JP2000178270A - 新規な1,2―ジチオレン化合物、それらの製造方法並びにそれらを含有する医薬組成物 - Google Patents

新規な1,2―ジチオレン化合物、それらの製造方法並びにそれらを含有する医薬組成物

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JP2000178270A JP11355468A JP35546899A JP2000178270A JP 2000178270 A JP2000178270 A JP 2000178270A JP 11355468 A JP11355468 A JP 11355468A JP 35546899 A JP35546899 A JP 35546899A JP 2000178270 A JP2000178270 A JP 2000178270A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 強力な抗酸化剤としての特性を有し、大脳老
化などの治療に活性な新規な化合物を提供すること。 【解決手段】 式(I): 【化41】 (式中、Raは(C1〜C8)アルキレン基など;Rbは単
結合又は(C1〜C6)アルキレン基など;Zは式(A)
で表されるチオカルバミン酸基(酸素原子がRaに結合
し、R1は水素原子などを表す)又は式(B)で表され
るチオアミド基(チオカルボニル基がRa基に結合して
いる);Tは式(C)で表される基(R2及びR3はそれ
ぞれ他から独立して、水素原子、(C1〜C6)アルキル
基などを表す)の化合物、それらの異性体、及び薬学的
に許容しうる酸又は塩基とのその付加塩。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な1,2−ジ
チオレン化合物、それらの製造方法並びにそれらを含有
する医薬組成物に関する。
【0002】これらの新規化合物は、大脳部において”
酸化ストレス”に対抗することができる、反応性酸化核
種(reactive oxygenated species)に対するトラップ
としての酸化防止剤である。
【0003】
【従来の技術】Hartmanの老化のフリーラジカル理論に
よれば、連続的な酸化攻撃は”酸化ストレス”状態を作
り出す、すなわち前酸化剤(pro-oxidants)のための保
護的システム(protective systems)間の不均衡を作
り出す。
【0004】こうした攻撃は、特にポリ不飽和膜脂質、
タンパク質及び核酸の分子修飾を非常に多く引き起こす
ことになる。ヒト及び動物有機体は、協同で作用する種
々の防御メカニズムを有する。それらのメカニズムは、
酵素特性(スーパーオキシドジスムターゼ、カタラー
ゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ)か、又は非酵素特
性(フリーラジカル活性を生理学的に制御可能とする、
ビタミンE及びCのような)である。しかしながら、年
齢と共に、特にこれらの防御メカニズムに含まれる酵素
を含めた、多数の酵素の酸化的不活性化の結果として、
その保護は、効果が無いとまではいわないまでも、効果
が少なくなる。それゆえ、アテローム性動脈硬化、白内
障、非インスリン依存性糖尿病、ガン、又は慢性神経変
性障害(chronic neurodegenerative disorders)のよ
うな老化に伴う障害に対し、多くの研究がこのような障
害がこれら”酸化ストレス”状態と関連していることを
説明することができるようになってきた。
【0005】中枢神経系は、その高い酸素消費量、比較
的低レベルの抗酸化防御力、いくつかの大脳領域の高い
鉄含有量のため、特に”酸化ストレス”に敏感である。
このことは”酸化ストレス”が、慢性神経変性、特にア
ルツハイマー病及び脳幹神経節の変性と同じく、大脳の
老化の主な病因のひとつであろうことを説明している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の化合物は、新
規であることに加えて、それらはチオクト酸(リポ酸)
よりも強力な抗酸化剤であることが証明されている。そ
れゆえ、これらの特徴的な特性により、本発明の化合物
の、一方では老化、特に大脳の老化に関係し、もう一方
では酸化ストレスの結果に関する病理の処置及び阻害に
