JP2000159198A - 大型飛行船回収システム及びそれを用いた飛行船回収方法 - Google Patents

大型飛行船回収システム及びそれを用いた飛行船回収方法

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JP2000159198A
JP2000159198A JP10339214A JP33921498A JP2000159198A JP 2000159198 A JP2000159198 A JP 2000159198A JP 10339214 A JP10339214 A JP 10339214A JP 33921498 A JP33921498 A JP 33921498A JP 2000159198 A JP2000159198 A JP 2000159198A
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克治 海法
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 上空から降下する大型無人飛行船を、たとえ
海上であっても比較的少ない要員で簡単に、且つ傷つけ
ることなく安全に回収できるようにする。 【解決手段】 自重が浮力より僅かに勝った状態で上空
から降下する大型無人飛行船Aの移動速度に合わせて回
収船Sを移動し、その回収船の進行方向左右に備える巻
取装置11で巻き取ったロープ12を繰り出し、それら
ロープ12の繰り出し側先端にそれぞれ接続した気球1
5を浮上させ、それら気球15間でそれらにつないで設
ける捕捉用のネット16を拡げて、同ネットに飛行船A
のフック部10を掛けて同飛行船Aを受け止め、そのま
ま飛行船Aを係留場所へ曳航する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 この発明は、自重が浮力よ
り僅かに勝った状態で上空から降下する大型無人飛行船
を受け止めて回収する大型飛行船回収システム及びそれ
を用いた飛行船回収方法に関する。
【0002】
【従来の技術】 昨今、様々な用途のために、有人型・
無人型など各種の飛行船が製作されているが、今後は、
非常に大きな無人型のものが普及することが想定されて
いる。しかし、その場合には、大型の無人飛行船を、ど
のようにして受け止めて回収するかが、大きな課題とし
て残されている。
【0003】従来、そもそも有人型の大型飛行船を回収
する場合は、たとえば飛行船が自力で浮力調整しなが
ら、所定の地点へ降下するとき、乗員が多数のロープを
地上に投げ降ろし、それらを地上側の回収要員が捕獲
し、それらロープを持って飛行船を引っ張りながら、格
納庫近くの係留場所まで曳航している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】 ところが、大型の無
人飛行船の場合には、自重が浮力より僅かに勝った状態
で上空から降りてくるので、プロペラなどの動力でバラ
ンスを保っている間に、速やかに捕獲する必要がある。
しかし、無人型の場合は、有人の場合のように、多数の
ロープを降ろしてそれらを捕獲して回収するような方法
を採ることは難しく、回収に非常に困難を伴うという問
題がある。
【0005】また、無人型の場合は、飛行船の捕獲場所
を特定できないため、場合によっては、海上での回収も
考慮する必要があり、その場合、捕獲場所に多数の要員
を配することは難しく、一層回収に困難を伴うことが考
えられる。さらに、捕獲後に、遙か遠く離れた地上の係
留場所近くまで、大型無人飛行船をどのようにして曳航
すればよいかについても、大きな課題として残されてい
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】 そこで、請求項1に記
載の発明は、たとえば以下の図面を用いて説明する実施
の形態のとおり、自重が浮力より僅かに勝った状態で上
空から降下する大型無人飛行船Aを受け止めて回収する
大型飛行船回収システムにおいて、前記飛行船Aの腹部
に、カギ状の突起物を1本または複数本取り付けてなる
フック部10を設ける一方、その飛行船Aの移動速度に
合わせて動力により移動する、回収船Sや回収車Tのよ
うな移動回収体を備え、その移動回収体上に、ロープ1
2を繰り出し巻き取り調整自在に巻いて該移動回収体の
進行方向左右に備える巻取装置11と、それら巻取装置
11で巻いた前記ロープ12の繰り出し側先端にそれぞ
れ接続する気球15と、それら気球15間につないで設
ける捕捉用のネット16のような網状部材とを搭載して
なる、ことを特徴とする。
【0007】請求項2に記載の発明による大型飛行船回
収方法は、たとえば以下の図面を用いて説明する実施の
形態のとおり、自重が浮力より僅かに勝った状態で上空
から降下する大型無人飛行船Aの移動速度に合わせて回
収船Sや回収車Tのような移動回収体を移動し、その移
動回収体の進行方向左右に備える巻取装置11で巻き取
ったロープ12を繰り出し、それらロープ12の繰り出
し側先端にそれぞれ接続した気球15を浮上させ、それ
ら気球15間でそれらにつないで設ける捕捉用のネット
16のような網状部材を拡げて、その網状部材に前記飛
行船Aのフック部10を掛けて同飛行船Aを受け止め、
そのまま該飛行船Aを係留場所へ搬送してなる、ことを
特徴とする。
【0008】請求項3に記載の発明は、たとえば以下に
説明する実施の形態のとおり、自重が浮力より僅かに勝
った状態で上空から降下する大型無人飛行船Aを受け止
めて回収する大型飛行船回収システムにおいて、前記飛
行船Aの腹部に、カギ状の突起物を1本または複数本取
