JP2000158215A - ツールチャック - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 緩み止めロックを確実に且つ操作性良く行え
るものとする。 【解決手段】 ツール保持用の複数個の爪２が内部テー
パ面に接するテーパブッシュ１の取付シャフト４に対す
る螺進退によって、爪２の拡縮を行うツールチャックで
ある。上記の拡縮操作のための回転を上記テーパブッシ
ュ１に加えるハンドル３を備える。ハンドル３とテーパ
ブッシュ１とを爪２を縮径させる方向の一方向回転につ
いては所定値以上のトルクで滑り且つ爪を拡径させる方
向の他方向回転については滑ることがないトルク制御部
５を介して連結する。ハンドル３には上記所定値以上の
トルクによる滑りでテーパブッシュ１に接してテーパブ
ッシュ１の爪２を拡径させる方向の回転を阻止する緩み
止め用ロック部３２を設ける。ハンドル１の一方向回転
で締付保持と緩み止めロックを連続して行える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は電動ドリルのドリル
ビットや電動ドライバーのドライバービット等のツール
を保持するツールチャックに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】ツールチャックとして、ツールのシャン
ク部を挟持固定する複数本の爪同士をラバーのような弾
性体で連結したものが市販されている。これはハンドル
が一体に設けられたテーパブッシュ内に、上記の弾性体
で連結された複数本の爪を配置し、テーパブッシュを螺
進させれば爪が弾性体の付勢によって拡径し、テーパブ
ッシュを後退させれば、テーパブッシュ内面のテーパ面
に押されて爪が縮径してツールの締付保持を行うもので
あり、このものでは、上述のように爪を弾性体の弾性に
よって開くことができるために、部品点数を少なくする
ことができて安価に提供することができる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のツール
チャックでドライバービットを保持する場合を考える
と、振動による緩みが問題となる。キーレスタイプのも
のであれば、なおさらである。ロックナットを設けるこ
とで、緩み止めロックを行うことが考えられるが、ハン
ドルによる操作にロックナットに対する操作が別に必要
であり、操作性が良くない。

【０００４】本発明はこのような点に鑑みなされたもの
であって、その目的とするところは緩み止めロックを確
実に且つ操作性良く行うことができるツールチャックを
提供するにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】しかして本発明に係るツ
ールチャックは、ツール保持用の複数個の爪が内部テー
パ面に接するテーパブッシュの取付シャフトに対する螺
進退によって、爪の拡縮を行うツールチャックにおい
て、上記の拡縮操作のための回転を上記テーパブッシュ
に加えるハンドルを備えて、ハンドルとテーパブッシュ
とが爪を縮径させる方向の一方向回転については所定値
以上のトルクで滑り且つ爪を拡径させる方向の他方向回
転については滑ることがないトルク制御部を介して連結
されているとともに、ハンドルには上記所定値以上のト
ルクによる滑りでテーパブッシュに接してテーパブッシ
ュの爪を拡径させる方向の回転を阻止する緩み止め用ロ
ック部が設けられていることに特徴を有している。

【０００６】ここにおいて、上記のハンドルは取付シャ
フトに螺合しており、ハンドルに設けた緩み止め用ロッ
ク部は、テーパブッシュの外面のテーパ面に被さるテー
パ部であることが、ロック部の構成の簡略化において好
ましく、また、トルク制御部は、テーパブッシュの外周
面に巻きつけられるとともに一端をハンドルに連結した
ねじりコイルばねで形成されたものとしておくことが、
トルク制御部の構成の簡略化の点で好ましい。さらに、
トルク制御部とハンドルとは回転方向において遊びをも
って連結されたものとしておくことで、スムーズな動作
を得ることができる。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下本発明を実施の形態の一例に
基づいて詳述すると、図１及び図２において、図中４は
回転動力によって軸回りに回転駆動される取付シャフト
であり、外周面には雄ねじが設けられていて、前端側に
はテーパブッシュ１が螺合しており、後端側にはハンド
ル３が螺合している。