おける使用可能性をもたらす。
【0007】結果的に、本発明の化合物は、大脳老化又
は神経変性障害に関連する認知障害、及び、例えば脳虚
血及びてんかんのような急性神経変性障害だけでなく、
例えばアルツハイマー病やハンチントン病、又は脳幹神
経節の神経変性障害のような進行性神経変性障害にも関
連する神経細胞死に対抗することができる治療薬を構成
する。
【0008】本発明の化合物が新規であるという事実に
加えて、それらはチオクト酸(リポ酸)よりも強力な抗
酸化剤であることが証明されている。
【0009】
【課題を解決するための手段】さらに特定すると、本発
明の化合物は、式(I):
【0010】
【化25】
【0011】(式中、Raは、直鎖状若しくは分岐鎖状
の(C1〜C8)アルキレン基を表し、Rbは単結合又は
直鎖状若しくは分岐鎖状の(C1〜C6)アルキレン基を
表し、Zは
【0012】
【化26】
【0013】(酸素原子がRa基に結合し、及びR1は水
素原子、直鎖状若しくは分岐鎖状(C 1〜C6)アルキル
基、アリール基又はアルキル部分が直鎖状若しくは分岐
鎖状であるアリール−(C1〜C6)アルキル基を表す)
のチオカルバミン酸基、あるいは
【0014】
【化27】
【0015】(式中、チオカルボニル基は、Ra基に結
合し、そしてR1基は先に定義したとおりである)のチ
オアミド基を表し、Tは、下記式:
【0016】
【化28】
【0017】(R2及びR3は、同一であるか又は異なっ
てよく、それぞれ他から独立して、水素原子、直鎖状若
しくは分岐鎖状の(C1〜C6)アルキル基、シクロアル
キル基、アルキル部分が直鎖状若しくは分岐鎖状である
シクロアルキル−(C1〜C6)アルキル基、ヘテロシクロ
アルキル基、アルキル部分が直鎖状若しくは分岐鎖状で
あるヘテロシクロアルキル−(C1〜C6)アルキル基、
アリール基、アルキル部分が直鎖状若しくは分岐鎖状で
あるアリール−(C1〜C6)アルキル基、ヘテロアリー
ル基、アルキル部分が直鎖状若しくは分岐鎖状であるヘ
テロアリール−(C1〜C6)アルキル基、アルキル部分
が直鎖状若しくは分岐鎖状であるアミノ−(C1〜C6
アルキル基(アミノ部分は、直鎖状若しくは分岐鎖状の
(C1〜C6)アルキル、アリール、アルキル部分が直鎖
状若しくは分岐鎖状のアリール−(C1〜C6)アルキル
から選択される、一つか又は二つの、同一か又は異なる
基によって場合により置換されている)から選択される
基を表す)の化合物、それらの異性体類、及び薬学的に
許容しうる酸又は塩基を伴うその付加塩類である。
【0018】「シクロアルキル」とは、単環式又は二環
式の、炭素原子を3個から8個有する飽和又は不飽和の
基であって、それらの基は、それぞれ場合によりハロゲ
ン原子、水酸基、直鎖状若しくは分岐鎖状(C1〜C6
アルキル基、直鎖状若しくは分岐鎖状(C1〜C6)アル
コキシ基、アミノ基(場合により、アミノそれ自体は、
一つ又は二つの、同一又は異なる、直鎖状若しくは分岐
鎖状(C1〜C6)アルキル基で置換されている)、から
選択される一つ又はそれ以上の、同一又は異なる基によ
って置換されているものを意味すると解する。
【0019】「ヘテロシクロアルキル」とは、一つ又は
二つの炭素原子が、窒素、酸素及び硫黄から、同一に又
は異なって選択されるヘテロ原子によって置換された、
シクロアルキル基を意味すると解する。
【0020】「アリール」とは、フェニル基、ナフチル
基、インデニル基、テトラヒドロナフチル基、ジヒドロ
ナフチル基又はインダニル基であって、場合によりそれ
らの基のそれぞれは、ハロゲン原子、直鎖状若しくは分
岐鎖状(C1〜C6)アルキル基、水酸基、直鎖状若しく
は分岐鎖状(C1〜C6)アルコキシ基、アミノ基、(そ
れぞれの)アルキル部分が直鎖状若しくは分岐鎖状のモ
ノ−又はジ−(C1〜C6)アルキル−アミノ基、カルボ
キシ基、直鎖状若しくは分岐鎖状の(C1〜C 6)アルコ
キシカルボニル基から選択される一つ又はそれ以上の、
同一か又は異なる基によって置換されているものを意味
すると解する。
【0021】「ヘテロアリール」とは、一つ又は二つの
炭素原子が、窒素、酸素及び硫黄から、同一又は異なっ
て選択されるヘテロ原子によって置換された、アリール
基を意味すると解する。
【0022】薬学的に許容しうる酸としては、非限定的
