JP2000158879A - 筆記具 - Google Patents

筆記具

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JP2000158879A JP10337375A JP33737598A JP2000158879A JP 2000158879 A JP2000158879 A JP 2000158879A JP 10337375 A JP10337375 A JP 10337375A JP 33737598 A JP33737598 A JP 33737598A JP 2000158879 A JP2000158879 A JP 2000158879A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】筆記停止時に、供給されていたインクがペン体
5に余剰に押し出されるのを防止するとともに、構造が
簡単で信頼性の高い筆記具を提供する。 【解決手段】インク室とペン体との間に小室である遮断
室11を形成し、この遮断室11内にない空気を封入
し、この遮断室とインク室2とを連通するインク室側供
給通路12内、およびこの遮断室とペン体5とを連通す
るペン体側通路13内に抵抗手段であるインク室側中継
芯14とペン体側中継芯21とを挿入し、これらをイン
クが通過する際の負圧により遮断室11内の空気を膨脹
させ、筆記終了時にはこの空気の収縮によりペン体5か
ら微量のインクを引き戻す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、筆記が終了した際
に、ペン体から微量のインクを引き戻し、このペン体に
余剰のインクが供給されるのを防止した筆記具に関す
る。さらに特定すれば、本発明はインク室からペン体に
インクを供給する通路の途中に小容積の小室を形成し、
この小室内に封入された気体の膨脹、収縮により上記の
ようなインク引き戻し作用を行わせる筆記具に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、筆記具におけるボールチップや
フエルトチップ等のペン体は、それ自身の毛細管力によ
りインクを引き出し、保持する能力がある。たとえば、
上記のボールチップでは、ボールとこれを抱持するボー
ルホルダとの間に微細な隙間があり、この隙間の毛細管
力によりインクを引き出し、保持する。また、フエルト
チップ等では、結束された繊維の間の微細な隙間の毛細
管力により、インクを引き出し、保持する。
【0003】このため、これらのペン体とインク室とを
直接連通させておくと、非筆記時にこれらのペン体に飽
和状態までインクが含まれ、いわゆるインクリッチの状
態となり、筆記の初期において筆跡が不所望に濃くなる
という不具合を生じる。
【0004】このような不具合を防止するため、たとえ
ばインク室とペン体との間のインク通路に中継芯と称さ
れる繊維を固めた多孔質の部材を挿入し、その毛細管力
やインクの流動抵抗により、上記のペン体に供給するイ
ンクの供給を制御することがなされる。また、このイン
ク通路の途中に、筆記時のみ開弁するような流量制御機
構を設け、インクの供給を制御することもある。しか
し、上記のようなインクの供給制御を行っても、なおか
つ余剰のインクがペン体に押し出されることがある。
【0005】すなわち、上記のようなインクの供給制御
では、当然ながら筆記時にはペン体にインクが供給され
る。この場合に、速く筆記した場合にはインクの消費量
が多くなり、インクの供給量が不足すると、筆跡がかす
れる等の不具合を生じる。このため、筆記時におけるイ
ンクの供給可能流量は、筆記時の最大消費量に十分な余
裕を持った供給流量に設定される。
【0006】したがって、筆記を停止した場合に、それ
まで供給されていたインクがペン体に押し出され、この
ペン体に必要量以上のインクが含まれてしまう場合があ
る。このような場合には、次に筆記を開始する場合に、
筆跡が不所望に濃くなるという不具合がある。
【0007】特に、水性インクを使用したボールチップ
では、そのボールとボールホルダの間の微細な隙間にイ
ンクが保持されるため、その保持可能なインクの量が微
量であり、たとえ少量でも余剰のインクが供給される
と、この隙間からボールの周囲に余剰のインクが押し出
されることがある。このような状態で筆記を開始する
と、筆跡の線の始端部がカンマ(,)状となり、筆跡の
体裁を損なうという不具合が生じる。
【0008】このような不具合を防止するためには、た
とえば上記の中継芯の密度を高くし、その毛細管力およ
び内部での流動抵抗を大きくすれば良いが、このように
するとこの中継芯の内部を流通するインクの流動抵抗が
過大となる。このため、前述したように、速く筆記した
場合等には、インクの供給が不足してこのペン体に含ま
れるインクの量が過少となるいわゆるインクプアの状態
となり、筆跡がかすれる等の不具合を生じることがあ
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は以上の事情に
基づいてなされたもので、筆記を終了した場合に、ペン
体に供給されていたインクを微量だけ引き戻し、このペ
ン体に余剰のインクが押し出されることを防止できる筆
記具を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載された本
発明は、インクを貯溜するインク室と、筆記具の先端部
に設けられたペン体とを備えた筆記具であって、内部に
所定量の気体を封入した小室と、上記のインク室とこの
小室とを連通するインク室側通路と、この小室と上記の
ペン体とを連通するペン体側通路とを備え、少なくとも
