JP2000156342A - 電子線描画システムおよびその制御方法 - Google Patents

電子線描画システムおよびその制御方法

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JP2000156342A
JP2000156342A JP37531198A JP37531198A JP2000156342A JP 2000156342 A JP2000156342 A JP 2000156342A JP 37531198 A JP37531198 A JP 37531198A JP 37531198 A JP37531198 A JP 37531198A JP 2000156342 A JP2000156342 A JP 2000156342A
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Mitsuko Shimizu
水 みつ子 清
Takayuki Abe
部 隆 幸 阿
Hiroto Yasuse
瀬 博 人 安
Susumu Oki
木 進 大
Takashi Kamikubo
貴 司 上久保
Eiji Murakami
上 英 司 村
Yoshiaki Hattori
部 芳 明 服
Tomohiro Iijima
島 智 浩 飯
Hitoshi Higure
暮 等 日
Kazuto Matsuki
木 一 人 松
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 近接効果の補正計算エラー等の異常の有無を
自己診断するとともに、異常箇所の特定を容易にする電
子線描画システムおよびその制御方法を提供する。 【解決手段】 基板の表面に電子線を照射して所望の図
形パターンを描画する電子線描画手段2と、近接効果の
影響を考慮して描画図形パターンに対応する電子線の照
射量を補正した補正照射量を描画領域中の小領域毎に算
出する補正照射量演算手段40とを備えた電子線描画シ
ステム60において、上記補正照射量で電子線を照射し
た場合に基板に蓄積されるエネルギー量を算出し、この
エネルギー量を所定の理論値と比較して誤差を算出し、
補正照射量演算手段40の動作の精度を判断する制御手
段37と、表示手段67と、上記補正照射量を可視的に
階層化した情報を上記小領域毎に表示手段67に表示さ
せるデータ検証支援手段61とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子線描画システ
ムおよびその制御方法に関し、特に、ビーム照射に伴っ
て発生する反射電子の影響による近接効果の補正を高速
かつ高精度で行うとともに、計算エラー等の異常の有無
を自己診断し、異常箇所の特定を容易にする電子線描画
システムおよびその制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体装置のより一層の高集積度化に伴
い、電子ビームを用いてウェーハやレチクル等の基板に
図形パターンを描画する技術が開発されている。
【0003】まず、従来の電子線描画システムにおい
て、電子線描画装置固有のデータ形式である描画用デー
タを作成する手順の一例を図面を参照しながら説明す
る。なお、以下の各図において同一の部分には同一の参
照番号を付してその説明を適宜省略する。
【0004】図57は、従来の技術において描画用デー
タを作成する場合の手順を示すフローチャートである。
【0005】まず、CAD(Computer Aided Design)
により描画すべき図形パターンのCADデータが作成さ
れる(ステップS200)。このCADデータは、デー
タ変換1により中間フォーマット1のデータに変換され
る(ステップS210)。この中間フォーマット1は、
汎用性の高い形式となる場合が多い。中間フォーマット
1のデータは、さらに変換2によって中間フォーマット
2に変換される(ステップS220)。データ変換2で
は、図形パターンの白黒反転、リサイズ、倍率調整、重
なり除去、デザインルールチェック等の図形パターン調
整が行われる。このデータ変換2に要する時間は膨大で
あり、例えば、ロジックLSI等の遮光マスク基板に描
画する図形パターンの変換には、数時間〜数十時間もの
時間を要する。従って、電子線描画システム用のデータ
を作成するにあたり、このデータ変換2が最も時間を消
費する。その後、データ変換2によって出力された中間
フォーマット2のデータは、データ変換3により描画用
データに変換される(ステップS230)。この描画用
データは、電子線描画装置用の図形パターンのデータ配
置情報(以下チップレイアウトデータという)とともに電
子線描画装置へ供給される(ステップS240)。これ
らのデータによって、電子線描画装置が所望の図形パタ
ーンを描画する(ステップS250)。
【0006】電子ビームを用いた図形パターン描画にお
いては、電子ビームの照射を受けた基板から発生する反
射電子(後方散乱電子・前方散乱電子)によって、近接
した図形の露光量が増加する。例えば、図58の模式図
に示すように、基板310上に図形パターンを描画する
ため、ある点Pに電子ビーム311を照射すると、点P
上に供給された照射エネルギーにより、基板310から
反射電子(後方散乱電子・前方散乱電子)が発生する。
この反射電子の発生量は、点Pを最大値とし、点Pから
の距離に比例して小さくなるため、そのエネルギー31
2は、あたかも点Pを中心とする同心円でなる等高線を
なすように分布し、例えば、加速電圧50kVの電子線
描画システムの場合では後方に散乱された電子が入射点
Pから約10〜20μm(後方散乱径σb)の範囲に影
響する。従って、同じ照射量であっも、密集図形パター
ンと孤立図形パターンとでは、実際の露光量が異なって
くる。これが近接効果と称される現象であり、この近接
効果の影響により所望の図形パターン形状の劣化、寸法
の変化等が発生する。従って、図形パターンの微細化に
伴い、露光量を補正してこの近接効果の影響を抑制する
ことが重要な課題となっている。
【0007】このような課題に対処し、露光量を補正す
る方法のひとつとして、照射量補正法がある。これは、
場所によって照射量を変化させることにより照射量を補
正する方法であり、ウェーハ直接描画で主に利用されて
きた。この場合、補正照射量の算出は電子線描画システ
ムの外部で汎用計算機を使用し、ハードウェアまたはソ
フトウェアによって行われる。
【0008】一方、レチクル描画では、電圧を下げる等
の方法により近接効果の発生を抑制してきた。
【0009】近年、レチクル描画でも微細な図形パター
ンの作成が必要となり、従来のように低い電圧での図形
パターン描画は、不可能となりつつある。このため、高
電圧での描画が必須となり、レチクル描画でも照射量補
正法による近接効果補正が必要となってきた。
【0010】この近接効果を補正する手段としては、Jo
urnal of Vacuum Science and Techno1ogy B4, 159(198
6)(J.M.Parkovich)、特願平8−36441などが挙げ
られる。これらの方法では、電子線が後方に散乱される
範囲内にある図形パターンの有無によって電子線の最適
な照射量を計算する。図59は、この近接効果補正方法
の概略を示す模式図である。例えば、同図に示す図形パ
ターン340f内の点Qにおける最適照射量を求めるに
は、周辺の図形パターン340a〜340eのうち後方
散乱径σb内の領域からの後方散乱の影響を考慮しなけ
ればならない。つまり、近接効果補正計算を行なうに
は、照射される図形パターンだけでなく、照射される図
形パターンの周辺に存在する図形パターンの情報も必要
となる。近接効果補正は、ソフトウェアを用いたデータ
処理により、または電子線描画システム内のハードウェ
アによって行われる。
【0011】しかしながら、従来のソフトウエアによる
補正照射量を求める方式でレチクル描画用の近接効果補
正を行うと、補正処理すべきデータが大量であるため、
大量の計算時間が必要である。そこで補正計算は、ウェ
ーハ直接描画の場合と同様に電子線描画システム外部の
高速の計算機を利用し、並列処理を利用するなどして処
理時間の短縮を図っていた。
【0012】ハードウェアによる解決法のひとつとし
て、電子線描画システム内にリアルタイム近接効果補正
回路を備える方法がある。リアルタイム近接効果補正回
路の形態として、第1の例は、レチクル上の図形パター
ンすべてを一括して補正処理し、これに基づいて描画す
るものがある。しかし、この方法では、レチクル全域の
補正がすべて終了するまで描画できないため、電子線描
画システム全体のスループットが低下する。第2の例
は、描画用データを帯状に分割したストライプを単位に
補正と描画とをパイプライン処理で行う方法である。こ
の方法では、描画と補正とを並列で処理するため、第1
の例に比べ、電子線描画システムのロスタイムは大幅に
低減する。なお、これらの例において、最適照射量のデ
ータは、いずれも数μm程度の領域毎に設定される。
【0013】リアルタイム近接効果補正回路により算出
された補正照射量で描画した場合の照射量分布の一例を
図60に示す。同図に示すイメージ画像320は、周辺
に他の図形パターンが近接していない孤立図形パターン
321と2つの正方形の頂点近傍を接続させた形状の図
形パターン322に対して補正照射量を算出して描画し
た場合の照射量分布を示したものである。同図に示すよ
うに、図形パターン321よりも図形パターン322の
方が近接効果による影響が大きいため、図形パターン3
22内および図形パターン322周辺の照射量が小さ
く、特に、図形パターン322内では非常に小さい照射
量となっている。
【0014】複数の半導体チップの図形パターンを同一
基板上に描画する場合、近接効果の影響が及ぶ距離σb
よりも短い間隔で相互に配置されたチップ間では、従来
は近接効果の影響が描画用データに反映されていなかっ
た。これは、それぞれのチップ領域内に限ってのみ近接
効果補正を行っていたからである。従って、後方散乱径
σbよりも短い間隔でチップを配置した場合、各チップ
端部の図形パターンで近接効果の影響が現れてしまい、
この部分で目標とする精度を得ることができなかった。
【0015】そこで、このようなチップ端部における近
接効果の影響を避けるため、CADデータの段階で複数
チップを1チップにまとめる(マージする)方法が考え
られた。
【0016】しかし、CADデータの段階にまで遡って
複数チップを1チップにマージするためには、まず、必
要な各チップをCADデータ上で1つにマージし、デー
タ変換1、2、3(図57参照)を介して1つのチップ
データを作り上げなくてはならない。
【0017】ここで、前述したとおり、データ変換2で
は図形パターンの白黒反転、リサイズ、倍率調整、重な
り除去、デザインルールチェック等が行われるため、膨
大な処理時間が必要となる。さらに1チップにマージす
ることによりチップサイズおよびデータ量がさらに膨大
となり、各チップ毎でデータ変換2の処理を行った場合
の処理時間の総和よりも、1チップにマージした上でデ
ータ変換2の処理を行う場合の方が変換に要する時間が
多くなる場合もある。さらにデータ量が増加したため
に、その後のデータ操作にも影響を及すことがあり、例
えば、電子線描画システムが備える記憶装置で容量不足
が発生したり、データ転送速度が律速するなどの事態が
発生する。
【0018】このように、従来のデータ作成過程で同一
基板上に複数チップを配置する場合では、近接効果補正
を各チップ単位で行うとき、隣接して配置された各チッ
