JP2000173876A - 電解コンデンサ用封口体及びそれを用いた電解コンデンサ - Google Patents

電解コンデンサ用封口体及びそれを用いた電解コンデンサ

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JP2000173876A JP10345965A JP34596598A JP2000173876A JP 2000173876 A JP2000173876 A JP 2000173876A JP 10345965 A JP10345965 A JP 10345965A JP 34596598 A JP34596598 A JP 34596598A JP 2000173876 A JP2000173876 A JP 2000173876A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低インピーダンスで低温特性に優れ、寿命特
性が良好であり、しかも水の含有割合が大きい混合溶媒
を使用した電解コンデンサとその封口体を提供するこ
と。 【解決手段】 20〜80重量%の有機溶媒と80〜2
0重量%の水とからなる水性混合溶媒とする電解コンデ
ンサにおいて、材料構成分として過酸化物加硫のブチル
ゴムからなる封口体。前記封口体を含む、20〜80重
量%の有機溶媒と80〜20重量%の水とからなる水性
混合溶媒とする電解コンデンサ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電解コンデンサ用
の封口体とその封止体を利用した高信頼性電解コンデン
サに関し、特に、電解液用溶媒として、全溶媒の20〜
80重量%の水と、プロトン系及び非プロトン系の有機
溶媒から選択される一種以上の有機溶媒とを含む電解液
を有する電解コンデンサ用封口体とその封止体を利用す
る電解コンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】電解コンデンサは、一般的な電気部品の
一つであり、種々の電気・電子製品において、主として
電源回路用や、ディジタル回路のノイズフィルター用に
広く使用されている。
【0003】現在使用されている電解コンデンサにはい
ろいろな種類のものがあり、その一例を示すと、アルミ
ニウム電解コンデンサ及び湿式タンタル電解コンデンサ
がある。その他に電解液を用いるコンデンサとして、電
気二重層コンデンサがある。なお、本発明で特に優れた
効果を期待できるものはアルミニウム電解コンデンサで
あり、したがって、以下、この種の電解コンデンサを参
照して本発明を説明し、また、「電解コンデンサ」と言
う場合、特に断りのある場合を除いてアルミニウム電解
コンデンサを指すものとする。
【0004】従来のアルミニウム電解コンデンサは、典
型的には、高純度アルミニウム箔をエッチングしてその
表面積を増加させた後、そのアルミニウム箔の表面を陽
極酸化して誘電体化した陽極箔とアルミニウム表面をエ
ッチングして表面積を増大した陰極箔とを対向して配置
し、さらにそれらの箔の中間にセパレータ(隔離紙)を
介在させて積層体となし、この積層体を巻き取つた構造
の素子に電解液を含浸する。電解液含浸後の素子をケー
ス(一般にはアルミニウム製)に収容し、そして弾性封
口体で密封して電解コンデンサが完成する。なお、電解
コンデンサには、このような巻回構造以外のものもあ
る。
【0005】上述のような電解コンデンサにおいては、
電解液の特性が電解コンデンサの性能を決定する大きな
要因をなす。特に近年の電解コンデンサの小型化に伴
い、陽極箔あるいは陰極箔はエッチシグ倍率の高いもの
が使用されるようになり、コンデンサ本体の抵抗率が大
きくなっていることから、これに用いる電解液として
は、抵抗率(比抵抗)の小さな高導電性のものが常に要
求される。
【0006】これまでの電解コンデンサの電解液は、エ
チレングリコール(EG)を主溶媒としてこれに水を約
10重量%程度まで加えて構成した溶媒に、電解質とし
てアジピン酸、安息香酸などのカルボン酸又はそのアン
モニウム塩を溶解したものが一般的である。このような
電解液では、比抵抗は1.5Ω・m(150Ω・cm)
程度である。
