JP2000169941A - 耐アウトガス性および耐食性に優れた快削フェライト系ステンレス鋼およびステンレス鋼部品の加工方法 - Google Patents
耐アウトガス性および耐食性に優れた快削フェライト系ステンレス鋼およびステンレス鋼部品の加工方法Info
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Abstract
ェライト系ステンレス鋼を提供する。 【解決手段】 重量%で、C:0.08%以下、Si:
0.10〜1.00%、Mn:1.00〜3.00%、
P:0.04%以下、S:0.10%以下、Cu:0.
02〜1.50%、Ni:0.02〜1.50%、C
r:15.0〜25.0%、N:0.035%以下、S
e:0.30〜0.80%、O:0.0080〜0.0
250%、その他適宜の有効成分を含み、残部Feおよ
び不純物からなる耐アウトガス性および耐食性に優れた
快削フェライト系ステンレス鋼。
Description
上げ加工性および耐食性が必要とされ、かつまた、使用
中においてH2Sガスなどの有害なガス放出を抑制する
必要性のある機器ないしは部品の素材として利用するの
に適した耐アウトガス性および耐食性に優れた快削フェ
ライト系ステンレス鋼に関し、さらにまた、前記快削フ
ェライト系ステンレス鋼よりなる部品の加工方法に関す
るものである。
をはじめとするコンピュータ部品,プリント基板近接部
品などの各種電子機器では、一般に、AgやCuの接点
などからなる部材をも含めたプリント基板が用いられ
る。
く、使用されている部品からH2Sガスが発生すると硫
化されることによって支障が起きる。
を向上させるために従来よりSを含有させたものが多く
用いられてきたが、このようなSを含むフェライト系ス
テンレス鋼ではH2Sガスが発生することから、上述し
た硫化防止の点から使用を抑制することが望まれてい
る。
のMn/S比を下げることにより硫化物の耐溶出性を高
めて、H2Sガスの発生を抑制することも提案されてい
るが、Mn含有量を少なくするのに伴って製造性が低下
し、コスト高になる傾向があるという問題があった。
果はかなり大きいものの、Sを含有する限りはH2Sガ
スの発生の懸念は皆無ではないという課題があった。
がみてなされたものであって、H2Sガス等の有害なガ
スの放出を抑制することが可能で耐アウトガス性の信頼
性が極めて高く、しかも被削性および耐食性にも優れた
フェライト系ステンレス鋼およびこれを素材とする部品
を提供することをを目的としている。
ガス性および耐食性に優れた快削フェライト系ステンレ
ス鋼は、請求項1に記載しているように、重量%で、
C:0.08%以下、Si:0.10〜1.00%、M
n:1.00〜3.00%、P:0.04%以下、S:
0.10%以下、Cu:0.02〜1.50%、Ni:
0.02〜1.50%、Cr:15.0〜25.0%、
N:0.035%以下、Se:0.30〜0.80%、
O:0.0080〜0.0250%、残部Feおよび不
純物からなる成分組成を有するものとしたことを特徴と
している。
よび耐食性に優れた快削フェライト系ステンレス鋼の実
施態様においては、請求項2に記載しているように、M
o:0.50〜3.00%,W:0.25〜1.50%
のうちの1種または2種を含むものとしたことを特徴と
している。
よび耐食性に優れた快削フェライト系ステンレス鋼の実
施態様においては、請求項3に記載しているように、P
b:0.03〜0.25%,Bi:0.03〜0.25
%,Te:0.01〜0.15%のうちの1種または2
種以上を含むものとしたことを特徴としている。
よび耐食性に優れた快削フェライト系ステンレス鋼の実
施態様においては、請求項4に記載しているように、
B,Ca,Mg,REMのうちの1種または2種以上:
0.0005〜0.0100%を含むものとしたことを
特徴としている。
よび耐食性に優れた快削フェライト系ステンレス鋼の実
施態様においては、請求項5に記載しているように、N
b,V,Ti,Zr,Hf,Taのうちの1種または2
種以上:0.03〜0.50%を含むものとしたことを
特徴としている。
の加工方法は、請求項6に記載しているように、請求項
1ないし5のいずれかに記載の鋼を素材として所定形状
に加工し、その後例えば常温〜350℃の酸化性雰囲気
