JP2000162522A - 光走査方法及び光走査装置 - Google Patents

光走査方法及び光走査装置

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JP2000162522A
JP2000162522A JP34025298A JP34025298A JP2000162522A JP 2000162522 A JP2000162522 A JP 2000162522A JP 34025298 A JP34025298 A JP 34025298A JP 34025298 A JP34025298 A JP 34025298A JP 2000162522 A JP2000162522 A JP 2000162522A
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scanning
time
temperature
start point
timing
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JP34025298A
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Seishi Aikawa
清史 相川
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Fujifilm Business Innovation Corp
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Fuji Xerox Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 温度環境の変化によって変動するfθレンズ
のfθ特性の変動の影響を抑えて位置ずれを小さくす
る。 【解決手段】 走査時間検出部10により実際に検出さ
れた1走査時間Tを、時間変換部30によって所定領域
の走査時間teに変換し、この所定領域の走査時間te
が基準時間と一致するようにビデオクロックの周波数を
変えると共に、走査時間検出部10により実際に検出さ
れた1走査時間Tを、ずれ時間変換部40により1走査
時間Tを、その走査におけるSOSセンサ60の検知信
号の立ち下がりから書き込み開始までの時間ts+Δt
sに変換し、得られた時間ts+Δtsに基いて書き込
み開始タイミングを補正する補正回路を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光走査装置に係
り、特に、光源からの光の偏向角を徐々に変えることに
より予め定めた一方向に沿って光を走査する光走査装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】画像形成装置には、光走査装置として、
ROS(Raster Output Scanner)が組み込まれてい
る。このROSは、大別して、レーザ光源と、等角速度
で回転して入射したレーザ光を偏向するポリゴンミラー
と、ポリゴンミラーの回転に伴って照射位置が変わるレ
ーザ光の焦点位置が同一平面上となり、且つ、レーザ光
が等速度で前記同一平面上を走査するように調節するf
θレンズとから構成されており、被照射領域に対しレー
ザ光を主走査するユニットである。
【0003】近年、画像形成装置のカラー化に対する要
求の高まりと共に、その用途の広がりによって、高速化
・高画質化・低コスト化への要求が高まっている。画像
形成装置の低コスト化を実現するために、画像形成装置
に組み込まれる光走査装置の低コスト化及び非球面レン
ズの使用による小型化を目的として、ROSに組み込ま
れるfθレンズをプラスチックレンズとしたものが提案
されている。
【0004】また、画像形成装置の高速化を実現するた
めに、単色の色材画像を形成する複数の画像形成ユニッ
トを各色ごとに並列して配置し、帯状の転写材(又は搬
送ベルト上の記録紙)が各画像形成ユニットを通過する
度に各画像形成ユニットにて形成した単色の色材画像を
転写材(又は搬送ベルト上の記録紙)上の同じ領域に重
ねて転写してカラー画像を形成するダンデム方式の画像
形成装置が提案されている。
【0005】さらに、画像形成装置の高画質化を実現す
るために、ビデオクロックの周波数を調整することで画
像の主走査方向の長さの倍率を補正して主走査方向の位
置ずれを補正することが、例えば、特開平1−1863
27号公報、特許2505260号公報及び特公平8−
16369号公報等に提案されている。
【0006】しかしながら、画像形成装置に組み込むR
OSのfθレンズをプラスチックレンズで構成した場
合、温度の変動によってfθレンズの光学特性が大きく
変動してしまうため、光走査装置の走査位置が変わり位
置ずれが起きるという問題がある。
【0007】特に、ダンデム方式の画像形成装置におい
ては、各色毎に画像形成ユニットが設けられているた
め、環境温度の差により画像形成ユニットに組み込まれ
たROSのfθレンズの光学特性が大きく変動して、各
画像形成ユニットごとに異なる倍率変動が生じてしま
い、画質が大幅に低下するため問題である。
【0008】このようなfθレンズの倍率変動は、fθ
レンズが置かれている環境温度(レンズ自体の温度上昇
やLDの温度上昇による波長変動等)に対する感度が非
常に高いため、リアルタイムで行う必要がある。例え
ば、特開平1−186327号公報においては、ROS
の走査時間を検出し、ビデオクロックの周波数を変化さ
せることで画像書き込み位置を変化させて倍率補正をリ
アルタイムで行うことが提案されている。また、特許2
505260号公報では、画像書き込み中にベルト端部
にレジ検出用マークを書き込み、ベルト端部に書き込ん
だレジ検出用マークを検出して位置ずれ補正をリアルタ
イムで行うことが提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、実際に
は、倍率変動が生じると同時にfθ特性(若しくはリニ
アリティエラーとも呼ばれる。)も変動を生じるため、
等倍性を補正するだけでは十分に位置ずれ補正が行えな
い。
【0010】ここで、温度変動によるfθレンズのfθ
特性(リニアリティエラー)の変動と、ビデオクロック
の周波数を可変させて画像書き込み位置を変化させるこ
