JP2000167497A - ウォータージェットノズル - Google Patents

ウォータージェットノズル

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JP2000167497A JP10349049A JP34904998A JP2000167497A JP 2000167497 A JP2000167497 A JP 2000167497A JP 10349049 A JP10349049 A JP 10349049A JP 34904998 A JP34904998 A JP 34904998A JP 2000167497 A JP2000167497 A JP 2000167497A
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一教 佐藤
Tadaaki Mizoguchi
忠昭 溝口
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曜明 松本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ノズルの噴出孔先端におけるカップ型空洞部
内で、キャビテーションを促進させること。 【解決手段】 中心の噴出孔19から高速水噴流14を
噴射し、中心噴出孔の先端に略カップ型の空洞部11を
設け、付着物の破壊除去、又は水中有害物の破細ないし
分解を行うウォータージェットノズルにおいて、前記中
心噴出孔19からの高速水噴流14に対して逆行するよ
うな角度θで、低速水流22を前記空洞部の外側から高
速水噴流へ向けて、前記高速水噴流と同時に噴出させる
ように構成するウォータージェットノズル。また、前記
低速水流22を、前記略カップ型空洞部の内壁に開口す
る複数の噴出孔から噴出させること。また、前記低速水
流22を、前記略カップ型空洞部の内壁に設けたスリッ
ト状の開口部21から噴出させるウォータージェットノ
ズル。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、キャビテーション
を利用するウォータージェットノズルに関するもので、
付着物除去・洗浄・有害物破細及び反応促進に応用でき
る技術に係わるものである。
【0002】
【従来の技術】高強度付着物の代表例として燃焼炉の炉
壁や伝熱管に付着して固化したクリンカ状灰を取り上げ
て説明する。石炭焚ボイラや重質油焚ボイラでは、灰粒
子が高温で溶融し、伝熱面に付着する。ボイラ火炉の上
部にある吊下げ型の過熱器(2次過熱器)に付着した灰
は大きな塊状に成長し、ハードクリンカとなる。この付
着ハードクリンカの一部は、ボイラ停止時に、熱衝撃の
ために伝熱管から剥離し、炉底ホッパへ落下するが、剥
離・落下することなくそのまま伝熱管に付着して残るハ
ードクリンカも多い。
【0003】このような付着ハードクリンカの成長は、
ボイラ火炉の熱負荷、ガス温度や燃料種の性状(灰の融
点)等の複合作用によるとされているが、詳細なメカニ
ズムまでは未だ分かっていない。
【0004】付着ハードクリンカが著しく成長すると、
ボイラが稼働中の場合は、炉内ガス流の流動抵抗となる
し、炉底へ落下すればホッパ伝熱管に損傷を与えたり、
あるいはクラッシャにとって過大な負担となる場合もあ
る。さらにこのハードクリンカは、定期点検時の火炉保
修作業の大きな支障となり、突然落下すれば炉内作業者
にとって大変に危険である。したがって、この付着ハー
ドクリンカを除去するために、これまでに多大な労力が
費やされてきている。
【0005】このハードクリンカの除去法の一例は、ノ
ーズの上部に簡易足場を組み、作業者が水洗用のガン
(ノズルアーム)を操り、水噴流をハードクリンカに向
けて吹きつける方法である。
【0006】この方法によれば、比較的脆弱なクリンカ
は除去できるが、ハードクリンカの全てを破壊すること
はかなり難しく、長大な水洗時間が必要になる。また、
簡易足場を組むことはボイラ火炉内の高所作業であり、
特殊な技能を有する作業者が必要である。しかしこの方
法は、簡易足場の組立及び解体作業に多くの時間と費用
を要するし、炉内足場上の作業は、狭いスペースにおい
て、ダスト、湿気、暑さなどのために環境的に良いとは
いえない。したがって、できるだけ短い時間で除去施工
を完了させることのできる新しい技術が求められてい
る。
【0007】このハードクリンカは著しく大きな塊状に