に曝す不動態化処理を行うようにしたことを特徴として
いる。
食性に優れた快削フェライト系ステンレス鋼は、上記し
た化学成分組成を有するものであって、従来被削性向上
のために含有させていたSを使用中におけるH2Sガス
の放出抑制のために規制し、Sの規制による被削性の低
下は同じような被削性向上の効果を有するSeの含有に
より補う。
の効果はSに比べておよそ半分程度であるので、2倍程
度に多く含有させることが必要であるが、これによって
熱間加工性が低下する傾向となる。
て熱間加工性の低下を補うようにしている。
向上させるためにMoやWを含有させることも可能であ
る。
向上させるために使用目的上において問題のない限りP
b,Bi,Teの1種以上を含有させることも可能であ
る。
一層向上させるためにB,Ca,Mg,REMの1種以
上を含有させることも可能である。
細化して靭性をさらに向上させるために、Nb,V,T
i,Zr,Hf,Taの1種以上を含有させることも可
能である。
性に優れたステンレス鋼部品の加工方法では、耐食性を
より一層改善するため、前記成分組成の快削フェライト
系ステンレス鋼を素材として所定形状に加工した後例え
ば常温〜350℃程度の温度の酸化性雰囲気に曝す不動
態化処理を行うようになすことも可能である。
いる硝酸等の酸化性酸中への浸漬のほか、雰囲気を制御
した熱処理により不動態化するようにしてもよい。
び耐食性に優れた快削フェライト系ステンレス鋼の成分
組成(重量%)の限定理由についてさらに詳細に説明す
る。
させると共に、固溶強化元素として働くことにより母相
の硬さを高めて被削性を低下させるために規制する必要
があるが、極端な低減はコストの上昇をもたらすことか
ら、0.08%以下、望ましくは0.03%以下とする
のが良い。
0%以上、望ましくは0.15%以上とするのが良い
が、多量のSi含有は金属間化合物の析出を増長するほ
か、母相強度を増加して被削性を低下させるので、1.
00%以下、望ましくは0.70%以下、さらに望まし
くは0.50%以下とするのが良い。
と共に、Seの多量添加による熱間加工性の低下を補う
ことによって良好なる熱間加工性の確保に有効であるの
で、1.00%以上、望ましくは1.50%以上含有さ
せる。
劣化させることとなるので、3.00%以下、望ましく
は2.50%以下とするのが良い。
ので、できるだけ少ないことが望ましく、製造コストと
の兼ね合いで0.04%以下、望ましくは0.03%以
下とするのが良い。
スの放出抑制の面からは低ければ低いほど望ましいが、
製造コストとの兼ね合いから0.10%以下、望ましく
は0.05%以下、さらに望ましくは0.01%以下と
するのが良い。 Cu:0.02〜1.50% Cuは耐食性、とくに還元性酸環境中での耐食性を向上
するのに有効であるので、0.02%以上、望ましくは
0.05%以上とするのが良いが、必要以上の添加は相
安定性を低下させると共に焼鈍時の硬さの上昇を招くこ
ととなるので、1.50%以下、望ましくは1.00%
以下とするのが良い。
するのに有効であるので、0.02%以上、望ましくは
0.10%以上とするのが良いが、必要以上の添加は相
安定性を低下させると共に焼鈍時の硬さの上昇を招くこ
ととなるので、1.50%以下、望ましくは1.00%
以下とするのが良い。
良好な耐食性を確保するための必須の元素であり、1
5.0%以上、望ましくは19.0%以上含有させる。
しかし、多量の含有は相安定性を低下させると共に熱間
加工性を劣化させることとなるため25.0%以下、望
ましくは24.0%以下とするのが良い。
化させることから上限規制する必要があり、製造コスト
をも考慮して0.035%以下、望ましくは0.030
%以下とするのが良い。
効な元素であり、添加量が多いほど被削性は向上するの
で、0.30%以上、望ましくは0.35%以上、さら
に望ましくは0.40%以上とするが、過剰の添加は熱
間加工性を劣化させると共にコストの上昇を招くことか
ら0.80%以下、望ましくは0.60%以下とするの
が良い。
一定以上の添加、望ましくは0.0080%以上、さら
に望ましくは0.0100%以上とするのが良いが、過
剰に含有すると多量の酸化物を生成して逆に被削性を低
下させることから0.0250%以下、望ましくは0.
