JP2000158456A - 連続式温度調節装置 - Google Patents

連続式温度調節装置

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JP2000158456A
JP2000158456A JP10338688A JP33868898A JP2000158456A JP 2000158456 A JP2000158456 A JP 2000158456A JP 10338688 A JP10338688 A JP 10338688A JP 33868898 A JP33868898 A JP 33868898A JP 2000158456 A JP2000158456 A JP 2000158456A
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cooling
temperature
belt
box
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Yuichi Uchida
祐一 内田
Hiroyuki Yoshitake
裕幸 吉武
Sadao Ebata
貞夫 江端
Kunio Nagataki
邦雄 長滝
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JFE Steel Corp
Kawatetsu Machinery Co Ltd
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KEEPURA SHEET KK
Kawasaki Steel Corp
Kawatetsu Machinery Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 被温度調節材と接触するベルト面の反対側の
ベルト面に、温度調節用の媒体を供給、接触せしめる連
続式温度調節装置において、被温度調節材を迅速に冷却
または昇温または温度調節することが可能であると共
に、ベルト周辺に上記媒体が漏洩することを防止するこ
とが可能な連続式温度調節装置の提供。 【解決手段】 被温度調節材を挟持、移動するための2
枚のベルト1a,1b と、ベルト1a,1b の内少なくとも1枚
のベルトのベルト背面S1a に相対して配設され、かつ、
いずれもがベルト背面S1a に相対する開口部O1,O2 を有
する外箱2および内箱3から成る二重式箱体10と、内箱
3の内部に温度調節用の媒体を供給する媒体供給配管4a
と、内箱3の壁部に設けられ外箱2に対して開口した壁
部開口Kと、該壁部開口Kから内箱3と外箱2との間に
流出する媒体を吸引、排出する媒体排出配管5aを有する
連続式温度調節装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2枚のベルトに挟
持され連続的に移動する物質の温度を調節する連続式温
度調節装置に関する。また、本発明は、特に、被温度調
節材と接触するベルト面の反対側のベルト面(:ベルト
背面)に、低温流体、冷媒、高温流体または熱媒などの
冷却用または加熱昇温用または温度調節用の媒体を供給
し、該媒体を直接接触せしめる連続式温度調節装置にお
いて、ベルト周辺に上記媒体が漏洩することを防止する
ことが可能な連続式温度調節装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車用内装品などの素材とし
て、抄造法を利用して得られる繊維強化熱可塑性樹脂シ
ートが用いられている。上記した繊維強化熱可塑性樹脂
シートの製造法は、下記工程から構成される。すなわ
ち、微小気泡を含む界面活性剤含有水溶液中に、長さ5
〜50mmのガラス繊維などの強化用繊維と熱可塑性樹脂を
分散させ、この分散液を多孔性支持体上で抄くことによ
りシート状のウエブを調製し、このウエブを熱可塑性樹
脂の融点以上かつ分解温度未満の温度に加熱した後、圧
力を加えて、その後冷却することにより固化した緻密な
シート(:繊維強化熱可塑性樹脂シート)を製造する。