【0007】コンデンサにおいては、その性能を十分に
発揮するため、インピーダンス(Z)を低下させること
が絶えず求められている。インピーダンスは種々の要因
により決定し、例えばコンデンサの電極面積が増加すれ
ば低下し、そのため大型コンデンサになれば自ずと低イ
ンピーダンス化が図られる。また、セパレータを改良す
ることで低インピーダンス化を図るアプローチもある。
とは言え、特に小型のコンデンサにおいては、電解液の
比抵抗がインピーダンスの大きな支配因子となってい
る。
【0008】最近では、非プロトン系の有機溶媒、例え
ばGBL(γ−ブチロラクトン)などを使用した低比抵
抗の電解液も開発されている(例えば、特開昭62−1
45713号公報、特開昭62−145714号公報及
び特開昭62−145715号公報を参照された
い。)。しかし、この非プロトン系電解液を用いたコン
デンサは、低比抵抗が1.0Ω・cm以下の電子伝導体を
用いた固体コンデンサに比べると、インピーダンスがは
るかに劣っている。
【0009】また、アルミニウム電解コンデンサは、電
解液を使用するために低温特性が悪く、100kHzに
おける−40℃でのインピーダンスと20℃でのインピ
ーダンスとの比:Z(−40℃)/Z(20℃)は約4
0と、かなり大きいのが実情である。加えて、電解液に
水が含まれるような場合、低温環境下における使用中に
凍結するというような問題も発生する。このような現状
に鑑みて、現在、低インピーダンスで、しかも低温特性
に優れたアルミニウム電解コンデンサを提供することが
望まれている。
【0010】さらに、アルミニウム電解コンデンサの電
解液においてその溶媒の一部として用いられる水は、陽
極箔や陰極箔を構成するアルミニウムにとって化学的に
活性な物質であり、したがって、陽極箔や陰極箔に作用
して水和反応を引き起こすという問題をかかえている。
具体的には、アルミニウムと水の水和反応の結果として
水素ガスが発生し、これがケース内に充満してケースの
膨れを引き起こし、外観不良はもちろんのこと、例え
ば、隣接する基板に接触したような場合、ショートなど
の不具合を発生する。このような不具合は、電解コンデ
ンサの短寿命化を招くものであり、解消することが望ま
れている。
【0011】従来、このような電解コンデンサの弾性封
口体としては、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエン
(SBR)、エチレンプロピレンターポリマー(EP
T)などの素材のものが用いられてきた。
【0012】電解液の改善に例を取ると、電解液の溶媒
として、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)やγ
−ブチロラクトン(GBL)が使用されるようになって
きている。ところが、N,N−ジメチルホルムアミド
(DMF)やγ−ブチロラクトンは、揮発性が高く、従
来の弾性封口体では電解液が蒸気として透過してしまう
ため、電解コンデンサの信頼性を維持できなかった。
【0013】以上のような背景の中で、より機密性の高
いブチルゴム、具体的には、イソブチレン・イソプレン
ゴム(IIR)が使用されるようになった。このブチル
ゴムの加硫方法としては、イオウ加硫、キノイド加硫、
樹脂加硫などがある。この内、イオウ加硫のものは、封
口体としての硬度が不足し、また、圧縮永久歪みなどの
物性に劣る。樹脂加硫のものが耐熱性、圧縮永久歪み、
反発弾性において優れているが、樹脂加硫ブチルゴムに
おいても長時間高温中に放置すると軟化してきてしまい
(硬度低下)、更にハロゲンを含むためにコンデンサの
封口体として使用した場合、腐食、内部のリード線の腐
食断線が発生するという欠点があった。
【0014】気密性の低下は、電解成分の蒸発ひいては
ドライアップを招き、コンデンサの著しい特性劣化をも
たらす。また高温条件下で、コンデンサ内部の圧力が上
昇した際、封口体が劣化したり硬度が低下、あるいは弾
性力の保持が低下したりして、本来の封止能力を維持で
きない状態にあると、異常時には作動するはずの防爆弁
が作動せず、コンデンサ特性の著しい劣化ばかりか重大
な事故を招きかねない。そのためにも、封口体において