プの端部では近接効果補正を行うことができず、この一
方、隣接して配置されたチップの全領域で近接効果補正
をそれぞれ反映させるために、これらのチップを1つの
チップにマージする場合は、別途CADデータから変換
を行わなければならないので膨大な処理時間を必要とし
ていた。
【0019】また、前述した、Journal of Vacuum Scie
nce and Techno1ogy B4, 159(1986)(J.M.Parkovich)、
特願平8−36441で示された方法は、より具体的に
は後方散乱径σb程度の範囲内にある図形パターンの描
画密度や近接効果補正パラメータによって電子線の最適
な照射量を計算するものである。計算に用いる補正パラ
メータとしては、(後方散乱係数、後方散乱径)=(η、
σb)と、前方散乱による項などがある。補正を行なうた
めには、近接効果補正パラメータを前もって実験によっ
て求めなければならない。従来の近接効果補正パラメー
タの設定方法について図面を参照しながら簡単に説明す
る。
【0020】従来の方法では、図形パターン描画密度の
異なる図形パターンをそれぞれ照射量を変えて描画す
る。例えば、図61(a)のような図形パターン351
〜354について説明する。まず、近接効果補正を行う
ことなく、これらの図形パターンを現像し、またはエッ
チングの工程まで処理した後、それぞれの仕上がり寸法
を測定する。測定は各図形パターンの中心部で行う。こ
の測定結果を図61(b)に示す。この測定結果に基づ
いて、それぞれの図形パターンに対して設計寸法通りに
仕上がる最適照射量を求めることができる。このように
して得られた測定結果を、下記の1)、2)等で示され
る補正式
【0021】
【数1】 に代入することによって近接効果補正パラメータを設定
していた。ここで、Dは最適照射量、D0は定数であ
る。Uは図形パターン中心領域で一定となり、ほぼ図形
パターン描画密度に等しくなる。このようにして近接効
果補正パラメータを見積もった後、近接効果補正パラメ
ータη、σbを実際に変化させながら描画して、補正が
有効か否かを確認することにより評価する。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、以下に
詳述するとおり、従来の電子線描画装置では一枚の基板
上で複数の近接効果補正パラメータを振ることができな
かった。
【0023】図57に示した従来の描画用データ作成手
順のステップS240において、電子線描画装置に供給
されるチップレイアウト情報には、各チップの配置位
置、照射量、近接効果補正パラメータの定義等が含まれ
るが、従来の描画装置では、近接効果補正パラメータ
は、レイアウト内のすべてのチップで同一となってい
た。これは、一度の描画に対して単一の近接効果補正パ
ラメータ情報しかハードウェアに入力できなかったから
である。従って、近接効果補正パラメータを実験で求め
るにはパラメータの数と同数の基板を用意して、それぞ
れの基板に対してそれぞれの近接効果補正パラメータを
設定して補正処理を行なって描画し、評価しなければな
らない。このような場合には、基板間でプロセスのばら
つきの影響等を受けることになる。プロセスのばらつき
の主な原因としては、現像温度、エッチング温度、現像
時間、エッチング時間のばらつきなどがある。さらに、
評価に用いる基板枚数も非常に多くなるため、これに伴
って、評価に要する時間、費用も大きくなる。
【0024】このように、従来の方法では、複数の近接
効果補正パラメータを一度に振りながら描画することが
不可能であった。
【0025】また、描画すべき図形の中には、全描画領
域をストライプで分割した結果、隣接する2つのストラ
イプの境界線で分割されることになる図形(以下、飛出
図形という)も含まれる場合がある。このような飛出図
形はその一部が、あるストライプの外に飛出していて
も、所定の範囲内であればそのストライプに含めて描画
する場合がある。上述した第1の例のように、全面で補
正計算を行う場合は、そもそもストライプの内外の区別
がないため問題になることはない。ただし、装置全体の
パフォーマンスは低いままである。ところが、補正計算
をストライプ単位で実施する第2の例の場合に問題が生
じる。即ち、飛出図形のうち、ストライプから飛出した
部分に対しては、近接効果補正計算のための補助領域が
定義されていないため、正確な補正照射量を算出するこ
とができない。このため、ストライプの領域と同一の領
域に含まれる図形パターンのみについて補正照射量デー
タを出力することになり、飛出した領域の図形パターン
を考慮して補正照射量を設定することができなかった。
【0026】例えば、図62に示す図形パターンにおい
て、全描画領域を描画装置の主偏向器および副偏向器の
最大偏向幅で定義されるストライプであるフレームで分
割した場合、サブフィールドA内に配置された図形パタ
ーン151は、フレーム1とフレーム2の境界線で分割
されることになる。フレーム毎に補正照射量を算出する
場合に、この図形パターン151についてはフレーム1
に属する領域とフレーム2に属する領域はそれぞれ別個
に補正照射量が算出される。この結果、隣接するフレー
ムに属する図形パターンによる近接効果の影響が考慮さ
れないので、図形パターン151は2つのフレームの境
界領域において寸法精度が劣化し、同一図形パターンを
描画することができないという問題点があった。
【0027】一方、近接効果補正とは別に、近年、図形
パターンの寸法精度や位置精度を高めるための技術とし
て、多重描画技術が利用されている。多重描画方法は各
種存在するが、その中のひとつにストライプを所定の距
離だけずらしながら描画する方法がある。この多重描画
方法と上述の近接効果補正の第1の例とを組み合わせて
実行する場合は、レチクル全域の照射時間が算出されて
いるので、ストライプを多重描画する上で特に問題は発
生しない。しかし、上述したとおり、補正計算に要する
時間が膨大であるため、システムのロスタイムとなる問
題は存続する。
【0028】また、ストライプ多重描画と第2の例とを
組合わせる場合は、近接効果補正処理をストライプ毎に
個別に処理するため、次のような問題が発生する。即
ち、描画用データの段階でストライプ数がn個(nは自
然数)あるものとすると、4回の多重描画を行う場合で
は、4nストライプ分の補正が必要となる。このため、
4nストライプ分に対応して補正回路の処理速度を向上
させなければならないため、多重描画については、近接
効果補正回路を効果的に組込むことが困難であった。ま
た、前述したようなストライプから飛び出した図形パタ
ーンについても近接効果補正をするために、照射量デー
タの領域を広げた場合は、多重描画のための中間フレー
ムに対応する照射量データの座標がずれて、正確な設定
ができない、という問題点もあった。
【0029】さらに、以上のような近接効果の補正、即
ち、補正照射量またはこの補正照射量を算出するための
データを算出する際には、ハードウエアまたはソフトウ
ェアに起因する計算エラーの問題が発生する可能性があ
る。この計算エラーの原因は、ディジタル回路に発生す
るノイズや回路内の接触不良、ソフトウェア上のバグな
どがあげられる。
【0030】図63に示すイメージ画像330は、図6
0に示す図形パターン321,322と同一の図形パタ
ーンについて計算ミスが発生した場合の照射量分布の一
例を示す。図形パターン322については片方の正方形
状に対する適正照射量の演算処理が欠如しており、ま
た、図形パターン321については細長形状のうち、一
端と、他端の近傍にのみ適正照射量の演算処理がなされ
ている。また、図形パターン322の周囲には、ソフト
上のバグが原因と思われるエラー325が数箇所現れて
いる。
【0031】このような計算エラーによる図形パターン
のエラーは、レチクル上に数箇所〜数百箇所にわたって
寸法誤差数十nm程度の誤差として現れる。さらに、こ
れらの誤差は、処理すべき図形パターンの規模、面積に
比例して増加する傾向があり、面積の大きいレチクルを
作成する場合、特に顕著にあらわれる。
【0032】このような寸法誤差を伴って作成されたレ
チクルは、その誤差が許容限界を超えている場合、本来
は使用不能である。しかし、現状では、10cm×10
cmの広い領域中で数箇所〜数百箇所の数十nmの寸法
誤差エラーを検知する高速・高精度の計測装置は存在し
ない。そのため、算出された補正照射量の精度は、主と
して、単純試験図形パターンの手計算で行われた照射量
の検出結果と比較することにより確認されていた。
【0033】しかしながら、補正照射量の算出を電子線
描画システム外部の汎用計算機で処理する場合は、計算
結果の確認を比較的容易に行うことができるが、これに
対して、電子線描画システム内部のハードウェアによる
補正では、計算結果算出直後にこのデータを利用して描
画を行うため、結果の確認を行うタイミングがない。従
って、計算結果の検証は、困難または不可能であった。
【0034】また、計算エラーによる図形パターンのエ
ラーが発見された場合に、エラーが生じた箇所を特定す
るためには、補正照射量の演算に伴う小領域(メッシ
ュ)毎の図形面積や後方散乱寄与分等、データファイル
の内容を確認する必要がある。
【0035】しかしながら、従来は、小領域毎の座標
(メッシュ座標)とその該当データを数値で表示するダ
ンプ出力が主な手段であった。このようなダンプ出力に
よる描画用データ確認方法は、試験的な微少領域1個〜
数百個程度のデータ数においては問題ないが、実用レベ
ルでは約数億個のデータ数である。この膨大なデータ数
のため、ダンプ形式では、表示に時間が掛かるばかりで
なく、必要なデータの検索、異常箇所の検出、またデー
タの正当性の確認等に大変な時間と労力を要していた。
【0036】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
であり、その目的は、隣接して配置された各チップに対
しても短時間で近接効果の影響を考慮した照射量補正を
行って描画することができる電子線描画システムおよび
その制御方法を提供することにある。
【0037】本発明はまた、それぞれに近接効果補正パ
ラメータが割当てられた複数のチップデータについて近
接効果の影響を考慮して照射量を一度に補正して一つの
基板に対し描画できる電子線描画システムおよびその制
御方法を提供することをも目的とする。
【0038】本発明はまた、多重描画と近接効果補正と
を両立させつつ高速での補正処理が可能な電子線描画シ
ステムおよびその制御方法を提供することをも目的とす
る。
【0039】本発明はまた、多重描画においてフレーム
単位で近接効果補正を実施する場合に、高精度の補正を
実現する電子線描画システムおよびその制御方法を提供
することをも目的とする。
【0040】さらに、本発明の目的はまた、近接効果補
正の処理における計算エラー等の異常の有無を自己診断
し、さらに異常箇所の特定を容易にする電子線描画シス
テムおよびその制御方法を提供することにもある。
【0041】
【課題を解決するための手段】本発明は、以下の手段に
より上記課題の解決を図る。
【0042】即ち、本発明(請求項1)によれば、図形
パターンのデータに所定の変換処理をした描画用データ
に基づいて基板の表面に電子線を照射して上記図形パタ
ーンを描画する描画手段と、この電子線の照射により上
記基板の表面に発生する反射電子により近接した図形の
露光量が増加する近接効果の影響を考慮して上記図形パ
ターンに対応する上記電子線の照射量を補正した補正照
射量を算出する近接効果補正演算手段と、上記図形パタ
ーンデータを上記描画用データにするための中間データ
