JP2000157921A - 積層塗膜の形成方法 - Google Patents
積層塗膜の形成方法Info
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Abstract
に色相のズレが生じないカラーベース塗膜を用いた積層
塗膜の形成方法の提供。 【解決手段】 基材上に形成されたプライマー塗膜上
に、(i)中塗り塗膜を形成する工程、および(ii)前記中
塗り塗膜の上に、白色顔料および鱗片状グラファイト顔
料を含有するカラーベース塗料、光輝剤含有ベース塗料
およびクリヤー塗料を順にいずれもウエットオンウエッ
トで塗装した後、加熱して硬化することにより、カラー
ベース塗膜5、光輝剤含有ベース塗膜6およびクリヤー
塗膜7を同時に形成する工程を含む光輝剤含有積層塗膜
の形成方法において、カラーベース塗料が、鱗片状グラ
ファイト顔料を、全白色顔料100重量%に対し0.01〜10.
0重量%の量で含有することを特徴とする光輝剤含有積
層塗膜の形成方法。
Description
む基材上に光輝剤含有積層塗膜を形成する方法に関す
る。特に、本発明は、白色顔料および鱗片状グラファイ
ト顔料を含有するカラーベース塗料を用いた積層塗膜の
形成方法に関する。
二輪車および電気製品などの外板並びにそれらの部品の
外層には、一般に、平滑性、鮮映性、耐候性等に優れた
積層塗膜が形成されている。この積層塗膜は、通常、下
塗り塗膜、通常グレーの色相を有する中塗り塗膜および
上塗り塗膜から構成される。ここで、上塗り塗膜は、基
材表面に高彩度の色相やデザインされた特徴的な外観を
付与することを目的として、例えば、 一般にソリッドカラー上塗り塗料を塗装して硬化する
際の1コート1ベーク方式; メタリックベース塗料を塗装した上にクリヤー塗料を
ウエットオンウエットで塗装して同時に加熱硬化するな
どのような2コート1ベーク方式;あるいは 例えば、基材上に、下地隠蔽性を有するカラーベース
塗料、光輝剤を含有するベース塗料およびクリヤー塗料
をウエットオンウエットでそれぞれ順に塗装した後、加
熱して一度に硬化するなどの3コート1ベーク方式など
によって形成される。中でも、3コート1ベーク方式
()は、他のおよびの方式に比べて、様々な塗料
の組み合わせによって多色化が可能であることおよびよ
り優れた意匠性や外観を提供でき、さらには工程が短縮
できるため経済的に優れている等の利点を有することか
ら需要が高まっている。
は、第1および第2ステージで同じメタリックベース塗
料を2回塗装し後、第3ステージでクリヤー塗料を塗装
するラインで行なわれるため、中塗り塗膜の色を隠蔽す
るのに十分な膜厚のメタリックベース塗膜を含む上塗り
塗膜が得られる。一方、3コート1ベーク方式()に
よる上塗り塗装は、通常、前記2コート1ベーク方式用
のラインを用いて行なわれる。例えば、下塗り塗膜およ
び中塗り塗膜を形成した基材に、第1ステージで高隠蔽
性のカラーベース塗料を塗装し、次に第2ステージで
は、前記カラーベース塗料の色相と干渉し合って意匠性
の高い塗膜を与え得る、光輝剤含有ベース塗料等を塗装
し、最後に第3ステージでは、クリヤー塗料を塗装した
後、加熱工程に付すことにより、これらを同時に硬化し
て積層塗膜を形成する。ここで、3コート1ベーク方式
による積層塗膜の形成においては、中塗り塗膜の色を隠
蔽するのに十分な膜厚のカラーベース塗料を1回で塗装
する必要がある。必要な膜厚を得るためにカラーベース
塗料の吐出量を増大させると、微粒化が困難となり、ブ
ツ、タレおよびワキ等の塗膜異常が発生することがあっ
たため、現行のライン上で中塗り塗膜の色相を十分に隠
蔽する上塗り塗料を塗装することには問題点が多くあっ
た。
される積層塗膜において、中塗り塗膜の色相を上塗り塗
膜で隠蔽する問題点の一つとして、上塗り塗料(例え
ば、上記方式におけるカラーベース塗料および光輝剤
含有ベース塗料)の色相が中塗り塗膜の色相(通常、グ
レー)よりも高い明度(例えば、白色、クリーム色な
ど)である場合に、中塗り塗膜の色が透けるため、上塗
り塗膜の発色性が低下することも含まれる。これに対す
る対策として、上塗り塗膜としての発色性をより高める
ために、上塗り塗料の色相に合わせて明度を調整した
「セット中塗り塗料」や「カラー中塗り塗料」を中塗り
塗料として使用することがあるが、これらは、汎用のグ
レーの中塗り塗料に比べ、コストが高く、上塗り塗料の
色相に応じて調製するという面で汎用性に欠けるという
不利益を有している。
高める、すなわち自動車全体の印象を引き締めるため
に、窓枠(サッシュ)部、ピラー部、フロントグリル部
またはリヤハッチ部またはそれらの周辺部に、中塗り塗
料塗装後でかつ着色上塗り塗料塗装前にサッシュ用ブラ
ック塗料が塗装されることがある。サッシュ用ブラック
塗料は、その名の示す通り黒色塗料であることから、上
塗り塗料(例えば、上記方式におけるカラーベース塗
料および光輝剤含有ベース塗料)の色相によっては隠蔽
できずに透けて見えることがある。特に顕著には、汎用
のグレーの中塗り塗料よりも明度の高い前記セット中塗
り塗料またはカラー中塗り塗料を使用した場合に、上塗
り塗膜を介してサッシュ用ブラック塗料の塗装部分と非