【0003】上記したウエブの加熱、加圧、冷却に適用
可能な方式として、2枚のベルトで素材を挟持した状態
で加熱、加圧、冷却する所謂ダブルベルトプレス方式が
開示されている(特公昭63−15135 号公報)。しかし、
上記した方法においては、冷却帯域においてロールを用
いてベルトを冷却する間接熱交換方式で行うため、冷却
速度が遅く、上記した繊維強化熱可塑性樹脂シートの製
造に適用する場合、ウエブ内やシート内の繊維の積層状
態に起因する膨れを防止するために、冷却帯域を長く設
定する必要がある。
【0004】一方、繊維強化熱可塑性樹脂シートのダブ
ルベルトプレス方式による製造法において水冷方式の冷
却ガイドシューを用いる方法が開示されている(特開平
5−245866号公報)。しかし、上記した方法も、銅板を
介してベルトを冷却する水冷方式であるため、冷却速度
が遅く、冷却帯域を長く設定する必要がある。
【0005】本発明者らは、抄造法で製造したウエブか
ら繊維強化熱可塑性樹脂シートを製造するときの冷却法
として、ベルトに直接散水し、冷却する冷却方式につい
て検討を行った。図9に、上記したベルトの直接冷却方
式による繊維強化熱可塑性樹脂シートの冷却装置を示
す。
【0006】図9において、1a、1bはベルト、6a、6bは
冷却装置入口側のロール(以下トップロールと記す)、
7a、7bは冷却装置出口側のロール(以下エンドロールと
記す)、9はウエブガイド、20i は冷却水散水ノズル、
21は吸引ファン、22はフード、23はスカート、80はウエ
ブ、f1はウエブの移動方向、f2はベルトの移動方向を示
す。
【0007】図9に示す冷却装置は、トップロール6a、
6bとエンドロール7a、7bそれぞれの間に例えば厚み0.8m
m のステンレスベルトであるベルト1a、1bを掛け渡し、
これらを上下に対として配設し、フード22内に複数個の
冷却水散水ノズル20i を設け、ベルト1a、1b面に散水さ
れた冷却水を吸引ファン21で吸引、排出する方式であ
る。
【0008】本装置においては、ベルト1a、1b面に軽く
接触するように配設された潤滑性および耐摩耗性の良好
な樹脂製のスカート23で冷却部を囲い、かつ吸引ファン
21でフード22内を負圧に保つことによって、冷却水が周
囲に漏洩することが無いように配慮されている。すなわ
ち、図9に示す冷却装置においては、予め樹脂の溶融温
度以上に加熱されたウエブ80は、約100 ℃に加熱された
上下のトップロール6a、6b間で、ステンレス製のベルト
1a、1bを介して狭圧され、所要厚みに圧縮成形された
後、上下のベルト1a、1bで挟まれた状態のまま冷却さ
れ、製品(:繊維強化熱可塑性樹脂シート)となる。
【0009】上記した冷却装置によれば、冷却装置の機
長を短縮化し、かつ被溶融圧縮材であるウエブ80を急速
に冷却することが可能であり、またベルトによる短時間
の狭圧および急速冷却によって、エンドロール7a、7bに
おける製品のベルトからの剥離性が良く、表面性状に優
れた繊維強化熱可塑性樹脂シートが得られる。一方、ス
テンレスベルトに直接散水し、冷却するためには、散水
した冷却水の漏洩を完全に防止するための構造、装置が
必要となる。
【0010】しかしながら、従来、被冷却材を迅速に冷
却すると共に、効果的に冷却水の漏洩を防止することが
可能な冷却装置を得ることが困難であった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記した従
来技術の問題点を解決し、被温度調節材と接触するベル
ト面の反対側のベルト面(:ベルト背面)に、低温流
体、冷媒、高温流体または熱媒などの冷却用または加熱
昇温用または温度調節用の媒体を供給、接触せしめる連
続式温度調節装置において、被温度調節材を迅速に冷却
または昇温または温度調節することが可能であると共
に、ベルト周辺に上記媒体が漏洩することを防止するこ
とが可能な連続式温度調節装置を提供することを目的と
する。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、被温度調節材