り付けてなるフック部10を設ける一方、その飛行船A
の移動速度に合わせて動力により移動する回収船Sや回
収車Tのような移動回収体を一対以上備え、個々の移動
回収体上に、ロープ12を繰り出し巻き取り調整自在に
巻いて備える巻取装置11と、その巻取装置11で巻い
た前記ロープ12の繰り出し側先端に接続して設ける気
球15とを搭載し、飛行船Aの回収時、同飛行船Aの進
行方向左右に位置する前記各一対の移動回収体における
前記気球15間に、捕捉用のネット16のような網状部
材をつないで構成してなる、ことを特徴とする。
【0009】請求項4に記載の発明による大型飛行船回
収方法は、たとえば以下の図面を用いて説明する実施の
形態のとおり、自重が浮力より僅かに勝った状態で上空
から降下する大型無人飛行船Aの移動速度に合わせて、
少なくとも一対の、回収船Sや回収車Tのような移動回
収体を前記飛行船Aの進行方向左右に離れて移動し、そ
れら移動回収体から、各移動回収体に備える巻取装置1
1で巻き取ったロープ12を繰り出し、それらロープ1
2の繰り出し側先端にそれぞれ接続した気球15を浮上
させ、それら気球15間でつないだ捕捉用のネット16
のような網状部材を拡げて、その網状部材に前記飛行船
Aのフック部10を掛けて同飛行船Aを受け止め、その
まま該飛行船Aを係留場所へ搬送してなる、ことを特徴
とする。
【0010】請求項5に記載の発明は、請求項1、2、
3又は4に記載の大型飛行船回収システムおよびそれを
用いた飛行船回収方法において、たとえば以下の図面を
用いて説明する実施の形態のとおり、前記飛行船Aを前
記網状部材で受け止めたとき、その飛行船Aの捕捉位置
に応じて、前記ロープ12の繰り出し巻き取り量を調整
して前記左右の気球15の浮上高さを調節してなる、こ
とを特徴とする。
【0011】請求項6に記載の発明は、請求項1、2、
3、4又は5に記載の大型飛行船回収システム及びそれ
を用いた飛行船回収方法において、たとえば以下の図面
を用いて説明する実施の形態のとおり、前記移動回収体
が回収船Sである、ことを特徴とする。
【0012】請求項7に記載の発明は、請求項1、2、
3、4又は5に記載の大型飛行船回収システム及びそれ
を用いた飛行船回収方法において、たとえば以下の図面
を用いて説明する実施の形態のとおり、前記移動回収体
が大型の回収車Tである、ことを特徴とする。
【0013】請求項8に記載の発明は、請求項2又は4
に記載の大型飛行船回収方法において、たとえば以下の
図面を用いて説明する実施の形態のとおり、前記飛行船
Aが海上に着水したときは、前記移動回収体を移動し、
前記気球15間につないだ前記網状部材を前記飛行船A
の底をくぐらせ、しかる後、前記気球15を浮上させて
前記網状部材に前記飛行船Aのフック部10を掛けて同
飛行船Aを持ち上げ、そのまま該飛行船Aを係留場所へ
曳航してなる、ことを特徴とする。
【0014】請求項9に記載の発明は、請求項2又は4
に記載の大型飛行船回収方法において、たとえば以下の
図面を用いて説明する実施の形態のとおり、前記飛行船
Aが海上に着水したときは、一側を一方の前記気球15
につないだ前記網状部材の他側を前記飛行船Aの底をく
ぐらせて他方の気球15に接続し、それら気球15を浮
上させて前記網状部材に前記飛行船Aのフック部10を
掛けて同飛行船Aを持ち上げ、そのまま該飛行船Aを係
留場所へ曳航してなる、ことを特徴とする
【0015】
【発明の実施の形態】 以下、図面を参照しつつ、この
発明の実施の形態について説明する。
【0016】図1は、この発明による大型飛行船回収シ
ステムを用いて同飛行船を回収する回収方法の一例を説
明する説明図であり、図2は、その飛行船回収システム
の回収船側の構成を示す概略構成図である。
【0017】図1中符号Aで大型無人飛行船を示す。そ
の飛行船は、たとえば長さが約200m、直径が約50
mである。そして、飛行船Aには、その腹部前側に、図
3でも示すように、たとえば複数本のカギ状の突起物を
取り付けてなるフック部10を備える。フック部10
を、1本のカギ状突起物を取り付けて形成してもよい。
なお、飛行船Aには、その側部の前後には、浮力調整用
に遠隔操作の動力プロペラ14を備える。
【0018】図2中符号Sは、この発明でいう移動回収
体の一例である回収船である。その回収船Sは、たとえ
ば幅が30mの大型船である。
【0019】この回収船S上には、その船体の幅方向左
右に離して設ける一対の巻取装置11を、船体の長さ方
向前後に配設する。巻取装置11は、それに備える巻取
ドラム11aにそれぞれ、繰り出し巻き取り自在にロー
プ12を巻いてなる。
【0020】また、回収船S上には、巻取装置11と同
様に、船体の幅方向左右に離して一対の支持用アーム1
3を、船体の長さ方向前後に配設する。左右アーム13
は、それぞれ約10mの長さで、この例では、さらに略
同じ長さのアーム部材を引出し自在に備えて、船体の左
右外側に伸長可能に構成してなる。そして、そのアーム
13の各々の先端にプーリ13aを取り付け、それらプ
ーリに、巻取ドラム11aから一部を繰り出したロープ
12を掛け、同ロープの繰り出し側先端に畳まれた状態
の気球15を接続してなる。
【0021】気球15としては、たとえばヘリウムを充
填したときで、長さ30m、直径12mの長円形で、1
基当たり約3tの浮力を有するものを用いる。
【0022】そして、これら気球15間を、それらに両
端をつないだ捕捉用のネット(網状部材)16を連結し
てなる。このネット16は、たとえば長さ30mのもの
を用いる。
【0023】さて次に、上述した構成の大型飛行船回収
システムを用いて、上記飛行船Aを回収する方法につい
