JP2000173502A - 偏向ヨ―クコア及び偏向ヨ―ク - Google Patents

偏向ヨ―クコア及び偏向ヨ―ク

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JP2000173502A
JP2000173502A JP27181399A JP27181399A JP2000173502A JP 2000173502 A JP2000173502 A JP 2000173502A JP 27181399 A JP27181399 A JP 27181399A JP 27181399 A JP27181399 A JP 27181399A JP 2000173502 A JP2000173502 A JP 2000173502A
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deflection yoke
iron powder
core
binder
magnetic
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English (en)
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Hideo Hishijo
秀夫 菱城
Takao Watanabe
孝夫 渡辺
Tsutomu Yashiro
勉 八代
Yukiko Ozaki
由紀子 尾▲崎▼
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JFE Steel Corp
Victor Company of Japan Ltd
Original Assignee
Victor Company of Japan Ltd
Kawasaki Steel Corp
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  • Formation Of Various Coating Films On Cathode Ray Tubes And Lamps (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 鉄損による発熱を低減し、且つ、発錆も抑制
した、より一層信頼性に優れた磁気特性の良好な偏向ヨ
−クコアを提供する。 【解決手段】 陰極線管のネック管3とファンネル部2
との間に装着され、電子銃6より発射された電子ビ−ム
7を偏向する偏向ヨ−ク4に用いる偏向ヨ−クコア8に
おいて、酸化物を還元することによって得られる還元鉄
粉粒子を扁平加工して、平均的な粒子径と厚みの比が5
以上、フェライト粒平均径が2μm以上で20μm以下
の強磁性鉄粉を主体とする強磁性体と結合剤としての高
分子樹脂とを主成分とする磁性粉体を加圧成形し、加熱
硬化して形成する。これにより、鉄損による発熱を低減
し、且つ、発錆も抑制した、より一層信頼性に優れた磁
気特性の良好な偏向ヨ−クコアとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、陰極線管(CR
T)に用いられる偏向ヨ−クコア及び偏向ヨ−クに係
り、特に、フエライト焼結体の代替となりうる高飽和磁
束密度、高透磁率及びコア損失の少ない、優れた磁気特
性と寸法精度やコ−ン形状の角形等の複雑形状の要求さ
れる偏向ヨ−クコア及び偏向ヨ−クに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、パソコン、コンピュ−タネット
ワ−クなどの端末表示装置や高精細な画像を必要とする
表示装置などに使われる陰極線管表示装置においては、
低消費電力で幾何学的歪や色ズレの少ない高精度の表示
性能が要求される。そのため、この表示装置に用いられ
て、電子ビ−ムを水平・垂直方向に偏向するための磁界
を発生させる偏向ヨ−クにも、偏向能率が良く、且つ、
高精度な磁界を発生して要求特性を適えるようなものが
要求されている。ここで、一般的な偏向ヨークについて
説明する。図3は、CRTに偏向ヨ−クを装着した状態
を示す斜視図である。図3に示すように、CRTは、外
囲管として、パネル1、ファンネル2、ネック管3より
構成されている。
【0003】また、一般に、この偏向ヨ−ク4は、水平
偏向コイル(ここでは図示せず)、プラスチック材料よ
りなるセパレ−タ(ここでは図示せず)、垂直偏向コイ
ル(ここでは図示せず)、偏向ヨ−クコア(以下、単に
コアと略記することがある)5等より構成されている。
このコア5は、上記水平及び垂直偏向コイルの外部を覆
うように装着されている。この偏向ヨ−ク4は、ネック
管3の端部からファンネル2とネック管3の間の部位ま
で挿通され、その部位を上から包むように装着される。
そして、偏向ヨ−ク4は、ネック管3内に設けられた電
子銃6より発射される電子ビ−ム7を偏向させる。
【0004】ファンネル2の特にネック管3の近傍は、
