JP2000159814A - 変性ジエン系ゴムおよびその製造法 - Google Patents
変性ジエン系ゴムおよびその製造法Info
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Abstract
がり抵抗が小さく、ウエットスキッド抵抗性に優れたゴ
ム材料を提供する。 【解決手段】 繰り返し単位の80%以上がシス−1,
4構造であって、ムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)
が20〜80の範囲にあり、かつゲルパーミエーション
クロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均
分子量が200000〜1000000の範囲にあるジ
エン系ゴムが、アミノ基とアルコキシ基とを有する珪素
化合物により変性されており、かつ、その変性物のムー
ニー粘度が変性前と比較して1以上増加している変性ジ
エン系ゴム。
Description
用として有用な、弾性率とウエットスキッド抵抗が共に
高い変性ゴムに関するものである。
ブタジエンゴム(BR)、あるいはスチレン−ブタジエ
ンゴム(SBR)を主成分とし、他に天然ゴムなどを配
合したゴム組成物が用いられている。
氷上における走行安全性の要求が高まり、自動車タイヤ
トレッドゴムとして、転がり抵抗が小さく(すなわち、
反発弾性の大きく)、かつ雪上及び氷上における路面グ
リップ(すなわち、ウエットスキッド抵抗)の大きなゴ
ム材料の開発が望まれている。ところが、ポリブタジエ
ンゴム(BR)のように反発弾性の大きなゴムはウエッ
トスキッド抵抗が低い傾向があり、一方、スチレン−ブ
タジエンゴム(SBR)には、ウエットスキッド抵抗は
大きいが、転がり抵抗も大きいという問題があった。
法として、リチウム系触媒の存在下で、低シスジエン系
ゴムを変性剤によって化学変性させる方法が数多く提案
されている。例えば、低シスBRをベンゾフェノン化合
物で変性する方法が、特開昭58−162604号公報
及び特開昭59−117514号公報に提案されてお
り、自動車タイヤの転がり抵抗が小さく、ウエットスキ
ッド抵抗が大きく、また反発弾性も改善されると報告さ
れている。
57769号公報、そして特公平6−78450号公報
には、活性なアルカリ金属末端を有するジエン系ゴム
を、ニトロアミノ化合物、ニトロ化合物、ニトロアルキ
ル化合物などと反応させることにより、反発弾性に優
れ、低温硬度が低いゴムが得られる旨記載されている。
十分であり、変性によってもこの問題点は解決されな
い。また、SBRでも反発弾性が低く、変性後もこの欠
点の充分な解決には至らない。
1、4−構造含有率のジエン系ゴムを変性することによ
って、耐摩耗性が高く、転がり抵抗が低く、かつウエッ
トスキッド性が良好で、特に自動車タイヤトレッド用ゴ
ムとして好適なジエン系ゴムを提供することを目的とす
るものである。
の80%以上がシス−1,4構造であって、ムーニー粘
度(ML1+4 ,100℃)が20〜80の範囲にあり、
かつゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測
定した重量平均分子量が200,000〜1,000,
000の範囲にあるジエン系ゴムが、アミノ基とアルコ
キシ基とを有する珪素化合物により変性されており、か
つ、その変性物のムーニー粘度が変性前と比較して1以
上増加(好ましくは、2〜10増加、さらに好ましくは
3〜8増加)していることを特徴とする変性ジエン系ゴ
ムにある。
がシス−1,4構造であって、ムーニー粘度(ML
1+4 ,100℃)が20〜80の範囲にあり、かつゲル
パーミエーションクロマトグラフィーにより測定した重
量平均分子量が200,000〜1,000,000の
範囲にあるジエン系ゴムを、コバルト、ニッケル、チタ
ンもしくはネオジムを含む触媒の存在下にて、アミノ基
とアルコキシ基とを有する珪素化合物により変性させ
て、かつその変性物のムーニー粘度を変性前に比較して
1以上増加させることを特徴とする変性ジエン系ゴムの
製造法にもある。
ジエン系ゴムは、繰り返し単位の80%以上(好ましく
は90%以上、さらに好ましくは95%以上)がシス−
1,4構造であって、ムーニー粘度(ML1+4 ,100
℃)が20〜80の範囲にあり、かつゲルパーミエーシ
ョンクロマトグラフィーにより測定した重量平均分子量
が200,000〜1,000,000の範囲にあるジ
エン系ゴム(共役ジエンの単独重合体ゴムまたは共重合
体ゴム)であり、コバルト、ニッケル、チタン、又はネ
オジム系触媒系を利用して共役ジエンを単独重合または
共重合して得られるジエン系ゴムであることが好まし
い。繰り返し構造が80%未満のシス−1,4−構造で
あるジエン系ゴムは反発弾性が低く、本発明の目的を達
成できないので好ましくない。
リブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、スチ
レン−ブタジエンゴム(SBR)、イソプレン−ブタジ
エンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)などが