とによる倍率補正との関係について図23〜図26を参
照しながら以下に説明する。
【0011】図23は倍率補正を行わない条件で、ノミ
ナル温度を基準温度としてノミナル温度(設計値20
℃)、ノミナル温度よりも+10℃高い温度(30
℃)、ノミナル温度よりも+20℃高い温度(40
℃)、ノミナル温度よりも+35℃高い温度(55℃)
のそれぞれの環境温度における感光体上の主走査方向の
書き込み位置ずれ量を調べた結果を示している。また、
図24は、ノミナル温度よりも+10℃高い温度(30
℃)、ノミナル温度よりも+20℃高い温度(40
℃)、ノミナル温度よりも+35℃高い温度(55℃)
のそれぞれの環境温度における図23で示したノミナル
温度(20℃)の書き込み位置に対する主走査方向のず
れ量を調べた結果を示している。
【0012】ここでは、主走査方向の位置の変動はfθ
レンズ自体の温度上昇に起因するfθ特性の変動とレー
ザの発振波長の変動とに起因している。
【0013】図23に示すように、実際の走査位置は、
ノミナル温度においても感光体上の理想位置(グラフ横
軸の零の位置)からずれている。このずれはfθ特性
(リニアリティエラー)と呼ばれる特性に基づくもので
あり、通常、設計上の画像位置もこのfθ特性によって
理想位置からずれたものとなっている。
【0014】また、図23及び図24より、感光体上の
理想位置(グラフ縦軸の零の位置)に対する実際の画像
書き込み位置のずれ量は、ノミナル温度(設計値20
℃)に対して、ノミナル温度よりも+10℃高い温度
(30℃)、ノミナル温度よりも+20℃高い温度(4
0℃)、ノミナル温度よりも+35℃高い温度(55
℃)と温度が上昇するにつれて大きくなっているのがわ
かる。
【0015】上記のような画像書き込み位置のずれを補
正するために、ビデオクロックの周波数を調整して画像
書き込み位置を変化させることで画像書き込み位置の等
倍性が保持されるように倍率補正を行った場合のノミナ
ル温度(20℃)、ノミナル温度よりも+10℃高い温
度(30℃)、ノミナル温度よりも+20℃高い温度
(40℃)、ノミナル温度よりも+35℃高い温度(5
5℃)のそれぞれの環境温度における主走査方向の書き
込み位置ずれ量を調べた結果を図25に示す。
【0016】また、図26に、ノミナル温度よりも+1
0℃高い温度(30℃)、ノミナル温度よりも+20℃
高い温度(40℃)、ノミナル温度よりも+35℃高い
温度(55℃)のそれぞれの環境温度における上記図2
5で示したノミナル温度(20℃)の書き込み位置に対
するずれ量を調べた結果を示す。
【0017】図25より、上記4つの温度条件下におい
ては、倍率補正による画像の等倍性は保たれているが、
合わせ込みを行っている両端部と中央部以外の位置では
グラフが一致しておらず、主走査方向に位置ずれが生じ
ているのがわかる。また、図26より、ビデオクロック
の周波数を調整して画像書き込み位置を変化させること
で画像書き込み位置の等倍性が保持されるように倍率補
正を行っても実際の画像書き込み位置のずれ量は、温度
が上昇するにつれて大きくなっているのがわかる。
【0018】以上のことから、fθレンズ自体の温度上
昇とレーザの発振波長の変動とに起因するfθ特性の変
動状態は、fθレンズが置かれる環境温度によって異な
るため、fθレンズが置かれる環境温度によって主走査
方向の位置ずれ量は変化し、この位置ずれは、環境温度
の変化を考慮せずにビデオクロックの周波数を調整して
画像書き込み位置を変化させることによる倍率補正だけ
では十分に補正できないことがわかる。
【0019】以上のことから、本発明は、fθレンズの
fθ特性の変動の影響を抑えて主走査方向の位置ずれを
小さくできる光走査方法及び光走査装置を提供すること
を目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項1の発明は、光源からの光を予め定めた一方向
に沿って光を走査する光走方法であって、走査開始点か
ら走査終了点までの走査時間を検出し、温度の変動に応
じて変化する走査開始点から走査終了点までの走査時間
と、前記走査開始点から走査終了点間の予め定めた所定
領域の走査時間との関係に基いて、前記検出された走査
時間を前記所定領域間の走査時間に変換し、該変換され
た所定領域の走査時間が前記所定領域間の基準走査時間
と一致するように画像記録基準周期を調整し、温度の変
動に応じて変化する走査開始点から走査終了点までの走
査時間と、走査開始点を基準とした書き込み開始タイミ
ングの基準タイミングからのずれ時間との関係に基い
て、前記検出された走査時間を基準タイミングからのず
れ時間に変換し、該変換されたずれ時間に基いて走査開
始点を基準とした書き込み開始タイミングを調整するこ
とにより、走査開始点を基準とした書き込み開始タイミ
ングを基準タイミングに一致させる。
【0021】走査開始点から走査終了点までの走査時間
は走査時の環境温度の変化により変動するが、走査開始
点から走査終了点までの走査時間と走査開始点から走査
終了点間の所定領域の走査時間とは、一対一で対応する
関係にある。そのため、温度の変動に応じて変化する走
査開始点から走査終了点までの走査時間と、走査開始点
から走査終了点間の予め定めた所定領域の走査時間との
関係に基いて、検出した走査時間を前記所定領域間の走
査時間に変換する。
【0022】その後、得られた所定領域の走査時間と基
準走査時間とが一致するように画素間の距離を定める基
準となる周期である画像記録基準周期を調整する。所定
領域の走査時間は、走査開始点から走査終了点までの領
域よりも短い領域を走査した時間であるので、所定領域
の主走査方向の位置ずれの積算量は、走査開始点から走
査終了点までの領域における主走査方向の位置ずれの積
算量よりも少なくなるといえる。
【0023】したがって、画像記録基準周期を調整する
領域を前記所定領域に限定することにより、主走査方向
の位置ずれの積算量が少なくなるので、補正すべき位置
ずれ量が減り誤差が小さくなる。
【0024】なお、所定領域としては、好ましくは、走
査開始点から走査終了点までの領域内における主走査方
向の画素位値ずれ量の主走査方向全体に対する二乗和を
最小にする2点間の領域としたり、走査開始点から走査
終了点間の画像形成領域とするとよい。
【0025】また、走査時の環境温度の変化により変動