CRTの生産性を考慮してコ−ン状(円錐状)をなして
いる。ファンネル2におけるネック管3近傍の断面は円
形であり、各断面の円の中心はCRTの管軸にあたる。
一般に、ファンネル2とネック管3の間のネック部位に
装着される偏向ヨ−ク4の偏向ヨークコア5も、ネック
管3近傍のファンネル2のコ−ン形状に対応してコ−ン
形状の丸形である。このコア5の材料としては、偏向ヨ
−クに使用される周波数の関係からMg−Zn系,Ni
−Zn系等のフェライト磁性材が多用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
フェライト磁性材を用いた従来の偏向ヨ−クコア5は、
フェライト磁性材粉にバインダ(結合剤)を適量混合し
た成型用粉体を所定寸法の金型に挿入して加圧成形し、
所定寸法のコ−ン形状の丸形をしたフェライト磁性粉の
成形体を造り、この成形体を最高温度1000〜130
0℃程度の焼成炉を用いて所定時間かけて焼結させるこ
とにより形成されている。しかしながら、この種のフェ
ライトコアは、焼結時に15〜20%程度焼結収縮し、
成形密度のバラツキや形状により収縮の値が部分部分で
異なり、焼結後のコア寸法のバラツキが大きく、均一な
寸法のものを得ることが困難である。そのため、複雑な
形状のものを造るのが難しく、偏向ヨ−クコアもコ−ン
形状の丸形コアが主流であり、焼結後に研削や切削加工
を行なって寸法精度を確保しているのが現状であり、コ
−ン形状の楕円形や角形コアの量産は非常に難しく、高
価なものになり省電力化を進める上で大きなネックにな
っている。
【0006】以上のような、焼結収縮による寸法精度の
問題や形状の制約を解決する方法として、パ−マロイ合
金粉末またはセンダスト合金粉末を合成樹脂に配合した
高分子複合材料を素材とする磁心材を、射出成形法で製
作したコアを用いた偏向ヨ−クが、特開平8−1808
15号公報に開示されている。しかしながら、パ−マロ
イ合金やセンダスト合金は、固有抵抗値が小さく、これ
らを粉末にして合成樹脂に配合した高分子複合材料を素
材とする磁心材にしてもその性質は変わらない。そこ
で、透磁率を大きくするために、磁性合金粉末の充填密
度を高くするため合成樹脂量を減らすと、合成樹脂のパ
−マロイ合金粉末やセンダスト合金粉末表面への被覆む
らによって粉末同志の接触面積が増大し、粉末間の絶縁
性が低下する。その結果、渦電流損失が増し、水平走査
周波数の高い高精細表示の偏向ヨ−ク用途では、Mg−
Zn系やNi−Zn系フェライトコアよりも発熱が大き
くなってしまう。
【0007】また、粉末間の絶縁性を増すために合成樹
脂量を増やすとパ−マロイ合金粉末やセンダスト合金粉
末の充填密度が低下し、透磁率、磁束密度等の磁気特性
が低下する。この磁気特性の悪化を補うために大きな断
面積のコアにする必要がある。更に、前記磁性合金粉末
の充填密度を高くするため合成樹脂量を減らすと、上述
した渦電流損失以外にも、合金粉末と合成樹脂とを混合
した高分子複合材料の流動性が悪くなり、射出成形金型
への充填性が劣化し、充填率を高めることには製法上の
限界がある。このため、フェライトコアを用いたときと
同じ磁気特性を得るためには、同じ磁気特性が得られる
までコアの体積を大きくすればよいが、前記磁性合金粉
末の充填密度を高くできないため、コア内の磁性合金粉
末の密度が均一になり難い。
【0008】その結果、コア内各部分での透磁率の値が
異なり、コア毎に発生する磁界が微妙に変化し、バラツ
キが少なく高精度に電子ビ−ムを偏向することができな
いと云う致命的な欠陥を有している。このように、パ−
マロイ合金粉末またはセンダスト合金粉末を合成樹脂に
配合した高分子複合材料を素材とする磁心材を、射出成
形法で製作したコアを用いた偏向ヨ−クは現実的でな
い。また、特開昭61−124038号公報には、鉄粉
または鉄基合金磁性粉と有機金属カップリング剤と樹脂
からなる偏向ヨ−クが開示されているが、鉄基合金磁性
粉は硬いため、加圧成形の際、加圧力1000MPa程
度までの圧力では磁性粉の圧縮性が悪いため、磁性粉の
充填密度が低く、また、これ以上加圧力をあげると金型
の寿命が極端に短くなり、必要な透磁率が得られない問
題があった。また、鉄粉を用いた場合については、加圧
成形の際、磁性粉の圧縮性はよいが、加圧力を大きくす
ると粉体同志の接触面積が増大し、この結果、粒子間の
絶縁性が低下して、鉄損が増加する傾向にあるため、ほ
とんど実用には供されていない。
【0009】そこで、上記問題点を解決するために、本
出願人は、先に、特開平10−41119号公報(特願
平8−213016号)にて、特定構造のアミンキノン
基を含む化合物を磁性粉体に対して所定の含有率で添加
することにより、所定の磁化を維持しつつ(磁性体の充
填密度を下げることなく)、十分に大きな電気抵抗値を
得ることができ、よって、渦電流損が小さく、磁気特性
が優れたボンド磁性体を提案し、この磁性体を用いた偏
向ヨ−ク及び偏向ヨ−クコアを、特願平9−04964