て説明する。
【0024】その場合、飛行船Aは、図1(a)に示す
ように、自重が浮力より僅かに勝った状態で上空から降
下してくる。一方、回収船Sは、飛行船Aの移動速度に
合わせて海上を移動する。
【0025】次いで、図1(b)に示すように、回収船
S上で気球15にヘリウムを充填して膨らませてから、
図4でも示すように、アーム13を左右外側に伸長する
とともに、巻取装置11を作動して巻取ドラム11aか
らロープ12を繰り出し、気球15を浮上させる。な
お、気球15は、始めから膨らませた状態としてあって
もよい。
【0026】そして、図1(c)に示すように、気球1
5を、たとえば30m程度上昇し、それら左右の気球1
5間で捕捉用ネット16を拡げながら回収船Sを走行
し、図3でも示すように、回収船Sをそれに近づく飛行
船Aの真下に入り込ませる。
【0027】そうして、図1(d)に示すように、飛行
船Aを捕捉用ネット16上に乗せ、同ネットに飛行船A
のフック部10を引っ掛けて同飛行船を受け止める。
【0028】このとき、図5に示すように、飛行船Aが
ネット16の中央で受け止められず、たとえば図中左側
に片寄った位置で捕捉されたときは、その飛行船Aの捕
捉位置に応じて、前記右側の巻取装置11で巻取ドラム
11aからロープ12を繰り出す量を調整して左右の気
球15の浮上高さを調節する。そして、飛行船Aをネッ
ト16でバランスよく受け止めるようにする。
【0029】飛行船Aを受け止めた後は、そのままの状
態で、海上を岸壁まで曳航し、気球15のロープ12を
陸上の大型トラック等の車両にあずけ、係留場所まで搬
送する。そして、そこで所定の高さまで気球15を引き
下げて飛行船Aを降し、係留装置に繋ぐ。
【0030】なお、上述した例では、飛行船Aの腹部の
前側にのみフック部10を設けたが、同様なフック部を
後側にも設置し、たとえば図3に示すように、飛行船A
を、その下方前後で、それぞれ2隻の回収船Sによって
回収できるようにしてもよい。
【0031】また、上述した例では、気球15のロープ
12を支えるアーム13を、別のアーム部材を引き出し
自在に設けて外側に伸長可能とするが、たとえばアーム
13を回収船Sの幅方向左右に移動自在に設け、同アー
ムを回収船Sから外側に突出させる構成とすることもで
きる。さらに、そのようなアームを開閉自在に回収船上
に設け、回収時、アームを回動して船体の外側に開いて
突出させる構成とすることもできる。
【0032】さて、上述した例では、個々の回収船Sご
とに気球15間に捕捉用ネット16を接続し、そのネッ
トで飛行船Aを受け止める。しかし、たとえば図6に示
すように、2隻の回収船S上に、ロープ12を繰り出し
巻き取り調整自在に巻取ドラムに巻いた巻取装置11
と、その巻取装置で巻き取ったロープ12の繰り出し側
先端に接続した気球15とを個別に搭載し、回収時に、
飛行船Aの進行方向左右に位置する回収船Sの気球間1
5に、捕捉用ネット16をつなぐシステム構成とするこ
ともできる。
【0033】そして、大型無人飛行船Aを回収するとき
は、前述のように上空から降下する同飛行船Aの移動速
度に合わせて、2隻の回収船Sを、飛行船Aの進行方向
左右に離れて移動し、それら左右の回収船Sから、各々
の巻取装置11でロープ12を繰り出して気球15を浮
上させ、それら気球15間につないだ捕捉用ネット16
を拡げて、そのネットに飛行船Aのフック部10を掛け
て同飛行船を受け止め、そのまま陸上の係留場所へ曳航
する。
【0034】また、上述のように2隻の回収船Sで大型
無人飛行船Aを回収するとき、うまく受け止められず、
飛行船Aが海上に着水した場合は、同飛行船を次のよう
にして回収することができる。
【0035】たとえば回収船Sを飛行船Aの前側または
後側から移動し、図7に示すように、予め気球15間に
つないだ捕捉用ネット16を飛行船Aの底をくぐらせ、
しかる後、各々の巻取装置11でロープ12を繰り出し
て左右の気球15を浮上させ、捕捉用ネット16に飛行
船Aのフック部10を掛けて同飛行船を持ち上げ、その
まま係留場所へ曳航する。
【0036】また、次のような回収方法もある。たとえ
ば一側を一方の気球15につないだ捕捉用ネット16の
他側を、飛行船Aの底をくぐらせて他方の気球15に接
続し、それから、各々の巻取装置11でロープ12を繰
り出して左右の気球15を浮上させ、捕捉用ネット16
に飛行船Aのフック部10を掛けて同飛行船を持ち上
げ、そのまま係留場所へ曳航する。
【0037】なお、上述した例では、海上に着水した飛
行船Aを2隻の回収船Sで回収するが、1隻の回収船
で、たとえば適宜アームなどを用いて拡げた捕捉用ネッ
ト16により着水した飛行船Aの底をくぐらせて回収す
る構成も考えられる。
【0038】さて、上述した飛行船回収システムでは、
この発明でいう移動回収体として回収船Sを用いたが、
大型自動車、たとえば図8に示すような大型のトラック
からなる回収車Tを用いることもできる。
【0039】そして、大型無人飛行船Aを回収するとき
は、前述のように上空から降下する同飛行船の移動速度
に合わせて、たとえば2台の回収車Tを、飛行船Aの進
行方向左右に離れて陸上を走行し、それら左右の回収車
Tから、各々の巻取装置でロープ12を繰り出して気球
15を浮上させ、それら気球15間につないだ捕捉用ネ
ット16を拡げて、そのネットに飛行船Aのフック部1
0を掛けて同飛行船を受け止め、そのまま係留場所へと
搬送する。
【0040】また、そのように回収車Tを用いる場合
は、回収車は2台以上であってもよい。たとえば図9に
示すように、1つの気球15をその前後でそれぞれロー