する走査開始点から走査終了点までの走査時間と、その
ときの走査開始点を基準とした書き込み開始タイミング
のずれ時間とは、一対一で対応する関係にある。そのた
め、温度の変動に応じて変化する走査開始点から走査終
了点までの走査時間と、走査開始点を基準とした書き込
み開始タイミングの基準タイミングからのずれ時間との
関係に基いて検出した走査時間を書き込み開始タイミン
グのずれ時間に変換する。
【0026】その後、得られた書き込み開始タイミング
のずれ時間分、走査開始点を基準とした書き込み開始タ
イミングがずれるように画像記録基準周期を調整するな
どの処理を行って、走査開始点を基準とした書き込み開
始タイミングを基準タイミングに一致させる。
【0027】これにより、走査光の位置ずれを高精度に
補正して環境温度の変化による画像位置のずれを小さく
し、より良好な画像が形成できる。
【0028】請求項2の発明は、上記請求項1の光走査
方法を実施するための装置であり、光源からの光の偏向
角を徐々に変えることにより予め定めた一方向に沿って
光を走査する光走査装置であって、走査開始点から走査
終了点までの走査時間を検出する時間検出手段と、温度
の変動に応じて変化する走査開始点から走査終了点まで
の走査時間と、走査開始点から走査終了点間の予め定め
た所定領域の走査時間との関係に基いて、前記時間検出
手段により検出された走査時間を前記所定領域間の走査
時間に変換する時間変換手段と、変換された所定領域の
走査時間が、基準時間での前記所定領域間の走査時間と
一致するように、ビデオクロックの周波数を調整するク
ロック調整手段と、走査開始点から走査終了点までの走
査時間と、走査開始点を基準とした書き込み開始タイミ
ングの基準タイミングからのずれ時間との関係に基い
て、前記時間検出手段により検出された走査時間を基準
タイミングからのずれ時間に変換するずれ時間変換手段
と、変換されたずれ時間に基いて走査開始点を基準とし
た書き込み開始タイミングをずらすことにより、走査開
始点を基準とした書き込み開始タイミングを基準タイミ
ングに一致させるタイミング調整手段と、を備えてい
る。
【0029】請求項2に記載の光走査装置において、時
間変換手段は、温度の変動に応じて変化する走査開始点
から走査終了点までの走査時間と、走査開始点から走査
終了点間の予め定めた所定領域の走査時間との関係に基
いて、時間検出手段が検出した走査開始点から走査終了
点までの走査時間を前記所定領域間の走査時間に変換す
る。
【0030】クロック調整手段は、画素間の距離を定め
る基準となる周期である画像記録基準周期、すなわち、
ビデオクロックの周波数を、得られた所定領域の走査時
間が基準走査時間と一致するように調整する。上述した
ように、所定領域の走査時間は、走査開始点から走査終
了点までの領域よりも短い領域を走査した時間であるの
で、所定領域の主走査方向の位置ずれの積算量は、走査
開始点から走査終了点までの領域における主走査方向の
位置ずれの積算量よりも少なくなる。
【0031】したがって、クロック調整手段が周波数を
調整する領域を所定領域に限定することにより、主走査
方向の位置ずれの積算量が少なくなるので、補正すべき
位置ずれ量が減り誤差が小さくなる。
【0032】所定領域としては、好ましくは、走査開始
点から走査終了点までの領域内における主走査方向の画
素位値ずれ量の主走査方向全体に対する二乗和を最小に
する2点間の領域としたり、走査開始点から走査終了点
間の画像形成領域とするとよい。
【0033】また、走査時の環境温度の変化により変動
する走査開始点から走査終了点までの走査時間と、その
ときの走査開始点を基準とした書き込み開始タイミング
のずれ時間とは、一対一で対応する関係にある。そのた
め、ずれ時間変換手段は、温度の変動に応じて変化する
走査開始点から走査終了点までの走査時間と、走査開始
点を基準とした書き込み開始タイミングの基準タイミン
グからのずれ時間との関係に基いて時間検出手段が検出
した走査時間を書き込み開始タイミングのずれ時間に変
換する。
【0034】例えば、予め既知の複数の環境温度におけ
る走査開始点から走査終了点までの走査時間と、そのと
きの書き込み開始タイミングの時間との関係について調
べ、得られた結果から得られる関係式ををずれ時間変換
手段の変換特性とするように構成するとよい。
【0035】タイミング調整手段は、得られた書き込み
開始タイミングのずれ時間分、走査開始点を基準とした
書き込み開始タイミングがずれるようにビデオクロック
のカウント数を変更するなどの処理を行って、走査開始
点を基準とした書き込み開始タイミングを基準タイミン
グに一致させる。
【0036】これにより、走査光の位置ずれを高精度に
補正して環境温度の変化による画像位置のずれを小さく
し、より良好な画像が形成できる光走査装置が得られ
る。また、走査光の位置ずれ補正を電気的に行なえるの
で、機械的に補正する場合に比較してコストを低くで
き、高速化にも対応できる、という利点がある。
【0037】また、請求項3の発明は、前記請求項2に
記載の光走査装置において、前記クロック調整手段によ
るビデオクロックの周波数調整と、タイミング調整手段
による書き込み開始タイミング調整は、走査終了点から
次の走査開始点までの間に行なうものとしている。
【0038】すなわち、走査終了点から次の行の走査開
始点までの間にビデオクロックの周波数調整と、書き込
み開始タイミング調整とを行なうことにより、例えば、
プラスチック製のfθレンズを使用した場合のように、
環境温度の微小な変化であっても走査光の位置が大きく
変動する場合であっても、リアルタイムに走査光の補正
を行なうことができるので、より精度の高い主走査方向
の位置ずれ補正を行なうことができ、従って、高精度の
画像を形成できる。
【0039】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の光
走査装置の実施の形態の一例を詳細に説明する。
【0040】図2に、本実施の形態にかかる光走査装置
を示す。この光走査装置は、半導体レーザより構成され
たレーザ光源50と、レーザ光源50から照射された光
を平行光束とするコリメータレンズ52と、等角速度で
回転することによりコリメータレンズ52を介して入射
したレーザ光を偏向するポリゴンミラー54を備えた光
