JP3065594B2 - 筆記具 - Google Patents

筆記具

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JP3065594B2
JP3065594B2 JP10337376A JP33737698A JP3065594B2 JP 3065594 B2 JP3065594 B2 JP 3065594B2 JP 10337376 A JP10337376 A JP 10337376A JP 33737698 A JP33737698 A JP 33737698A JP 3065594 B2 JP3065594 B2 JP 3065594B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ペン体へのインク
の供給を制御した筆記具に関する。さらに特定すれば、
本発明はインク室からペン体へのインク供給経路の途中
の内部に空気等の気体が封入された小容積の遮断室を設
け、この遮断室に封入された気体によりインクの供給を
制御するインク制御機構を備えた筆記具において、この
インク制御機構の作動をより正確かつ確実とした筆記具
に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、インク室内に液体状のインクを
貯溜する形式の筆記具においては、このインク室からペ
ン体に供給されるインクの流量や圧力を制御する必要が
ある。このようなインク制御の最も簡単な形式として
は、インク室とペン体との間に繊維を固めた多孔質の中
継芯と称される部材を介在させ、その毛細管力によりイ
ンク室からインクを引出すとともに、この中継芯内をイ
ンクが流通する際の抵抗により、インクの供給量を制御
するものがある。
【0003】ところで、ペン体がたとえば繊維を固めた
いわゆるフエルトチップの場合にはその繊維の間の微細
な間隙、ボールチップの場合にはボールとボールホルダ
との間の微細な隙間、の毛細管力により、これらペン体
自体にもインクを引出すいわゆるインク引出力および引
き出されたインクを保持するインク保持力がある。
【0004】このため、上記のような中継芯のみによる
制御では、インクの供給を安定させることはできなかっ
た。すなわち、上記の中継芯の密度を低くしてインクの
流動抵抗を少なくすると、非筆記時において上記のよう
なペン体のインク引出力によりインク室内のインクが引
出され、このペン体に飽和状態まで大量のインクが含ま
れ、いわゆるインクリッチの状態となる。このため、筆
記の初期において、筆跡が不所望に濃くなる不具合があ
る。特に、水性インクを使用するボールチップでは、そ
のインク引出力やインク保持力が水頭圧で数十mm〜1
00mm程度しかないので、たとえばこの筆記具を立て
た状態、すなわちボールチップを下向きにした状態で
は、インク室からこのボールチップまでのインクの水頭
圧により、微量のインクがボールとボールホルダとの間
の隙間から押し出されることがある。このような状態で
筆記を開始すると、筆跡の線の始端部がカンマ(,)状
となってしまう不具合がある。
【0005】このような不具合を防止するためには、上
記の中継芯の密度を高くし、その毛細管力および内部で
の流動抵抗を大きくすれば良いが、このようにするとこ
の中継芯の内部を流通するインクの流動抵抗が過大とな
る。このため、早く筆記した場合等には、インクの供給
が不足してこのペン体に含まれるインクの量が過少とな
るいわゆるインクプアの状態となり、筆跡がかすれる等
の不具合を生じることがある。
【0006】このような不具合を防止するために、従来
から各種のインク制御機構が考えられている。その一つ
は、インク室とペン体との間に、所定の差圧で開弁する
小形の機械的な弁機構を設けたものがある。このもの
は、非筆記時にはこの弁機構が閉弁しており、ペン体へ
の過剰のインク供給を防止している。そして、筆記の際
には、このペン体のインク引出力により発生する差圧で
この弁機構が開弁し、インク室からペン体にインクを供
給する。
【0007】しかし、上記のような弁機構は、水頭圧で
数十mm程度の微少差圧で開閉作動する必要があるとと
もに、きわめて小形に形成する必要もあり、その製造や
品質管理等が面倒となる不具合がある。また、このペン
体が前述したような水性インクを使用するボールチップ
の場合には、そのインク引出力が低いので、このような
弁機構の開閉圧力の設定が極めて微妙となり、その製造
や品質管理が困難となる等の不具合がある。
【0008】また、このインク制御の別の形式として、
インク室とペン体との間に、空気を封入した小室を設け
た、いわゆるエアチャンバ形のものがある。一般に、小
さな断面積の液体通路内に空気が存在していると、この
空気が気泡となって通路を閉塞し、液体の流通を遮断す
るいわゆるベーパーロックと称される現象があり、この
エアチャンバ形のものは、その原理を利用して一種の弁
機構を構成するものである。
【0009】このようなエアチャンバ形のものは、弁体
等の機械的な可動部分を本質的に必要とせず、構造が簡
単でまた製造も容易であるという利点がある。しかし、
このようなエアチャンバ形のものは、当然ながら筆記の
際には内部の気泡によって遮断されていたインクを流通
させる機構を必要とするが、その作動の安定性を確保す
ることが困難であるという問題がある。
【0010】このようなエアチャンバ形の筆記具の例と
して、米国特許明細書 No.3,397,939 に
開示されているものがある。このものは、インク室から
ペン体に至るインク通路の途中に、内部に空気が封入さ
れた小室を形成し、この小室の上部にはインク室に連通
した通路が開口し、またこの小室の下部には多孔質のフ
ィラーが充填され、このフィラーはペン体側に連通して
いる。
【0011】この米国特許のものは、非筆記時には上記
の多孔質のフィラーにインクがほぼ飽和状態で含まれて
おり、小室内に封入された空気によりインクの流通が遮
