JP2000171386A - 腐食センサ - Google Patents

腐食センサ

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JP2000171386A
JP2000171386A JP10348959A JP34895998A JP2000171386A JP 2000171386 A JP2000171386 A JP 2000171386A JP 10348959 A JP10348959 A JP 10348959A JP 34895998 A JP34895998 A JP 34895998A JP 2000171386 A JP2000171386 A JP 2000171386A
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corrosion
inner chamber
pressure
corrosion sensor
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JP10348959A
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Hiroshi Yamauchi
博史 山内
Masanori Sakai
政則 酒井
Ryuji Watanabe
隆二 渡辺
Jiro Kuniya
治郎 国谷
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温高圧環境に耐え、構造材料の全面腐食、
孔食、すき間腐食、粒界腐食などの局部腐食による材料
の貫通を検出できる腐食センサを提供する。 【解決手段】 密封された内室4を有する被試験体1
と、内室の圧力を測定する圧力計3とを備え、内室4は
外界との間に圧力差を生じるように気体及び/又は液体
を充填する。被試験体1は少なくとも一箇所に他の部位
より肉厚の薄い薄肉部を有し、薄肉部は肉厚が0.01
mm以上のとき外界と内室との間の圧力差で発生する応
力が前記薄肉部を構成する材料の降伏応力あるいは耐力
より小さくなる構造を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、腐食を監視する腐
食センサに関し、特に発電プラント、化学プラント、超
臨界水廃物処理プラントなどの高温高圧環境下での腐食
を監視する腐食センサに関する。
【0002】
【従来の技術】腐食による機器の不具合を回避すること
は機器の信頼性、安全性を維持し、さらには経済性を確
保する上で重要である。そのためには常に機器の腐食状
態を把握し、腐食による不具合の発生を予期することが
必要である。腐食は材料と環境の相互作用によって変化
し、また、複雑な現象が絡み合って発生するため、理論
的に腐食状況を予測することは困難である。したがっ
て、機器が置かれている環境に腐食センサを設置し、現
在進行しつつある腐食を常時監視する手段が多用され
る。
【0003】腐食センサは、旧来より多くの原理に基づ
いたものが開発されている。例えば、ワイヤ状の試験体
が腐食減肉することにより増加する電気抵抗を監視して
腐食を検出する特開平5−118204号公報、弾性波
を入力し、その反射波を解析することにより腐食の有無
を判断する特開平6−138102号公報、検知部の水
分あるいはキャパシタンスを検知する特開平7−508
0号公報、サーモグラフィーモニタによって管外面の温
度差を検知して減肉部を検出する特開平7−21845
9号公報、圧力計を備えた容器内に媒体を充填し、腐食
により破裂したときに圧力変化をとらえる特開平7−2
48291号公報及び特開平8−15112号公報、膜
厚の異なる複数の金属薄膜の腐食による色変化から判断
する特開平10−90165号公報などがある。この
他、交流インピーダンス法、直線分極法、腐食電位や電
流値のノイズ解析法など、腐食速度あるいは腐食の発生
を直接とらえることができる電気化学的な手段を利用す
るものもある。
【0004】さらに、単純かつ低コストで腐食発生を検
知する手段として、特開昭55−65137号公報や特
開平8−15112号公報にあるように密閉容器及びこ
の容器の内部の圧力を測定する圧力計からなる腐食検出
機構がある。これらの機構は、密閉容器内の圧力と外界
との圧力に差を設けておくことにより、腐食により密閉
容器が貫通した際、密閉容器に接続されている圧力計の
指示値が変化するので腐食発生を検知できる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】昨今の機器の使用環境
は省エネなど効率向上のために高温、高圧環境で使用さ
れることが多くなってきている。また、新たに超臨界水
廃棄物処理プラントなど、従来にないシステムが採用さ
れ、環境の過酷化が一層進む傾向にある。さらにコスト
低減も重要視されている。
【0006】上記した従来の手法は電子機器、有機絶縁
体などを使用しているため、高温高圧下での使用が困難
である。また、コストも大きい。この点からすると、密
封した容器に圧力計を設置し、腐食貫通により圧力計指
示値の変化から腐食発生を知る特開昭55−65137
号公報や特開平8−15112号公報に記載された腐食
検出機構は、高温高圧下での使用に耐える構造を有し、
コスト的にも有利である。しかし、特開昭55−651
37号公報は腐食が均一に進行した場合、特開平8−1
5112号公報は腐食の進行により肉厚が減少したとき
に、外界との圧力差により腐食貫通する前に機械的破壊