な例として、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、酢酸、
トリフルオロ酢酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハ
ク酸、グルタル酸、フマル酸、酒石酸、マレイン酸、ク
エン酸、アスコルビン酸、オキサル酸、メタンスルホン
酸、ショウノウ酸などを挙げることができる。
【0023】薬学的に許容しうる塩基としては、非限定
的な例として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ト
リエチルアミン、tert−ブチルアミンなどを挙げること
ができる。
【0024】好ましい本発明の化合物は、1,2−ジチ
オレン環が3位において置換された式(I)の化合物で
ある。
【0025】好ましい本発明の化合物の基Zが、下記
式:
【0026】
【化29】
【0027】(式中、R1は式(I)で定義したとおり
である)のチオカルバミン酸基である。
【0028】有利な実施態様によれば、本発明の好まし
い化合物は、Zが、下記式:
【0029】
【化30】
【0030】のチオカルバミン酸基を表す式(I)の化
合物である。
【0031】好ましい本発明の化合物の基Tは、下記
式:
【化31】
【0032】(式中、R2及びR3は式(I)で定義した
とおりであり、有利にはR2及びR3はそれぞれ水素原子
を表す)の基である。
【0033】好ましい本発明の化合物は、以下に対応す
る式(I)の化合物である。
【0034】−5−(1,2−ジチオラン−3−イル)
ペンチル N−(2−モルホリノエチル)チオカルバミ
ン酸塩酸塩、−5−[(3S)−1,2−ジチオラン−
3−イル]ペンチル N−(2−モルホリノエチル)チ
オカルバミン酸塩酸塩、−5−[(3R)−1,2−ジ
チオラン−3−イル]ペンチル N−(2−モルホリノ
エチル)チオカルバミン酸塩酸塩、−5−(1,2−ジ
チオラン−3−イル)ペンチル N−(3−モルホリノ
プロピル)チオカルバミン酸塩酸塩、及び、−5−
(1,2−ジチオラン−4−イル)ペンチル N−(2
−モルホリノエチル)チオカルバミン酸塩酸塩。
【0035】好ましい化合物の、異性体、及び薬学的に
許容しうる酸又は塩基との付加塩類は、本発明に不可欠
な一部を構成する。
【0036】本発明は、式(I)の化合物の製造方法であ
って、 i)式(II):
【0037】
【化32】
【0038】(式中、Raは、式(I)で定義したとおり
である)の化合物を出発物質とし、この式(II)の化合物
を、塩基性媒体中、式(III):
【0039】
【化33】
【0040】(式中、R1、Rb及びTは、式(I)で定義
したとおりである)、の化合物と処理して、式(IV):
【0041】
【化34】
【0042】(式中、Ra、Rb、R1及びTは、先に
定義したとおりである)を得て、Lawesson試薬の作用に
付して、式(I)の化合物の特定のケースである式(I/
a):
【0043】
【化35】
【0044】(式中、Ra、Rb、R1及びTは、先に
定義したとおりである)の化合物を得るか、あるいは ii)式(V):
【0045】
【化36】
【0046】(式中、Raは、式(I)で定義したとおり
である)を出発物質とし、ビス(トリブチルスズ)酸化
物の存在下で、式(VI):
【0047】
【化37】
【0048】(式中、Rb及びTは、式(I)で定義し
たとおりである)のチオイソシアネートと反応させ、式
(I)の化合物の特定のケースである式(I/b):
【0049】
【化38】
【0050】(式中、Ra、Rb及びTは、先に定義し
たとおりである)の化合物を得て、この式(I/b)の
化合物を、望むなら、式(VII):
【0051】
【化39】
【0052】(式中、R1は、式(I)で定義したとお
りであり、そしてXは、ハロゲン原子を表す)の化合物
で処理して、式(I)の化合物の特定のケースである式
(I/c):
【0053】
【化40】
【0054】(式中、Ra、Rb、R1及びTは先に定
義したとおりである)の化合物を得て、
【0055】本発明の化合物の全体を構成するこれらの
化合物(I/a)から(I/c)を、必要ならば、従来
の精製技術に従って精製し、望むならば、従来の分離技
術に従ってそれらの異なる異性体に分離することがで
き、適切ならば、薬学的に許容しうる酸又は塩基とのそ