偏向器56と、ポリゴンミラー54の回転に伴って照射
位置が変わるレーザ光の焦点位置が被照射領域上とな
り、且つ、レーザ光が等速度で前記被照射領域上を走査
するように調節するfθレンズ58とを備えている。
【0041】レーザ光源50からのレーザ光は、コリメ
ータレンズ52を介してポリゴンミラー54に入射し、
ポリゴンミラー54の等角速度回転に伴なって偏向角が
変えられる。ポリゴンミラー54に反射されたレーザ光
は、fθレンズ58に入射し、焦点位置が調整されて、
図2に示す矢印64の方向に主走査される。
【0042】光走査装置の主走査開始位置P1には受光
素子からなるスタートオブスキャンセンサ(以下、SO
Sセンサと称す。)60が設けられていると共に、主走
査終了位置P2には受光素子からなるエンドオブスキャ
ンセンサ(以下、EOSセンサと称す。)62が設けら
れている。これら2つのセンサ60、62によって光が
検出されたときの時間差から走査装置の1走査時間を検
出するように構成されている。なお、走査開始点から走
査終了点までの1走査領域(P1からP2の間)よりも
内側の領域に画像形成領域Zが設けられている。
【0043】このような構成の光走査装置において、本
実施の形態では、fθレンズ自体の温度上昇とレーザの
発振波長の変動とに起因するfθ特性(リニアリティエ
ラー)の変動を補正するためのビデオクロックの周波数
と書き込み開始タイミングとを補正する補正回路を備え
ている。
【0044】この補正回路は、図1に示すように、走査
時間検出部(時間検出手段)10、ビデオクロック補正
部12(時間変換手段、クロック調整手段)、タイミン
グ補正部14(ずれ時間変換手段、タイミング調整手
段)、論理積回路16、APC(Auto Power Control;
自動光量調整)タイミング回路20、SOS/EOSセ
ンサ用点灯タイミング回路22及び論理和回路18とか
ら構成されている。
【0045】走査時間検出部10には、SOSセンサ6
0の検知信号(図9(1))とEOSセンサ62の検知
信号(図9(2))とが入力されており、SOSセンサ
60の検知信号の立下りからEOSセンサ62の検知信
号の立下りまでの時間を計数することによってSOSセ
ンサからEOSセンサ間の走査時間Tを検出する。
【0046】例えば、SOSセンサ60の検知信号の立
下りをスタート信号、EOSセンサ60の検知信号の立
下りをストップ信号とし、SOSセンサ60の検知信号
の立下り時からクロックをカウントし始め、EOSセン
サ60の検知信号の立下り時にクロックのカウントを終
了することによって、SOSセンサからEOSセンサ間
の走査時間T(1走査時間)を得ることができる。
【0047】走査時間検出部10において得られた1走
査時間Tは、ビデオクロック補正部12とタイミング補
正部14とのそれぞれに入力される。
【0048】ビデオクロック補正部12は、時間変換部
30、減算器34、所定の増幅率Gain1で増幅する
第1増幅器35、第1加算回路36、電圧制御発振回路
(以下、VCOと称す。)38、ノミナル温度における
1走査時間tnを保持する時間保持部32及びノミナル
温度におけるビデオクロックの周波数設定電圧をVCO
に出力するノミナル電圧出力部33から構成されてい
る。
【0049】時間変換部30は、変換関数f1を用いて
走査時間検出部10により検出された1走査時間Tを所
定領域の走査時間teに変換する。
【0050】ここで、所定領域とは、SOSセンサから
EOSセンサ間の走査領域よりも短い領域であり、好ま
しくは、画像の主走査方向全体で主走査方向画像位置ず
れの絶対値が小さくなるように選択した領域とするとよ
い。
【0051】この所定領域は、例えば、以下のように選
択することができる。上記図26の主走査方向の位置ず
れ量を各環境温度(ノミナル温度よりも+10℃高い温
度(30℃)、ノミナル温度よりも+20℃高い温度
(40℃)及びノミナル温度よりも+35℃高い温度
(55℃))ごとに求めたグラフから、図3に示すよう
に、画像形成領域Z(図2参照)内でのずれ量のみを抽
出し、各環境温度毎の主走査方向位置ずれ曲線につい
て、最小二乗法により近似直線を求める。
【0052】本実施の形態では、環境温度がノミナル温
度よりも+10℃高い温度(30℃)の場合はy=0.
0003x−0.0013で表される近似直線L1が算
出され、環境温度がノミナル温度よりも+20℃高い温
度(40℃)の場合はy=0.0005x−0.002
1で表される近似直線L2が算出され、環境温度がノミ
ナル温度よりも+35℃高い温度(55℃)の場合はy
=0.0008x−0.0034で表される近似直線L
3が夫々算出された。
【0053】各環境温度において求めた近似直線L1、
L2、L3と、各直線の元の曲線との交点近傍位置X
1、X2(図3では、+90mm近傍と−90mm近
傍)に挟まれた領域を所定領域として選択する。
【0054】また、第1の変換関数f1は、予めSOS
センサからEOSセンサ間の走査時間(1走査時間)T
と上記の方法で決定した所定領域の走査時間(交点近傍
位置X1から交点近傍位置X2までの領域)とを、ノミ
ナル温度、ノミナル温度よりも+10℃高い温度(30
℃)、ノミナル温度よりも+20℃高い温度(40℃)
及びノミナル温度よりも+35℃高い温度(55℃)の
それぞれの環境温度において測定し、図4に示すよう
に、横軸を1走査時間T(μsec)、縦軸を所定領域
の走査時間te(μsec)としてグラフ化して得られ
る関数である。
【0055】図4より、環境温度によって変動する1走
査時間T(μsec)と環境温度によって変動する所定
領域の走査時間te(μsec)との関係は、本実施の
形態ではy=0.5957x+79.191という線形
グラフとなることがわかる。
【0056】すなわち、予め複数の環境温度で1走査時
間(μsec)と所定領域の走査時間(μsec)との
関係を調べ、結果から得られる線形グラフを変換関数f
1として用いるようにすれば、環境温度を検出しなくて
も1走査時間Tの検出によりその走査における所定領域
の走査時間teを検出できる。
【0057】減算器34は、時間保持部32に保持され
ているノミナル走査時間tn(20℃の環境温度での所
定領域の走査時間)と所定領域の走査時間teとの時間
差tn−teを算出し、第1増幅器35に出力する。
【0058】第1増幅器35は、算出された時間差tn
