JPH1178349A - 筆記具 - Google Patents

筆記具

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JPH1178349A
JPH1178349A JP9245407A JP24540797A JPH1178349A JP H1178349 A JPH1178349 A JP H1178349A JP 9245407 A JP9245407 A JP 9245407A JP 24540797 A JP24540797 A JP 24540797A JP H1178349 A JPH1178349 A JP H1178349A
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pressure
pressure equalizing
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Jiro Hori
二郎 堀
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Abstract

(57)【要約】 【課題】筆記の際のインク5の水頭圧H1を補償し、ペ
ン体2に大気圧と略等しい一定の圧を作用させ、またイ
ンク貯溜室4内の空気等の膨脹収縮の補償をなし内部を
大気圧に等しい圧に維持する。 【解決手段】インク貯溜室4内に内部に均圧通路8を形
成した均圧管7を挿入しその先端をペン体2近傍に連通
させるとともに尾端部を外部に連通し、非筆記時にはこ
の均圧通路8をフイーダとして作用させてインク貯溜室
4内の空気等の膨脹収縮の補償をなして内部を大気圧と
等しい圧に維持し、また筆記時にはこの均圧通路8によ
りペン体2の近傍を大気圧と等しい圧力としてインク5
の水頭圧H1がペン体2に作用するのを防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液体のインクを直
接貯溜するインク貯溜形の筆記具に関する。さらに特定
すれば、本発明はペン体に供給されるインクの圧力が一
定に維持されるインク貯溜形の筆記具に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、筆記具をそのインク貯溜の形式
で分けると、インク室内に綿等の多孔体を充填し、この
多孔体内に毛細管力によりインクを保持させるいわゆる
中綿形と、インク貯溜室内に液体のインクを直接貯溜す
るいわゆるインク貯溜形の筆記具とがある。
【0003】上記の中綿形のものは、構造が簡単である
が、インクの保持量が少なく、また毛細管力によりイン
クをペン体に供給するので、このペン体へのインクの供
給流量に制約があり、早く筆記した場合等にはペン体へ
のインクの供給量が不足し、筆跡がかすれる等の不具合
がある。
【0004】また、上記のインク貯溜形のものは、大量
のインクを貯溜でき、またペン体へのインクの供給流量
が原理的に制約されることがないので、早く筆記した場
合でも筆跡のかすれ等が生じないという長所がある。し
かし、このインク貯溜形のものは、温度の変化等による
インク貯溜室内の空気やインクの膨脹、収縮、また筆記
具の姿勢の変化による水頭圧の変化等を補償する機構
や、ペン体へのインクの供給流量の制御をなす機構等を
設ける必要があり、構造が複雑になる。また、このよう
な補償機構を設けても、条件によっては、温度や気圧、
筆記具の姿勢の変化等により、ペン体に供給されるイン
クの圧力や流量が不安定になる等の短所がある。
【0005】このインク貯溜形の筆記具の構造には各種
のものがある。その代表として、たとえば従来のいわゆ
る万年筆に使用されている蛇腹状のフィーダを設けたも
のがある。このものは、断面積の小さな蛇腹状の流路か
らなるフイーダ内に毛細管力によりインクを保持させる
ものである。そして、インク貯溜室内の空気等が膨脹し
た場合には、余剰のインクがこのフィーダ内に押し出さ
れて保持され、またインク貯溜室内で収縮が生じた場合
にはこのフィーダ内に保持されていたインクがインク貯
溜室内に吸い込まれて戻され、このようにしてインク貯
溜室内の膨脹、収縮を補償して圧力を一定に維持する。
【0006】また、別の構造のものとしては、スライド
栓を使用したものがある。このものは、インク貯溜室を
円筒状とするとともに尾端側を大気に連通させ、この内
部に気密および液密を維持しつつ軸方向に摺動自在なス
ライド栓を設け、このスライド栓によりインク貯溜室内
のインクと空気とを区画したものである。このものは、
インクの膨脹、収縮、および筆記によるインクの消費に
対応してこのスライド栓が摺動し、インクの圧力を大気
圧と略等しい一定の圧力に維持する。また、ペン体への
インクの供給を制御するため、インク貯溜室とペン体と
の間には、微少差圧で開弁する弁機構を設ける等の手段
が採用される。
【0007】ところで、これらのものは、いずれもイン
ク貯溜室内の空気やインクの膨脹、収縮等は補償するこ
とができるが、筆記具の姿勢による水頭圧の変化を十分
に補償することはできなかった。すなわち、筆記の際に
はこの筆記具を略鉛直に立てて使用するので、インク貯
溜室の内部のインクの自由表面とペン体までの軸方向の
深さがたとえば80mmあれば、この80mmに相当す
る水頭圧が発生する。このような水頭圧は微少な圧力で
あるが、ペン体の種類によってはこのような水頭圧が作
用すると、筆跡に変化が生じ、またペン体からインクが
押し出されるいわゆるボタ落ちを生じることがある。
【0008】上記のペン体には各種の形式があるが、一
般的に広く用いられているものとして、ボールホルダの
先端部にボールを回転自在に抱持したいわゆるボールチ
ップと、繊維等を固めた多孔体からなるいわゆるフエル
トチップがある。これらの各種のペン体はそれぞれの特
性があるが、共通した重要な特性の要素としては、イン
クシール圧力とインク引出し圧力がある。
【0009】すなわち、これらのペン体は、たとえばボ
ールチップではボールとボールホルダの間の隙間、フエ
ルトチップでは繊維の間の隙間の毛細管力、によりイン
クを保持してシール作用をなし、このシール作用を維持
できる範囲の内外の差圧がインクシール圧力である。ペ
ン体の内外の差圧がこのインクシール圧力を超えると、
たとえば内圧がインクシール圧力より高くなるとこれら
の隙間を通って内部のインクが押し出されていわゆるボ
タ落ちを生じ、また内部の圧力がこのインクシール圧力
より低くなるとこれらの隙間内のインクが吸い込まれ、
この隙間を介して空気がインク貯溜室内に吸い込まれて
しまうことになる。
【0010】また、これらのペン体は、筆記によって上
記の隙間内のインクが消費されると、内部から新たなイ
ンクがこの隙間内に吸い出されるが、この新たにインク
を吸い出す圧力がインク引出し圧力である。したがっ
て、内部の圧力がこのインク引出し圧力より低くなると
筆記ができなくなる。このインクシール圧力およびイン
ク引出し圧力はペン体の種類によって相違するが、同じ
種類のペン体ではこのインクシール圧力とインク引出し
圧力とは略等しい。
【0011】ところで、上記のボールチップは、インク
が粘度の高い油性インクの場合には100mm程度のイ
ンクシール圧力およびインク引出し圧力があるが、粘度
の低い水性インクまたは揮発性の溶媒を使用した速乾性
のインクの場合には、20mm程度しかない。なお、フ
エルトチップは、一般に100mmないし数100mm
の高いインクシール圧力およびインク引出し圧力を有す
る。
【0012】上記のフエルトチップは、そのインクシー
ル圧力、すなわち自身の毛細管力によるインク保持力が
高いので、吸水性のない筆記面、たとえば樹脂フイルム
等には少量のインクしか転写できず、一般にこれらの筆
記面には「薄く」しか筆記できない。これに対して、水
性インク、速乾性インクを使用するボールチップは、自
身のインク保持力が弱いので、樹脂フイルム等の吸水性
を有しない表面にも濃く筆記できる。特に、速乾性のイ
ンクを使用した場合には、この樹脂フイルムに転写され
たインクが瞬時に乾燥するので、従来では筆記が不可能
であったポリエエチレンフイルム等の撥水性の材料の表
面にも筆記が可能である。また、このボールチップは、
ボールの回転によりその表面に付着したインクを筆記面
に転写するので、筆記した線の輪郭が明瞭でかつ細い線
の筆記も可能となる等、好ましい特徴がある。
【0013】しかし、このような水性または速乾性のイ
ンクを使用したボールチップは、上記のように20mm
程度のインクシール圧力およびインク引出し圧力しかな
いので、これを使用した筆記具では、このボールチップ
に供給されるインクの圧力を外部すなわち大気の圧と略
等しい圧力に安定して制御する必要がある。
【0014】また、フエルトチップは、上記のようにイ
ンクシール圧力およびインク引出し圧力は大きいが、内
外の差圧が生じると、ボタ落ちや空気の吸入は生じない