は気密性の保持と高温条件下でも安定した封止能力と弾
性特性が維持できるものが望まれる。防爆弁は、作動の
際には周囲に対する影響が少なく、封口体とは異なる位
置に設置されており異常時に封口体の脱栓による回路基
板等への破壊的影響を極力少なくする手段である。
【0015】また、一方厳しい低温条件下にさらされた
場合、従来のゴムを含む弾性封口体は、弾性を失い密封
効果を減ずる欠点もあり、益々厳しくなる電解コンデン
サの使用環境条件(−40℃〜105℃)に十分耐え得
るものではなかった。
【0016】封口体のブチルゴムの耐熱性を改善するた
めに、イソブチレン、イソプレン、ジビニルベンゼンの
3成分共重合体をポリマーとして過酸化物加硫した架橋
化IIRが提案されている(特開昭55−158621
号公報)。この架橋化IIRは、上記した樹脂加硫のも
のに比べて耐熱性は良好である。しかし、有機溶媒を多
く用いるコンデンサ(溶媒系における水濃度30重量%
未満)においては、有機溶媒系に対する気密特性におい
て劣るため、嵩温長時問のコンデンサ試験を行うと電解
液の透過散逸による特性変化が大きくなってしまうとい
う欠点があった。
【0017】いずれにしても、上記先行技術を含めて、
従来技術においては、電解液、特に溶媒系における水分
濃度が高い(20重量%〜80重量%、好適には30重
量%〜80重量%、最も好適には45重量%〜80重量
%)電解液と封口体の材質の関係に着目して、優れた特
性を有するコンデンサを開発する考えはなかった。
【0018】また、電解コンデンサの低温でも固化し難
く、高沸点でも溶解性が大きく、イオン解離させやすい
極性の強い溶媒、例えば、N,N−ジメチルホルムアミ
ドなどを用いて広い範囲で優れた特性を示す電解液の開
発が進められている。しかしながら、このような極性の
高い溶媒を用いると、封口体に対する溶解性も高く、封
口体を溶解し、電解液の蒸散の原因となる。
【0019】更に、高温長寿命用のコンデンサには、電
解液も高信頼性のものを用いる必要があり、γ−ブチロ
ラクトンと有機酸の4級アンモニウム塩との組合せによ
る低比抵抗電解液が使用されるようになってきている。
しかし、この4級アンモニウム塩を用いた電解液と、初
期において、気密性の良いIIRの封口体を組合せた電
解コンデンサでも、封口体のリード線貫通孔付近から電
解液が漏出してきてしまうという問題点もある。
【0020】このように、益々高性能を要求される電解
コンデンサにあっては、電解液そのものの開発と共に、
セパレータの開発及び封口体の開発が重要なテーマであ
る。本発明者は、特に、封口体は、電解液、特に溶剤と
の組み合わせに対して細心の注意を払うことが重要であ
ることを認識して、本発明を開発するに至った。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の問題点
に鑑みてなされたものであり、高性能電解液に適した、
低温特性、耐熱性、気密性および高信頼性の封口体を提
供すること、更にその封口体を用いて、低インピーダン
スでかつ低温特性に優れ、寿命特性に優れた電解コンデ
ンサを提供することを解決課題とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明は、電解液用溶媒
として、全溶媒の20〜80重量%の水(好適には30
重量%〜80重量%、最も好適には45重量%〜80重
量%)と、プロトン系及び非プロトン系の有機溶媒から
選択される一種以上の有機溶媒とを含む電解液を有する
電解コンデンサ用の封口体であって、材料構成分として
過酸化物加硫のブチルゴムを含む封口体、及びその封口
体を用いた電解コンデンサである。
【0023】本発明の最大の特徴の一つは、電解液、特
にその溶媒系とコンデンサ封口体の材質との関係の重要
さに着目し、高濃度の水を溶媒成分とする電解コンデン
サ駆動用電解液の有する電解液性能、即ち低インピーダ
ンスで、低温特性、広範囲の温度範囲で優れたインピー
ダンス特性などがコンデンサに提供できると共に、その
電解液、特にその溶媒系に非常によくマッチして、溶
解、劣化作用を受けず、ドライアップの恐れがなく、異
常時の高圧にも十分耐えるだけの弾性・強度を維持しう
る、前記電解液に対して適した封口体を見出した所にあ