が生じる可能性があり、正確な腐食検知が困難である。
さらに、両者は全面腐食あるいはSCCによる割れ発生
の検出に限っており、その他異種金属腐食、すき間腐食
等、種々ある腐食モードを検出することが難しい。
【0007】本発明の目的は、高温高圧に耐え、さらに
全面腐食、異種金属腐食のほか、孔食、すき間腐食、粒
界腐食などの局部腐食による材料の貫通をとらえ、さら
に腐食速度、減肉速度の情報を得ることのできる低コス
トな腐食センサを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明による腐食センサ
は、密封された内室を有する被試験体と、内室の圧力を
測定する圧力計測部とを備える腐食センサであって、内
室は外界との間に圧力差を生じるように気体及び/又は
液体が充填され、被試験体は少なくとも一箇所に他の部
位より肉厚の薄い薄肉部を有し、薄肉部は肉厚が0.0
1mm以上のとき外界と内室との間の圧力差で発生する
応力が前記薄肉部を構成する材料の降伏応力あるいは耐
力より小さくなる構造を有することを特徴とする。肉厚
が0.01mm以上のとき外界と内室との間の圧力差で
発生する応力が前記薄肉部を構成する材料の降伏応力あ
るいは耐力より小さくなる構造の例としては、例えば薄
肉部近傍での内室の直径が薄肉部の肉厚より小さい構
造、あるいは内室側から被試験体に小口径の有底孔又は
針状もしくは円錐状の孔を設けることで被試験体に薄肉
部を形成した構造を挙げることができる。
【0009】薄肉部の肉厚さが既知であれば、腐食セン
サを対象環境に曝してから貫通に至るまでの時間で薄肉
部の肉厚を除することによって腐食減肉速度を知ること
ができる。材料が腐食すると、金属であれば金属部が減
肉し、腐食生成物が生じる。さらに腐食が進行すると、
板状の材料は貫通に至る。このとき材料が二つの環境を
隔離するために使用されているものであれは腐食孔を通
じて両環境の流体の往来が生じる。本発明の腐食センサ
はこの作用を利用したものである。
【0010】腐食するおそれのある材料、あるいは腐食
状況を監視したい材料と同質の組成で構成される被試験
体を用意し、この中に内室を作成する。被試験体には内
室の圧力を計測するための圧力計を接続し、内室を任意
の圧力で密封して外界との流通が妨げられる構造とす
る。被試験体の一部には、肉厚が他の部位より薄い薄肉
部を設けておく。
【0011】この腐食センサを、腐食状況を監視したい
環境に設置すると、腐食により被試験体は時間とともに
次第に減肉する。さらに腐食が進行すると、被試験体の
中で肉厚の薄い薄肉部がまず最初に腐食貫通し、この貫
通部を介して、外界の圧力が内室より高ければ外界の流
体が内室へ侵入し、逆に外界の圧力が内室より低ければ
内室の流体が外界へ放出される。この流体の移動に伴
い、内室の圧力が変化し、最終的には外界の圧力と同圧
となる。この圧力の変化を検知することによって腐食を
検出することができる。内室から被試験体の外表面まで
の最短の肉厚を例えば機器の腐食しろと同一にすれば、
内室の圧力が変化した時点で機器が寿命であることを知
ることが可能となる。
【0012】ここで、腐食進行に伴う薄肉部の薄層化に
よる機械的破壊を考慮する必要がある。被試験体の薄肉
部が腐食貫通する直前では、その肉厚は非常に薄くなる
ので、内室と外界との圧力差が大きいと薄肉部は機械的
に破壊し、腐食検知を正確に評価できなくなる。通常、
減肉量を評価するために必要な精度は0.01mm以下
であるので、薄肉部の最小肉厚が0.01mm以上で機
械的に破壊しない必要がある。周辺固定された円板に対
し、均一な応力が負荷したときの最大応力σmaxは次の
式で表される。
【0013】σmax=±0.750pa2/h2 (1) ここでpは圧力、aは円板の半径、hは板厚である。
(1)式によると内室と外界との圧力差が大きくなるほ
ど、円板の半径が大きくなるほど、あるいは板厚が小さ
くなるほど、円板に負荷される応力は大きくなる。円板
部が腐食減肉して板厚が薄くなると最大応力σmaxが大
きくなるので、この最大応力σmaxが円板の降伏応力あ
るいは耐力を越えると塑性変形し、さらに引っ張り強度
を越えると破壊すると考えられる。したがって、円板部
の幾何構造を肉厚が0.01mm以上で降伏応力あるい
は耐力を越えないような構造とすることで、腐食による
板厚の薄層化による機械的破壊を避けることができる。
【0014】なお、ここでいう降伏応力とは、応力・ひ
ずみの引張試験においてひずみに対し応力が直線的に増
加する弾性域の最高応力値(上降伏点)である。一方、
降伏点が明瞭でない材料では、代わりに耐力が用いら
れ、規定の永久のびに相当するのび軸線上の点から弾性
変形部分に平行線を引き、これが応力・ひずみ曲線と交
わる点が耐力である。詳細はJISハンドブック鉄鋼・
(1995)44頁に記載されている。
【0015】本発明の腐食センサは、また、内部に外界
の流体と異なる電気伝導率を有する媒体を充填して密封
された内室を有し、少なくとも一箇所に他の部位より肉
厚の薄い薄肉部を有する被試験体と、前記被試験体から
電気的に絶縁されて前記内室に挿入された少なくとも1
本の電極と、前記電極と前記被試験体との間あるいは複
数挿入された前記電極間の電気抵抗を測定する手段とを
備えることを特徴とする。
【0016】電極が1本の場合は、被試験体が電気伝導
性を有する必要があり、このとき、被試験体と電極との
間で内室内にある流体の電気伝導率を測定する。電極が
2本以上の場合は電極間で電気伝導率を測定する。腐食
が発生し、被試験体の薄肉部で内室と外界とが貫通する
