
発生した場合、硬い樹脂を用いた場合においては、破壊
のエネルギーにより破壊箇所周辺の樹脂全体が損傷を受
け、電極の露出をもたらすのに対し、上述のような柔軟
性のある樹脂では、破壊のエネルギーを吸収し損傷がご
く一部の範囲にとどまるため、電極露出や劣化を最小限
に抑えることが可能となる。
【0041】また、前記絶縁層30の伸び率は、10%
以上が好ましく、より好ましくは50%以上である。こ
の特性は、変位動作により生ずる形状保持層24との界
面での応力を緩和し、絶縁層30の界面剥離が生じるの
を抑制する効果がある。
【0042】前記絶縁層30の体積抵抗率は、1×10
8 Ωcm以上であることが好ましく、より好ましくは1
×1010Ωcm以上である。これにより、絶縁材料とし
ての機能を満たすことができる。
【0043】前記絶縁層30の厚みは、0.1μm〜1
mmが望ましいが、特に限定されるものではない。更に
好ましくは1〜100μmである。
【0044】前記絶縁層30は難燃性を有することが望
ましい。これは、火花放電や短絡による熱の発生が生じ
た場合に、絶縁層30が燃えないようにする効果があ
る。
【0045】このように、本実施の形態に係るセラミッ
ク素子10においては、絶縁層30が柔軟性を有するた
め、絶縁層30が一対の電極28に対して高い密着性で
覆われることになり、アクチュエータ部14が変位して
もそれに追従して変位する。従って、一対の電極28と
絶縁層30との界面における絶縁層30の剥離現象はほ
とんど生じなくなり、絶縁破壊耐性及び短絡現象の発生
を効果的に防止することができ、セラミック素子10を
用いた各種電子部品の高信頼性を達成させることができ
る。
【0046】セラミック素子10を用いた電子部品とし
ては、表示装置、リレー装置、容量可変コンデンサのほ
か、フィルター、超音波センサや角速度センサや加速度
センサや衝撃センサ等の各種センサ、マイクロフォン、
発音体(スピーカー等)、ディスクリミネータ、動力用
や通信用の振動子や発振子や共振子等がある。また、セ
ラミック素子は、サーボ変位素子、パルス駆動モータ、
超音波モータ、圧電ファン等に用いられるアクチュエー
タ等にも適用させることができる。
【0047】ここで、セラミック素子10の各構成部
材、特に前記絶縁層30を除く各構成部材の材料等の選
定について説明する。
【0048】振動部20は、高耐熱性材料であることが
好ましい。その理由は、アクチュエータ部14を有機接
着剤等の耐熱性に劣る材料を用いずに、固定部22によ
って直接振動部20を支持させる構造とする場合、少な
くとも形状保持層24の形成時に、振動部20が変質し
ないようにするため、振動部20は、高耐熱性材料であ
ることが好ましい。
【0049】また、振動部20は、基体12上に形成さ
れる一対の電極28における一方の電極28aに通じる
配線と他方の電極28bに通じる配線との電気的な分離
を行うために、電気絶縁材料であることが好ましい。
【0050】従って、振動部20は、高耐熱性の金属あ
るいはその金属表面をガラス等のセラミック材料で被覆
したホーロー等の材料であってもよいが、セラミックス
が最適である。
【0051】振動部20を構成するセラミックスとして
は、例えば安定化された酸化ジルコニウム、酸化アルミ
ニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、スピネル、ム
ライト、窒化アルミニウム、窒化珪素、ガラス、これら
の混合物等を用いることができる。
【0052】安定化された酸化ジルコニウムは、振動部
20の厚みが薄くても機械的強度が高いこと、靭性が高
いこと、形状保持層24及び一対の電極28との化学反
応性が小さいこと等のため、特に好ましい。安定化され
た酸化ジルコニウムとは、安定化酸化ジルコニウム及び
部分安定化酸化ジルコニウムを包含する。安定化された
酸化ジルコニウムでは、正方晶、立方晶等の結晶構造が
高温から室温まで安定されるため、相転移を起こさな
い。
【0053】一方、酸化ジルコニウムは、1000℃前
後で、単斜晶と正方晶とで相転移し、この相転移のとき
にクラックが発生する場合がある。安定化された酸化ジ
ルコニウムは、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸
化イットリウム、酸化スカンジウム、酸化イッテルビウ
ム、酸化セリウム又は希土類金属の酸化物等の安定化剤
を、1〜30モル%含有する。振動部20の機械的強度
を高めるために、安定化剤が酸化イットリウムを含有す
ることが好ましい。このとき、酸化イットリウムは、好
ましくは1.5〜6モル%含有し、更に好ましくは2〜