上記のインク室側通路には、筆記によるインクの流動に
対して所定の流動抵抗を与えるインク室側の抵抗手段が
設けられていることを特徴とするものである。
【0011】したがって、筆記の際には、上記のインク
室側の抵抗手段を介してペン体にインクが供給されるの
で、この抵抗手段によるインクの流動抵抗により、その
下流側にある小室内の圧力が負圧となり、この小室内に
封入されている気体はわずかに膨脹する。そして、筆記
を停止すると、上記の小室内の気体の収縮により、ペン
体に供給されていたインクが少量だけ引き戻される。よ
って、この筆記停止時におけるペン体への余剰のインク
の押し出しが防止される。なお、上記のような小室内の
気体の収縮によるインクの引き戻し量は、上記のように
微量であるため、ペン体がボールチップのような場合で
も、その内部に保持されていたインクが全て引き戻され
ることはなく、次の筆記には支障はない。
【0012】また、請求項2に記載の本発明は、前記の
ペン体側インク通路には、筆記によるインクの流動に対
して所定の流動抵抗を与えるペン体側の抵抗手段が設け
られていることを特徴とするものである。
【0013】したがって、この小室からペン体に供給さ
れるインクも、このペン体側の抵抗手段により所定の流
動抵抗が与えられるため、このインクの供給をより安定
させることができる。
【0014】また、請求項3に記載の本発明は、前記の
インク室側の抵抗手段の流動抵抗は、前記のペン体側の
抵抗手段の流動抵抗より大きく設定されていることを特
徴とするものである。
【0015】したがって、上記のようにインク室側の抵
抗手段とペン体側の抵抗手段の両方が設けられている場
合に、上記の小室内の気体の収縮が生じた場合に、ペン
体側からより多くのインクが引き戻され、ペン体からの
インクの引き戻し作用がより確実となる。
【0016】また、請求項4に記載の本発明は、前記の
インク室側の抵抗手段は、前記のインク室側通路内に挿
入された多孔質の中継芯であることを特徴とするもので
ある。このような中継芯は、その密度によりインクの流
動抵抗を簡単かつ確実に所定の値に設定することがで
き、より特性が安定し、また製造も容易となる。
【0017】また、請求項5に記載の本発明は、前記の
インク室側の抵抗手段は、前記のインク室側通路に形成
された微小断面の流路であることを特徴とするものであ
る。このような微小断面の通路は、たとえばこの筆記具
を構成する部品の嵌合面に微細な溝や微細な凹凸等を形
成することにより構成でき、製造が容易でまた特性も安
定する。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、図を参照して本発明の実施
形態を説明する。図1ないし図8には本発明の第1の実
施形態を示す。この実施形態のものは、水性インクを使
用するボールチップを備えた使い捨て形の筆記具であ
る。この実施形態のものは、小室内に封入された空気等
の気体により、インクの供給制御と、ペン体からのイン
クの引き戻し作用を行わせるものである。
【0019】図中の1は、この筆記具の軸筒であって、
この軸筒1内には水性インクを貯溜するインク室2が形
成されている。このインク室2内には、液体状のインク
が貯溜されているとともに、スライド栓3が挿入され、
このインクと空気とを区画している。
【0020】このスライド栓3の外周面とインク室2の
内周面との間には隙間が形成され、このスライド栓3は
インク室2の内周面と非接触状態を維持しており、実質
的に摺動抵抗が零となるように設定されている。なお、
このスライド栓3とインク室2の内周面との間にはイン
クの液膜が介在して直接的な接触を防止するとともに、
シール性を維持している。
【0021】また、このスライド栓3は、たとえば中空
に形成されてその比重がインクより小さく形成されてお
り、インクに対して浮遊性を有している。したがって、
この筆記具を正立させた状態でもこのスライド栓3は沈
降せず、また筆記具を倒立させた状態でもシール性があ
るためインクおよびこのスライド栓3は下降せず、常時
このインク室2内のインクと空気とを確実に区画してい
る。
【0022】そして、インクの膨脹、収縮等に対応して
このスライド栓3が移動してその膨脹、収縮を補償する
とともに、インクが消費されるにしたがってこのスライ
ド栓3が前進する。なお、このインク室2の尾端部側は
尾栓6により閉塞され、この尾栓6に形成された大気連
通筒7を介してこのインク室2の空気側が大気に連通し
ている。したがって、このインク室2内のインクの圧力
は、常に大気圧と等しい圧力に維持される。なお、この
インク室2の空気側の内部には、シールを確実にするた
めに少量のシリコーン油等が封入され、このシリコーン
油は上記の大気連通筒7により外部への漏出が防止され
ている。
【0023】またこの軸筒1の先端部側には、ペン体ホ
ルダ4が取り付けられ、このペン体ホルダ4の先端部に
はペン体、この実施形態では水性のボールチップ5が取
り付けられている。また、この軸筒1の先端部には、キ
ヤップ8が着脱自在に嵌合されている。そして、上記の
ペン体たとえばボールチップ5とインク室2とは以下の
ようなインク制御機構10を介して連通されている。
【0024】図2には、このインク制御機構10の部分
を拡大して示す。このインク制御機構10は、インクの
供給制御とペン体からのインクを引き戻す作用を兼用す
る気体を収容する小室として、小容積の遮断室11を備
えている。この実施形態では、上記のペン体ホルダ4の
中心部に軸方向に沿った直線状の貫通孔が形成されてお
り、この貫通孔の中央部が上記の遮断室11として形成
されている。また、この遮断室11の上側の貫通孔は前
記のインク室2に連通し、インク室側通路12として構