成長し、さらにきわめて高強度になる場合もある。これ
は、灰の融点の低い石炭を長期にわたり使い続けた場合
などによくあらわれる。融点が低いために、さほど高温
でなくとも灰が融けて流れ出すが、これが冷えて固化し
た場合、高強度となる。また、いったんこのような溶融
灰が伝熱管に付着し始めると、次々と付着して成長す
る。
【0008】吊下げ型伝熱管において、大きな塊状の高
強度のクリンカを、ウォータージェットノズルで効率良
く除去するために新しい工夫が必要である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来技術としてのウォ
ータージェットは、図11に示すように、気相中におい
てノズル1から高圧水2を噴射するものであって、ウォ
ータージェット6による高圧の衝撃力がクリンカ7に作
用する原理を利用するものである。このウォータージェ
ット6には乱れがあるから、高圧の衝撃力が変動し、高
強度付着物7に破壊痕(壊食部)8が生じるわけであ
る。図11で、3は噴出孔、4は高圧水供給流路、5は
径収縮部(絞り部)、をそれぞれ表す。
【0010】一方、先行技術には、キャビテーションを
利用する方法がある。図12に構造を断面図として示す
ノズル10は、高圧水2を噴射する中心噴出孔12の先
にカップ型の空洞部11を設け、この空洞部11の内部
に水中高速水噴流を作り出し、中心噴出孔12から噴出
する噴流にキャビテーションを発生させようとするもの
である。中心噴出孔12からいくら高圧で噴射しても空
洞部11の内部は水で充満しないので、このノズルで
は、中心噴出孔12の外周に環状開口部13を設け、こ
こから比較的低速の水9を噴射し空洞部11の内部を水
で充満させようとするものである。
【0011】このノズルの空洞部11の内部において生
じる現象を図13に模式的に示す。中心噴出孔12から
噴出する中心噴流14と、環状開口部13から噴出する
周囲流15の間には、これらの速度差に起因して小規模
なせん断渦16が生じる。このせん断渦16が、中心噴
流14に気泡核を供給したり、あるいは圧力脈動を与え
たりして、キャビテーションの発生に係るわけである
が、図12に示す構造のノズルでは、せん断渦16の作
用が弱く不安定であって中心噴流14に発生するキャビ
テーションは発達が不十分である。そのため、破壊対象
物に衝突した際に生じる衝撃力も強いとはいえない。
【0012】本発明の目的は、高強度付着物を効率良く
破壊除去するために、キャビテーションを利用するウォ
ータージェットを活かすに際し、キャビテーションの強
さを高めるための新しい構成、手法を提供することにあ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明は主として次のような構成を採用する。
【0014】中心の噴出孔から高速水噴流を噴射し、中
心噴出孔の先端に略カップ型の空洞部を設け、付着物の
破壊除去、又は水中有害物の破細ないし分解を行うウォ
ータージェットノズルにおいて、前記中心噴出孔からの
高速水噴流に対して逆行するような角度で、低速水流を
前記空洞部の外側から高速水噴流へ向けて、前記高速水
噴流と同時に噴出させるように構成するウォータージェ
ットノズル。
【0015】また、前記ウォータージェットノズルにお
いて、前記低速水流を、前記略カップ型空洞部の内壁に
設けたスリット状の開口部から噴出させるウォータージ
ェットノズル。
【0016】また、前記ウォータージェットノズルにお
いて、前記ノズルで作り出される水噴流の軸方向におけ
る衝撃圧分布での最初のピーク位置又は第2番目のピー
ク位置に前記付着物が存すように、前記ノズル位置を設
定するウォータージェットノズル。
【0017】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施形態に係る
ウォータージェット用ノズルを、燃焼炉内の伝熱管に付
着する高強度付着物の除去へ適用した場合の全体系統を
示す一例である。ウォータージェットとなる水38は、
水槽39に貯えられている。この水は、2台のプランジ
ャポンプ36及び37に送られ、所定の圧力まで昇圧さ
れ、それぞれの耐圧ホース34及び35を通じてノズル
本体17へと送給される。
【0018】プランジャポンプ36からは、相対的な低
圧水9が送り出される。一方、もう一台のプランジャポ
ンプ37からは、相対的な高圧水2が送り出される。2
