JP2000173215A - 磁気ディスク装置 - Google Patents

磁気ディスク装置

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JP2000173215A
JP2000173215A JP10343844A JP34384498A JP2000173215A JP 2000173215 A JP2000173215 A JP 2000173215A JP 10343844 A JP10343844 A JP 10343844A JP 34384498 A JP34384498 A JP 34384498A JP 2000173215 A JP2000173215 A JP 2000173215A
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magnetic disk
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contamination
disk drive
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Hideaki Tanaka
秀明 田中
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Abstract

(57)【要約】 【課題】コンタミネーションによる損傷発生を防止した
高信頼性の磁気ディスク装置を得ること。 【解決手段】情報を記録するディスク2と、ディスク2
の各面に対応して設けられ、情報の記録及び再生を行な
う磁気ヘッドと、磁気ヘッドが搭載された第1のスライ
ダ11と、第1のスライダ11を支持するサスペンショ
ン1とを有し、このサスペンション1にコンタミネーシ
ョン防止手段として第2のスライダ12を設け、これを
磁気ディスクの回転方向に向って第1のスライダの前方
に位置するようにした磁気ディスク装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンピュータの記
憶装置等に用いられる磁気ディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気ディスク装置は、記録媒体となる磁
気ディスク(以下、単にディスクと称する)と記録、再
生用の磁気ヘッドとを主構成要素とし、さらに磁気ディ
スクの回転機構、磁気ヘッドの移動機構等より構成され
ている。通常磁気ヘッドはスライダ上に搭載され、スラ
イダはサスペンションによって支持されている。
【0003】現在の磁気ディスク装置では、ディスクを
回転させたときの空気流によってスライダを微小間隔で
ディスク上に浮上させ、この状態で記録、再生を行なう
のが一般的である。磁気ディスク装置の記録密度を向上
させるためには、スライダとディスクとの間隔(一般に
浮上量と称される)は小さいほどよく、現在市場に出回
っている磁気ディスク装置では、50nm以下の極めて
小さな浮上量としたものが主流である。このような浮上
量の狭小化によって、磁気ディスク装置の摺動信頼性確
保は一層重要な課題となってきている。
【0004】磁気ディスク装置の摺動信頼性を損なう要
因としては、大きく別けて二つの要因がある。一つ目の
要因はディスクとスライダとの直接接触による損傷の発
生である。従来の磁気ディスク装置では装置の停止時に
はスライダとディスクが接触状態にあり、動作状態でデ
ィスクが回転したときにスライダが浮上するCSS(コ
ンタクトスタートストップ)方式が主流である。このC
SS方式では装置の起動停止時にはスライダとディスク
が直接接触するため、その際の損傷発生がその典型的例
である。
【0005】一方、二つ目の要因は、磁気ディスク装置
内のコンタミネーションによる損傷の発生である。その
典型的な例は塵埃による損傷発生である。塵埃は磁気デ
ィスク装置組立時に部品に付着して混入したり、動作中
に装置内の稼動部から発生する場合がある。装置内を浮
遊した塵埃がディスク表面に付着すると、その部分をス
ライダが通過する際にスライダやディスクに損傷を引き
起こす。このような塵埃による損傷を防止する技術とし
て以下の発明が提案されている。
【0006】特開昭56−29874号公報にはディス
ク表面のクリーニング用のスライダを設けることが開示
されている。また特開昭63−70982号公報にはデ
ィスク表面のクリーニング用のスライダを設け、その浮
上量制御手段を設けることが開示されている。これらに