成されている。また、この遮断室11の下側の貫通孔
は、前記のボールチップ5に連通しており、ペン体側通
路13として構成されている。そして、この遮断室11
内には、所定量の気体、この実施形態の場合には空気が
封入されている。
【0025】また、上記のインク室側通路12内には、
インク室側の抵抗手段として、インク室側中継芯14が
挿入されている。このインク室側中継芯14は、たとえ
ば繊維を棒状に固めた多孔質のもので、これらの繊維間
の微細な隙間の毛細管力によりインク室2からインクを
引出すとともに、内部を流通するインクに所定の流動抵
抗を与えるように構成されている。
【0026】また、上記の遮断室11の上側部分とこの
インク室側通路12との間は、インクを保持することが
できるインク保持手段としてのインク保持通路18に形
成されている。このインク保持通路18は、この実施形
態では上記の遮断室11と連続した同径の部分であり、
その内部に流入したインク19は、その下面に表面張力
による自由表面20が形成され、液柱状に保持される。
【0027】このインク保持通路18は、小径であるた
め、液柱状に保持されたインク19の下端は自由表面2
0の表面張力により保持されており、この液柱状のイン
ク19の一部が遮断室11内の空気と入れ替わってこの
遮断室11内に流入することがないように構成されてい
る。このような保持作用を達成するには、このインク保
持通路18の内径はたとえば3mm以下に設定すること
が好ましい。なお、この値は水性インクを使用する場合
のものであり、使用するインクの種類によりこの内径は
相違するが、一般的にはこのインク保持通路18の内径
は6mm以下であれば、空気とインクとの入れ替わりを
防止し、インクを液柱状に保持することができるもので
ある。
【0028】また、上記のペン体側通路13内には、ペ
ン体側の抵抗手段として、ボールチップ5にインクを供
給するためのペン体側中継芯21が挿入され、このペン
体側中継芯21も上記のインク室側中継芯14と同様な
材料で形成されている。そして、この実施形態では、こ
のペン体側中継芯21の上部は上記の遮断室11内の下
部内に突出し、中継体15として形成されており、この
中継体15がインク中継手段を構成している。
【0029】この中継体15は、その先端部が尖鋭な円
錐部16に形成されている。そして、この中継体15の
外周面と、この遮断室11の内周面との間には、わずか
な隙間が形成されている。また、この中継体15の円錐
部16の基端部外周面と遮断室11の内周面との間に
は、断面が楔形の環状の間隙が形成されており、この間
隙部分がインク溜り部17として形成されている。
【0030】また、この実施形態では、上記のインク室
側中継芯14の密度は、上記のペン体側中継芯21の密
度より大きく形成されており、したがって、このインク
室側中継芯14内をインクが流通する際の流動抵抗は、
上記のペン体側中継芯21内をインクが流通する際の流
動抵抗より大きく設定されている。
【0031】次に、上記の第1の実施形態の作用を図3
ないし図5を参照して説明する。図3は、この筆記具の
非筆記状態を示す。上記の遮断室11内には、所定量の
少量の空気が封入されており、インク室側通路12内の
インクと、ペン体側通路13内のインクとを遮断してい
る。なお、この場合には、上記のインク室側通路12内
からインク保持通路18内にインクが流入しているが、
前述のように、このインク19はその下面に表面張力に
より自由表面20が形成され、液柱状に保持されてい
る。また、上記のペン体側中継芯21およびその上部の
中継体15の部分には、ほぼ飽和状態のインクが含ま
れ、いわゆるインクリッチの状態となっている。また、
この中継体15の円錐部16の基部のインク溜り部17
には、毛細管力により所定量の液状のインクが貯溜、保
持されている。
【0032】このような状態、すなわち非筆記時の状態
では、上記のインク保持通路18内のインクは遮断室1
1内の空気により遮断され、前述したように所定の位置
に保持されている。そして、この場合には、インク室側
通路12内のインクと、ペン体側通路13内のインクと
は、その連通を遮断されており、インク室2内のインク
が不所望にペン体すなわちボールチップ5に供給される
ことはない。このため、このボールチップ5に余剰のイ
ンクが含まれることが防止される。
【0033】次に、この筆記具により筆記がなされる
と、ペン体側中継芯21内のインクが消費される。この
場合に、このペン体側中継芯21の上部の中継体15の
基部の周囲のインク溜り部17には、液状のインクが貯
溜、保持されているので、このインク溜り部17のイン
クが優先的に消費される。
【0034】すなわち、飽和状態の多孔質体、すなわち
この場合はペン体側中継芯21や中継体15内のインク
が消費された場合に、これらの表面に飽和状態で存在し
ているインクが、この多孔質の中継体15の表面から内
部に引き込まれる際には、ある程度の負圧が必要とな
る。しかし、インク溜り部17に貯溜、保持されている
インクは、この中継体15の基部の外周面に接触してお
り、このインクの接触部分ではこの中継体15の基部表
面はインク中に浸漬され、飽和状態である。したがっ
て、この中継体15内のインクが消費されると、最も抵
抗の少ない部分、すなわちインク溜り部17からインク
を吸入するので、このインク溜り部17のインクが優先
的に消費される。
【0035】このようにしてこのインク溜り部17のイ
ンクが消費されると、その分だけ遮断室11内の空間部
の容積が増大するので、この遮断室11内に封入されて
いた空気の圧力が低下する。これによって、図4に示す
ように、この圧力低下を補償するように、前記のインク