塗装部分との間に視覚的な違和感や外観異常(サッシュ
用ブラック塗料を含む下地の色相が透けて見えることに
よる部分的な色の違い)が生じる。これは、それら中塗
り塗料とサッシュ用ブラック塗料との色差が大きくなる
ことに起因するものである。
有する積層塗膜は、歩留まりを向上させるために製造ラ
イン内で補修されることが望ましい。積層塗膜の補修
は、補修部を中塗り塗膜表面までサンドペーパーで研ぎ
出した後、再度、上塗り塗料(例えば、上記3コート1
ベーク方式()では、カラーベース塗料、光輝剤含有
ベース塗料、クリヤー塗料)を塗装し硬化する。しかし
ながら、補修後の積層塗膜では、補修部と非補修部およ
び補修部周辺において、膜厚の変化などにより、更なる
色相のズレが生じ得ることが知られている。
高めるための様々な開発がなされている。例えば、カラ
ーベース塗料あるいはパールマイカ顔料含有メタリック
カラー塗料中にカーボンブラックを含有させて、カラー
ベース塗料あるいはメタリックカラーベース塗料の隠蔽
性を上げる方法が挙げられる。しかしながら、上記カラ
ーベース塗料およびメタリックカラーベース塗料は、カ
ーボンブラックの添加により、明度が低下したり、パー
ルマイカ顔料の真珠様光沢が低下して積層塗膜の色相を
暗くするため、限られた低い明度と彩度の積層塗膜にし
か適用できない。
ト1ベーク方式での使用を目的とした積層塗膜の形成方
法が開示されている。この方法は、光輝感のない白色〜
薄灰色の塗膜を得るために、チタン白顔料とアルミニウ
ムフレークを含有させてマンセルカラーチャートN7〜
N9の範囲内に調整された着色ベース塗料を基材に塗装
し熱硬化させて得られた着色ベースコート上に、パール
調ベースコートおよびクリヤーコートを形成すること
で、高白色度真珠光沢感を有する積層塗膜を得るもので
ある。しかしながら、この特開平8-164358号公報に記載
の着色ベースコートの色は高白度に限定されていること
から、塗膜の色の展開やライン内での補修に問題があっ
た。
問題点を克服することにあり、色相が変化することな
く、高隠蔽性が付与でき、かつ補修が容易な上塗り塗膜
を提供することである。具体的には、本発明は、基材上
に、下塗り塗膜および中塗り塗膜並びに所望によりサッ
シュ用ブラック塗膜から成る下地を形成した後、その下
地上に、3コート1ベーク方式でカラーベース塗料、光
輝剤含有ベース塗料およびクリヤー塗料を塗装・加熱硬
化して上塗り塗膜を形成することを含む積層塗膜の形成
方法を提供することである。本発明は、特に、下地の色
相を一回の塗装で十分に隠蔽でき、かつ積層塗膜形成
後、塗膜の外観異常をライン内で補修した際に、補修部
と補修部周辺および非補修部との間に色相のズレが生じ
ないカラーベース塗料を使用した、積層塗膜の形成方法
を提供することを目的とする。
材上に形成されたプライマー塗膜上に、(i)中塗り塗料
を塗装した後、加熱硬化することにより中塗り塗膜を形
成する工程、および(ii)前記中塗り塗膜の上に、白色顔
料および鱗片状グラファイト顔料を含有するカラーベー
ス塗料、光輝剤含有ベース塗料およびクリヤー塗料を順
にいずれもウエットオンウエットで塗装した後、加熱し
て硬化することにより、カラーベース塗膜、光輝剤含有
ベース塗膜およびクリヤー塗膜を同時に形成する工程を
含む光輝剤含有積層塗膜の形成方法において、カラーベ
ース塗料が、鱗片状グラファイト顔料を、全白色顔料10
0重量%に対し0.01〜10.0重量%の量で含有することを
特徴とする光輝剤含有積層塗膜の形成方法に関する。本
発明の方法では、必要に応じて、前記工程(i)の代わり
に(i')中塗り塗料を塗装し、さらにその上にサッシュ用
ブラック塗料をウエットオンウエットで塗装した後、加
熱して硬化することにより中塗り塗膜およびサッシュ用
ブラック塗膜を同時に形成する工程を行なってもよい。
塗膜、およびその積層塗膜を有する物品も提供する。
(i)では、プライマー塗膜を形成した基材上に中塗り塗
料を塗装した後、加熱硬化することにより中塗り塗膜を
形成する。
属、ガラス、布、プラスチック、発泡体等を含むいかな
るものであってよく、特に、金属(例えば、鉄、銅、ア
ルミニウム、錫、亜鉛等;およびこれらの金属を含む合
金)および鋳造物であってよい。本発明の方法は、最も
好ましくは、乗用車、トラック、オートバイ、バス等の
自動車車体および部品のような金属製品に適用され得
る。前記金属製品は、予め、リン酸塩、クロム酸塩等で
化成処理されることが特に好ましい。
は、当該分野において既知のものがいずれも使用でき
る。特に、基材が上記金属製品である場合には、プライ
マー塗膜としてカチオン型またはアニオン型の電着塗膜
を形成することが望ましい。防食性に優れた塗膜を提供
できることから、金属製品にはカチオン電着塗膜を形成
することが特に望ましい。
含む前記基材から構成される下地の欠陥を隠蔽し、かつ
その後形成される上塗り塗膜の表面平滑性を確保して外
観を向上させ、さらには耐衝撃性および耐チッピング性
等の塗膜物性を付与するために塗装される。本発明での
使用に適した中塗り塗料は、バインダーとして熱硬化性
被膜形成性樹脂および硬化剤、および有機系、無機系の
各種着色顔料、体質顔料を含有してよい。中塗り塗料に
適した熱硬化性被膜形成性樹脂としては、例えば、アク