本の耐圧ホースは管体であるノズルアーム31内を通
り、ノズル本体17に接続している。ノズル本体17に
おいては、後述するように高圧水と低圧水が混合してウ
ォータージェットとなり、除去対象物である高強度付着
物7に衝突する。ノズルアーム31は、移動機構32に
取り付いていて、ノズル本体17の位置を調整する。こ
のノズルアーム31は、燃焼炉29に開口する検査孔3
3から挿入し、ノズル本体17を対象にアプローチでき
るようにしている。
【0019】図2には、本発明を具体化したウォーター
ジェット用ノズルの構造を、軸方向の断面図、及び正面
からの視図として示す。ノズル本体17において、高圧
水2は、中心の高圧水流路18を通じて供給され、細い
噴出孔19において急減圧・急加速されて噴出し、中心
噴流14となる。噴出孔19の先端には、ドーム状の空
洞部11が開口しているので、この中心噴流14は、空
洞部11内に水が充満したときには、水中の高速水噴流
となる。
【0020】一方、低圧水9は、ノズル本体17におけ
る外周側の環状流通部である低圧水流路20を通じて導
かれ、前出の空洞部11の出口において開口するスリッ
ト状の環状開口部21を通じて噴出する。この環状開口
部21からは、低速水流22が、噴出角度θで、中心噴
流14の噴出方向に逆らうように噴出する。中心に吹き
出す中心噴流14と低速水流22は、このようにして、
空洞部11内において混合し、混合したまま空洞部11
の出口から吹き出して、後述するように複合的なウォー
タージェットとなる。低速水流を中心噴流に対して逆行
させる外に直角方向に噴出しても良い。
【0021】図2に示す実施形態では、スリット状の環
状開口部21から低速水流22が噴き出す。これに限ら
ず、低速水流22’は複数の噴出孔23から吹き出させ
ることもできる。図3は、その実施形態を示すものであ
って、低速水流22’は、ノズル本体17の円周方向に
等間隔で6個開口する低速水流噴出孔23から噴出す
る。空洞部11の内部において、中心噴流14と低速水
流22’が混合することは、図2に示した実施形態と同
様である。
【0022】図4の(1)は、本発明の実施形態に係る
ノズル内の挙動を模式的に描いたものである。空洞部1
1の出口端に開口する環状開口部21より吹き出す低速
水流22は、中心噴流14は流れの方向が逆であるた
め、相対速度も大きくなり、中心噴流14の界面には、
強力なせん断作用のためにせん断渦24が生じる。
【0023】一方、低速水流22の中には、キャビテー
ションの「種」となる気泡核が多量に含まれているの
で、中心噴流14には周囲から気泡核が供給されること
になる(25)。
【0024】このように、本発明は、パワフルなせん断
渦24を作り出し、また強制的な気泡核供給25によっ
て、キャビテーションを促進させるものであって、従来
技術並びに先行技術には無い特徴を有する。なお、空洞
部11の内部12は低速水流22によって水が充満する
ので、中心噴流14は、水中高速水噴流となる。また、
前記低速水流の流速が、前記高速水噴流の流速の1/3
以上4/5以下の範囲であって、前記低速水流の噴出流
量が高速水噴流の流量の1.2倍以上3.0倍以下の範
囲から選定すると、キャビテーションを一層促進するこ
とが分かった。
【0025】図4の(2)は、中心噴流14の挙動を模
式的に描いたものである。噴出孔19から噴出した直後
は、水芯部26があり、その周囲にはキャビテーション
40が発生する。上記したせん断渦24とキャビテーシ
ョン40の作用によって、水芯部26は分裂し、高速の
水塊27となって、高強度付着物7に断続的に衝突す
る。水塊27は、マシンガンから弾丸のように次々と衝
突し、高強度付着物7の内部に破壊しながらくい込み
(α)、鋭いクレバスのような破壊部8’をつくり出
す。
【0026】本発明を具体化した際の効果を、図5に示
すように、ウォータージェットの衝突により破壊痕(壊
食部)8の幅Wと深さhをもって評価することにした。
図6は、破壊対象の材料としてレンガを用いた実験結果
であり、本発明実施形態、従来技術(図11)ないし先
行技術(図12)の特性を比較したものである。スタン
ドオフ距離Xs(ノズル出口と対象材料との距離)を変
化させて、ウォータージェットの衝突によって生じた壊
食溝の深さを調べた。横軸のスタンドオフ距離Xsは、
噴出孔径Dで割ることにより無次元化した。一方、縦軸
における壊食溝の深さhは、従来技術における溝の深さ