と、内室と外界の流体が互いに往来する。内室に充填し
ておく流体を外界の流体の電気伝導度と異なるものを選
ぶことにより、腐食による貫通の際、内室の電気伝導率
は変化する。これによって腐食を検知することが可能と
なる。この腐食センサは、外界と被試験体内部の圧力を
同等にすることができるので、腐食が進行し、被試験体
の肉厚が薄くなったときに、外界と内部との圧力差によ
る機械的破壊貫通を避けることができる。従って、外界
の圧力が非常に高い場合に有利である。
【0017】本発明の腐食センサは、また、各々密封さ
れた複数の内室を有する被試験体と、各内室の圧力を測
定する圧力計測部とを備える腐食センサであって、各内
室は、該内室から被試験体表面までを最短距離で結ぶ薄
肉部の肉厚が各々異なるとともに外界との間に圧力差を
生じるように気体及び/又は液体が充填され、薄肉部は
肉厚が0.01mm以上のとき外界と内室との間の圧力
差で発生する応力が薄肉部を構成する材料の降伏応力あ
るいは耐力より小さくなる構造を有することを特徴とす
る。
【0018】この腐食センサは、被試験体に設けた複数
の内室から被試験体外表面までの最短の肉厚に種々の変
化をつけたものである。これによって被試験体のうち、
特定の部位を優先的に腐食貫通させることができる。ま
た、最短の肉厚部の厚さが既知であれば、腐食センサを
対象環境に曝してから貫通に至るまでの時間で肉厚を除
することによって腐食減肉速度を知ることができる。こ
の場合、複数の肉厚の異なる部位があるので、連続的に
腐食進行状況を知ることができ、また、ある一つが腐食
貫通してから次の一つが貫通するまでの時間と、肉厚の
差からその時々の腐食速度を知ることができる。
【0019】本発明の腐食センサは、また、内室を有す
る被試験体と、被試験体の内室に連通する流体検出手段
とを備え、腐食により被試験体が貫通することによって
内室に流入した外界の流体を流体検出手段によって検出
することを特徴とする。内室を有する被試験体は、円筒
管やチューブのような形状としてもよい。この腐食セン
サは、腐食により被試験体のうち、肉厚の小さな部位が
先に腐食貫通する。外界の流体はこの貫通孔を通って被
試験体の内室から流体検出手段に達する。ここで流体検
知手段によって外界の流体を検知し、腐食が発生したこ
とを知らせる。また、被試験体内部の圧力を外界と同等
にすることができるので、腐食が進行し、被試験体の肉
厚が薄くなったときに、外界と被試験体内室との圧力差
による機械的破壊貫通を避けることができる。流体検出
の手段としては、例えば湿度、色(透過率、吸光度な
ど)、誘電率、熱伝導率、化学変化など任意のものを利
用することができる。
【0020】本発明の腐食センサは、また、一側面に開
放する内室を有する本体と、内室の開放部を塞ぐように
前記側面に接触し外周に沿って本体と接合された開放部
より大きく本体より薄肉の平板からなる被試験体と、内
室の圧力を測定する圧力計測部とを備え、内室には外界
との間に圧力差を生じるように気体及び/又は液体が充
填されていることを特徴とする。
【0021】この腐食センサは、任意の形の本体に少な
くとも1つ以上の貫通孔を開け、その一方の孔を圧力計
に接続し、さらにもう一方の孔を本体の肉厚より薄い肉
厚を有する被試験体平板で塞ぐ。この時、平板を本体に
接合する場所は平板の外周とする。これにより腐食検知
面は平板全体となり、腐食によって平板に形成された貫
通孔を通った外界からの流体は平板と被試験体とのすき
間を通って本体の内室に侵入し、圧力計の指示値を変化
させる。これにより広い面積で腐食を検知することがで
き、腐食検知能力が増す。また、平板の厚さは高精度で
加工することができるので腐食速度の測定精度も向上す
る。なお、内室を有する本体と平板は、同じ材料として
もよいし、異なる材料としてもよい。
【0022】以上の腐食センサは、被試験体の外表面に
すき間を構成するための部材を追加して、すき間腐食に
よる減肉貫通を検出するように構成してもよい。すき間
腐食は、すき間の内面が優先的、集中的に進行する現象
で、腐食速度が大きい。腐食センサにすき間を設けるこ
とにより、この部分が優先的に腐食が進行し、貫通す
る。これによってすき間腐食による腐食減肉速度を求め
ることが可能になる。
【0023】また、前述の流体検出手段を有する腐食セ
ンサにおいて、内室と流体検出手段を結ぶ管路中に保圧
弁を設け、内室の圧力を一定に保持するようにしてもよ
い。外界の圧力が高圧の場合、被試験体の腐食貫通によ
る外界流体の突発的な噴出を保圧弁で防止できる。保圧
弁の出口からは低圧となった流体が出てくるので、安全
に流体を検知することができる。
【0024】また、前述の腐食センサにおいて内室の圧
力を調整する手段を備え、外界と前記内室との間の圧力
差を略一定に調整するようにしてもよい。内室の圧力を
調整する手段によって、外界と内室との圧力差を小さく
することで内室を有する被試験体の機械的破裂を防止す
ることができる。使用環境によっては被試験体の内室と
外界との圧力差が大きくなり、腐食減肉により材料の耐
圧強度が低下することがある。強度低下が進むと機械的
破壊により被試験体が破裂する。機械的破壊による外界
との貫通は腐食による貫通より早い時間で生じるため、
腐食速度の過大評価へつながるおそれがある。これを防
止するために内室の圧力を調整し、外界との圧力差を小
さくする。腐食貫通の検出は、内室の圧力が外界と同じ
になるか、あるいは圧力差を所定の値に維持しようとす
る圧力調整手段の動作状況により判断できる。
【0025】また、被試験体の内室に気体及び/又は液