に変換するデータ変換手段と、隣接する第1の領域の上
記図形パターンのデータから変換された上記中間データ
を結合して上記第1の領域よりも大きい第2の領域の図
形パターンに対応する被結合中間データを作成する中間
データ結合手段と、この被結合中間データを上記近接効
果補正演算手段に供給して上記第2の領域で補正演算さ
せ、その演算結果を上記描画手段に供給して上記第2の
領域について連続描画させる制御手段と、を備えた電子
線描画システムが提供される。
【0043】従来の技術では、各チップの描画用データ
を結合した後、白黒反転、リサイズ、倍率調整、重なり
除去およびデザインルールチェック等の処理を改めて行
う必要があったが、本発明にかかる電子線描画システム
によれば、上記データ変換手段により上記図形パターン
データを中間データに変換した後に中間データ結合手段
で上記中間データを結合するので、短時間で第2の領域
の描画用データを作成することができる。
【0044】また、隣接する第1の領域の図形パターン
を結合して第2の領域の図形パターンを作成することに
より、各図形パターンの端部について隣接する図形パタ
ーンの情報を考慮して近接効果補正を行うことができ
る。これにより、各図形パターンの端部に至るまで高い
精度で描画することができる。
【0045】上記制御手段は、上記隣接する第1の領域
の図形パターン相互間の距離を所定の基準値と比較し
て、この距離が上記所定の基準値よりも小さい場合に、
上記中間データ結合手段に上記中間データを結合させる
ことが好ましい。
【0046】また、上記制御手段は、上記図形パターン
データに基づいて描画時間を予測し、上記中間データを
結合することにより描画時間を短縮できると判断した場
合に、上記中間データ結合手段に上記中間データを結合
させるものでも良いまた、本発明(請求項4)によれ
ば、図形パターンのデータに所定の変換処理をした描画
用データに基づいて基板の表面に電子線を照射して上記
図形パターンを連続的に描画できる描画手段と、上記電
子線の照射により上記基板の表面に発生する反射電子に
より近接した図形の露光量が増加する近接効果の影響を
考慮して上記図形パターンに対応する上記電子線の照射
量を補正した補正照射量を算出する近接効果補正演算手
段と、上記図形パターンデータを処理して上記描画用デ
ータに変換するデータ処理手段とを備えた電子線描画シ
ステムの制御方法であって、上記図形パターンデータに
所定の処理をして上記描画用データに至るまでの中間デ
ータを作成し、この中間データを結合して複数の図形パ
ターンを含む被結合中間データを形成して上記近接効果
補正演算手段へ供給し、上記複数の図形パターンについ
て補正演算させてその演算結果を上記描画手段へ供給
し、上記複数の図形パターンについて連続描画させる、
電子線描画システムの制御方法が提供される。
【0047】本発明にかかる電子線描画システムの制御
方法においては、上記図形パターン相互間の距離を所定
の基準値と比較して、この相互間距離が上記所定の基準
値よりも小さい場合に上記中間データを結合することが
好ましい。
【0048】また、上述した電子線描画システムの制御
方法においては、上記図形パターンデータに基づいて描
画時間を予測し、上記中間データを結合することにより
描画時間を短縮できると判断した場合に、上記中間デー
タを結合しても良い。
【0049】また、本発明(請求項7)によれば、基板
の表面に電子線を照射して所望の図形パターンを描画す
る電子線描画手段と、近接効果の影響を考慮して上記電
子線の照射量を補正するための係数である近接効果補正
パラメータを第1の領域を有する半導体チップ単位で設
定してその図形パターンのデータに割付ける近接効果補
正パラメータ設定手段と、上記近接効果パラメータに基
づいて上記半導体チップの図形パターンごとに上記電子
線の最適照射量を算出する最適照射量算出手段と、この
最適照射量算出手段の算出結果を上記電子線描画手段に
供給し、上記基板の表面に複数の上記半導体チップの図
形パターンを描画させる制御手段とを備えた電子線描画
システムが提供される。
【0050】上記近接効果補正パラメータ設定手段によ
り、図形パターン情報および近接効果補正パラメータ情
報をチップごとに上記最適照射量算出手段に入力するこ
とが可能になり、上記最適照射量算出手段は、各半導体
チップの図形パターンについてそれぞれ独立に近接効果
補正を行うことが可能になる。これにより、近接効果補
正パラメータがそれぞれ割当てられた複数の半導体チッ
プを一枚の基板に描画することができる。この結果、そ
れぞれに近接効果補正パラメータを割り当てられた複数
チップ間において、描画後の現像、エッチングなどのプ
ロセス条件もほぼ同一にすることができるので、近接効
果以外の寸法変動による影響を大幅に除去することがで
きる。また、これらの半導体チップに関する評価も一枚
の基板で行うことができるので、評価用基板の数量を削
減できるとともに、評価に要する時間も短縮することが
できる。
【0051】本発明にかかる電子線描画システムは、上
記近接効果補正パラメータを隣接する半導体チップ毎に
照合し、同一の近接効果補正パラメータを有する上記半
導体チップの図形パターンを結合して各図形パターンの
領域の大きさが異なる新たなチップレイアウトを形成す
るチップレイアウト調整手段をさらに備え、上記制御手
段は、上記新たなチップレイアウトに基づいて上記最適
照射量算出手段に最適照射量を算出させ、この算出結果
を上記電子線描画手段に供給して、上記電子線描画手段
に描画させることが好ましい。
【0052】これにより、同一の近接効果補正パラメー
タが割当てられた複数チップについては相互の近接効果
の影響を考慮した照射量補正を一括して処理し、描画す
ることが可能となる。
【0053】また、上記チップレイアウト調整手段は、
上記半導体チップの図形パターン相互間の距離を算出
し、異なる近接効果補正パラメータを有する上記半導体
チップについては、相互の近接効果の影響を免れるよう
に相互間の距離を引離すことが好ましい。
【0054】これにより、相互間で近接効果が及ぶ範囲
内に複数チップが配置された場合に、相互間の距離が近
接効果が及ぶ範囲を超えるように、これらの複数チップ
の配置を調整するので、隣接するチップ端部の図形パタ
ーン間で相互に近接効果の影響が及ぶことを回避するこ
とができる。
【0055】また、本発明(請求項10)によれば、基
板の表面に電子線を照射して所望の図形パターンを描画
する電子線描画手段と、上記図形パターンの情報を格納
する記憶手段と、近接効果の影響を考慮して上記電子線
の照射量を補正する最適照射量演算手段と、を備えた電
子線描画システムの制御方法であって、半導体チップの
図形パターンの配置状況を表すチップレイアウト情報を
上記記憶手段に格納する第1の過程と、上記電子線の照
射量を補正するための係数である近接効果補正パラメー
タを上記半導体チップ毎に設定して上記半導体チップの
図形パターンに対応させて上記記憶手段に格納する第2
の過程と、隣接する半導体チップの図形パターンが相互
の近接効果の影響を免れるように上記チップレイアウト
情報を変更する第3の過程と、上記近接効果補正パラメ
ータに基づいて上記半導体チップ毎に近接効果の影響を
考慮して照射量を補正し、最適照射量を演算する第4の
過程と、上記最適照射量のデータに基づいて複数の上記
半導体チップの図形パターンを上記基板の表面に描画す
る第5の過程と、を備えた電子線描画システムの制御方
法が提供される。
【0056】上記第3の過程は、隣接する半導体チップ
相互の間隔と、相互に近接効果の影響が及ぶ距離とを比
較し、上記間隔が上記距離を下回る場合に、同一の上記
近接効果補正パラメータを有する半導体チップの図形パ
ターン同士は結合して上記半導体チップの領域よりも大
きい領域を有する図形パターンを形成し、異なる上記近
接効果補正パラメータを有する半導体チップの図形パタ
ーン同士は上記間隔が上記距離以上になるように相互に
引離す過程を含むことが好ましい。
【0057】また、本発明(請求項12)によれば、電
子線を偏向する主偏向器及び副偏向器を有し、基板の表
面に上記電子線を照射して所望の図形パターンを上記主
偏向器および副偏向器の最大偏向幅で定義されるストラ
イプに分割してこのストライプ毎に描画する電子線描画
手段と、近接効果の影響を考慮して上記電子線の照射量
を補正した最適照射量を上記ストライプ毎に算出する近
接効果補正演算手段と、上記最適照射量のデータを上記
図形パターンの全領域に至るまで順次格納する記憶手段
と、描画回数毎に上記ストライプを用いた全描画領域の
分割形態を所定の基準位置から上記副偏向の方向に所定
距離だけシフトさせながら、上記記憶手段から上記最適
照射量のデータを各描画回数での各描画ストライプに対
応するように選択的に引出して上記電子線描画手段に供
給し、上記基板の表面に同一の図形パターンを複数回多
重描画させる制御手段と、を備えた電子線描画システム
が提供される。
【0058】本発明にかかる電子線描画システムによれ
ば、多重描画における中間ストライプ用の照射量データ
は、既に算出された、1重描画において前後して描画さ
れる2つのストライプの最適照射量データの分離・結合
により算出することができる。これにより、最適照射量
の算出は、描画用データ上のストライプ毎に行われ、中
間ストライプ用に改めて近接効果補正を演算処理する必
要がない。この結果、上記近接効果補正演算手段は、多
重描画の有無に影響されることなく1重描画の場合の処
理速度で構成することができる。
【0059】上記近接効果補正演算手段は、上記ストラ
イプの領域を格子状に等分割した小領域ごとに最適照射
量を算出し、上記記憶手段は、上記小領域のそれぞれを
上記所定の基準位置を原点とする相対位置のデータとと
もに上記最適照射量のデータを格納し、上記制御手段
は、上記相対位置データに基づいて各描画回数毎に各ス
トライプについて上記記憶手段から上記最適照射量のデ
ータを選択的に引出して上記電子線描画手段に供給する
ことが好ましい。
【0060】上記小領域毎にそれぞれの相対位置データ
に基づいて最適照射量のデータを選択的に引出すことに
より、隣接する2つの描画ストライプの境界線で分割さ
れる図形パターンについて上記最適照射量の連続性を確
保することができる。この連続性がない場合は、1/2
メッシュ分の誤差が発生し、これにより全体として数パ
ーセントの誤差が発生するが、上記構成により、このよ
うな誤差発生のおそれが解消される。
【0061】また、上記制御手段は、上記電子線描画手
段の描画中に、次に描画すべき上記ストライプについて
上記最適照射量のデータを選択することが好ましい。
【0062】また、本発明(請求項15)によれば、電
子線を偏向する主偏向器及び副偏向器を有し、基板の表
面に上記電子線を照射して所望の図形パターンを上記主
偏向器および副偏向器の最大偏向幅で定義されるストラ
イプに分割してこのストライプ毎に描画する電子線描画
手段と、記憶手段とを有し、同一の図形パターンを上記
基板の表面に複数回多重描画する電子線描画システムの
制御方法であって、近接効果の影響を考慮して上記電子
線の照射量を補正した最適照射量のデータを上記図形パ
ターンの全領域に至るまで順次算出して上記記憶手段に
格納する第1の過程と、第1回目の描画については上記
記憶手段に格納された上記最適照射量のデータをそのま
ま引出して上記電子線描画手段に供給する第2の過程
と、第2回目以降の描画については、上記ストライプを
用いた全描画領域の分割形態を所定の基準位置から上記
副偏向の方向に所定距離だけ描画回数毎にシフトさせな
