JP2000160288A - 浸炭用鋼及び浸炭処理鋼 - Google Patents
浸炭用鋼及び浸炭処理鋼Info
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Abstract
理を行なってもオーステナイト結晶粒が大きくならない
ようにして疲労強度やピーリング特性を良好なものにし
ながら短い浸炭時間で浸炭処理鋼を製造できるようにす
る。 【解決手段】 重量%で、0.15〜0.25%の炭素
Cと、0.80%以下の珪素Siと、1.50%以下の
マンガンMnと、0.030%以下のリンPと、0.0
05〜0.030%のイオウSと、1.80%以下のニ
ッケルNiと、1.50%以下のクロムCrと、0.7
0%以下のモリブデンMoと、0.030〜0.070
%のアルミニウムAlと、0.030〜0.060%の
ニオブNbと、0.0130%以上の窒素Nとを含有
し、残部を鉄Fe及び不可避的不純物元素から浸炭用鋼
を構成する。
Description
ーブ)や回転軸といった疲労強度や耐磨耗性が要求され
る部品に用いて好適の浸炭用鋼及び浸炭処理鋼に関し、
特に、CVTの軸やプーリ(シーブ)のように表面のピ
ーリング特性の要求が大きく硬化層深さを深くする必要
のある部品に用いて好適の浸炭用鋼及び浸炭処理鋼に関
する。
車や回転軸などの部品では、疲労強度や耐磨耗性が要求
されるため、部品表面における強度が重要であり、一般
に、部品を浸炭焼き入れしさらに適宜焼き戻しして表面
硬化させるようにしている。
処理は、920°C程度の温度で行なわれているが、C
VT(無段変速機)の軸やプーリ(シーブ)のような部
品では、表面のピーリング特性の要求が大きく硬化層深
さを深くする必要がある。こうした表面のピーリング特
性の要求が大きい部品の場合、硬化層深さを深くするに
は、通常の浸炭温度では、浸炭時間を長くしなければな
らない。
時よりも高めた高温浸炭処理が有効と考えられるが、従
来の材料(浸炭用鋼)の場合、例えば1000°C以上
の高温で浸炭処理を施すと、オーステナイト結晶粒が大
きくなり、疲労強度の低下やピーリング特性の劣化が生
じてしまうという課題がある。例えば図8(a)に示す
ようなCVT用のプーリを従来の浸炭用鋼を用いて浸炭
処理にて製造したものの表面(調査部位と付す箇所)の
結晶粒の状態を示すと、通常温度(920°C程度)で
浸炭処理を行なった場合には図8(b)のようになり、
高温浸炭(1050°C程度)を行なった場合には図8
(c)のようになる。
度番号で示すと、通常温度(920°C程度)の浸炭で
は「9」、高温浸炭(1050°C程度)では「5」と
なっており、従来の浸炭用鋼では、高温浸炭によると通
常温度の浸炭処理よりも結晶粒が大幅に粗大化すること
がわかる。なお、従来の浸炭用鋼としては、鉄Feに、
炭素C,珪素Si,マンガンMn,リンP,イオウS,
ニッケルNi,クロムCr,モリブデンMo,アルミニ
ウムAl,ニオブNb,窒素Nを含有したものであり、
これらの元素の含有する量を具体的に例示すると、図1
に示す比較鋼のNo. 1〜7のような重量%で含有された
浸炭用鋼がある。
ので、高温浸炭処理を行なってもオーステナイト結晶粒
が大きくなることなく疲労強度の低下やピーリング特性
の劣化を招かないようにして、疲労強度やピーリング特
性を良好なものにしながら浸炭時間を短くできるように
した浸炭用鋼を提供することを目的とし、併せて、この
浸炭用鋼を用いた浸炭処理鋼を提供することを目的とす
る。
の本発明の浸炭用鋼は、重量%で、0.15〜0.25
%の炭素と、0.80%以下の珪素と、1.50%以下
のマンガンと、0.030%以下のリンと、0.005
〜0.030%のイオウと、1.80%以下のニッケル
と、1.50%以下のクロムと、0.70%以下のモリ
ブデンと、0.030〜0.070%のアルミニウム
と、0.030〜0.060%のニオブと、0.013
0%以上の窒素とを含有し、残部を鉄並びに不可避的不
純物元素から構成される。これにより、高温浸炭処理を
行なってもオーステナイト結晶粒が粗大化しないように
なる。
求項1記載の浸炭用鋼を、1000°C以上の浸炭温度
で浸炭処理することにより生成されるので、短時間の浸
炭処理により製造することができ、しかも、この高温浸
炭処理を行なってもオーステナイト結晶粒が粗大化しな
いため、疲労強度やピーリング特性の良好な鋼材とな
る。
%で、0.15〜0.25%の炭素と、0.80%以下
の珪素と、1.50%以下のマンガンと、0.030%
以下のリンと、0.005〜0.030%のイオウと、
1.80%以下のニッケルと、1.50%以下のクロム
と、0.70%以下のモリブデンと、0.030〜0.