挙げられる。好ましくはBRである。一般的に商業生産
された物を用いてもよいし、また適宜重合もしくは共重
合したものを用いてもよい。
アミノ基(好ましくは炭素原子数1〜6のアルキル基と
結合したアミノアルキル基)とアルコキシ基(好ましく
は、炭素原子数が1〜6のアルコキシ基)とを有する珪
素化合物(好ましくはシラン化合物)であり、アミノア
ルキルアルコキシシラン化合物が好ましい。その具体的
化合物の例としては、3−アミノプロピルジメチルメト
キシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラ
ン、3−アミノプロピルエチルジメトキシシラン、3−
アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピ
ルジメチルエトキシシラン、3−アミノプロピルメチル
ジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシ
ラン、3−アミノプロピルジメチルブトキシシラン、3
−アミノプロピルメチルジブトキシシラン、3−(2−
アミノエチルアミノプロピル)ジメトキシメチルシラ
ン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)ジメトキ
シエチルシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピ
ル)ジメトキシプロピルシラン、3−(2−アミノエチ
ルアミノプロピル)ジメトキシブチルシラン、3−(2
−アミノエチルアミノプロピル)ジエトキシメチルシラ
ン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメト
キシシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)
トリエトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノプ
ロピル)トリブトキシシラン等が挙げられる。これらの
化合物の中で、特に3−アミノプロピルトリメトキシシ
ラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)ジメト
キシメチルシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロ
ピル)トリメトキシシランが好ましい。これらの変性剤
は、単独で使用しても、あるいは二種類以上組合せて用
いてもよい。
の変性方法としては、変性剤とジエン系ゴムとを有機溶
媒中で接触させて変性反応を発生させてもよく、あるい
は、ジエン系ゴムの重合溶液に直接、変性剤を添加して
行うことができる。その他の方法としては押出混練機な
どを用いて直接混練変性することも可能である。
大きくするために、ハロゲン化アルミニウムやハロゲン
化アルキルを触媒として使用することができる。ハロゲ
ン化アルミニウムの例としては、塩化アルミニウム、臭
化アルミニウム、ヨウ化アルミニウムなどが挙げられ
る。ハロゲン化アルキルの例としては、臭化エチル、ヨ
ウ化エチル、塩化ブチル、臭化ブチル、ヨウ化ブチルな
どの炭素原子数1〜6のアルキルのハロゲン化物が挙げ
られる。
れ自身がジエン系ゴムと反応しないものであれば、自由
に使用できる。通常は、ジエン系ゴムの製造に用いた溶
媒と同じものが用いられる。その具体例としては、ベン
ゼン、クロルベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香
族炭化水素系溶媒、n−ヘプタン、n−ヘキサン、n−
ペンタン、n−オクタンなどの炭素原子数5〜10の脂
肪族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘ
キサン、テトラリン、デカリンなどの脂環族炭化水素系
溶媒などを挙げることができる。また、塩化メチレンや
テトラヒドロフランなども使用することができる。
℃の範囲にあることが好ましく、特に室温〜70℃の範
囲にあることが好ましい。温度が低すぎると変性反応の
進行が遅く、温度が高すぎると重合体がゲル化しやすく
なる。変性反応の時間には特に制限はないが、通常は
0.5〜6時間の範囲にあることが好ましい。変性反応
時間が短かすぎると反応が充分進行せず、時間が長すぎ
ると重合体がゲル化しやすくなる。
は、溶媒1リットル当り、通常は5〜500g、好まし
くは20〜200g、更に好ましくは30〜100gの
範囲にある。
ン系ゴム100gに対して、通常は0.01〜150ミ
リモル、好ましくは1〜100ミリモル、更に好ましく
は3〜50ミリモルの範囲にある。使用量が少な過ぎる
と、変性ジエン系ゴム中に導入される窒素元素の量が少
なくなり、変性効果が少ない。使用量が多すぎると、変
性ジエン系ゴム中に未反応変性剤が残存することになる
ため、その除去に手間がかかることになるので好ましく
ない。
によっては、触媒を使用することが好ましい。この反応
における触媒の使用量は、ジエン系ゴム100gに対し
て、通常は0.01〜100ミリモル、好ましくは0.