【０００８】テーパブッシュ１は、その前部の外面及び
内面がテーパ状、後部の外面が円筒状となっているもの
で、テーパ部１０の内面と上記取付シャフト４の先端面
とで囲まれる円錐状空間内に、複数個の爪２が納められ
ている。

【０００９】外面がテーパ部１０の内面に沿う傾斜面と
なっているこれらの爪２は、図２に示すように、隣合う
ものがラバーのような弾性体２０によって連結されてお
り、該弾性体２０の弾性力による付勢で、上記傾斜面を
常にテーパ部１０の内面に当接させている。テーパブッ
シュ１を取付シャフト４に対して回転させることで前進
させた場合、爪２は広がり、逆にテーパブッシュ１を後
退させた場合、爪２は縮径して、複数本の爪２で囲まれ
る中心部にツール９を差し込んでおれば、これら爪２に
よってツール９は保持される。

【００１０】ハンドル３は、その後端内周部が上述のよ
うに取付シャフト４に螺合する雌ねじ部３０となってい
るもので、前端部にはテーパ状をなすロック部３２を備
えており、中央部内周面には軸方向に走る所定の幅の溝
３１を備えている。

【００１１】そして、テーパブッシュ１の上記円筒状部
１１の外面には、ねじりコイルばねであるトルク制御部
材５が巻き付けられており、トルク制御部材５の一端の
係止部５０が上記ハンドル３内周面の溝３１内に位置し
ている。なお、ねじりコイルばねであるトルク制御部材
５は、その常態での内径がテーパブッシュ１の円筒状部
１１の外径より小さくて、テーパブッシュ１に巻き付け
た状態において、トルク制御部材５とテーパブッシュ１
とは一体に回転するようになっている。

【００１２】このツールチャックにおいては、ハンドル
３を回転させることで、前述のテーパブッシュ４の取付
シャフト４に対する螺進退を行わせて爪２の拡縮を行う
ものであって、爪２を縮径させてツール９の保持を行う
場合から説明すると、ツールチャックの先端側から見て
右回りにハンドル３を回転させれば、ハンドル３はその
内面の溝３１の幅とトルク制御部材５の係止部５０との
幅の関係による遊びの分だけ、単独で回転した後、図３
に示すように、トルク制御部材５を介してテーパブッシ
ュ１を同方向に回転させる。この回転により、テーパブ
ッシュ１は後退して、前述のように爪２を縮径させる。
そして爪２がツール９に当接してツール９の保持が所定
の力でなされた後は、ハンドル３の回転がトルク制御部
材５に加える力の方向がトルク制御部材（ねじりコイル
ばね）５が緩む方向であることから、トルク制御部材５
とテーパブッシュ１との間で滑りが生じるために、ハン
ドル３とトルク制御部材５だけが回転する状態となり、
テーパブッシュ１に対してハンドル３が後退して図３
(c)に示すようにハンドル３におけるロック部３２の内
面がテーパブッシュ１のテーパ部１０の外面に接し、こ
れ以上、ハンドル３を回転させることができない状態と
なる。

【００１３】ツール９の締付保持を常に一定の締付力で
行うことができるものであり、また、ハンドル３のロッ
ク部３２は爪２を拡径させる方向のテーパブッシュ１の
前進を阻止するために、緩み止めロックがなされるもの
である。

【００１４】ツール９を取り外す場合は、ハンドル３を
逆方向に回転させる。この時、図４に示す溝３１と係止
部５０との遊びαの分だけ、ハンドル３がまず回転する
ために、ロック部３２がテーパ部１０から離れてロック
が解除され、さらにハンドル３を回転させれば、ハンド
ル３はトルク制御部材５を介してテーパブッシュ１を同
方向に回転させて取付シャフト４に対して前進させるた
めに、爪２が広がってツール９の保持が解除される。こ
の方向のハンドル３の回転は、トルク制御部材（ねじり
コイルばね）５がテーパブッシュ１を締め付ける方向で
あるために、途中で滑りが生じたりすることはない。