ものの、このフエルトチップ内に保持されるインクの量
が容易に変化する。したがって内部の圧力がわずかであ
っても高くなると、このフエルトチップ内に含まれるイ
ンクの量が増加していわゆるインクリッチの状態とな
り、筆跡が不所望に濃くなってしまう。また逆に、内部
の圧力がわずかであっても低くなると、このフエルトチ
ップ内に保持されているインクの量が少なくなっていわ
ゆるインクプァの状態となり、筆跡が不所望に薄くな
る。従って、このフエルトチップを備えた筆記具であっ
ても、供給されるインクの圧力を安定して制御すること
が好ましいことはもちろんである。
【0015】しかしながら、前述のようなフィーダ機構
では、基本的にインク貯溜室内の空気等の膨脹収縮を補
償してこのインク貯溜室内の圧力を大気圧と略等しい圧
力に維持する機能しかなく、上記のようなインクの水頭
圧を補償することはできなかった。また、このフィーダ
は、蛇腹状の複雑な通路を有しているので、この内部で
インクが乾燥して詰まる等の不具合を生じやすく、特に
速乾性のインクを使用する場合にはこのような不具合が
顕著となる。
【0016】また、前記のスライド栓形の筆記具におい
ては、筆記の際にはインク貯溜室内のインクの水頭圧と
スライド栓の摺動抵抗に対応する圧力との差圧がペン体
に作用するが、やはりこのインクの水頭圧の変化に対応
してインクの圧力が変化する。したがって、このスライ
ド栓形のものは、上記のような微少差圧で開弁する弁機
構を付加しても、やはりこの水性ボールチップ等に作用
するインクの圧力をそのインクシール圧力の範囲内に正
確に制御することは困難である。
【0017】上述のように、インク貯溜形の筆記具にお
いては、インク貯溜室内の圧力を常時一定に維持すると
ともに、筆記の際の内部のインクの水頭圧等によるイン
ク圧力の変動等を排除し、ペン体に供給するインクの圧
力を常に外部の大気圧に等しく、かつ一定の圧力に制御
することが好ましいものであるが、従来のこのようなイ
ンク圧力の補償機構は、必ずしも満足できるものではな
かった。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明は以上の事情に
基づいてなされたもので、ペン体に作用するインクの圧
力を大気圧に近い正確な圧力に制御することができ、た
とえばペン体が水性または速乾性のインクのボールチッ
プのようにそのインクシール圧力の範囲の狭いものであ
っても安定した筆記を可能とし、かつ構造が簡単で作動
の信頼性の高い筆記具を提供するものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明
は、筆記具の本体と、この本体の先端部に設けられたペ
ン体と、上記の本体内に形成され上記のペン体に連通し
たインク貯溜室と、このインク貯溜室の軸方向と略平行
に配置され先端部が上記のインク貯溜室の先端部内のペ
ン体近傍の位置に連通するとともに尾端部が上記の本体
の尾端部側において外部に連通した均圧通路とを具備し
たものである。
【0020】したがって、インク貯溜室内はこの均圧通
路により常に外部と連通しているので、温度変化等によ
りこのインク貯溜室内の空気またはインクが膨脹、収縮
した場合には、この均圧通路内にインクが押し出された
り、またはこの均圧通路を介してインクや空気が吸入さ
れ、このインク貯溜室内の圧力を常に大気圧と等しい圧
力に維持する。そして、筆記の際にこの筆記具を立てた
場合に、インク貯溜室内のインクの水頭圧が発生する
が、このインク貯溜室の先端部内におけるペン体近傍の
位置に均圧通路が連通しているので、この均圧通路の連
通位置ではインクの圧力が大気圧と等しくなる。したが
って、このインクの上方にあるインク貯溜室内の空気
は、このインクの水頭圧に対応した圧力だけ負圧とな
り、この状態で釣り合い、安定する。
【0021】したがって、このインク貯溜室内のペン体
近傍の均圧通路の連通部が筆記時においても常に大気圧
であり、このペン体に作用する水頭圧は、この均圧通路
の連通部とペン体までの距離に相当するだけの水頭圧で
あり、このペン体にはわずかの水頭圧しか作用しない。
よって、水性または速乾性のインク用のボールチップの
ように、インクシール圧力の範囲の小さいペン体であっ
ても、インクのボタ落ち等が生じることがなく、安定し
た筆記が可能となる。また、この筆記具のインクの圧力
制御の機構は、基本的に可動部分や微細なオリフィス、
または毛細管力を利用した部分等が一切なく、作動が極
めて安定して信頼性が高く、また製造も容易である。
【0022】また、請求項2に記載の本発明は、前記の
均圧通路は、上記のインク貯溜室内に軸方向に挿入され
先端部がこのインク貯溜室の先端部内のペン体近傍に開
口し尾端部が外部に連通した管状の均圧管内に形成され
ているものである。したがって、構造が極めて簡単であ
るとともに、信頼性も高い。また、この均圧管の先端部
を延長してペン体に極めて近接させることが可能であ
り、よって筆記の際にこのペン体に作用するインクの水
頭圧を数mm程度にすることも可能となる。
【0023】また、請求項3に記載の本発明は、前記の
本体内には内部にインク貯溜室を形成したインク貯溜筒
が設けられ、この本体の内周面とインク貯溜筒の外周面
との間に形成された隙間が前記の均圧通路として形成さ
れ、この均圧通路は先端部のペン体の近傍の位置におい
て上記のインク貯溜筒内に連通するとともに尾端部が前
記の本体の尾端部側において外部に連通していることを
特徴とするものである。したがって、構造が簡単である
とともに、インク貯溜筒と筆記具本体との間に均圧通路
の隙間が形成され、筆記者の手の熱がインク貯溜筒内の
インクおよび空気に伝達することが防止され、筆記者の
手の熱によるインクや空気の膨脹が防止される等の効果
がある。
【0024】また、請求項4に記載の本発明は、前記の
均圧通路の断面形状および断面寸法は、この内部に侵入
したインクがその自由表面の表面張力によりこの均圧通
路内で液柱状に維持されこの内部でインクと空気との位
置が交換する気液交換作用を生じない断面形状および断
面寸法に設定されているものである。したがって、この
筆記具を任意の姿勢にしてもこの均圧通路を通ってイン
クが流出することはなく、インク流出防止の特別な構造
は不要であり、構造が簡単である。
【0025】また、請求項5に記載の本発明は、前記の
インク貯溜室は略筒状をなし、また前記の均圧通路の断
面積は上記のインク貯溜室の断面積の1/30ないし1
/4の範囲に設定されているものである。したがって、
通常の寸法の筆記具では、この均圧通路をこの範囲に設
定することにより、気液交換作用が生じることなく、ま
た通常の温度変化によりこのインク貯溜室内の空気が膨
脹した場合においてインクをこの均圧通路内に収容して
十分な補償作用をなすことができる。
【0026】また、請求項6に記載の本発明は、前記の
本体には、非筆記時において前記の均圧通路の尾端部と
外部、またはこの均圧通路の先端部とインク貯溜室、と
の連通を遮断してインクの乾燥を防止する乾燥防止機構
が設けられているものである。本発明の筆記具は、イン
クの蒸発面としては、均圧通路内のインクの液柱の自由
表面だけであり、またこの均圧通路内でのインクの溶媒
蒸気と空気との気体・気体間の交換作用がなく、インク
の乾燥が少ないものであるが、このような乾燥防止機構
を設けることにより、インクの乾燥をほぼ完全に防止す
ることができ、速乾性のインクを使用した場合でも、長
期間に亘りインクの乾燥を防止することができる。
【0027】また、請求項7に記載の本発明は、前記の
ペン体はボールチップであり、また前記の均圧通路の先
端部とこのボールチップの先端との間の距離は20mm
以下としたものである。したがって、このようなインク
シール圧力の範囲の狭いペン体であっても、筆記の際の
水頭圧によりインクが供給過剰となることがない。
【0028】また、請求項8に記載の本発明は、前記の
ペン体はフエルトチップであり、また前記の本体には非
筆記時に前記のインク貯溜室とフエルトチップとの間の
インクの連通を遮断するインク遮断機構が設けられてい
るものである。本発明の筆記具は筆記時においてこのフ
エルトチップに作用するインクの圧力が大気圧と略等し
く、このフエルトチップに含まれるインクの量が過剰と
なることがないが、非筆記時においてインク室内の空気
の膨脹、収縮の補償作用時に生じる微小差圧によりこの
フエルトチップに含まれるインクの量が過剰または過少
となることがあるが、この非筆記時にはフエルトチップ
へのインクの供給が遮断されているので、上記のような
不具合を防止することができる。
【0029】また、請求項9に記載の本発明は、前記の
均圧通路の尾端部には屈曲状または迷路状の通路を有す
るインクの飛沫の飛散防止機構が設けられているもので
ある。したがって、この筆記具に強い衝撃が作用し、均
圧通路内のインクが飛沫状となって飛散した場合でも、