070%のアルミニウムと、0.030〜0.060%
のニオブと、0.0130%以上の窒素とともに、0.
010〜0.015%のチタンとを含有し、残部を鉄並
びに不可避的不純物元素から構成される。これにより、
高温浸炭処理を行なってもオーステナイト結晶粒が粗大
化しないようになる。
求項3記載の浸炭用鋼を、1000°C以上の浸炭温度
で浸炭処理することにより生成されるので、短時間の浸
炭処理により製造することができ、しかも、この高温浸
炭処理を行なってもオーステナイト結晶粒が粗大化しな
いため、疲労強度やピーリング特性の良好な鋼材とな
る。
の形態について説明する。まず、本発明の第1実施形態
にかかる浸炭用鋼について説明すると、この浸炭用鋼
は、鉄Feに以下のような重量%で各元素が含有されて
いる。つまり、重量%で、0.15〜0.25%の炭素
Cと、0.80%以下の珪素Siと、1.50%以下の
マンガンMnと、0.030%以下のリンPと、0.0
05〜0.030%のイオウSと、1.80%以下のニ
ッケルNiと、1.50%以下のクロムCrと、0.7
0%以下のモリブデンMoと、0.030〜0.070
%のアルミニウムAlと、0.030〜0.060%の
ニオブNbと、0.0130%以上の窒素Nとが含有さ
れている。これらの元素以外(残部)は鉄Feである
が、これらに、製造段階で避けられない元素(不可避的
不純物元素)も微小量ながら混入することになる。
5,8〜10,12〜16として示すような重量%で各
元素が含有されている。ここで、本浸炭用鋼において、
各元素の含有率を上述のように規定した理由について説
明する。なお、含有率は上述同様に重量%になってい
る。また、図1に示す各鋼には銅Cuが含まれている
が、これはわざわざ添加したものではなく、不純物レベ
ルのもの(即ち、不可避的不純物元素)である。
あり、浸炭焼き入れ処理を行なった場合、製品に要求さ
れる心部硬さを得るためには0.15%以上添加する必
要がある。しかし、炭素Cを0.25を越えるように添
加すると、焼き入れ後の金属表面での圧縮残留応力を十
分に導入することができず、また、心部の衝撃値の低下
(即ち、靱性の低下)を招いてしまう。そこで、これら
を共に回避するため、炭素Cについては、0.15〜
0.25%としている。
り、溶鋼の脱酸成分として効果があり、鋼中の酸素量を
低減する目的からは多量に添加することが望ましいが、
この珪素Siが多量に添加されると、浸炭された表層に
おいて浸炭処理中の雰囲気酸素と反応して疲労強度に悪
影響を及ぼす粒界酸化層を形成するため、これを回避す
るために、珪素Siについては、0.80%以下として
いる。
めに必要な元素であるが、酸素と反応して疲労強度に悪
影響を及ぼす粒界酸化層を形成するため、これを回避す
るために、マンガンMnについては、1.50%以下と
している。リンPは、結晶粒界に偏析しやすい元素であ
り、特に、浸炭用鋼のような高炭素鋼における靱性に対
する影響が大きいので、靱性改善の上からは低い方が望
ましいが、リンPを含有しない原材料は少なく、リンP
を低下させるにはコストがかかるため、経済性を考慮し
て、リンPについては、0.030%以下としている。
中に存在し、このイオウSは、多量に存在する場合は疲
労強度劣化の要因になる元素であるが、切削加工により
成形される部品では被削性を与える元素でもある。そこ
で、疲労強度の劣化を招かない観点から0.030%を
上限とし、被削性を得る観点から0.005%を下限と
して設定している。
必要な元素であるが、残留オーステナイトの形成を助長
する元素であることと、過剰の添加は経済性を損なうた
め、ニッケルNiについては、1.80%以下としてい
る。クロムCrは、焼き入れ性を確保するために必要な
元素であるが、酸素と反応して疲労強度に悪影響を及ぼ
す粒界酸化層を形成するため、これを回避するために、
クロムCrについては、1.50%以下としている。
に必要な元素であるが、過剰な添加は経済性を損なうた
め、モリブデンMoについては、0.70%以下として
いる。アルミニウムAlは、窒素Nと結合して窒化アル
ミニウム(AlN)となって、オーステナイト結晶粒度
を微細化する作用を有する元素である。そこで、本浸炭
用鋼では、結晶粒度を微細化するために、アルミニウム
Alの下限値を0.030%としている。一方、多量の
アルミニウムAlは、疲労強度に有害な酸化アルミニウ
ム(Al2 O3 )の介在物の生成を助長することや、靱
性の低下を招くため、アルミニウムAlの上限値を0.