を挟持、移動するための2枚のベルト1a,1b と、該ベル
ト1a,1b の内少なくとも1枚のベルトのベルト背面S1a
に相対して配設され、かつ、いずれもが前記ベルト背面
S1a に相対する開口部O1,O2 を有する外箱2および内箱
3から成る二重式箱体10と、前記内箱3の内部に温度調
節用の媒体を供給する媒体供給配管4aと、前記内箱3の
壁部に設けられ前記外箱2に対して開口した壁部開口K
と、該壁部開口Kから前記内箱3と外箱2との間に流出
する媒体を吸引、排出する媒体排出配管5aを有すること
を特徴とする連続式温度調節装置である。
【0013】前記した本発明の連続式温度調節装置は、
被温度調節材の冷却もしくは昇温もしくは温度調節のた
めの連続式温度調節装置として用いられる。また、前記
した本発明は、抄造法による繊維強化熱可塑性樹脂ウエ
ブを加熱した後の樹脂シートの連続式冷却装置として好
適に用いられる(本発明の第1の好適態様)。
【0014】また、前記した本発明、本発明の第1の好
適態様においては、前記した温度調節用の媒体が水であ
ることが好ましい(本発明の第2の好適態様、第3の好
適態様)。前記媒体供給配管4aには媒体昇圧装置4bが接
続され、前記媒体排出配管5aには媒体吸引装置5bが接続
されていることが好ましい。
【0015】上記媒体昇圧装置4bとしては好ましくはポ
ンプを用いることができ、また媒体吸引装置5bとしては
好ましくは真空ポンプなどのポンプもしくは吸引ファン
を用いることができる。また、媒体供給配管4aと媒体排
出配管5aがポンプやファンのような媒体供給排出装置に
接続されて、媒体が循環するように構成することも好ま
しい。
【0016】媒体を循環せしめる場合、媒体の温度を調
節するために配管には媒体冷却用もしくは媒体昇温用も
しくは媒体温度調節用の熱交換器が設置されているのが
好ましい。さらに、前記した2枚のベルト1a,1b は、そ
れぞれが、トップロール(6a,6b)とエンドロール(7a,
7b )との間に掛け渡しされた無端ベルトであることが
好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳細に説明
する。本発明者らは、前記した課題を解決するために以
下の実験を行い、得られた実験結果に基づき本発明に至
った。 〔冷却水漏洩防止実験I:〕ベルト上にノズルなどによ
って冷却水を供給した後、ベルト上に滞留する冷却水
を、周囲に漏洩させることなく確実に回収できるか否か
調べるために、図3に示す冷却箱を用いて実験を行っ
た。
【0018】なお、図3において、30は冷却箱、31はス
カート、32は冷却水給水口、33は鋼板、34は気泡、35は
吸引ファン、36は水を吸引するための吸引口、37は滞留
水、d1は冷却箱30のスカート31と鋼板33との間の隙間K1
の間隔、f3は冷却水の給水方向、Vは弁を示す。図3に
示す冷却箱30は、内寸法が幅:300mm ×奥行:300mm ×
高さ:200mm の下面開放の横断面形状が四角の箱であ
り、下面周囲部には幅:50mmのスカート31が設けられて
いる。
【0019】また、冷却箱30の側面上方部には冷却水を
供給するための給水口32が設けられ、給水口32に相対す
る側面上方部には水を吸引するための吸引口36が設けら
れている。本実験では、上記した冷却箱30を、ベルトの
代替として用いた鋼板33上に伏せた状態で配置し、供給
口32から冷却水を供給する一方、吸引口36から吸引ファ
ン35で吸引し、冷却箱30の内部を負圧に保った。
【0020】また、実験は、冷却箱30の下面のスカート
31を鋼板33に直接接触するように載置した場合と、間隔
d1:1mmの隙間K1を設けた場合の2通りの条件で行っ
た。この結果、下記(1) 〜(5) の実験結果が得られた。 (1)1mmの隙間K1の有無に係わらず、いずれの場合も、
冷却箱30内の滞留水37の水頭以上の吸引力を与えれば、
スカート31と鋼板33との間からの水の漏洩は皆無にでき
る。
【0021】(2)冷却箱30をほぼ満水にした状態でも水