このインクの飛沫がリザーバや外部まで飛散することが
なく、周囲を汚損することがない。また、この屈曲状ま
たは迷路状の通路はインクの溶媒の蒸散を防止する効果
がある。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、図を参照して本発明の実施
形態を説明する。図1ないし図7には本発明の第1の実
施形態の筆記具を示し、この筆記具は、アルコール系等
の溶媒を用いた速乾性のインクを使用し、ペン体として
ボールチップを用いた使い捨て形の筆記具である。
【0031】この筆記具は略円筒状の本体1を有し、こ
の本体1の先端部には、上記のボールチップ2が設けら
れ、またこの本体1の尾端部には尾栓3が取り付けられ
ている。なお、これら本体1や尾栓3等は合成樹脂材料
を射出成型して形成されたものである。なお、この図で
はこの筆記具のキヤップは省略されているが、任意の形
状のキヤップを採用できる。
【0032】そして、この本体1内には、略円筒状のイ
ンク貯溜室4が形成され、このインク貯溜室4内には上
記のインク5が充填されている。このインク貯溜室4の
先端部はテーパ状に形成され、上記のボールチップ2に
直接連通されている。また、この本体1の尾端部側は仕
切部材6によって区画され、この仕切部材6の尾端部側
には後述する乾燥防止機構20が設けられている。
【0033】そして、上記のインク貯溜室4内の中心部
には、このインク貯溜室4の軸方向に沿って均圧管7が
設けられ、この均圧管7内が均圧通路8に形成されてい
る。この均圧管7の尾端部は、上記の仕切部材6にこれ
を貫通して取り付けられており、上記の乾燥防止機構2
0および尾栓3に形成された孔を介して外部に連通され
ている。また、この均圧管7の先端部は、上記のインク
貯溜室4内の先端部のボールチップ2の近傍の位置まで
延長され、この位置においてインク貯溜室4内に連通し
ている。
【0034】なお、この実施形態では、この均圧管7の
先端部すなわち均圧通路8の先端部とボールチップ2と
の間の距離は、10mm程度に設定され、この距離はこ
のボールチップ2のインクシール圧力に相当する水頭圧
の深さより短く設定されている。また、この実施形態で
は、上記のインク貯溜室4の内径は約8mm、上記の均
圧管7の内径すなわち均圧通路8の径は約2mmに設定
され、この均圧通路8の断面積はインク貯溜室4の断面
積の約1/16である。
【0035】また、上記の仕切部材6の尾端部側には、
円筒状のリザーバ部9が形成され、このリザーバ部9の
尾端部側は仕切壁部材11によって区画され、この内部
がリザーバ10に形成されている。このリザーバ10
は、上記の均圧管7内の均圧通路8から万一インクが流
出した場合に、この流出したインクを保持して外部に流
出するのを防止するものである。また、上記の仕切壁部
材11には、その中心部から先端側に向けて流出防止管
部12が突設され、この流出防止管部12内を介してこ
のリザーバ10が外部と連通している。したがって、こ
のリザーバ10内に流出したインクが溜まった場合にお
いて、この筆記具を水平または倒立させた場合でも、こ
の流出防止管12の先端部がインク中に水没しない限り
は、このインクは外部に流出しない。
【0036】次に、前述した乾燥防止機構20の構成を
説明する。この乾燥防止機構20は、空気またはインク
の溶媒の蒸気の流通を遮断してインクの乾燥をほぼ完全
に防止するものであるが、基本的には上記の均圧通路8
と外部との連通は確保しており、この均圧通路8内は常
に大気圧と等しい圧に維持されるものである。上記の仕
切壁部材11と尾栓3との間の空間はオイル室22とし
て形成され、このオイル室22の略軸方向の中央部には
区画部材21が設けられ、このオイル室22を2室に区
画している。そして、この区画部材21の外周面には、
軸方向に連続した複数の微小断面のスリット24が形成
され、このオイル室22の先端側と尾端側とはこれらス
リット24を介して連通している。
【0037】また、このオイル室22内には、所定量の
非揮発性のオイル、たとえば所定の粘性を有するシリコ
ーンオイル23が充填されている。なお、上記の尾栓3
および仕切壁部材11の尾端部側には、前述と同様の流
出防止管部25,26が突設され、これらを介して外部
との連通がなされているとともに、この筆記具が任意の
姿勢となっても、このシリコーンオイル23がこのオイ
ル室22から流出しないように構成されている。そし
て、このシリコーンオイル23は、常時は表面張力によ
り上記の区画部材21のスリット24内に保持されてこ
れを閉塞しており、速乾性のインクの溶媒の蒸気が外部
に拡散するのを防止している。
【0038】次に、図3ないし図5を参照してこの第1
の実施形態の筆記具のインクの圧力の補償作用を説明す
る。図3には、この筆記具が非筆記状態で水平の姿勢と
なった場合を示す。この場合に、インク5の量が多い場
合には、この図3のように上記の均圧管7の先端部がイ
ンク中に浸漬される。しかし、この均圧管7内の均圧通
路8は比較的径が小さいので、この内部にインクが表面
張力により液柱5aとなって保持され、この均圧通路8
内でインクと空気の位置が交換するいわゆる気液交換作
用は生じない。
【0039】したがって、この状態において、たとえば
温度上昇等によりインク貯溜室4内の空気が膨脹した場
合に、上記の均圧通路8内にその膨脹分だけインクが押
し出され、このインク貯溜室4内は大気圧と略等しい圧
力に維持される。また、インク貯溜室4内の空気が収縮
した場合には、この均圧通路8内に押し出されていたイ
ンクの液柱5aがインク貯溜室4内に押し戻され、この
インク貯溜室4内の圧力は大気圧と等しい圧力に維持さ
れる。なお、上記の場合に、この均圧通路8内のインク
は気液交換作用はなされず、液柱5aの状態のままこの
均圧通路8内を軸方向に移動するだけで、このインクが
均圧通路8から流出することはない。
【0040】また、図4にはこの筆記具が非筆記状態に
おいて倒立されている場合を示す。この場合において
も、前述と同様に、インク貯溜室4内の空気の膨脹、収
縮に対応して均圧通路8内のインクの液柱5aが移動し
てこれら膨脹、収縮を補償し、このインク貯溜室4内を
大気圧と等しい圧力に維持する。
【0041】また、図5にはこの筆記具が立てられてい
る場合を示す。この場合においても、前述と同様に、イ
ンク貯溜室4内の空気の膨脹、収縮に対応して均圧通路
8内のインクの液柱5aが上下に移動してこれら膨脹、
収縮を補償し、このインク貯溜室4内を大気圧と等しい
圧力に維持する。
【0042】なお、上記の場合に、インク貯溜室4内の
空気が大幅に収縮して均圧通路8内の液柱5aがこの均
圧通路8の先端まで移動した後は、この均圧通路8から
外部の空気がインク貯溜室内4内に侵入して収縮の補償
をなす。また、インク貯溜室4内の空気が大幅に膨脹し
て均圧通路8内のインクの液柱5aがこの均圧通路8の
尾端に達した後は、このインクは前記のリザーバ10内
に流出するが、このリザーバ10内には前述の流出防止
管12が突設されているので、このインクは外部に流出
することなく、このリザーバ10内に保持される。
【0043】また、この筆記具を床に落下した場合等に
は、衝撃によって均圧通路8内のインクが飛沫となって
この均圧通路8の尾端部から飛散することもあるが、こ
のような場合でも、この飛散したインクはこのリザーバ
10内に収容され、外部に流出することはない。
【0044】上記のように、この均圧通路8は、非筆記
時にはインク貯溜室4内の空気またはインクの膨脹、収
縮の補償をなす一種のフィーダとして作用するものであ
る。この場合に、この均圧通路8とインク貯溜室4との
断面積の関係、およびこの均圧通路8の径を適宜設定し
ておくことにより、上記のようにインクがリザーバ10
内に押し出されたり、またはこの均圧通路8を介して外
部の空気がインク貯溜室4内に侵入することはまれにし
か生じないように設定可能である。
【0045】すなわち、温度がT1°CからT2°Cま
で変化した場合の空気の膨脹または収縮率は、(T2−
T1)/(273+T1)である。したがって、通常の
気温の範囲内では、温度1°Cの変化に対して空気の膨
脹または収縮率は約0.3%程度である。よって、たと
えば温度変化の範囲を±30°Cと仮定すると、このイ
ンク貯溜室4内の空気の膨脹または収縮は約9%であ
る。そして、この実施形態では、上記のインク貯溜室4
は断面積が軸方向に略一定の筒状をなしているので、こ
のインク貯溜室4内の空気は軸方向に約9%膨脹または
収縮することになる。
【0046】そして、このインク貯溜室4内の全体がほ
ぼ空気で満たされている場合、すなわちインクが空に近
い状態であると仮定すると、上記の均圧通路8の長さは
このインク貯溜室4の長さと略等しいので、この均圧通
路8の断面積をこのインク貯溜室の断面積の9%に設定
しておけば、たとえばインク貯溜室4内の空気が9%軸
方向に膨脹した場合には、この均圧通路8内のインクの