05〜50ミリモル、更に好ましくは0.08〜20ミ
リモルである。
は他の合成ゴム若しくは天然ゴムとブレンドして配合
し、必要ならばプロセス油で油展し、次いでカーボンブ
ラックなどの充填剤、加硫剤、加硫促進剤その他の通常
の配合剤を加えて加硫し、タイヤ、ホース、ベルト、そ
の他の、各種工業用品等の機械的特性及び耐摩耗性が要
求されるゴム用途に使用される。また、プラスチック材
料の改質剤として使用することもできる。
明するが、これらは本発明の目的を限定するものではな
い。なお、下記の実施例および比較例において得られた
ゴム状ポリマーのムーニー粘度(ML1+4 、100
℃)、シス−1,4−構造量、分子量及び分子量分布、
窒素含有量、およびゲル分率は下記の方法により測定し
た。
℃):JIS−K6300に従い株式会社島津製作所製
のムーニー粘度計(SMV−200)を使用して100
℃で1分予熱したのち、4分間測定してゴムのムーニー
粘度(ML1+4 、100℃)として表示した。 (2)シス−1,4−構造量:赤外吸収スペクトル分析
法により0.4重量%の二硫化炭素溶液を用いてポリマ
ーのミクロ構造を測定してシス−1,4−構造量を算出
した。
ンを標準物質としてテトラヒドロフランを溶媒として温
度40℃でゲルパーミエーション(透過)クロマトグラ
フィー(東ソー株式会社製、GPC)の分子量分布曲線
から求めた検量線を用いて計算して重量平均分子量(M
w)及び数平均分子量(Mn)を求めて重量平均分子量
(Mw)と分子量分布の広がりの大きさとしてMw/M
nを示した。 (4)窒素含有量:JIS−K0102に従い、ケルダ
ール法で定量した。
料を約0.5g採り、細かく切断し、正確に重量を測定
する(Rg)。100メッシュのステンレス製かごの重
量を精秤し(Kg)、秤量した試料をかごに全量移し重
量を測定する(Rg+Kg)。これをトルエン100m
Lの入った栓付きびんの中に浸漬し、23℃で24時間
放置する。次いで、かごを引き上げ、23℃で24時間
乾燥した後、さらに70℃で恒量になるように24時間
減圧乾燥を行ない、トルエン不溶分をかごと一緒に正確
に秤量し(Gg+Kg)、次式によってゲル分率を求め
た。
(フィラー重量部÷ゴム組成物全重量部)]÷[(R×
(ゴム重量部÷ゴム組成物全重量部)] ただし、 フィラー重量部:第1表のカーボンブラックの重量部 ゴム組成物全重量部:第1表の全組成分の合計重量部 ゴム重量部:第1表のゴム成分(NR+BR又は変性B
R)の合計重量部
引張強度、およびウエットスキッド抵抗指数を下記の方
法により測定した。 (1)300%弾性率(M300 ):JIS−K6301
により測定して300%でのモジュラスで示した。 (2)転がり抵抗指数:(株)岩本製作所製の粘弾性ス
ペクトロメーターVESを用い、温度70℃、初期ゆが
み10%、動歪み2%の条件で、tanδを測定し、下
記の式により転がり抵抗指数を求めた。指数の値が大き
い方が、転がり抵抗が低いことを意味し、転がり抵抗は
100以上であればよい。
変性品)の値)/(実施例(変性品)の値)]
従って測定した。 (4)ウエットスキッド抵抗指数:スタンレー社製のポ
ータブルスキッド抵抗計を用いてASTM−E303−
83の方法に従って測定した。濡れた路面でのグリップ
特性(駆動性能、制動性能及び操縦性能)の指標で数値
が大きい程良好であることを示す。
2リットルガラス製セパラブルフラスコに、コバルト触
媒系で製造したポリブタジエンゴム(宇部興産(株)
製、UBEPOL−340L、ML1+4 ,100℃=3
3、シス−1,4構造=98%、GPCによる数平均分
子量Mn=240,000、重量平均分子量Mw=58
5,000、Mw/Mn=2.44)130gとトルエ
ン1.2リットルを導入し、その内容物を撹拌しなが
ら、60℃に昇温してポリブタジエンゴムを完全に溶解
させた。次に、予めテトラヒドロフランに分散させた変
性剤(3−(2−アミノエチルアミノプロピル)ジメト
キシシラン)10ミリモル、そして触媒(塩化アルミニ
ウム)7.5ミリモルを添加して、60℃にて2時間変
性反応を行なった。
て、この反応混合物を3リットルフラスコに移して、メ
タノール1.2リットルを加えて、変性ポリブタジエン
ゴムを析出させた。この析出変性ポリブタジエンゴムを
300メッシュの金網で分離して、トルエン1リットル