4モル%含有することであり、更に0.1〜5モル%の
酸化アルミニウムが含有されていることが好ましい。
【0054】また、結晶相は、立方晶+単斜晶の混合
相、正方晶+単斜晶の混合相、立方晶+正方晶+単斜晶
の混合相などであってもよいが、中でも主たる結晶相
が、正方晶、又は正方晶+立方晶の混合相としたもの
が、強度、靭性、耐久性の観点から最も好ましい。
【0055】振動部20がセラミックスからなるとき、
多数の結晶粒が振動部20を構成するが、振動部20の
機械的強度を高めるため、結晶粒の平均粒径は、0.0
5〜2μmであることが好ましく、0.1〜1μmであ
ることが更に好ましい。
【0056】固定部22は、セラミックスからなること
が好ましいが、振動部20の材料と同一のセラミックス
でもよいし、異なっていてもよい。固定部22を構成す
るセラミックスとしては、振動部20の材料と同様に、
例えば、安定化された酸化ジルコニウム、酸化アルミニ
ウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、スピネル、ムラ
イト、窒化アルミニウム、窒化珪素、ガラス、これらの
混合物等を用いることができる。
【0057】基体12は、安定化された酸化ジルコニウ
ムを主成分とする材料、酸化アルミニウムを主成分とす
る材料、又はこれらの混合物を主成分とする材料等が好
適に採用される。その中でも、安定化された酸化ジルコ
ニウムを主成分としたものが更に好ましい。
【0058】なお、焼結助剤として粘土等を加えること
もあるが、酸化珪素、酸化ホウ素等のガラス化しやすい
ものが過剰に含まれないように、助剤成分を調節する必
要がある。なぜなら、これらガラス化しやすい材料は、
基体12と形状保持層24とを接合させる上で有利では
あるものの、基体12と形状保持層24との反応を促進
し、所定の形状保持層24の組成を維持することが困難
となり、その結果、素子特性を低下させる原因となるか
らである。
【0059】即ち、基体12中の酸化珪素等は重量比で
3%以下、更に好ましくは1%以下となるように制限す
ることが好ましい。ここで、主成分とは、重量比で50
%以上の割合で存在する成分をいう。
【0060】形状保持層24は、上述したように、圧電
/電歪層や反強誘電体層等を用いることができるが、形
状保持層24として圧電/電歪層を用いる場合、該圧電
/電歪層としては、例えば、ジルコン酸鉛、マグネシウ
ムニオブ酸鉛、ニッケルニオブ酸鉛、亜鉛ニオブ酸鉛、
マンガンニオブ酸鉛、マグネシウムタンタル酸鉛、ニッ
ケルタンタル酸鉛、アンチモンスズ酸鉛、チタン酸鉛、
チタン酸バリウム、マグネシウムタングステン酸鉛、コ
バルトニオブ酸鉛等、又はこれらの何れかの組合せを含
有するセラミックスが挙げられる。
【0061】主成分がこれらの化合物を50重量%以上
含有するものであってもよいことはいうまでもない。ま
た、前記セラミックスのうち、ジルコン酸鉛を含有する
セラミックスは、形状保持層24を構成する圧電/電歪
層の構成材料として最も使用頻度が高い。
【0062】また、圧電/電歪層をセラミックスにて構
成する場合、前記セラミックスに、更に、ランタン、カ
ルシウム、ストロンチウム、モリブデン、タングステ
ン、バリウム、ニオブ、亜鉛、ニッケル、マンガン等の
酸化物、若しくはこれらの何れかの組合せ、又は他の化
合物を、適宜、添加したセラミックスを用いてもよい。
【0063】例えば、マグネシウムニオブ酸鉛とジルコ
ン酸鉛及びチタン酸鉛とからなる成分を主成分とし、更
にランタンやストロンチウムを含有するセラミックスを
用いることが好ましい。
【0064】圧電/電歪層は、緻密であっても、多孔質
であってもよく、多孔質の場合、その気孔率は40%以
下であることが好ましい。
【0065】形状保持層24として反強誘電体層を用い
る場合、該反強誘電体層としては、ジルコン酸鉛を主成
分とするもの、ジルコン酸鉛とスズ酸鉛とからなる成分
を主成分とするもの、更にはジルコン酸鉛に酸化ランタ
ンを添加したもの、ジルコン酸鉛とスズ酸鉛とからなる
成分に対してジルコン酸鉛やニオブ酸鉛を添加したもの
が望ましい。
【0066】特に、下記の組成のようにジルコン酸鉛と
スズ酸鉛とからなる成分を含む反強誘電体膜をアクチュ
エータ部14のような膜型素子として適用する場合、比
較的低電圧で駆動することができるため、更に好まし
い。
【0067】Pb0.99Nb0.02[(Zrx Sn1-x
1-y Tiy 0.983 但し、0.5 <x< 0.6,0.05<y< 0.063,0.01<Nb
< 0.03 また、この反強誘電体膜は、多孔質であってもよく、多