保持通路18内に保持されていた液柱状のインク19が
下降してゆく。そして、この液柱状のインク19の自由
表面20が中継体15の円錐部16の先端部に接触する
と、この円錐部16の表面はインクで濡れているので、
自由表面20の表面張力の一部が破れ、インクの一部が
この円錐部16の表面を伝わって上記のインク溜り部1
7まで移送される。
【0036】そして、このインク溜り部17にインクが
溜ると、その分だけ遮断室11内の空間部の容積が減少
し、この空間部に封入されている空気の圧力が上昇し、
上記のインク保持通路18内の液柱状のインク19を押
し上げる。これにより、図5に示すように、再び自由表
面20が円錐部16から離れ、図3に示すような状態に
戻る。
【0037】また、筆記が続いた場合には、再びインク
溜り部17のインクが消費され、上記の作動を繰り返
し、インク室2内のインクがボールチップ5に供給され
る。なお、この遮断室11内の容積は小さく、また中継
体15等の寸法も小さいので、上記のインク保持通路1
8内のインク19の自由表面20が中継体15の円錐部
16の先端に接触した場合には、きわめて短時間でイン
ク19の一部がインク溜り部17に移送される。
【0038】上記のような作動は、基本的には間欠的な
作動である。したがって、筆記を連続している間は、上
記のような間欠的な作動によりインクが間欠的にボール
チップ5に供給されることになる。しかし、上記のよう
に、この間欠的なインク供給作動は極めて短い周期で繰
り変えされるとともに、ペン体側中継芯21にはある程
度のインク貯溜能力があるので、ボールチップ5には連
続して安定したインクの供給がなされ、筆跡に濃淡が生
じるようなことはない。
【0039】また、この実施形態では、上記のペン体側
中継芯15に対して、インク室側中継芯14の密度が高
く、その内部のインクの流動抵抗が大きく設定されてい
る。そして、これによって、ボールチップ5に供給され
たインクの引き戻し作動がなされる。
【0040】すなわち、ボールチップでは、ボールの回
転により、このボールの表面に付着したインクが紙面等
の筆記面に転写される。このインクは、前述のようにボ
ールとこのボールを回転自在に抱持したボールホルダと
の間の微少な隙間内に毛細管力により保持されている
が、このボールホルダ内のボール抱持部分にも液体状の
インクが保持されている。したがって、上記のようにイ
ンクの供給を制御したとしても、筆記を終了してボール
の回転が急に停止したような場合には、このボールとボ
ールホルダとの間の隙間から、微量ではあるがインクが
押し出されることがある。このように、ボールの周囲に
押し出された余剰のインクが存在していると、次に筆記
を開始した場合に、前述のように筆跡の線の始端部がカ
ンマ(,)状となり、筆跡の体裁を損なうという問題が
生じる。
【0041】この実施形態では、筆記によりインクが消
費している間は、常にインク溜り部17のインクが消費
され続けるので、遮断室11内の圧力は負圧となってい
る。そして、筆記を終了した場合には、この遮断室11
内の負圧により、インク室側通路12およびペン体側通
路13内からインクがこの遮断室11内に流入する。こ
の場合に、上記のインク室側通路12内のインク室側中
継芯14の流動抵抗はペン体側中継芯21の流動抵抗よ
り大きく設定されているので、このインク室側通路12
から遮断室11内にインクが流入する前に、ペン体側通
路13側から遮断室11内にインクが逆流する。
【0042】このようなインクの逆流により、ボールチ
ップ5のボールホルダ内のインクが引き戻されるので、
上記のようにボール回りに余剰のインクが押し出される
ことがなく、よって筆跡の線の始端部にカンマ(,)状
の部分が生じることを確実に防止できる。なお、上記の
遮断室11内の容積は小さく、上記のように引き戻され
るインクの量は微量であるが、ボールチップ5のボール
ホルダ内のインクも微量であるため、上記のようなボー
ルホルダ内のインクの引き戻し作動を行わせるには十分
である。
【0043】また、この実施形態において、上記のよう
なインクの制御作動を行わせるには、上記の遮断室11
内に封入されている空気の量を正確に設定する必要があ
る。すなわち、この封入されている空気の量が多すぎる
と、インク保持通路18内に保持されている液柱状のイ
ンク19の自由表面20と中継体15の円錐部16の先
端との間の距離が長くなる。したがって、インク溜り部
17のインクが消費され、液柱状のインク19が下降し
ても、その自由表面20が上記の円錐部16の先端に接
触しない場合が生じる。このような状態で筆記を続ける
と、多孔質の中継体15の内部のインクが消費されてゆ
き、この中継体15内に含まれるインクの量が少なくな
り、インクプアの状態となり、この多孔質の中継体15
内に空気が吸入される可能性がある。このように多孔質
の中継芯15内に一旦空気が吸入されると、前述のよう
にこの中継体15に新たにインクが吸収されても、空気
が確実には排除されず、インクとともにこの空気がボー
ルチップ5まで送られ、このボールチップ5の筆記に支
障が生じる。
【0044】また、この遮断室11内に封入されている
空気の量が少ないと、インク溜り部17のインクがわず
かに消費されただけの状態で、液柱状のインク19の自
由表面20が円錐部16の先端に接触してしまう。この
ためインクの遮断作動ができず、インク室2内のインク
がボールチップ5と常時連続した状態となり、このボー
ルチップ5に過剰のインクが供給され、筆記に支障を生
じる。
【0045】この実施形態では、この遮断室11内に正
確に所定量の空気を封入するために、以下のようなイン
クの充填を行う製造方法を採用している。以下、図6な