る。即ち、電解液と封口体のそれぞれのもつ長所を最大
限に活用できる組合せを見出した所にその技術的特徴が
ある。
【0024】本発明の封口体の使用対象である電解コン
デンサの電解液では、溶媒成分として、上記した有機溶
媒のほかに水を使用し、特に本発明の場合、比較的に多
量の水を含用するという点で従来の電解液とは区別され
る。本発明に係る電解コンデンサの電解液は、このよう
な水分濃度の高い溶媒を使用することで、溶媒の凝固点
を低下させ、それにより低温での電解液のインピーダン
ス特性を改善して、低温と常温でのインピーダンス比が
小さいことで示される良好な低温特性を実現することが
できる。
【0025】本発明は、前記ブチルゴムが、イソブチレ
ン、イソプレン及びジビニルベンゼンの三成分系共重合
体を主ポリマーとし、過酸化物により加硫したものであ
る、電解液用溶媒として、全溶媒の20〜80重量%の
水と、プロトン系及び非プロトン系の有機溶媒から選択
される一種以上の有機溶媒とを含む電解液を有する電解
コンデンサ用封口体である。
【0026】本発明は、先の各発明の封口体、並びに全
溶媒の20〜80重量%の水と、プロトン系及び非プロ
トン系の有機溶媒から選択される一種以上の有機溶媒と
を含む電解液を構成要素として有する電解コンデンサで
ある。
【0027】また、本発明は、電解液成分として、カル
ボン酸またはその塩及び無機酸またはその塩から選択さ
れる少なくとも一種以上の電解質を含むことを特徴と
し、先の各発明の封口体、並びに全溶媒の20〜80重
量%の水と、プロトン系及び非プロトン系の有機溶媒か
ら選択される一種以上の有機溶媒とを含む電解液を構成
要素として有する電解コンデンサである。
【0028】更に、本発明は、電解液成分として、更に
キレート剤、グルコン酸、グルコン酸のラクトン、2−
ヒドロベンジルアルコール、L−グルタミン酸二酢酸ま
たはその塩、ニトロ化合物、糖類から選択される一種以
上の添加剤を含むことを特徴とする、前記各発明に係る
電解コンデンサである。
【0029】
【発明の実施の形態】本発明の弾性封口体自体の製法
は、従来のゴム封口体の製法によって製造することがで
きる。例えば、イソブチレン、イソプレン及びジビニル
ベンゼンの三成分系共重合体を主成分とし(過酸化物加
硫が可能なエチレンプロピレンタ−ポリマーをブレンド
することもできる)、加硫剤として、ジクミルパーオキ
シドなどの過酸化物を用いて加硫する。
【0030】イソブチレン、イソプレン、ジビニルベン
ゼンの三成分共重合体をポリマーとして過酸化物加硫す
ると、ジビニルベンゼンの二重結合が解けてC−Cボン
ドの架橋を形成するので従来のIIRよりも耐熱性が向
上する。
【0031】加硫剤として用いられる過酸化物として
は、ジクミルパーオキシド(DQPO)、ベンゾイルペ
ルオキシド、1・1−ビス(t−ブチルペルオキシ)3
・3・5−トリメチルシクロヘキサン、2・5−ジメチ
ル2・5ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、ジ−t
−ブチルペルオキシジイソプロピルベンゼン、t−ブチ
ルペルオキシベンゾエイト、t−ブチルクミルペルオキ
シド、2・5−ジメチル−2・5−ジ(t−ブチルペル
オキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルペルオキシド、2・
5−ジメチル−2・5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘ
キシン−3(DDBPH)、1・3−ビス(t−ブチル
ペルオキシイソプロピル)ベンゼン、n−ブチル4・4
‘−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレレートなどが例
示できる。その内、ジクミルパーオキシドが、優れた電
解コンデンサの封止効果をもつ封口体を得るのに適して
いる。
【0032】上記過酸化物は、単独または数種類組合せ
て使用するが、1種類または2〜3種類を添加するのが
普通である。過酸化物濃度は、ゴム100重量部に対し
て、0.3〜5重量部程度である。
【0033】イソブチレン、イソプレン、ジビニルベン