断されている。そして、筆記により上記のフィラー内に
含まれていたインクが消費されてこの多孔質のフィラー
がインクプアの状態となると、上記の小室内の空気がこ
の多孔質のフィラー内に吸入される。このように小室内
の空気がフィラーに吸い込まれることにより、上記の通
路からこの小室内にインクが流入し、このインクはフィ
ラー内に吸収される。そして、このフィラーにインクが
吸収されてインクリッチの状態になると、このフィラー
内に吸い込まれていた空気が小室内に放出され、インク
の流入が遮断される。
【0012】この米国特許に開示されているものは、機
械的な可動部分がなく、構造が簡単であるとともに、ペ
ン体のインク引出力が低い場合でもインクの流通を確実
に制御できる。しかし、上記の多孔質のフィラー内に吸
い込まれた空気は、このフィラーに新たにインクが吸い
込まれても、その全量が放出されない場合がある。そし
て、このフィラー内に残留した空気は、筆記によるこの
フィラー内のインクの流れとともに流動し、この残留空
気がペン体に達すると、このペン体のインク引出力が損
なわれ、筆記不能または筆記に支障が生じる。
【0013】この米国特許のものは、上記のような不具
合を防止するために、小室内の上部を円錐形に形成し、
インク室に連通する通路からインクが流入した場合に、
このインクが小室の内周面を伝わって流れ落ち、この小
室の下部に充填されているフィラーの周辺部に吸収され
るように構成されている。このような構成により、イン
クはこのフィラーの周辺部から中心部に向けて浸透し、
このフィラー内部に吸い込まれている空気を中心部に集
めて放出するように構成されている。
【0014】しかし、本発明者等の実験によれば、上記
のように構成しても、多孔質のフィラー内に一旦吸い込
まれた空気の全量を新たなインクの吸収により放出する
ことは困難であり、このフィラー内に空気が残留するこ
とを確実に防止することは困難であった。
【0015】したがって、上記のようなエアチャンバ形
のインクの制御機構を設けた筆記具においては、その内
部に封入された空気とインクとがフイラー内部等で混合
しないように、常時この空気とインクとが確実に分離さ
れた状態で作動するように構成する必要がある。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明は以上の事情に
基づいてなされたもので、機械的な可動部分を必要とせ
ず構造が簡単であるとともに微少差圧でも開閉作動する
エアチャンバ形のインク制御機構を採用するとともに、
封入された気体とインクとが常に分離した状態で作動
し、これらが多孔質のフィラー内等で混合するのを防止
した筆記具を提供するものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明
は、インクを貯留するインク室と、筆記具の先端部に設
けられたペン体と、上記のインク室とペン体との間に設
けられたインク制御機構とを備えた筆記具であって、上
記のインク制御機構は、内部にインクを液柱状に保持可
能な内径を有するとともに内部に所定量の気体が封入さ
れた遮断室と、この遮断室の一端部と上記のインク室と
を連通するインク室側通路と、この遮断室の他端部と上
記のペン体とを連通するペン体側通路と、この遮断室内
にその他端部側から突出し基端部が上記のペン体側通路
と連通するとともに先端部が先鋭に形成されこの遮断室
内に液柱状に保持されたインクの自由表面に近接して配
置され、この自由表面に接触することによりそのインク
の一部を上記のペン体側通路に移送するインク中継体と
を備えたことを特徴とするものである。
【0018】したがって、非筆記時には、この遮断室内
に封入された気体によりインク室側通路のインクとペン
体側通路のインクとが遮断され、ペン体への不所望なイ
ンクの供給が停止されている。そして、筆記によりペン
体側通路のインクが消費されると、その分だけ遮断室内
の空間部分の容積が増大し、封入されている気体の圧力
が低下して液柱状に保持されているインクが移動し、そ
の自由表面が上記のインク中継体の先端部に接触し、イ
ンクの一部がペン体側通路に移送される。これにより、
遮断室内の空間部の容積が減少して気体の圧力が上昇
し、液柱状に保持されているインクの自由表面が後退し
てインク中継体の先端から離れ、インクの供給が停止す
る。したがって、筆記時のみ、所定量のインクを供給す
ることができる。
【0019】上記のインク室側通路からこの遮断室内に
侵入したインクは、上記のように液柱状に保持されるの
で、その先端部に明確な自由表面を形成するとともに、
上記のインク中継体の先端部は尖鋭に形成されているの
で、この先端部を上記の液柱状に保持されているインク
の自由表面に近接して配置することが可能である。よっ
て、ペン体側通路のインクが僅かでも消費されると、こ
の自由表面がインク中継体の先端部に接触してペン体側
にインクが移送されるので、このインク中継体からペン
体に至るインクの流路内は常時インクで満たされた状態
を維持し、この流路内に遮断室の気体が侵入してインク
と混合することはない。よって、この気体がインクとと
もにペン体まで送られてしまうことが確実に防止され
る。
【0020】また、請求項2に記載の本発明は、前記の
インク中継体は、毛細管力により前記のインクをペン体
側通路に移送するものである。したがって、このインク
を確実にペン体側通路まで移送することができる。
【0021】また、請求項3に記載の本発明は、前記の
インク中継体は、表面の濡れ性により前記のインクをペ
ン体側通路に移送するものである。よって、このインク
を確実にペン体側通路まで移送することができる。
【0022】また、請求項4に記載の本発明は、前記の
インク中継体の先端部は、円錐形をなしていることを特
徴とするものである。したがって、この先端部を前記の
液柱状に保持されているインクの自由表面の中心部に正
確に近接させて配置することができ、作動の信頼性が高
い。
【0023】また、請求項5に記載の本発明は、前記の