体を充填するかわりに、内室を真空排気してもよい。被
試験体の内室を真空にして外界との圧力差を大きく保つ
ことにより、腐食貫通時に外界の流体が内室へ侵入しや
すくなる。また、本発明によるプラントは、前述の腐食
センサを備え、腐食センサの信号をプラントの制御系に
導入し、腐食センサから腐食が発生した旨の信号が発せ
られたときに警報を発する、あるいはプラントの運転を
制御して負荷を減少させる、あるいは運転を中止するこ
とを特徴とする。
【0026】このように、前述の腐食センサが圧力や電
気伝導率等のの変化を感知した場合、機械式接点により
電圧あるいは電位信号を発するなどの手段を用い、プラ
ントの警報を発する手段に接続することにより、腐食に
原因する事故を未然に防ぐことができる。あるいは、腐
食センサからの電気的信号をプラントが感知したとき
に、腐食環境が緩和されるような運転条件に自動的に制
御したり、腐食抑制剤を注入するなどの措置を講じるこ
とができる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を説明する。図1は、本発明による腐食センサ
の一つの実施の形態を表す断面図である。円筒状の被試
験体1には開口部が1カ所ある内室4が設けられ、開口
部には圧力計導入管2が溶接されている。圧力導入管2
を分岐し、その一端に内室4の圧力を調整するための流
体出入り口5が止め弁6を介して接続されている。ま
た、圧力導入管2は十分な耐圧性を備え、かつ被試験体
1より耐食性のよいものを選んである。圧力導入管2は
圧力計3に接続され、内室4は完全に密封されている。
被試験体1の開口部の反対側である底面を薄肉部33と
し、この部位の肉厚を被試験体1の側筒部より薄くし、
腐食貫通が先に生じるような構造としてある。内室4に
は水あるいはアルゴン等が封入され、その圧力は、腐食
センサが使用される周囲の圧力(外界の圧力)より低く
調整してある。圧力計3は例えばブルドン式の圧力計
で、表示部には外界の圧力に到達したときに電気信号を
発する接点式の指示計を用いている。
【0028】腐食が進行すると、被試験体1は表面から
中心方向に向かって次第に減肉する。被試験体1の側筒
部の肉厚をb、底面の薄肉部33の肉厚をaとし、b>
aとしてあるので、腐食が更に進行すると、被試験体1
の底面の薄肉部33の肉厚が減少し、ついには外界と内
室4とが貫通する。この時、内室4の圧力は外界より低
いので、外界の流体が薄肉部33に開いた貫通孔を通っ
て内室4へ侵入する。また、同時に圧力計3は外界の圧
力を示し、電気信号を発する。
【0029】以上のように、腐食貫通によって腐食が進
行していることを本腐食センサにより知ることができ
る。さらに、腐食センサを設置してから、圧力計3が電
気信号を発するまでの時間をtとすると、平均的な腐食
速度は被試験体1の底面の肉厚aをtで除することによ
って得られる。 腐食貫通により内室4内に充填されて
いる流体が貫通孔を通して外界へ拡散する。この充填流
体による外界への汚染を避けたい場合は、内室4内を真
空にすることで解決できる。
【0030】高圧環境で使用する場合は、薄肉部として
例えば図2に示すような構造を採用することが望まし
い。これは、内室4と外界との圧力差が大きいと、肉厚
の薄い被試験体1底部の薄肉部33が中心方向に陥没あ
るいは機械的破壊を生じることがあるためである。ま
た、その傾向は腐食減肉するに従って大きくなる。高圧
環境での機械的破壊を防ぐためには、内室4の薄肉部3
3の直径c(内径)を極力小さくするか、あるいは被試
験体1の底部の近いところに内径の小さい孔を追設する
か、あるいはこの孔の先端を針状にすることによってあ
る程度解決できる。
【0031】図2(A)は、被試験体1の内室4の内径
を底部の薄肉部33の肉厚より小さくした場合である。
例えば、内室4と外界との圧力差を30MPa、肉厚を
1mm、薄肉部33の直径cを0.5mmとし、被試験
体1の機械的性質として、縦弾性係数を200000M
Pa、耐力を200MPaとすると、底部の薄肉部33
へ付加される最大応力は(1)式より1.4MPaであ
る。この時の最大たわみも1×10-7mmとなり、ほと
んど無視できる大きさとなる。しかし、腐食が進行し、
肉厚が減少すると、底部は弾性変形、あるいは塑性変形
を受けるため、最大応力も大きくなる。肉厚が腐食によ
り減少し0.083mmに達すると、最大応力は207
MPaとなる。この値は耐力を超えているため、機械的
破壊が生じる可能性がある。したがって、この場合の検
出限界は0.083mmとなり、精度は0.083mm
/1mm=8.3%となる。内室4の薄肉部33の直径
c(内径c)を更に小さくすればこれらは改善できる
が、これは加工精度に依存する。
【0032】ここで、腐食減肉を精度よく評価するため
には検出限界を0.01mmとする必要がある。この一
つの方法として薄肉部33の直径を0.006mmとす
れば、腐食により肉厚が0.01mmに達しても最大応
力は200MPa以下なので、機械的破壊が生じなくな
る。図2(B)に示す構造は、基本的に図2(A)と同
じであり、底面に近い部位に小口径の導入孔7を追加し
たものである。この構造により、図2(A)の構造の場
合と同様に、高圧環境において機械的破壊を防止しなが
ら被試験体の腐食減肉を高精度に評価することができ
る。
【0033】図2(C)は、図2(B)に示した導入孔
7の先端を針状に加工し、耐圧能力を向上させ、塑性変
形を受けにくい形状とした例である。図2(C)に示す
構造を採用すると、図2(A)や図2(B)に示した構