プ12を介して2台の回収車T上で浮上させ、合計4台
の回収車で前記捕捉用ネットを広げて飛行船Aを受け止
めるようにすることもできる。
【0041】さらに、図9中鎖線で示すように、飛行船
Aを、その下方で前側で受け止めるとともに、後側でも
回収車Tで受け止めて回収するようにすることもでき
る。
【0042】
【発明の効果】 したがって、この発明によれば、気球
を浮上させてその気球間で捕捉用の網状部材を広げ、そ
の網状部材に、上空から降下する飛行船を掛けて受け止
めるようにするから、飛行船が大型無人型の場合であっ
ても、比較的簡単に速やかに、且つ確実に、しかも傷つ
けることなく飛行船を捕獲できる。さらに、捕獲した状
態において横風などを受けても気球のロープのフレキシ
ビリティーのため、飛行船を無理に拘束することなく安
全に捕獲状態を維持することができる。
【0043】したがって、従来の有人型のように、多数
のロープを降ろして捕獲するような方法を採る必要がな
く、それだけ少ない要員により回収作業を行うことがで
きる。また、たとえ海上で飛行船を回収する場合でも、
比較的少ない要員で簡単に回収作業を行うことができ
る。さらに、捕獲後も、網状部材に掛けて受け止めたま
ま、たとえ遙か遠く離れていても、その係留場所近くま
で比較的簡単に搬送することができる。
【0044】さらに請求項5に記載の発明によれば、加
えて、飛行船を網状部材で受け止めたとき、その飛行船
の捕捉位置に応じてロープの繰り出し巻き取り量を調整
して左右の気球の浮上高さを調節し、これにより、飛行
船を網状部材で常にバランスよく受け止めて回収するこ
とができる。
【0045】そして、請求項8および9に記載の発明に
よれば、加えて、大型無人飛行船を回収船で回収すると
きに、うまく受け止められず、飛行船が海上に着水した
場合でも、捕捉用の網状部材を、飛行船の底をくぐらせ
てから、左右の気球を浮上させて網状部材で飛行船をす
くい上げるようにして回収することにより、そのまま係
留場所へ簡単に曳航することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)〜(d)は、この発明による大型飛行
船回収システムを用いて同飛行船を回収する回収方法の
一例を段階的に説明する説明図である。
【図2】 上記(a)図に示す大型飛行船回収システム
の回収船側の構成を示す拡大概略構成図である。
【図3】 上記(c)図の状態を横から見て示す状態説
明図である。
【図4】 上記(b)図に示す大型飛行船回収システム
の回収船側の構成を示す拡大概略構成図である。
【図5】 飛行船を片寄った位置に捕捉用ネットで受け
止めたときの回収状態を説明する説明図である。
【図6】 回収船を用いて飛行船を回収する一例を説明
する説明図である。
【図7】 飛行船が誤って海上に着水したときの回収方
法を説明する説明図である。
【図8】 回収車で飛行船を回収する一例を説明する説
明図である。
【図9】 複数の回収車で飛行船を回収する一例を説明
する説明図である。
【符号の説明】
A 大型無人飛行船 S 回収船(移動回収体) T 回収車(移動回収体) 10 フック部 11 巻取装置 12 ロープ 15 気球 16 捕捉用ネット(網状部材)
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年9月8日(1999.9.8)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 大型飛行船回収システム及びそれを
用いた飛行船回収方法
【特許請求の範囲】
【請求項】 前記移動回収体が回収船である、請求項
2、4又は5に記載の大型飛行船回収方法。
【請求項】 前記移動回収体が大型の回収車である、
請求項2、4又は5に記載の大型飛行船回収方法。
【請求項10前記移動回収体が大型の回収車であ
る、請求項1又は3に記載の大型飛行船回収システム。
【請求項11】 前記飛行船が海上に着水したときは、 前記移動回収体を移動し、前記気球間につないだ前記網
状部材を前記飛行船の底をくぐらせ、 しかる後、前記気球を浮上させて前記網状部材に前記飛
行船のフック部を掛けて同飛行船を持ち上げ、 そのまま該飛行船を係留場所へ曳航してなる、請求項2
又は4に記載の大型飛行船回収方法。
【請求項12】 前記飛行船が海上に着水したときは、 一側を一方の前記気球につないだ前記網状部材の他側を
前記飛行船の底をくぐらせて他方の気球に接続し、 それら気球を浮上させて前記網状部材に前記飛行船のフ
ック部を掛けて同飛行船を持ち上げ、 そのまま該飛行船を係留場所へ曳航してなる、請求項2
又は4に記載の大型飛行船回収方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 この発明は、自重が浮力よ
り僅かに勝った状態で上空から降下する大型無人飛行船
を受け止めて回収する大型飛行船回収システム及びそれ
を用いた飛行船回収方法に関する。
【0002】
【従来の技術】 昨今、様々な用途のために、有人型・
無人型など各種の飛行船が製作されているが、今後は、
非常に大きな無人型のものが普及することが想定されて
いる。しかし、その場合には、大型の無人飛行船を、ど
のようにして受け止めて回収するかが、大きな課題とし
て残されている。
【0003】従来、そもそも有人型の大型飛行船を回収
する場合は、たとえば飛行船が自力で浮力調整しなが
ら、所定の地点へ降下するとき、乗員が多数のロープを
地上に投げ降ろし、それらを地上側の回収要員が捕獲
し、それらロープを持って飛行船を引っ張りながら、格