インク中継体の先端部は、先端部が斜めに切除された形
状をなしていることを特徴とするものである。したがっ
て、その先端部を前記の液柱状に保持されているインク
の自由表面の周辺部に正確に近接させて配置することが
でき、作動の信頼性が高い。
【0024】また、請求項6に記載の本発明は、前記の
インク中継体の先端部は、細径の突部が突設されている
ことを特徴とするものである。したがって、この細径の
突部の先端を前記の液柱状に保持されているインクの自
由表面に正確に近接させて配置することができ、作動の
信頼性が高い。
【0025】なお、本明細書において、インク中継体の
先端部の形状の「尖鋭」なる用語は、上記のように先端
部が円錐形の形状、斜めに切除された形状、細径の突部
が突設されている形状、等の態様を含むものであるとと
もに、このインク中継体の先端部が、先端にゆくに従っ
て断面積が順次または段階的に減少してゆく任意の形状
を含むものとする。
【0026】また、請求項7に記載の本発明は、前記の
インク中継体は、多孔質の材料で形成されていることを
特徴とするものである。したがって、その先端が前記の
液柱状に保持されているインクの自由表面に接触した場
合に、その毛細管力によりインクの一部を確実にペン体
側通路まで移送することができ、作動の信頼性がより高
くなる。
【0027】また、請求項8に記載の本発明は、前記の
インク中継体の先端部には、毛細管力によりインクを先
端側から基端側に移送可能な中継溝が形成されているこ
とを特徴とするものである。したがって、その先端が前
記の液柱状に保持されているインクの自由表面に接触し
た場合に、この中継溝の毛細管力によりインクの一部を
確実にペン体側通路まで移送することができ、作動の信
頼性をより高くすることができる。また、この場合に
は、インク中継体を必ずしも多孔質の材料で形成する必
要はなく、このインク中継体を中実の材料で形成するこ
とが可能となり、このインク中継体の内部に遮断室の気
体が侵入する可能性を確実に排除することができる。
【0028】また、請求項9に記載の本発明は、前記の
インク中継体の先端部の外周面と前記の遮断室の内周面
との間には、毛細管力によりインクをこのインク中継体
の先端側から基端側に移送可能な中継間隙が形成されて
いることを特徴とするものである。したがって、その先
端が前記の液柱状に保持されているインクの自由表面に
接触した場合に、この中継間隙の毛細管力によりインク
の一部を確実にペン体側通路まで移送することができ、
作動の信頼性をより高くすることができる。また、この
場合には、インク中継体を必ずしも多孔質の材料で形成
する必要はなく、このインク中継体を中実の材料で形成
することが可能となり、このインク中継体の内部に遮断
室の気体が侵入する可能性を確実に排除することができ
る。
【0029】また、請求項10に記載の本発明は、前記
のインク中継体の円錐形の先端部の基部外周面と前記の
遮断室の内周面との間には、断面楔状の環状のインク溜
り部が形成されていることを特徴とするものである。し
たがって、このインク溜り部には、液体状のインクが保
持され、筆記によりインクが消費されると、このインク
溜り部のインクが優先的に消費され、これにより遮断室
の空間部の容積が増大する。よって、この遮断室内の気
体がインク中継体やペン体側通路内等に侵入してインク
と混合する可能性をより少なくすることができる。
【0030】また、請求項11に記載の本発明は、前記
のインク中継体の先端部の斜めに切除された部分の基部
と前記の遮断室の内周面との間には、断面楔状のインク
溜り部が形成されていることを特徴とするものである。
したがって、このインク溜り部には、液体状のインクが
保持され、筆記によりインクが消費されると、このイン
ク溜り部のインクが優先的に消費され、これにより遮断
室の空間部の容積が増大する。よって、この遮断室内の
気体がインク中継体やペン体側通路内等に侵入してイン
クと混合する可能性をより少なくすることができる。
【0031】また、請求項12に記載の本発明は、前記
のインク中継体の先端部の突部の根元部に、インク溜り
部が形成されていることを特徴とするものである。した
がって、このインク溜り部には、液体状のインクが保持
され、筆記によりインクが消費されると、このインク溜
り部のインクが優先的に消費され、これにより遮断室の
空間部の容積が増大する。よって、この遮断室内の気体
がインク中継体やペン体側通路内等に侵入してインクと
混合する可能性をより少なくすることができるものであ
る。
【0032】また、請求項13に記載の本発明は、前記
のインク室側通路には、多孔質の中継芯が挿入されてい
ることを特徴とするものである。したがって、この筆記
具を製造する場合に、この中継芯が乾燥した状態で筆記
具をペン体を下向きにして保持し、インク室内にインク
を注入すれば、インクは遮断室の上部に液柱状に保持さ
れ、この遮断室内の気体が乾燥状態の中継芯を介して排
出され、これに伴って液柱状に保持されたインクが下降
してゆく。そして、このインクの自由表面が上記のイン
ク中継体に接触すると、このインク中継体によりインク
が多孔質の中継芯に一瞬にして移送されてこの中継芯に
インクが浸透し、遮断室内の気体の排出が停止する。こ
れにより、インク中継体の先端にインクの表面が近接し
た状態を維持するような所定量の気体が正確に遮断室内
に封入され、作動が正確でかつ安定した筆記具を容易に
製造することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、図を参照して本発明の実施
形態を説明する。図1ないし図8には本発明の第1の実
施形態を示す。この実施形態のものは、水性インクを使
用するボールチップを備えた使い捨て形の筆記具であ
る。
【0034】図中の1は、この筆記具の軸筒であって、
この軸筒1内には水性インクを貯溜するインク室2が形
成されている。このインク室2内には、液体状のインク