液柱5aは、(9/100)×(100/9)=1とな
り、このインクの液柱4aが均圧通路8の尾端部一杯ま
で移動するが、リザーバ22には流出はしない。また、
上記のインク貯溜室4内の空気が収縮した場合には、こ
の均圧通路8からインク貯溜室4内に空気が流入し、空
気の収縮を補償することができる。
【0047】なお、このような筆記具の使用または保管
の状態において、温度変化が±30°Cを超えることは
殆どなく、また一般的にはインク貯溜室4内にはインク
がある程度満たされており、空気の容積は上記の仮定よ
り少ない。よって、一般的には、この均圧通路8の断面
積は、インク貯溜室4の断面積の1/10程度に設定し
ておけば、この均圧通路8からインクがリザーバ10に
流出する可能性は確実に排除できる。
【0048】また、この均圧通路8内に上記のようにイ
ンクが液柱5aとなって保持されるためには、この均圧
通路8の径を小さくすればよい。このための均圧通路8
の径は、インクの粘性等の性質によっても異なるが、直
径が6mm程度以下であれば、通常のインクを液柱状に
して保持できる。しかし、上述のようにこの筆記具を床
等に落下して衝撃が作用した場合にこの均圧通路8内の
液柱5aが飛沫となって飛散する可能性を減少させるに
は、この均圧通路8の内径は3mm程度以下が好まし
い。
【0049】なお、上述の説明はこの均圧通路8が非筆
記時にフィーダとして作用する場合について説明した
が、筆記時にはこの均圧通路8内は殆ど空の状態で、そ
の先端部に短い長さのインクの液柱5aが存在するだけ
の状態である。すなわち、このような筆記具は、筆記時
の温度すなわち室温の状態でインクが充填され、この製
造時では均圧通路8内にはわずかの長さのインクの液柱
5aが存在しているだけの状態である。そして、上述し
たような温度の変化は、周期的なものであり、温度が上
昇または低下した後は必ず元の室温の状態に戻る。ま
た、このような筆記具のインクは、製造時に十分に脱気
され、充填した後にインク貯溜室4内でガスを放出した
りすることはなく、また筆記に伴ってインクの容積は減
少する一方である。よって、通常の場合には、筆記時に
はこの均圧通路8内はほとんど空の状態で、その先端部
に短いインクの液柱5aが存在しているだけの状態であ
る。
【0050】また、上記の均圧通路8は、インク5の乾
燥防止、特に速乾性のインクの場合の乾燥防止の効果が
ある。すなわち、まずこの均圧通路8の断面積は小さ
く、この内部のインクの液柱5aの自由表面の面積もま
た小さいため、この表面からのインクの溶媒の蒸発量は
少ない。さらに、この均圧通路8は細径でかつ軸方向に
長く、かつこの内部での気体の流れの速度も極めて緩慢
であり、この均圧通路8内での気体の流れのレイノルズ
数は極めて小さい値であり、この通路内での気体の挙動
は完全な層流領域である。
【0051】よって、この通路内では、上述のような気
液交換作用が生じないだけでなく、気体の交換作用も生
じない。したがって、この均圧通路8の先端側のインク
の液柱5aの自由表面から蒸発した溶媒と、尾端部側の
空気との位置が入れ替るような気体・気体間の交換作用
はほとんど発生しない。よって、この均圧通路8内で
は、溶媒蒸気がその分子運動により尾端部側へ拡散し、
先端部側の液柱5aの自由表面近傍では溶媒蒸気はその
温度での飽和蒸気圧であるが、尾端部に行くに従って連
続的に溶媒蒸気の蒸気圧が低下するような連続的な蒸気
圧の分布となる。したがって、この均圧通路8の尾端部
の開口部分での溶媒蒸気の蒸気圧は低くなり、この尾端
部開口から散逸する溶媒蒸気の量も少なくなる。
【0052】上記の点から、この均圧通路8の断面積を
小さく、かつ長くすれば、その内部のインクの液柱5a
の自由表面も小さくなり、また上記の拡散による散逸も
少なくなる。しかしながら、この均圧通路8の断面積を
小さくすると、インク貯溜室4内の空気が膨脹した場合
に、この均圧通路8内のインクの液柱5aの自由表面が
尾端部の開口部分の近傍に達してしまい、上記の拡散に
よる蒸発が多くなる。この拡散による溶媒蒸気の散逸を
効果的に防止するには、この均圧通路8内のインクの液
柱5aの自由表面と、この均圧通路8の尾端部側の開口
との間に少なくとも25mm程度の長さの拡散防止長さ
が必要である。
【0053】したがって、予想される温度変化の範囲内
で温度が上昇し、インクの液柱5aが均圧通路8内を尾
端部側に移動した場合に、この液柱5aの自由表面とこ
の均圧通路8の尾端部との間に、上記の25mm以上の
拡散防止長さが残されるように、この均圧通路8の断面
積や内容積、および長さを設定すればよい。
【0054】なお、上述した温度変化の範囲の±30°
Cは、寒冷な戸外から温暖な室内に筆記具が持ち込まれ
た場合や、炎天下に駐車した自動車のダッシュボードに
筆記具を放置した場合等の極端な場合に対応したもの
で、このような例外的な温度変化が生じた場合には、均
圧通路8からリザーバ10へのインクの流出を許容する
とすれば、この温度変化の範囲は±10°C程度に想定
すれば十分である。
【0055】以上のような条件を考慮すると、この均圧
通路8は、その内径が6mm以下、好ましくは3mm以
下で、またインク貯溜室4の内容積の3%以上の内容積
と、この内容積分を差し引いた残りの部分に25mm以
上の拡散防止長さを加えた長さを有するものが好まし
い。
【0056】また、一般的な筆記具の場合には、上記の
ような均圧通路8の断面積を、インク貯溜室4の断面積
の1/30ないし1/4の範囲内に設定しておけば、こ
の均圧通路8が温度変化等に対して十分な補償作用をな
し、またこの均圧通路8内でのインクの溶媒蒸気の拡散
を実用上で十分な程度に低く抑えることができる。
【0057】また、この実施形態では、この均圧通路8
の尾端部側にリザーバ10が形成され、このリザーバ1
0と乾燥防止機構20との間に細径で長い流出防止管1
2,26が設けられているので、これらの流出防止管の
内部でも上記のような気体・気体交換作用を防止する作
用があり、この内部では拡散による溶媒蒸気の散逸しか
発生しないので、さらなる蒸発防止効果がある。
【0058】次に、筆記時におけるこの筆記具の作用を
説明する。筆記の際には、図1および図5に示すよう
に、この筆記具をボールチップ2を下に向けて立てた状
態で筆記する。この状態の場合には、インク5はインク
貯溜室4内の下方に溜まり、空気はこのインク貯溜室4
の上部に移動する。そして、この状態においては、通常
はボールチップ2にはH1+H2に相当する水頭圧が作
用する。しかしながら、上記の均圧管7すなわち均圧通
路8の先端部がこのH1の深さまで達しており、かつこ
の均圧通路8の尾端部は外部に連通している。なお、通
常は筆記時においてはこの均圧通路8内には極めて短い
インクの液柱5aのみが存在していることは前述の通り
である。したがって、この均圧通路8の先端部すなわち
インク5のH1の深さの部分は、大気圧と等しい圧力に
なる。
【0059】このため、このインク貯溜室4内のインク
5の液面は少し下がり、このインク貯溜室4の上部の空
気が膨脹してインク5のH1に相当する水頭圧分だけ低
圧となり、この状態で均衡し、安定する。この場合に、
このインク5の液面の低下に相当する分だけ、インクが
均圧通路8内に侵入し、この均圧通路8内のインクの液
柱5aの深さはH3となる。
【0060】この場合に、たとえば上記のH1を50m
mとし、またインク貯溜室4内の空気の部分の軸方向の
長さを50mmとすると、このインク貯溜室4内の空気
はこの50mm分の水頭圧に対応するだけ低圧となり、
膨脹するが、その膨脹量は、1気圧を約水頭圧1000
0mmと仮定すると、軸方向に約50×50/1000
0=0.25mmであり、よってこのインク5の液面の
低下量もこれと等しい0.25mmである。
【0061】一方、この実施形態では、この均圧通路8
の断面積は、インク貯溜室4の断面積の1/16である
から、インク貯溜室4内のインク5の液面低下によりこ
の均圧通路8内のインクの液柱5aの上昇は0.25×
16=4mmである。したがって、実際には、この均圧
通路8の先端部、すなわちH1の深さの位置の圧力は、
大気圧に対して上記のH3の4mmの水頭圧分だけ高く
なるが、これは極めて微小な圧であり、実際には無視で
きる。
【0062】したがって、このボールチップ2に作用す
る水頭圧はH2+4mmである。そして、この実施形態
では、このH2は前述のように10mm程度に設定され
ているので、このボールチップ2にはこの14mmに相
当する水頭圧しか作用しないので、このボールチップ2
のインクシール圧力がたとえば20mm程度と低い場合
でも、インクが押し出されるようなことはない。
【0063】なお、この実施形態のものは、均圧管7の
先端部をボールチップ2に極めて近接させることがで
き、原理的に図5のH2の長さには制限がない。たとえ
ばこの均圧管7の先端部を細径とし、またボールチップ