3号にて提案したが、鉄損による発熱や発錆がある程度
以上発生することは避けられなかった。
【0010】本発明は、以上のような問題点に着目し、
これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明
の目的は、酸化物を還元することによって海綿状の形態
を有する還元鉄粉を扁平形状に加工し、加工後に焼鈍す
ることによって製造される扁平状の還元鉄粉と結合剤と
しての樹脂とを主成分とする圧粉磁芯を偏向ヨ−クコア
に用いることにより、鉄損による発熱を低減し、且つ、
発錆も抑制した、より一層信頼性に優れた磁気特性の良
好な偏向ヨ−クコア及び偏向ヨ−クを提供することにあ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、酸化物を
還元することによって海綿状の形態を有する還元鉄粉を
扁平形状に加工し、加工後これを焼鈍することによって
製造される扁平状の還元鉄粉の性状と磁気特性との関係
を詳細な実験によって調べ、この扁平状の還元鉄粉を偏
向ヨ−クコアに用いることにより、フェライトコアで
は、実現が困難で、しかも安価で特性の良好な偏向ヨ−
クを発明するに至った。請求項1に規定する発明は、陰
極線管のネック管とファンネル部との間に装着され、電
子銃より発射された電子ビ−ムを偏向する偏向ヨ−クに
用いる偏向ヨ−クコアにおいて、酸化物を還元して得た
還元鉄粉であって、平均アスペクト比が5〜400で、
平均フェライト粒径が2〜20μmの扁平鉄粉を含有す
る強磁性材料を、結合剤と混合後、圧縮成形し、加熱硬
化して形成するようにしたものである。
【0012】請求項2に規定する発明は、陰極線管のネ
ック管とファンネル部との間に装着され、電子銃より発
射された電子ビ−ムを偏向する偏向ヨ−クに用いる偏向
ヨ−クコアにおいて、酸化物を還元して得た還元鉄粉で
あって、平均アスペクト比が5〜400で、平均フェラ
イト粒径が2〜20μmの扁平鉄粉を含有する強磁性材
料を、アミンキノン基を構成単位とする化合物を含んだ
高分子樹脂で被覆し、結合剤と混合後、圧縮成形し、加
熱硬化して形成するようにしたものである。請求項3に
規定する発明は、陰極線管のネック管とファンネル部と
の間に装着され、電子銃より発射された電子ビ−ムを偏
向する偏向ヨ−クに用いる偏向ヨ−クコアにおいて、酸
化物を還元して得た還元鉄粉であって、平均アスペクト
比が5〜400で、平均フェライト粒径が2〜20μm
の扁平鉄粉を含有する強磁性材料を、アミンキノン基を
構成単位とする化合物を含んだ高分子樹脂、または、ア
ミンキノン基を構成単位とする化合物を含んだ高分子樹
脂を混合した高分子樹脂を結合剤として混合後、圧縮成
形し、加熱硬化して形成するようにしたものである。
【0013】請求項4に規定する発明は、陰極線管のネ
ック管とファンネル部との間に装着され、電子銃より発
射された電子ビ−ムを偏向する偏向ヨ−クにおいて、前
記電子ビ−ムを水平方向に偏向するための水平偏向コイ
ルと、前記電子ビ−ムを垂直方向に偏向するための垂直
偏向コイルと、上述したいずれかの偏向ヨークコアとを
備えて構成したものである。これにより、偏向ヨークコ
ア或いは偏向ヨークの透磁率と鉄損が改善され、特性を
大幅に向上させることが可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に、本発明に係る偏向ヨーク
コア及び偏向ヨークの一実施例を添付図面に基づいて詳
述する。図1は本発明に係る偏向ヨークコアの断面図を
示し、図2は比較例に用いた偏向ヨークコアの断面図を
示している。これらの偏向ヨークコア8、9はその構成
材料が異なる点を除き、基本的にはその形状及び寸法等
は図3に示した偏向ヨークコア5と同じであり、例えば
共に丸形円錐形状をしている。
【0015】本発明の偏向ヨークコア8に用いられる扁
平鉄粉は、酸化物を還元して得た還元鉄粉が材料であ
る。純鉄粉は、その製法によって、アトマイズ鉄粉と還
元鉄粉に大別される。還元鉄粉は、細長いアームが絡み
合って形成された海綿状であるため、平均アスペクト比
が同じであっても、アーム同志が積層し、アトマイズ鉄
粉に比較して実質的なアスペクト比が大きく、そのため
反磁場低減効果が大きく、磁性材料として有用である
【0016】本発明では、扁平鉄粉の平均アスペクト比
は5〜400である。ここで平均アスペクト比は、篩分
級による平均粒径に対する粒子の平均厚みの比を云う。
好ましい平均アスペクト比は10以上である。扁平鉄粉
と一定量の結合剤を混合し、一定圧力で成形した場合、
平均アスペクト比が5未満であると、反磁場低減効果が
小さい。ここで、直流透磁率は、具体的には、室温、1
KHz〜1MHzの条件で初透磁率の周波数依存性を測
定し、周波数を0Hzに外挿した場合の透磁率と定義
し、透磁率が直流透磁率の80%になる周波数を臨界周
波数と定義する。
【0017】一般に、扁平鉄粉は、成形時に粒子間の接
触面積が増大し、混合する結合剤の種類や量を選択して