−teをVCO38の制御電圧yに変換して第1加算回
路36に出力する。第1加算回路36は、ノミナル電圧
出力部33に設定されているノミナル温度のビデオクロ
ックの周波数設定電圧x(20℃の環境温度での周波数
設定電圧)と、第1増幅器35から入力された時間差t
n−te分のビデオクロックの制御電圧yとを加算して
VCO38に出力する。
【0059】VCO38は、図5に示す入出力特性に基
づいて入力電圧を周波数変換する回路であり、第1加算
回路36から入力されたノミナルからの補正分yを加算
したビデオクロックの周波数設定電圧に応じた周波数f
vのビデオクロックを出力する。
【0060】なお、ビデオクロックの周波数を変えるこ
とは、図3に示した最小二乗法により得られる近似直線
の傾きを変えることに相当する。従って、元の曲線と近
似直線との交点近傍をビデオクロックの周波数の合わせ
込み基準とし、ビデオクロックの周波数を上記交点近傍
で一致するように調整することは、変化させる近似直線
の傾き量を主走査方向の画像位置ずれ量の二乗和を最小
にするように選ぶことと同義である。
【0061】ここで、ビデオクロック補正部12におい
て補正したビデオクロックに基いてレーザ走査した場合
のノミナル温度、ノミナル温度よりも+10℃高い温度
(30℃)、ノミナル温度よりも+20℃高い温度(4
0℃)及びノミナル温度よりも+35℃高い温度(55
℃)のそれぞれの環境温度における主走査方向の書き込
み位置ずれ量を調べた結果を図6に示す。
【0062】また、図7に、ノミナル温度での書き込み
位置に対するずれ量を、ノミナル温度よりも+10℃高
い温度(30℃)、ノミナル温度よりも+20℃高い温
度(40℃)及びノミナル温度よりも+35℃高い温度
(55℃)のそれぞれの環境温度において調べた結果を
示す。
【0063】図6と図7の結果より、ビデオクロックの
周波数の倍率補正を行わないときに比べて、上記4つの
環境温度における主走査方向の位置ずれを示す曲線の相
対的な位置ずれ量が小さくなっていることがわかる。こ
れは、上述した図23に示すビデオクロックの周波数の
倍率補正を行わないときの上記4つの環境温度における
主走査方向の位置ずれを示す曲線と、図24に示す上記
4つの環境温度におけるノミナル温度での書き込み位置
に対するずれ量を示す曲線との比較から明確である。
【0064】しかし、図6及び図7により、ビデオクロ
ック補正部12においてビデオクロックの周波数を補正
して倍率補正を行うだけでは位置ずれは完全には解消さ
れていない。これは、SOSセンサ位置からEOSセン
サ位置までの領域よりも短い領域である所定領域の走査
時間に一致するように時間を合わせているため、主走査
方向の書き込み開始位置がずれたままとなっているため
である。
【0065】すなわち、図6に示す上記4つの環境温度
における主走査方向の位置ずれを示す曲線の形状はほぼ
同じ形状となっており、したがって、これら4つの曲線
の主走査方向の書き込み開始位置を合わせれば、これら
4つの曲線はほぼ重なるので、相対的な位置ずれ量が小
さくなる。
【0066】なお、図25及び図26に示すように、従
来の温度環境の変動を考慮せずにSOSセンサ位置から
とEOSセンサ位置までの間でビデオクロックの周波数
を倍率補正した場合は、SOSセンサ位置とEOSセン
サ位置とを合わせ込み基準としているため、図25の上
記4つの環境温度における主走査方向の位置ずれを示す
4つの曲線は、SOSセンサ位置とEOSセンサ位置及
び中心位置の3点のみで重なっている。このことから、
図25の上記4つの曲線をどのようにずらしても重なる
ことはない。
【0067】本実施の形態では、図6に示す上記4つの
環境温度に置ける4つの曲線の主走査方向の書き込み開
始位置を合わせるために、走査時間検出部10において
得られたSOSセンサからEOSセンサ間の走査時間T
を、タイミング補正部14にも入力して、走査開始点を
基準とした書き込み開始タイミングを基準タイミングと
一致するように補正している。
【0068】このタイミング補正部14は、図1に示す
ように、ずれ時間変換部(ずれ時間変換手段)40、所
定の増幅率Gain2で増幅する第2増幅器44、レジ
スタ46、オシレータ45、カウンタ47及びJ−Kフ
リップフロップ48とから構成されている。
【0069】ずれ時間変換部40は、1走査時間Tを、
その走査におけるSOSセンサ60の検知信号の立ち下
がりから書き込み開始までの時間ts+Δtsに変換す
る。具体的には、1走査時間Tと、基準タイミングts
と基準タイミングtsからのずれ時間Δtsとの和ts
+Δts(すなわち、その走査におけるSOSセンサ6
0の検知信号の立ち下がりから書き込み開始までの時
間)との関係を示す第2の変換関数f2に基いて、走査
時間検出部10において得られた1走査時間Tを、SO
Sセンサ60の検知信号の立ち下がりから書き込み開始
までの時間ts+Δtsに変換し、第2増幅器44に入
力する。
【0070】なお、第2の変換関数f2は、予めSOS
センサからEOSセンサ間の走査時間(1走査時間)T
と、SOSセンサ60の検知信号の立ち下がりから書き
込み開始までの時間ts+Δtsとを、ノミナル温度、
ノミナル温度よりも+10℃高い温度(30℃)、ノミ
ナル温度よりも+20℃高い温度(40℃)及びノミナ
ル温度よりも+35℃高い温度(55℃)のそれぞれの
環境温度において測定し、図4に示すように、横軸を1
走査時間T(μsec)、縦軸をSOSセンサ60の検
知信号の立ち下がりから書き込み開始までの時間ts+
Δts(μsec)としてグラフ化して得られる関数で
ある。
【0071】図8より、1走査時間T(μsec)と縦
軸をSOSセンサ60の検知信号の立ち下がりから書き
込み開始までの時間ts+Δts(μsec)との関係
は、本実施の形態では、y=0.1074x+56.0
91という線形グラフとなることがわかる。
【0072】すなわち、予め複数の環境温度で1走査時
間(μsec)とSOSセンサ60の検知信号の立ち下
がりから書き込み開始までの時間ts+Δts(μse
c)との関係を調べ、結果から得られる線形グラフを変
換関数f2として用いるようにすれば、環境温度を検出
しなくても1走査時間Tの検出によりその走査における
SOSセンサ60の検知信号の立ち下がりから書き込み