2のボールホルダの内径を大きくしてこの均圧管7の先
端部をこのボールホルダ内に挿入すれば、この均圧管7
の先端すなわち均圧通路8の先端をボールチップ2のボ
ールにたとえば1mmまで近接させることもできる。
【0064】このように、このボールチップ2に作用す
る圧力が微小であるとともに、常に略H2に相当する略
一定の圧力であるので、安定した筆記ができる。なお、
筆記によってインクが消費されると、インク貯溜室4内
および均圧通路8内のインクの液面が低下するが、1回
の筆記で使用されるインクの量は極めてわずかであり、
筆記中におけるインク液面の変化も無視できる。
【0065】また、筆記者の手の熱等により、筆記中に
インク貯溜室4内の空気が膨脹する場合もある。しか
し、このような場合の温度上昇は数°C程度であり、た
とえば温度が3°C上昇したとしても、この空気の膨脹
は0.3%×3=0.9%であり、空気の部分の軸方向
の長さを50mmとしても、軸方向に 50×0.9/
100 =0.45mmしか膨脹せず、よってインク貯
溜室4内のインクの液面の低下は0.45mmで、均圧
通路8内の液柱5aの高さH3の上昇は0.45×16
=7.2mm程度であり、筆記には殆ど影響がない。
なお、このような筆記中の温度上昇による影響を少なく
するには、他の条件を満足する範囲で均圧通路8の断面
積を大きく設定すればよい。
【0066】上述のように、この実施形態の筆記具の非
筆記時における圧力補償作用、および筆記時における圧
力調整作用は、各部の圧力の均衡のみによって安定して
制御されるものである。よって可動部分や微細なオリフ
イス等、寸法精度に影響される部分もなく、毛細管力等
の変動する要素も利用しないので、高い信頼性が得ら
れ、また構造が簡単で製造も容易である。
【0067】次に、前述の乾燥防止機構20の作動を図
6および図7を参照して説明する。図6には、この筆記
具が水平な姿勢の場合を示す。通常の場合には、前記の
オイル室22内に収容されているシリコーンオイル23
は、上記の区画部材21のスリット24内に毛細管力に
より保持されてこれらのスリット24を閉塞している。
よって、このような場合には、このオイル室22はこの
区画部材21およびオイル23により完全に遮断されて
おり、内部のインクの溶媒蒸気が散逸することが完全に
防止され、インクの乾燥が防止される。
【0068】そして、温度変化等によりインク貯溜室4
内の空気等が膨脹または収縮した場合には、この区画部
材21の両側に差圧が発生する。したがって、この差圧
により、このオイル23がこれらスリット24を通って
この区画部材21の一方側から他方側に移動し、これに
より圧力変化を補償して前記の均圧通路8およびインク
貯溜室4内を大気圧と等しい圧力に維持する。
【0069】また、インク貯溜室4内の空気の膨脹また
は収縮量が大きい場合には、オイル23がこの区画部材
21の一方側から他方側に全部移動した後に、このスリ
ット24内のオイルが排除され、空気または溶媒蒸気が
図7に示すように気泡となって区画部材21の一方側か
ら他方側に移動し、圧力の補償作用をなす。なお、この
場合には、溶媒蒸気の多少の散逸はあるが、このような
状態はまれにしか生じることがなく、かつ散逸する溶媒
蒸気の量も少ない。よって、このような乾燥防止機構2
0によって、速乾性のインクであっても、その乾燥をほ
ぼ完全に防止することができる。
【0070】なお、上記のオイル23は粘性を有するの
でその流動抵抗があるが、上記のような温度変化による
インク貯溜室4内の空気の膨脹、収縮は極めて緩慢であ
り、よってこのオイル23の流動速度も極めて小さいの
で、その流動抵抗は小さく、このような乾燥防止機構2
0によって生じる内外の差圧は無視できる程小さくな
る。
【0071】前述のように、上記の均圧通路8やリザー
バ10の流出防止管12,26等にはインクの溶媒蒸気
の蒸散防止の効果があり、これに上記のような乾燥防止
機構20を付加することにより、インクの溶媒蒸気の蒸
散をほぼ完全に防止でき、極めて蒸発速度の早い速乾性
インクの場合でも、長期間にわたってその乾燥を防止す
ることができる。
【0072】なお、本発明は上記の第1の実施形態には
限定されない。たとえば、図8ないし図11には本発明
の第2の実施形態の筆記具を示す。このものは、この筆
記具の本体1内にインク貯溜筒30が設けられ、この内
部はインク5が貯溜されるインク貯溜室4に形成されて
いる。そして、このインク貯溜筒30の先端部にはノズ
ル部32が形成され、このノズル部32の先端開口はペ
ン体、この実施形態の場合にはフエルトチップ2aの近
傍に開口している。そして、この本体1の内周面と、上
記のインク貯溜筒30およびノズル部32の外周面との
間には環状の隙間31,35が形成され、これらの環状
の隙間31,35が均圧通路として形成されている。
【0073】そして、この均圧通路31,35の先端部
は、上記のようにインク貯溜筒30のノズル部32の先
端開口に連通し、またこの均圧通路31,35の尾端部
は前述と同様なリザーバ10および乾燥防止機構20を
介して外部に連通している。なお、この実施形態の場合
には、上記の均圧通路35の幅は比較的大きく、また均
圧通路31の幅は比較的小さく、この均圧通路31内に
は前述の第1の実施形態と同様にインクが液柱5aとな
って保持されるように構成されている。なお、このよう
な環状の均圧通路31内にインクが液柱状となって保持
されるためには、インクの特性にもよるが、この幅を略
2mm以下とすることが好ましい。
【0074】なお、上記のインク貯溜筒30の外周部に
は、これを本体1の内周に保持するための環状の突部が
形成されているが、これらの突部にはそれぞれスリット
33,34が形成され、これらのスリットによって均圧
通路31,35が互いに、また外部に連通されている。
なお、この第2の実施形態のものは、上記の点以外は前
述の第1の実施形態のものと同様の構成であり、図8な
いし図11中、前記第1の実施形態と同様な部分には同
じ符号を付してその説明は省略する。
【0075】この第2の実施形態のものは、前記の第1
の実施形態と同様に作動する。すなわち、図9は非筆記
状態においてこの筆記具が略水平の姿勢の場合である。
この場合には、このインク貯溜筒30およびノズル部3
2内にインク5の液面が形成され、その上部には空気が
存在し、この空気の部分は均圧通路35,31を介して
外部に連通し、温度変化等による内部の空気の膨脹収縮
を補償して内部を大気圧に維持する。
【0076】また図10には非筆記時においてこの筆記
具が倒立した姿勢の場合を示す。この場合には、インク
の一部は均圧通路35内の尾端部側に溜まる。また、図
11には、この筆記具をフエルトチップ2aを下向きに
立てた姿勢の場合を示し、この場合には、インクの一部
が均圧通路35の先端部側に溜まる。なお、上述したい
ずれの場合でも、インクの一部は前記のスリット33ま
たは均圧通路31内に液柱状となって存在し、このイン
クにより内外がシールされ、またこの液柱の自由表面は
小面積でインク溶媒の蒸発が少なく、また環状の狭い隙
間である均圧通路31等がインクの溶媒蒸気と空気の交
換作用を阻止するので、インク溶媒の蒸散を防止する作
用があることは、前述の第1の実施形態の場合と同様で
ある。
【0077】そして、この第2の実施形態の筆記具で筆
記する場合には、図8および図11に示すようにフエル
トチップ2aを下向きに立てた状態となる。この場合に
は、上記のインク貯溜室30内のインクの水頭圧H1に
よりこの内部の空気が膨脹してこのインク貯溜筒30内
のインクの液面がすこし下がり、その分に対応した分だ
け均圧通路35内のインクの液柱5aの高さH3が上昇
する。そして、このインク貯溜筒30のノズル部32の
先端部、すなわち均圧通路35の先端部は大気圧と略等
しいので、このフエルトチップ2aにはH2、厳密には
H2+H3の水頭圧のみが作用し、このフエルトチップ
2aには大気圧に近い一定の圧が作用し、安定した筆記
が可能となることは、前述した第1の実施形態の場合と
同様である。
【0078】なお、この第2の実施形態のものは、本体
1とインク貯溜室であるインク貯溜筒30との間に環状
の隙間すなわち均圧通路31が形成されており、この均
圧通路31が断熱作用をなす。したがって、外部からの
熱、たとえば筆記者の手の熱がインク貯溜筒30に伝わ
りにくく、筆記中におけるこのインク貯溜筒30内の空
気の膨脹を少なくすることができる等の利点がある。ま
た、このものは、上述したように、インク貯溜筒30の
先端部にノズル部32を形成し、均圧通路31と35の
幅すなわち断面積を相違させることができる。よって、
この均圧通路31の断面積および幅はインクを液柱状に
保持可能な寸法に設定し、また均圧通路35の断面積を
これより大きくし、図11の筆記状態においてインク貯
溜筒30内のインク5の液面低下にともなうこの均圧通
路35内のインクの液柱5aのH3の上昇、および筆記