o で割ることにより無次元化した。
【0027】従来技術(図11)では、Xs/D≒60
において、h/ho はピークを示すものの、そのレベル
は、他の例による特性に比べるとはるかに低い。本発明
になるウォータージェットノズル(図2)を用いた場合
には、スタンドオフ距離が短い条件において、つまりノ
ズル出口をレンガに近接させた場合、壊食溝が著しく深
まることがわかる。このhのレベルに関する結果は、類
似の傾向を示す先行技術(図12)の特性に比べても2
倍以上あって圧倒的である。これは、本発明の実施形態
に係るノズルにおいて、水塊27の衝突(図4の
(2))の威力が増強したからに他ならない。
【0028】図7には、同様にして破壊痕の幅Wを比較
して示す。縦軸における壊食溝の幅Wは、従来技術にお
ける壊食溝の最大幅WO で割ることにより無次元化し
た。従来技術では、スタンドオフ距離Xs/D≒60に
おいて、壊食溝の幅がピークとなる。これに対して、本
発明実施形態では、ノズルをレンガに近づけた条件にお
いて壊食溝の幅Wがピークを示すが、従来技術における
最大値に比べると明らかに低い。前出の図6の結果とと
もに考察すると、本発明になるウォータージェットノズ
ルを用いた場合には、従来技術と比べて、要するに狭く
深く切断したかのような壊食溝が生じるということにな
る。
【0029】これらの特徴を模式的に描いて比較したの
が図8である。従来式のウォータージェット法により生
じる破壊痕(壊食部)8は、浅く広がるようになり、結
局硬質材の破壊には不向きである。これに対して、本発
明になるウォータージェットノズルによる壊食痕14
は、狭く深く切断するかのようになるので、硬質材の破
壊除去に適しているといえる。
【0030】また、本発明の実施形態である、例えば図
2に示すノズルで作り出される水噴流の軸方向における
衝撃圧の分布を観察すると、ノズルの開口端から破壊除
去される付着物にかけて、衝撃圧は一様ではなくて大き
なピーク値を示す第1番目と第2番目のピークが存在す
る。このような水噴流のピーク値を示す箇所に付着物が
存するようにノズルの位置を設定すれば、付着物を効果
的に破壊除去できる。
【0031】図9は、本発明のウォータージェットノズ
ルを用いることによる効果を、高強度付着物除去の施工
時間tを用いて、従来技術あるいは先行例と比較したも
のである。高強度付着物除去の施工時間tは、従来技術
(図11)における高強度付着物除去の施工時間t*
割ることにより無次元化した。要するに、従来技術を適
用した際の時間を「1」として比較する。図12に示し
た先行例でも6割以下まで施工時間を短縮できるが、本
発明を実施する場合には、1/5にまで施工時間を短く
できることが分かる。
【0032】ウォータージェットによる施工時間を短縮
できるということは、使用水量も低減できるということ
である。図10には使用水量を比較した結果を示す。高
強度付着物の除去に使用する水流量Qwは、従来技術
(図11)において高強度付着物の除去に使用する水流
量Qw*で割ることにより無次元化した。従来技術に対
して、先行例と本発明実施形態では低速水流を使うため
に、前出の図9の施工時間と比例的に合致する関係には
ならないが、本発明実施形態では、使用水量を1/3以
下にまで著しく低減できることがわかる。この特性は、
先行例(図12)の使用水流量が従来技術とあまり違わ
ないのに比べると対照的である。本発明になるウォータ
ージェットノズルを用いれば、短い時間で少ない水流量
で施工が完了するので、プラントの予防保全の効率化を
図ることができるようになる。
【0033】本発明になるウォータージェットノズル
は、ボイラ伝熱管に付着するクリンカ状アッシュの除去
のみならず、全く異なる次のような分野へも直接適用す
ることが可能である。
【0034】(1)半導体シリコンウェハの洗浄 特殊な薬品を用いる必要の無い洗浄法として、図14に
示すようにな水中水噴流に発生するキャビテーションの
利用法がある。これによると、低圧水9のジェット中
に、同軸並行に高圧水2を噴射する。キャビテーション
の生じた水中水噴流をウェハ28に衝突させて、キャビ
テーションの作用で洗浄する。しかしながらこの方法に
よると、高圧水2と低圧水9が並行に流れるために相対
速度が小さく、せん断作用は乏しい。結果的に、キャビ
テーションも十分には発達しない。このようなシリコン
ウェハの洗浄に対しても、水中水噴流のキャビテーショ