納庫近くの係留場所まで曳航している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】 ところが、大型の無
人飛行船の場合には、自重が浮力より僅かに勝った状態
で上空から降りてくるので、プロペラなどの動力でバラ
ンスを保っている間に、速やかに捕獲する必要がある。
しかし、無人型の場合は、有人の場合のように、多数の
ロープを降ろしてそれらを捕獲して回収するような方法
を採ることは難しく、回収に非常に困難を伴うという問
題がある。
【0005】また、無人型の場合は、飛行船の捕獲場所
を特定できないため、場合によっては、海上での回収も
考慮する必要があり、その場合、捕獲場所に多数の要員
を配することは難しく、一層回収に困難を伴うことが考
えられる。さらに、捕獲後に、遙か遠く離れた地上の係
留場所近くまで、大型無人飛行船をどのようにして曳航
すればよいかについても、大きな課題として残されてい
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】 そこで、請求項1に記
載の発明は、たとえば以下の図面を用いて説明する実施
の形態のとおり、自重が浮力より僅かに勝った状態で上
空から降下する大型無人飛行船Aを受け止めて回収する
大型飛行船回収システムにおいて、前記飛行船Aの腹部
に、カギ状の突起物を1本または複数本取り付けてなる
フック部10を設ける一方、その飛行船Aの移動速度に
合わせて動力により移動する、回収船Sや回収車Tのよ
うな移動回収体を備え、その移動回収体上に、ロープ1
2を繰り出し巻き取り調整自在に巻いて該移動回収体の
進行方向左右に備える巻取装置11と、それら巻取装置
11で巻いた前記ロープ12の繰り出し側先端にそれぞ
れ接続する気球15と、それら気球15間につないで設
ける捕捉用のネット16のような網状部材とを搭載して
なる、ことを特徴とする。
【0007】請求項2に記載の発明による大型飛行船回
収方法は、たとえば以下の図面を用いて説明する実施の
形態のとおり、自重が浮力より僅かに勝った状態で上空
から降下する大型無人飛行船Aの移動速度に合わせて回
収船Sや回収車Tのような移動回収体を移動し、その移
動回収体の進行方向左右に備える巻取装置11で巻き取
ったロープ12を繰り出し、それらロープ12の繰り出
し側先端にそれぞれ接続した気球15を浮上させ、それ
ら気球15間でそれらにつないで設ける捕捉用のネット
16のような網状部材を拡げて、その網状部材に前記飛
行船Aのフック部10を掛けて同飛行船Aを受け止め、
そのまま該飛行船Aを係留場所へ搬送してなる、ことを
特徴とする。
【0008】請求項3に記載の発明は、たとえば以下に
説明する実施の形態のとおり、自重が浮力より僅かに勝
った状態で上空から降下する大型無人飛行船Aを受け止
めて回収する大型飛行船回収システムにおいて、前記飛
行船Aの腹部に、カギ状の突起物を1本または複数本取
り付けてなるフック部10を設ける一方、その飛行船A
の移動速度に合わせて動力により移動する回収船Sや回
収車Tのような移動回収体を一対以上備え、個々の移動
回収体上に、ロープ12を繰り出し巻き取り調整自在に
巻いて備える巻取装置11と、その巻取装置11で巻い
た前記ロープ12の繰り出し側先端に接続して設ける気
球15とを搭載し、飛行船Aの回収時、同飛行船Aの進
行方向左右に位置する前記各一対の移動回収体における
前記気球15間に、捕捉用のネット16のような網状部
材をつないで構成してなる、ことを特徴とする。
【0009】請求項4に記載の発明による大型飛行船回
収方法は、たとえば以下の図面を用いて説明する実施の
形態のとおり、自重が浮力より僅かに勝った状態で上空
から降下する大型無人飛行船Aの移動速度に合わせて、
少なくとも一対の、回収船Sや回収車Tのような移動回
収体を前記飛行船Aの進行方向左右に離れて移動し、そ
れら移動回収体から、各移動回収体に備える巻取装置1
1で巻き取ったロープ12を繰り出し、それらロープ1
2の繰り出し側先端にそれぞれ接続した気球15を浮上
させ、それら気球15間でつないだ捕捉用のネット16
のような網状部材を拡げて、その網状部材に前記飛行船
Aのフック部10を掛けて同飛行船Aを受け止め、その
まま該飛行船Aを係留場所へ搬送してなる、ことを特徴
とする。
【0010】請求項5に記載の発明は、請求項2又は4
に記載の大型飛行船回収方法において、たとえば以下の
図面を用いて説明する実施の形態のとおり、前記飛行船
Aを前記網状部材で受け止めたとき、その飛行船Aの捕
捉位置に応じて、前記ロープ12の繰り出し巻き取り量
を調整して前記左右の気球15の浮上高さを調節してな
る、ことを特徴とする。
【0011】請求項6に記載の発明は、請求項1又は3
に記載の大型飛行船回収システムにおいて、たとえば以
下の図面を用いて説明する実施の形態のとおり、前記飛
行船Aを前記網状部材で受け止めたとき、その飛行船A
の捕捉位置に応じて、前記ロープ12の繰り出し巻き取
り量を調整して前記左右の気球15の浮上高さを調節し
てなる、ことを特徴とする。
【0012】請求項7に記載の発明は、請求項2、4又
は5に記載の大型飛行船回収方法において、たとえば以
下の図面を用いて説明する実施の形態のとおり、前記移
動回収体が大型の回収船Sである、ことを特徴とする。
【0013】請求項8に記載の発明は、請求項1又は3
に記載の大型飛行船回収システムにおいて、たとえば以
下の図面を用いて説明する実施の形態のとおり、前記移
動回収体が回収船Sである、ことを特徴とする。
【0014】請求項9に記載の発明は、請求項2,4又
は5に記載の大型飛行船回収方法において、たとえば以
下の図面を用いて説明する実施の形態のとおり、前記移