の付加塩類に転換することを特徴とする方法にも関す
る。
【0056】式(II)、(III)、(V)、(VI)及
び(VII)の化合物は、市販の化合物であるか、又は有
機合成の既知の従来の方法によって得られる。
【0057】本発明は、また、活性成分として、式
(I)の化合物の少なくとも1種、その光学異性体又は
薬学的に許容しうる酸又は塩基とのその付加塩を、それ
自体又は不活性な非毒性の薬学的に許容しうる賦型剤又
は担体の1種以上と組み合わせて含む、薬学的組成物に
も関する。
【0058】本発明の医薬組成物として、より具体的に
は、経口、非経口(静脈の、筋内の又は皮下の)、経
皮、経鼻、直腸、舌下、目又は呼吸性の投与に適したも
の、及び具体的には錠剤又は糖衣錠、舌下錠、薬袋(sa
chet)、ゼラチンカプセル、ロゼンジ、坐薬、クリー
ム、軟こう、皮膚ゲル、注射用又は飲用剤、エアロゾ
ル、点眼薬、点鼻薬などを挙げることができる。
【0059】有効な投与量は、患者の年齢及び体重、投
与経路、障害の性質及び重度、他の治療薬が用いられて
いるかに応じて異なり、一日一回又はそれ以上の投与で
10mgから500mgの範囲である。
【0060】
【実施例】以下の例は、本発明を説明するが、それをい
かなるふうにも限定するものではない。
【0061】使用した出発物質は、既知の製品である
か、既知の手法にしたがって調製したものである。
【0062】例1:5−(1,2−ジチオラン−3−イ
ル)N−[2−(4−モルホリニル)エチル]ペンタン
チオアミド 塩酸塩 工程A: 5−(1,2−ジチオラン−3−イル)N−
[2−(4−モルホリニル)エチル]ペンタンアミド ヒドロキシベンゾトリアゾール 4.5g、2−(1H
−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−
テトラメチルウロニウム テトラフルオロボレート 1
0.5g、ジイソプロピルエチルアミン 7.8g、及
び2−モルホリノ−1−エチルアミン 3.9gを、室
温で、テトラヒドロフラン180ml中のチオクト酸
6.2gの溶液に加えた。20時間後、反応混合液を減
圧下で濃縮した。残渣を酢酸エチルに溶解し、洗浄後、
Na2SO4上で乾燥した。減圧下での濃縮により目的生
成物8.4gを得た。
【0063】工程B: 5−(1,2−ジチオラン−3
−イル)N−[2−(4−モルホリニル)エチル]ペン
タン チオアミド 塩酸塩 トルエン250ml中、工程Aで得られた化合物8.3g
及びLawesson試薬5.3gの溶液を80℃で4時間保持
した。次に反応混合液を冷却し、1N塩酸溶液で抽出し
た。液相はNa2CO3を加えることによりアルカリ性に
し、次に酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相を乾燥
し、減圧下で濃縮した。残渣をエタノールに溶解し、酸
性にして再び濃縮した。エーテルを加えた後、最終残渣
を粉砕及びろ過して目的生成物を単離した。 元素分析:
【0064】
【表1】
【0065】融点:98〜100℃
【0066】例2: 5−(1,2−ジチオラン−3−
イル)ペンチル N−(2−モルホリニル)チオカルバ
ミン酸塩酸塩 トルエン400ml中、5−(1,2−ジチオラン−3−
イル)−1−ペンタノール9.6g及びビス(トリブチ
ルスズ)酸化物30g溶液を20時間還流し、60℃に
冷却した。次に1.2当量の2−(モルホリン−4−イ
ル)−1−エチルイソシアネートを加え、反応混合液を
60℃で22時間保持した。冷却した後、1N塩酸溶液
で抽出を行なった。水相は酢酸エチルで中和し、続けて
抽出し、及び合わせた有機相を乾燥し、減圧下において
濃縮した。シリカゲル上のクロマトグラフィー(ジクロ
ロメタン/テトラヒドロフラン/95/5)により、目
的生成物を得た。 元素分析:
【0067】
【表2】
【0068】融点:105〜110℃
【0069】例3: (R)−5−(1,2−ジチオラ
ン−3−イル)ペンチル N−(2−モルホリノエチ
ル)チオカルバミン酸塩酸塩 手順は、基質として(R)−5−(1,2−ジチオラン
−3−イル)ペンタノールを用いる例2の手順と同様で
ある。 元素分析:
【0070】
【表3】
【0071】融点:108〜110℃
【0072】例4: (S)−5−(1,2−ジチオラ
ン−3−イル)ペンチル N−(2−モルホリノエチ