ンを促進する本発明の適用は大変に有効である。
【0035】(2)有害物を含む水の浄化処理 キャビテーションを起こさせて有害物を分解・駆除する
技術がある。本発明は、中心からの高速水噴流に加え
て、その周囲の環状口から低圧水を噴射して多量の水の
浄化処理に適している。
【0036】上記(1)、(2)ともに、図2あるいは
図3になるウォータージェットノズルをほぼそのまま使
用することが可能である。
【0037】以上説明したように、本発明の実施形態
は、次のような構成と機能並びに作用を奏するものを含
むものである。
【0038】ノズルにおいて高速水噴流を噴出する中心
噴出孔の出口先端側に略カップ型の空洞部を設け、空洞
部の外縁・出口端側から、中心噴出孔からの高速水噴流
に逆行させるように低速の周囲流を噴出する。要する
に、カップ型空洞部内は水で充満され、中心軸上を高速
水噴流が噴出し、これに逆行するように周囲流が吹き出
す、という状況を作り出す。
【0039】中心の高速水噴流とこれに逆行する周囲流
の界面には、大きな速度勾配に起因して乱れの激しいせ
ん断層が作り出され、キャビテーションが著しく促進さ
れる。また周囲流からは、中心の高速水噴流へ、キャビ
テーションの核(Nuclei)が多量に供給される。
この核供給も、周囲から中心高速流に対し逆行するよう
に流入させるのが効果的である。キャビテーションの核
供給によっても、キャビテーションは大幅に促進され
る。
【0040】ノズルの噴出孔先端におけるカップ型空洞
部内で、キャビテーションを促進させる新しい手段を提
供するものである。そして、ノズルの先端に設けた略カ
ップ型の空洞部内において、空洞出口開口端近くから上
流側へ逆流する水流と、中心から高圧で吹き出す高速水
噴流の界面には、強いせん断作用が生じて、キャビテー
ションが著しく活発になる。このようなキャビテーショ
ンの促進効果が、互いに連成し合う2つの作用、即ち、
キャビテーション作用並びに水塊の分裂作用、の威力を
自己増幅的に高めている。
【0041】空洞部の開口端の近くから、上流へ逆流す
る周囲流は、中心の高速水噴流へキャビテーション発生
の核を多量に供給している。また、周囲流と中心の高速
水噴流の間には大きな速度勾配が生じて、この作用もキ
ャビテーションを促進する。キャビテーションの増幅に
よって、水流の乱れも強まるため、中心の高速水噴流が
断続的に水塊に分裂する作用も強まる。
【0042】結果的に、キャビテーションと水塊の断続
的分裂の作用が活発になるため、カップ型空洞部から噴
出する水流が付着物に衝突すると、これまでの先行技術
に比べて衝撃力が著しく強まり、付着物が用意に破壊し
やすくなって、付着物除去の効率が高まる。なお、図1
2の方法に比べると、本発明による方法の方が、ノズル
における圧力損失が3〜6%ほど高くなる。
【0043】
【発明の効果】本発明の奏する効果をまとめると以下の
ようになる。
【0044】(1)特に曲げ強度が15MPaを超えて
塊状に付着しているような高強度付着物に対しても、本
発明になるノズルを用いれば容易に破壊して伝熱管から
離脱させることができる。
【0045】(2)上記(1)の効果と関連し、高強度
付着物の除去し残しが無くなるので、炉内作業時に高強
度付着物が落下するようなトラブルは無くなる。したが
って、安全対策上有効である。
【0046】(3)上記(1)の効果によって、高強度
付着物除去の施工時間が短縮するので、コスト的に有利
である。
【0047】(4)ウォータージェットを同一の水量で
噴射しても、従来法に比べると短い時間で施工を終わら
せることができる。使用水量を減らせるので、コスト的
にも有利である。また、排水処理のコストも減らすこと
ができる。
【0048】(5)特殊な超高圧水を用いないので、汎
用のプランジャポンプや耐圧ホースの利用が可能であ
り、設備コスト的に有利である。
【0049】(6)カップ型空洞部材の内面を、例えば
熱CVD法によりダイヤモンドコーティングしておけ
ば、キャビテーションによる損耗が無くなり、ノズルの
交換が不要になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るウォータージェットノ
ズルを利用して高強度付着物を除去する場合の全体構成
図である。
【図2】本発明の実施形態に係るウォータージェットノ
ズルの構造を示す断面図である。
【図3】本発明の他の実施形態に係るウォータージェッ
トノズルの構造を示す断面図である。