センの三成分共重合体をポリマーとして過酸化物加硫す
るIIRを封口体として、溶媒中の水分濃度の高い電解
液に対する封口体として使用する場合、そのIIRの持
つ封口機能・効果を最大限に発揮できる。
【0034】本発明の電解コンデンサも、上記した電解
液と同様に、常用の技法に従って製造することができ
る。例えば、表面を陽極酸化して誘電体化したアルミニ
ウムから製作した陽極箔と、この陽極箔の誘電体化した
面に対向するアルミニウム製の陰極箔と、陽極箔と陰極
箔との問に介在するセパレータ(隔離紙)とから構成し
たコンデンサ素子に本発明に係る電解液を含浸した後、
その素子を適当なケース内に、本件発明の封口体を用い
て密封することによって、アルミニウム電解コンデンサ
を製造することができる。
【0035】水の含有量が20重量%より少ない場合に
も、80重量%を超える場合にも、電解液の凝固点降下
の度合いは不十分となり、電解コンデンサの良好な低温
特性を得るのが困難になる。電解液中におけるより好適
な水の含有量は、30重量%〜80重量%であり、最も
好ましくは、45重量%〜80重量%である。
【0036】水と混合して使用する有機溶剤としては、
プロトン系と非プロトン系を任意に使用することができ
る。適当なプロトン系溶媒の例としては、アルコール化
合物を挙げることができる。また、ここで有利に使用す
ることのできるアルコール化合物の具体的な例として
は、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれ
ども、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチル
アルコールなどの一価アルコール、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
プロピレングリコールなどの二価アルコール(グリコー
ル)、グリセリンなどの三価アルコールなどを挙げるこ
とができる。また、適当な非プロトン系溶媒の例として
は、ラクトン化合物などを挙げることができる。また、
ここで有利に使用することのできるラクトン化合物の具
体的な例としては、γ−ブチロラクトンやその他の分子
内分極化合物などを挙げることができる。有機溶媒は、
プロトン系溶媒と非プロトン系溶媒の中から選択される
1種以上を使用することができる。複数種のプロトン系
溶媒を使用してもよく、複数種の非プロトン系溶媒を使
用してもよく、あるいはプロトン系溶媒と非プロトン系
溶媒の混合系を使用してもよい。
【0037】本発明に係る電解液における電解質として
は、カルボン酸、カルボン酸の塩、無機酸又は無機酸の
塩が用いられ、これらの電解質成分は、単独で使用して
もよく、あるいは2種以上を組み合わせて使用してもよ
い。
【0038】電解質成分として使用可能なカルボン酸の
例としては、以下に列挙するものに限定されるわけでは
ないけれども、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、p−
ニトロ安息香酸、サリチル酸及び安息香酸に代表される
モノカルボン酸や、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、
アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸及びアゼ
ライン酸に代表されるジカルボン酸などが含まれ、例え
ばクエン酸やオキシ酪酸のようにヒドロキシル基などの
官能基を持ったカルボン酸なども使用可能である。
【0039】また、同じく電解質成分として使用可能な
無機酸の例としては、以下に列挙するものに限定される
わけではないけれども、リン酸、亜リン酸、次亜リン
酸、ホウ酸、スルファミン酸などが含まれる。
【0040】さらに、上記したようなカルボン酸又は無
機酸の塩としては、いろいろな塩を使用することができ
るけれども、適当な塩としては、例えば、アンモニウム
塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アミン塩、アルキルア
ンモニウム塩などが含まれる。このような塩のなかで
も、アンモニウム塩を用いるのがより好ましい。カルボ