が貯溜されているとともに、スライド栓3が挿入され、
このインクと空気とを区画している。
【0035】このスライド栓3の外周面とインク室2の
内周面との間には隙間が形成され、このスライド栓3は
インク室2の内周面と非接触状態を維持しており、実質
的に摺動抵抗が零となるように設定されている。なお、
このスライド栓3とインク室2の内周面との間にはイン
クの液膜が介在して直接的な接触を防止するとともに、
シール性を維持している。
【0036】また、このスライド栓3は、たとえば中空
に形成されてその比重がインクより小さく形成されてお
り、インクに対して浮遊性を有している。したがって、
この筆記具を正立させた状態でもこのスライド栓3は沈
降せず、また筆記具を倒立させた状態でもシール性があ
るためインクおよびこのスライド栓3は下降せず、常時
このインク室2内のインクと空気とを確実に区画してい
る。
【0037】そして、インクの膨脹、収縮等に対応して
このスライド栓3が移動してその膨脹、収縮を補償する
とともに、インクが消費されるにしたがってこのスライ
ド栓3が前進する。なお、このインク室2の尾端部側は
尾栓6により閉塞され、この尾栓6に形成された大気連
通筒7を介してこのインク室2の空気側が大気に連通し
ている。したがって、このインク室2内のインクの圧力
は、常に大気圧と等しい圧力に維持される。なお、この
インク室2の空気側の内部には、シールを確実にするた
めに少量のシリコーン油等が封入され、このシリコーン
油は上記の大気連通筒7により外部への漏出が防止され
ている。
【0038】またこの軸筒1の先端部側には、ペン体ホ
ルダ4が取り付けられ、このペン体ホルダ4の先端部に
はペン体、この実施形態では水性のボールチップ5が取
り付けられている。また、この軸筒1の先端部には、キ
ヤップ8が着脱自在に嵌合されている。そして、上記の
ペン体たとえばボールチップ5とインク室2とは以下の
ようなインク制御機構10を介して連通されている。
【0039】図2には、このインク制御機構10の部分
を拡大して示す。このインク制御機構10は、小容積の
遮断室11を備えている。この実施形態では、上記のペ
ン体ホルダ4の中心部に軸方向に沿った直線状の貫通孔
が形成されており、この貫通孔の中央部が上記の遮断室
11として形成されている。また、この遮断室11の上
側の貫通孔は前記のインク室2に連通し、インク室側通
路12として構成されている。また、この遮断室11の
下側の貫通孔は、前記のボールチップ5に連通してお
り、ペン体側通路13として構成されている。そして、
この遮断室11内には、所定量の気体、この実施形態で
は空気が封入されている。
【0040】また、上記のインク室側通路12内には、
インク室側中継芯14が挿入されている。このインク室
側中継芯14は、たとえば繊維を棒状に固めた多孔質の
もので、これらの繊維間の微細な隙間の毛細管力により
インク室2からインクを引出すとともに、内部を流通す
るインクに所定の流動抵抗を与えるように構成されてい
る。
【0041】また、上記の遮断室11の上側部分とこの
インク室側通路12との間は、インクを保持することが
できるインク保持手段としてのインク保持通路18に形
成されている。このインク保持通路18は、この実施形
態では上記の遮断室11と連続した同径の部分であり、
その内部に流入したインク19は、その下面に表面張力
による自由表面20が形成され、液柱状に保持される。
【0042】このインク保持通路18は、小径であるた
め、液柱状に保持されたインク19の下端は自由表面2
0の表面張力により保持されており、この液柱状のイン
ク19の一部が遮断室11内の空気と入れ替わってこの
遮断室11内に流入することがないように構成されてい
る。このような保持作用を達成するには、このインク保
持通路18の内径はたとえば3mm以下に設定すること
が好ましい。なお、この値は水性インクを使用する場合
のものであり、使用するインクの種類によりこの内径は
相違するが、一般的にはこのインク保持通路18の内径
は6mm以下であれば、空気とインクとの入れ替わりを
防止し、インクを液柱状に保持することができるもので
ある。
【0043】また、上記のペン体側通路13内には、ボ
ールチップ5にインクを供給するためのペン体側中継芯
21が挿入され、このペン体側中継芯21も上記のイン
ク室側中継芯14と同様な材料で形成されている。そし
て、この実施形態では、このペン体側中継芯21の上部
は上記の遮断室11内の下部内に突出し、中継体15と
して形成されており、この中継体15がインク中継手段
を構成している。
【0044】この中継体15は、その先端部が尖鋭な円
錐部16に形成されている。そして、この中継体15の
外周面と、この遮断室11の内周面との間には、わずか
な隙間が形成されている。また、この中継体15の円錐
部16の基端部外周面と遮断室11の内周面との間に
は、断面が楔形の環状の間隙が形成されており、この間
隙部分がインク溜り部17として形成されている。
【0045】また、この実施形態では、上記のインク室
側中継芯14の密度は、上記のペン体側中継芯21の密
度より大きく形成されており、したがって、このインク
室側中継芯14内をインクが流通する際の流動抵抗は、
上記のペン体側中継芯21内をインクが流通する際の流
動抵抗より大きく設定されている。
【0046】次に、上記の第1の実施形態の作用を図3
ないし図5を参照して説明する。図3は、この筆記具の
非筆記状態を示す。上記の遮断室11内には、所定量の
少量の空気が封入されており、インク室側通路12内の
インクと、ペン体側通路13内のインクとを遮断してい
る。なお、この場合には、上記のインク室側通路13内
からインク保持通路18内にインクが流入しているが、
前述のように、このインク19はその下面に表面張力に
より自由表面20が形成され、液柱状に保持されてい
る。また、上記のペン体側中継芯21およびその上部の
中継体15の部分には、ほぼ飽和状態のインクが含ま