がら、上記記憶手段から上記最適照射量のデータを各描
画回数での各描画ストライプに対応するように選択的に
引出して上記電子線描画手段に供給する第3の過程と、
を備えた電子線描画システムの制御方法が提供される。
【0063】上記電子線描画システムの制御方法によれ
ば、1重描画用のストライプのみについて近接効果の影
響を考慮した最適照射量を算出し、この最適照射量のデ
ータに基づいて多重描画時の中間ストライプ用の照射量
データを作成する。これにより、描画の多重度に影響さ
れることなく、1重描画の場合の処理速度で多重描画に
対応した近接効果補正を処理することができる。この結
果、専用の補正回路を備えていない電子線描画システム
でも、リアルタイムで近接効果の補正処理を行いながら
多重描画による高精度の描画を短時間で行うことができ
る。
【0064】上記第1の過程は、上記ストライプの領域
を格子状に等分割した小領域ごとに上記最適照射量を算
出し、上記小領域のそれぞれについて上記所定の基準位
置を原点とする相対位置を算出し、この相対位置に対応
させて上記小領域毎に上記最適照射量を上記記憶手段に
格納する過程であり、上記第3の過程は、上記相対位置
のデータに基づいて上記最適照射量のデータを選択的に
引出す過程を含むことが好ましい。
【0065】また、上記第2および第3の過程は、上記
電子線描画手段が一描画ストライプについて描画してい
る間に、次に描画すべき上記描画ストライプに対応する
上記最適照射量のデータを上記記憶手段から選択的に引
出すことが好ましい。
【0066】また、本発明(請求項18)によれば、電
子ビームを偏向する主偏向器及び副偏向器を有し、基板
の表面に上記電子線を照射して所望の図形パターンを上
記主偏向器および副偏向器の最大偏向幅で定義される第
1のフレームに分割してこの第1のフレーム毎に描画す
る電子線描画手段と、上記第1のフレームの領域を副偏
向の方向に伸張した第2のフレームごとに上記図形パタ
ーンのデータを分割して演算用データを形成するデータ
変換手段と、このデータ変換手段から上記演算用データ
の供給を受けて、近接効果の影響を考慮して上記電子線
の照射量を補正した最適照射量を算出する補正照射量演
算手段と、上記最適照射量のデータに基づいて隣接する
上記第2のフレームの上記最適照射量データから重複部
分を除去して上記第1のフレームに含まれる図形パター
ンに対応する描画用データを作成して上記描画手段に供
給して描画させ、上記描画手段の描画中は、次に描画す
べき上記第1のフレームの描画用データを形成するとと
もに、描画回数毎に上記第1のフレームを設定する基準
位置を上記副偏向の方向に所定距離だけシフトして多重
描画用データを形成して上記電子線描画手段に供給し、
上記基板の表面に同一の図形パターンを複数回多重描画
させる制御手段と、を備えた電子線描画システムが提供
される。
【0067】また、本発明(請求項20)によれば、電
子線を偏向する主偏向器及び副偏向器を有し、基板の表
面に上記電子線を照射して所望の図形パターンを上記主
偏向器および副偏向器の最大偏向幅で定義される第1の
フレーム毎に描画する電子線描画手段と、近接効果の影
響を考慮して上記電子線の照射量を補正した最適照射量
を算出する補正照射量演算手段とを備えた電子線描画シ
ステムの制御方法であって、上記第1のフレームの領域
を副偏向の方向に伸張した第2のフレームごとに上記図
形パターンのデータを分割して演算用データを形成する
第1の過程と、上記演算用データに基づいて上記図形パ
ターンに対応する電子線照射量のデータを上記補正照射
量演算手段により補正して最適照射量を算出する第2の
過程と、この最適照射量のデータに基づいて隣接する上
記第2のフレームの上記最適照射量データから重複部分
を除去して上記第1のフレームに属する図形パターンに
対応する描画用データを形成する第3の過程と、上記第
1のフレームを設定する基準位置を描画回数毎に上記副
偏向の方向に所定距離だけシフトして多重描画用データ
を形成して上記電子線描画手段に供給し、上記基板の表
面に同一の図形パターンを複数回多重描画させる第4の
過程と、上記描画手段の描画中に、次に描画すべき上記
第1のフレームの描画用データを形成する第5の過程と
を備えた電子線描画システムの制御方法が提供される。
【0068】上記第2のフレームは、上記第1のフレー
ムと、この第1のフレームに付加された所定の大きさの
補助領域と、この補助領域および上記第1のフレームの
外側の相反する副偏向方向にそれぞれ付加され、他の第
1のフレーム内の図形パターンによる近接効果の影響を
排除するための後方散乱領域とでなり、2つの上記第1
のフレームの境界で分割される図形パターンは、この図
形パターンを含む副偏向領域であるサブフィールドの全
領域が上記補助領域に含まれるときに上記第2のフレー
ムの領域に属するように定義されることが望ましい。
【0069】また、本発明(請求項22)によれば、試
料である基板の表面に電子線を照射して所望の図形パタ
ーンを描画する電子線描画手段と、上記電子線の照射に
より上記基板の表面に発生する反射電子により近接した
図形の露光量が増加する近接効果の影響を考慮して上記
図形パターンに対応する上記電子線の照射量を補正した
補正照射量を全描画領域をメッシュ状に分割した小領域
毎に算出する補正照射量演算手段と、表示手段と、上記
補正照射量を可視的に階層化した情報を上記小領域毎に
上記表示手段に表示させるデータ検証支援手段を有する
制御手段とを備えた電子線描画システムが提供される。
【0070】上記階層化した情報には、その階層値に対
応した階調色を重畳させると良い。
【0071】また、上記階層化した情報には、上記図形
パターンを示す図形情報を重畳させるとさらに良い。
【0072】上記電子線描画システムは、ポインティン
グデバイスをさらに備え、上記制御手段は、上記ポイン
ティングデバイスの指示に基づいて上記階層化された情
報に対応する上記補正照射量の情報を上記表示手段に表
示されることが好ましい。
【0073】また、上記制御手段は、上記可視化した情
報の表示形態を調整する表示調整手段をさらに備えると
良い。
【0074】上記制御手段は、所定の理論値に対する上
記補正照射量の誤差を算出して上記補正照射量演算手段
の動作の精度を判断することが望ましい。
【0075】また、本発明(請求項24)によれば、試
料である基板の表面に電子線を照射して所望の図形パタ
ーンを描画する電子線描画手段と、上記電子線の照射に
より上記基板の表面に発生する反射電子により近接した
図形の露光量が増加する近接効果の影響を考慮して上記
図形パターンに対応する上記電子線の照射量を補正した
補正照射量を算出する補正照射量演算手段と、上記補正
照射量を上記補正照射量演算手段が正常に動作したとき
に得られた補正照射量である基準値と比較して上記補正
照射量の誤差を算出して上記補正照射量演算手段の動作
の精度を判断する演算結果自己診断手段と、この演算結
果自己診断手段の出力結果に基づいて上記電子線描画手
段を制御する制御手段とを備えた電子線描画システムが
提供される。
【0076】また、本発明(請求項25)によれば、試
料である基板の表面に電子線を照射して所望の図形パタ
ーンを描画する電子線描画手段と、上記電子線の照射に
より上記基板の表面に発生する反射電子により近接した
図形の露光量が増加する近接効果の影響を考慮して上記
図形パターンに対応する上記電子線の照射量を補正した
補正照射量を算出する補正照射量演算手段と、上記補正
照射量で上記電子線を照射した場合に上記基板上に蓄積
されるエネルギー量を算出し、このエネルギー量を所定
の理論値と比較して上記補正照射量の誤差を算出して上
記補正照射量演算手段の動作の精度を判断し、この判断
結果に基づいて上記電子線描画手段を制御する制御手段
とを備えた電子線描画システムが提供される。
【0077】上記電子線描画システムは、上記補正照射
量演算手段が出力する上記補正照射量で上記電子線を照
射した場合に上記基板上に蓄積されるエネルギー量を算
出し、このエネルギー量を所定の理論値と比較して上記
補正照射量の誤差を算出する演算誤差算出手段をさらに
備え、上記制御手段は、上記誤差の大きさにより上記補
正照射量演算手段の動作の精度を判断し、この判断結果
に基づいて上記電子線描画手段を制御することが好まし
い。
【0078】また、上記制御手段は、上記誤差が第1の
範囲に属する軽微な誤差である場合は、上記電子線描画
手段を継続して作動させ、上記誤差が第2の範囲に属す
る中程度の誤差である場合は、これに対応する微細図形
パターンについて上記電子線描画手段を動作させ、上記
誤差が第3の範囲に属する重大な誤差である場合は、警
告信号を出力するとともに、上記電子線描画システムの
動作を終了させることが好ましい。
【0079】また、本発明(請求項28)によれば、試
料である基板の表面に電子線を照射して所望の図形パタ
ーンを描画する電子線描画手段と、上記電子線の照射に
より上記基板の表面に発生する反射電子により近接した
図形の露光量が増加する近接効果の影響を考慮して上記
図形パターンに対応する上記電子線の照射量を補正した
補正照射量を算出する補正照射量演算手段と、所定の理
論値を格納する記憶手段とを備えた電子線描画システム
の制御方法であって、上記補正照射量演算手段が出力す
る上記補正照射量で上記電子線を照射した場合に上記基
板上に蓄積されるエネルギー量を算出し、このエネルギ
ー量を所定の理論値と比較して上記補正照射量の誤差を
算出し、この誤差が第1の範囲に属する軽微な誤差であ
る場合は、上記電子線描画手段を継続して作動させ、上
記誤差が第2の範囲に属する中程度の誤差である場合
は、これに対応する微細図形パターンについて上記電子
線描画手段を作動させ、上記誤差が第3の範囲に属する
重大な誤差である場合は、警告信号を出力するととも
に、上記電子線描画システムの動作を終了させる電子線
描画システムの制御方法が提供される。
【0080】上記誤差の算出は、定期的に行うもので
も、不定期的に行うものでも良い。
【0081】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態のいく
つかについて図面を参照しながら説明する。
【0082】まず、本発明に係る電子線描画システムの
第1の実施の形態について説明する。本実施形態の特徴
は、図1ないし図4のフローチャートに示すように、C
ADデータから変換された描画用データを用いて複数の
チップを結合することにより、新たな領域の1チップと
して再定義した上で基板上に連続描画する点にある。
【0083】図5は、本実施形態である電子線描画シス
テム5の概略構成を示すブロック図である。
【0084】同図に示す電子線描画システム5は、電子
ビームを基板11に照射する電子光学系2と、この電子
光学系2を制御する描画制御部3aと、システム全体を
制御する制御部4とを備えている。
【0085】電子光学系2は、電子光学鏡筒20と試料
室10とを備えている。電子光学鏡筒20は、電子銃2
1、各種レンズ系22a〜22e、各種偏向系23〜2
6、ブランキング板27aおよびビーム成形用アパーチ
ャマスク27b,27cを備えている。また、試料室1
0は、ウェーハやマスク等の基板11とこれを上面にて
支持するステージ12とを備えている。本実施形態にお
いて基板11はレチクルである。
【0086】また、描画制御部3aは、ステージ12の
移動等を制御する試料台駆動回路部31、レーザ測長系
32、偏向制御回路部33、ブランキング制御回路部3
4、可変成形ビーム寸法制御回路部35、バッファメモ
リおよび制御回路36、照射量データ選択回路43およ