動回収体が大型の回収車Tである、ことを特徴とする。
【0015】請求項10に記載の発明は、請求項1又は
3に記載の大型飛行船回収システムにおいて、たとえば
以下の図面を用いて説明するとおり、前記移動回収体が
大型の回収車Tである、ことを特徴とする。
【001】請求項11に記載の発明は、請求項2又は
4に記載の大型飛行船回収方法において、たとえば以下
の図面を用いて説明する実施の形態のとおり、前記飛行
船Aが海上に着水したときは、前記移動回収体を移動
し、前記気球15間につないだ前記網状部材を前記飛行
船Aの底をくぐらせ、しかる後、前記気球15を浮上さ
せて前記網状部材に前記飛行船Aのフック部10を掛け
て同飛行船Aを持ち上げ、そのまま該飛行船Aを係留場
所へ曳航してなる、ことを特徴とする。
【001】請求項12に記載の発明は、請求項2又は
4に記載の大型飛行船回収方法において、たとえば以下
の図面を用いて説明する実施の形態のとおり、前記飛行
船Aが海上に着水したときは、一側を一方の前記気球1
5につないだ前記網状部材の他側を前記飛行船Aの底を
くぐらせて他方の気球15に接続し、それら気球15を
浮上させて前記網状部材に前記飛行船Aのフック部10
を掛けて同飛行船Aを持ち上げ、そのまま該飛行船Aを
係留場所へ曳航してなる、ことを特徴とする
【001
【発明の実施の形態】 以下、図面を参照しつつ、この
発明の実施の形態について説明する。
【001】図1は、この発明による大型飛行船回収シ
ステムを用いて同飛行船を回収する回収方法の一例を説
明する説明図であり、図2は、その飛行船回収システム
の回収船側の構成を示す概略構成図である。
【0020】図1中符号Aで大型無人飛行船を示す。そ
の飛行船は、たとえば長さが約200m、直径が約50
mである。そして、飛行船Aには、その腹部前側に、図
3でも示すように、たとえば複数本のカギ状の突起物を
取り付けてなるフック部10を備える。フック部10
を、1本のカギ状突起物を取り付けて形成してもよい。
なお、飛行船Aには、その側部の前後には、浮力調整用
に遠隔操作の動力プロペラ14を備える。
【0021】図2中符号Sは、この発明でいう移動回収
体の一例である回収船である。その回収船Sは、たとえ
ば幅が30mの大型船である。
【0022】この回収船S上には、その船体の幅方向左
右に離して設ける一対の巻取装置11を、船体の長さ方
向前後に配設する。巻取装置11は、それに備える巻取
ドラム11aにそれぞれ、繰り出し巻き取り自在にロー
プ12を巻いてなる。
【002】また、回収船S上には、巻取装置11と同
様に、船体の幅方向左右に離して一対の支持用アーム1
3を、船体の長さ方向前後に配設する。左右アーム13
は、それぞれ約10mの長さで、この例では、さらに略
同じ長さのアーム部材を引出し自在に備えて、船体の左
右外側に伸長可能に構成してなる。そして、そのアーム
13の各々の先端にプーリ13aを取り付け、それらプ
ーリに、巻取ドラム11aから一部を繰り出したロープ
12を掛け、同ロープの繰り出し側先端に畳まれた状態
の気球15を接続してなる。
【002】気球15としては、たとえばヘリウムを充
填したときで、長さ30m、直径12mの長円形で、1
基当たり約3tの浮力を有するものを用いる。
【002】そして、これら気球15間を、それらに両
端をつないだ捕捉用のネット(網状部材)16を連結し
てなる。このネット16は、たとえば長さ30mのもの
を用いる。
【002】さて次に、上述した構成の大型飛行船回収
システムを用いて、上記飛行船Aを回収する方法につい
て説明する。
【002】その場合、飛行船Aは、図1(a)に示す
ように、自重が浮力より僅かに勝った状態で上空から降
下してくる。一方、回収船Sは、飛行船Aの移動速度に
合わせて海上を移動する。
【002】次いで、図1(b)に示すように、回収船
S上で気球15にヘリウムを充填して膨らませてから、
図4でも示すように、アーム13を左右外側に伸長する
とともに、巻取装置11を作動して巻取ドラム11aか
らロープ12を繰り出し、気球15を浮上させる。な
お、気球15は、始めから膨らませた状態としてあって
もよい。
【002】そして、図1(c)に示すように、気球1
5を、たとえば30m程度上昇し、それら左右の気球1
5間で捕捉用ネット16を拡げながら回収船Sを走行
し、図3でも示すように、回収船Sをそれに近づく飛行
船Aの真下に入り込ませる。
【0030】そうして、図1(d)に示すように、飛行
船Aを捕捉用ネット16上に乗せ、同ネットに飛行船A
のフック部10を引っ掛けて同飛行船を受け止める。
【0031】このとき、図5に示すように、飛行船Aが
ネット16の中央で受け止められず、たとえば図中左側
に片寄った位置で捕捉されたときは、その飛行船Aの捕
捉位置に応じて、前記右側の巻取装置11で巻取ドラム
11aからロープ12を繰り出す量を調整して左右の気
球15の浮上高さを調節する。そして、飛行船Aをネッ
ト16でバランスよく受け止めるようにする。
【003】飛行船Aを受け止めた後は、そのままの状
態で、海上を岸壁まで曳航し、気球15のロープ12を
陸上の大型トラック等の車両にあずけ、係留場所まで搬
送する。そして、そこで所定の高さまで気球15を引き
下げて飛行船Aを降し、係留装置に繋ぐ。
【003】なお、上述した例では、飛行船Aの腹部の
前側にのみフック部10を設けたが、同様なフック部を
後側にも設置し、たとえば図3に示すように、飛行船A
を、その下方前後で、それぞれ2隻の回収船Sによって
回収できるようにしてもよい。
【003】また、上述した例では、気球15のロープ
12を支えるアーム13を、別のアーム部材を引き出し