よれば、クリーニング用のスライダをディスク面で走査
して、ディスク表面に付着した塵埃を排除することによ
り損傷発生を防止するとされている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は、クリ
ーニング用スライダによりディスク面に付着した塵埃の
排除のみを目的としている。しかしながら近年の浮上量
の狭小化に伴って、摺動損傷の防止に対してディスク面
に付着した塵埃排除だけでは不十分となってきている。
以下にその実例を述べ、従来技術の問題について説明す
る。
【0008】従来の浮上量が大きいスライダの場合に
は、損傷を与える塵埃の大きさも比較的大きく、磁気デ
ィスク装置内に浮遊した場合でも比較的沈降しやすく、
結果としてディスク面に付着した塵埃が損傷発生の主要
因となっていた。しかしながら、例えば、50nm以下
といった非常に小さい浮上量でスライダが浮上している
場合、サブミクロン以下の非常に小さい塵埃も十分に損
傷要因となり得る。このような小さい塵埃は浮遊した場
合沈降しにくく、長時間浮遊する傾向にある。このた
め、スライダとディスク間に浮遊塵埃が直接侵入するこ
とによる損傷発生の危険性が増加する。上記の従来技術
では、ディスク面に付着した塵埃の除去のみを目的とす
るため、このように直接隙間に侵入する塵埃に対しては
効果が得られない。
【0009】さらには、塵埃以外のコンタミネーション
による損傷発生もクローズアップされている。例えば、
グリース等の液体物質や、部品等から放出される気体物
質が損傷の要因として問題となってきている。液体物質
は、例えば、ミスト状となって装置内を浮遊し、これが
スライダとディスクの間に侵入することにより両者の接
触を誘発したり、スライダ上に付着してスライダの浮上
量を低下させることにより損傷発生の要因となる。また
気体物質もスライダとディスク間の圧力勾配によって液
体や固体に変化して同様に損傷発生要因となりうる。ま
た化学変化によって固体となり得る気体物質がミスト状
になった液体物質中に溶け込んで、これがスライダ・デ
ィスク間に侵入して接触を誘発した際に、摩擦熱によっ
て溶け込んだ気体物質が化学変化を起こして固着し、こ
の固体物質が損傷を引き起こすといった複雑なメカニズ
ムも考えられる。さらにこのようなコンタミネーション
がスライダに付着した場合の浮上量変化により、仮に損
傷には到らなくてもデータエラーを生ずる危険性もあ
る。これらは浮上量が小さくなったことにより顕在化し
てきた現象である。上記従来技術では、ディスク面に付
着した塵埃の除去のみを目的としているため、これらの
現象による損傷及びデータエラーを防止する効果は得ら
れないという問題があった。
【0010】本発明の目的は、コンタミネーションに起
因した損傷やデータエラー発生を防止し、信頼性に優れ
た磁気ディスク装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の磁気ディスク装置は、情報を記録する磁気
ディスクと、磁気ディスクの各面に対応して設けられ、
情報の記録及び再生を行なう磁気ヘッドと、磁気ヘッド
が搭載された第1のスライダと、第1のスライダを支持
するサスペンションと、磁気ディスクを回転させる磁気
ディスク駆動部と、第1のスライダを所望の位置に位置
決めする磁気ヘッド駆動部と、磁気ヘッドへの信号入力
と磁気ヘッドからの出力信号再生を行うための記録再生
信号処理系とを有し、このサスペンションに第1のスラ
イダに対するコンタミネーション防止手段を設け、この
コンタミネーション防止手段を磁気ディスクの回転方向
に向って第1のスライダの前方に位置するようにしたも
のである。
【0012】コンタミネーション防止手段としては、記
録、再生に寄与しない第2のスライダを用いることが好
ましい。また、第2のスライダの幅は、第1のスライダ
の幅より広くすることが好ましい。その理由は実施例に
おいて詳しく説明する。
【0013】また、上記目的を達成するために、本発明
の磁気ディスク装置は、情報を記録する磁気ディスク
と、磁気ディスクの各面に対応して設けられ、情報の記
録及び再生を行なう磁気ヘッドと、磁気ヘッドが設けら
れた第1のスライダと、第1のスライダを支持するサス
ペンションと、磁気ディスクを回転させる磁気ディスク
駆動部と、第1のスライダを所望の位置に位置決めする
磁気ヘッド駆動部と、磁気ヘッドへの信号入力と磁気ヘ
ッドからの出力信号再生を行うための記録再生信号処理