の漏洩を防ぐことができる。 (3)冷却箱30内の滞留水37の水頭を超えた吸引力で吸引
すると、スカート31と鋼板33との間の隙間K1から大気が
吸い込まれ、これが冷却箱30内の滞留水37の中で気泡34
となって上昇する。 (4)冷却箱30内の滞留水37の水頭に相当する吸引力で吸
引すると、スカート31と鋼板33との間の隙間K1から大気
が吸い込まれることも無く、また水が外部に漏洩するこ
とも無い。
【0022】この場合、吸引量は供給された冷却水の量
に相当する吸引量のみとなり、理論的には空気の吸引量
は零となる。 (5)冷却箱30内の滞留水37の水頭以上の吸引力で吸引す
ると、冷却箱30のスカート31に鋼板33が吸着し、冷却箱
30と鋼板33を相対的に摺動、移動させることが困難とな
る。
【0023】以上の実験結果から、上記した冷却箱と吸
引ファンを用いることによって、鋼板表面の冷却水を漏
洩させることなく回収できることが分かった。しかし、
冷却水漏洩防止の確実性を図るためには、実用上、冷却
箱の内部に滞留する冷却水の水頭以上の吸引力が必要と
なる。すなわち、図3に示す装置の場合、上記した吸引
力が冷却面の全面積に渡って作用し、その結果、被冷却
材を強く吸着し、ステンレスベルトなどベルトの走行抵
抗を増加させ、実用上問題があることが分かった。 〔冷却水漏洩防止実験II:〕以上述べた吸引力によるベ
ルトの吸着の問題を軽減し、冷却箱と吸引ファンを用い
た冷却装置の実用化を目的とし、図4に示す実験装置を
用いて実験を行った。
【0024】なお、図4(a) は実験装置の縦断面図、図
4(b) はB−B部矢視図、図4(C)は内箱の斜視図を示
す。また、図4において、40は整流室、41は外箱、42は
内箱、43は内箱への冷却水供給管、d2は整流室40の上部
内壁面と鋼板33との間の間隔、d3は隙間K2の間隔、f4
冷却水の流れ方向、K2は内箱42の側壁部に設けた切欠き
部である鋼板との間の隙間を示し、その他の符号は図3
と同一の内容を示す。
【0025】なお、切欠き部である隙間K2は、内箱42内
の冷却水の外箱41内への流出口である。図4に示す実験
装置は、前記した図3に示す冷却箱を外箱41とし、外箱
41の内部に内箱42である整流室40を設け、冷却水供給管
43によって冷却水を内箱42の中央部から内箱42内に供給
する構造となっている。
【0026】内箱(:整流室)42の奥行方向(図4(a)
における紙面垂直方向)の両端下縁部はスカート下面と
同一の平面上にあり、鋼板33の面に軽く接触する位置関
係となっている。また、内箱(:整流室)42の左右幅方
向(図4(a) における紙面左右方向)の両端側壁部に
は、図4(b) に示すように、切欠き部であるd3=2mmの
隙間K2が設けられている。
【0027】すなわち、図4に示す実験装置において
は、内箱(:整流室)42の中央部から供給口32を経由し
て供給された冷却水は、鋼板33表面に対して並行流とな
って内箱(:整流室)42の左右幅方向の両端側壁部に設
けた隙間K2から内箱42と外箱41の間に流出する。流出し
た冷却水は、吸引ファン35によって、吸引口36から吸
引、排出される。
【0028】上記した実験装置を用いて実験を行った結
果、下記(1) 〜(3) の実験結果が得られた。 (1)内箱(:整流室)42に供給される冷却水の圧力(動
圧)によって、鋼板33に働く力を押力にすることができ
る。 (2)鋼板に働く吸着力の作用面積を、内箱42とスカート3
1との間、すなわち内箱42の周辺部だけの狭い面積範囲
とすることができ、鋼板に働く吸着力を大幅に減少でき
る。
【0029】(3)冷却水の漏洩を、前記した冷却水漏洩
防止実験Iと同様に皆無にできる。 以上述べた実験結果から、図4の方式の冷却装置は、冷
却水の漏洩を防止し、さらには吸着力によるベルトの走
行抵抗の増加の程度を極小とすることができ、実用性が
高いことが分かった。 〔冷却速度の調査:〕次に、前記した二重箱式冷却箱と
吸引ファンを用いた冷却装置による冷却効果を把握する
ために、図5に示す実験装置を用いて実験を行った。
【0030】なお、本実験においては、被温度調節材を