ル)チオカルバミン酸塩酸塩 手順は、基質として(S)−5−(1,2−ジチオラン
−3−イル)ペンタノールを用いる例2の手順と同様で
ある。元素分析:
【0073】
【表4】
【0074】融点:112〜116℃
【0075】例5: 5−(1,2−ジチオラン−3−
イル)ペンチル N−(2−モルホリノプロピル)チオ
カルバミン酸塩酸塩 手順は、試薬として3−(モルホリン−4−イル)−1
−プロピルチオイソシアネートを用いる例2の手順と同
様である。 元素分析:
【0076】
【表5】
【0077】融点:86〜88℃
【0078】例6: 5−(1,2−ジチオラン−4−
イル)ペンチル N−(2−モルホリノエチル)チオカ
ルバミン酸塩酸塩 手順は、基質として5−(1,2−ジチオラン−4−イ
ル)−1−ペンタノールを用いる例2の手順と同様であ
る。 元素分析:
【0079】
【表6】
【0080】融点:80〜85℃
【0081】例7: 5−(1,2−ジチオラン−3−
イル)ペンチル N−(2−(3,5−ジメチル)モル
ホリノエチル)チオカルバミン酸 手順は、試薬として4−(2−イソチオシアネートエチ
ル)−3,5−ジメチルモルホリンを用いる例2の手順
と同様である。
【0082】例8: N−[2−(4−ベンジル−2−
モルホリニル)エチル]−5−(1,2−ジチオラン−
3−イル)ペンタンチオアミド 手順は、工程Aで試薬として2−(4−ベンジル−2−
モルホリニル)エチルアミンを用いる、例1の工程A及
びBの手順と同様である。
【0083】本発明の化合物の薬理学的研究 例9: L−ホモシステインを用いた細胞毒性試験 この試験は、ネズミ(murine)HT 22海馬細胞を、
L−ホモシステインに暴露することにより起こされる細
胞毒に対抗する試験化合物の能力を決定することによ
り、試験化合物の神経保護特性(neuroprotective prop
erties)を試験管内で測定できるものである。
【0084】培養中のネズミHT 22海馬細胞を、7
段階の濃度の(5、10、25、50、75、100及
び200μM)の研究対象の”抗酸化”剤の存在下で、
1時間前保温した。次に、培養細胞を、抗酸化剤の存在
下又は不存在下で2mMのL−ホモシステインに48時間
暴露した。細胞毒性は、3−(4,5−ジメチルチアゾ
ール−2−イル)−2,5−ジフェニルーテトラゾリウ
ム ブロミド リダクション法(Immunol. Methods., 1
983, 65, 55-63)で測定した。結果は、PC50、すなわ
ち抗酸化剤不存在下における培養細胞中での細胞毒性の
50%保護を示す濃度、により表した。この試験で、例
2の化合物は15.5μMのPC50を有した。
【0085】例10: 脂質の過酸化の測定 オスNMRIマウスの皮質膜(cortex membranes)(1
g/20mTrisHCl 20mM pH7.4中)を濃度
5mMの研究対象の抗酸化剤とともに37℃で15分間前
保温した。膜は、FeSO4(100μM)/アスコルビ
ン酸(1000μM)/H22(1000μM)に15分
間暴露した。反応は、4℃でトリクロロ酢酸(20%v
/v)により中止し、サンプルを4℃、1500gで5
分間遠心分離した。同量(1ml)のチオバルビツール酸
(0.67%)を上清に加え100℃で20分間保温し
た。反応は氷上で止めた。溶液は分光光度計を用いて5
32nmの値を測定した(マロンジアルデヒドの濃度測
定、TBARSで表される)。マロンジアルデヒドのス
タンダード範囲(0〜40μM)は実験毎に確立した。
試験された抗酸化剤ごとに、結果は、そのコントロール
(FeSO4/アスコルビン酸/H22)のみのものと
比較した阻害の百分率で表した。この試験では例2の化
合物は90%の阻害を抑制した。
【0086】例11: 致死試験 この試験は、細胞死型の神経退化(neurodegeneracie
s)を引き起こす作用がある酸化剤である、tert−ブチ
ルヒドロペルオキシドの大脳内脳室投与により、マウス
に誘発される致死性に対抗する能力を測定することによ
り、試験化合物の神経保護特性を試験管内で測定するこ
とを可能とするものである。
【0087】tert−ブチルヒドロペルオキシドの大脳内
脳室投与(70%溶液を1μl)は、オスNMRIマウ
ス(30〜35g)を死亡させた。致死率は、tert−ブ
チルヒドロペルオキシドの投与の2時間後に測定され、