070%としている。
炭窒化物を生成して、窒化アルミニウム(AlN)と同
様に、オーステナイト結晶粒度の微細化に効果のある元
素であり、この微細化を通じて浸炭層並びに心部の靱性
向上に寄与しうる元素である。特に、歯車等の製造にお
いて、1050°C程度の高温で浸炭を行なう場合、オ
ーステナイト結晶粒度の粗大化を防止する上で必須の元
素である。このニオブNbの添加量は、同様な効果のあ
るアルミニウムAlの量や、炭窒化物を生成するにあた
りニオブNbと結合する窒素Nの量とのバランスで決ま
るが、ニオブNbが少ないと、オーステナイト結晶粒度
の微細化効果が低くなる。そこで、ニオブNbの下限値
を0.030%としている。一方、多量のニオブNb
は、炭窒化物を過剰に生成して炭窒化物の析出を招き、
浸炭層の靱性を損なうことから、ニオブNbの上限値を
0.060%としている。
lやニオブNbと結合して窒化物を生成してオーステナ
イト結晶粒度の微細化のために必要な元素であり、した
がって、窒素Nの量はアルミニウムAl,ニオブNbの
添加量とのバランスで決まりるが、結晶粒度の微細化の
ため、窒素Nについては0.0130%以上としてい
る。
は、上述のように構成されるので、本浸炭用鋼を用いて
浸炭処理を行なう場合、例えば1050°Cで高温浸炭
を行なうことで、短時間の浸炭処理により、硬化層深さ
が深く、且つオーステナイト結晶粒度が微細の、従っ
て、疲労強度が高くピーリング特性の良好な、浸炭処理
鋼を得ることができるようになる。
は、歯車やプーリ(シーブ)や回転軸といった疲労強度
や耐磨耗性が要求される部品、特に、CVTの軸やプー
リ(シーブ)のように表面のピーリング特性の要求が大
きく硬化層深さを深くする必要のある部品に用いて有効
である。例えば図2は、本浸炭用鋼,本浸炭処理鋼の適
用例の1つであるCVT10を示す模式的断面図であ
り、プライマリシャフト11にはプライマリシーブ21
が装備され、セカンダリシャフト12にはセカンダリシ
ーブ22が装備されており、プライマリシーブ21とセ
カンダリシーブ22とを連結するように両シーブ21,
22にベルト31が巻回され、プライマリシーブ21の
可動シーブ21A及びセカンダリシーブ22の可動シー
ブ22Aを軸方向へ移動させることで変速比を調整する
ようになっている。
マリシーブ21,セカンダリシャフト12,セカンダリ
シーブ22は、いずれも表面のピーリング特性の要求が
大きいため、本浸炭用鋼,本浸炭処理鋼を適用してお
り、これにより、短時間の浸炭処理で、耐久性,耐ピー
リング性を大きく向上させることができ、製品性能を向
上させることができる。
態の浸炭用鋼を1050°C程度の高温浸炭処理するこ
とで得られた浸炭処理鋼の特性について実験結果を用い
て説明する。図3〜図5は、図1に示すような浸炭用鋼
を用いて1050°C程度の高温浸炭によって得られる
浸炭処理鋼の結晶粒度特性を示す図であり、図3はアル
ミニウムAlの添加量(重量%)に対する結晶粒度特性
を、図4はアルミニウムAlの添加量(重量%)に対す
る結晶粒度特性を、図4はニオブNbの添加量(重量
%)に対する結晶粒度特性を、図5は窒素Nの添加量
(重量%)に対する結晶粒度特性を、それぞれ示してい
る。
オブNbとを添加したもの(○印参照)、及び、アルミ
ニウムAlとニオブNbとチタンTiとを添加したもの
(●印参照)のうち、アルミニウムAlの添加量を0.
03%以上としたものは、オーステナイト結晶粒度が粒
度番号で9程度になっていることがわかる。なお、図3
において、アルミニウムAlのみ添加してニオブNbを
添加しないもの(△印参照)及びアルミニウムAlとニ
オブNbとを添加したがアルミニウムAlの添加量の低
いものは、オーステナイト結晶粒度が粒度番号で2〜3
程度に止まっている。
lとニオブNbとを添加したもののうち、アルミニウム
Alを0.03%以上添加し、且つ、ニオブNbを0.