系とを有し、磁気ディスクの回転方向に向って第1のス
ライダの前方の近傍に記録、再生に寄与しない第2のス
ライダを配置するようにしたものである。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、実施例を用いて本発明を詳
細に説明する。図1は、本発明の一実施例の磁気ディス
ク装置の概略構成を示す断面図及び平面図である。ここ
で1はスライダを搭載したサスペンション、11は磁気
ヘッドを搭載した第1のスライダ、12は記録再生に寄
与せず、第1のスライダに対するコンタミネーション防
止手段となる第2のスライダ、2はディスク、3はディ
スクの回転機構であるスピンドルモータ、4は磁気ヘッ
ド位置決めのための移動機構をそれぞれ示す。本発明で
はサスペンション上の第2のスライダを、ディスクの回
転方向に向って記録再生ヘッドを搭載した第1のスライ
ダより前方に搭載し、その第2のスライダに第1のスラ
イダに対するコンタミネーション侵入防止効果を持たせ
たものである。
【0015】本実施例をさらに詳細に説明する。サスペ
ンション1上への第1のスライダ11及び第2のスライ
ダ12の配置例を図2に示す。ここで5で示した範囲
は、磁気ディスク回転時に第2のスライダ12が通過す
るディスク面上の領域(以下、これを移動足跡と称す
る)を示す。図2では、ディスクの回転方向に対するス
ライダ長手方向の角度(スキュー角と呼ばれる)がゼロ
の場合を示している。この第2のスライダ12の移動足
跡5は、本発明の目的であるコンタミネーション起因の
損傷防止に対して極めて重要である。
【0016】図2の場合のように、第2のスライダ12
の移動足跡5が完全に第1のスライダの移動足跡(図示
せず)を含んでいる場合、ディスク/スライダ間にコン
タミネーションが侵入する場合でも、必ず第2のスライ
ダ側に最初に到達する。第2のスライダに、侵入したコ
ンタミネーションを直接下流に放出しないような機能を
持たせれば、磁気ヘッドを搭載した第1のスライダ11
へのコンタミネーション侵入を効果的に防止することが
できる。これにより、磁気ディスク装置の稼働中常に第
2のスライダよるコンタミネーション防止効果を発揮さ
せることができる。第2のスライダにより、コンタミネ
ーションを第1のスライダに到達させないようにする方
法は大きく二通りある。
【0017】一つは侵入するコンタミネーションを、第
2のスライダによりその左右又はいずれか一方に排除す
ることが効果的である。例えば第2のスライダの流入側
浮上面にラッセルの機能を有する斜め方向の段差を形成
すれば、コンタミネーションが侵入した場合にもそれを
左右又はいずれか一方にかき分け、第1のスライダへの
到達を防止できる。また第2のスライダに流入側浮上面
を浅い溝を有するステップ軸受構造とすれば、流入側の
開口高さを小さく抑えられるので、コンタミネーション
が飛来した場合でもそれの侵入をブロックしやすい。こ
れらの方法は特に固体の塵埃等に対して効果的である。
【0018】このラッセルの機能を有する斜め方向の段
差を持つ第2のスライダの浮上面の形状を図5に示す。
1対のサイドレール21とセンターレール22と流入側
に設けられたクロスレール23との間とその外側には凹
部24が存在する。クロスレール23の流入側に近い部
分は斜面25となっている。
【0019】また、ステップ軸受構造を有するスライダ
は、記録、再生用磁気ヘッドを備えたスライダで知られ
ているので、そのスライダの記録、再生用磁気ヘッドを
備えないもの又はそれと類似のものを用いて、或いは記
録、再生用磁気ヘッドを備えていても、それを磁気ディ
スク装置の記録、再生に寄与しないようにして用いれば
よい。類似のものというのは、後述するように、第2の
スライダは第1のスライダより少なくともその幅を大き
くすることが好ましいからである。
【0020】二つめは侵入するコンタミネーションを、
第2のスライダがその一部に抱え込む方法である。例え
ば第2のスライダの浮上面形状設計により、その圧力分
布(正圧及び負圧)を調整し、負圧の大きい部分を形成
すると、侵入したコンタミネーションはその部分に堆積
しやすくなる。また意図的に空気流れの淀み点を形成す
ることによってもコンタミネーションを堆積しやすくな
る。これらの方法は特に液体または気体状のコンタミネ
ーションに対して効果的である。この場合、堆積したコ
ンタミネーションが脱落して第1のスライダに侵入しな
いよう、その堆積部分に周囲より深い凹みを形成した
り、表面粗さを大きくしておくことにより、堆積するコ