挟持、移動する2枚のベルトの上下に前記した図4の装
置を一対として配設する場合を想定し、図5に示すよう
に、図4の装置を逆さに配置して実験を行った。また、
図4の装置を逆さにした場合も、冷却水の動圧および内
箱の配設による吸着力作用面積の縮小によって、鋼板に
働く吸着力を減少すると共に、吸引ファンによる冷却水
の漏洩防止が可能であるため、本実験においては、冷却
速度の調査を主体にして行った。
【0031】図5において、50はステンレス鋼板、51は
熱電対、52は温度記録計、O3は内箱42上部の開口部を示
し、その他の符号は図3、図4と同一の内容を示す。本
実験においては、内箱(:整流室)42上部の開口部O3
予め加熱した厚さ:0.8mm のステンレス鋼板50を載せ、
冷却水を供給することによって冷却速度を測定した。
【0032】温度の測定は、ステンレス鋼板50の上
面(:反通水面)に、熱電対51の先端を直接溶接取り付
けて行った。図6に、得られた冷却曲線を示す。なお、
実験条件は下記の条件とした。 〔実験条件:〕 ステンレス鋼板50の冷却開始前の温度;195 ℃ 冷却水温度;33℃ 冷却水供給量;20l/min 図6に示すように、ステンレス鋼板の反通水面側の温度
を195 ℃から50℃まで冷却するために要する時間は2.9s
ecと短時間でよく、本冷却方式の冷却能が優れているこ
とが分かった。
【0033】次に、上記実験で用いた熱電対を取り付け
たステンレス鋼板の上面に目付量が1000g/m2のウエブを
載せ、通風式加熱炉内で全体を加熱した後、試料を取り
出し、冷却実験を行った。なお本実験においては、図7
(a) に示すようにウエブ80の上面を厚み12mmのゴムシー
ト90で押し付けながら下記実験条件下で冷却し、ステン
レス鋼板50の上面(:反通水面)の温度の経時変化を調
査した。
【0034】なお、図7(a) において91は冷却水の噴出
方向、Sはステンレス鋼板50の通水面側を示す。 〔実験条件:〕 ステンレス鋼板50の冷却開始前の温度;195 ℃ 冷却水温度;33℃ 冷却水供給量;10l/min 図7(b) に、得られた冷却曲線を示す。
【0035】図7(b) に示すように、加熱したウエブを
鋼板表面に押し付けた条件下においても、ステンレス鋼
板の反通水面側の温度を195 ℃から50℃まで冷却するた
めに要する時間は5sec と短時間でよく、本冷却方式に
よって所要の冷却能力を得ることが可能であることが分
かった。本発明者らは、前記した各種実験結果に基づ
き、図1に例示する本発明の連続式温度調節装置を開発
した。
【0036】なお、図1は本発明の連続式温度調節装置
の一例を示す縦断面図(a) 、A−A矢視図(b) 、内箱の
平面図(c) 、内箱の側面図(d) を示す。また、図1にお
いて、1a、1bはステンレス鋼製のベルト、2は外箱、3
は内箱、4は温度調節用の媒体を供給する媒体供給装
置、4aは媒体供給配管、4bは媒体昇圧装置、5は温度調
節用の媒体を吸引、排出する媒体排出装置、5aは媒体排
出配管、5bは媒体吸引装置、6a、6bは連続式温度調節装
置入口側のロール(:トップロール)、7a、7bは連続式
温度調節装置出口側のロール(:エンドロール)、8は
被温度調節材、9は被温度調節材ガイド、10は二重式箱
体、11はスカート、15は液状の媒体、f1は被温度調節材
の移動方向、f2はベルトの移動方向、Kは内箱3の壁部
開口、O1はベルト背面S1a に相対して開口した外箱の開
口部、O2はベルト背面S1a に相対して開口した内箱の開
口部、lは内箱3の開口部O2の周縁、S1a は被温度調節
材8と接触するベルト面と反対側のベルト面であるベル
ト背面を示す。
【0037】図1に示す連続式温度調節設備において
は、2枚のベルト1a,1b によって、被温度調節材8を挟
持、移動する。また、二重式箱体10が、ベルト1aのベル
ト背面S1a に相対して配設される。二重式箱体10の外箱
2は上記ベルト背面S1a に相対して開口した開口部O1
有し、外箱2の内側に配設された内箱3も上記ベルト背
面S1a に相対して開口した開口部O2を有している。