も、粒子間の絶縁性が低下して粒子間に流れる渦電流が
増大する結果、鉄損が増大する。粒径の大きい扁平鉄粉
ほど、この傾向が顕著で、篩分級による粒径は2mm以
下が好ましい。特に好ましい粒径は5〜500μmであ
る。また、平均粒径は50〜180μmであるのが好ま
しく、75〜120μmであるのが特に好ましい。ま
た、粒度分布の異なる上記範囲内の扁平粉を適当な割合
で混合して使用することも可能である。
【0018】本発明で用いる扁平鉄粉は純鉄であり、α
−Fe相(フェライト相)単相からなり、フェライト相
平均粒径(以下、平均フェライト粒径と称する)は2〜
20μmである。フェライト相の結晶粒界は不純物が濃
化し、しばしば介在物として析出する。これが、磁壁の
ピン止めの場となり、透磁率を低下させ、さらには、ヒ
ステリシス損失を増大させる原因になる。そのため、磁
性材料として用いる鉄粉のフェライト相の結晶粒径は大
きい方が好ましい。フェライト相の平均粒径が2μm未
満であると、鉄粉粒子内の結晶粒界の数が多くなって、
著しく透磁率が低下し、ヒステリシス損失が増大する傾
向がある。還元鉄粉は、細長いアームが絡み合った海綿
状であるため、実質的には、結晶粒径はアーム径が上限
となり、その値はおよそ20μmである。好ましい平均
フェライト粒径は5〜10μmである。平均フェライト
粒径は、光学顕微鏡写真の画像解析によって求めた。
【0019】本発明で用いる扁平鉄粉は、還元鉄粉を金
属セッケン、ワックス等の助剤と混合して、振動ボール
ミル、振動ロッドミル、ディスクミル、回転ボールミル
等により扁平状に加工して製造される。本発明に用いる
還元鉄粉は、常法による酸化鉄の還元により得られる。
酸化鉄はミルスケールおよび/または鉄鉱石粉末が使用
される。本発明で用いる扁平鉄粉は樹脂を結合剤とした
圧粉磁性体材料に適している。圧粉磁性体は扁平鉄粉を
結合剤である熱硬化性樹脂と混合したのち、圧縮成形
し、さらに樹脂を熱硬化することにより得られる。圧縮
成形は一般的な粉末冶金的手法により実施される。結合
剤に使用される樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノー
ル樹脂、ポリアミド樹脂等が例示されるが、エポキシ樹
脂が好適で、各種エポキシ樹脂が使用される。結合用樹
脂の配合量は、扁平鉄粉100重量%に対し0.1〜1
0重量%が好ましく、0.5〜5重量%が特に好まし
い。
【0020】さらに、本発明で用いる扁平鉄粉を圧縮成
形する場合、必要に応じて、扁平鉄粉を予めアミンキノ
ン基を構成単位として有する化合物を含んだ樹脂で被覆
するのが好ましい。本発明においては、扁平鉄粉の粒子
内部の海綿状構造の空隙等に前記樹脂が含有されている
場合も、便宜上被覆という。本出願人は、先に、特願平
8−213016号にて、下記の化1および化2で示さ
れるアミンキノン基の内、少なくとも一つを構成単位と
して含有する化合物を磁性体に対して所定の含有率で添
加することにより、所定の磁化を維持しつつ(磁性体の
充填密度を下げることなく)、十分に大きな磁性粉体間
の絶縁性が得られることを提案している。本発明者ら
は、本発明の扁平鉄粉に、アミンキノン基を構成単位と
して有する化合物を含んだ樹脂を被覆することにより、
一層顕著な改善効果を見出した。
【0021】
【化1】
【0022】
【化2】
【0023】なお、化1中、Yは、水素原子、直鎖状、
環状もしくは分枝鎖を有するC1〜C6 アルキル基、ア
ラルキル基またはフェニル基であり、Z1はC2〜C16
ルキレン基またはフェニレン基、アラルキル基、アルカ
リレン基または−(CH2CH2−O)n−CH2−CH2
−(nは0〜50の整数)である。また、化2中、Z2
は直鎖状もしくは分枝鎖を有するC1〜C6アルキレン基
である。上記化1および化2で示されるアミンキノン基
は、その一方のみを含んでいても、あるいは両方を含ん
でいてもよく、その化合物中、アミンキノン基の含有率
は、モノマとして合計3重量%以上であることが好まし
く、さらに好ましくは、5重量%以上である。このアミ
ンキノン基モノマの含有率は多いほど効果的であるが、
多すぎるとポリマ化が困難になる。このため、含有率の
上限は50重量%程度である。したがって、より好まし
いアミンキノン基モノマの含有率は、3〜40重量%で
ある。
【0024】具体的には、上記化1および化2で示され
るアミンキノン基の両端末に水酸基を導入して得られた
ジオールモノマを他の各種ジオール類と共に、ジイソシ
アネート類と反応させてポリウレタンポリマにする。そ
して、このポリウレタンポリマをアノン(シクロヘキサ
ノン)等の溶剤に溶解させることにより、扁平鉄粉を被
覆するアミンキノン基含有ポリウレタンポリマが得られ
る。さらに具体的には、アミンキノン(AQ)モノマと
して、下記の化3で示されるジオールモノマ(AQ−0
1)、および、下記の化4で示されるジオールモノマ
(AQ−02)の内、少なくとも一つを構成単位として