リル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ
樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられるが、本発明はこれら
に限定されるものではない。これらと組み合わせて使用
される硬化剤としては、アミノ樹脂および/またはブロ
ックイソシアネート樹脂などが挙げられる。本発明で
は、顔料分散性あるいは作業性の面から、アルキド樹脂
および/またはポリエステル樹脂とアミノ樹脂との組み
合わせが最も好ましい。本発明において中塗り塗料に含
まれる好適な有機系着色顔料としては、例えば、アゾキ
レート系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、フ
タロシアニン系顔料、インジゴ系顔料、ペリノン系顔
料、ペリレン系顔料、ジオキサン系顔料、キナクリドン
系顔料、イソインドリノン系顔料、金属錯体顔料等が挙
げられ;無機系着色顔料としては、例えば、黄鉛(chrom
e yellow pigment)、黄色酸化鉄、ベンガラ、カーボン
ブラック、二酸化チタン等が挙げられ;または体質顔料
としては、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ク
レー、タルク等が挙げられる。本発明では、これら着色
顔料または体質顔料の中でも、標準的には、カーボンブ
ラックと二酸化チタンを主に含有するグレー系の中塗り
塗料を使用してよい。中塗り塗料として、上塗り塗膜と
中塗り塗膜との明度差が一定範囲内になるように調整さ
れたセットグレー系中塗り塗料や各種着色顔料を組み合
わせたカラー中塗り塗料を使用してもよい。
塗装された後、100〜180℃の範囲、好ましくは、より高
い架橋度の塗膜を得るために120〜160℃の範囲の温度で
硬化し得る。中塗り塗料の硬化温度が180℃を超える
と、得られる塗膜が硬く脆くなり、また100℃未満で
は、硬化が不充分となる。中塗り塗料の硬化時間は、硬
化温度により変化し得るが、例えば120〜160℃の範囲の
温度では、10〜30分間の範囲が好適である。
マー塗膜を形成した基材上に中塗り塗料とサッシュ用ブ
ラック塗膜をウエットオンウエットで塗装した後、加熱
硬化することにより、中塗り塗膜およびサッシュ用ブラ
ック塗膜を同時に形成してもよい(工程(i'))。これ
は、特に、基材が自動車車体またはその部品等である場
合に有効である。サッシュ用ブラック塗料は、普通黒色
の塗料(本発明では、特に黒色塗料に限定するものでは
なく、当該分野において自動車車体の意匠性を高めるた
めに使用され得るものを包含する。)であって、一般に
は窓枠(サッシュ)部、ピラー部、フロントグリル部ま
たはリヤハッチ部またはそれらの周辺部に、中塗り塗料
とウエットオンウエットで塗装され、その後の加熱によ
り、中塗り塗料と同時に硬化される。このようなサッシ
ュ用ブラック塗料は、通常、熱硬化性被膜形成性樹脂お
よび硬化剤、および有機系、無機系の各種着色顔料、体
質顔料、および必要に応じて、シリカ等の艶消し材等の
添加物を含有し得る。一般にサッシュ用ブラック塗料と
呼ばれる黒色塗料は、カーボングラック顔料、熱硬化性
被膜形成性樹脂および硬化剤、および体質顔料(例え
ば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク、
有機ベントナイト等)を含有する。
熱硬化性被膜形成性樹脂および硬化剤としては、特に限
定されるものではなく、上記中塗り塗料について記載し
たものがいずれも包含され得る。本発明では、顔料分散
性あるいは作業性の面から、アルキド樹脂および/また
はポリエステル樹脂とアミノ樹脂との組み合わせが最も
好ましい。
塗装し加熱し硬化することにより中塗り塗膜を形成した
後、その上に、スプレー塗装、回転霧化型静電塗装、R
EAハンドガン塗装等の既知の方法により部分的に塗装
され、加熱硬化することも可能であるが、製造効率の面
から、通常、中塗り塗料を塗装した後、ウエットオンウ
エットで塗装され、その後中塗り塗料と同時に加熱して
硬化することが望ましい。後者の場合、最も望ましく
は、中塗り塗料について記載した条件(例えば、120〜1
60℃の温度で10〜30分間)で加熱し硬化する。
μm、好ましくは20〜40μmであってよい。
(i)の後、前記中塗り塗膜または必要に応じて形成され
たサッシュ用ブラック塗膜の上に、白色顔料およびグラ
ファイト顔料を含有するカラーベース塗料、光輝剤含有
ベース塗料およびクリヤー塗料を順にウエットオンウエ
ットで塗装した後、加熱硬化することにより、カラーベ
ース塗膜、光輝剤含有ベース塗膜およびクリヤー塗膜を
同時に形成する。
なカラーベース塗料は、熱硬化性の被膜形成性樹脂、お
よび白顔料および鱗片状グラファイトに加えて、有機系
もしくは無機系の各種着色顔料および/または体質顔料
を含有する。最も望ましい鱗片状グラファイトは、平均
粒径が1〜30μm、特に1〜10μmで、厚みが1μm以
下、特に0.01〜0.5μmの範囲であり、さらには分散性が
良好なものであればよく、例えば、チバガイギー社製商
品名「グラフィタン7525」等が挙げられる。