び照射量データ用メモリ44とを備えている。
【0087】さらに、制御部4は、描画すべき図形パタ
ーンを作成するCADシステム39と、このCADシス
テム39で作成された図形データを電子光学系2で描画
するためのデータ形式でなる描画用データに変換するデ
ータ変換用計算機38と、ワークステーション等の制御
計算機37とを備えている。さらに、データ変換用計算
機38は、近接効果補正回路42を備えている。
【0088】電子光学系2の動作について簡単に説明す
る。電子銃21から放出された電子線(電子ビーム)は、
ブランキング用偏向器23により、ON−OFFされ
る。このON−OFFの制御は、照射量データ選択回路
43から供給される照射量データに基づいて行なわれ
る。この際のON−OFFによって、照射時間を調整
し、照射位置に応じて照射量を変化させることを可能に
している。ブランキング板27aを通過した電子ビーム
は、ビーム成形用偏向器24および、ビーム成形用アパ
ーチャマスク27b,27cにより矩形ビームに成形さ
れ、また、その矩形の寸法が可変される。そして、この
成形された電子ビームは走査偏向器25,26によりタ
ーゲットである基板11上で偏向走査され、このビーム
走査により基板11に所望の図形パターンが描画される
ものとなっている。走査偏向器25,26は、それぞれ
主偏向器、副偏向器と呼ばれる。主偏向器25、副偏向
器26はそれぞれ最大の偏向幅を有しており、本実施形
態ではそれぞれ約1,200μm、60μmである。主
偏向器25は、副偏向領域(サブフィールド)間の長い距
離について電子線を偏向する。副偏向器26は、サブフ
ィールド内の図形パターンを描画するために電子線を偏
向する。
【0089】一般的な描画進行状況を図6の模式図を用
いて簡単に説明する。主偏向器25でサブフィールド1
7間を移動し(y方向)、副偏向26でサブフィールド
17内の図形パターン、例えば、図形パターン101を
描画する(x方向)。このとき、電子光学系2のステー
ジ12はx方向に進行しており、y方向に主偏向器25
による最大の偏向幅が存在する。これをフレーム幅と呼
ぶ。電子光学系2はステージ11をx方向に移動させな
がらフレーム単位で描画し、例えばフレーム16aの描
画が終了するとステージ11がy方向に移動して次のフ
レーム16bの描画を行なう。
【0090】以上のような電子光学系2の走査上の特徴
は、描画用データの構造にも反映される。即ち、データ
の定義においても、フレーム、サブフィールドが存在す
る。図7にデータ構造を簡略的に示す。同図に示すよう
に描画用データは階層構造をとり、チップデータはn個
のフレームでなり、各フレームはm個のサブフィールド
で構成される。さらに、各サブフィールドに描画すべき
図形パターン1〜lが含まれる。
【0091】図5に示す電子線描画システム5の動作に
ついて、本発明に係る電子線描画システムの制御方法の
第1の実施の形態として図面を参照しながら説明する。
【0092】図1は、本実施形態の制御方法を説明する
フローチャートである。まず、図57に示す従来の技術
と同様の手順で、CADシステム39で図形パターンが
作成され、この図形パターンデータを受けたデータ変換
用計算機37がデータ変換1およびデータ変換2を行
い、これにより中間フォーマット1および中間フォーマ
ット2の作成を経てデータ変換3により描画用データを
出力する(ステップS60〜ステップS63)。次に、
チップレイアウト情報に基づいて隣接するチップ間の距
離Dを算出し、予め定めた基準値と比較する(ステップ
S66)。チップ間距離Dが基準値よりも小さい場合は
(ステップS66)、隣接するチップについて描画用デ
ータのマージ処理を行い(ステップS68)、マージ処
理後の描画用データをチップレイアウト情報とともに描
画制御部3に供給し、描画制御部3の制御により電子光
学系2は連続描画を行う(ステップS69)。隣接する
チップ間の距離が基準値以上である場合は(ステップS
686、マージ処理を行うことなく、描画制御部3を介
して電子光学系2により通常の描画を行う(ステップS
69)。
【0093】ここで、フレームやサブフィールドの各サ
イズは、各チップで任意に選ぶことができる。このた
め、複数チップの描画用データをマージして1チップの
描画用データを形成するためには、これらのサイズを揃
える必要がある。従って、本実施形態のマージ処理で
は、まず、複数のチップ間でフレームおよびサブフィー
ルドを揃える処理を行い、その後座標の変更を行なう。
これにより、複数チップは、データ構造上で1チップと
なる。
【0094】次に、本発明に係る電子線描画システムの
制御方法の第2の実施の形態について図2のフローチャ
ートを参照しながら説明する。
【0095】まず、CADシステム39で図形パターン
を作成した後、この図形パターンデータを受けたデータ
変換用計算機38がデータ変換1およびデータ変換2を
行い、これにより中間フォーマット1および中間フォー
マット2を作成する(ステップS60〜ステップS6
2)。
【0096】次に、チップレイアウト情報に基づいて隣
接するチップ間の距離Dを算出し(ステップS70)、
予め定めた基準値と比較する(ステップS72)。チッ
プ間距離Dが基準値よりも小さい場合は(ステップS7
2)、隣接するチップについて中間フォーマット2のマ
ージ処理を行い(ステップS74)、その後、マージ後
の中間フォーマット2についてデータ変換3の処理を行
って描画用データを作成し(ステップS75)、描画制
御部3を介して電子光学系2により連続描画を行う(ス
テップS76)。隣接するチップ間の距離Dが基準値以
上である場合は(ステップS72)、マージ処理を行う
ことなく、描画制御部3および電子光学系2により通常
の描画を行う(ステップS76)。
【0097】次に、本発明に係る電子線描画システムの
制御方法の第3の実施の形態について図3のフローチャ
ートを参照しながら説明する。本実施形態は、データマ
ージ処理を行うか否かの判断における手順が上述した第
1の実施形態と異なる。その他の点については、第1の
実施形態と同一である。
【0098】即ち、第1の実施の形態と同様にして、C
ADシステム39で図形パターンを作成した後、この図
形パターンデータについてデータ変換1およびデータ変
換2を行い、これにより中間フォーマット1および中間
フォーマット2を経てデータ変換3により描画用データ
を出力する(ステップS60〜ステップS63)。
【0099】次に、チップレイアウト情報に基づいて隣
接するチップの描画領域について描画時間を予測し(ス
テップS65)、隣接するチップの描画用データを結合
させることにより描画時間を短縮できるか否かを判断す
る(ステップS67)。結合させることにより描画時間
を短縮できると判断した場合は(ステップS67)、隣
接するチップについて描画用データのマージ処理を行い
(ステップS68)、描画制御部3を介して電子光学系
2により連続描画を行う(ステップS69)。描画用デ
ータを結合しても描画時間を短縮できないと判断した場
合は(ステップS67)、マージ処理を行うことなく、
描画制御部3を介して電子光学系2により通常の描画を
行う(ステップ69)。
【0100】次に、本発明に係る電子線描画システムの
制御方法の第4の実施の形態について図4のフローチャ
ートを参照しながら説明する。本実施形態についても、
データマージ処理を行うか否かの判断における手順が上
述した第2の実施形態と異なり、その他の点について
は、第2の実施形態と同一である。
【0101】まず、第2の実施形態と同様にして、CA
Dシステム39で図形パターンを作成した後、この図形
パターンデータについてデータ変換1およびデータ変換
2を行い、これにより中間フォーマット1および中間フ
ォーマット2を形成する(ステップS60〜ステップS
62)。
【0102】次に、チップレイアウト情報に基づいて隣
接するチップの描画領域について描画時間を予測し(ス
テップS71)、隣接するチップの描画用データを結合
させることにより描画時間を短縮できるか否かを判断す
る(ステップS73)。結合させることにより描画時間
を短縮できると判断した場合は(ステップS73)、隣
接するチップについて中間フォーマット2のマージ処理
を行い(ステップS74)、マージ後の中間フォーマッ
ト2についてデータ変換3の処理を行って描画用データ
を作成し(ステップS75)、描画制御部3を介して電
子光学系2により連続描画を行う(ステップS76)。
マージ処理を行っても描画時間を短縮できないと判断し
た場合は(ステップS73)、マージ処理を行うことな
く、それぞれのチップについてデータ変換3の処理を行
って描画用データを作成し(ステップS75)、描画制
御部3を介して電子光学系2により通常の描画を行う
(ステップS76)。
【0103】このような複数チップのマージ処理の具体
例のいくつかを図8および図9の模式図に示す。これら
は近接する2つのチップについてマージ処理を行った場
合であり、図8および図9の(a),(b)にマージ前
のチップを示し、図8および図9の(c),(d)にそ
れぞれのマージ処理後のチップを示す。また、DHはx
方向でのチップ間距離、DVはy方向でのチップ間距
離、さらに、FHはフレーム幅を示す。
【0104】図8および図9に示す4つの例ではいずれ
の場合も、第2の領域である新たな領域のチップ形状が
マージ前の各チップの全領域(第1の領域)を含むとと
もに最小面積の矩形状をなすようにマージ処理を行う。
なお、本実施形態の電子線描画システム5の電子線の標
準の加速電圧は50kVである。この場合の近接効果の
及ぶ範囲である後方散乱径σbは約10μmである。
【0105】本発明にかかる電子線描画システムの制御
方法により、チップの図形パターンを描画した場合の効
果について、従来の電子線描画装置用データ作成過程に
よる描画結果と対比して説明する。描画にあたっては、
遮光用マスク基板である、クロム(Cr)を蒸着したガ
ラス(Qz)を利用した。レジストはポジ型の電子線用
レジストを用いた。各チップ内の評価用図形パターンと
各チップの配置図をそれぞれ図10(a)〜(C)に示
す。図10(a)に示された評価用チップ図形パターン
は、1:1のライン・アンド・スペースの図形パターン
102であり、その設計寸法は、2.0μm、そのピッ
チは4.0μmであった。チップのサイズは、高さ(x
方向)100μm、幅(y方向)100μmである。
【0106】後方散乱径σbは約10μmなので、評価用
チップの中心部は、隣接した各チップからの近接効果の
影響を受けない。即ち、各評価用チップの中心部は、そ
れぞれ自己のチップ内図形パターンからのみ、それぞれ
同じ量の後方散乱電子を受けるため、各図形パターンは
同じ寸法に仕上がる。図10(b)は従来の方法による
チップ配置状況を示す。同図における各チップはそれぞ
れ独立に定義され、独立して近接効果補正が行われた。
図10(c)は本発明にかかる電子線描画システムの制
御方法で作成されたチップ配置状況を示す。同図に示す
ように、すべてのチップは1つのチップ110として定
義されている。従って、近接効果補正も1チップ定義の
もとで行われた。データ作成は、チップデータ作成後、
各チップをマージする第1の実施形態(図1)の方法を
用いた。図10(b)、(c)上で配置された各チップ
のチップ間距離DHは、0.5μm〜20.0μmの間と
した。描画した図形パターンを現像し、クロム(Cr)
をウエット系エッチングによりパターニングした後、測
長SEM(Scanning Elecron Microscope)でガラス
(Qz)部を測定した。各チップの端部での図形パター