構成する化合物を使用する。
【0025】
【化3】
【0026】
【化4】
【0027】この化合物に各種ジオール類(分子量50
0〜5000)およびジイソシアネート類を反応させ
て、分子量5000〜50000のポリウレタンポリマ
を合成する。そして、扁平鉄粉100重量に対するポリ
ウレタン重量%が所定重量%含有するように溶剤濃度を
調整し、扁平鉄粉を被覆するアミンキノン基含有ポリウ
レタン樹脂を作成する。本願実施例17においては、ジ
オールモノマの含有率を27重量%、ジオール類として
ポリカプロラクトン(PCL)を用い、メチレンジイソ
シアネート(MDI)をOH/NCO=1(モル比)に
なる割合の量添加し、分子量約10000程度のアミン
キノン基含有ポリウレタン樹脂を用いた。
【0028】扁平鉄粉を、予め上記のアミンキノン基含
有ポリウレタン樹脂で被覆した絶縁皮膜は、圧粉磁性体
材料中における鉄粉粒子間の絶縁性を増大させ、磁性体
の鉄損を低減させる効果が著しい。また、鉄粉粒子の耐
食性を向上させる付随的効果もある。これは、アミンキ
ノン含有ポリウレタン樹脂のキノン基中の酸素と、酸化
により生じた鉄粉表面との間に水素結合が形成され、被
膜が鉄粉に吸着し密着性が良好になるためと推測され
る。鉄粉に対するアミンキノン基含有ポリウレタン樹脂
の混合量は、0.01重量%から0. 30重量%の比率
で使用されるのが好ましく、0.05重量%から0.20
重量%の比率で使用されるのが特に好ましい。0.01
重量%未満であると、絶縁効果がなく、0. 30重量%
を越えると、前記樹脂被覆工程において、有機溶媒を除
去乾燥する過程で、前記樹脂が鉄粉粒子間に液架橋を形
成し、更には、鉄粉粒子の2次凝集体を形成させる。鉄
粉粒子の2次凝集が形成されると、後続の結合剤との均
一な混合ができず、不都合である。
【0029】そして、結合剤としてエポキシ樹脂を用
い、圧縮成形された圧粉磁性体を熱硬化させることによ
り、扁平鉄粉に被覆されたアミンキノン基含有ポリウレ
タン樹脂中のウレタン分子の末端基と、結合剤として用
いたエポキシ樹脂のエポキシ基が縮合し、架橋結合を形
成する。これにより、エポキシ樹脂と鉄粉が密接に結合
したことになり、圧粉磁性体の機械的強度が増大する。
また、必要に応じて、エポキシ樹脂等の結合剤用樹脂に
アミンキノン基含有ポリウレタン樹脂を予め混合した結
合剤とアミンキノン基含有ポリウレタン樹脂で被覆して
いない扁平鉄粉を混合し、圧縮成形してもよい。この場
合も、前記と同様に、アミンキノン基含有ポリウレタン
樹脂のキノン基中の酸素と、酸化により生じた鉄粉表面
との間に水素結合が形成され、また、アミンキノン基含
有ポリウレタン樹脂中のウレタン分子の末端基と、結合
剤として用いたエポキシ樹脂のエポキシ基が縮合し、架
橋結合を形成する。そして、鉄粉と結合剤との密着性が
良好になり、鉄粉とアミンキノン基含有ポリウレタン樹
脂とエポキシ樹脂の結合力が向上し、圧粉磁性体の機械
的強度が増大する。
【0030】エポキシ樹脂に対するアミンキノン基含有
ポリウレタン樹脂の混合量は、1重量%以上で多いほど
好ましいが、1重量%未満では、機械的強度の改善効果
がなく、組み合わせる結合剤の種類によっては、適量以
上添加すると逆に機械的強度が低下する場合があり、上
限は、組み合わせる結合剤となる樹脂により異なり、そ
れぞれの樹脂により適宜選べばよい。また、アミンキノ
ン基含有ポリウレタン樹脂のみを結合剤として使うこと
もできる。
【0031】次に、上述した圧粉磁芯を偏向ヨ−クコア
として用いた場合の効果について述べる。先に詳述した
ように、本発明の扁平状還元鉄粉を用いることにより、
透磁率と鉄損が改善でき、これによる偏向に必要な電力
の改善ができる。また、予めアミンキノン基含有ポリウ
レタン樹脂で被覆した鉄粉とエポキシ樹脂を混合した
り、或いは予め結合剤としてエポキシ樹脂にアミンキノ
ン基含有ポリウレタン樹脂を混合して、鉄粉とこれを混
合した後、加圧成形と硬化処理を行うとにより、磁芯の
機械的強度が改善されるので、コアの薄肉化が可能にな
る。
【0032】更に、鉄粉に対する結合剤の割合を1重量
%程度に少なくできるので、硬化処理による寸法変化が
小さく、コア厚さに凹凸があったり、角形コ−ン形状等
の内部応力が集中しやすい複雑な形状でも、硬化処理中
に、コアにクラックが入ったり、要求寸法精度外になっ
たりする心配がない。その上、フェライトコアのように
1000℃から1300℃程度の高温で長時間の焼結工
程が不要でかつ、形状寸法確保のための後加工も必要が
なく、歩留まりも良くできるので、製造コストが安く、
原材料費と製造コストを合わせた製造原価が安くなる。
このため、フェライトコアを用いた偏向ヨ−クでは、実
現が困難であった偏向ヨ−クの特性や偏向電力低減のた
めに必要な理想的な形状をしたコアを用いた偏向ヨ−ク
を製造原価を向上させることなく実現させることが可能
になる。
【0033】ここで、本発明に係る偏向ヨークコア及び
偏向ヨークを形成し、比較例と共にその評価を行なった