【図4】本発明に係るウォータージェットノズル内のメ
カニズムを模式的に描いた図である。
【図5】高強度付着物に生じる破壊痕(壊食部)の形状
と寸法を定義する図である。
【図6】本発明と従来技術並びに先行技術を比較した実
験結果を示す図である。
【図7】本発明と従来技術並びに先行技術を比較した実
験結果を示す図である。
【図8】本発明による高強度付着物の破壊部の形状を従
来技術と比較した図である。
【図9】試験結果であり、本発明を実施することによる
効果を実証した図である。
【図10】試験結果であり、本考案を実施することによ
る効果を実証した図である。
【図11】従来技術を示す図である。
【図12】先行技術のノズルを示す図である。
【図13】先行技術のノズルにおける現象を模式的に描
いた図である。
【図14】洗浄分野における先行技術の例である。
【符号の説明】
2 高圧水 7 高強度付着物 9 低圧水 11 空洞部 14 中心噴流 17 ノズル本体 18 高圧水流路 19 噴出孔 20 低圧水流路 21 環状開口部 22 低速水流 24 せん断渦 25 気泡核供給 27 水塊 30 伝熱管 31 ノズルアーム 36,37 プランジャポンプ 39 水槽 40 キャビテーション
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松本 曜明 広島県呉市宝町6番9号 バブコック日立 株式会社呉工場内 (72)発明者 豊岡 康雄 広島県呉市宝町5番3号 バブ日立エンジ ニアリング株式会社内 Fターム(参考) 3B201 AA34 AB52 BB22 BB32 BB38 BB90 BB92 CB01 4F033 AA04 BA04 CA04 DA01 EA01 KA03 NA01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中心の噴出孔から高速水噴流を噴射し、
    中心噴出孔の先端に略カップ型の空洞部を設け、付着物
    の破壊除去、又は水中有害物の破細ないし分解を行うウ
    ォータージェットノズルにおいて、 前記中心噴出孔からの高速水噴流に対して逆行するよう
    な角度で、低速水流を前記空洞部の外側から高速水噴流
    へ向けて、前記高速水噴流と同時に噴出させるように構
    成することを特徴とするウォータージェットノズル。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のウォータージェットノ
    ズルにおいて、 前記低速水流の流速が、前記高速水噴流の流速の1/3
    以上4/5以下の範囲であって、前記低速水流の噴出流
    量が高速水噴流の流量の1.2倍以上3.0倍以下の範
    囲から選定することを特徴とするウォータージェットノ
    ズル。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のウォータージェットノ
    ズルにおいて、 前記低速水流を、前記略カップ型空洞部の内壁に開口す
    る複数の噴出孔から噴出させることを特徴とするウォー
    タージェットノズル。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載のウォータージェットノ
    ズルにおいて、 前記低速水流を、前記略カップ型空洞部の内壁に設けた
    スリット状の開口部から噴出させることを特徴とするウ
    ォータージェットノズル。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載のウォータージェットノ
    ズルにおいて、 前記ノズルで作り出される水噴流の軸方向における衝撃
    圧分布での最初のピーク位置に前記付着物が存すよう
    に、前記ノズル位置を設定することを特徴とするウォー
    タージェットノズル。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載のウォータージェットノ
    ズルにおいて、 前記ノズルで作り出される水噴流の軸方向における衝撃
    圧分布での第2番目のピーク位置に前記付着物が存すよ
    うに、前記ノズル位置を設定することを特徴とするウォ
    ータージェットノズル。
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