03%以上添加したもの(●印参照)は、オーステナイ
ト結晶粒度が粒度番号で9程度になっていることがわか
る。また、アルミニウムAlの添加量が0.03%未満
のもの(□印参照)は、ニオブNbの添加量によらずオ
ーステナイト結晶粒度が粒度番号で2〜3程度に止まっ
ている。
AlとニオブNbとを添加するとともに窒素Nを0.0
13%以上添加したものにおいて、アルミニウムAlの
添加量が0.03%以上のもの(▲印参照)は、オース
テナイト結晶粒度が粒度番号で9程度に高まっている
が、アルミニウムAlの添加量が0.03%未満のもの
(△印参照)は、ニオブNbや窒素Nの添加量によらず
オーステナイト結晶粒度が粒度番号で2〜3程度に止ま
っている。
を0.030以上、ニオブNbを0.030〜0.06
0%、窒素Nを0.0130%以上添加することで、オ
ーステナイト結晶粒度が十分に微細になることがわか
る。そして、本浸炭処理鋼(開発材と示す)の疲労強度
や耐ピーリング性は、下記の表1に示すように、従来の
浸炭処理鋼(従来材と示す)に比べて、大きく向上して
いることがわかる。
すが、この疲労試験は、図6中に示すような所定形状,
所定寸法の疲労試験用試験片を公知の回転曲げ疲労試験
装置を用いて行なったものである。図6に示すように、
従来の浸炭処理鋼(△印で開発材として示す)の回転曲
げ疲労強度が700MPa程度であるのに対して、本浸
炭処理鋼(○印で開発材として示す)の回転曲げ疲労強
度は850MPa程度に向上していることがわかる。
を示すが、この試験は、図7中に示すような所定形状,
所定寸法のピッチング疲労試験用試験片に、図7中に示
すような大ローラと小ローラとを所定の接触応力で且つ
所定の滑り率で滑り接触させて摩擦負荷を加えながら、
これらのローラを所定回転速度で回転させてピーリング
(磨耗,剥離)が発生するまでの試験回数(ピーリング
発生回数)を検出する公知の試験である。
印で開発材として示す)の耐ピーリング性(ピーリング
発生回数)が2.8×105 程度であるのに対して、本
浸炭処理鋼(○印で開発材として示す)の耐ピーリング
性(ピーリング発生回数)では5×105 程度に向上し
ていることがわかる。次に、本発明の第2実施形態にか
かる浸炭用鋼について説明すると、この浸炭用鋼は、鉄
Feに以下のような重量%で各元素が含有されている。
の炭素Cと、0.80%以下の珪素Siと、1.50%
以下のマンガンMnと、0.030%以下のリンPと、
0.005〜0.030%のイオウSと、1.80%以
下のニッケルNiと、1.50%以下のクロムCrと、
0.70%以下のモリブデンMoと、0.030〜0.
070%のアルミニウムAlと、0.030〜0.06
0%のニオブNbと、0.0130%以上の窒素Nとと
もに、0.010〜0.015%のチタンTiが含有さ
れている。これらの元素以外(残部)は鉄Feである
が、これらに、製造段階で避けられない元素(不可避的
不純物元素)も微小量ながら混入することになる。
は、第1実施形態にかかる浸炭用鋼に、0.010〜
0.015%のチタンTiを添加した成分構成になって
いる。具体的には、図1に本発明鋼のNo. 6,7,11
として示すような重量%で各元素が含有されている。各
元素の含有率の規定理由については、チタンTi以外の
元素は第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
炭窒化物〔Ti(CN)〕を生成して、アルミニウムA
lやニオブNbと同様に、オーステナイト結晶粒度の微
細化に効果のある元素である。このようにチタンTiを
添加するのは、加熱温度(浸炭温度)が1050°C以
上の加熱を想定した場合や、加熱速度の遅い浸炭処理を
行なった場合には、オーステナイト結晶粒度が粗大化し
易くなり、0.030〜0.070%のアルミニウムA
l及び0.030〜0.060%のニオブNbだけで
は、オーステナイト結晶粒度が粗大化を防止できないこ
とが考えられるためである。
l及びニオブNbに加えて添加することにより、複合作
用によってオーステナイト結晶粒度が粗大化を防止する
ことができる。チタンTiの添加による高温での結晶粒
の粗大化防止効果は、チタンTiの添加量が少なければ
効果が少なく、又多ければ効果は飽和するため、チタン
Tiの含有率を0.010〜0.015%としている。
は、上述のように構成されるので、本浸炭用鋼を用いて
浸炭処理を行なう場合、例えば1050°C程度或いは
それ以上の高温浸炭を行なうことで、短時間の浸炭処理
により、硬化層深さが深く、且つオーステナイト結晶粒
度が微細の、従って、疲労強度が高くピーリング特性の