量%に対する鱗片状グラファイトの含有量は、0.01〜1
0.0重量%、好ましくは0.02〜5.0重量%、最も好ましく
は0.03〜3.0重量%であり得る。鱗片状グラファイトの
含有量が10.0重量%を超えると、得られる積層塗膜の外
観が低下し、0.01重量%未満であると、隠蔽性が低下す
る。この鱗片状グラファイトは、カラーベース塗料中の
全固形分に対し、5.0重量%以下、好ましくは0.01〜3.0
重量%、最も好ましくは0.01〜2.0重量%であり得る。
ファイト以外の顔料は、単独でまたは組み合わせて所望
の色に発色し得る顔料であれば特に限定されず、例え
ば、中塗り塗料について先に記載した有機系もしくは無
機系の各種着色顔料および/または体質顔料から選ばれ
得る。また、本発明で使用されるカラーベース塗料は、
上記顔料と組み合わせて、アルミニウム粉および/また
はその他の扁平顔料を含む光輝性顔料をさらに含有して
もよい。カラーベース塗料中の全固形分に対する鱗片状
グラファイトおよびそれ以外の顔料および光輝性顔料の
合計含有量は、0.1〜60重量%、好ましくは0.5〜50重量
%、最も好ましくは2.0〜40重量%であり得る。鱗片状
グラファイトおよびそれ以外の顔料および光輝性顔料の
合計含有量が60重量%を超えると、塗膜外観が低下する
ので好ましくない。
は、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、
エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられるが、本発明
はこれらに限定されるものではない。アミノ樹脂および
/またはブロックイソシアネート樹脂などの硬化剤を前
記熱硬化性の被膜形成性樹脂と組み合わせて使用してよ
い。本発明では、顔料分散性あるいは作業性の面から、
アルキド樹脂および/またはポリエステル樹脂とアミノ
樹脂との組み合わせが最も好ましい。これら熱硬化性の
被膜形成性樹脂と硬化剤の重量比は、カラーベース塗料
中の樹脂固形分を基準として、9/1〜4/6、好まし
くは8/2〜5/5の量で含有され得る。
および/または水を包含する任意の溶剤中に溶解または
分散することにより調製され得る。カラーベース塗料
は、好ましくはスプレー塗装等の既知の方法で塗装され
てよく、塗装前に、トルエン、キシレン、酢酸エチル、
酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケ
トン、S(ソルベッソ)−100およびS−150、エチ
ルエトキシプロパノール等を用いて所望の粘度(17〜18
秒/#3フォードカップ/20℃)に調整されてよい。得
られる塗膜の膜厚は、10〜30μm、好ましくは15〜25μ
mであり得る。
した後、硬化させることなく、上に光輝剤含有ベース塗
料を塗装するが、前記カラーベース塗料は、必要に応じ
て、光輝剤含有ベース塗料塗装前に乾燥させても、さら
には熱硬化(120〜160℃で10〜30分間等)させてもよ
い。
る光輝剤含有ベース塗料は、光輝剤として、メタリック
塗料として通常使用される顔料(例えば、干渉マイカ、
ホワイトマイカ、アルミナフレーク、グラファイト、鱗
片状着色顔料等の光輝性顔料;およびアルミニウム、
銅、亜鉛、鉄、ニッケル、錫などの金属または合金等の
金属性光輝剤など)を含有し得る。このような光輝剤の
形状は、特に限定されるものではないが、特に、平均粒
径が2〜50μmでかつ厚みが0.1〜3μmの鱗片状のもの
が好ましい。光輝剤含有ベース塗料中の光輝剤の含有量
は、全固形分に対し、0.1〜20.0重量%、好ましくは0.5
〜18.0重量%、最も好ましくは1.0〜15.0重量%であり
得る。光輝剤の含有量が20.0重量%を超えると、塗膜外
観が低下し、あるいは0.1重量%未満であると光輝感が
低下する。
の着色顔料および/または体質顔料として、中塗り塗料
について先に記載したものがいずれも使用できる。光輝
剤含有ベース塗料中に含まれる全顔料の合計含有量は、
全固形分に対し、0.1〜40重量%、特に0.1〜30重量%で
あってよい。
は、熱硬化性膜形成性樹脂として、特に限定されるもの
ではないが、前記光輝剤、着色顔料および、所望により
粘性制御剤を分散して硬化塗膜を与えるもの、一般に
は、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、
エポキシ樹脂等から選ばれる、分子鎖中に水酸基を少な
くとも1つ有する熱硬化性被膜形成性樹脂を含有する。
これらの樹脂は、アミノ樹脂および/またはブロックイ
ソシアネート樹脂等の硬化剤と組み合わせて使用され得
る。好適な光輝剤含有ベース塗料において、前記熱硬化
性被膜形成性樹脂と硬化剤の重量組成比は、90/10〜10
/90、好ましくは80/20〜50/50である。光輝剤含有ベ
ース塗料中の熱硬化性被膜形成性樹脂の含有量が前記組
成比よりも少ないと、塗膜が固くかつ脆くなり、あるい
は硬化剤の含有量が前記組成比より少ないと塗膜の硬化
性が低下する。
される塗膜のムラおよびタレを防止するために、粘性制
御剤を含有してよい。粘性制御剤としては、一般に、塗
料中に含有される有機溶剤に不溶でかつチキソトロピー