孔質の場合には気孔率30%以下であることが望まし
い。
【0068】そして、前記基体12における振動部20
の厚みと該振動部20上に形成される形状保持層24の
厚みは、同次元の厚みであることが好ましい。なぜな
ら、振動部20の厚みが形状保持層24の厚みよりも極
端に厚くなると(1桁以上異なると)、形状保持層24
の焼成収縮に対して、振動部20がその収縮を妨げるよ
うに働くため、形状保持層24と基体12との界面での
応力が大きくなり、はがれ易くなったり、焼結しにくく
なったりする。反対に、厚みの次元が同程度であれば、
形状保持層24の焼成収縮に基体12(振動部20)が
追従し易くなるため、一体化には好適である。具体的に
は、振動部20の厚みは、1〜100μmであることが
好ましく、3〜50μmが更に好ましく、5〜20μm
が更になお好ましい。一方、形状保持層24は、その厚
みとして5〜100μmが好ましく、5〜50μmが更
に好ましく、5〜30μmが更になお好ましい。
【0069】前記形状保持層24上、あるいは形状保持
層24の上下面に形成される一対の電極28は、用途に
応じて適宜な厚さとするが、0.01〜50μmの厚さ
であることが好ましく、0.1〜5μmが更に好まし
い。また、前記一対の電極28は、室温で固体であっ
て、導電性の金属で構成されていることが好ましい。例
えば、アルミニウム、チタン、クロム、鉄、コバルト、
ニッケル、銅、亜鉛、ニオブ、モリブデン、ルテニウ
ム、ロジウム、銀、スズ、タンタル、タングステン、イ
リジウム、白金、金、鉛、パラジウム等を含有する金属
単体又は合金が挙げられる。これらの元素を任意の組合
せで含有していてもよいことはいうまでもない。また、
前記材料に、形状保持層24や振動部20を構成する材
料等に使用される粉末を含有していてもよい。
【0070】
【実施例】ここで、1つの実験例を示す。この実験例
は、本実施の形態に係るセラミック素子10とほぼ同じ
構成を有するサンプルに対し、絶縁層30の材料を代え
て、一対の電極28の劣化状態、短絡状態を評価したも
のである。この場合、一対の電極28間の距離を約10
μm、絶縁層30の厚みを1〜100μm、一対の電極
28間への印加電圧を150〜175Vとして実験を行
った。
【0071】実験結果を図5に示す。この図5におい
て、実施例1は絶縁層30としてセメダイン社製のPM
100を用い、実施例2は絶縁層30としてセメダイン
社製のスーパーXを用い、実施例3は絶縁層30として
東芝社製の東芝シリコーンTSE3663を用い、実施
例4は絶縁層30としてセメダイン社製のPM155を
用い、実施例5は絶縁層30としてセメダイン社製のE
P001を用い、実施例6は絶縁層30としてスリーエ
ム社製のDP605NSを用いたものである。
【0072】一方、比較例1は絶縁層30を形成せず、
比較例2は絶縁層30としてセメダイン社製のEP17
0を用い、比較例3は絶縁層30としてスリーエム社製
のDP460を用い、比較例4は絶縁層30としてセメ
ダイン社製のEP171を用い、比較例5は絶縁層30
としてスリーボンド社製の2285を用い、比較例6は
絶縁層30としてSiO2 膜を用いたものである。
【0073】図5に示す実験結果において、絶縁層30
を形成しない比較例1では、短絡現象は生じなかった
が、電極劣化が大であり、評価は×であった。ショアD
硬度が55である比較例2及びショアD硬度が75であ
る比較例3では、電極劣化については問題なかったが、
共に短絡現象が生じ、評価は共に×であった。ショアD
硬度が87である比較例4及びショアD硬度が94であ
る比較例5では、電極劣化並びに短絡現象が生じ、評価
は共に×であった。絶縁層30として通常用いられるS
iO2 を使用した比較例6では、電極劣化並びに短絡現
象が生じ、評価は×であった。
【0074】一方、ショアA硬度が20〜80内であ
り、伸び率が50%以上である実施例1〜5並びにショ
ア硬度が50以下である実施例6では、それぞれ良好な
評価が得られていることがわかる。
【0075】なお、この発明に係るセラミック素子は、
上述の実施の形態に限らず、この発明の要旨を逸脱する
ことなく、種々の構成を採り得ることはもちろんであ
る。
【0076】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るセラ
ミック素子によれば、アクチュエータ部の変位に伴う絶
縁層の剥離現象の発生を抑制して、絶縁破壊耐性及び短
絡現象の発生を防止することができ、セラミック素子を
用いた各種電子部品の信頼性の向上を達成させることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係るセラミック素子を示す構成