ン酸と無機酸の塩の組合せが特にコンデンサ特性におい
ても優れている。
【0041】さらに加えて、本発明の実施において電解
質として無機酸又はその塩を使用すると、電解液の凝固
点降下が期待でき、そのため電解液の低温特性の更なる
向上に寄与することができる。また、無機酸又はその塩
の使用は、本発明において特に使用するニトロ化合物に
由来する水素ガス吸収能力(以下に詳述する)を長期間
にわたって維持することができるという点でも注目に値
する。
【0042】電解液成分として、更にキレート剤、グル
コン酸、グルコン酸のラクトン、2−ヒドロベンジルア
ルコール、L−グルタミン酸二酢酸またはその塩、ニト
ロ化合物、糖類から選択される一種以上の添加剤を含む
こともできる。
【0043】本発明の電解液において使用する電解質の
量は、電解液や最終的に得られるコンデンサに要求され
る特性、使用する溶媒の種類や組成及び量、使用する電
解質の種類などの各種のファクタに応じて、最適な量を
適宜決定することができる。各種添加剤成分によって改
善されるコンデンサ特性については、後記の表2を参照
することによリ理解できる。
【0044】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明
する。 〔実施例、比較例1〜3、及び従来例1、2〕アルミニ
ウム箔を電気化学的にエッチング処理し、陽極酸化して
表面に酸化皮膜を形成し、その後電極引出し用リードタ
ブを取りつけてアルミニウム陽極箔を作った。次に、別
のアルミニウム箔にやはり電気化学的にエッチング処理
を施した後、電極引出し用リードタブを取り付けてアル
ミニウム陰極箔を作った。続いて、陽極箔と陰極箔間に
セパレータ(隔離紙)を挟んで巻回することにより、コ
ンデンサ素子を作った。そしてこのコンデンサ素子に、
上記組成で調製した電解液を含浸してから、有底アルミ
ニウムケースに電極引出し用リードタブがケースの外に
出るようにして収容し、このケースの開口を弾性封口体
で密封して、巻回構造の電解コンデンサ(10WV−1
000μF)を作製した。
【0045】溶媒中の水分濃度が高く、その他の添加剤
の組合せを含み、優れた電解コンデンサ特性を有するも
のの一例として、エチレングリコール(EG)32重量
%、水43重量%、アジピン酸アンモニウム21重量
%、グルコノラクトン1重量%、エチレンジアミン四酢
酸3(EDTA)重量%を混合して電解液を調製した。
その電解液を前記と同様にして、セパレータに含浸させ
後、予め下記の弾性封口体材料を用いて成形した封口体
により密封成形して、巻回構造の電解コンデンサ(10
WV−470μF)を作製して、耐久性能試験を実施し
た。
【0046】本発明(弾性封口体)に係る実施例では、
イソブチレン、イソプロピレン、及びジビニルベンゼン
との三成分共重合体(IIR)をゴム成分とし、ジクミ
ルパーオキシド(過酸化物)を加硫剤としたゴム(PO
加硫ゴム)で、ゴム封口体を成形する。一方比較例とし
て、エチレン−プロピレンタ−ポリマ(EPT)を封口
体材料としたもの(従来例1)、スチレン−ブタジエン
ゴム(SBR)を封口体材料としたもの(従来例2)、
樹脂加硫のIIRを封口体としたもの(比較例1)、I
IRとEPT(エチレン−プロピレンタ−ポリマー)と
のブレンドを封口体としたもの(比較例2)、ベークラ
イトを貼り合わせたIIRを封口体としたもの(比較例
3)とした。
【0047】各電解コンデンサの寿命特性を評価するた
め、容量、tanδ及びE.S.R.(等価直列抵抗)
のそれぞれについて、初期値(コンデンサの作製直後の
特性値)と、高温負荷試験(105℃で3000時間経
過、及び5000時間経過)後の特性値の測定を行っ
た。下記の第1表に記載のような測定値が得られた。
【0048】
【表1】
【0049】上記した第1表に記載の結果から理解され
るように、本発明の実施例、従来例1、2、比較例1〜
3のものは、容量、tanδ、E.S.R.の各初期値
に大差はない。
【0050】しかしながら、105℃で3000時間経
過した後のコンデンサ容量の減少(ΔC)は、従来例1
及び2で極めて大きく、要求性能から程遠く、実用性が
乏しい。tanδが大きくなり、損失が大きくなること