造よりも機械的破壊に対する耐性を高めて、検出限界及
び検出精度を向上させることが可能となる。その他、図
2(A)〜図2(C)に示した構造を組み合わせても良
い。図2(D)はその一例であり、薄肉部33に複数個
の円錐状の窪みを入れたものである。この構造により、
耐圧能力を向上させ、かつ複数の点で腐食を検知できる
ため、腐食検出能力の向上が図られる。
【0034】ここで述べた被試験体1は円筒状で、その
底面に薄肉部33を設けているが、この他、被試験体1
の側筒部に薄肉部33を設けてもよいし、被試験体1の
形状は直方体、立方体状あるいは球体等であってもよ
い。図3は、その一例として円筒状の被試験体1の側筒
部に薄肉部33を設けた例を示す図である。薄肉部33
の肉厚の最小値aは被試験体1の他の部位の肉厚bより
薄くなっているので、腐食が進行した際はこの薄肉部3
3が先に腐食貫通し、圧力計3の指示変化により腐食を
検知することができる。図3の場合も、薄肉部33は図
2に示すような構造を有することが望ましい。その際、
導入孔や円錐状の窪み7は、内室4側に形成するのがよ
い。
【0035】上記いずれの場合も、減肉が進むと、貫通
直前には機械的破壊を最終段階で誘発する。これを防ぐ
ためには、外界と内室4との圧力差を極力小さくするこ
とが好ましい。腐食センサによる評価を開始する前に止
め弁6を開け、流体を出入り口5から内室4に注入し、
内室4の圧力を外界の圧力近くに調整する。例えば図2
(A)あるいは図2(B)に示した構造では、内室4の
圧力を高め、圧力差を4MPa程度とすれば、被試験体
1の底部に設けた薄肉部33の肉厚が0.01mmでも
耐力を超えなくなる。ただし、外界の圧力が変動し、大
気圧まで低下する場合、内室4の圧力が相対的に高くな
り、被試験体1の底部から外界へ向かっての機械的破壊
が生じることがある。
【0036】さらに好ましくは、外界と内室4との圧力
差を常に監視し、差圧を0近くになるように調節すれば
よい。次に説明する例は、外界と内室4との圧力差を0
近くに保持する機構を備えたものである。図4は、配管
に腐食センサを配置した実施の形態を示す図である。ボ
ルトに内室4を設けた被試験体1を配管8に接続し、被
試験体1の頭部側の口に圧力導入管2を溶接する。圧力
導入管2は圧力計3に接続され、内室4の圧力を測定す
る。さらに、圧力導入管2には圧力調整部9が接続され
ている。圧力調整部9は、配管8内部の圧力を測定する
配管内圧力計10からの圧力信号と、圧力計3からの圧
力信号との差分を演算部11で求め、その信号が所定の
範囲に入るように入口電磁弁12を開け、流体貯蔵ポン
プ16の流体を加圧ポンプ13で注入する。配管内の圧
力が減じたときは出口電磁弁14を開け、保圧弁15で
減圧し、流体貯蔵タンク16に内室4の中の流体を回収
する。この時、圧力計の精度内で配管8の内部圧力と内
室4の圧力に若干の差を設けておく。
【0037】配管8内は流体が流れ、この流体が配管8
を腐食させるものとする。配管8の腐食状況を検知する
ために、被試験体1は配管8と同質の材料で構成され、
底面の薄肉部の肉厚として配管8の腐食しろを選んであ
る。配管8内の流体と接している被試験体1の底部の腐
食が進行し、内室4まで貫通すると、内室4の圧力は配
管8内の圧力との差圧が0となる。この時、圧力調整部
9は、内室4の圧力が配管8内の圧力に対し、圧力差を
生じさせようとするため、出口電磁弁14を開け、内室
4の圧力を下げようと動作する。あるいは入口電磁弁1
2を開け、加圧ポンプ13を作動させ、内室4の圧力を
上昇させようとする。この時、内室4は貫通しているた
め、圧力差は発生せず、圧力調整部9は依然、圧力差を
生じさせようと動作を続ける。この状態が腐食発生を示
し、したがって圧力調整部9の動作状況から腐食の発生
を判断することできる。本実施の形態の場合、配管8の
腐食しろ分が減肉したことを知ることができる。
【0038】上記の方法は、一つの被試験体1につき、
一回の測定で使用不能となる。また、腐食速度を求める
としても、腐食センサを対象となる環境に設置してから
腐食貫通するまでの平均的な腐食減肉速度しか得られな
い。この問題を解決するには、内室4から被試験体1の
外表面までの肉厚が異なる複数の腐食センサを設置すれ
ばよい。また、被試験体1に複数の内室4を設け、それ
ぞれの内室に圧力計を設けた構造の腐食センサを用いて
もよい。
【0039】図5は、被試験体1に複数の内室4を設け
た実施の形態を示す図である。被試験体1は5個の内室
4を有し、それぞれの内室4の底から被試験体外表面ま
での肉厚を変化させた構造である。また、それぞれの内
室4の上端口には圧力導入管2が接続され、さらに圧力
計3が接続されている。それぞれの内室4の圧力は外界
の圧力と同圧にならないように密封されている。
【0040】各内室4から、被試験体1までの肉厚aが
異なるため、腐食が進行するとともに肉厚の薄い内室4
から順次腐食貫通を開始する。この腐食センサを使用す
ると、腐食センサを使用開始してから貫通までの時間か
ら平均的な腐食減肉速度が求められる他、一つの内室が
貫通してから次の内室が貫通するまでの時間と互いの肉
厚の差から、その時々の腐食減肉速度を求めることがで
きる。
【0041】図6は、本発明による腐食センサの他の実
施の形態を説明する断面図である。被試験体1は両端面
が平らな円柱状の形状を有し、軸方向に平行に設けられ
た1つの貫通孔によって内室4が構成されている。被試
験体1の一端面には、被試験体1の胴径と同じ直径の平
板状の円板34が外周に沿って溶接35されている。円