れ、いわゆるインクリッチの状態となっている。また、
この中継体15の円錐部16の基部のインク溜り部17
には、毛細管力により所定量の液状のインクが貯溜、保
持されている。
【0047】このような状態、すなわち非筆記時の状態
では、上記のインク保持通路18内のインクは遮断室1
1内の空気により遮断され、前述したように所定の位置
に保持されている。そして、この場合には、インク室側
通路12内のインクと、ペン体側通路13内のインクと
は、その連通を遮断されており、インク室2内のインク
が不所望にペン体すなわちボールチップ5に供給される
ことはない。このため、このボールチップ5に余剰のイ
ンクが含まれることが防止される。
【0048】次に、この筆記具により筆記がなされる
と、ペン体側中継芯21内のインクが消費される。この
場合に、このペン体側中継芯21の上部の中継体15の
基部の周囲のインク溜り部17には、液状のインクが貯
溜、保持されているので、このインク溜り部17のイン
クが優先的に消費される。
【0049】すなわち、飽和状態の多孔質体、すなわち
この場合はペン体側中継芯21や中継体15内のインク
が消費された場合に、これらの表面に飽和状態で存在し
ているインクが、この多孔質の中継体15の表面から内
部に引き込まれる際には、ある程度の負圧が必要とな
る。しかし、インク溜り部17に貯溜、保持されている
インクは、この中継体15の基部の外周面に接触してお
り、このインクの接触部分ではこの中継体15の基部表
面はインク中に浸漬され、飽和状態である。したがっ
て、この中継体15内のインクが消費されると、最も抵
抗の少ない部分、すなわちインク溜り部17からインク
を吸入するので、このインク溜り部17のインクが優先
的に消費される。
【0050】このようにしてこのインク溜り部17のイ
ンクが消費されると、その分だけ遮断室11内の空間部
の容積が増大するので、この遮断室11内に封入されて
いた空気の圧力が低下する。これによって、図4に示す
ように、この圧力低下を補償するように、前記のインク
保持通路18内に保持されていた液柱状のインク19が
下降してゆく。そして、この液柱状のインク19の自由
表面20が中継体15の円錐部16の先端部に接触する
と、この円錐部16の表面はインクで濡れているので、
自由表面20の表面張力の一部が破れ、インクの一部が
この円錐部16の表面を伝わって上記のインク溜り部1
7まで移送される。
【0051】そして、このインク溜り部17にインクが
溜ると、その分だけ遮断室11内の空間部の容積が減少
し、この空間部に封入されている空気の圧力が上昇し、
上記のインク保持通路18内の液柱状のインク19を押
し上げる。これにより、図5に示すように、再び自由表
面20が円錐部16から離れ、図3に示すような状態に
戻る。
【0052】また、筆記が続いた場合には、再びインク
溜り部17のインクが消費され、上記の作動を繰り返
し、インク室2内のインクがボールチップ5に供給され
る。なお、この遮断室11内の容積は小さく、また中継
体15等の寸法も小さいので、上記のインク保持通路1
8内のインク19の自由表面20が中継体15の円錐部
16の先端に接触した場合には、きわめて短時間でイン
ク19の一部がインク溜り部17に移送される。
【0053】上記のような作動は、基本的には間欠的な
作動である。したがって、筆記を連続している間は、上
記のような間欠作動によりインクが間欠的にボールチッ
プ5に供給されることになる。しかし、上記のように、
この間欠的なインク供給作動は極めて短い周期で繰り返
されるとともに、ペン体側中継芯21にはある程度のイ
ンク貯留能力があるので、ボールチップ5には連続して
安定したインクの供給がなされ、筆跡に濃淡が生じるこ
とはない。
【0054】また、この実施形態では、上記のペン体側
中継芯21に対して、インク室側中継芯14の密度が高
く、その内部のインクの流動抵抗が大きく設定されてい
る。そして、これによって、ボールチップ5に供給され
たインクの引き戻し作動がなされる。
【0055】すなわち、ボールチップでは、ボールの回
転により、このボールの表面に付着したインクが紙面等
の筆記面に転写される。このインクは、前述のようにボ
ールとこのボールを回転自在に抱持したボールホルダと
の間の微少な隙間内に毛細管力により保持されている
が、このボールホルダ内のボール抱持部分にも液体状の
インクが保持されている。したがって、上記のようにイ
ンクの供給を制御したとしても、筆記を終了してボール
の回転が急に停止したような場合には、このボールとボ
ールホルダとの間の隙間から、微量ではあるがインクが
押し出されることがある。このように、ボールの周囲に
押し出された余剰のインクが存在していると、次に筆記
を開始した場合に、前述のように筆跡の線の始端部がカ
ンマ(,)状となり、筆跡の体裁を損なうという問題が
生じる。
【0056】この実施形態では、筆記によりインクが消
費している間は、常にインク溜り部17のインクが消費
され続けるので、遮断室11内の圧力は負圧となってい
る。そして、筆記を終了した場合には、この遮断室11
内の負圧により、インク室側通路12およびペン体側通
路13内からインクがこの遮断室11内に流入する。こ
の場合に、上記のインク室側通路12内のインク室側中
継芯14の流動抵抗はペン体側中継芯21の流動抵抗よ
り大きく設定されているので、このインク室側通路12
から遮断室11内にインクが流入する前に、ペン体側通
路13側から遮断室11内にインクが逆流する。
【0057】このようなインクの逆流により、ボールチ
ップ5のボールホルダ内のインクが引き戻されるので、
上記のようにボール回りに余剰のインクが押し出される
ことがなく、よって筆跡の線の始端部にカンマ(,)状
の部分が生じることを確実に防止できる。なお、上記の
遮断室11内の容積は小さく、上記のように引き戻され
るインクの量は微量であるが、ボールチップ5のボール
ホルダ内のインクも微量であるため、上記のようなボー