自在に設けて外側に伸長可能とするが、たとえばアーム
13を回収船Sの幅方向左右に移動自在に設け、同アー
ムを回収船Sから外側に突出させる構成とすることもで
きる。さらに、そのようなアームを開閉自在に回収船上
に設け、回収時、アームを回動して船体の外側に開いて
突出させる構成とすることもできる。
【003】さて、上述した例では、個々の回収船Sご
とに気球15間に捕捉用ネット16を接続し、そのネッ
トで飛行船Aを受け止める。しかし、たとえば図6に示
すように、2隻の回収船S上に、ロープ12を繰り出し
巻き取り調整自在に巻取ドラムに巻いた巻取装置11
と、その巻取装置で巻き取ったロープ12の繰り出し側
先端に接続した気球15とを個別に搭載し、回収時に、
飛行船Aの進行方向左右に位置する回収船Sの気球間1
5に、捕捉用ネット16をつなぐシステム構成とするこ
ともできる。
【003】そして、大型無人飛行船Aを回収するとき
は、前述のように上空から降下する同飛行船Aの移動速
度に合わせて、2隻の回収船Sを、飛行船Aの進行方向
左右に離れて移動し、それら左右の回収船Sから、各々
の巻取装置11でロープ12を繰り出して気球15を浮
上させ、それら気球15間につないだ捕捉用ネット16
を拡げて、そのネットに飛行船Aのフック部10を掛け
て同飛行船を受け止め、そのまま陸上の係留場所へ曳航
する。
【003】また、上述のように2隻の回収船Sで大型
無人飛行船Aを回収するとき、うまく受け止められず、
飛行船Aが海上に着水した場合は、同飛行船を次のよう
にして回収することができる。
【003】たとえば回収船Sを飛行船Aの前側または
後側から移動し、図7に示すように、予め気球15間に
つないだ捕捉用ネット16を飛行船Aの底をくぐらせ、
しかる後、各々の巻取装置11でロープ12を繰り出し
て左右の気球15を浮上させ、捕捉用ネット16に飛行
船Aのフック部10を掛けて同飛行船を持ち上げ、その
まま係留場所へ曳航する。
【003】また、次のような回収方法もある。たとえ
ば一側を一方の気球15につないだ捕捉用ネット16の
他側を、飛行船Aの底をくぐらせて他方の気球15に接
続し、それから、各々の巻取装置11でロープ12を繰
り出して左右の気球15を浮上させ、捕捉用ネット16
に飛行船Aのフック部10を掛けて同飛行船を持ち上
げ、そのまま係留場所へ曳航する。
【0040】なお、上述した例では、海上に着水した飛
行船Aを2隻の回収船Sで回収するが、1隻の回収船
で、たとえば適宜アームなどを用いて拡げた捕捉用ネッ
ト16により着水した飛行船Aの底をくぐらせて回収す
る構成も考えられる。
【0041】さて、上述した飛行船回収システムでは、
この発明でいう移動回収体として回収船Sを用いたが、
大型自動車、たとえば図8に示すような大型のトラック
からなる回収車Tを用いることもできる。
【0042】そして、大型無人飛行船Aを回収するとき
は、前述のように上空から降下する同飛行船の移動速度
に合わせて、たとえば2台の回収車Tを、飛行船Aの進
行方向左右に離れて陸上を走行し、それら左右の回収車
Tから、各々の巻取装置でロープ12を繰り出して気球
15を浮上させ、それら気球15間につないだ捕捉用ネ
ット16を拡げて、そのネットに飛行船Aのフック部1
0を掛けて同飛行船を受け止め、そのまま係留場所へと
搬送する。
【004】また、そのように回収車Tを用いる場合
は、回収車は2台以上であってもよい。たとえば図9に
示すように、1つの気球15をその前後でそれぞれロー
プ12を介して2台の回収車T上で浮上させ、合計4台
の回収車で前記捕捉用ネットを広げて飛行船Aを受け止
めるようにすることもできる。
【004】さらに、図9中鎖線で示すように、飛行船
Aを、その下方で前側で受け止めるとともに、後側でも
回収車Tで受け止めて回収するようにすることもでき
る。
【004
【発明の効果】 したがって、この発明によれば、気球
を浮上させてその気球間で捕捉用の網状部材を広げ、そ
の網状部材に、上空から降下する飛行船を掛けて受け止
めるようにするから、飛行船が大型無人型の場合であっ
ても、比較的簡単に速やかに、且つ確実に、しかも傷つ
けることなく飛行船を捕獲できる。さらに、捕獲した状
態において横風などを受けても気球のロープのフレキシ
ビリティーのため、飛行船を無理に拘束することなく安
全に捕獲状態を維持することができる。
【004】したがって、従来の有人型のように、多数
のロープを降ろして捕獲するような方法を採る必要がな
く、それだけ少ない要員により回収作業を行うことがで
きる。また、たとえ海上で飛行船を回収する場合でも、
比較的少ない要員で簡単に回収作業を行うことができ
る。さらに、捕獲後も、網状部材に掛けて受け止めたま
ま、たとえ遙か遠く離れていても、その係留場所近くま
で比較的簡単に搬送することができる。
【004】さらに請求項5に記載の発明によれば、加
えて、飛行船を網状部材で受け止めたとき、その飛行船
の捕捉位置に応じてロープの繰り出し巻き取り量を調整
して左右の気球の浮上高さを調節し、これにより、飛行
船を網状部材で常にバランスよく受け止めて回収するこ
とができる。
【004】そして、請求項11および12に記載の発
明によれば、加えて、大型無人飛行船を回収船で回収す
るときに、うまく受け止められず、飛行船が海上に着水
した場合でも、捕捉用の網状部材を、飛行船の底をくぐ
らせてから、左右の気球を浮上させて網状部材で飛行船
をすくい上げるようにして回収することにより、そのま
ま係留場所へ簡単に曳航することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)〜(d)は、この発明による大型飛行