0220%以下とするのが良い。
5〜1.50%のうちの1種または2種 Mo,Wはフェライト系ステンレス鋼の耐食性をより一
層向上させるのに有効な成分であるので、必要に応じM
oについては0.50%以上、Wについては0.25%
以上含有するものとなすのも良いが、多量に含有すると
熱間加工性を低下させると共にコストの上昇を招くこと
から、Moについては3.00%以下、Wについては
1.50%以下とするのが良い。
03〜0.25%,Te:0.01〜0.15%のうち
の1種または2種以上 Pb,Bi,Teはフェライト系ステンレス鋼の被削性
をさらに向上させるのに有効な成分であるので、必要に
応じPbについては0.03%以上、Biについても
0.03%以上、Teについては0.01%以上含有す
るものとなすのも良いが、多量に含有すると熱間加工性
を低下させる傾向となるため、Pbについては0.25
%以下、Biについても0.25%以下、Teについて
は0.15%以下とするのが良い。
は2種以上:0.0005〜0.0100% B,Ca,Mg,REM(ミッシュメタル(Mm)を含
む希土類元素の1種または2種以上)はフェライト系ス
テンレス鋼の熱間加工性および被削性の向上に有効な成
分であるので、必要に応じこれらの1種または2種以上
の合計で0.0005%以上含有するものとなすのも良
いが、多量に含有すると鋼の清浄度を低下させることと
なるため、含有するとしてもこれらの合計で0.010
0%以下とするのが良い。
の1種または2種以上:0.03〜0.50% Nb,V,Ti,Zr,Hf,Taは結晶粒を微細化
し、固溶強化等により靭性をさらに向上するのに有効な
成分であるので、必要に応じこれらの1種または2種以
上の合計で0.03%以上含有するものとなすのも良い
が、多量に含有すると炭窒化物を形成し、鋼の清浄度を
低下させて被削性を劣化させることとなるので、含有す
るとしてもこれらの合計で0.50%以下とするのが良
い。
を有するフェライト系ステンレス鋼の鋼塊(重量50k
g)を製造し、熱間鍛造を行って直径60mmφおよび
直径20mmφの丸棒材を得たのち、各丸棒材に対して
750〜820℃での焼鈍を行った。
3が本発明鋼、供試材No.14がS含有量の多いSU
S430F鋼、供試材No.15がSe含有量の不十分
な鋼、供試材No.16がSeを適量含有しているもの
のS含有量の多すぎる鋼、供試材No.17がO含有量
の多すぎる鋼、供試材No.18がCr含有量の少なす
ぎる鋼である。
て、下記条件による旋削試験およびドリル試験を行っ
た。
m) ◎ドリル試験 ・工具 :SKH9 5mmφ ・送り :0.07mm/rev ・穴深さ :15mm ・切削油 :なし(乾式) ・工具寿命:(穿孔不可能)5000mmとなる切削速
度(m/min) これらの結果を表2の旋削試験およびドリル試験の欄に
示す。
て、焼入れ(1000℃×0.5h油冷)および焼戻し
(180℃×1h空冷)を施したのち、硬さの測定を行
った。そして、5点の平均値を求めたところ、表2の硬
さの欄に示す結果であった。
し材を15mm×3mm×25mmの寸法に加工したの
ち、全面を#400で研磨仕上げし、続いて、温度:5
0℃,酸化性雰囲気:30%硝酸+2%重クロム酸カリ
ウム,時間:1hの条件による不動態化処理を行ってア
ウトガス試験片とすることによりアウトガス試験(n=
2)を実施した。
上記アウトガス試験片と、5mm×10mmのAg箔
と、0.5ccの純水を入れ、85℃で20時間保持し
た後のAg箔の色の変化(すなわち、Ag2Sの生成度
合い)を調べた。
ものをクラスAとし、変色大のもの(アウトガス発生量
が大のもの)をクラスFとする6段階評価(すなわち、
A>B>C>D>E>F)にて行った。この結果を同じ
く表2のアウトガス試験の欄に示す。
材を直径10mmφ×50mmの寸法に加工したのち、
全面を#320で研磨仕上げし、続いて上記と同様の条
件による不動態化処理を行って湿潤試験片とすることに
より湿潤試験(n=3)を実施した。
98%、時間:96h保持した後の錆発生の有無を調べ
た。
いものをクラスAとし、全面に錆発生したものをクラス
Fとする6段階評価(すなわち、A>B>C>D>E>
F)にて行った。この結果を同じく表2の湿潤試験の欄
に示す。
うに、S含有量の多いSUS430F鋼である供試材N
o.14ではH2Sガスを発生するためアウトガス試験
における変色が大であり、Se含有量が不十分である供
試材No.15では被削性が劣り、Seを適量含有して
いるもののS含有量が多い供試材No.16においても
H2Sガスを発生するものとなっており、O含有量の多
すぎる供試材No.17においては被削性が劣り、Cr
含有量の少ない供試材No.18においては耐食性に劣
るものとなっていた。
No.13の供試材では、いずれも、耐アウトガス性お
よび耐食性に優れ、被削性にも優れたものであることが
認められた。
では、請求項1に記載しているように、重量%で、C:
0.08%以下、Si:0.10〜1.00%、Mn:
1.00〜3.00%、P:0.04%以下、S:0.