ンタミネーションの保持機能を高め、その脱落を防止す
るのがより望ましい。なお、このような浮上面を持つス
ライダは、記録、再生用磁気ヘッドを備えたスライダで
知られているので、そのスライダの記録、再生用磁気ヘ
ッドを備えないもの又はそれと類似のものを用いて、或
いは記録、再生用磁気ヘッドを備えていても、それを磁
気ディスク装置の記録、再生に寄与しないようにして用
いればよい。
【0021】実際の磁気ディスク装置においては、その
装置の設計や組立方式によって問題となるコンタミネー
ションが異なる場合がある。上記二つの方法は併用して
もよいが、より問題となるコンタミネーションがその装
置で特定されている場合には一方の方法のみを用いても
よい。
【0022】磁気ヘッドを搭載する第1のスライダは、
高記録密度に対応し、かつ十分な記録再生特性を得るた
め、磁気ディスクの内外周全域で浮上量が非常に小さい
値でほぼ一定になるように浮上面が精密に設計される必
要がある。一方本発明で用いられる第2のスライダは、
記録再生には寄与しないので、上記のような耐コンタミ
ネーションの観点のみで浮上面形状を設計してよく、浮
上量の絶対値や内外周の浮上変化等はそれほど重要でな
い。ただし、第2のスライダは直接コンタミネーション
にさらされるため、その際に損傷を引き起こすことがな
いよう、コンタミネーションの侵入や堆積によって浮上
量の変化が小さいことが望ましい。また損傷防止の観点
から、第2のスライダの浮上量は第1のスライダの浮上
量以上であることが望ましい。ただし第2のスライダの
浮上量があまり大きくなると、コンタミネーションの排
除、堆積効果が不十分になったり、塵埃がそのまま通過
しやすくなったりするため、最大でも第1のスライダの
浮上量の5倍以下、望ましくは3倍以下が好ましい。
【0023】一方、第1のスライダは、コンタミネーシ
ョンの影響を考慮する必要がなくなるため、浮上特性を
最重視した設計とできる。従来の磁気ディスク装置で
は、磁気ヘッドを搭載したスライダに、耐コンタミネー
ション性と浮上特性を兼ね備えた設計が望まれていた。
しかしながら近年のスライダ形状の小型化に伴い、2つ
の特性を両立した浮上面形状の設計は極めて困難となっ
ていた。本発明によれば、要求される2つの機能を、2
つの独立のスライダに役割を分担させることにより、両
者の特性を最適化した設計が可能となる。これによりコ
ンタミネーション起因の損傷防止と共に、磁気ヘッドの
浮上安定化による記録再生特性安定化も図ることができ
る。
【0024】ところで、実際の磁気ディスク装置では、
磁気ヘッドの移動機構として、回転軸を有するロータリ
ーアクチュエータを用いるものが多い。この場合ディス
クの内周と外周でスキュー角が変化するのが一般的であ
る。シーク動作によるスキュー角の変化を模式的に図3
に示す。図示した例では内周ではスキュー角がないが、
外周ではスキュー角がある。この場合、本発明による2
つのスライダの配置には注意が必要である。
【0025】図4には、いくつかのスライダ配置に対し
て、スキュー角がない場合とある場合とで、第2のスラ
イダの移動足跡と第1のスライダとの位置関係を示す。
同じ大きさのスライダを搭載したの場合、スキュー角が
なければ(図4(a1))、第1のスライダは第2のス
ライダの移動足跡内に入るが、スキュー角が付くとその
移動足跡から外れている(図4(a2))。コンタミネ
ーションは特にスライダの流入側からの侵入が支配的で
あるため、第1のスライダへのコンタミネーション侵入
を防止するためには、磁気ディスク装置内で使用される
スキュー角範囲で、少なくとも第1のスライダの流入側
端面の移動足跡が、第2のスライダの移動足跡内に含ま
れることが望ましい。さらに、第1のスライダの移動足
跡が完全に第2のスライダの移動足跡内に含まれること
がより望ましい。
【0026】例えば、第2のスライダの少なくとも幅を
大きくすれば、スキュー角がない場合(図4(b1))
も、ある場合(図4(b2))も図のように第1のスラ
イダの流入側端面の移動足跡が第2のスライダの移動足
跡内に含まれるようにすることができる。
【0027】また図4(c1)、(c2)のように、用
いられるスキュー角に応じてスライダの配置を中心線に
対してずらせば、第1のスライダがコンタミネーション
からより保護される配置となり特に望ましい。図4b、
cのような配置とすれば、磁気ヘッドを搭載した第1の
スライダへのコンタミネーション侵入を効果的に防止で
きるので、信頼性に優れた磁気ディスク装置を提供でき
る。