ルホルダ内のインクの引き戻し作動を行わせるには十分
である。
【0058】また、この実施形態において、上記のよう
なインクの制御作動を行わせるには、上記の遮断室11
内に封入されている空気の量を正確に設定する必要があ
る。すなわち、この封入されている空気の量が多すぎる
と、インク保持通路18内に保持されている液柱状のイ
ンク19の自由表面20と中継体15の円錐部16の先
端との間の距離が長くなる。したがって、インク溜り部
17のインクが消費され、液柱状のインク19が下降し
ても、その自由表面20が上記の円錐部16の先端に接
触しない場合が生じる。このような状態で筆記を続ける
と、多孔質の中継体15の内部のインクが消費されてゆ
き、この中継体15内に含まれるインクの量が少なくな
り、インクプァの状態となり、この多孔質の中継体15
内に空気が吸入される可能性がある。このように多孔質
の中継体15内に一旦空気が吸入されると、前述のよう
にこの中継体15に新たにインクが吸収されても、空気
が確実には排除されず、インクとともにこの空気がボー
ルチップ5まで送られ、このボールチップ5の筆記に支
障が生じる。
【0059】また、この遮断室11内に封入されている
空気の量が少ないと、インク溜り部17のインクがわず
かに消費されただけの状態で、液柱状のインク19の自
由表面20が円錐部16の先端に接触してしまう。この
ためインクの遮断作動ができず、インク室2内のインク
がボールチップ5と常時連続した状態となり、このボー
ルチップ5に過剰のインクが供給され、筆記に支障を生
じる。
【0060】この実施形態では、この遮断室11内に正
確に所定量の空気を封入するために、以下のようなイン
クの充填を行う製造方法を採用している。以下、図6な
いし図8を参照して、この製造方法を説明する。
【0061】まず、上記のような筆記具を組み立てる。
この場合に、上記のインク室側中継芯14、ペン体側中
継芯21および中継体15等は、すべてインクを含まな
い乾燥状態としておく。また、上記のボールチップ5、
スライド栓3および尾栓6は未装着の状態としておく。
【0062】そして、この筆記具をボールチップ5側を
下向きにして略鉛直の姿勢に保持し、インク室2にイン
クを注入する。この注入されたインクは、重力および毛
細管力により上記のインク室側中継芯14内を通過し、
インク保持通路18内に流入し、図6に示すように、液
柱状のインク19となってこのインク保持通路18内に
保持される。
【0063】この場合に、上記のペン体側中継芯21お
よび中継体15は、まだインクを含んでいない乾燥状態
であり、その内部を空気が通過可能である。したがっ
て、遮断室11内の空気は、このペン体側中継芯21お
よび中継体15内を通過してペン体ホルダ4の先端部か
ら排気される。そして、この空気の排気に伴って、上記
のインク保持通路18内の液柱状のインク19は下降し
てゆく。
【0064】そして、図7に示すように、この液柱状の
インク19の自由表面20が中継体15の円錐部16の
先端部に接触すると、このインクが毛細管力によりこの
中継体15内に吸収される。なお、この中継体15の寸
法は小さいものであるから、一瞬にしてこの中継体15
およびペン体側中継芯21にインクが吸収される。この
中継体15およびペン体側中継芯21にインクが吸収さ
れると、この中継体15内を空気が通過することが不可
能となり、この状態で遮断室11内に残存していた空気
はそのまま遮断室11内に封入される。
【0065】次に、この中継体15およびペン体側中継
芯21全体にインクが飽和状態まで吸収されてインクリ
ッチの状態となると、図8に示すように、インクがこの
中継体15を伝わってインク溜り部17に溜る。これに
より、遮断室11の空間部の容積が減少するので、封入
されている空気の圧力が上昇し、上記の液柱状のインク
19を押し上げ、その自由表面20が中継体15の円錐
部16の先端から離れる。これにより、インクの流入は
停止し、前述の図3に示すような非筆記状態となる。次
に、上記の未装着の部品を装着してこの筆記具を完成す
る。
【0066】このような方法は、この筆記具を略鉛直に
保持し、インク室2にインクを注入するだけの簡単な工
程により、遮断室11に必要とされる正確な量の空気を
確実に封入することができる。
【0067】なお、中継体15およびペン体側中継芯2
1は、その径が比較的細いとともに、上端の円錐部16
の先端部からインクが吸収されるので、これらの内部の
空気はインクの浸透とともにペン体ホルダ4の先端側に
押し出され、これらの内部でインクと空気が混合するこ
とはない。
【0068】また、上記の方法では、上記の遮断室11
内に空気を封入する場合について説明したが、封入する
気体は空気には限らない。たとえば、酸素と反応するよ
うな特殊なインクを使用する場合には、この遮断室11
内には窒素または不活性ガスを封入することがある。こ
のような場合には、上記のような工程に先立って、この
筆記具内をこのような気体に置換しておけば良い。
【0069】なお、本発明は上記のような実施形態には
限定されない。たとえば図9には本発明の第2の実施形
態の筆記具を示す。
【0070】この第2の実施形態では、上記の中継体1
5の先端部は斜めに切断された斜め切断部25に形成さ
れている。そして、この斜め切断部25の基部の切断面
と、遮断室11の内周面との間に断面が楔状のインク溜
り部17が形成される。また、インク保持通路18内を
下降してきた液柱状のインク19の自由表面20は、こ
の斜め切断部25の先端部に接触する。
【0071】この第2の実施形態のものは、上記の点以
外は前記の第1の実施形態と同様な構成であり、図9中
で第1の実施形態と対応する部分には同じ符号を付して
その説明は省略する。
【0072】この第2の実施形態のものは、その作動お
よび製造方法等は前記の第1の実施形態と同様である。
この2の実施形態のものは、中継体15を構成する多孔
質材料の棒状部材を斜めに切断するだけで斜め切断部2
5を形成できるので、製造がより容易である。