ン寸法と各チップの中心での図形パターン寸法とを測定
し、その寸法差を算出することにより近接効果補正にお
ける精度の検証を行なった。この測定結果を図11に示
す。同図において横軸は隣接チップ間距離DHを表し、
また縦軸は各チップの端部での図形パターン寸法と各チ
ップの中心での図形パターンの寸法差を表している。図
11から分かるように、従来の技術による方法では、後
方散乱径σb程度の隣接チップ間距離において、寸法差
が最大で約40nm生じている。これに対して、本発明
ではすべての隣接チップ間距離で、寸法差がほとんど無
く数nm程度以下となった。この結果、本発明を用いる
ことで高精度の近接効果補正を行うことができることが
確認された。
【0107】次に、本発明にかかる電子線描画システム
の第2の実施の形態について図面を参照しながら説明す
る。本実施形態は専用回路で近接効果補正を行なう形態
である。
【0108】図13は、本実施形態である電子線描画シ
ステム8の概略構成を示すブロック図である。
【0109】同図に示す電子線描画システム8は、電子
ビームを基板11に照射する電子光学系2と、この電子
光学系2を制御する描画制御部3bと、システム全体を
制御する制御部4とを備えている。
【0110】電子光学系2は、電子光学鏡筒20と試料
室10とを備えている。電子光学鏡筒20は、電子銃2
1、各種レンズ系22a〜22e、各種偏向系23〜2
6、ブランキング板27aおよびビーム成形用アパーチ
ャマスク27b,27cを備えている。また、試料室1
0は、ウェーハやマスク等の基板11とこれを上面にて
支持するステージ12とを備えている。本実施形態にお
いて基板11はレチクルである。
【0111】また、制御部4は、描画すべき図形パター
ンを作成するCADシステム39と、このCADシステ
ム39で作成された図形データを電子光学系2で描画で
きる描画用データに変換するとともに、後述するチップ
マージ処理を行うデータ変換用計算機38と、ワークス
テーション等の制御計算機37とを備えている。
【0112】さらに、描画制御部3bは、ステージ12
の移動等を制御する試料台駆動回路部31、レーザ測長
系32、偏向制御回路部33、ブランキング制御回路部
34、可変成形ビーム寸法制御回路部35と、バッファ
メモリ及び制御回路36と、本発明において特徴的な近
接効果補正回路60と、照射量データ選択回路43とを
備えている。
【0113】バッファメモリ及び制御回路36は、照射
量データ用メモリ44を備え、また近接効果補正回路6
0は、補正パラメータ入力部68を備えている。
【0114】本実施形態の電子線描画システム8の動作
について、本発明にかかる電子線描画システムの制御方
法の第5の実施の形態として図面を参照しながら説明す
る。
【0115】図12は、本実施形態の電子線描画システ
ムの制御方法の概略を示すフローチャートである。
【0116】まず、CADデータを電子光学系2により
電子線で描画するための描画用データであるチップデー
タに変換し(ステップS80)、このチップデータを、
チップレイアウト情報とともにデータ変換用計算機38
へ供給する(ステップS81)。チップレイアウト情報
には、チップの配置、照射量、電子光学系2、近接効果
パラメータなどに関する情報が含まれる。ここで近接効
果補正パラメータの算出のための係数、即ち後方散乱係
数ηと後方散乱径σbはチップ毎に設定されている。
【0117】次に、データ変換用計算機38は、チップ
データとチップレイアウト情報に基づいてチップマージ
処理を行う(ステップS82からS85)。このチップ
マージ処理は、主に後方散乱径σbよりも近接して配置
された複数チップを1チップとして定義し直すことによ
り行う。
【0118】即ち、まず、チップレイアウト情報に基づ
いて各チップ間の距離Dを算出し(ステップS82)、
この距離Dを後方散乱径σbと比較する(ステップS8
3)。チップ間距離Dが後方散乱径σbよりも小さい場
合は(ステップS83)、マージ対象となるチップにつ
いて設定パラメータを照合する(ステップS84)。こ
れは、再定義された1チップについても単一の近接効果
補正パラメータしか設定できないので、マージ対象とな
るチップのうちに異なる近接効果補正パラメータが設定
されているチップが含まれる場合は、これらのチップを
マージ(結合)することができないからである。従っ
て、このように設定パラメータ間で矛盾がある場合には
(ステップS84)、警告信号を出力する(ステップS
86)。データ変換計算機38はこの警告信号に基づい
て、チップレイアウトを変更する(ステップS87)。
これにより、相互に異なる近接効果補正パラメータが設
定されたチップは、相互の間隔が後方散乱径σb以上に
なるようにチップレイアウトが変更され、同一の近接効
果補正パラメータを有するチップ同士でマージ処理が行
われる。設定パラメータ間で矛盾がない場合は(ステッ
プS84)、これらのチップについてチップマージ処理
を行い(ステップS85)、後述のとおり電子線描画を
行う(ステップS88)。
【0119】チップ間距離Dが後方散乱径σb以上であ
る場合は(ステップS83)、マージ処理を行うことな
く電子線描画を行う(ステップS88)。
【0120】このようなチップマージ処理により必要な
すべての描画図形パターンを取込んで最適照射量を計算
することにより高い精度で近接効果補正を行うことがで
きる。
【0121】図13へ戻り、チップマージ処理後、チッ
プデータとチップレイアウト情報は制御計算機37へ供
給され、制御計算機37が備える図示しないメモリに格
納される。
【0122】制御計算機37に格納されたチップデータ
とチップレイアウト情報は、制御ソフトによってバッフ
ァメモリ及び制御回路36へ供給される。近接効果補正
回路60は、チップごとのデータとともに各チップに対
応するそれぞれの近接効果補正パラメータ情報を受け
る。補正パラメータは、近接効果補正回路60の補正パ
ラメータ入力部68ヘセットされる。さらに、近接効果
補正回路60は、それぞれのチップについて、それぞれ
割当てられた近接効果補正パラメータに基づいて最適照
射量を算出する。補正後に得られた最適照射量データ
は、照射量データ用メモリ44に記憶される。照射量デ
ータ選択回路43は、照射量データ用メモリ44から供
給される照射量データに基づいてブランキング制御回路
34を介してブランキング用偏向器23を制御すること
により電子銃21から放出された電子線(電子ビーム)
のON−OFFを制御する。この電子線のON−OFF
によって、照射時間が調整され、照射位置に応じて照射
量を変化させることができる。ブランキング板27aを
通過した電子ビームは、ビーム成形用偏向器24と、ビ
ーム成形用アパーチャマスク27b,27cにより矩形
ビームに成形され、また、その矩形の寸法が増減され
る。
【0123】さらに、この成形されたビームは走査偏向
器25,25によりターゲットである基板11上で偏向
走査され、このビーム走査により基板11に所望図形パ
ターンが描画される。なお、本実施形態では電子光学系
2の加速電圧は50kVであった。
【0124】図13に示す電子線描画システム8を上述
した制御方法で制御して後方散乱係数η、後方散乱径σ
bを確認することにより、評価を行なった。評価に当っ
ては本発明と従来技術との間でプロセス変動差を見極め
るための実験を行なった。プロセス変動差は、一つの基
板上で複数の後方散乱係数η1〜η5を振って実験した場
合(本実施形態)と、一つの基板に対してそれぞれ一つの
後方散乱係数η1〜η5を用いて、複数基板341〜34
5を用いて描画した場合(従来法)とを比較することに
より測定した。図14に評価に用いた図形パターンを示
す。評価用図形パターン103〜105は、それぞれス
ペース、ライン・アンド・スパース、および2−ライン
の図形パターンである。これらの図形パターンに対し
て、後方散乱係数(η1,η2,η3,η4,η5)=
(0.2,0.25,0.30,0.35,0.40)
を割振って補正描画を行なった。本実施形態の制御方法
の評価では、図15(a)に示すように、複数チップ1
41〜145を同一基板11上に配置した。この一方、
従来法の評価では、同図(b)に示すように、複数基板
341〜345の中心にそれぞれ1チップづつ配置し
た。後方散乱径σbは、10μmに固定した。また、設
計寸法は、0.5μmとした。基板11には、遮光用マ
スク基板である、クロム(Cr)を蒸着したガラス(Q
z)を利用した。用いたレジストはポジ型の電子線用レ
ジストである。描画した図形パターンを現像した後、測
長SEMにより寸法を測長した。測定箇所は、すべてク
ロム(Cr)の場所である。測定結果を図16(a),
(b)に示す。同図に示すように、密度が高い図形パタ
ーン105(2−ライン)は後方散乱係数ηの変化に対
してほとんど変化することなく、鈍感であった。この一
方、密度が低い図形パターン103(スペース)は後方
散乱係数ηの変化に対して敏感であり、ηの増大に対し
て仕上がり寸法が急激に大きくなった。図形パターン1
04(ライン・アンド・スペース)のη依存性は、図形
パターン105(2−ライン)と図形パターン103
(スペース)のη依存性の中問程度である。
【0125】このような図形パターン密度に依存した寸
法変動量のη依存特性は、スペース、ライン・アンド・
スパース、2ラインのいずれについてもη=約0.35
の値の付近で交差する。これが求めるべき後方散乱係数
ηの値である。従って、このηを用いた場合、スペー
ス、ライン・アンド・スペース、2−ラインはすべて同
じ寸法に仕上がる。しかしながら、図16の(a),
(b)間では、ばらつきに相違が生じている。同図
(a)に示すように、本実施形態の制御方法で一つの基
板に複数パラメータのチップを描画した場合は、寸法ば
らつきが約±5nm程度であった。
【0126】この一方、同図(b)に示すように、従来
技術の方法により複数の基板に分けてそれぞれ近接効果
補正パラメータが異なるチップを描画した場合は、約±
20nmもの寸法ばらつきが生じていた。即ち、単一の
基板で求めた後方散乱係数ηの精度は、複数の基板に跨
って求めたものに比べ約4倍向上する。この寸法ばらつ
きの差異が前述したプロセス要因によるものである。こ
のように、本実施形態の制御方法によれば、プロセスの
変動要因を分離した上で、一枚の基板で近接効果補正パ
ラメータを確認し、評価することができた。さらに、一
枚の基板のみで評価できることから基板枚数および評価
時間も節約できることが示された。
【0127】上記実施形態では、チップ毎に異なる近接
効果補正パラメータが設定され、それぞれ個別に処理さ
れた場合を示したが、これに限ることなく、例えば、同
一の図形パターンの場合は最適照射量算出結果を記憶し
ておき、これを用いてチップの図形パターンを描画して
もよい。
【0128】次に、本発明にかかる電子線描画システム
の第3の実施の形態について図面を参照しながら説明す
る。
【0129】図19は、本実施形態である電子線描画シ
ステム9の概略を示すブロック図である。同図に示す電
子線描画システム9は、電子ビームを基板11に照射す
る電子光学系2と、この電子光学系2を制御する描画制
御部3cと、システム全体を制御する制御部4とを備え
ている。
【0130】電子光学系2は、電子光学鏡筒20と試料
室10とを備えている。電子光学鏡筒20内には、電子
銃21、各種レンズ系22a〜22e、各種偏向系23
〜26、ブランキング板27aおよびビーム成形用アパ
ーチャマスク27b,27cを備えている。また、試料
室10は、ウェーハやマスク等の基板11とこれを上面