開始までの時間ts+Δts(μsec)を検出でき
る。
【0073】第2増幅器44は、入力されたSOSセン
サ60の検知信号の立ち下がりから書き込み開始までの
時間ts+Δtsを増幅してレジスタ46に出力する。
レジスタ46は、増幅されたSOSセンサ60の検知信
号の立ち下がりから書き込み開始までの時間ts+Δt
sに基いた値をカウント値として設定する。
【0074】カウンタ47は、SOSセンサ60から入
力される信号の立ちあがりによってカウント値をリセッ
トしてオシレータ45の出力のカウントを開始し、レジ
スタ46によって設定されたカウント値になるとハイレ
ベルの信号coを出力する(図9(3))。
【0075】J−Kフリップフロップ回路48は、J端
子にカウンタ47からハイレベルの信号が出力されると
Q端子からハイレベル信号を出力し、EOSセンサ62
から検知信号がK端子に入力されるとハイレベル信号の
出力を停止する。これにより、図9(4)に示すよう
に、Q端子から書き込み開始タイミングを基準タイミン
グからΔts時間ずらした水平同期信号が出力される。
【0076】論理積回路16は、J−Kフリップフロッ
プ回路48により出力された水平同期信号がハイレベル
の間、VCO38からの周波数fvのビデオクロックを
出力する(図9(5))。
【0077】論理和回路18には、論理積回路16と、
APCタイミング回路20と、SOS/EOSセンサ用
点灯タイミング回路22とが接続されている。
【0078】APCタイミング回路20は、レーザ光の
光強度を一定に保つためにEOSセンサ62から検知信
号が出力されてからSOSセンサ60から検知信号が出
力されるまでの間でレーザを点灯させる信号を出力す
る。
【0079】また、SOS/EOSセンサ用点灯タイミ
ング回路22は、SOSセンサとEOSセンサとから検
知信号を得るために、レーザ光がSOSセンサ上とEO
Sセンサ上とを通過するタイミングでレーザ光源を点灯
するタイミング信号(図9(7))を出力する。
【0080】したがって、論理和回路18では、論理積
回路16からのビデオクロックvideoと、APCタ
イミング回路20からのAPC用のレーザ点灯タイミン
グ信号(図9(6))と、SOS/EOSセンサ用点灯
タイミング回路22からのSOS/EOSセンサ用のレ
ーザ点灯タイミング信号(図9(7))とを最終的なレ
ーザ点灯信号(図9(8))として出力する。
【0081】ここで、最終的に得られたレーザ点灯信号
に基いてレーザ走査した場合の主走査方向の書き込み位
置ずれ量について、ノミナル温度、ノミナル温度よりも
+10℃高い温度(30℃)、ノミナル温度よりも+2
0℃高い温度(40℃)及びノミナル温度よりも+35
℃高い温度(55℃)のそれぞれの環境温度で調べた結
果を図10に示す。
【0082】また、図11に、上記図10で示したノミ
ナル温度での書き込み位置に対するずれ量を、ノミナル
温度よりも+10℃高い温度(30℃)、ノミナル温度
よりも+20℃高い温度(40℃)及びノミナル温度よ
りも+35℃高い温度(55℃)のそれぞれの環境温度
において調べた結果を示す。
【0083】図10及び図11により、本実施の形態に
よれば、画像位置ずれ量がかなり小さくなっており、ま
た、図11からもわかるように、温度の上昇による走査
位置ずれ量もかなり小さくすることができる。
【0084】なお、上記の補正動作をEOSセンサ出力
からSOSセンサ出力の間に行うように設定して1走査
ごとに書き込み開始タイミングとビデオクロックの周波
数とを調整する構成とすることで、fθレンズの温度変
化による特性変化の影響をかなり抑えて位置ずれを小さ
くできる。
【0085】なお、以上では、環境温度によって、レン
ズの温度上昇とLD温度上昇による波長変動とが生ずる
場合について説明したが、LD温度上昇による波長変動
を考慮せずレンズの温度上昇のみの場合を考慮した場合
においても上記の書き込み開始タイミングとビデオクロ
ックの周波数とを調整する補正処理は有効である。この
ことは、レンズの温度上昇のみの場合について調べた以
下の図12〜図22までのグラフから明らかである。
【0086】すなわち、図12〜図15は、レンズの温
度上昇のみが起こった場合の主走査方向の位置ずれ量を
示しており、図12は、各温度ごとに倍率補正を行わな
い条件で、ノミナル温度(20℃)、ノミナル温度より
も+10℃高い温度(30℃)、ノミナル温度よりも+
20℃高い温度(40℃)、ノミナル温度よりも+35
℃高い温度(55℃)のそれぞれの環境温度における主
走査方向の書き込み位置ずれ量を調べた結果を示してい
る。また、図13は、ノミナル温度よりも+10℃高い
温度(30℃)、ノミナル温度よりも+20℃高い温度
(40℃)、ノミナル温度よりも+35℃高い温度(5
5℃)のそれぞれの環境温度における図12で示したノ
ミナル温度(20℃)の書き込み位置に対する主走査方
向のずれ量を調べた結果を示している。
【0087】また、図12及び図13より、上述の図2
4と図25と同様に、感光体上の理想位置(グラフ縦軸
の零の位置)に対する実際の書き込み位置のずれ量は、
ノミナル温度(設計値20℃)に対して、ノミナル温度
よりも+10℃高い温度(30℃)、ノミナル温度より
も+20℃高い温度(40℃)、ノミナル温度よりも+
35℃高い温度(55℃)と温度が上昇するにつれて大
きくなっている。
【0088】図14は、ビデオクロックの周波数を調整
して画像書き込み位置を変化させ、倍率補正を行った場
合のノミナル温度(20℃)、ノミナル温度よりも+1
0℃高い温度(30℃)、ノミナル温度よりも+20℃
高い温度(40℃)、ノミナル温度よりも+35℃高い
温度(55℃)のそれぞれの環境温度における主走査方
向の書き込み位置ずれ量を調べた結果を示している。
【0089】さらに、図15は、図14において、ノミ
ナル温度よりも+10℃高い温度(30℃)、ノミナル
温度よりも+20℃高い温度(40℃)、ノミナル温度
よりも+35℃高い温度(55℃)のそれぞれの環境温
度におけるノミナル温度(20℃)での書き込み位置に
対するずれ量を調べた結果を示している。
【0090】図14より、上記4つの温度条件下におい
て倍率補正により画像の等倍性は保たれているが、合わ
せ込みを行っている両端部と中央部以外の位置ではグラ
フが一致しておらず、主走査方向に位置ずれが生じてい