ので、その評価結果について説明する。 [実施例] <実施例1〜4><比較例1〜4>表1中の鉄粉Aに示
す見掛密度、平均粒径と微量な化学成分を有するミルス
ケール還元鉄粉を振動ボールミルによって乾式粉砕し、
表2に示す平均アスペクト比、粒径、平均フェライト粒
径を有する扁平状の鉄粉を得た。扁平鉄粉を環状炉にい
れ、露点60℃の水素ガス中800℃で1時間保持して
焼鈍を行い、焼結ケーキを得た。これを解砕し、篩で分
級した。篩下の扁平鉄粉を、エポキシ樹脂1重量%と混
合し、686MPaの成形圧力で外形38mm、内径2
5mm、厚さ6.5mmの環を成形し、大気中180℃
で30分間硬化し、試験片として実施例1〜4を得た。
試験片に巻線を施し、インピーダンスアナライザーによ
って、初透磁率の周波数依存性を測定し、直流透磁率お
よび臨界周波数を求めた。その結果を表2に示した。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】また、表1中の鉄粉Bに示す見掛密度、平
均粒径と微量成分を有するアトマイズ鉄粉を振動ボール
ミルによって乾式粉砕し、表2に示す平均アスペクト
比、粒径、平均フェライト粒径を有する扁平状の鉄粉を
得た。この扁平鉄粉を実施例1と同様に焼鈍し、焼結ケ
ーキを得、解砕し、篩で分級した。篩下の扁平鉄粉を、
実施例1と同様に形成し、硬化し、試験片として比較例
1〜4を得た。実施例1と同様に巻線し、初透磁率の周
波数依存性を測定し、直流透磁率および臨界周波数を求
めた。結果を表2に示した。実施例1と比較例1との対
比から、扁平性(平均アスペクト比)が大きいほど直流
透磁率が高く、有効磁場低減効果があることが分かる。
実施例3と比較例3および実施例4と比較例4との対比
から、平均アスペクト比が5〜400で同じであって
も、還元鉄粉A由来の扁平鉄粉を成形した圧粉コアの磁
気特性の方が、アトマイズ鉄粉B由来の扁平鉄粉を成形
した圧粉コアの磁気特性より優れていることが分かる。
【0037】<実施例5〜8><比較例5、6>表1中
の鉄粉Aに示す見掛密度、平均粒径と微量成分を有する
ミルスケール還元鉄粉を振動ボールミルによって乾式粉
砕し、表3に示す平均アスペクト比、粒径、平均フェラ
イト粒径を有する扁平状の鉄粉を得た。これを、焼鈍温
度700〜850℃に変える以外は実施例1と同様に焼
鈍し、焼結ケーキを得、解砕し、目開き180μmの篩
で分級した。篩下の扁平鉄粉を、実施例1と同様に成形
し、硬化し、試験片として実施例5〜8及び比較例5、
6を得た。実施例1と同様に巻線し、初透磁率の周波数
依存性を測定し、直流透磁率および臨界周波数を求め
た。その結果を表3に示した。さらに、試験片を直径方
向に切断し、樹脂に埋め込んで、切断面を機械研磨し、
切断面の光学顕微鏡写真から、フェライト相結晶粒の平
均粒径(d50)を画像解析によって求めた。結果を表
3に示した。因みにd50とは、それ以下の粒径の粒子
数と、それを超える粒径の粒子数とが丁度50%ずつ
で、数が等しくなる粒径のことをさす。
【0038】
【表3】
【0039】実施例5、6と比較例5の対比から、扁平
性(平均アスペクト比)が大きいほど直流透磁率が高
く、有効磁場低減効果があることが分かる。実施例7、
8と比較例6の対比から、平均アスペクト比が同じで
も、フェライト相結晶粒の平均粒径が大きいものが直流
透磁率および臨界周波数が高く、結晶粒界による磁壁の
ピンニングが低減されたことが分かる。 <実施例追加1>表1中Aに示す特性を持つミルスケー
ル還元鉄粉を振動ボールミルによって乾式粉砕し、粉砕
時間を変えて、平均アスペクト比を変化させた。更に環
状炉を用い、露点60℃の水素ガス中800℃で1時間
保持して焼鈍を行ない、得られた焼結ケーキを解砕し、
目開き180μmの篩で分級し、篩下の鉄粉をエポキシ
樹脂1mass%と混合して686MPaの成形圧力で
外径38mm、内径25mm、厚さ6.5mmのリング
片に成形し、大気中180℃で30分の樹脂硬化処理を
行ない、試験片を得た。磁気特性は、リング試験片に巻
線を施し、BHアナライザーによって最大磁束密度0.
05T、100KHzでの実効透磁率を求めた。この結
果は図4に示した。図4に示すように、粒径の上限が同
一で、平均アスペクト比が高くなると、透磁率が増加
し、特に、平均アスペクト比が5以上での増加が著しい
ことが判明した。
【0040】<実施例9〜12>実施例1の目開き50
0μmの篩で分級した篩下の扁平鉄粉(平均アスペクト
比60)に、10重量%のアミンキノン基含有ポリウレ
タン樹脂を含むアノン溶液を所定量滴下し、これを高速
ミキサーで混合した後、アノンを除去乾燥して、表4に
示す量のアミンキノン基含有ポリウレタン樹脂で被覆さ
れた扁平鉄粉を得た。この被覆扁平鉄粉100重量%に
実施例1と同様にエポキシ樹脂1重量%を混合し、68
6MPaの成形圧力で外形38mm、内径25mm、厚
さ6.5mmの環と幅10mm、長さ50mm、厚さ5