【0038】一方、温度調節用の媒体を供給する媒体供
給装置4によって、内箱3の内部に温度調節用の媒体が
供給される。内箱3の内部に供給された媒体は、内箱3
開口部O2の周縁lの側壁に形成した、該側壁とベルト背
面S1a との間の隙間である壁部開口Kから前記内箱3と
外箱2との間に流出し、媒体排出装置5によって吸引、
排出される。
【0039】なお、本発明における内箱3の壁部に設け
られ外箱2に対して開口した壁部開口Kとしては、内箱
3の内部に供給された媒体を内箱3と外箱2との間に流
出せしめることが可能な開口であれば、その形態は特に
制限されるものではなく、例えば下記形態の壁部開口が
例示される。 内箱3の開口部O2の周縁lの側壁に形成した壁部開口 上記した壁部開口としては、図1に示すように、切欠き
部の切欠き周縁が、直接、ベルト背面S1a に相対して開
放された壁部開口(:内箱3の側壁とベルト背面S1a
の間に形成した隙間)が例示される。
【0040】内箱3の開口部O2の周縁lの壁部に形成
した穴状の開口 内箱3の壁部に形成した穴状の開口 なお、本発明においては、被温度調節材に対する温度調
節能力の面から、外箱2と内箱3との間における媒体の
滞留を防止し、被温度調節材の媒体との接触面全体に沿
って媒体流が接触するように上記した壁部開口Kを設け
ることが好ましい。
【0041】このため、内箱に設ける壁部開口Kとして
は、前記したの壁部開口のように、内箱3の開口部O2
の周縁lもしくは周縁lに近い位置に開口を設けること
が好ましい。また、二重式箱体としては、図8に示すよ
うな、内箱3が外箱2に直接取り付けられた形状でもよ
い。
【0042】なお、図8(a) は側面図、図8(b) はC−
C矢視図、図8(c) は平面図を示し、図中の符号は図1
と同様の内容を示す。図1に例示した本発明の連続式温
度調節装置によれば、前記した各種実験結果に示される
作用、効果によって、被温度調節材の迅速な冷却もしく
は昇温もしくは温度調節などの温度調節が可能で、しか
も冷却または昇温もしくは温度調節のための媒体のベル
ト周辺への漏洩を効果的に防止することが可能となっ
た。
【0043】また、本発明の連続式温度調節装置によれ
ば、温度調節用の媒体の吸引、排出によって生じる吸引
力によるベルトの走行抵抗を極小とすることが可能とな
った。また、本発明の連続式温度調節装置によれば、前
記した図9に示すノズル噴射方式に対して、滞留する冷
却水による冷却効果の減少がない。
【0044】さらに、図1に例示するように、被温度調
節材を挟持、移動する2枚のベルトの上下に、前記した
図4に例示する本発明に係る装置を一対として配設する
ことによって、被温度調節材8の冷却速度の増加もしく
は昇温速度の増加もしくは迅速な温度調節を行うことが
できる。また、この場合も、温度調節用の媒体の吸引、
排出によって生じる吸引力によるベルトの走行抵抗を極
小とできる。
【0045】前記した本発明の連続式温度調節装置は、
前記した抄造法による加熱状態のウエブ、該ウエブをロ
ールなどによって加圧成形して得られたシートなどの被
冷却材の連続式冷却装置として好適に用いられるが、単
層樹脂フィルムを貼り合わせて複合樹脂フィルムを製造
するための連続式加熱装置など被加熱材の連続式加熱装
置、または、例えば被温度調節材の温度を一定に保つた
めの連続式温度調節装置としても好適に用いることがで
きる。
【0046】なお、抄造法による加熱状態のウエブ、シ
ートの連続式冷却装置として特に好適な理由は、下記の
通りである。すなわち、繊維の積層状態の影響で加熱状
態のウエブ、シートは厚み方向に膨れ易いため、ベルト
に挟持してウエブ、シートを冷却固化すると、膨れがな
いシートが得られるからである。
【0047】以上述べたように、前記した本発明の装置
の作用、効果によって、本発明の連続式温度調節装置
は、被温度調節材を2枚のベルトの間に挟持し、移動し
つつ被温度調節材の冷却もしくは加熱昇温もしくは温度
調節を行う連続式温度調節装置全般に適用することが可
能である。また、本発明において用いられる被温度調節