10%以下、Cu:0.02〜1.50%、Ni:0.
02〜1.50%、Cr:15.0〜25.0%、N:
0.035%以下、Se:0.30〜0.80%、O:
0.0080〜0.0250%、残部Feおよび不純物
からなる成分組成を有するものとしたから、使用中にお
いてH2Sガスなどの有害ガスを放出することがなく、
耐アウトガス性に優れていると共に耐食性にも優れたも
のであり、さらにまた被削性にも優れた快削フェライト
系ステンレス鋼であるという著大なる効果がもたらされ
る。
Mo:0.50〜3.00%,W:0.25〜1.50
%のうちの1種または2種を含むものとすることによっ
て、耐アウトガス性および耐食性に優れた快削フェライ
ト系ステンレス鋼の耐食性をより一層高めることが可能
であるという著大なる効果がもたらされる。
に、Pb:0.03〜0.25%,Bi:0.03〜
0.25%,Te:0.01〜0.15%のうちの1種
または2種以上を含むものとすることによって、耐アウ
トガス性および耐食性に優れた快削フェライト系ステン
レス鋼の被削性をより一層高めることが可能であるとい
う著大なる効果がもたらされる。
に、B,Ca,Mg,REMのうちの1種または2種以
上:0.0005〜0.0100%を含むものとするこ
とによって、耐アウトガス性および耐食性に優れた快削
フェライト系ステンレス鋼の熱間加工性をより一層高め
ることが可能であるという著大なる効果がもたらされ
る。
に、Nb,V,Ti,Zr,Hf,Taのうちの1種ま
たは2種以上:0.03〜0.50%を含むものとする
ことによって、結晶粒を微細化し、耐アウトガス性およ
び耐食性に優れた快削フェライト系ステンレス鋼の靭性
をより一層高めることが可能であるという著大なる効果
がもたらされる。
によれば、請求項6に記載しているように、請求項1な
いし5のいずれかに記載の鋼を素材として所定形状に加
工し、その後例えば常温〜350℃の酸化性雰囲気に曝
す不動態化処理を行うようにしたから、耐アウトガス性
および耐食性に優れたステンレス鋼部品の製造を行うこ
とが可能であるという著大なる効果がもたらされる。
Claims (6)
- 【請求項1】 重量%で、C:0.08%以下、Si:
0.10〜1.00%、Mn:1.00〜3.00%、
P:0.04%以下、S:0.10%以下、Cu:0.
02〜1.50%、Ni:0.02〜1.50%、C
r:15.0〜25.0%、N:0.035%以下、S
e:0.30〜0.80%、O:0.0080〜0.0
250%、残部Feおよび不純物からなることを特徴と
する耐アウトガス性および耐食性に優れた快削フェライ
ト系ステンレス鋼。 - 【請求項2】 Mo:0.50〜3.00%,W:0.
25〜1.50%のうちの1種または2種を含むことを
特徴とする請求項1に記載の耐アウトガス性および耐食
性に優れた快削フェライト系ステンレス鋼。 - 【請求項3】 Pb:0.03〜0.25%,Bi:
0.03〜0.25%,Te:0.01〜0.15%の
うちの1種または2種以上を含むことを特徴とする請求
項1または2に記載の耐アウトガス性および耐食性に優
れた快削フェライト系ステンレス鋼。 - 【請求項4】 B,Ca,Mg,REMのうちの1種ま
たは2種以上:0.0005〜0.0100%を含むこ
とを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の耐
アウトガス性および耐食性に優れた快削フェライト系ス
テンレス鋼。 - 【請求項5】 Nb,V,Ti,Zr,Hf,Taのう
ちの1種または2種以上:0.03〜0.50%を含む
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の
耐アウトガス性および耐食性に優れた快削フェライト系
ステンレス鋼。 - 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかに記載の鋼
を素材として所定形状に加工し、その後酸化性雰囲気に
曝す不動態化処理を行うことを特徴とする耐アウトガス
性および耐食性に優れたステンレス鋼部品の加工方法。
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US7326306B2 (en) | 2001-10-16 | 2008-02-05 | Honda Giken Kogyo Kabushiki Kaisha | Method for producing nitriding steel |
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1998
- 1998-12-03 JP JP34388998A patent/JP4106778B2/ja not_active Expired - Fee Related
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