にて支持するステージ12とを備えている。
【0131】また、描画制御部3は、ステージ12の移
動等を制御する試料台駆動回路部31、レーザ測長系3
2、偏向制御回路部33、ブランキング制御回路部3
4、可変成形ビーム寸法制御回路部35、および本実施
形態において特徴的な近接効果補正回路及び制御回路6
6とを備えている。
【0132】さらに、制御部4は、ワークステーション
等の制御計算機37とデータ変換用計算機38およびC
ADシステム39とを備えている。
【0133】本実施形態の電子線描画システム9は、ス
テージ連続移動方式を採用している。すなわち、ステー
ジ11を連続移動させながら、ビームを偏向してビーム
位置を制御しながら図形パターンを描画する。
【0134】図21は描画領域の説明図である。描画領
域15中のフレーム(ストライプ)16は、1回のステ
ージ連続移動で描画する領域であり、目的の図形パター
ンは、このような連続移動の描画を繰返すことですべて
描画される。連続移動中、ビーム位置の制御は主偏向器
25と副偏向器26とによって行われる。
【0135】図19に戻り、電子銃21から放出された
電子ビームはブランキング用偏向器23によりON−O
FFされる。本実施形態の電子線描画システム9は、こ
のON−OFFの際の照射時間を調整することにより、
照射位置に応じて照射量を変化させることを可能として
いる。ブランキング板27aを通過した電子ビームはビ
ーム成形用偏向器24およびビーム成形用アパーチャマ
スク27b,27cにより矩形ビームに成形され、また
その矩形の寸法が可変される。そして、この成形された
電子ビームは主偏向器25と副偏向器26によりターゲ
ット11上で偏向走査され、このビーム走査によりター
ゲット11が所望の図形パターンに描画されるものとな
っている。なお、電子線描画システム9において電子ビ
ームの加速電圧は50kVであり、また発生し得る可変
成形ビームの最大サイズは高さ2μm、幅2μmの矩形
である。
【0136】図20は、近接効果補正回路及び描画回路
66のより詳細な構成を示すブロック図である。同図に
示すように、近接効果補正回路及び描画回路66は、近
接効果補正回路171と描画回路69とを備え、また、
描画回路69は、照射量データメモリ161〜163、
キャッシュメモリ164、バッファメモリ165、ショ
ット分割回路166、照射量選択回路167、照射時間
算出回路168および制御回路160を備えている。
【0137】上記の構成を有する電子線描画システム9
の動作を図17および図18のフローチャートを用いて
説明する。
【0138】制御計算機37には、全描画領域の照射量
データを図21に示すフレームに相当する1重描画用の
ストライプで分割した場合の各ストライプ内の照射量デ
ータ(以下、データストライプという)と、全描画領域
の図形パターンデータをストライプで分割した場合の各
ストライプ内の図形パターンデータ(以下、描画ストラ
イプという)が図示しないメモリに予め格納されてい
る。まず、図17に示すように、制御計算機37は、各
データストライプ内の小領域であるメッシュの2次元配
置を特定するための基準位置(以下、メッシュ原点とい
う)を算出し(ステップS91)、このメッシュ原点の
データとともに照射量データを近接効果補正回路171
と描画回路69に供給する(ステップS92)。
【0139】近接効果補正回路171は、これらのデー
タを受けて予め供給された図形パターンのデータに基づ
いてメッシュ毎に最適照射量データを算出する(ステッ
プS101)。即ち、近接効果補正回路171は、スト
ライプ内の図形パターンをメッシュに分割し、そのメッ
シュ毎の面積を求め、この面積に基づいてコンボリュー
ション計算を実行し、その計算値を利用して、メッシュ
毎の照射量データを算出する。ここで、予め制御計算機
37から転送されたストライプ毎のメッシュ原点を次の
計算式3)、4)を用いてメッシュ境界を設定すること
により、照射量メッシュの連続性を保証することができ
る。
【0140】 メッシュ境界のx座標=チップ原点からの該ストライプのメッシュ原点x1+( メッシュのx方向サイズX)×n・・・・・・・・・・・・・・・・・・3) メッシュ境界のy座標=チップ原点からの該ストライプのメッシュ原点y1+( メッシュのy方向サイズY)×m・・・・・・・・・・・・・・・・・・4) ここで、n,mはメッシュを特定するための番号であ
る。例えば、図24に示すように、チップ原点をOC
する2次元座標において、ストライプRSのメッシュ原
点OMの座標は(x1,y1)であり、同図に示すメッシ
ュサイズはX×Yであるため、メッシュ原点から起算し
てx方向にn番目、y方向にm番目のメッシュ(n,
m)のメッシュ境界の座標は、(x1+Xn,y1+Y
m)となる。
【0141】図17に戻り、近接効果補正回路171
は、以上のようにして1ストライプ分の最適照射量デー
タを算出し、その算出結果を、バッファメモリ181に
格納した後(図25参照)、描画用回路69の照射量デ
ータ用メモリ161〜163に転送する(ステップS1
02)。
【0142】近接効果補正回路171で最適照射量デー
タの算出が行われている間に、制御計算機37は、多重
描画における各描画回数での描画ストライプの位置を特
定するための基準となる位置である描画ストライプのメ
ッシュ原点の算出を行い(ステップS93)、このデー
タを描画回路69に転送する(ステップS94)。
【0143】次に、制御計算機37は、データストライ
プ上の照射量データを利用する手順を算出する(ステッ
プS95)。これは、各描画ストライプ毎に行われる。
この結果は、描画回路69に転送される(ステップS9
6)。
【0144】次に、描画回路69は、描画すべきストラ
イプに対応する照射量データの再構成を行う。1回目の
描画(1重描画)のように、データストライプをそのま
ま利用して描画する場合には、1重描画における描画ス
トライプに対応する照射量データをそのまま利用すれば
よい。この一方、2回目以降の描画において中間のスト
ライプを描画する場合には、照射量データ用メモリ16
1〜163に格納されている2つの1重描画用ストライ
プのメッシュデータから中間ストライプの図形パターン
に対応する照射量データを1mm×1mmの領域(以下、ブ
ロックという)毎に作成し(ステップS103)、この
ブロック毎の照射量データをステップS96で予め転送
されているメッシュデータの利用手順に基づいてキャッ
シュメモリ164に転送して格納する(ステップS10
4)。なお、このステップS103の手順を実行してい
る間に、既に作成したブロック内図形パターンについて
の描画が並列処理で行われている。
【0145】キャッシュメモリ164に格納される照射
量データの2次元的配置を図22の模式図に示す。同図
において、例えば照射量データのメッシュ位置(n,
m)は、描画ストライプのメッシュ原点Odに位置する
メッシュの位置を(0,0)とした場合の相対的位置で
ある。各メッシュの照射量データは、図23に示すよう
に、キャッシュメモリ164内で照射量データテーブル
の形式で格納される。
【0146】図17に戻り、上述したブロック毎の照射
量データの作成(ステップS103)および転送(ステ
ップS104)に並行して、描画回路69のショット分
割回路166は、ショット毎に最適照射量データを設定
し、ショットデータを作成する(ステップS111)。
【0147】キャンシュメモリ164に格納された最適
照射量データは次のように利用する。 即ち、図18に
示すように、あるショットに対応する最適照射量データ
のメッシュ位置(k,l)を照射量選択回路167が次
式5)、6)に従って算出する(ステップS112)。
【0148】 (k)=〔{(ショットの中心のX座標)−(描画ストライプのメッシュ原点 OdのX座標)}/(メッシュのX方向のサイズ)〕の整数部分・・・・5) (l)=〔{(ショットの中心のY座標)−(描画ストライプのメッシュ原点 OdのY座標)}/(メッシュのY方向のサイズ)〕の整数部分・・・・6) 例えば、図26に示すショットについて説明すると、こ
の対応する最適照射量のメッシュ位置は、ショットの中
心の座標を(x2,y2)、描画ストライプのメッシュ原
点Odの座標を(x1,y1)とすると、 (k)=〔(x2−x1)/X1〕の整数部分 (l)=〔(y2−y1)/Y1〕の整数部分 となる。
【0149】図18に戻り、このメッシュ(k,l)に
対応する最適照射量がそのショットの照射量であるた
め、描画回路69は、キャッシュメモリ164内のデー
タを照合し、メッシュ位置に該当する最適照射量のデー
タがキャッシュメモリ164内に格納されているか否か
を調べる(ステップS113)。一致する最適照射量デ
ータがある場合は(ステップS113)、これをそのシ
ョットデータとともに照射時間算出回路168に転送す
る(ステップS115)。一致する最適照射量データが
ない場合は(ステップS113)、描画回路69は、メ
ッシュ位置(k,l)に基づいてメッシュが属するブロ
ックを算出し、算出されたブロックのデータをキャッシ
ュメモリ164に転送し(ステップS114)、そのシ
ョットデータとともに照射時間算出回路168に転送す
る(ステップS115)。
【0150】照射時間算出回路168は、ショット毎に
設定された最適照射量データを照射時間のクロック数の
データに変換する(ステップS116)。クロック数の
データはブランキング制御回路部34へ転送される(ス
テップS117)。ブランキング制御回路部34は、シ
ョット毎に、このクロック数だけビームをONした後O
FFすることにより描画する(ステップS118)。ク
ロック数は、ユーザが指定する基準照射量(塗りつぶし
部の照射量)D0および電流密度I、並びに照射時間の制
御単位Δに基づいて、次のように算出される。
【0151】クロック数=D0×(ショットの照射量デ
ータ)/(電流密度I×制御単位Δ)
【0152】これにより、照射量をショット毎に制御で
きるので、精度の高い照射量補正を実行することができ
る。以上の手順を各描画ストライプ毎に全領域について
所定回数の多重描画が終了するまで実行することによっ
て(ステップS119)、近接効果補正と多重描画とを
両立させることができる。
【0153】次に、本発明にかかる電子線描画システム
の制御方法の第6の実施の形態について図面を参照しな
がら説明する。本実施形態は、汎用計算機を利用したソ
フトウェアにより近接効果補正をリアルタイムで処理す
る点に特徴がある。従って、専用の補正回路を備えてい
ない電子線描画システムでもリアルタイムで近接効果の
補正処理を行いながら多重描画による高精度の描画を短
時間で行うことができる。
【0154】図29は、本実施形態に用いる電子線描シ
ステムの概略構成を示すブロック図であり、また、図3
0は、図29に示す電子線描画システムが備える描画回
路のより詳細な構成を示すブロック図である。図19に
示す電子線描画システム9との対比において、図29に
示す電子線描画システム50は、データ変換用計算機、
CADシステムおよび近接効果補正回路を備えていない
点のみが相違する。その他の点は、電子線描画システム
9と略同一である。
【0155】図27および図28は、本実施形態の電子
線描画システムの制御方法を説明するフローチャートで
ある。
【0156】図27に示すように、まず、外部の汎用計
算機145(図29参照)を用いてデータストライプの
メッシュ原点をデータストライプ毎に算出し、これをメ
モリディスク146(図29参照)に格納しておく(ス
テップS121)。また、このデータストライプのメッ
シュ原点に基づいて、データストライプ毎に近接効果の