いし図8を参照して、この製造方法を説明する。
【0046】まず、上記のような筆記具を組み立てる。
この場合に、上記のインク室側中継芯14、ペン体側中
継芯21および中継体15等は、すべてインクを含まな
い乾燥状態としておく。また、上記のボールチップ5、
スライド栓3および尾栓6は未装着の状態としておく。
【0047】そして、この筆記具をボールチップ5側を
下向きにして略鉛直の姿勢に保持し、インク室2にイン
クを注入する。この注入されたインクは、重力および毛
細管力により上記のインク室側中継芯14内を通過し、
インク保持通路18内に流入し、図6に示すように、液
柱状のインク19となってこのインク保持通路18内に
保持される。
【0048】この場合に、上記のペン体側中継芯21お
よび中継体15は、まだインクを含んでいない乾燥状態
であり、その内部を空気が通過可能である。したがっ
て、遮断室11内の空気は、このペン体側中継芯21お
よび中継体15内を通過してペン体ホルダ4の先端部か
ら排気される。そして、この空気の排気に伴って、上記
のインク保持通路18内の液柱状のインク19は下降し
てゆく。
【0049】そして、図7に示すように、この液柱状の
インク19の自由表面20が中継体15の円錐部16の
先端部に接触すると、このインクが毛細管力によりこの
中継体15内に吸収される。なお、この中継体15の寸
法は小さいものであるから、一瞬にしてこの中継体15
にインクが吸収される。この中継体15にインクが吸収
されると、この中継体15内を空気が通過することが不
可能となり、この状態で遮断室11内に残存していた空
気はそのまま遮断室11内に封入される。
【0050】次に、この中継体15およびペン体側中継
芯21全体にインクが飽和状態まで吸収されてインクリ
ッチの状態となると、図8に示すように、インクがこの
中継体15を伝わってインク溜り部17に溜る。これに
より、遮断室11の空間部の容積が減少するので、封入
されている空気の圧力が上昇し、上記の液柱状のインク
19を押し上げ、その自由表面20が中継体15の円錐
部16の先端から離れる。これにより、インクの流入は
停止し、前述の図3に示すような非筆記状態となる。次
に、上記の未装着の部品を装着してこの筆記具を完成す
る。
【0051】このような方法は、この筆記具を略鉛直に
保持し、インク室2にインクを注入するだけの簡単な工
程により、遮断室11に必要とされる正確な量の空気を
確実に封入することができる。
【0052】なお、中継体15およびペン体側中継芯2
1は、その径が比較的細いとともに、上端の円錐部16
の先端部からインクが吸収されるので、これらの内部の
空気はインクの浸透とともにペン体ホルダ4の先端側に
押し出され、これらの内部でインクと空気が混合するこ
とはない。
【0053】また、上記の方法では、上記の遮断室11
内に空気を封入する場合について説明したが、封入する
気体は空気には限らない。たとえば、酸素と反応するよ
うな特殊なインクを使用する場合には、この遮断室11
内には窒素または不活性ガスを封入することがある。こ
のような場合には、上記のような工程に先立って、この
筆記具内をこのような気体に置換しておけば良い。
【0054】なお、本発明は上記のような実施形態には
限定されない。たとえば図9には本発明の第2の実施形
態の筆記具を示す。
【0055】この第2の実施形態では、上記の中継体1
5の先端部は斜めに切断された斜め切断部25に形成さ
れている。そして、この斜め切断部25の基部の切断面
と、遮断室11の内周面との間に断面が楔状のインク溜
り部17が形成される。また、インク保持通路18内を
下降してきた液柱状のインク19の自由表面20は、こ
の斜め切断部25の先端部に接触する。
【0056】この第2の実施形態のものは、上記の点以
外は前記の第1の実施形態と同様な構成であり、図9中
で第1の実施形態と対応する部分には同じ符号を付して
その説明は省略する。
【0057】この第2の実施形態のものは、その作動お
よび製造方法等は前記の第1の実施形態と同様である。
この2の実施形態のものは、中継体15を構成する多孔
質材料の棒状部材を斜めに切断するだけで斜め切断部2
5を形成できるので、製造がより容易である。
【0058】また、図10には本発明の第3の実施形態
を示す。このものは、ペン体側中継芯21の上端部に、
別部材の中継体35を設けたものである。この中継体3
5は、多孔質の材料以外の中実の材料で形成されてい
る。この中継体35は、その先端部に円錐状をなして尖
鋭に形成された円錐部36が形成されている。そして、
この中継体35は、上記のペン体側中継芯21の上端部
に取り付けられ、遮断室11内に挿入されている。ま
た、この中継体35の外周面と遮断室11の内周面との
間には隙間が形成され、この隙間および上記の円錐部3
6の根元部と遮断室11の内周面との間の楔状の隙間が
インク溜り部17として形成されている。
【0059】この中継体35は、インクに対して濡れ性
を有する材料で形成されるか、またはその表面にインク
に対して濡れ性を有する被膜または表面処理を行ったも
のである。また、この実施形態では、インクを確実に導
くために、この円錐部36の周面に母線に沿って細い中
継溝37が形成されている。
【0060】なお、この第3の実施形態は、上記の点以
外は前記の第1の実施形態と同様な構成で、図10中で
第1の実施形態と対応する部分には同じ符号を付してそ
の説明は省略する。
【0061】この実施形態のものは、インク保持通路1
8内の液柱状のインク19の自由表面20がこの中継体
35の円錐部36の先端に接触した場合に、この表面の
濡れ性および上記の中継溝37の毛細管力により、この