を示している。
【0051】一方、比較例1〜3のものは、105℃、
3000時間程度までは、実用性能を維持できるもの
の、105℃、5000時間に至るまでに特性異常を来
たし、使用不能となる。
【0052】これに対して、本願発明の封口体を用いた
電解コンデンサにおいては、5000時間を超えても、
コンデンサ容量の僅かの減少がある他は、tanδ、
E.S.R.の各値は、初期値と比べてもほぼ変化な
く、要求性能を維持し続けている。このことから、本発
明によれば、電解コンデンサの長寿命化が容易に達成で
きることが分かる。
【0053】本発明の封口体と組合せて特に優れた電解
コンデンサ特性を発揮する電解液組成を下記表2に組成
例として、従来例と共に例示する。
【0054】本発明に関して好ましい組成例として、有
機溶媒と多量の水を組み合わせた溶媒、並びに、カルボ
ン酸又はその塩及び無機酸及びその塩からなる群から選
択される少なくとも一種以上の電解質を電解液基本成分
として、それに優れた添加効果を得られる添加剤成分を
種々組み合わせた事例を挙げた。組成例1及び2は、添
加剤としてグルコノラクトンとキレート化合物を組み合
わせた例(この組合せの場合、通常は電解液中0.01
〜3重量%が好ましい。)、組成例3及び4は、グルコ
ノラクトンと糖類を組合せた例(この組合せの場合、通
常は電解液中0.01〜5重量%が好ましい。)、組成
例5及び6は、それぞれグルコノラクトンとグルタミン
酸2酢酸とを組合せた例及びグルコノラクトンとヒドロ
キシベンジルアルコールとを組合せた例(これらの組合
せの場合、通常は電解液中0.01〜5重量%が好まし
い。)、組成例7及び8は、グルコノラクトンとニトロ
化合物を組合せた例(この組合せの場合、通常は電解液
中0.01〜3重量%が好ましい。)である。
【0055】
【表2】
【表3】
【0056】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明によれ
ば、低インピーダンスでかつ、低温と常温でのインピー
ダンス比で表される低温特性に優れ、寿命特性が良好で
あり、しかも水の含有割合が大きい混合溶媒を使用した
電解液を使用した時や高温環境下で電解コンデンサを使
用した時でも優れた性能を維持できる電解コンデンサが
提供される。また、本発明で提供する封口体により、電
解コンデンサの有する、低インピーダンスで、低温特性
に優れた特性を十分に発揮させ、寿命特性が良好にする
ことができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電解液用溶媒として、全溶媒の20〜8
    0重量%の水と、プロトン系及び非プロトン系の有機溶
    媒から選択される一種以上の有機溶媒とを含む電解液を
    有する電解コンデンサ用封口体であって、材料構成分と
    して過酸化物加硫のブチルゴムからなる封口体。
  2. 【請求項2】 前記ブチルゴムが、イソブチレン、イソ
    プレン及びジビニルベンゼンの三成分系共重合体を主ポ
    リマーとし、過酸化物により加硫したものである、請求
    項1に記載の電解コンデンサ用封口体。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の封口体、並びに
    全溶媒の20〜80重量%の水と、プロトン系及び非プ
    ロトン系の有機溶媒から選択される一種以上の有機溶媒
    とを含む電解液を構成要素として有する電解コンデン
    サ。
  4. 【請求項4】 電解液成分とし、カルボン酸またはその
    塩及び無機酸またはその塩から選択される少なくとも一
    種以上の電解質を含む、請求項3に記載の電解コンデン
    サ。
  5. 【請求項5】 電解液成分として、更にキレート剤、グ
    ルコン酸、グルコン酸のラクトン、2−ヒドロキシベン
    ジルアルコール、L−グルタミン酸二酢酸またはその
    塩、ニトロ化合物、糖類から選択される一種以上の添加
    剤を含む、請求項3又は4に記載の電解コンデンサ。
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