材の冷却もしくは加熱昇温もしくは温度調節を行うため
の温度調節用の媒体としては、水、液体アンモニアなど
の冷媒、加熱温水、蒸気、ジフェニル系熱媒体、水素化
トリフェニル、ジベンジルトルエン、パラフィン系鉱物
油などの熱媒体が例示される。
【0048】なお、本発明においては、ベルトの走行抵
抗を減少させるために、ベルト面に吐出する時の動圧が
大きい媒体である液状の媒体を用いることが、より好ま
しい。媒体供給装置としては、内箱3の内部に媒体を供
給することが可能な装置であればよく、媒体の昇圧のた
めのポンプなど媒体昇圧装置と媒体供給配管から構成さ
れる媒体供給装置などを用いることができるが、その具
体的構成は制限されるものではない。
【0049】また、媒体排出装置としては、内箱と外箱
との間に流出する媒体を吸引、排出することが可能な装
置であればよく、吸引ファン、吸引ポンプなどの媒体吸
引装置と媒体の吸引、排出用の配管(媒体排出配管)か
ら構成される媒体排出装置などを用いることができる
が、その具体的構成は制限されるものではない。また、
2枚のベルト1a、1bとしては、熱伝導性、強度の面から
ステンレス鋼製、炭素鋼製、チタン合金製など金属製の
無端ベルトを用いることが好ましいが、ベルトの素材は
限定されるものではない。
【0050】次に、図2に本発明の連続式温度調節装置
の他の一例を縦断面図によって示す。なお、図2におい
て、6a、6bは連続式温度調節装置入口側のロール(:ト
ップロール)、7a、7bは連続式温度調節装置出口側のロ
ール(:エンドロール)、8は被温度調節材、9は被温
度調節材ガイド、60a 、60b は加圧ロール、61a 、61b
はテンションロール、f1は被温度調節材の移動方向を示
し、その他の符号は図1、図9と同一の内容を示す。
【0051】本発明においては、図2(a) に示すよう
に、被温度調節材8の移動方向f1において複数の連続式
温度調節装置を配設してもよく、また図2(b) に示すよ
うに、2枚のベルト1a、1bの内、片側のみに連続式温度
調節装置を配設してもよい。
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、被温度調節材の迅速な
冷却、加熱などの温度調節が可能で、しかも温度調節の
ために用いる媒体のベルト周辺への漏洩を効果的に防止
することが可能となった。さらに、本発明によれば、温
度調節用の媒体の吸引、排出によって生じる吸引力によ
るベルトの走行抵抗を極小とすることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の連続式温度調節装置の一例を示す縦断
面図(a) 、A−A矢視図(b) 、内箱の平面図(c) 、内箱
の側面図(d) である。
【図2】本発明の連続式温度調節装置の一例を示す縦断
面図である。
【図3】冷却水漏洩防止実験に用いた実験装置を示す縦
断面図である。
【図4】冷却水漏洩防止実験に用いた実験装置を示す縦
断面図(a) 、B−B部矢視図(b) 、内箱の斜視図(c) で
ある。
【図5】冷却速度の調査に用いた実験装置を示す縦断面
図である。
【図6】冷却速度の調査で得られた冷却曲線を示すグラ
フである。
【図7】冷却速度の調査における、ウエブ、ステンレス
鋼板の配置状況を示す断面図(a) および冷却速度の調査
で得られた冷却曲線を示すグラフ(b) である。
【図8】二重式箱体の他の一例を示す側面図(a) 、C−
C矢視図(b) 、平面図(c) である。
【図9】繊維強化熱可塑性樹脂ウエブの冷却装置を示す
縦断面図である。
【符号の説明】
1a,1b ベルト 2 外箱 3 内箱 4 媒体供給装置 4a 媒体供給配管 4b 媒体昇圧装置 5 媒体排出装置 5a 媒体排出配管 5b 媒体吸引装置 6a、6b 連続式温度調節装置(冷却装置)入口側のロー
ル(:トップロール) 7a、7b 連続式温度調節装置(冷却装置)出口側のロー