インクをインク溜り部17まで移送する点を除いては、
前記の第1の実施形態と同様な作用をなす。
【0062】この実施形態は、中継体35が多孔質の材
料ではないので、万一上記のインク溜り部17のインク
が完全に消費された後も液柱状のインク19の自由表面
20がこの中継体35に接触しない場合が生じても、こ
の中継体35内に空気が吸入されることはない。また、
繊維を固めたような多孔質の材料を加工する必要がな
く、この中継体35の製造が容易でかつ正確な形状に加
工することができる。
【0063】また、図11には本発明の第4の実施形態
を示す。このものは、ペン体側中継芯21の上端部に、
別部材の中継体45を設けたものである。この中継体4
5は、多孔質の材料以外の中実の材料で形成されてい
る。この中継体45は、その先端部が斜めに切除された
斜め切断部46に形成され、尖鋭に形成されている。そ
して、この中継体45は、上記のペン体側中継芯21の
上端部に取り付けられ、遮断室11内に挿入されてい
る。また、この中継体45の外周面と遮断室11の内周
面との間には隙間が形成され、この間隙がインクを中継
する中継間隙47として構成されている。
【0064】また、この中継体45の基端部外周には複
数の細い環状の溝48が形成されて蛇腹状に形成され、
この蛇腹部分および上記の斜め切断部46の根元部と遮
断室11の内周面との間の楔状の間隙がインク溜り部1
7として形成されている。そして、上記の中継間隙47
は、このインク溜り部17に連通している。
【0065】この中継体45は、前記の第3の実施形態
と同様に、インクに対して濡れ性を有する材料で形成さ
れるか、またはその表面にインクに対して濡れ性を有す
る被膜または表面処理を行ったものである。
【0066】なお、この第4の実施形態は、上記の点以
外は前記の第1の実施形態と同様な構成で、図11中で
第1の実施形態と対応する部分には同じ符号を付してそ
の説明は省略する。
【0067】この実施形態のものは、インク保持通路1
8内の液柱状のインク19の自由表面20がこの中継体
45の斜め切断部46の先端および中継間隙47の先端
に接触した場合に、この表面の濡れ性および上記の中継
間隙47の毛細管力により、このインクをインク溜り部
17まで移送する点を除いては、前記の第3の実施形態
と同様な作用をなす。
【0068】また、本発明は前記の実施形態にも限定さ
れず、上記の遮断室やインク溜り部、インクの保持手
段、インクの中継手段を別の構成のものとすることがで
きる。たとえば、図12には、本発明の第5の実施形態
を示す。
【0069】この実施形態では、インク室2の底面は、
この筆記具の中心軸線に対して直交したインク保持面5
8として形成されている。また、このインク室2の下部
には、カップ状の遮断室部材50が嵌合され、その下側
の凹部と上記のインク保持面58とで囲まれる空間が遮
断室51として形成されている。
【0070】また、上記の遮断室部材50の外周面に
は、軸方向にインク室側通路52が形成されている。ま
た、上記の遮断室部材50の下側端面には、インク室側
の抵抗手段として、絞り通路54が形成され、この絞り
通路54の一端は上記のインク室側通路52に連通し、
また他端部は上記のインク保持面58に接して上記の遮
断室11の下部内に開口している。
【0071】この絞り通路54は、たとえば図13に示
すように、この遮断室部材50の下側端面に形成された
格子状の多数の細溝54aから構成され、これらは前記
のインク室側通路52に連通しているとともに、前記の
ようにインク保持面58に接して遮断室51内に開口し
たインク供給開口54bを有している。
【0072】また、この絞り通路54は、図14に示す
ように、上記の遮断室部材50の下側端面に形成された
円弧状の長い細溝54cから構成され、これらは前記の
インク室側通路52に連通しているとともに、前記のよ
うにインク保持面58に接して遮断室51内に開口した
インク供給開口54dを有するものでもよい。
【0073】また、上記のインク保持面58の中心部に
は、ペン体側中継芯21の上端部が突出しており、この
突出部分が中継体55として形成されている。そして、
この突出した中継体55の根元部と、上記のインク保持
面58とで構成される隅部がインク溜り部57として構
成され、インクはその表面張力によりこのインク溜り部
57に貯溜、保持されている。また、この中継体55の
根元部のインク溜まり部57と、この遮断室51の下部
外周の開口54b,54dとの間は、所定の距離に設定
されている。
【0074】なお、この第5の実施形態は、上記の点以
外は前記の第1の実施形態と同様の構成で、図12中で
第1の実施形態と対応する部分には同じ符号を付してそ
の説明を省略する。
【0075】この実施形態のものは、以下のように作動
する。すなわち、非筆記時には、上記のインク溜り部5
7のインクと、絞り通路54内のインクとは遮断室51
内に封入されている空気により引き離されて遮断されて
いる。
【0076】そして、筆記によりインク溜り部57のイ
ンクが消費されると、遮断室51内の空間部の容積がそ
の分だけ増大し、この遮断室51内に封入されていた空
気の圧力が低下する。これにより、インクは上記のイン
ク室側通路52、および絞り通路54を介し、インク供
給開口54b,54dからこの遮断室51内に侵入す
る。しかし、この侵入したインクは、上記のインク保持
面58および遮断室51の内周面との隅部に、2点鎖線
59に示すようにその表面張力により盛り上がった状態
で保持される。
【0077】そして、この保持されているインクの量が
多くなると、このインクは中心部のインク溜り部57に
向かって前進し、このインク溜り部57の中継芯55の