中におけるインク貯溜筒30内の空気の膨脹によるH3
の上昇を低く押さえることができる利点もある。
【0079】また、上記の乾燥防止機構は、上記の他に
各種のものが採用できる。たとえば、図12には、第3
の実施形態における乾燥防止機構20aを示す。このも
のは、区画部材21を単純な円板状としてその周囲に複
数のスリット24を設け、またこの乾燥防止機構のオイ
ル室22の一室を前記のリザーバとして兼用させたもの
である。
【0080】この実施形態のものは、その作用は前述の
実施形態のものと同様であるが、構造が簡単で製造も容
易である。なお、シリコーンオイル23は、インクとは
互いに溶解しないので、これらがこのオイル室22内ま
たは均圧通路8内で混合しても筆記には支障はない。
【0081】また、図13には第4の実施形態における
乾燥防止機構20bを示す。このものは、前記の区画部
材として、たとえば連続気泡の発泡体や繊維集束体等の
多孔質の材料からなる多孔区画部材40を設けたもので
ある。このものは、シリコーンオイル23がこの多孔区
画部材40の隙間内に毛細管力で保持され、シール作用
をなし、インク溶媒の蒸気の蒸散を防止する。また、内
部の空気の膨脹収縮により差圧が生じた場合には、この
多孔区画部材40を通してシリコーンオイル23がオイ
ル室22の一方側から他方側に流動して差圧の補償をな
す。またこの流動するシリコーオイル23の量以上の膨
脹収縮が生じた場合には、この多孔区画部材40内の隙
間のオイルが排除されて空気が流通し、このようにして
膨脹収縮を補償し、インク貯溜室内の圧力を大気圧と等
しい圧力に維持する。
【0082】また、図14および図15には、第5の実
施形態における乾燥防止機構20cを示す。このもの
は、筆記具の本体1の尾端部に、均圧通路8に連通する
重錘室41を形成し、この重錘室41を区画してゴム材
料等の弾性材料からなる弁座部材42を設けたものであ
る。そして、この弁座部材42の中央部には、弁孔43
が形成されている、また、この重錘室41内には、略円
筒状の重錘45が径方向および軸方向に移動自在に収容
されている。そして、この重錘45の尾端部側には円錐
状の弁体部46と、その先端から突出した軸部44が形
成され、この軸部44は上記の弁孔43内に遊動自在に
挿通されている。また、この重錘室41の先端部側に
は、円錐形のテーパ面47が形成され、上記の重錘45
の先端部はこのテーパ面47に当接するように構成され
ている。なお、このテーパ面47には通気を確保する放
射状のスリット47aが形成されている。
【0083】この実施形態の乾燥防止機構20cは、非
筆記時において筆記具が図14に示すように水平の姿勢
の場合には、上記の重錘45の先端部が上記のテーパ面
47に沿って径方向に滑り落ち、この重錘45は尾端部
側に移動する。したがって、これにより、この重錘45
の尾端部側の弁体部46が上記の弁孔43内に押圧さ
れ、この弁孔43を閉塞している。よって非筆記時に
は、この筆記具の均圧通路8と外部との連通が遮断され
ており、インク溶媒の蒸発が防止される。なお、非筆記
時においてこの筆記具が倒立した姿勢の場合は、重錘4
5がその重量により尾端部側に移動して上記と同様に弁
孔43を閉塞する。
【0084】そして、筆記の際には、この筆記具は図1
5に示すように、ペン体を下向きにして立てた姿勢とな
る。この場合には、重錘45の先端部はテーパ面47を
その中心に向けて滑り落ち、前進する。これにより、こ
の重錘45の弁体部46は弁孔43から離れ、この弁孔
43が開弁し、均圧通路8と外部とが連通される。な
お、この筆記具は、非使用時には均圧通路8と外部とが
遮断されているものであるが、この非使用時でもこの筆
記具が移動された場合には重錘45が移動して瞬間的に
弁孔43が開弁する。よって、実際には、これらの作用
により、非筆記時においても膨脹収縮の補償作用がなさ
れる。また、筆記に先立って、この筆記具を移動および
立てた場合にも、上記のように重錘45が移動して弁孔
43が開弁し、筆記に先立ってこの筆記具の内部が大気
圧と等しい圧力になる。
【0085】また、図16および図17には、第6の実
施形態における乾燥防止機構20dを示す。このもの
は、上記の第5の実施形態と同様に、本体1の尾端部側
に均圧通路8と連通する重錘室51が形成され、この内
部に重錘52が径方向および軸方向に移動自在に収容さ
れている。この重錘52の略中央部には、先端部側がテ
ーパ面に形成されたスカート状の弁体部53が突設され
ている。また、この重錘室51を構成する仕切壁部材1
1の後端面は、円錐状のテーパ面に形成されている。な
お、このテーパ面54の一部にはスリット55が形成さ
れ、上記の弁体部53が当接した場合の通路を構成して
いる。また、この筆記具の尾栓3の先端面は上記の弁体
部53の尾端部側面に当接する弁座面として形成されて
いる。
【0086】この実施形態のものは、図16に示すよう
に非筆記時にこの筆記具が水平の姿勢となった場合に、
上記の重錘52の弁体部53のテーパ面が仕切壁部材1
1のテーパ面54に沿って径方向に滑り落ちて尾端部側
に軸方向に移動し、この弁体部53が尾栓3の先端面の
弁座面に密着し、均圧通路8と外部との連通を遮断す
る。なお、この筆記具が倒立状態の場合には、この重錘
52がその重量により尾端部側に移動し、同様に尾栓3
の先端の弁座面に密着して均圧通路8と外部とを遮断す
る。そして、筆記時にこの筆記具を図17のようにペン
体を下向きにして立てた姿勢にすると、重錘52の弁体
部53がテーパ面54の中央部に向かって滑り落ちて先
端側に軸方向に移動し、この弁体部53が尾栓3の先端
の弁座面から離れ、均圧通路8が外部と連通する。
【0087】また、図18ないし図20には、第7の実
施形態における乾燥防止機構20eを示す。このもの
は、キヤップ60の着脱操作に対応してインク貯溜室4
と均圧管8とを遮断、連通させ、乾燥を防止するもので
ある。
【0088】このものは、筆記具の本体1の先端部に、
摺動自在にペン体のホルダ部材61を設け、このホルダ
部材61の先端部にペン体たとえばボールチップ2が取
り付けられている。なお、このホルダ部材61の尾端部
側には、シールスカート部62が設けられ、このシール
スカート部62は本体1の内周面に摺動自在に密着し、
液密を維持している。また、ホルダ部材61の内面の先
端部側には、円錐形の弁座面63が形成されている。そ
して、このホルダ部材61が図19に示すように後退し
た場合には、均圧管7の先端面がこの弁座面63に密着
し、インク貯溜室4内とこの均圧管7の先端すなわち均
圧通路8の先端との連通を遮断し、この均圧通路8を介
しての外部とインク貯溜室4との連通を遮断し、インク
溶媒の蒸散を防止する。
【0089】また、このホルダ部材61の先端部の外周
面には、環状の凹溝64が形成され、またキヤップ60
の内周面には、この凹溝64に弾性的に嵌合する環状の
凸条65が形成されている。なお、このキヤップ60の
先端部内面には環状のシール部66が形成され、上記の
ボールチップ2の先端部に嵌合して乾燥防止をなすよう
に構成されている。また、このキヤップ60には通気孔
67が形成され、このキヤップ60を嵌合する際に、内
部の空気が圧縮され、ボールチップ2を介して筆記具内
に圧入されるのを防止している。
【0090】上記のような乾燥防止機構20eは、図1
9に示すように非筆記時にキヤップ60を嵌合すると、
このキヤップ60の凸条65がホルダ部材61の凹溝6
4に弾性的に嵌合し、このキヤップ60がさらに尾端部
側に嵌合されるとこのホルダ部材60が後退し、その内
面の弁座面63に均圧管7の先端部が密着し、インク貯
溜室4とこの均圧管7内、すなわち均圧通路8との連通
を遮断する。したがって、この非筆記状態では、インク
貯溜室4内のインクが完全に密封されて、その溶媒の蒸
散が防止される。
【0091】また、図20に示すように、筆記の際にこ
のキヤップ60を外すと、上記のホルダ部材61がこの
キヤップ60とともに前進し、均圧管7の先端部がこの
ホルダ部材61の弁座面63から離れ、均圧通路8とイ
ンク貯溜室4内とが連通し、前述したような圧力調整作
用および水頭圧の調整作用をなし、安定した筆記が可能
となる。なお、この場合には、このホルダ部材61が本
体1に対して少し偏心し、このホルダ部材61の先端部
外周に形成された肩部66が本体1の先端縁に係合し、
筆記の際の筆圧によりこのホルダ部材61が後退するの
を防止する。
【0092】なお、この筆記具における乾燥防止機構
は、上述したような各種の機構の他に、同様の目的を達
成するその他の構造のものが採用できる。
【0093】また、前述したように、ペン体がたとえば
フエルトチップである場合には、そのインクシール圧力
は高いものの、インク貯溜室内の圧力の変化により、こ
のフエルトチップ内に含まれるインクの量が増加、また
は減少し、筆跡が不所望に濃くなったり薄くなったりす