良好な、浸炭処理鋼を得ることができるようになり、特
に、CVTの軸やプーリ(シーブ)や、その他の歯車や
プーリ(シーブ)等に用いて有効である。
は、上述の実施形態に限定されるものではなく、例えば
高温浸炭時の温度は、1050°Cに限られるものでは
なく、1000°C程度以上の適宜の温度を採用しうる
ものである。また、浸炭温度によっては、第2実施形態
のようなチタンTiを添加した浸炭用鋼を適用すればよ
り効果的である。
の本発明の浸炭用鋼によれば、高温浸炭処理による短時
間の浸炭処理によって、オーステナイト結晶粒の粗大化
しない浸炭処理鋼を得ることができ、浸炭時間を短縮し
ながら疲労強度やピーリング特性の良好な鋼材を得るこ
とができるようになる。
理鋼によれば、高温浸炭処理による短時間の浸炭処理に
よって、オーステナイト結晶粒の粗大化しない浸炭処理
鋼を得ることができ、疲労強度やピーリング特性が良好
になり、特に、CVTの軸やプーリ(シーブ)のように
表面のピーリング特性が大きく硬化層深さを深くする必
要のある部品に用いることで、部品の性能や耐久性の向
上をする事ができるようになる。
(本発明鋼)の具体的な成分構成を従来の浸炭用鋼(比
較鋼)の具体的な成分構成とともに示す図である。
処理鋼を適用したCVTの構成を示す模式的断面図であ
る。
晶粒度特性を示す図である。
晶粒度特性を示す図である。
晶粒度特性を示す図である。
転曲げ疲労強度試験の結果を示す図である。
ピーリング性試験の結果を示す図である。
来の浸炭用鋼を用いて浸炭処理にて製造したCVTの部
品を示す模式図、(b)はかかる部品を通常温度の浸炭
処理で製造した場合の結晶粒状態を示す拡大図、(c)
はかかる部品を高温浸炭処理で製造した場合の結晶粒状
態を示す拡大図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 重量%で、0.15〜0.25%の炭素
Cと、0.80%以下の珪素Siと、1.50%以下の
マンガンMnと、0.030%以下のリンPと、0.0
05〜0.030%のイオウSと、1.80%以下のニ
ッケルNiと、1.50%以下のクロムCrと、0.7
0%以下のモリブデンMoと、0.030〜0.070
%のアルミニウムAlと、0.030〜0.060%の
ニオブNbと、0.0130%以上の窒素Nとを含有
し、残部を鉄Fe並びに不可避的不純物元素から構成さ
れることを特徴とする、浸炭用鋼。 - 【請求項2】 請求項1記載の浸炭用鋼を、1000°
C以上の浸炭温度で浸炭処理することにより生成された
ことを特徴とする、浸炭処理鋼。 - 【請求項3】 重量%で、0.15〜0.25%の炭素
Cと、0.80%以下の珪素Siと、1.50%以下の
マンガンMnと、0.030%以下のリンPと、0.0
05〜0.030%のイオウSと、1.80%以下のニ
ッケルNiと、1.50%以下のクロムCrと、0.7
0%以下のモリブデンMoと、0.030〜0.070
%のアルミニウムAlと、0.030〜0.060%の
ニオブNbと、0.0130%以上の窒素Nとともに、
0.010〜0.015%のチタンTiを含有し、残部
を鉄Fe並びに不可避的不純物元素から構成されること
を特徴とする、浸炭用鋼。 - 【請求項4】 請求項3記載の浸炭用鋼を、1000°
C以上の浸炭温度で浸炭処理することにより生成された
ことを特徴とする、浸炭処理鋼。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33535898A JP3510506B2 (ja) | 1998-11-26 | 1998-11-26 | 浸炭用鋼及び浸炭処理鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP33535898A JP3510506B2 (ja) | 1998-11-26 | 1998-11-26 | 浸炭用鋼及び浸炭処理鋼 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2000160288A true JP2000160288A (ja) | 2000-06-13 |
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JP33535898A Expired - Lifetime JP3510506B2 (ja) | 1998-11-26 | 1998-11-26 | 浸炭用鋼及び浸炭処理鋼 |
Country Status (1)
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