船回収システムを用いて同飛行船を回収する回収方法の
一例を段階的に説明する説明図である。
【図2】 上記(a)図に示す大型飛行船回収システム
の回収船側の構成を示す拡大概略構成図である。
【図3】 上記(c)図の状態を横から見て示す状態説
明図である。
【図4】 上記(b)図に示す大型飛行船回収システム
の回収船側の構成を示す拡大概略構成図である。
【図5】 飛行船を片寄った位置に捕捉用ネットで受け
止めたときの回収状態を説明する説明図である。
【図6】 回収船を用いて飛行船を回収する一例を説明
する説明図である。
【図7】 飛行船が誤って海上に着水したときの回収方
法を説明する説明図である。
【図8】 回収車で飛行船を回収する一例を説明する説
明図である。
【図9】 複数の回収車で飛行船を回収する一例を説明
する説明図である。
【符号の説明】 A 大型無人飛行船 S 回収船(移動回収体) T 回収車(移動回収体) 10 フック部 11 巻取装置 12 ロープ 15 気球 16 捕捉用ネット(網状部材)

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自重が浮力より僅かに勝った状態で上空
    から降下する大型無人飛行船を受け止めて回収する大型
    飛行船回収システムにおいて、 前記飛行船の腹部に、カギ状の突起物を1本または複数
    本取り付けてなるフック部を設ける一方、その飛行船の
    移動速度に合わせて動力により移動する移動回収体を備
    え、 その移動回収体上に、 ロープを繰り出し巻き取り調整自在に巻いて該移動回収
    体の進行方向左右に備える巻取装置と、 それら巻取装置で巻いた前記ロープの繰り出し側先端に
    それぞれ接続する気球と、 それら気球間につないで設ける捕捉用の網状部材とを搭
    載してなる、大型飛行船回収システム。
  2. 【請求項2】 自重が浮力より僅かに勝った状態で上空
    から降下する大型無人飛行船の移動速度に合わせて移動
    回収体を移動し、 その移動回収体の進行方向左右に備える巻取装置で巻き
    取ったロープを繰り出し、それらロープの繰り出し側先
    端にそれぞれ接続した気球を浮上させ、 それら気球間でそれらにつないで設ける捕捉用の網状部
    材を拡げて、その網状部材に前記飛行船のフック部を掛
    けて同飛行船を受け止め、 そのまま該飛行船を係留場所へ搬送してなる、大型飛行
    船回収方法。
  3. 【請求項3】 自重が浮力より僅かに勝った状態で上空
    から降下する大型無人飛行船を受け止めて回収する大型
    飛行船回収システムにおいて、 前記飛行船の腹部に、カギ状の突起物を1本または複数
    本取り付けてなるフック部を設ける一方、その飛行船の
    移動速度に合わせて動力により移動する移動回収体を一
    対以上備え、 個々の移動回収体上に、ロープを繰り出し巻き取り調整
    自在に巻いて備える巻取装置と、その巻取装置で巻いた
    前記ロープの繰り出し側先端に接続して設ける気球とを
    搭載し、 飛行船の回収時、同飛行船の進行方向左右に位置する前
    記各一対の移動回収体における前記気球間に、捕捉用の
    網状部材をつないで構成してなる、大型飛行船回収シス
    テム。
  4. 【請求項4】 自重が浮力より僅かに勝った状態で上空
    から降下する大型無人飛行船の移動速度に合わせて、少
    なくとも一対の移動回収体を前記飛行船の進行方向左右
    に離れて移動し、 それら移動回収体から、各移動回収体に備える巻取装置
    で巻き取ったロープを繰り出し、それらロープの繰り出
    し側先端にそれぞれ接続した気球を浮上させ、 それら気球間でつないだ捕捉用の網状部材を拡げて、そ
    の網状部材に前記飛行船のフック部を掛けて同飛行船を
    受け止め、 そのまま該飛行船を係留場所へ搬送してなる、大型飛行
    船回収方法。
  5. 【請求項5】 前記飛行船を前記網状部材で受け止めた
    とき、その飛行船の捕捉位置に応じて、前記ロープの繰
    り出し巻き取り量を調整して前記左右の気球の浮上高さ
    を調節してなる、請求項1、2、3又は4に記載の大型
    飛行船回収システムおよびそれを用いた飛行船回収方
    法。
  6. 【請求項6】 前記移動回収体が回収船である、請求項
    1、2、3、4又は5に記載の大型飛行船回収システム
    及びそれを用いた飛行船回収方法。
  7. 【請求項7】 前記移動回収体が大型の回収車である、
    請求項1、2、3、4又は5に記載の大型飛行船回収シ
    ステム及びそれを用いた飛行船回収方法。
  8. 【請求項8】 前記飛行船が海上に着水したときは、 前記移動回収体を移動し、前記気球間につないだ前記網
    状部材を前記飛行船の底をくぐらせ、 しかる後、前記気球を浮上させて前記網状部材に前記飛
    行船のフック部を掛けて同飛行船を持ち上げ、 そのまま該飛行船を係留場所へ曳航してなる、請求項2
    又は4に記載の大型飛行船回収方法。
  9. 【請求項9】 前記飛行船が海上に着水したときは、 一側を一方の前記気球につないだ前記網状部材の他側を
    前記飛行船の底をくぐらせて他方の気球に接続し、 それら気球を浮上させて前記網状部材に前記飛行船のフ
    ック部を掛けて同飛行船を持ち上げ、 そのまま該飛行船を係留場所へ曳航してなる、請求項2
    又は4に記載の大型飛行船回収方法。
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