mmの直方体を成形し、大気中140℃で30分間硬化
し、試験片として実施例9〜12を得た。試験片に巻線
し,BHアナライザーによって最大磁束密度0.05
T、100KHzでの透磁率と最大磁束密度0.01
T、100KHzでの鉄損を測定した。また、直方体の
長手方向に沿って4端子法によって直流比抵抗を測定し
た後、70℃相対湿度95%の恒温恒湿槽中に48時間
放置し、直方体表面での発錆面積率を測定した。結果を
表4に示した。
【0041】
【表4】
【0042】実施例9〜11と実施例12の対比から、
同等の平均アスペクト比であれば、アミンキノン基含有
ポリウレタン樹脂による被覆が、鉄損を下げ、かつ直流
比抵抗を上げ、磁芯中の粒子間の絶縁性を改善する効果
があり、さらに、発錆面積率も低く、鉄粉の防錆効果も
あることが分かる。
【0043】<実施例13〜16>実施例1の目開き5
00μmの篩で分級した篩下の扁平鉄粉(平均アスペク
ト比10)100重量%を、表5に示す量のアミンキノ
ン基含有ポリウレタン樹脂を含有するエポキシ樹脂を1
重量%混合して、686MPaの成形圧力で外形38m
m、内径25mm、厚さ6.5mmの環と幅10mm、
長さ50mm、厚さ5mmの直方体に成形し、大気中1
40℃で30分間硬化し、試験片として実施例13〜1
6を得た。磁気特性は、実施例9と同様に測定した。そ
の後巻線を解き,ASTM Standard B43
9−98に定められた方法で圧環強さを測定した。結果
を表5に示した。
【0044】
【表5】
【0045】実施例13〜15と実施例16の対比か
ら、同等の平均アスペクト比であれば、結合剤にアミン
キノン基含有ポリウレタン樹脂を混合すると、鉄損を下
げ、かつ直流比抵抗を上げ、磁芯中の粒子間の絶縁性を
改善する効果があり、さらに、発錆面積率も低く、圧環
強さも増大することが分かる。
【0046】<実施例16−1〜16−5><比較例6
−1、6−2>表1中Aに示す特性を持つミルスケール
還元鉄粉を振動ボールミルによって乾式粉砕し、平均ア
スペクト比20以上に乾式粉砕した。更に環状炉を用
い、露点60℃の水素ガス中800℃で1時間保持して
焼鈍を行ない、得られた焼結ケーキを解砕し、目開き1
06、180、500μm、1mm、2mmの篩で分級
し、篩下の鉄粉をエポキシ樹脂1mass%と混合して
686MPaの成形圧力で外径38mm、内径25m
m、厚さ6.5mmのリング片に成形し、大気中180
℃で30分の樹脂硬化処理を行ない、試験片を得た。磁
気特性は、リング試験片に巻線を施し、インピーダンス
アナライザーによって、初透磁率の周波数依存性を測定
し、直流透磁率及び磁界周波数を求め、結果は表6に示
した。尚、比較のために、焼鈍後の焼結ケーキを解砕
し、目開き2.5mm、3.0mmの篩で分級し、同様
に作成した試験片の直流透磁率及び臨界周波数について
も調べ、表6に併記した。
【0047】
【表6】
【0048】表6中、実施例16−1〜16−5及び比
較例6−1、6−2の比較より、扁平加工条件が同一の
場合、粒径の上限が大きくなると、相対的に平均アスペ
クト比が高くなるので、直流透磁率が高くなるが、最大
粒径が2mmを超えると、絶縁性が低下して臨界周波数
が著しく低下していることが判明した。
【0049】<実施例17>実施例1の目開き500μ
mの篩下の扁平鉄粉(平均アスペクト比10)100容
量%に対し、アミンキノン基含有ポリウレタン樹脂を2
0重量%混合したエポキシ樹脂を1重量%混合して、2
94MPaの成形圧力で図1に示すようなコ−ン形状の
丸形コア8に成形し、大気中180℃で70分の樹脂硬
化処理を行い、実施例17で示す偏向ヨ−クコアを得
た。このコアを鞍型偏向コイルに取り付け、鞍型偏向ヨ
−クの試験試料を得た。
【0050】上記コア8の寸法は、上端の外径L1が6
2mm、内径L2が46mm、下端の外径L3が82m
m、内径L4が80mm、高さL5が50mm、下端の
厚みL6が5mm、下端の長さL7が6.8mm、下端
の傾斜角θ1が26.8°である。このコア8を用いた
鞍型偏向ヨ−クの試験試料をCRTに取り付け、水平偏
向周波数31.5KHzで、コア内の最大磁束密度が0.
1Tになる条件で動作させ、コアの表面に熱電対を貼り
付けてコア温度を測定した。その結果を、表7に示し
た。また、比較のために、表1中の鉄粉Aに示す特性を
持つミルスケ−ル還元鉄粉で同様に作成した比較例7で
示される偏向ヨ−クコアを取り付けた鞍型偏向ヨ−クの
試験試料についてもコア温度を測定し、その結果を、表
7に併記した。
【0051】更に比較のために、図2に示す寸法形状の
Mg−Zn系フェライトの比較例8で示される偏向ヨ−
クコアを取り付けた鞍型偏向ヨ−クの試験試料について
もコア温度を測定し、その結果を、表7に併記した。上
記図2に示すコア9の各寸法は、上端の外径M1が60
mm、内径M2が44mm、下端の外径M3が87m
m、内径M4が79mm、高さM5が48.5mm、下
端の厚みM6が8.5mm、下端の傾斜角θ2が25.