根元に接触する。この接触により、この保持されている
インクの一部が表面張力によりインク溜り部57に移送
され、このインク溜り部57に再びインクが保持され
る。このように、インクの一部が移送されることによ
り、絞り通路54の開口から侵入していたインクが後退
し、このインク溜り部57から離れ、インクが再び遮断
される。
【0078】また、この実施形態では、インク室側通路
52に絞り通路54が形成されているので、この内部を
インクが流通する場合に大きな流動抵抗が与えられる。
よって、前述のように、筆記を中止した場合には遮断室
51内の空気の負圧により、ペン体側通路13およびペ
ン体側中継芯21内のインクが引き戻され、ボールチッ
プ5のボール回りの余剰のインクを引き戻す。
【0079】また、この実施形態の筆記具を製造する場
合には、前記と同様に、ペン体側中継芯21およびその
上端の中継体55がインクを含まない乾燥状態での筆記
具を略鉛直に保持し、インク室2にインクを注入する。
このインクは、絞り通路54から遮断室51の下部に流
入し、インク保持面58上を伝わって中継体55の根元
部に達し、この多孔質の中継体55に吸収される。この
インクの吸収により、この中継体55およびペン体側中
継芯21を介して空気が排気されなくなり、遮断室51
内に所定量の空気が正確に封入される。
【0080】なお、本発明は上記の実施形態にも限定さ
れない。たとえば、上記の実施形態においては、インク
室側の抵抗手段の流動抵抗をペン体側の抵抗手段の流動
抵抗より大きくしたが、必ずしもこれには限定されな
い。たとえば、これらの抵抗手段の流動抵抗を等しくし
たり、また逆にインク室側の抵抗手段の流動抵抗をペン
体側の抵抗手段の流動抵抗より小さくしても、遮断室す
なわち小室内の気体の収縮により、両方からこの遮断室
内にインクが引き込まれ、よってペン体から少量のイン
クを引き戻すことができる。
【0081】また、上記の各実施形態では、ペン体側通
路にもペン体側中継芯等の抵抗手段を挿入したが、この
ペン体側通路内には、本質的には抵抗手段を設ける必要
はなく、場合によっては、このペン体側通路の抵抗手段
は省略しても良い。
【0082】また、本発明の抵抗手段は、上記のような
多孔質の中継心や微小断面の竜路等には限定されず、微
細なオリフイス、微小差圧で開弁する機会的な弁機構、
その他の手段でもよい。
【0083】また、前記の実施形態は、小室すなわち遮
断室内に封入された気体により、インクの供給制御作用
と、ペン体からのインクの引き戻し作用を兼用させたも
のについて説明したが、この封入された気体によるイン
クの供給制御作用は必ずしも必要ではなく、場合によっ
てはこのインクの供給制御作用は省略してもよい。
【0084】さらに、本発明は上記のような水性インク
を使用したボールチップ形の筆記具には限定されず、そ
の他のインクまたはその他の種類のペン体を使用した筆
記具でも良く、また使い捨て形の筆記具には限らず、イ
ンク補充形の筆記具や、インク室とペン体とのアセンブ
リを交換可能ないわゆるレフィール形の筆記具にも適用
可能である。
【0085】
【発明の効果】上述のごとく本発明の筆記具は、筆記の
際にはインク室側の抵抗手段を介してペン体にインクが
供給されるので、この抵抗手段によるインクの流動抵抗
により、その下流側にある小室内の圧力が負圧となり、
この小室内に封入されている気体はわずかに膨脹する。
そして、筆記を停止すると、上記の小室内の気体の収縮
により、ペン体に供給されていたインクが少量だけ引き
戻される。よって、この筆記停止時におけるペン体への
余剰のインクの押し出しが防止される。
【0086】したがって、筆記停止時におけるペン体か
らの余剰のインクの押し出し等が確実に防止され、また
構造も簡単で信頼性も高い等、その効果は大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の筆記具の第1の実施形態の全体の縦断
面図。
【図2】本発明の筆記具の第1の実施形態のインク制御
機構の部分の縦断面図。
【図3】本発明の筆記具の第1の実施形態の作動の説明
図。
【図4】本発明の筆記具の第1の実施形態の作動の説明
図。
【図5】本発明の筆記具の第1の実施形態の作動の説明
図。
【図6】本発明の筆記具の製造方法の説明図。
【図7】本発明の筆記具の製造方法の説明図。
【図8】本発明の筆記具の製造方法の説明図。
【図9】本発明の筆記具の第2の実施形態のインク制御
機構の部分の縦断面図。
【図10】本発明の筆記具の第3の実施形態のインク制
御機構の部分の縦断面図。
【図11】本発明の筆記具の第4の実施形態のインク制
御機構の部分の縦断面図。
【図12】本発明の筆記具の第5の実施形態のインク制
御機構の部分の縦断面図。
【図13】第5の実施形態の絞り通路の例を示す図12
のA−A矢視図
【図14】第5の実施形態の絞り通路の別の例を示す図
12のA−A矢視図
【符号の説明】
2 インク室 5 ボールチップ 11,51,71 遮断室 12 インク室側通路 13 ペン体側通路 14 インク室側中継芯 21 ペン体側中継芯 54a,54c 絞り通路
【手続補正書】
【提出日】平成12年1月11日(2000.1.1
1)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載された本
発明は、インクを貯留するインク室と、筆記具の先端部
に設けられたペン体とを備えた筆記具であって、内部に
所定量の気体を封入した小室と、上記のインク室とこの
小室とを連通するインク室側通路と、この小室と上記の
ペン体とを連通するペン体側通路とを供え、上記のイン
ク室側通路には、筆記によるインクの流動に対して所定
の流動抵抗を与えるインク室側の抵抗手段が設けられて