研究対象の”抗酸化”剤の担体を与えられたマウスにお
ける致死率と比較した保護の百分率で表した。後者は、
tert−ブチルヒドロペルオキシドを、大脳内脳室投与の
30分前に150mg/kgの量で腹腔内経路で投与したも
のである。この試験では、例2の化合物は100%の保
護をもたらした。
【0088】NMRIマウスにおける、アロキサンによ
り誘発される高血糖症 アロキサン(40mg/kg)の静脈投与により、オスNM
RIマウス(30〜35g;18〜24時間絶食)に、
アロキサンの投与から24時間後に測定された高血糖症
が引き起こされた。高血糖症は、血漿中のD−グルコー
ス量を測定することにより、アロキサン単独で処理した
マウスと比較した、”抗酸化”剤を与えられたマウス
(アロキサンの1又は3時間前に400mg/kgで経口的
に投与)の高血糖症の阻害の百分率として決定した。例
2の化合物は高血糖症も100%まで(1時間前投与)
及び92%まで(3時間前投与)阻害した。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 43/00 111 A61P 43/00 111 (72)発明者 イブ・シャルトン フランス国、エフ−92330 ソ、アレ・エ ストレル、9 (72)発明者 ピエール・レスタージュ フランス国、エフ−78170 ラ・セル・サ ン・クルド、アレ・ドゥ・ラ・グラン・テ ール、9 (72)発明者 ブリアン・ロッカール フランス国、エフ−78290 クロワシ・シ ュール・セーヌ、リュ・デ・ポン、60

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(I): 【化1】 (式中、Raは、直鎖状若しくは分岐鎖状の(C1
    8)アルキレン基を表し、Rbは、単結合又は直鎖状若
    しくは分岐鎖状の(C1〜C6)アルキレン基を表し、Z
    は、下記式: 【化2】 (式中、酸素原子は、Ra基に結合し、そしてR1は、水
    素原子、直鎖状若しくは分岐鎖状(C1〜C6)アルキル
    基、アリール基又はアルキル部分が直鎖状若しくは分岐
    鎖状であるアリール−(C1〜C6)アルキル基を表す)
    のチオカルバミン酸基、あるいは下記式: 【化3】 (ここで、チオカルボニル基は、Ra基に結合し、そし
    てR1は、先に定義したとおりである)のチオアミド基
    を表し、Tは、下記式: 【化4】 (式中、R2及びR3は、同一であるか又は異なってもよ
    く、それぞれ他から独立して、水素原子、直鎖状若しく
    は分岐鎖状の(C1〜C6)アルキル基、シクロアルキル
    基、アルキル部分が直鎖状若しくは分岐鎖状であるシク
    ロアルキル−(C1〜C6)アルキル基、ヘテロシクロアル
    キル基、アルキル部分が直鎖状若しくは分岐鎖状である
    ヘテロシクロアルキル−(C1〜C6)アルキル基、アリ
    ール基、アルキル部分が直鎖状若しくは分岐鎖状である
    アリール−(C1〜C6)アルキル基、ヘテロアリール
    基、アルキル部分が直鎖状若しくは分岐鎖状であるヘテ
    ロアリール−(C1〜C6)アルキル基、及びアルキル部
    分が直鎖状若しくは分岐鎖状であるアミノ−(C1
    6)アルキル基(アミノ部分は、直鎖状若しくは分岐
    鎖状の(C1〜C6)アルキル、アリール、及びアルキル
    部分が直鎖状若しくは分岐鎖状のアリール−(C1
    6)アルキルから選択される、一つか又は二つの、同
    一又は異なる基によって場合により置換されている)か
    ら選択される基を表す)の化合物、若しくはそれらの異
    性体類、又は薬学的に許容しうる酸若しくは塩基とのそ
    の付加塩類。
  2. 【請求項2】 式(IA): 【化5】 (式中、Raは、直鎖状若しくは分岐鎖状の(C1
    8)アルキレン基を表し、Rbは、単結合又は直鎖状若
    しくは分岐鎖状の(C1〜C6)アルキレン基を表し、Z
    は、下記式: 【化6】 (ここで、酸素原子は、Ra基に結合し、そしてR1は、
    水素原子、直鎖状若しくは分岐鎖状(C1〜C6)アルキ
    ル基、アリール基又はアルキル部分が直鎖状若しくは分
    岐鎖状であるアリール−(C1〜C6)アルキル基を表