板34の肉厚は被試験体1の胴径の肉厚より薄い。被試
験体1のもう一つの端面側で、貫通孔は圧力計導入管2
を介して圧力計3に接続されている。内室4の圧力は外
界より低い値を保つよう調整する。
【0042】腐食が進行すると、円板34は、その表面
のいずれかの場所で腐食貫通する。この時、外界の流体
は円板34に形成された貫通口を通って内室4に侵入
し、圧力計3の指示値を上昇させる。これによって腐食
を感知することができる。本実施の形態は、これまで示
してきた実施の形態とは異なり、必ずしも内室4に直面
した部位(薄肉部33)が腐食されなくとも腐食を検知
でき、円板34の全面のいずれかの場所が腐食貫通する
ことによって腐食を検知できる利点がある。例えば孔食
のような局部腐食の場合、図1に示した実施の形態では
必ずしも薄肉部33上で孔食が発生するとは限らず、薄
肉部33以外で発生した孔食については検知できない。
本実施の形態では円板34と被試験体1との間にすき間
48が存在するので、円板34のいずれかの場所が腐食
貫通すると外界の流体が円板34と被試験体1とのすき
間48を通って内室4へ侵入するため、広い面積で腐食
を検知できる利点を有する。
【0043】さらに、被試験体1の加工が容易であり、
内室4の内径を極めて小さくでき、機械的破壊に対する
抵抗力を大きくすることができる。また、円板34の肉
厚も精度良く制御できるため腐食速度測定の精度向上を
図ることも容易となる。以上では、内室の圧力変化を利
用した腐食センサの実施の形態について説明したが、圧
力変化以外の手段を用いても腐食を検知することができ
る。
【0044】図7は、チューブの出口に流体を検知する
手段を設けた腐食センサを示す図である。金属製のチュ
ーブ17の下端面には任意の肉厚を有する円盤状の被試
験体1が接合され、チューブ17のもう一端は流体検知
部18につながれている。この他、棒の中心部をくり抜
き、一体成形して被試験体として用いることもできる。
ここでは加工のし易さから、円盤状の被試験体1をチュ
ーブ17に接合したものを用いた。
【0045】チューブ17は、中心が貫通した固定ボル
ト22により配管8に固定されている。流体検知部18
は、チューブ17を通って流れてくる流体を貯蔵するタ
ンク19と、タンク19の流体の電気伝導性を検知する
2本の電極と抵抗測定器23から構成される。タンク1
9には、オーバーフローした流体を排出するドレン21
が接続されている。チューブ17の内室は気体を充填し
て配管内より低い圧力に設定する。
【0046】被試験体1及びチューブ17の材質は腐食
状況を監視する対象の配管8と同質とし、被試験体1の
肉厚は配管8の腐食しろと同じ値を選んである。配管8
内を流れる流体により配管8、被試験体1、及びチュー
ブ17は腐食減肉する。最初に肉厚の最も薄い部分で被
試験体1が腐食貫通し、配管8を流れる流体がチューブ
17内に流入する。流入した流体はタンク19に到達す
ると、電極20及び抵抗測定器23で流体の電気的な導
電性が感知される。この時の抵抗測定器23の指示値
は、予めチューブ17内に充填されていた流体の電気伝
導率が配管8内を流れる流体より高いときは低い値を示
し、逆に充填されていた流体の電気伝導率が低い場合は
高い値を示すようになる。このように抵抗測定器23の
指示を観察することによって、配管8の腐食量が腐食し
ろ分浸食したことを推定することができる。
【0047】この実施の形態では流体の検知を電気伝導
率の変化から判断したが、これに限るものではなく、例
えば貫通により流れてくる流体の温度であってもよい
し、湿度、色(透明度、吸光度)、化学変化など、どの
ような化学的、物理的手段を用いて検知してもよい。配
管8内を流れる流体の圧力が高圧で、被試験体1の腐食
貫通によりチューブ17以降が高圧にさらされる場合、
流体検出部18に損傷を与える危険性がある。このよう
な場合、例えば図7に示したチューブ17とタンク19
との間に保圧弁を設けることにより、腐食貫通時のタン
ク19への急激な圧力負荷を防止することが可能とな
り、流体検出部18を保護することができる。
【0048】図8は、被試験体の内室4に流体の電気伝
導率を測定できる電極を配した腐食センサの構造を示す
図である。内室4を設けたボルト型の被試験体1を、金
属製の配管8に固定してある。被試験体1の材質は、配
管と同じものを選んである。被試験体1の内室4の底部
中心には針状の切欠28が施されており、切欠28の頂
点から被試験体1表面までの肉厚を配管8の腐食しろと
等しくなるように加工してある。内室4の入口側には金
属電極26が電極固定ボルト27で固定されている。内
室4は配管8の内部より圧力が低くなるように気体が充
填されている。金属電極26は、電極固定ボルト27と
電気的な接触を避けるために絶縁チューブ25で被覆さ
れている。さらに金属電極26は抵抗測定器23と電気
的に接続されている。
【0049】配管8内を流れる流体により配管8及び被
試験体1が腐食を受け、次第に減肉する。その結果、被
試験体1は肉厚の薄い切欠28の部分で真っ先に貫通
し、配管8内の流体が内室4に充満する。これによって
抵抗測定器23によって指示される金属電極26とグラ
ンド24の間の抵抗値が変化し、腐食発生を検知するこ
とができる。
【0050】図8の例では金属電極26を1本とし、グ
ランド24との間での抵抗を測定したが、内室4に2本
の金属電極26を設置し、グランド24を使用する代わ
りに両電極間の抵抗を測定してもよい。本実施の形態に
よれば、内室4と外界との圧力差を小さくしても腐食発
生を検知できるため、腐食進行に伴う検出部の機械的破