る場合がある。したがって、非筆記時に温度変化が生
じ、インク貯溜室内の空気が膨脹した場合に、上記のよ
うな均圧通路による圧力の補償作用はあるものの、その
際の微小な圧力変動により、このフエルトチップ内に含
まれるインクの量が過大となっていわゆるインクリッチ
の状態となり、筆跡が不所望に濃くなる等の不具合を生
じやすい。そして、図21および図22に示す第8の実
施形態の筆記具においては、このような不具合を防止す
るためのインク遮断機構70aが設けられている。
【0094】この機構は、上記のインク貯溜室4の先端
部内面に、これを区画する区画部材71が設けられ、こ
の区画部材71とフエルトチップ2aとの間に遮断室7
3が形成されている。また、この区画部材71の中央部
には断面積の小さなオリフイス孔72が形成され、この
オリフイス孔72を介してインク貯溜室4と遮断室73
とが連通している。そして、この遮断室73内には空気
が充填されている。
【0095】この第8の実施形態のインク遮断機構は、
非筆記時にたとえばこの筆記具が水平の姿勢に置かれて
いる場合には、この遮断室73内に侵入している少量の
インク5bはこの遮断室73の下方の周壁部に溜まり、
上記のフエルトチップ2aの尾端部側はこのインク5b
には接触しておらず、空気が接触している。したがっ
て、この遮断室73内において、インク貯溜室4内のイ
ンクは、フエルトチップ2aには液体状態で連通はして
おらず、一旦空気で遮断されている。そして、インク貯
溜室4内の空気の膨脹収縮等の圧力補償作用の際に微小
な差圧が発生した場合でも、上記の区画部材71のオリ
フイス孔72内には毛細管力でインクが保持されている
ため、このような微小な差圧によってはこの遮断室73
内にインクが押し出されたり、またこの遮断室73から
空気やインクがインク貯溜室4内に引き込まれたりする
ことがない。よって、この遮断室73内によってこのよ
うな差圧が遮断され、このような差圧によってフエルト
チップ2a内に含まれるインクの量が不所望に過多また
は過少になることが防止され、このフエルトチップ2a
内に含まれるインクの量は一定に維持される。
【0096】また、図22に示すように、筆記の際にこ
の筆記具がフエルトチップ2aを下に向けて立てられる
と、遮断室73内の少量のインク5bはフエルトチップ
2aの尾端部側に接触し、筆記により消費されるインク
をこのフエルトチップ2aに供給する。また、この遮断
室73内のインク5bが消費されると、この遮断室73
内が低圧となり、この差圧により上記のオリフイス孔7
2を介してインクがこの遮断室73内に補給され、この
遮断室73内のインク5bの量は一定に維持され、安定
したインクの供給が可能となる。
【0097】また、図23および図24には、第9の実
施形態におけるインク遮断機構70bを示す。このもの
は、本体1の先端部内に合成ゴム等の可撓性材料からな
る円板状のダイヤフラム部材81が設けられ、このダイ
ヤフラム部材81によりインク貯溜室4とフエルトチッ
プ2aとの連通が遮断されている。そして、このダイヤ
フラム部材81の中心部には、これを貫通して弁孔82
が形成されている。また、この本体1の先端部内には、
ホルダ部材83が軸方向に摺動自在に保持されており、
その先端部にフエルトチップ2aが保持されている。そ
して、このホルダ部材83の尾端部側には、弁軸部85
が突設され、この弁軸部85は上記のダイヤフラム部材
81の弁孔82内に弾性的に密嵌されている。そして、
上記のフエルトチップ2aにはインク通路84が連通
し、このインク通路84は上記の弁軸部85の周面に開
口した開口部86に連通している。
【0098】この実施形態のインク遮断機構70bは、
非筆記時には図23に示すように、上記の弁軸部85の
外周面にダイヤフラム部材81の弁孔82が弾性的に密
着しており、開口部86が閉塞され、インク貯溜室4と
フエルトチップ2aとの連通が遮断されている。したが
って、この状態では、圧力補償作用の際にインク貯溜室
内に微小な差圧が生じても、この差圧はフエルトチップ
2aには作用せず、このフエルトチップ2a内に含まれ
るインクの量が不所望に多くなったり少なくなったりす
ることがない。
【0099】そして、筆記時には、図24に示すように
このフエルトチップ2aが筆記面Wに押圧されると、そ
の筆圧によってホルダ部材83が軸方向に後退し、ダイ
ヤフラム部材81が尾端部側に変形する。これによっ
て、このダイヤフラム部材81の弁孔82が変形して拡
大し、弁軸部85の周面との間に隙間が形成され、開口
部86が開放される。よって、この開口部86を介し
て、インク貯溜室4とフエルトチップ4aとが連通し、
インクの供給がなされる。
【0100】なお、上述の各実施形態では、使い捨て形
の筆記具について説明したが、本発明の筆記具はこれに
は限定されない。たとえば、図25に示す第10の実施
形態のものは、筆記具本体に対して交換可能なインク貯
溜室とペン体とのアセンブリ、あるいは筆記具本体に対
してノック機構等により突没自在なインク貯溜室とペン
体とのアセンブリであるいわゆるレフィール形の筆記具
である。
【0101】このレフィール90は、前述した第1の実
施形態と略同様な構成のもので、本体1、ボールチップ
2、均圧管7、およびリザーバ10を有している。な
お、この図25中、第1の実施形態と対応する部分には
同じ符号を付してその説明は省略する。また、このレフ
ィール形の筆記具では、小形に形成する必要から、前述
のような乾燥防止機構は省略されているが、速乾性のイ
ンクを使用するに十分な乾燥防止機能を有している。
【0102】すなわち、このようなレフィール形の筆記
具は、筆記具の本体内に収容可能とするために、一般に
径が小さく形成されている。したがって、インク貯溜室
4の断面積も小さく、よってこれに対応して均圧管7内
の均圧通路8の断面積も小さい。したがって、この均圧
通路8は、断面積に対してその長さが長い。よって、前
述したように、この均圧通路8内でのインクの溶媒蒸散
の防止作用が大きく、十分な乾燥防止機能を発揮する。
また、前述したように、上記のリザーバ10内に突出し
た尾栓3の流出防止管25でも、やはりインクの溶媒の
蒸散防止の効果があり、これらの効果のみで、速乾性の
インクが使用可能である。
【0103】また、図26ないし図28には、本発明の
第11の実施形態を示す。このものは、上記の均圧通路
内のインクの液柱が衝撃等によって飛沫となって飛散す
るのを防止するとともに、インクの溶媒の蒸散防止の効
果があり、前述のような各種の溶媒の蒸発防止機構を省
略可能なものである。
【0104】この第11の実施形態のものは、基本的な
構造は前述の第10の実施形態と同様なもので、本体1
の尾端部側に仕切部材6によって区画されたリザーバ1
0を備えており、均圧管7内の均圧通路8はこのリザー
バ10内に連通している。そして、この均圧管7の尾端
部側すなわちリザーバ10に連通している端部には、飛
散防止機構が設けられている。
【0105】図中の101は、この飛散防止機構の飛散
防止部材であり、この飛散防止部材101は頭部102
と首部103とを備えている。そして、この首部103
は、上記の均圧管7の尾端部内に密嵌されている。ま
た、上記の頭部102の外径は、上記のリザーバ10の
内径よりやや小径に形成され、この頭部102の外周面
とリザーバ10の内周面との間には、環状の隙間が形成
されている。
【0106】また、この頭部102の先端側面すなわち
仕切部材6に対向する面には、たとえば放射状の連通溝
104が形成されている。また、上記の首部103の周
面にも軸方向に沿って連通溝105が形成され、これら
の連通溝104,105は互いに連通している。なお、
この実施形態の場合には、上記の首部103の連通溝1
05は、この首部103の周部を平坦状に切除した形状
をなし、この首部103が均圧管7内に嵌合された場合
に、この均圧管7の内周面との間に断面弓形の隙間すな
わち通路が形成される。
【0107】また、上記の頭部102の仕切部材6に対
向する面には、複数の突起106が突設され、これらの
突起106が仕切部材6に当接し、この仕切部材6と頭
部102との間に隙間107が形成されるように構成さ
れている。
【0108】上記の第11の実施形態は、均圧管7内の
均圧通路8が、上記の飛散防止部材102の連通溝10
4,105を介してリザーバ10に連通しているので、
前述と同様に、この筆記具のインク貯溜室4内の空気等
の膨脹、収縮を補償してこのインク貯溜室4内を常時大
気圧に維持するとともに、筆記の際にこの筆記具を立て
た場合に、インクの水頭圧を解消する作用をなす。
【0109】そして、上記の連通溝104は、径方向に
沿って形成され、これら連通溝104,105で形成さ
れる連通路は途中で屈曲ないしは迷路状となっている。
したがって、万一この筆記具が高所から床上に落下した
場合のように強い衝撃が作用し、均圧通路8内のインク