る。また、図15より、ビデオクロックの周波数を可変
させて画像書き込み位置を変化させることによって倍率
補正を行っても実際の書き込み位置のずれ量は、温度が
上昇するにつれて大きくなっているのがわかる。
【0091】以上のことから、レンズの温度上昇のみが
起こった場合も上述のレンズの温度上昇のみが起こった
場合とLD温度上昇による波長変動とが起こった場合と
同様にfθレンズの特性が変化し、このfθ特性の変化
はビデオクロックの周波数を可変させて画像書き込み位
置を変化させることによる倍率補正だけでは十分に位置
ずれを補正することができない。
【0092】図16は、上記図15の主走査方向の位置
ずれ量を各環境温度(ノミナル温度よりも+10℃高い
温度(30℃)、ノミナル温度よりも+20℃高い温度
(40℃)及びノミナル温度よりも+35℃高い温度
(55℃))ごとに求めたグラフから、画像形成領域Z
(図2参照)内でのずれ量のみを抽出し、各環境温度毎
の主走査方向位置ずれ曲線について、最小二乗法により
近似直線を求め、グラフ化した図である。
【0093】図16より、レンズの温度がノミナル温度
からノミナル温度よりも+10℃高い温度(30℃)の
場合はy=0.0003x−0.0013で表される近
似直線が算出され、レンズの温度がノミナル温度よりも
+20℃高い温度(40℃)の場合はy=0.0005
x−0.0022で表される近似直線が算出され、レン
ズの温度がノミナル温度よりも+35℃高い温度(55
℃)の場合はy=0.0008x−0.0035で表さ
れる近似直線が夫々算出された。これらの式は、レンズ
の温度上昇とLD温度上昇による波長変動とを含む場合
に同様にして算出した式とほぼ同じ式である。
【0094】従って、これらの式から選択される所定領
域もレンズの温度上昇とLD温度上昇による波長変動と
を含む場合とほぼ同様の領域となる。すなわち、各環境
温度において求めた近似直線と、元の曲線との交点の主
走査位置のうち、最も離れた2点X3、X4(図16で
は、+90mm近傍と−90mm近傍)に挟まれた領域
が所定領域となる。
【0095】また、レンズの温度上昇のみが起こった場
合の第1の変換関数f3は、図17に示す様になる。す
なわち、レンズの温度上昇によって変動するSOSセン
サからEOSセンサ間の走査時間T(μsec)と環境
温度によって変動する所定領域の走査時間te(μse
c)との関係は、本実施の形態ではy=0.5962x
+78.946という線形グラフとなる。
【0096】ビデオクロック補正部12は、選択した2
点X3、X4間の領域を所定領域とし、図17に示す第
1の変換関数f3を用いて、走査時間検出部10により
検出された1走査時間Tを所定領域の走査時間teに変
換した後、上述と同様の処理によりビデオクロックの周
波数を補正する。
【0097】図18は、ビデオクロック補正部12にお
いて補正したビデオクロックに基いてレーザ走査した場
合のノミナル温度、ノミナル温度よりも+10℃高い温
度(30℃)、ノミナル温度よりも+20℃高い温度
(40℃)及びノミナル温度よりも+35℃高い温度
(55℃)のそれぞれの環境温度における主走査方向の
書き込み位置ずれ量を調べた結果である。また、図17
は、ノミナル温度での書き込み位置に対するずれ量を、
ノミナル温度よりも+10℃高い温度(30℃)、ノミ
ナル温度よりも+20℃高い温度(40℃)及びノミナ
ル温度よりも+35℃高い温度(55℃)のそれぞれの
環境温度において調べた結果である。
【0098】図18及び図19により、上記図6及び図
7と同様に、SOSセンサ位置からEOSセンサ位置ま
での領域よりも短い領域である所定領域の走査時間に一
致するように時間を合わせているため、主走査方向の書
き込み開始位置がずれたままとなっている。
【0099】図20は、第2の変換関数f4を示してい
る。図20より、1走査時間と、基準タイミングtsと
基準タイミングtsからのずれ時間Δtsとの和ts+
Δts(すなわち、その走査におけるSOSセンサ60
の検知信号の立ち下がりから書き込み開始までの時間)
との関係は、本実施の形態では、y=0.1071x+
55.93という線形グラフとなり、この式は、上述の
レンズの温度上昇とLD温度上昇による波長変動とを含
む場合において同様にして算出した図8に示す式とほぼ
同じ式である。
【0100】従って、図21に示す最終的に得られたレ
ーザ点灯信号に基いてレーザ走査した場合の主走査方向
の各温度ごとの書き込み位置ずれ量と、図22に示すノ
ミナル温度に対する他の温度の主走査方向のずれ量も図
10及び図11に示すものとほぼ同様になる。これによ
り、本実施の形態に示した方法で位置ずれ補正を行うこ
とにより、レンズ自体の温度上昇のみが起こった場合に
ついても、主走査方向の書き込み位置ずれをかなり小さ
くでき、また、レンズ温度の上昇による主走査方向の書
き込み位置ずれ量もかなり小さくできることがわかる。
【0101】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、環
境温度の変化によって変動するfθレンズのfθ特性の
変動の影響を抑えて位置ずれを小さくできる、という効
果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態の光走査装置に設けられ
る補正回路の概略説明図である。
【図2】 本発明の実施の形態の光走査装置の概略構成
図である。
【図3】 画像形成領域内でのノミナル温度での位置に
対する各温度の主走査方向の位置ずれを表す曲線と、各
曲線ごとの近似直線とを示す線図である。
【図4】 第1の変換関数f1を示す線図である。
【図5】 VCOの出力特性を示す線図である。
【図6】 ビデオクロックの周波数を本実施の形態の方
法で補正した後の各温度の主走査方向の位置ずれを表す
線図である。
【図7】 図6においてノミナル値に対する他の温度で
の主走査方向のずれを抽出した線図である。
【図8】 第2の変換関数f2を示す線図である。
【図9】 本実施の形態のタイムチャートである。
【図10】 本実施の形態で得られるLD点灯信号に基
いて走査した場合の各温度の主走査方向の位置ずれを表
す線図である。
【図11】 図10におけるノミナル値に対する他の温
度での主走査方向のずれを抽出した線図である。
【図12】 レンズの温度上昇のみを考慮した場合の各