    す)のチオカルバミン酸基、あるいは下記式: 【化7】 (ここで、チオカルボニル基は、Ra基に結合し、R1
    は、先に定義したとおりである)のチオアミド基を表
    し、Tは、下記式: 【化8】 (式中、R2及びR3は、同一であるか又は異なってよ
    く、それぞれ他から独立して、水素原子、直鎖状若しく
    は分岐鎖状の(C1〜C6)アルキル基、シクロアルキル
    基、アルキル部分が直鎖状若しくは分岐鎖状であるシク
    ロアルキル−(C1〜C6)アルキル基、ヘテロシクロアル
    キル基、アルキル部分が直鎖状若しくは分岐鎖状である
    ヘテロシクロアルキル−(C1〜C6)アルキル基、アリ
    ール基、アルキル部分が直鎖状若しくは分岐鎖状である
    アリール−(C1〜C6)アルキル基、ヘテロアリール
    基、アルキル部分が直鎖状若しくは分岐鎖状であるヘテ
    ロアリール−(C1〜C6)アルキル基、アルキル部分が
    直鎖状若しくは分岐鎖状であるアミノ−(C1〜C6)ア
    ルキル基(アミノ部分は、直鎖状若しくは分岐鎖状の
    (C 1〜C6)アルキル、アリール、アルキル部分が直鎖
    状若しくは分岐鎖状のアリール−(C1〜C6)アルキル
    から選択される、一つか又は二つの、同一か又は異なる
    基によって場合により置換されている)から選択される
    基を表す)の化合物を表す、請求項1記載の式(I) の
    化合物、若しくはそれらの異性体類、又は薬学的に許容
    しうる酸若しくは塩基とのその付加塩類。
  3. 【請求項3】 式(IB): 【化9】 (式中、Raは、直鎖状または分岐鎖状の(C1〜C8
    アルキレン基を表し、Rbは、単結合又は直鎖状若しく
    は分岐鎖状の(C1〜C6)アルキレン基を表し、Zは、 【化10】 (ここで、酸素原子は、Ra基に結合し、そしてR1は、
    水素原子、直鎖状若しくは分岐鎖状(C1〜C6)アルキ
    ル基、アリール基又はアルキル部分が直鎖状若しくは分
    岐鎖状であるアリール−(C1〜C6)アルキル基を表
    す)のチオカルバミン酸基、あるいは下記式: 【化11】 (ここで、チオカルボニル基は、Ra基に結合し、そし
    てR1は、先に定義したとおりである)のチオアミド基
    を表し、Tは、下記式: 【化12】 (ここで、R2及びR3は、同一であるか又は異なってよ
    く、それぞれ他から独立して、水素原子、直鎖状若しく
    は分岐鎖状の(C1〜C6)アルキル基、シクロアルキル
    基、アルキル部分が直鎖状若しくは分岐鎖状であるシク
    ロアルキル−(C1〜C6)アルキル基、ヘテロシクロアル
    キル基、アルキル部分が直鎖状若しくは分岐鎖状である
    ヘテロシクロアルキル−(C1〜C6)アルキル基、アリ
    ール基、アルキル部分が直鎖状若しくは分岐鎖状である
    アリール−(C1〜C6)アルキル基、ヘテロアリール
    基、アルキル部分が直鎖状若しくは分岐鎖状であるヘテ
    ロアリール−(C1〜C6)アルキル基、アルキル部分が
    直鎖状若しくは分岐鎖状であるアミノ−(C1〜C6)ア
    ルキル基(アミノ部分は、直鎖状若しくは分岐鎖状の
    (C1〜C6)アルキル、アリール、アルキル部分が直鎖
    状若しくは分岐鎖状のアリール−(C1〜C6)アルキル
    から選択される、一つか又は二つの、同一か又は異なる
    基によって場合により置換されている)から選択される
    基を表す)の化合物を表す、請求項1記載の式(I) の
    化合物、若しくはそれらの異性体類、又は薬学的に許容
    しうる酸若しくは塩基とのその付加塩。
  4. 【請求項4】 Zが、下記式: 【化13】 (R1は式(I)で定義されたとおりである)のチオカル
    バミン酸基を表す、請求項1〜3のいずれか1項記載の
    式(I) の化合物、若しくはそれらの異性体類、又は薬
    学的に許容しうる酸若しくは塩基とのその付加塩類。
  5. 【請求項5】 Zが、下記式: 【化14】 のチオカルバミン酸基を表す、請求項1〜4のいずれか
    1項記載の式(I) の化合物、若しくはそれらの異性体
    類、又は薬学的に許容しうる酸若しくは塩基とのその付
    加塩類。