壊を防ぐことができるため、被測定環境の圧力変動が激
しいときなどの場合、特に有利である。
【0051】これまで述べてきた腐食センサが対象とす
る腐食形態は、主に表面が解放された環境で生じる全面
腐食、孔食、粒界腐食、エロージョン・コロージョン、
露点腐食、高温酸化などである。この他、すき間が優先
的に腐食するすき間腐食については、次のようにして検
出することができる。図9は、被試験体1の外表面側の
底面にすき間を設けた腐食センサの構造を示す図であ
る。内室4を設けたボルト型の被試験体1の外表面底部
に、2段円盤型のすき間材31が支持板32で固定され
ている。内室4には圧力計導入管2を介して圧力計3が
接続され、内室4は密封されている。
【0052】すき間腐食は、すき間内と外界との物質移
動が制限されることにより生じる腐食である。すき間内
で不動態を維持するための酸素が消費されると、酸素濃
淡電池が形成され、すき間内がアノードとなり、腐食活
性化する。外界(自由表面)では常に酸素が供給される
ため、ここがカソードとなり、腐食電池を形成する。さ
らに、すき間内では腐食生成物が加水分解することで溶
液のpHが低下し、活性溶解を始め、腐食の進行が一層
激しくなる。被試験体1の底面にすき間材31を設ける
ことで、被試験体1とすき間材の界面ですき間腐食が進
行し、やがては貫通する。すき間材31は被試験体1と
同一材質であるか、絶縁体である必要がある。同一材質
の場合はすき間材31の腐食減肉を考慮に入れる必要が
あるので、肉厚は内室4の底部の肉厚より大きくする。
【0053】もう一つの腐食形態であるガルバニック腐
食が問題となるときは、すき間腐食と同じように、すき
間材31の材質を被試験体1と異なる材質の異種金属に
換えることによってこれを検知することができる。この
場合は、異種材の面積が腐食速度に大きな影響をおよぼ
すので、それぞれの使用条件に応じて面積比を変える必
要がある。
【0054】本発明の腐食センサをプラントに組み込む
と、腐食センサからの信号をプラント制御のために利用
することができる。例えば、腐食センサの信号をプラン
トの制御系に導入し、腐食センサが腐食した旨の信号を
発したときに、警報を発する、運転の負荷を低減する、
運転を停止するなどの制御を行うことができる。その一
例として、本発明の腐食センサを有機廃棄物の超臨界水
酸化処理プラントに組み込んだ場合の例を図10を用い
て説明する。
【0055】高温高圧用の反応器36はヒータ37によ
り加熱され、高温高圧に保たれる。反応器36内の温度
は熱電対38により測定された温度を基に、制御システ
ム39により所定の値に制御される。反応器36の腐食
発生をモニタリングする腐食センサ40が反応器36の
側筒部に設けられている。腐食センサ40は、例えば図
1に示した圧力変化型のものを使用する。電気信号に変
換された腐食センサからの信号は制御システム39に入
力される。有機廃棄物タンク41には液体状の有機物が
貯えられ、反応開始時は輸送ポンプ42により有機廃物
タンク41中の有機物が反応器36へ輸送され、これと
同時に有機物を燃焼させるための酸素が酸素タンク43
から昇圧ポンプ44により反応器36へ導入される。反
応が完了した廃棄物は冷却器45、保圧弁46を通り、
廃棄タンク47へ反応器36の内圧を利用して送られ
る。
【0056】有機物の超臨界水酸化時に腐食性の強い物
質が生成することがあり、反応器36を腐食減肉させる
おそれがある。腐食センサ40の被試験体1に反応器1
と同材質を選び、薄肉部33の厚さを反応器36の腐食
しろと同じにする。反応器36と被試験体1が同じ速度
で腐食するので、薄肉部33が腐食により先に貫通し、
圧力変化を示す。腐食センサ40は圧力が変化した旨の
電気信号を制御システム39へ出力し、その情報を受け
た制御システム39は、反応器36の温度を下げるよう
にヒータ37への給電を停止する。これによって反応器
36が腐食貫通する前に安全にプラントを停止させるこ
とができ、プラントの安全性を保持できる。
【0057】
【発明の効果】本発明によると、簡便な機構で高温高圧
下における構造材料の腐食発生状況、腐食減肉速度を求
めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による腐食センサの一例を表す断面図。
【図2】圧力差が大きいときの被試験体の薄肉部の構造
についての例を示した図。
【図3】円筒状の被試験体の側筒部に薄肉部を設けた腐
食センサの例を示す断面図。
【図4】配管に腐食センサを配置した例を示す図。
【図5】被試験体に複数の内室を設けた腐食センサの例
を示す図。
【図6】被試験体底面に円板を全周にわたって溶接した
腐食センサの例を示す図。
【図7】チューブの出口に流体を検知する手段を設けた
腐食センサの例を示す図。
【図8】流体の電気伝導率を測定できる電極を配した腐
食センサの例を示す図。
【図9】被試験体の底面にすき間を設けた腐食センサの
例を示す図。
【図10】腐食センサをプラントに組み込んだ場合の例
を説明する図。
【符号の説明】 1…被試験体、2…圧力計導入管、3…圧力計、4…内
室、5…出入り口、6…止め弁、7…導入孔、8…配
管、9…圧力調整部、10…配管内圧力計、11…演算
部、12…入口電磁弁、13…加圧ポンプ、14…出口
電磁弁、15…保圧弁、16…流体貯蔵タンク、17…
チューブ、18…流体検知部、19…タンク、20…電
極、21…ドレン、22…固定ボルト、23…抵抗測定
器、24…グランド、25…絶縁チューブ、26…金属
電極、27…電極固定ボルト、28…切欠、29…円筒