温度の主走査方向の位置ずれを表す線図である。
【図13】 図12におけるノミナル値に対する他の温
度での主走査方向のずれを抽出した線図である。
【図14】 レンズの温度上昇のみを考慮した場合のビ
デオクロックの周波数を本実施の形態の方法で補正した
後の各温度の主走査方向の位置ずれを表す線図である。
【図15】 図14におけるノミナル値に対する他の温
度での主走査方向のずれを抽出した線図である。
【図16】 レンズの温度上昇のみを考慮した場合の画
像形成領域内でのノミナル温度での位置に対する各温度
の主走査方向の位置ずれを表す曲線と、各曲線ごとの近
似直線とを示す線図である。
【図17】 レンズの温度上昇のみを考慮した場合の第
1の変換関数f3を示す線図である。
【図18】 レンズの温度上昇のみを考慮した場合のビ
デオクロックの周波数を本実施の形態の方法で補正した
後の各温度の主走査方向の位置ずれを表す線図である。
【図19】 図18におけるノミナル値に対する他の温
度での主走査方向のずれを抽出した線図である。
【図20】 レンズの温度上昇のみを考慮した場合の第
2の変換関数f4を示す線図である。
【図21】 レンズの温度上昇のみを考慮した場合の本
実施の形態で得られるLD点灯信号に基いて走査した場
合の各温度の主走査方向の位置ずれを表す線図である。
【図22】 図21におけるノミナル値に対する他の温
度での主走査方向のずれを抽出した線図である。
【図23】 従来の光走査装置において、fθ特性の変
動に基いて生じる主走査方向の位置ずれを各温度ごとに
表す線図である。
【図24】 図23におけるノミナル値に対する他の温
度での主走査方向のずれを抽出した線図である。
【図25】 従来の光走査装置において、倍率補正によ
りfθ特性の変動に基いて生じる位置ずれ量を補正した
場合の各温度ごとの主走査方向の位置ずれをに表す線図
である。
【図26】 図25におけるノミナル値に対する他の温
度での主走査方向のずれを抽出した線図である。
【符号の説明】
10 走査時間検出部 12 ビデオクロック補正部 14 タイミング補正部 16 論理積回路 18 論理和回路 20 APCタイミング回路 22 SOS/EOSセンサ用点灯タイミング回路 30 時間変換部 32 時間保持部 33 ノミナル電圧出力部 34 減算器 35 第1増幅器 36 第1加算回路 38 電圧制御発振回路(VCO) 40 ずれ時間変換部 44 第2増幅器 45 オシレータ 46 レジスタ 47 カウンタ 48 J−Kフリップフロップ回路 60 SOSセンサ 62 EOSセンサ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光源からの光を予め定めた一方向に沿っ
    て光を走査する光走方法であって、 走査開始点から走査終了点までの走査時間を検出し、 温度の変動に応じて変化する走査開始点から走査終了点
    までの走査時間と、前記走査開始点から走査終了点間の
    予め定めた所定領域の走査時間との関係に基いて、前記
    検出された走査時間を前記所定領域間の走査時間に変換
    し、 該変換された所定領域の走査時間が前記所定領域間の基
    準走査時間と一致するように画像記録基準周期を調整
    し、 温度の変動に応じて変化する走査開始点から走査終了点
    までの走査時間と、走査開始点を基準とした書き込み開
    始タイミングの基準タイミングからのずれ時間との関係
    に基いて、前記検出された走査時間を基準タイミングか
    らのずれ時間に変換し、 該変換されたずれ時間に基いて走査開始点を基準とした
    書き込み開始タイミングを調整することにより、走査開
    始点を基準とした書き込み開始タイミングを基準タイミ
    ングに一致させる光走査方法。
  2. 【請求項2】 光源からの光の偏向角を徐々に変えるこ
    とにより予め定めた一方向に沿って光を走査する光走査
    装置であって、 走査開始点から走査終了点までの走査時間を検出する時
    間検出手段と、 温度の変動に応じて変化する走査開始点から走査終了点
    までの走査時間と、前記走査開始点から走査終了点間の
    予め定めた所定領域の走査時間との関係に基いて、前記
    時間検出手段により検出された走査時間を前記所定領域
    間の走査時間に変換する時間変換手段と、 変換された所定領域の走査時間が、前記所定領域間の基
    準走査時間と一致するように、ビデオクロックの周波数
    を調整するクロック調整手段と、 温度の変動に応じて変化する走査開始点から走査終了点
    までの走査時間と、走査開始点を基準とした書き込み開
    始タイミングの基準タイミングからのずれ時間との関係
    に基いて、前記時間検出手段により検出された走査時間
    を基準タイミングからのずれ時間に変換するずれ時間変
    換手段と、 変換されたずれ時間に基いて走査開始点を基準とした書
    き込み開始タイミングを調整することにより、走査開始
    点を基準とした書き込み開始タイミングを基準タイミン
    グに一致させるタイミング調整手段と、 を備えた光走査装置。
  3. 【請求項3】 前記クロック調整手段によるビデオクロ
    ックの周波数調整と、タイミング調整手段による書き込
    み開始タイミング調整とを、走査終了点から次の走査開
    始点までの間に行なう請求項2に記載の光走査装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7012629B2 (en) * 2001-09-25 2006-03-14 Fuji Photo Film Co., Ltd. Temperature compensating image recording device
US7256815B2 (en) 2001-12-20 2007-08-14 Ricoh Company, Ltd. Image forming method, image forming apparatus, optical scan device, and image forming apparatus using the same

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