性を示すものが使用でき、例えば、脂肪酸アマイドの膨
潤分散体、マイド系脂肪酸、長鎖ポリアミノアマイドの
リン酸塩などのポリアマイド系;および酸化ポリエチレ
ンのコロイド状膨潤分散体等のポリエチレン系;有機酸
スメタイト粘土やモンモリナイトなどの有機ベントナイ
ト系;またはケイ酸アルミ、硫酸バリウムなどの無機顔
料が挙げられる。あるいは、粘性制御剤として、形状に
よって粘性を変化させ得る扁平顔料等を使用してもよ
い。これら粘性制御剤は、光輝剤含有ベース塗料を塗膜
化した場合に、その光沢や発色性に悪影響を及ぼさない
ものが好ましく、特に、極性基の相互作用を利用する非
架橋あるいは架橋型の樹脂あるいは粒子であり得る。
〜0.5μmの架橋性樹脂粒子であり得る。架橋性樹脂粒子
の平均粒径が0.5μmを超えると、光輝剤含有ベース塗料
の保存安定性が低下する。前記架橋性樹脂粒子は、両性
イオン基を分子内に有するモノマーを多価アルコール成
分の1つとして合成されたアルキド樹脂あるいはポリエ
ステル樹脂等の乳化し得る樹脂とエチレン性不飽和モノ
マーを、水性媒体中、重合開始剤の存在下で乳化重合さ
せて得られるものが好ましい。ここで、両性イオン基を
分子内に有するモノマーとしては、例えば、−N(+)−
R−COO(−)または−N(+)−R−SO3(−)として
表されかつ水酸基を2つ以上有するものが使用でき、例
えば、ビスヒドロKシイエチルタウリンなどのようなヒ
ドロキシル基含有アミノスルホン酸両性イオン化合物等
が挙げられる。こうして合成される乳化し得る樹脂とし
ては、酸価が30〜150mgKOH/g、好ましくは40〜1
50mgKOH/gで、かつ数平均分子量が500〜5,000、
好ましくは700〜3,000のポリエステル樹脂を使用するの
が特に望ましい。前記酸価が150mgKOH/gを超え
ると、樹脂のハンドリング性が低下し、または30mgK
OH/g未満であると、塗膜とした場合に乳化し得る樹
脂が脱離したり、塗膜の耐溶剤性が低下することがあ
る。前記樹脂と乳化重合し得るエチレン性不飽和モノマ
ーとしては、分子中に複数個のラジカル重合可能なエチ
レン性不飽和基を有するモノマーを含有させることが好
ましい。このようなエチレン性不飽和モノマーは、乳化
重合により得られる架橋性樹脂粒子が塗料中に含まれる
有機溶剤に溶解し得ない程度の架橋が与えられる程度で
あってよく、例えば、重合にかかる全モノマーの0.1〜1
0重量%であってよい。
ョン樹脂に含有され、塗膜化した際に耐水性、耐溶剤性
および光沢等の塗膜の性能を低下させるような低分子乳
化剤あるいは保護コロイドを含まず、さらに分子内にラ
ジカル重合可能なエチレン性不飽和基を2個以上含有す
るモノマーを共重合することにより架橋されている。
有量は、塗料中の樹脂固形分100重量部に対し、0.01〜1
5重量部、好ましくは0.1〜12重量部、特に0.2〜9重量
部であり得る。粘性制御剤の添加量が15重量部を超える
と、外観が低下し、0.01重量部未満であると、粘性制御
剤の添加効果が得られずに、上塗り塗膜の塗膜間で、な
じみや反転を引き起こすことがある。
は、硬化触媒、紫外線吸収剤、酸化防止剤、表面調整剤
などをさらに含有してよい。
るのが最も好ましく、有機溶剤型または水性型塗料(水
溶性、水分散性またはエマルションの形態)であって
も、非水分散型塗料であってもよい。光輝剤含有ベース
塗料が水性塗料である場合には、バインダーとして、米
国特許第5,151,125号公報および同第5,183,504号公報な
どに開示されている熱硬化性被膜形成性樹脂を使用する
のが最も好ましい。特に、前記米国特許第5,183,504号
公報に記載のアクリルアミド基、水酸基および酸基を有
するアクリル樹脂とメラミン樹脂との組み合わせを熱硬
化性被膜形成性樹脂として使用するのが、塗膜の仕上が
りや外観の面から望ましい。
は、20〜70重量%、好ましくは30〜50重量%である。塗
料中の全固形分含有量が70重量%を超えると、塗料の保
存安定性が低下する。
は、塗装時に、塗料中の全固形分含有量が10〜60重量
%、好ましくは20〜50重量%となるように調整される。
塗装時の前記塗料中の全固形分含有量が60重量%を超え
ると、塗膜外観が低下し、10重量%未満であると、粘性
が低すぎてなじみやムラ等の外観不良が発生する。
剤含有ベース塗料を、静電塗装、エアースプレー塗装等
の既知の方法で塗装する。得られる塗膜の光輝感にムラ
を生じさせないために、特に好ましくは2回以上重ね塗
りをする。ここで、光輝剤含有ベース塗料は、塗装前
に、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メ
チルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、S(ソル
ベッソ)−100およびS−150、エチルエトキシプ
ロパノール等を用いて所望の粘度(17〜21秒/#3フォ
ードカップ/20℃)に調整することがより好ましい。塗
装される光輝剤含有ベース塗料の膜厚は、所望の用途に
より変化してよいが、通常、乾燥膜厚が5〜35μm、好
ましくは7〜25μmであり得る。光輝剤含有ベース塗料
の膜厚が35μmを超えると、鮮映性が低下したり、塗膜