  6. 【請求項6】 Tが、下記式: 【化15】 (式中、R2及びR3は、式(I)で定義されたとおりであ
    る)の基を表す、請求項1〜3のいずれか1項記載の式
    (I) の化合物、若しくはそれらの異性体類、又は薬学
    的に許容しうる酸若しくは塩基とのその付加塩類。
  7. 【請求項7】 R2およびR3が、同一であり、水素原子
    を表す、請求項6記載の式(I) の化合物、若しくはそ
    れらの異性体類、又は薬学的に許容しうる酸若しくは塩
    基とのその付加塩類。
  8. 【請求項8】 5−(1,2−ジチオラン−3−イル)
    ペンチル N−(2−モルホリノエチル)チオカルバミ
    ン酸塩酸塩である、請求項1又は2記載の式(I)の化合
    物。
  9. 【請求項9】 5−[(3S)−(1,2−ジチオラン
    −3−イル)]ペンチル N−(2−モルホリノエチ
    ル)チオカルバミン酸塩酸塩である、請求項1又は2記
    載の式(I)の化合物。
  10. 【請求項10】 5−[(3R)−(1,2−ジチオラ
    ン−3−イル)]ペンチル N−(2−モルホリノエチ
    ル)チオカルバミン酸塩酸塩である、請求項1又は2記
    載の式(I)の化合物。
  11. 【請求項11】 5−(1,2−ジチオラン−3−イ
    ル)ペンチル N−(3−モルホリノプロピル)チオカ
    ルバミン酸塩酸塩である、請求項1又は2記載の式(I)
    の化合物。
  12. 【請求項12】 5−(1,2−ジチオラン−4−イ
    ル)ペンチル N−(2−モルホリノエチル)チオカル
    バミン酸塩酸塩である、請求項1又は3記載の式(I)の
    化合物。
  13. 【請求項13】 請求項1記載の式(I)の化合物の製造
    方法であって、i)式(II): 【化16】 (式中、Raは式(I)で定義したとおりである)の化合
    物を出発物質とし、この式(II)の化合物を、塩基性媒体
    中で式(III): 【化17】 (式中、R1、Rb及びTは、式(I)で定義したとおりで
    ある)の化合物で処理して式(IV): 【化18】 (式中、Ra、Rb、R1及びTは先に定義したとおり
    である)を得て、Lawesson試薬の作用に付して、式(I)
    の化合物の特定のケースである式(I/a): 【化19】 (式中、Ra、Rb、R1及びTは先に定義したとおり
    である)の化合物を得るか、あるいはii)式(V): 【化20】 (式中、Raは、式(I)で定義したとおりである)を出
    発物質とし、ビス(トリブチルスズ)酸化物の存在下
    で、式(VI): 【化21】 (式中、Rb及びTは、式(I)で定義したとおりであ
    る)のチオイソシアネートと反応させ、式(I)の化合
    物の特定のケースである式(I/b): 【化22】 (式中、Ra、Rb及びTは、先に定義したとおりであ
    る)の化合物を得て、この式(I/b)の化合物を、望
    むなら、式(VII): 【化23】 (式中、R1は、式(I)で定義したとおりであり、そ
    してXは、ハロゲン原子を表す)の化合物で処理して、
    式(I)の化合物の特定のケースである式(I/c): 【化24】 (式中、Ra、Rb、R1及びTは、先に定義したとお
    りである)の化合物を得て、本発明の化合物の全体を構
    成するこれらの化合物(I/a)から(I/c)を、必
    要ならば、従来の精製技術に従って精製し、望むなら
    ば、従来の分離技術に従ってそれらの異なる異性体に分
    離することができ、適切ならば、薬学的に許容しうる酸
    又は塩基とのその付加塩類に転換することを特徴とする
    方法。
  14. 【請求項14】 活性成分として、請求項1〜12のい
    ずれか1項記載の式(I)の少なくとも1種の化合物そ
    れ自体、又は1種以上の、薬学的に許容しうる不活性な
    非毒性の賦形剤若しくは担体と組み合わせて含む医薬組
    成物。
  15. 【請求項15】 抗酸化剤として使用するための、請求
    項1〜12のいずれか1項記載の少なくとも1種の活性
    成分を含む、請求項14記載の医薬組成物。
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