ル(:エンドロール) 8 被温度調節材 9 被温度調節材(ウエブ)ガイド 10 二重式箱体 11、23、31 スカート 15 液状の媒体 20i 冷却水散水ノズル 21、35 吸引ファン 22 フード 30 冷却箱 32 冷却水給水口 33 鋼板 34 気泡 36 水を吸引するための吸引口 37 滞留水 40 整流室 41 外箱 42 内箱 43 内箱への冷却水供給管 50 ステンレス鋼板 51 熱電対 52 温度記録計 60a 、60b 加圧ロール 61a 、61b テンションロール 80 ウェブ 90 ゴムシート 91 冷却水の噴出方向 d1 冷却箱のスカートと鋼板との間の隙間の間隔 d2 整流室の上部内壁面と鋼板との間の間隔 d3 内箱の側壁部に設け隙間(切欠き部)の間隔 f1 ウエブの移動方向 f2 ベルトの移動方向 f3 冷却水の給水方向 f4 冷却水の流れ方向 K 壁部開口 K1 冷却箱のスカートと鋼板との間の隙間 K2 内箱の側壁部に設けた鋼板との間の隙間(切欠き
部) l 内箱の開口部O2の周縁 O1 ベルト背面S1a に相対して開口した外箱の開口部 O2 ベルト背面S1a に相対して開口した内箱の開口部 S ステンレス鋼板の通水面側 S1a ベルト1aのベルト背面(:被温度調節材と接触す
るベルト面と反対側のベルト面) V 弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内田 祐一 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 吉武 裕幸 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 ケープ ラシート株式会社内 (72)発明者 江端 貞夫 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川鉄マシナリー株式会社内 (72)発明者 長滝 邦雄 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川鉄マ シナリー株式会社内 Fターム(参考) 4F203 AD16 AG01 DA12 DB02 DC02 DF23 DL17 DM02 DM04 4F205 AD16 AG01 HA26 HA34 HA35 HA42 HB02 HE06 HK25

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被温度調節材を挟持、移動するための2
    枚のベルト(1a,1b)と、該ベルト(1a,1b) の内少なくと
    も1枚のベルトのベルト背面(S1a) に相対して配設さ
    れ、かつ、いずれもが前記ベルト背面(S1a) に相対する
    開口部(O1,O2)を有する外箱(2) および内箱(3) から成
    る二重式箱体(10)と、前記内箱(3) の内部に温度調節用
    の媒体を供給する媒体供給配管(4a)と、前記内箱(3) の
    壁部に設けられ前記外箱(2) に対して開口した壁部開口
    (K) と、該壁部開口(K) から前記内箱(3) と外箱(2) と
    の間に流出する媒体を吸引、排出する媒体排出配管(5a)
    を有することを特徴とする連続式温度調節装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005001323A (ja) * 2003-06-13 2005-01-06 Mitsubishi Rayon Eng Co Ltd ベルトマシーン用の加熱チャンバー、同チャンバーを適用したベルト加熱方法及びその加熱装置
JP2008272975A (ja) * 2007-04-26 2008-11-13 Bridgestone Corp ゴムシートの加硫装置およびゴムシートの加硫方法
JP2018528873A (ja) * 2015-07-10 2018-10-04 フィッツ ホールディング ベーフェー サンドイッチパネルの製造方法
CN109520206A (zh) * 2018-11-30 2019-03-26 张国华 一种多功能散热装置

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