2°である。
【0052】
【表7】
【0053】表7中、実施例17と比較例7の比較よ
り、還元鉄粉よりも平均アスペクト比が10、且つ粒径
が500μm以下の扁平状還元鉄粉を用いた実施例17
の偏向ヨ−クコアの方が、実装状態でのコア表面温度上
昇が約38%低くなっており、鉄損の低減効果が実装状
態においても確認され、良好な特性を示していることが
判明した。また、実施例17と比較例8の比較より、平
均アスペクト比が10で且つ粒径が500μm以下の扁
平状還元鉄粉を用いた実施例17の偏向ヨ−クコアは、
Mg−Zn系フェライトの偏向ヨ−ク用汎用材質を用い
た比較例8の偏向ヨ−クコアと実装状態でのコア表面温
度上昇で同等レベルの値を示すまでに改善されており、
鉄損が実用可能な状態にまで改善されたことが確認さ
れ、良好な特性を示していることが判明した。
【0054】尚、コア形状の実施形態については、用い
る磁性粉の形状や材質が異なっても、圧粉磁芯を偏向ヨ
−クコアとして用いた場合の作用、効果は変わらないの
で、本出願人が、先に、特願平9−049643号にて
提案したものと作用、効果を同じくする形状は、全く同
様に適用できる。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の偏向ヨー
クコア及び偏向ヨークによれば、次のように優れた作用
効果を発揮することができる。酸化物を還元することに
よって得られる還元鉄粉粒子を加工して平均的な粒子径
と厚みの比が5〜400、フェライト粒平均粒径が2μ
m以上で20μm以下の鉄粉を用いることによって、透
磁率と鉄損を改善することができ、実装状態でのコア表
面温度上昇もフェライトコアと同程度になり、従来の圧
粉磁芯と比較して、大幅に特性を改善することができ
て、実用可能なレベルにすることができる。しかも、フ
ェライトコアにない次のような特徴を有している。
【0056】すなわち、結合材の鉄粉に対する混合割合
も1重量%程度と少なく、その硬化処理も、130〜2
00℃の比較的低い温度で1〜2時間程度硬化させるだ
けでよく、硬化途中での硬化収縮や変形も少なく、所定
寸法のコアを精度よく得ることができる。よって、所定
寸法を得るために、研削や切削等の後加工の必要がな
い。従って、加圧成形で製作が可能な形状であれば、部
分的な凹凸や大きな形状の変化があっても所定寸法の形
状を得ることができるので、従来のコ−ン形状の丸形偏
向ヨ−クに比べ偏向電力が20〜40%程度の低減が可
能なコ−ン形状の角形偏向ヨ−クの量産化も可能にな
る。また、焼結工程が不要なので、そのエネルギも削減
できる等の効果もある。
【0057】また、鉄粉の内部及び/或いは粒子表面に
アミンキノン基含有ポリウレタン樹脂皮膜を形成させた
鉄粉と結合剤を混合したり、アミンキノン基含有ポリウ
レタン樹脂を混合したエポキシ樹脂を結合剤として用い
ることにより、アミンキノン基含有ポリウレタン樹脂を
用いない磁芯に比較して透磁率は同等だが、鉄損が低
く、更に、発錆面積率も低く電子部品としての信頼性も
向上させることができる。更に、機械的強度も向上し、
薄型化や軽量化も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いた偏向ヨ−クコアの断面図であ
る。
【図2】比較例に用いた偏向ヨ−クコアの断面図であ
る。
【図3】陰極線管に偏向ヨ−クを装着した状態を示す斜
視図である。
【図4】平均アスペクト比と実効透磁率との関係を示す
グラフである。
【符号の説明】
1…パネル、2…ファンネル、3…ネック管、4…偏向
ヨーク、5…偏向ヨークコア、6…電子銃、7…電子ビ
ーム、8,9…偏向ヨークコア。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 孝夫 神奈川県横浜市神奈川区守屋町3丁目12番 地 日本ビクター株式会社内 (72)発明者 八代 勉 神奈川県横浜市神奈川区守屋町3丁目12番 地 日本ビクター株式会社内 (72)発明者 尾▲崎▼ 由紀子 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陰極線管のネック管とファンネル部との
    間に装着され、電子銃より発射された電子ビ−ムを偏向
    する偏向ヨ−クに用いる偏向ヨ−クコアにおいて、 酸化物を還元して得た還元鉄粉であって、平均アスペク
    ト比が5〜400で、平均フェライト粒径が2〜20μ
    mの扁平鉄粉を含有する強磁性材料を、結合剤と混合
    後、圧縮成形し、加熱硬化して形成したことを特徴とす
    る偏向ヨ−クコア。
  2. 【請求項2】 扁平鉄粉を含有する強磁性体材料が、ア
    ミンキノン基を構成単位とする化合物を含んだ高分子樹
    脂で被覆されていることを特徴とする請求項1に記載す
    る偏向ヨ−クコア。
  3. 【請求項3】 結合剤として、アミンキノン基を構成単
    位とする化合物を含んだ高分子樹脂、または、アミンキ
    ノン基を構成単位とする化合物を含んだ高分子樹脂を混
    合した高分子樹脂を用いたことを特徴とする請求項1に
    記載する偏向ヨ−クコア。
  4. 【請求項4】 陰極線管のネック管とファンネル部との
    間に装着され、電子銃より発射された電子ビ−ムを偏向
    する偏向ヨ−クにおいて、 前記電子ビ−ムを水平方向に偏向するための水平偏向コ
    イルと、 前記電子ビ−ムを垂直方向に偏向するための垂直偏向コ
    イルと、 請求項1乃至3のいずれかに規定する偏向ヨークコアと
    を備えて構成したことを特徴とする偏向ヨーク。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20030091137A (ko) * 2002-05-24 2003-12-03 엘지.필립스디스플레이(주) 음극선관의 편향요크
KR100410943B1 (ko) * 2000-12-09 2003-12-18 삼성전기주식회사 편향요크
EP1422739A2 (en) * 2002-11-19 2004-05-26 LG. Philips Displays Korea Co., Ltd. Deflection yoke for cathode ray tube

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EP1422739A2 (en) * 2002-11-19 2004-05-26 LG. Philips Displays Korea Co., Ltd. Deflection yoke for cathode ray tube
EP1422739A3 (en) * 2002-11-19 2009-02-25 LG. Philips Displays Korea Co., Ltd. Deflection yoke for cathode ray tube

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