の液柱5aが衝撃によって飛沫状に飛散した場合でも、
このインクの飛沫はリザーバ10内まで飛散することは
ない。よって、この飛沫がこのリザーバ10から流出防
止管25を介して外部まで飛散することは確実に防止さ
れる。
【0110】また、このものは、均圧通路8の尾端部側
が上記の狭小な通路である連通溝104,105でリザ
ーバ10と連通されているので、この連通溝104,1
05内では空気とインクの溶媒蒸気との気体間の交換作
用がなく、かつ狭小な通路であるから拡散も少なく、溶
媒蒸気の蒸散が十分に防止される。なお、この実施形態
では、上記のリザーバ10の軸方向の長さが比較的長く
形成されており、尾栓3に形成された流出防止管25の
長さが比較的長く形成されている。したがって、この長
い流出防止管25内でも十分な溶媒蒸気の蒸散防止の効
果がある。よって、この実施形態のものは、前述したよ
うなインクの蒸発防止機構を設けなくても、速乾性イン
クの蒸発を十分に防止することができる。
【0111】また、この実施形態のものは、前述のよう
にインク貯溜室4内の空気が過度に膨脹してインクがこ
のリザーバ10内に流出した場合でも、インク貯溜室4
内の空気が再び収縮した場合に、このリザーバ10内に
流出したインクを効率的にインク貯溜室4内に戻すこと
ができる。
【0112】すなわち、上記の飛散防止部材101の頭
部102と仕切部材6との間に隙間107が形成されて
おり、流出したインクは毛細管力によりこの隙間107
内、および上記の連通溝104,105内に保持され
る。よって、この筆記具が水平またはペン体を下向きに
した姿勢でインク貯溜室4内の空気が膨脹し再び収縮し
た場合には、このリザーバ10内のインクは全て上記の
隙間107および連通溝104,105内を介して均圧
通路8内に吸引され、残すことなくインク貯溜室4内に
戻される。なお、この筆記具がペン体側を上向き倒立し
た状態で空気が膨脹、収縮した場合には、均圧管7の先
端部はインクの液面上に突出しているので、もともとこ
のインクが均圧通路8を介してリザーバ10内に流出す
ることはないので、このリザーバ10内にインクが残る
ことはない。
【0113】また、この第11の実施形態の場合に、上
記の飛散防止部材101に形成する通路は上述のような
ものに限らず、インクの飛沫の飛散を防止するような屈
曲または迷路状の通路であればどのような形状でもよ
い。
【0114】なお、本発明は上記の各実施形態にも限定
されない。上記の実施形態は、一般的な文字筆記用の筆
記具について説明したが、本発明の筆記具は、その他に
ホワイトボードマーカ、ペイントマーカ、あるいはその
他の用途の筆記具にも適用可能であり、またペン体、イ
ンクの種類にも制限されるものではない。
【0115】また、水性インク等、乾燥の遅いインクを
使用した場合には、前述したような乾燥防止機構は設け
る必要がないことはもちろんである。
【0116】
【発明の効果】上述の如く本発明によれば、筆記時にお
いては均圧通路によりインク貯溜室の先端部内が大気圧
と略等しい圧力に調整され、ペン体に作用する水頭圧を
任意に低く、かつ一定に維持することができ、安定した
インクの供給および筆記が可能である。また、この均圧
通路は非筆記時には、インク貯溜室内の空気の膨脹収縮
を補償してこのインク貯溜室内を大気圧に略等しい圧力
に維持する。さらに、本発明の筆記具は、微妙な弁機構
等の可動部分がなく、また微細なオリフイス等の毛細管
力を利用する部分もなく、かつ各部の圧力のバランスの
みで作用するものであるから、その作動の信頼性が極め
て高く、かつインクの圧力を安定して制御できる。ま
た、この筆記具は、構造が簡単であり、製造が容易でコ
ストも低減できる等、その効果は大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態の筆記具の縦断面図。
【図2】図1の2−2線に沿う断面図。
【図3】第1の実施形態の水平の姿勢の状態の縦断面
図。
【図4】第1の実施形態の倒立の姿勢の状態の縦断面
図。
【図5】第1の実施形態の立てた姿勢の状態の縦断面
図。
【図6】第1の実施形態の乾燥防止機構の縦断面図。
【図7】第1の実施形態の乾燥防止機構の縦断面図。
【図8】第2の実施形態の筆記具の縦断面図。
【図9】第2の実施形態の水平の姿勢の状態の縦断面
図。
【図10】第2の実施形態の倒立の姿勢の状態の縦断面
図。
【図11】第2の実施形態の立てた姿勢の状態の縦断面
図。
【図12】第3の実施形態の乾燥防止機構の縦断面図。
【図13】第4の実施形態の乾燥防止機構の縦断面図。
【図14】第5の実施形態の乾燥防止機構の縦断面図。
【図15】第5の実施形態の乾燥防止機構の縦断面図。
【図16】第6の実施形態の乾燥防止機構の縦断面図。
【図17】第6の実施形態の乾燥防止機構の縦断面図。
【図18】第7の実施形態の筆記具の縦断面図。
【図19】第7の実施形態の乾燥防止機構のキヤップ装
着状態の縦断面図。
【図20】第7の実施形態の乾燥防止機構のキヤップ取
外状態の縦断面図。
【図21】第8の実施形態のインク遮断機構の縦断面
図。
【図22】第8の実施形態のインク遮断機構の縦断面
図。
【図23】第9の実施形態のインク遮断機構の縦断面
図。
【図24】第9の実施形態のインク遮断機構の縦断面
図。
【図25】第10の実施形態の筆記具の縦断面図。
【図26】第11の実施形態の筆記具の縦断面図。
【図27】第11の実施形態の筆記具の一部を拡大した
縦断面図。
【図28】第11の実施形態の筆記具の一部の分解斜視
図。
【符号の説明】
1 本体 2 ボールチップ 2a フエルトチップ 3 尾栓 4 インク貯溜室 7 均圧管 8 均圧通路 10 リザーバ 20,20a,20b,20c,20d,20e 乾燥
防止機構 30 インク貯溜筒 31,35 均圧通路

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 筆記具の本体と、この本体の先端部に設
    けられたペン体と、上記の本体内に形成され上記のペン
    体に連通したインク貯溜室と、このインク貯溜室の軸方
    向と略平行に配置され先端部が上記のインク貯溜室の先
    端部内のペン体近傍の位置に連通するとともに尾端部が
    上記の本体の尾端部側において外部に連通した均圧通路
    とを具備したことを特徴とする筆記具。
  2. 【請求項2】 前記の均圧通路は、上記のインク貯溜室
    内に軸方向に挿入され先端部がこのインク貯溜室の先端
    部内のペン体近傍に開口し尾端部が外部に連通した管状
    の均圧管内に形成されていることを特徴とする請求項1
    の筆記具。
  3. 【請求項3】 前記の本体内には内部にインク貯溜室を
    形成したインク貯溜筒が設けられ、この本体の内周面と
    インク貯溜筒の外周面との間に形成された隙間が前記の
    均圧通路として形成され、この均圧通路は先端部のペン
    体の近傍の位置において上記のインク貯溜筒内に連通す
    るとともに尾端部が前記の本体の尾端部側において外部
    に連通していることを特徴とする請求項1の筆記具。
  4. 【請求項4】 前記の均圧通路の断面形状および断面寸
    法は、この内部に侵入したインクがその自由表面の表面
    張力によりこの均圧通路内で液柱状に維持されこの内部
    でインクと空気との位置が交換する気液交換作用を生じ
    ない断面形状および断面寸法に設定されていることを特
    徴とする請求項1の筆記具。
  5. 【請求項5】 前記のインク貯溜室は略筒状をなし、ま
    た前記の均圧通路の断面積は上記のインク貯溜室の断面
    積の1/30ないし1/4の範囲に設定されていること
    を特徴とする請求項1の筆記具。
  6. 【請求項6】 前記の本体には、非筆記時において前記
    の均圧通路の尾端部と外部、またはこの均圧通路の先端
    部とインク貯溜室、との連通を遮断してインクの乾燥を
    防止する乾燥防止機構が設けられていることを特徴とす
    る請求項1の筆記具。
  7. 【請求項7】 前記のペン体はボールチップであり、ま
    た前記の均圧通路の先端部とこのボールチップの先端と
    の間の距離は20mm以下であることを特徴とする請求
    項1の筆記具。
  8. 【請求項8】 前記のペン体はフエルトチップであり、
    また前記の本体には非筆記時に前記のインク貯溜室とフ
    エルトチップとの間のインクの連通を遮断するインク遮
    断機構が設けられていることを特徴とする請求項1の筆
    記具。
  9. 【請求項9】 前記の均圧通路の尾端部には、屈曲状ま
    たは迷路状の通路を有するインクの飛沫の飛散防止機構
    が設けられていることを特徴とする請求項1の筆記具。
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