図である。
【図2】アクチュエータ部に形成される一対の電極の平
面形状の一例を示す図である。
【図3】図3Aは、形状保持層の長軸に沿って一対の電
極のくし歯を配列させた1つの例を示す説明図であり、
図3Bは、他の例を示す説明図である。
【図4】図4Aは、形状保持層の短軸に沿って一対の電
極のくし歯を配列させた1つの例を示す説明図であり、
図4Bは、他の例を示す説明図である。
【図5】絶縁層の材料を代えて、一対の電極の劣化状態
及び短絡状態を評価した実験結果を示す図表である。
【符号の説明】
10…セラミック素子 12…基体 14…アクチュエータ部 16…空所 20…振動部 22…固定部 24…形状保持層 28…一対の
電極 30…絶縁層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 下河 夏己 愛知県名古屋市瑞穂区須田町2番56号 日 本碍子株式会社内 (72)発明者 赤尾 隆嘉 愛知県名古屋市瑞穂区須田町2番56号 日 本碍子株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】形状保持層と、該形状保持層に形成された
    少なくとも一対の電極とを有する圧電/電歪部とを具備
    したセラミック素子において、 前記一対の電極を覆うように柔軟性を有する絶縁層が形
    成されていることを特徴とするセラミック素子。
  2. 【請求項2】請求項1記載のセラミック素子において、 前記絶縁層は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性
    樹脂、吸湿硬化性樹脂、常温硬化性樹脂、又はこれらの
    混合物からなることを特徴とするセラミック素子。
  3. 【請求項3】請求項2記載のセラミック素子において、 前記絶縁層は、ビニルブチラール系樹脂、アクリル系樹
    脂、変性アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ
    樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、又はこれ
    らの混合物からなることを特徴とするセラミック素子。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれか1項に記載のセラ
    ミック素子において、 前記絶縁層の性状は、ショアA硬度が10〜90である
    ことを特徴とするセラミック素子。
  5. 【請求項5】請求項1〜3のいずれか1項に記載のセラ
    ミック素子において、 前記絶縁層の性状は、ショアD硬度が50以下であるこ
    とを特徴とするセラミック素子。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれか1項に記載のセラ
    ミック素子において、 前記絶縁層の伸び率は、10%以上であることを特徴と
    するセラミック素子。
  7. 【請求項7】請求項1〜6のいずれか1項に記載のセラ
    ミック素子において、 前記絶縁層の体積抵抗率は、1×108 Ωcm以上であ
    ることを特徴とするセラミック素子。
  8. 【請求項8】請求項1〜7のいずれか1項に記載のセラ
    ミック素子において、 前記絶縁層の厚みは、0.1μm〜1mmであることを
    特徴とするセラミック素子。
  9. 【請求項9】請求項1〜8のいずれか1項に記載のセラ
    ミック素子において、 前記絶縁層は、難燃性を有することを特徴とするセラミ
    ック素子。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010516326A (ja) * 2007-01-18 2010-05-20 ブラビロール ホールディング ビー.ブイ. ホットプレート、及びホットプレートを含むアセンブリ
JP2017092167A (ja) * 2015-11-06 2017-05-25 日本特殊陶業株式会社 圧電アクチュエータおよびその製造方法

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JP2010516326A (ja) * 2007-01-18 2010-05-20 ブラビロール ホールディング ビー.ブイ. ホットプレート、及びホットプレートを含むアセンブリ
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