にムラまたは流れが生じることがあり、5μm未満であ
ると、下地隠蔽性が不充分となり、膜切れ(塗膜が不連
続な状態)が生じることがあるため、いずれも好ましく
ない。
加熱し硬化してもよい(120〜160℃で10〜30分間等)
が、製造効率および積層塗膜の意匠性の面から、先に塗
装されたカラーベース塗料上にウエットオンウエットで
塗装された後、加熱硬化されずに、さらに後述するクリ
ヤー塗料をウエットオンウエットでさらに塗装した後
で、加熱して、カラーベース塗膜およびクリヤー塗膜と
同時に硬化され得る。
使用する場合、良好な仕上がりの積層塗膜を得るため
に、好ましくは、光輝剤含有ベース塗料を塗装した後、
後述するクリヤー塗料を上に塗装する前に、塗膜を60〜
100℃で2〜10分間加熱しておくことが好ましい。
後にクリヤー塗料を塗装する。クリヤー塗料は、一般
に、熱硬化性の被膜形成性樹脂および硬化剤を含有す
る。クリヤー塗料での使用に好適な熱硬化性の被膜形成
性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、アクリ
ル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹
脂等が挙げられる。クリヤー塗料中に含まれる前記樹脂
は、アミノ樹脂および/またはブロックイソシアネート
樹脂等の硬化剤と組み合わせて使用することが好まし
い。得られるクリヤー塗膜の透明性あるいは耐酸エッチ
ング性等の観点から、クリヤー塗料中には、アクリル樹
脂および/またはポリエステル樹脂とアミノ樹脂との組
み合わせ、あるいはカルボン酸−エポキシ硬化系との組
み合わせ等を使用することが特に好ましい。
の全固形分含有量は、20〜70重量%、好ましくは35〜65
重量%である。また、このクリヤー塗料は、塗装時に、
塗料中の全固形分含有量が10〜65重量%、好ましくは20
〜60重量%となるように調整される。塗装時の前記塗料
中の全固形分含有量が65重量%を超えると、塗膜外観が
低下し、10重量%未満であると、粘性が低すぎてなじみ
やムラ等の外観不良が発生する。
ように、塗装後でかつ未硬化の光輝剤含有ベース塗料上
に、静電塗装やエアースプレー塗装等の既知の方法によ
って、乾燥膜厚10〜60μm、好ましくは20〜50μmとなる
ように塗装されることが好ましい。クリヤー塗料の乾燥
膜厚が60μmを超えると、塗装時にワキまたはタレなど
の不具合が発生することがあり、10μm未満であると、
先に塗装されたカラーベース塗料および光輝剤含有ベー
ス塗料の層の表面凹凸が十分に被覆されないため、平滑
な積層塗膜が得られない。
は、先に塗装された未硬化のカラーベース塗料および光
輝剤含有ベース塗料と共に、約120〜160℃の温度におい
て10〜30分間加熱硬化することにより、カラーベース塗
膜、光輝剤含有ベース塗膜およびクリヤー塗膜を同時に
形成できる。この方法によれば、得られた積層塗膜の外
観および塗膜性能がより優れたものとなり得る。しかし
ながら、所望により、クリヤー塗料は、カラーベース塗
料および光輝剤含有ベース塗料をそれぞれ加熱し硬化し
て塗膜形成した後、その上に塗装され、加熱されて硬化
されてもよい。
ベース塗料上にウエットオンウエットで塗装されるため
に、好ましくは、先に光輝剤含有ベース塗料について記
載した粘性制御剤を、塗料中の樹脂固形分100重量部に
対し、0.01〜10重量部、より好ましくは0.02〜8重量
部、最も好ましくは0.03〜6重量部の量で含んでいてよ
い。クリヤー塗料への粘性制御剤の添加量が10重量部を
超えると、塗膜の外観が低下し、0.01重量部未満である
と、十分な粘性制御効果が得られないために、未硬化の
塗料の間(すなわち、光輝剤含有ベース塗料とクリヤー
塗料の間)でなじみや反転を引き起こすことがあり、ま
た、クリヤー塗膜にタレや流れが発生することもある。
必要に応じて、硬化触媒、表面調整剤などの添加剤を含
有していてよく、また、有機溶剤型または水性型塗料
(水溶性、水分散性またはエマルションの形態)、非水
分散型塗料あるいは粉体塗料のいずれの形態であっても
よい。
の方法で使用される各塗料の製造方法は特に限定される
ものではない。各塗料はいずれも、顔料を含む全成分を
ニーダーまたはロール等を用いて混練および/または分
散することを包含する当該分野において従来既知の製造
方法に従って製造できる。
膜は、例えば、前記工程(ii)において、カラーベース塗
料および/または光輝剤含有ベース塗料を少なくとも1
回塗装し、より好ましくは2回以上重ね塗りして得られ
るものを含む。本発明の積層塗膜の膜厚は、通常30〜30
0μm、好ましくは50〜250μmであり得る。本発明の積層
塗膜の膜厚が300μmを超えると冷熱サイクル等の塗膜物
性が低下し、30μm未満であると、塗膜の強度が低下す
るため、いずれも好ましくない。
より詳細に説明する。以下の製造例、実施例および比較
例において使用される%および部はいずれも、重量%お
よび重量部を表すものとする。調製例:架橋性樹脂粒子の製造 撹拌加熱装置、温度計、窒素導入管、冷却管およびデカ
ンタを装備した反応容器に、ビスヒドロキシエチルタウ
リン213重量部、ネオペンチルグリコール208重量部、無