【0028】ところで、本発明ではサスペンション上に
スライダを2つ搭載するため、CSS方式の磁気ディス
ク装置では粘着及びCSS耐力の面で不利となる。CS
S方式の磁気ディスク装置の場合、ゾーンテクスチャ円
板との組合せによりCSS時の信頼性を確保するのが望
ましい。一方ロードアンロード機構を搭載した磁気ディ
スク装置を用いれば、スライダとディスクが直接接触す
ることがないので、上記した本発明の制約を受けること
がなく、信頼性の観点から特に望ましい。
【0029】以下より具体的な実施例により、本発明を
さらに詳細に説明する。 〈実施例1〉磁気ヘッドを搭載した第1のスライダとし
てテーパフラット負圧型ピコスライダ(幅1mm、長さ
1.2mm)を用い、コンタミネーション防止手段とな
る第2のスライダとして流入側にステップ軸受を有する
負圧型ナノスライダ(幅1.6mm、長さ2mm)を用
い、図4(b)と同様な配置でサスペンション上に設置
した。磁気ヘッドには記録再生分離型MRヘッドを用い
た。第1のスライダの最小浮上量は20nm、第2のス
ライダの最小浮上量は約50nmとした。磁気ディスク
はグライドハイト15nmの2.5”平滑円板を用い、
ロードアンロード機構を搭載した磁気ディスク装置に搭
載した。本実施例では、磁気ディスク装置のデータ領域
最内周でスキュー角はほぼゼロであり、最外周では約1
7度である。最内周及び最外周での2つのスライダの位
置関係は、ほぼ図4(b1)、(b2)と同様であり、
内周においては第2のスライダの移動足跡内に第1のス
ライダ全体が含まれる。外周においては第2のスライダ
の移動足跡内に第1のスライダの流入側端面は全て含ま
れるが、外周側の側面は含まれない。
【0030】〈実施例2〉サスペンション上での第1及
び第2のスライダの配置を図4(c)のように横方向に
ずらした以外は実施例1と同様に磁気ディスク装置を構
成した。本実施例では、最内周及び最外周での2つのス
ライダの位置関係は、ほぼ図4(c1)、(c2)と同
様であり、内周及び外周のいずれにおいても第2のスラ
イダの移動足跡内に第1のスライダ全体が含まれる。
【0031】〈実施例3〉第2のスライダとして流入側
にステップ軸受を有する負圧型ピコスライダ(幅1m
m、長さ1.2mm)を用いた以外は実施例1と同様に
磁気ディスク装置を構成した。本実施例では、最内周及
び最外周での2つのスライダの位置関係は、ほぼ図4
(a1)、(a2)と同様である。内周においては第2
のスライダの移動足跡内に第1のスライダ全体が含まれ
るが、外周においては第2のスライダの移動足跡内には
第1のスライダの流入側端面の一部及び外周側の側面は
含まれない。
【0032】〈比較例1〉サスペンション上に第2のス
ライダを搭載しなかった以外は実施例1と同様に磁気デ
ィスク装置を構成した。本比較例では、コンタミネーシ
ョン防止用の第2のスライダがないため、第1のスライ
ダはコンタミネーションに対して保護されていない状態
となっている。
【0033】以上の実施例及び比較例に示した4種の磁
気ディスク装置を用い、以下の3種の信頼性試験を行な
った。 (1)装置そのままで環境温度60℃での1000時間
定点浮上試験(長時間試験)。 (2)平均粒径1ミクロンのアルミナ粒子を1mg装置
内に投入しての常温2時間定点浮上試験(塵埃加速試
験)。 (3)有機ガスの発生の多い粘着テープを装置内の設置
し、装置内に通常置かれている活性炭を除去して、環境
温度60℃での250時間定点浮上試験(有機ガス加速
試験)。 いずれの試験においても、定点浮上位置は最内周及び最
外周の2種類を実施した。また試験前後で浮上位置周辺
でのエラー測定を行なった。実験結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】実施例1及び2ではいずれの試験でも損傷
・エラー発生は見られなかった。一方実施例3では最内
周の試験では問題なかったが、最外周では塵埃加速試験
でディスクスクラッチが、その他の試験でもエラー発生
が見られた。第2のスライダを搭載していない比較例1
ではどの試験条件でもクラッシュ又はエラー発生が見ら
れた。この違いの原因を明らかにするため、試験後の磁
気ディスク装置を分解し、スライダ及び円板の損傷を調
査した。
【0036】長時間試験においては、実施例1、2とも
第2のスライダの負圧発生部にコンタミネーションによ
ると思われる汚れが堆積して付着していたが、そこから
下流側には移動した形跡がなく、また第1のスライダに