【００１５】図５はトルク制御部材５としてのねじりコ
イルばねが右巻きのものを示しており、係止部５０を逆
の端部に設けることで、同じ作用を得ることができる。

【００１６】

【発明の効果】以上のように本発明では、ツール保持用
の複数個の爪が内部テーパ面に接するテーパブッシュの
取付シャフトに対する螺進退によって、爪の拡縮を行う
ものにおいて、上記の拡縮操作のための回転を上記テー
パブッシュに加えるハンドルとテーパブッシュとの連結
を、爪を縮径させる方向の一方向回転については所定値
以上のトルクで滑り且つ爪を拡径させる方向の他方向回
転については滑ることがないトルク制御部を介して行っ
ており、さらにハンドルには上記所定値以上のトルクに
よる滑りでテーパブッシュに接してテーパブッシュの爪
を拡径させる方向の回転を阻止する緩み止め用ロック部
を設けているために、ツールの締付保持を常に一定の力
で行うことができる上に、緩み止めロックも行えるもの
であり、しかもツールの締付保持と緩み止めロックとを
ハンドルに加える一方向回転で連続的に行うことができ
るものであって、操作性もきわめて良好なものである。

【００１７】そして、上記のハンドルは取付シャフトに
螺合しているものとし、ハンドルに設けた緩み止め用ロ
ック部は、テーパブッシュの外面のテーパ面に被さるテ
ーパ部としておくと、ロック部の構成を簡略化すること
ができて、コストダウンを図ることができる。

【００１８】また、トルク制御部を、テーパブッシュの
外周面に巻きつけられるとともに一端をハンドルに連結
したねじりコイルばねで形成すれば、ルク制御部の構成
を簡略化することができて、コストダウンを図ることが
できる。

【００１９】さらに、トルク制御部とハンドルとは回転
方向において遊びをもって連結されたものとしておくこ
とで、スムーズな動作を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態の一例を示すもので、(a)
は横断面図、(b)は縦断面図である。

【図２】同上の分解斜視図である。

【図３】同上のツールの締め付け時の動作を示すもの
で、(a)(b)は横断面図、(c)は縦断面図である。

【図４】同上のツールを緩める時の動作を示す横断面図
である。

【図５】トルク制御部材の他例の斜視図である。

【符号の説明】

１ テーパブッシュ ２ 爪 ３ ハンドル ４ 取付シャフト ５ トルク制御部材 ３２ ロック部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西口 登 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 Ｆターム(参考） 3C032 BB04 BB05 BB12 HH11 HH15 JJ01 JJ07 JJ12

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ツール保持用の複数個の爪が内部テーパ
   面に接するテーパブッシュの取付シャフトに対する螺進
   退によって、爪の拡縮を行うツールチャックであり、上
   記の拡縮操作のための回転を上記テーパブッシュに加え
   るハンドルを備えて、ハンドルとテーパブッシュとが爪
   を縮径させる方向の一方向回転については所定値以上の
   トルクで滑り且つ爪を拡径させる方向の他方向回転につ
   いては滑ることがないトルク制御部を介して連結されて
   いるとともに、ハンドルには上記所定値以上のトルクに
   よる滑りでテーパブッシュに接してテーパブッシュの爪
   を拡径させる方向の回転を阻止する緩み止め用ロック部
   が設けられていることを特徴とするツールチャック。
2. 【請求項２】 ハンドルは取付シャフトに螺合してお
   り、ハンドルに設けた緩み止め用ロック部は、テーパブ
   ッシュの外面のテーパ面に被さるテーパ部であることを
   特徴とすることを特徴とする請求項１記載のツールチャ
   ック。
3. 【請求項３】 トルク制御部は、テーパブッシュの外周
   面に巻きつけられるとともに一端をハンドルに連結した
   ねじりコイルばねで形成されていることを特徴とする請
   求項１または２記載のツールチャック。
4. 【請求項４】 トルク制御部とハンドルとは回転方向に
   おいて遊びをもって連結されていることを特徴とする請
   求項１〜３のいずれかの項に記載のツールチャック。