水フタル酸296重量部、アゼライン酸376重量部およびキ
シレン30重量部を仕込んで還流温度まで昇温した。ここ
で、反応により生成した水は、キシレンと共沸させて除
去した。還流開始より約3時間かけて反応系内の温度を
210まで上げて、樹脂固形分のカルボン酸相当の酸価
が、135mgKOH/gとなるまで、撹拌および脱水し
ながら反応させた。
シェル社製:商品名「カージュラーE10」(バーサテ
ィック酸グリシジルエステル)500重量部を30分かけて
滴下した。その後、約2時間撹拌した後、反応を終了さ
せた。これにより、樹脂固形分の酸価が55mgKOH/
gおよびヒドロキシル価が91mgKOH/gであり、数
平均分子量が1,250の両性イオン基含有ポリエステル樹
脂を得た。
脂10重量部、脱イオン水140重量部、ジメチルエタノー
ルアミン1重量部、スチレン50重量部およびエチレング
リコールジメタクリレート50重量部を、ステンレス鋼製
ビーカー中で激しく撹拌することにより、モノマー懸濁
液を調製した。また、アゾビスシアノ吉草酸0.5重量
部、脱イオン水40重量部およびジメチルエタノールアミ
ン0.32重量部を混合することにより、開始剤水溶液を別
途調製した。撹拌加熱装置、温度計、窒素導入管および
冷却管を装備した反応容器に、両性イオン基含有ポリエ
ステル樹脂5重量部、脱イオン水280重量部およびジメ
チルエタノールアミン0.5重量部を仕込んで80℃まで昇
温した。ここへ、先に調製したモノマー懸濁液251重量
部と開始剤水溶液40.82重量部とを同時に60分かけて滴
下し、さらに60分間反応を継続した後、反応を終了させ
て、架橋性樹脂粒子エマルションを得た。
は、動的光散乱法での測定により55nmであった。この
架橋性樹脂粒子エマルションにキシレンを加え、減圧下
で共沸蒸留することにより、水を除去して媒体をキシレ
ンに置換した。こうして、構造粘性付与剤として機能し
得る、樹脂固形分含有量が20重量%の架橋性樹脂粒子の
キシレン溶液を得た。
の組成を、下記の配合量で混合して、ライトブラウン色
のカラーベース塗料(A)を得た。塗料中の樹脂固形分
に対する顔料含有量は49重量%であった。 組 成 配合量(重量部) グラフィタン7525(チバガイギー社製、 0.20 鱗片状グラファイト顔料;平均粒径5μm) 酸化チタン顔料 50.00 酸化鉄レッド顔料 0.02 透明酸化鉄イエロー顔料 0.10 熱硬化性アクリル樹脂(日本ペイント社製;水酸基価45、 70.0 酸化15、数平均分子量21,000、樹脂固形分50重量%) ブチル化メラミン樹脂(樹脂固形分60重量%) 25.0 調製例で調製した構造粘性付与剤(樹脂固形分20重量%) 7.5 n−ブタノール 4.0 キシロール 19.5トルエン 12.8 合 計 189.12
を得た。 組 成 配合量(重量部) パールグレイスSME-90-9(日本光研社製、マイカ粉) 2.0 熱硬化性アクリル樹脂(日本ペイント社製;水酸基価50、 38.4 酸化15、数平均分子量15,000、樹脂固形分60重量%) ブチル化メラミン樹脂(樹脂固形分60重量%) 25.3 調製例1で調製した構造粘性付与剤(樹脂固形分20重量%) 12.5 n−ブタノール 3.0 キシロール 12.6トルエン 6.2 合 計 100.00
×横40cm)表面上に、「パワートップU-50」(日本ペ
イント社製カチオン型電着塗料)を乾燥膜厚が20μmと
なるように電着塗装した後、160℃で30分間焼き付ける
ことにより、電着塗膜を形成した。次に、前記電着塗膜
全面に、グレーの中塗り塗料である「オルガP-2グレ
ー」(日本ペイント社製;ポリエステル・メラミン樹脂
系塗料)を、乾燥膜厚が30μmとなるようにスプレー塗
装した後、5分間インターバルを置いた。さらに、中塗
り塗装された鋼板の約1/3(すなわち、鋼板の端から
10cm程度の幅)の領域上に、サッシュ用ブラック塗料
「オルガP−2#6010」(日本ペイント社製;ポリ
エステル・メラミン樹脂系塗料)を乾燥膜厚が10μmと
なるようにスプレー塗装し、10分間インターバルを置い
た。その後、140℃で20分間焼き付けて、電着塗膜、中
塗り塗膜およびサッシュ用ブラック塗膜から成る下地塗
膜を得た(図1(a)参照)。次に、得られた下地塗膜全
面に上記で調製したカラーベース塗料(A)を塗装し
た。ここで、カラーベース塗料(A)は、塗装前に、ト
ルエン/酢酸エチル/S−150/プロピレングリコー
ルモノメチルエーテルアセテート=40/25/15/20を用
いて、粘度:18秒/#3フォードカップ/20℃に予め希
釈したものを使用し、図1(b)に示すように、サッシュ
用ブラック塗膜を形成した長さ方向と直交する軸方向に
乾燥膜厚0〜20μmの勾配塗膜が得られるようにスプレ
ー塗装した。
に、上記光輝剤含有ベース塗料(B)を「オートRE
A」(ランズバーグ社製エアー静電塗装機)を用いて乾
燥膜厚が15μmとなるようにウエットオンウエットで塗
装した。ここで、光輝剤含有ベース塗料(B)は、塗装
前に、トルエン/酢酸エチル/プロピレングリコールモ
ノメチルエーテルアセテート=50/30/20を用いて、粘
度:18秒/#3フォードカップ/20℃に予め希釈したも
のを使用した。5分間のインターバル後、この光輝剤含