管、30…溶接、31…すき間材、32…支持板、33
…薄肉部、34…円板、35…溶接部、36…反応器、
37…ヒータ、38…熱電対、39…制御システム、4
0…腐食センサ、41…有機廃棄物タンク、42…輸送
ポンプ、43…酸素タンク、44…昇圧ポンプ、45…
冷却器、46…保圧弁、47…廃棄タンク、48…すき
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 隆二 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 国谷 治郎 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 Fターム(参考) 2G050 AA01 BA03 BA10 BA11 CA04 DA01 EA01 EA04 EB02 EC03

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 密封された内室を有する被試験体と、前
    記内室の圧力を測定する圧力計測部とを備える腐食セン
    サであって、 前記内室は外界との間に圧力差を生じるように気体及び
    /又は液体が充填され、前記被試験体は少なくとも一箇
    所に他の部位より肉厚の薄い薄肉部を有し、前記薄肉部
    は肉厚が0.01mm以上のとき外界と前記内室との間
    の圧力差で発生する応力が前記薄肉部を構成する材料の
    降伏応力あるいは耐力より小さくなる構造を有すること
    を特徴とする腐食センサ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の腐食センサにおいて、薄
    肉部近傍での前記内室の直径が該薄肉部の肉厚より小さ
    いことを特徴とする腐食センサ。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の腐食センサにおいて、前
    記内室側から前記被試験体に小口径の有底孔又は針状も
    しくは円錐状の孔を設けることで前記被試験体に薄肉部
    を形成したことを特徴とする腐食センサ。
  4. 【請求項4】 内部に外界の流体と異なる電気伝導率を
    有する媒体を充填して密封された内室を有し、少なくと
    も一箇所に他の部位より肉厚の薄い薄肉部を有する被試
    験体と、前記被試験体から電気的に絶縁されて前記内室
    に挿入された少なくとも1本の電極と、前記電極と前記
    被試験体との間あるいは複数挿入された前記電極間の電
    気抵抗を測定する手段とを備えることを特徴とする腐食
    センサ。
  5. 【請求項5】 各々密封された複数の内室を有する被試
    験体と、各内室の圧力を測定する圧力計測部とを備える
    腐食センサであって、 各内室は、該内室から被試験体表面までを最短距離で結
    ぶ薄肉部の肉厚が各々異なるとともに外界との間に圧力
    差を生じるように気体及び/又は液体が充填され、前記
    薄肉部は肉厚が0.01mm以上のとき外界と前記内室
    との間の圧力差で発生する応力が前記薄肉部を構成する
    材料の降伏応力あるいは耐力より小さくなる構造を有す
    ることを特徴とする腐食センサ。
  6. 【請求項6】 内室を有する被試験体と、前記被試験体
    の内室に連通する流体検出手段とを備え、腐食により前
    記被試験体が貫通することによって前記内室に流入した
    外界の流体を前記流体検出手段によって検出することを
    特徴とする腐食センサ。
  7. 【請求項7】 一側面に開放する内室を有する本体と、
    前記内室の開放部を塞ぐように前記側面に接触し外周に
    沿って前記本体と接合された前記開放部より大きく前記
    本体より薄肉の平板からなる被試験体と、前記内室の圧
    力を測定する圧力計測部とを備え、前記内室には外界と
    の間に圧力差を生じるように気体及び/又は液体が充填
    されていることを特徴とする腐食センサ。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項記載の腐食
    センサにおいて、前記被試験体の外表面にすき間を構成
    するための部材を追加したことを特徴とする腐食セン
    サ。
  9. 【請求項9】 請求項6記載の腐食センサにおいて、前
    記内室と前記流体検出手段を結ぶ管路中に保圧弁を設
    け、前記内室の圧力を一定に保持することを特徴とする
    腐食センサ。
  10. 【請求項10】 請求項1〜8のいずれか1項記載の腐
    食センサにおいて、前記内室の圧力を調整する手段を備
    え、外界と前記内室との間の圧力差を略一定に調整する
    ことを特徴とする腐食センサ。
  11. 【請求項11】 請求項1〜8のいずれか1項記載の腐
    食センサにおいて、前記内室は真空排気されていること
    を特徴とする腐食センサ。
  12. 【請求項12】 請求項1〜11のいずれか1項記載の
    腐食センサを備え、前記腐食センサの信号をプラントの
    制御系に導入し、腐食センサから腐食が発生した旨の信
    号が発せられたときに警報を発する、あるいはプラント
    の運転を制御して負荷を減少させる、あるいは運転を中
    止することを特徴とするプラント。
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