【0073】また、図10には本発明の第3の実施形態
を示す。このものは、ペン体側中継芯21の上端部に、
別部材の中継体35を設けたものである。この中継体3
5は、多孔質の材料以外の中実の材料で形成されてい
る。この中継体35は、その先端部に円錐状をなして尖
鋭に形成された円錐部36が形成されている。そして、
この中継体35は、上記のペン体側中継芯21の上端部
に取り付けられ、遮断室11内に挿入されている。ま
た、この中継体35の外周面と遮断室11の内周面との
間には隙間が形成され、この隙間および上記の円錐部3
6の根元部と遮断室11の内周面との間の楔状の隙間が
インク溜り部17として形成されている。
【0074】この中継体35は、インクに対して濡れ性
を有する材料で形成されるか、またはその表面にインク
に対して濡れ性を有する被膜または表面処理を行ったも
のである。また、この実施形態では、インクを確実に導
くために、この円錐部36の周面に母線に沿って細い中
継溝37が形成されている。
【0075】なお、この第3の実施形態は、上記の点以
外は前記の第1の実施形態と同様な構成で、図10中で
第1の実施形態と対応する部分には同じ符号を付してそ
の説明は省略する。
【0076】この実施形態のものは、インク保持通路1
8内の液柱状のインク19の自由表面20がこの中継体
35の円錐部36の先端に接触した場合に、この表面の
濡れ性および上記の中継溝37の毛細管力により、この
インクをインク溜り部17まで移送する点を除いては、
前記の第1の実施形態と同様な作用をなす。
【0077】この実施形態は、中継体35が多孔質の材
料ではないので、万一上記のインク溜り部17のインク
が完全に消費された後も液柱状のインク19の自由表面
20がこの中継体35に接触しない場合が生じても、こ
の中継体35内に空気が吸入されることはない。また、
繊維を固めたような多孔質の材料を加工する必要がな
く、この中継体35の製造が容易でかつ正確な形状に加
工することができる。
【0078】また、図11には本発明の第4の実施形態
を示す。このものは、ペン体側中継芯21の上端部に、
別部材の中継体45を設けたものである。この中継体4
5は、多孔質の材料以外の中実の材料で形成されてい
る。この中継体45は、その先端部が斜めに切除された
斜め切断部46に形成され、尖鋭に形成されている。そ
して、この中継体45は、上記のペン体側中継芯21の
上端部に取り付けられ、遮断室11内に挿入されてい
る。また、この中継体45の外周面と遮断室11の内周
面との間には隙間が形成され、この間隙がインクを中継
する中継間隙47として構成されている。
【0079】また、この中継体45の基端部外周には複
数の細い環状の溝48が形成されて蛇腹状に形成され、
この蛇腹部分および上記の斜め切断部46の根元部と遮
断室11の内周面との間の楔状の間隙がインク溜り部1
7として形成されている。そして、上記の中継間隙47
は、このインク溜り部17に連通している。
【0080】この中継体45は、前記の第3の実施形態
と同様に、インクに対して濡れ性を有する材料で形成さ
れるか、またはその表面にインクに対して濡れ性を有す
る被膜または表面処理を行ったものである。
【0081】なお、この第4の実施形態は、上記の点以
外は前記の第1の実施形態と同様な構成で、図11中で
第1の実施形態と対応する部分には同じ符号を付してそ
の説明は省略する。
【0082】この実施形態のものは、インク保持通路1
8内の液柱状のインク19の自由表面20がこの中継体
45の斜め切断部46の先端および中継間隙47の先端
に接触した場合に、この表面の濡れ性および上記の中継
間隙47の毛細管力により、このインクをインク溜り部
17まで移送する点を除いては、前記の第3の実施形態
と同様な作用をなす。
【0083】また、図12には本発明の第5の実施形態
を示す。このものは、中継体55の先端部に、その中心
部から径の細い突部56を突設したものである。この突
部56は、上記の中継体55と一体に形成された多孔質
のもので、その先端は上記の液柱状に保持されたインク
19の自由表面20に近接して配置されている。また、
この実施形態では、上記の突部56の根元部の周囲と、
遮断室11の内周面との間に環状のインク溜り部17が
形成される。
【0084】なお、この実施形態は上記の点以外は前記
の第1の実施形態と同様の構成であり、図12中で第1
の実施形態と対応した部分には同じ符号を付してその説
明は省略する。また、この実施形態の作用は前述の第1
の実施形態と同様である。この実施形態のものは、突部
56の径が細いので、万一この突部56内に空気が吸い
込まれた場合でも、新たにインクが吸収された場合に、
この空気を容易に排除することができる。
【0085】なお、本発明は前記の実施形態には限定さ
れず、各種の変形が可能である。たとえば、インクの中
継体の先端部の尖鋭な形状は、上記のような各種の形状
には限定されず、先端にゆくに従って断面積が順次また
は段階的に減少してゆくような任意の形状のものとする
ことができる。
【0086】また、上記の実施形態では、構造を簡単に
するため、直線状の貫通孔の内部に遮断室、インク保持
通路、インク室側通路、ペン体側通路を形成したもので
あるが、これらはたとえば径や形状の相違する別々の室
または通路として構成してもよい。
【0087】また、インク室側通路やペン体側通路に
は、必ずしも多孔質の中継芯を挿入する必要はない。な
お、インクの供給量の制御、筆記終了時のインクの引き
戻し作用等を行わせるため、または前述のような製造方
法を実施するために、これら通路に流動抵抗や毛細管力
を与える必要のある場合には、上記のような多孔質の中
継芯の代わりに、これらの通路を細径に形成し、所定の
流動抵抗や毛細管力を与えるようにしても良い。
【0088】また、本発明は前記のようなボールチップ
を用いる筆記具には限らず、その他フエルトチップ等、
任意の形式のペン体を用いたものでもよく、またインク