有ベース塗料(B)上に、S−100/S−150=40
/60を用いて粘度を予め22秒/#4フォードカップ/20
℃に調整したクリヤー塗料「スーパーラックO-150クリ
ヤー」(日本ペイント社製;アクリル・メラミン樹脂硬
化系塗料)を乾燥膜厚が30μmとなるようにウエットオ
ンウエットでスプレー塗装した。その後、140℃で20分
間焼き付けて、下地塗膜上に、勾配塗装されたカラーベ
ース塗膜、光輝剤含有ベース塗膜およびクリヤー塗膜か
ら成る積層塗膜を形成した。
測定試験、(II)カラーベース塗膜の着色感評価試験およ
び(III)最低隠蔽膜厚測定試験を行なった。 (I) 色差(ΔE)測定試験 先ず、鱗片状グラファイト顔料を使用しないこと以外は
実施例1(1)の記載と同様にして、対照用カラーベース
塗料を調製した。カラーベース塗料(A)の代わりにこ
の対照用カラーベース塗料を用いて、上記実施例1と同
様の手順で対照用積層塗膜を形成した。実施例1の積層
塗膜のグレー中塗り塗膜上部に相当する箇所での各明度
を、ミノルタ社製「CR−300」色彩色差計により測
定した。次に、上記対照用積層塗膜についても同様の手
順で明度を測定した。これらの明度の差の絶対値をハン
ター色差(ΔE)とした。結果を表1に示す。 (II) カラーベース塗膜の着色感評価試験 前記積層塗膜において、グレー中塗り塗膜とサッシュ用
ブラック塗膜との境界の、カラーベース塗膜の乾燥膜厚
が15〜20μmとなる部位で、着色感を目視観察し、以下
の判定基準に従って評価した。評価結果を表1に示す。判定基準; 5:下地が全く透けておらず、完全に隠蔽されている。 4:わずかにグレーおよび/または黒色が透けて見える
が、問題無し。 3:グレーおよび/または黒色がかすかに透けて見え
る。 2:グレーおよび/または黒色が透けて見える。 1:グレーおよび/または黒色がかなり透けて見える。
域の上部において、下地の色(グレーまたは黒色)を隠
蔽し得るカラーベース塗膜の最低隠蔽膜厚(μm)を測
定した。結果を表1に示す。
ク顔料(デグサカーボンFW−200P、デグサ社製;
平均粒径13nm)0.07重量部を使用したこと以外は、実
施例1(1)と同様にして比較用カラーベース塗料(A')
を調製した。カラーベース塗料(A)の代わりに前記カ
ラーベース塗料(A')を用いたこと以外は全て実施例
1と同様にして、積層塗膜を形成し、上記評価試験
(I)〜(IV)を行なった。結果を表1に示す。
料(1260M−S、東洋アルミニウム社製;平均粒径
8μm)0.20重量部を使用したこと以外は、実施例1と
同様にして比較用カラーベース塗料(A'')を調製し
た。カラーベース塗料(A)の代わりにカラーベース塗
料(A'')を用いたこと以外は全て実施例1と同様にし
て、積層塗膜を形成し、上記評価試験(I)〜(IV)を行
なった。結果を表1に示す。
ファイト顔料を含有するカラーベース塗料を用いて形成
した積層塗膜は、従来既知のカーボンブラック顔料やア
ルミニウム顔料を添加したカラーベース塗料(A')ま
たは(A'')と比べて色相がより明るく、また下地隠蔽
性にも優れていることが分かる。
量の鱗片状グラファイト顔料を含有させることにより、
上塗り塗膜の色相が暗くならず、下地隠蔽性が顕著に向
上する。このカラーベース塗料を用いることで、下地に
セット中塗り塗膜またはカラー中塗り塗膜の上にさらに
サッシュ用ブラック塗料を使用した場合でも、積層塗膜
の均一な発色化が可能となり、外観異常や色相のズレも
発生しない。本発明の鱗片状グラファイト顔料含有ベー
ス塗料は最低隠蔽膜厚が非常に小さいことから、積層塗
膜をライン内で補修する場合もより効率的にかつ効果的
に補修することができる。
膜の構造を表す斜視図である。
塗り塗膜、4…サッシュ用ブラック塗膜、5…カラーベ
ース塗膜、6…光輝剤含有ベース塗膜、7…クリヤー塗
膜、10…上塗り積層塗膜。
Claims (4)
- 【請求項1】 基材上に形成されたプライマー塗膜上
に、 (i)中塗り塗料を塗装した後、加熱硬化することにより
中塗り塗膜を形成する工程、および(ii)前記中塗り塗膜
の上に、白色顔料および鱗片状グラファイト顔料を含有
するカラーベース塗料、光輝剤含有ベース塗料およびク
リヤー塗料を順にいずれもウエットオンウエットで塗装
した後、加熱して硬化することにより、カラーベース塗
膜、光輝剤含有ベース塗膜およびクリヤー塗膜を同時に
形成する工程を含む光輝剤含有積層塗膜の形成方法にお
いて、カラーベース塗料が、グラファイト顔料を、全白
色顔料100重量%に対し0.01〜10.0重量%の量で含有す
ることを特徴とする積層塗膜の形成方法。 - 【請求項2】 前記工程(i)が、 (i')中塗り塗料を塗装し、さらにその上にサッシュ用ブ
ラック塗料をウエットオンウエットで塗装した後、加熱
して硬化することにより中塗り塗膜およびサッシュ用ブ
ラック塗膜を同時に形成する工程である請求項1記載の
積層塗膜の形成方法。 - 【請求項3】 請求項1または2のいずれかに記載の方
法により形成された積層塗膜。 - 【請求項4】 請求項3記載の積層塗膜を有する物品。
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