に変性ポリブタジエンゴムを溶解させ、次いでメタノー
ル1.2リットルを加えて変性ポリブタジエンゴムを再
度析出させた。この操作を3回繰り返した後、酸化防止
剤[テトラキス−[メチレン−3−(3,5−ジ−t−
ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メ
タン(日本チバガイギー社製、Irganox101
0]を変性ポリブタジエンに対して、1000ppmを
練り混み、100℃で1時間真空乾燥させて、目的の変
性ポリブタジエンゴムを得た。
ミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシランを同量
用い、触媒として臭化エチルを10ミリモル用いた以外
は、実施例1と同様にして変性ポリブタジエンゴムを製
造した。
ロピルトリメトキシシランを同量用い、触媒として塩化
アルミニウムを2ミリモル用いた以外は、実施例1と同
様にして変性ポリブタジエンゴムを製造した。
ロピルトリメトキシシランを同量用い、触媒として塩化
アルミニウムを5ミリモル用いた以外は、実施例1と同
様にして変性ポリブタジエンゴムを製造した。
ロピルトリメトキシシランを同量用い、触媒として塩化
アルミニウムを7.5ミリモル用いた以外は、実施例1
と同様にして変性ポリブタジエンゴムを製造した。
(宇部興産(株)製、UBEPOL−340L)を比較
用のポリブタジエンゴムとして用いた。
ルアミノ)ジメチルシランを同量用いた以外は、実施例
1と同様にして変性ポリブタジエンゴムを製造した。
れたポリブタジエンゴム(変性BRまたは未変性BR)
を第1表に記載のように配合してゴム組成物を調製し
た。次いで、得られた配合物を150℃で30分間プレ
ス加硫して、加硫物の物性として、前記の方法で、反発
弾性(300%弾性率)、転がり抵抗指数、引張強度、
及びウエットスキッド抵抗を測定して第2表に示した。
アミド
についても同様にして第1表に記載のように配合してゴ
ム組成物を調製し、プレス加硫を行ない、加硫物の物性
について、同じ方法で、反発弾性(300%弾性率)、
転がり抵抗指数、引張強度、及びウエットスキッド抵抗
を測定した。その結果を次に示す。
(変性による増加):33.5(0.5)、ゲル分率
(%):34.0、300%弾性率(MPa):11.7、転が
り抵抗指数:101、引張強度(MPa):20.3、ウエ
ットスキッド指数:100
ミノ基とアルコキシ基とを有する珪素化合物の代りに、
アミノ基とアルキル基を有するシラン化合物であるビス
(ジメチルアミノ)ジメチルシラン用いて変性しても、
ジエン系ゴムの有意な特性改良を引き起こさないことが
分る。
とアルコキシ基とを有する珪素化合物により変性し、か
つその変性物のムーニー粘度を変性前と比較して1以上
増加させることによって、ゲル分率の増加、引張強度の
増加、反発弾性率の向上、そしてウエットスキッド抵抗
の向上を実現したもので、特に自動車タイヤ材料として
有用である。
Claims (2)
- 【請求項1】 繰り返し単位の80%以上がシス−1,
4構造であって、ムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)
が20〜80の範囲にあり、かつゲルパーミエーション
クロマトグラフィーにより測定した重量平均分子量が2
00,000〜1,000,000の範囲にあるジエン
系ゴムが、アミノ基とアルコキシ基とを有する珪素化合
物により変性されており、かつ、その変性物のムーニー
粘度が変性前と比較して1以上増加していることを特徴
とする変性ジエン系ゴム。 - 【請求項2】 繰り返し単位の80%以上がシス−1,
4構造であって、ムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)
が20〜80の範囲にあり、かつゲルパーミエーション
クロマトグラフィーにより測定した重量平均分子量が2
00,000〜1,000,000の範囲にあるジエン
系ゴムを、コバルト、ニッケル、チタンもしくはネオジ
ムを含む触媒の存在下にて、アミノ基とアルコキシ基と
を有する珪素化合物により変性させて、かつその変性物
のムーニー粘度を変性前に比較して1以上増加させるこ
とを特徴とする変性ジエン系ゴムの製造法。
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