は汚れの付着は見られなかった。ただし実施例1の最外
周条件では、第1のスライダの外周側側面に極めて軽微
な汚れ付着が見られた。これは最外周条件では図4(b
2)に示すように第1のスライダの外周側側面は第2の
スライダの移動足跡より外れているためと考えられる。
ただしここでの付着は極めて軽微であり、損傷を引き起
こす原因とはなっていない。
【0037】一方、実施例3では、最内周条件では実施
例1、2と同等であったが、最外周では図4(a2)で
示したように、第1のスライダ流入側端面の一部が第2
のスライダの移動足跡から外れているためか、この部分
から汚れの侵入が認められた。この汚れは一部が磁気ヘ
ッド素子近傍に達していた。実施例3の最外周条件では
これらのコンタミネーション起因の汚れがエラーの原因
と考えられる。
【0038】また比較例1では、最内周、最外周とも第
1のスライダ及びディスク面の汚れが見られた。その程
度は実施例3の最外周条件より悪く、ごく軽微なディス
クスクラッチの発生も見られた。これはコンタミネーシ
ョンをトラップする第2のスライダがないために、コン
タミネーションが全て浮上量の小さい第1のスライダに
集中して付着したことが原因と考えられる。
【0039】有機ガス加速試験については、長時間試験
に比べて汚れの付着量が多い以外はほぼ同様の傾向を示
し、第2のスライダ搭載の効果が明確に見られる。ただ
し比較例1についてはクラッシュが生じているため、そ
の原因を明確には判断できないが、長時間試験で見られ
た第1のスライダ及びディスクへの汚れ付着がさらに進
行し、クラッシュに到ったものと推定される。
【0040】塵埃加速試験についても傾向は同様であっ
た。実施例1、2及び3で用いた第2のスライダは、そ
の流入側に隙間の小さいステップ軸受を有しており、通
常のテーパがないため、塵埃の侵入を防止する効果が大
きい。第2のスライダの移動足跡が、少なくとも第1の
スライダの流入側端面をカバーする実施例1、2では、
塵埃の侵入によるスクラッチ等の発生は皆無であった。
一方実施例3でのスクラッチ発生部位は、第2のスライ
ダの移動足跡を外れた第1のスライダの流入端を起点に
していることが分かった。比較例1では第2のスライダ
がないため多数のスクラッチが発生し、それが進行して
クラッシュに到ったものと推定される。
【0041】以上の結果より、コンタミネーション防止
用の第2のスライダが存在することで、磁気ヘッドを搭
載した第1のスライダへのコンタミネーション付着及び
損傷発生を顕著に軽減できることを確認した。ただし、
第2のスライダを搭載した場合でも、その移動足跡が少
なくとも第1のスライダの流入側端面を含んでいない
と、コンタミネーション防止の効果は低くなる。より望
ましくは実施例2のように、第2のスライダの移動足跡
が第1のスライダ全面をカバーすることである。
【0042】なお、実施例3の最外周条件では上記のよ
うにエラー発生、ディスクスクラッチが見られるが、塵
埃加速試験は極めて過酷な試験であり、通常はこのよう
な雰囲気にはならないこと、有機ガス加速試験では高温
で装置内に置かれている活性炭を除去して試験してお
り、通常は活性炭を配置してあるのでこのような雰囲気
にはならないこと、長時間試験も高温、長時間の過酷試
験であること、さらに従来技術である比較例1に比べ損
傷が極めて軽微であること等からみて、実用上の効果が
認められる。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、コンタミネーションの
侵入防止手段として第2のスライダを搭載することによ
り、磁気ディスク装置の稼働中に第1のスライダへのコ
ンタミネーション侵入を軽減できる。これによりコンタ
ミネーションによる損傷の発生を防止した信頼性の高い
磁気ディスク装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の磁気ディスク装置の概略構
成を示す断面図及び平面図である。
【図2】本発明の一実施例の磁気ディスク装置の第1及
び第2のスライダの配置を示す平面図である。
【図3】本発明の一実施例の磁気ディスク装置の第1及
び第2のスライダの相対位置変化を示す平面図である。
【図4】本発明の一実施例の磁気ディスク装置の第2の
スライダの移動足跡の説明図である。
【図5】本発明の一実施例の磁気ディスク装置の第2の
スライダの浮上面を示す図である。
【符号の説明】
1…サスペンション 2…ディスク 3…スピンドルモータ 4…移動機構 5…移動足跡 11…第1のスライダ 12…第2のスライダ 21…サイドレール 22…センターレール 23…クロスレール 24…凹部 25…斜面