の種類も水性インクには限定されず、その他の任意のイ
ンクを用いるものでも良いことはもちろんである。
【0089】
【発明の効果】上述のごとく本発明の筆記具は、非筆記
時には上記の遮断室内に封入された空気等の気体によ
り、インク室とペン体とのインクの連通が遮断されてお
り、このペン体に不所望にインクが供給されることが防
止される。また、筆記によりペン体側通路のインクが消
費されると、インクの一部がペン体側通路に移送され、
ペン体側に所定量のインクを供給することができる。
【0090】そして、遮断室内に侵入したインクは液柱
状に保持されて明確な自由表面を形成するとともに、上
記のインク中継体の先端部は尖鋭に形成されてこの自由
表面に近接しているので、ペン体側通路のインクが僅か
でも消費されると自由表面がインク中継体の先端部に接
触してペン体側にインクが移送され、インク中継体から
ペン体に至るインクの流路内は常時インクで満たされた
状態を維持する。よって、この流路内に遮断室の気体が
侵入してインクと混合することはなく、正確でかつ確実
な作動を行うことができるとともに、構造も簡単で製造
も容易である等、その効果は大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の筆記具の第1の実施形態の全体の縦断
面図。
【図2】本発明の筆記具の第1の実施形態のインク制御
機構の部分の縦断面図。
【図3】本発明の筆記具の第1の実施形態の作動の説明
図。
【図4】本発明の筆記具の第1の実施形態の作動の説明
図。
【図5】本発明の筆記具の第1の実施形態の作動の説明
図。
【図6】本発明の筆記具の製造方法の説明図。
【図7】本発明の筆記具の製造方法の説明図。
【図8】本発明の筆記具の製造方法の説明図。
【図9】本発明の筆記具の第2の実施形態のインク制御
機構の部分の縦断面図。
【図10】本発明の筆記具の第3の実施形態のインク制
御機構の部分の縦断面図。
【図11】本発明の筆記具の第4の実施形態のインク制
御機構の部分の縦断面図。
【図12】本発明の筆記具の第5の実施形態のインク制
御機構の部分の縦断面図。
【符号の説明】
2 インク室 5 ボールチップ 11 遮断室 15,35,45,55 中継体 16 円錐部 17,57,77 インク溜り部 18 インク保持通路 56 突部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B43K 5/00 - 8/18

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクを貯留するインク室と、筆記具の
    先端部に設けられたペン体と、上記のインク室とペン体
    との間に設けられたインク制御機構とを備えた筆記具で
    あって、 上記のインク制御機構は、内部にインクを液柱状に保持
    可能な内径を有するとともに内部に所定量の気体が封入
    された遮断室と、この遮断室の一端部と上記のインク室
    とを連通するインク室側通路と、この遮断室の他端部と
    上記のペン体とを連通するペン体側通路と、この遮断室
    内にその他端部側から突出し基端部が上記のペン体側通
    路と連通するとともに先端部が先鋭に形成されこの遮断
    室内に液柱状に保持されたインクの自由表面に近接して
    配置され、この自由表面に接触することによりそのイン
    クの一部を上記のペン体側通路に移送するインク中継体
    とを備えたことを特徴とする筆記具。
  2. 【請求項2】 前記のインク中継体は、毛細管力により
    前記のインクをペン体側通路に移送するものであること
    を特徴とする請求項1の筆記具。
  3. 【請求項3】 前記のインク中継体は、表面の濡れ性に
    より前記のインクをペン体側通路に移送するものである
    ことを特徴とする請求項1の筆記具。
  4. 【請求項4】 前記のインク中継体の先端部は、円錐形
    をなしていることを特徴とする請求項1の筆記具。
  5. 【請求項5】 前記のインク中継体の先端部は、先端部
    が斜めに切除された形状をなしていることを特徴とする
    請求項1の筆記具。
  6. 【請求項6】 前記のインク中継体の先端部は、細径の
    突部が突設されているものであることを特徴とする請求
    項1の筆記具。
  7. 【請求項7】 前記のインク中継体は、多孔質の材料で
    形成されていることを特徴とする請求項1の筆記具。
  8. 【請求項8】 前記のインク中継体の先端部には、毛細
    管力によりインクを先端側から基端側に移送可能な中継
    溝が形成されていることを特徴とする請求項1の筆記
    具。
  9. 【請求項9】 前記のインク中継体の先端部の外周面と
    前記の遮断室の内周面との間には、毛細管力によりイン
    クをこのインク中継体の先端側から基端側に移送可能な
    中継間隙が形成されていることを特徴とする請求項1の
    筆記具。
  10. 【請求項10】 前記のインク中継体の円錐形の先端部
    の基部外周面と前記の遮断室の内周面との間には、断面
    楔状の環状のインク溜り部が形成されていることを特徴
    とする請求項4の筆記具。
  11. 【請求項11】 前記のインク中継体の先端部の斜めに
    切除された部分の基部と前記の遮断室の内周面との間に
    は、断面楔状のインク溜り部が形成されていることを特
    徴とする請求項5の筆記具。
  12. 【請求項12】 前記のインク中継体の先端部の突部の
    根元部に、インク溜り部が形成されていることを特徴と
    する請求項6の筆記具。
  13. 【請求項13】 前記のインク室側通路には、多孔質の
    中継芯が挿入されていることを特徴とする請求項1の筆
    記具。
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