おり、また上記のペン体側通路には、筆記によるインク
の流動に対して所定の流動抵抗を与えるペン体側の抵抗
手段が設けられており、上記のインク室側の抵抗手段の
流動抵抗は、上記のペン体側の抵抗手段の流動抵抗より
大きく設定されていることを特徴とするものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】削除
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】削除
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】削除
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】削除
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正内容】
【0016】また、請求項2に記載の本発明は、前記の
インク室側の抵抗手段は、前記のインク室側通路内に挿
入された多孔質の中継芯であることを特徴とするもので
ある。このような中継芯は、その密度によりインクの流
動抵抗を簡単かつ確実に所定の値に設定することがで
き、より特性が安定し、また製造も容易となる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正内容】
【0017】また、請求項3に記載の本発明は、前記の
インク室側の抵抗手段は、前記のインク室側通路に形成
された微小断面の流路であることを特徴とするものであ
る。このような微小断面の通路は、たとえばこの筆記具
を構成する部品の嵌合面に微細な溝や微細な凹凸等を形
成することにより構成でき、製造が容易でまた特性も安
定する。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正内容】
【0038】上記のような作動は、基本的には間欠的な
作動である。したがって、筆記を連続している間は、上
記のような間欠作動によりインクが間欠的にボールチッ
プ5に供給されることになる。しかし、上記のように、
この間欠的なインク供給作動は極めて短い周期で繰り返
されるとともに、ペン体側中継芯21にはある程度のイ
ンク貯留能力があるので、ボールチップ5には連続して
安定したインクの供給がなされ、筆跡に濃淡が生じるこ
とはない。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正内容】
【0039】また、この実施形態では、上記のペン体側
中継芯21に対して、インク室側中継芯14の密度が高
く、その内部のインクの流動抵抗が大きく設定されてい
る。そして、これによって、ボールチップ5に供給され
たインクの引き戻し作動がなされる。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正内容】
【0043】また、この実施形態において、上記のよう
なインクの制御作動を行わせるには、上記の遮断室11
内に封入されている空気の量を正確に設定する必要があ
る。すなわち、この封入されている空気の量が多すぎる
と、インク保持通路18内に保持されている液柱状のイ
ンク19の自由表面20と中継体15の円錐部16の先
端との間の距離が長くなる。したがって、インク溜り部
17のインクが消費され、液柱状のインク19が下降し
ても、その自由表面20が上記の円錐部16の先端に接
触しない場合が生じる。このような状態で筆記を続ける
と、多孔質の中継体15の内部のインクが消費されてゆ
き、この中継体15内に含まれるインクの量が少なくな
り、インクプァの状態となり、この多孔質の中継体15
内に空気が吸入される可能性がある。このように多孔質
の中継体15内に一旦空気が吸入されると、前述のよう
にこの中継体15に新たにインクが吸収されても、空気
が確実には排除されず、インクとともにこの空気がボー
ルチップ5まで送られ、このボールチップ5の筆記に支
障が生じる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクを貯溜するインク室と、筆記具の
    先端部に設けられたペン体とを備えた筆記具であって、 内部に所定量の気体を封入した小室と、上記のインク室
    とこの小室とを連通するインク室側通路と、この小室と
    上記のペン体とを連通するペン体側通路とを備え、少な
    くとも上記のインク室側通路には、筆記によるインクの
    流動に対して所定の流動抵抗を与えるインク室側の抵抗
    手段が設けられていることを特徴とする筆記具。
  2. 【請求項2】 前記のペン体側インク通路には、筆記に
    よるインクの流動に対して所定の流動抵抗を与えるペン
    体側の抵抗手段が設けられていることを特徴とする請求
    項1の筆記具。
  3. 【請求項3】 前記のインク室側の抵抗手段の流動抵抗
    は、前記のペン体側の抵抗手段の流動抵抗より大きく設
    定されていることを特徴とする請求項2の筆記具。
  4. 【請求項4】 前記のインク室側の抵抗手段は、前記の
    インク室側通路内に挿入された多孔質の中継芯であるこ
    とを特徴とする請求項1の筆記具。
  5. 【請求項5】 前記のインク室側の抵抗手段は、前記の
    インク室側通路に形成された微小断面の流路であること
    を特徴とする請求項1の筆記具。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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