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】情報を記録する磁気ディスクと、該磁気デ
    ィスクの各面に対応して設けられ、情報の記録及び再生
    を行なう磁気ヘッドと、該磁気ヘッドが搭載された第1
    のスライダと、該第1のスライダを支持するサスペンシ
    ョンと、上記磁気ディスクを回転させる磁気ディスク駆
    動部と、上記第1のスライダを所望の位置に位置決めす
    る磁気ヘッド駆動部と、上記磁気ヘッドへの信号入力と
    上記磁気ヘッドからの出力信号再生を行うための記録再
    生信号処理系とを有する磁気ディスク装置において、上
    記サスペンションは、上記第1のスライダに対するコン
    タミネーション防止手段を有し、該コンタミネーション
    防止手段は、上記磁気ディスクの回転方向に向って上記
    第1のスライダの前方に位置することを特徴とする磁気
    ディスク装置。
  2. 【請求項2】上記コンタミネーション防止手段は、記
    録、再生に寄与しない第2のスライダであることを特徴
    とする請求項1記載の磁気ディスク装置。
  3. 【請求項3】上記第2のスライダの幅は、上記第1のス
    ライダの幅より広いことを特徴とする請求項2記載の磁
    気ディスク装置。
  4. 【請求項4】上記磁気ディスクが回転するとき、上記第
    2のスライダが通過した上記磁気ディスク面上の領域の
    上に、上記第1のスライダの少なくとも流入側端面があ
    るように上記第1及び第2のスライダの配置を定めたこ
    とを特徴とする請求項3記載の磁気ディスク装置。
  5. 【請求項5】上記第2のスライダの浮上量は、上記第1
    のスライダの浮上量以上、その5倍以下であることを特
    徴とする請求項2から4の何れか一に記載の磁気ディス
    ク装置。
  6. 【請求項6】上記磁気ディスク装置は、ロードアンロー
    ド機構を有することを特徴とする請求項1から5の何れ
    か一に記載の磁気ディスク装置。
  7. 【請求項7】情報を記録する磁気ディスクと、該磁気デ
    ィスクの各面に対応して設けられ、情報の記録及び再生
    を行なう磁気ヘッドと、該磁気ヘッドが設けられた第1
    のスライダと、該第1のスライダを支持するサスペンシ
    ョンと、上記磁気ディスクを回転させる磁気ディスク駆
    動部と、上記第1のスライダを所望の位置に位置決めす
    る磁気ヘッド駆動部と、上記磁気ヘッドへの信号入力と
    上記磁気ヘッドからの出力信号再生を行うための記録再
    生信号処理系とを有する磁気ディスク装置において、 上記磁気ディスクの回転方向に向って上記第1のスライ
    ダの前方の近傍に記録、再生に寄与しない第2のスライ
    ダを配置したことを特徴とする磁気ディスク装置。
JP10343844A 1998-12-03 1998-12-03 磁気ディスク装置 Pending JP2000173215A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7027266B2 (en) 2002-04-16 2006-04-11 Hitachi Global Storage Technologies Japan, Ltd. Head suspension with flexure-supported slider between first and second load bending portions
JP2009158002A (ja) * 2007-12-26 2009-07-16 Toshiba Corp ディスクドライブ装置

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US7027266B2 (en) 2002-04-16 2006-04-11 Hitachi Global Storage Technologies Japan, Ltd. Head suspension with flexure-supported slider between first and second load bending portions
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