影響を考慮した補正計算を行い、メッシュ毎の最適照射
量を算出し、データストライプ毎のメッシュ原点ととも
に、メモリディスク146に格納しておく(ステップS
122)。
【0157】次に、汎用計算機145のメモリディスク
146から、メッシュ毎の最適照射量データとデータス
トライプ毎のメッシュ原点を図形パターンデータととも
に、電子線描画システム50に入力する(ステップS1
23)。制御ソフトにより、図形パターンデータに記述
されるストライプ原点とメッシュ原点のデータとから多
重描画時の描画ストライプのメッシュ原点が描画ストラ
イプ毎に算出され(ステップS125)、このデータは
描画回路69に転送される(ステップS126)。ま
た、最適照射量のデータは、データストライプ毎に描画
回路69の照射量データ用メモリ161〜163へ転送
される(ステップS127)。
【0158】さらに、制御計算機37は、データストラ
イプ上の照射量データを利用する手順を算出する。これ
は、各描画ストライプ毎に行われる。この結果は、描画
回路69に転送される。
【0159】これ以降は、上述した第3の実施形態とほ
ぼ同様の手順で処理される。
【0160】即ち、描画回路69により、描画すべきス
トライプに対応する照射量データの再構成を行う。1重
描画の場合は、1重描画における描画ストライプに対応
する照射量データをそのまま利用するが、2回目以降の
描画において中間のストライプを描画する場合には、照
射量データ用メモリ161〜163に格納されている2
つの1重描画用ストライプのメッシュデータから中間ス
トライプの図形パターンに対応する照射量データをブロ
ック毎に作成し(ステップS130)、このブロック毎
の照射量データ−をステップS128で予め転送されて
いるメッシュデータの利用手順に基づいてキャッシュメ
モリ164に転送して格納する(ステップS131)。
このステップS103の手順を実行している間に、既に
作成したブロック内図形パターンについての描画を並列
処理で行う。キャッシュメモリ164に格納された最適
照射量データは次のように利用する。即ち、あるショッ
トに対応する最適照射量データのメッシュ位置(k,
l)を照射量選択回路167が上述した式5)、6)に
従って算出する(ステップS133)。次に、図28に
示すように、描画回路69により、キャッシュメモリ1
64内のデータを照合し、メッシュ位置に該当する最適
照射量のデータがキャッシュメモリ164内に格納され
ているか否かを調べる(ステップS134)。一致する
最適照射量データがある場合は(ステップS134)、
これをそのショットデータとともに照射時間算出回路1
68に転送し(ステップS136)、この一方、一致す
る最適照射量データがない場合は(ステップS13
4)、メッシュ位置(k,l)に基づいてメッシュが属
するブロックを算出し、算出されたブロックのデータを
キャッシュメモリ164に転送し(ステップS13
5)、そのショットデータとともに照射時間算出回路1
68に転送する(ステップS136)。次に、照射時間
算出回路168により、ショット毎に設定された最適照
射量データを照射時間のクロック数のデータに変換し
(ステップS116)、クロック数のデータをブランキ
ング制御回路34へ転送する(ステップS138)。次
に、ブランキング制御回路34により、ショット毎に、
クロック数だけビームをONした後OFFすることによ
り描画する(ステップS139)。以上の手順を各描画
ストライプ毎に全領域について所定回数の多重描画が終
了するまで実行することによって(ステップS14
0)、近接効果補正と多重描画とを両立させることがで
きる。
【0161】本実施形態の制御方法において、前述した
電子線描画システム9の動作との相異点は、リアルタイ
ムの処理回路の代替として出力データがメモリディスク
上にあることに起因する点だけである。即ち、リアルタ
イムの近接効果補正回路を使用する替りに、最適照射量
データをメモリディスクから描画回路69の照射量デー
タ用メモリ161〜163へ転送する点が異なってい
る。これは、制御計算機37により制御し、実行するこ
とができる。
【0162】このように、本実施形態の電子線描画シス
テムの制御方法によれば、多重描画時の中間ストライプ
毎に近接効果補正データを作成しておく必要がないの
で、システム全体の処理時間を短縮しつつ、高精度の描
画を実現することができる。上述した第6の実施形態で
は、補正計算は制御ソフトを利用してデータストライプ
毎に処理を行い、また、このデータに基づく中間の描画
ストライプ用照射量データの算出は、電子線描画システ
ムにより処理した。しかし、この中間の描画ストライプ
用照射量データの算出を上記手順に従って補正ソフトに
より処理しても良い。即ち、補正計算そのものは、デー
タストライプ毎にのみ行い、中間の描画ストライプ用照
射量データの算出を、隣接するストライプの照射量デー
タの選択・結合により実行し、その結果を電子線描画シ
ステムに転送しても良い。この場合は、照射量データの
転送をメモリディスクから描画回路へ描画ストライプの
数量だけ行うことになるため、データ転送のロスタイム
が発生するという問題がある。しかし、この問題も高速
の転送手段や高速アクセス可能なメモリディスク(RA
Mディスク)などを用いることにより回避することがで
きる。
【0163】上述した本発明の効果を近接効果補正時間
について従来技術と対比することにより説明する。
【0164】データストライプおよび描画ストライプの
いずれについても同様のことであるが、まず、1重描画
するときの1ショットに要する時間(以下、ショット時
間という)を照射量から換算し、例えばこれを1μsと
する。これと同一の照射量条件で多重描画をする場合の
ショット時間は、2重描画で0.5μs、4重描画では
0.25μsである。
【0165】また、1個のストライプの全領域を描画す
るときに要する時間(以下、描画時間という)は、ショ
ットの全時間を1sとし、その他照射量に関係なく一定
量付加される時間を0.3sとして、1重描画の場合で
合計1.3sとする。同様にして、2重描画の描画時間
を0.8s、4重描画の描画時間を0.55sとする。
【0166】この一方、1個のストライプについて近接
効果補正処理に要する時間(以下、補正時間という)
は、リアルタイムで描画処理と並行して処理するために
描画時間より短くなければならない。従って、補正時間
を例えば1sとする。このような設定で1重描画、2重
描画および4重描画の3つの場合で補正時間を従来技術
と本発明のそれぞれについて算出した結果を表1に示
す。
【0167】
【表1】 表1に示すように、従来の技術によれば、2重描画や4
重描画の場合では補正時間が長いため、描画を待たせる
ことになる。これは、上述したとおり、多重描画におい
て1個のデータストライプに対して多重度に比例した個
数の描画ストライプを描画するからである。従来は、近
接効果補正回路の処理速度を向上させることによりこの
問題を解消しなければならなかったが、このような回路
を単純な構成で実現することは困難であった。
【0168】これに対して、上述した本発明にかかる電
子線描画システムの第3の実施の形態および本発明にか
かる電子線描画システムの制御方法の第6の実施の形態
によれば、1重描画用のデータストライプのみについて
近接効果の影響を考慮して照射量を補正して最適照射量
を算出し、この最適照射量のデータを選択・結合して多
重描画時の中間フレームに対応するように処理するの
で、表1に示すように、多重度が大きくなっても、補正
時間は常に1sのままである。従って、描画を待たせる
ことがない。
【0169】上述したとおり、本発明によれば、描画の
多重度に影響されることなく、1重描画の場合の処理速
度で多重描画に対応した近接効果補正を処理することが
できる。これにより、単純な回路構成で、近接効果補正
と多重描画とを両立させ、高精度かつ高速で図形パター
ンを描画することができる。
【0170】次に、本発明にかかる電子線描画システム
の第4の実施の形態について図面を参照しながら説明す
る。
【0171】図31は、本実施形態である電子線描画シ
ステムの概略を示すブロック図である。同図に示す電子
線描画システム7は、電子ビームを基板11に照射する
電子光学系2と、この電子光学系2を制御する描画制御
部3dと、システム全体を制御する制御部4とを備えて
いる。
【0172】電子光学系2は、電子光学鏡筒20と試料
室10とを備えている。電子光学鏡筒20内には、電子
銃21、各種レンズ系22a〜22e、各種偏向系23
〜26、ブランキング板27aおよびビーム成形用アパ
ーチャマスク27b,27cを備えている。また、試料
室10は、ウェーハやマスク等の基板11とこれを上面
にて支持するステージ12とを備えている。
【0173】また、描画制御部3dは、ステージ12の
移動等を制御する試料台駆動回路部31、レーザ測長系
32、偏向制御回路部33、ブランキング制御回路部3
4、可変成形ビーム寸法制御回路部35、および本実施
形態において特徴的なバッファメモリ及び制御回路部5
9とを備えている。また、近接効果補正回路部171は
バッファメモリ及び制御回路部59内に備えられる。
【0174】さらに、制御部4は、ワークステーション
等の制御計算機37とデータ変換用計算機38およびC
ADシステム39とを備えている。
【0175】本実施形態の電子線描画システム7は、ス
テージ連続移動方式を採用している。すなわち、ステー
ジ11を連続移動させながら、ビームを偏向してビーム
位置を制御しながら図形パターンを描画する。
【0176】図21に描画領域の説明図を示す。描画領
域15中のフレーム16は、1回のステージ連続移動で
描画する領域であり、目的の図形パターンは、このよう
な連続移動の描画を繰返すことですべて描画される。連
続移動中、ビーム位置の制御は主偏向器25と副偏向器
26とによって行われる。副偏向器26は約60μm×
60μmの副偏向領域(サブフィールド17)にビーム
の位置を制御する。このサブフィールド17の位置決め
は、主偏向器25によって行い、フレーム16の幅は、
主偏向位置を決めることができる範囲で決まる。
【0177】図31に戻り、電子銃21から放出された
電子ビームはブランキング用偏向器23によりON−O
FFされる。本実施形態の電子線描画システム7は、こ
のON−OFFの際の照射時間を調整することにより、
照射位置に応じて照射量を変化させることを可能として
いる。ブランキング板27aを通過した電子ビームはビ
ーム成形用偏向器24およびビーム成形用アパーチャマ
スク27b,27cにより矩形ビームに成形され、また
その矩形の寸法が可変される。そして、この成形された
電子ビームは偏向器25,26によりターゲットである
基板11上で偏向走査され、このビーム走査により基板
11が所望の図形パターンに描画されるものとなってい
る。なお、電子線描画システム7において電子ビームの
加速電圧は50kVであり、また発生し得る可変成形ビ
ームの最大サイズは高さ2μm、幅2μmの矩形であ
る。
【0178】バッファメモリおよび制御回路部59のよ
り詳細な構成を図32のブロック図に示す。同図に示す
ように、 バッファメモリおよび制御回路部59は、制
御計算機37から図形パターンデータと照射量データの
供給を受けて近接効果の影響を考慮して照射量を補正す
る近接効果補正回路部171と、この近接効果補正回路
部171の演算結果と制御計算機37から供給される図
形レイアウト情報を受けて、描画用データを作成して偏
向制御回路部33などの各種制御回路部に供給する描画
用回路52とを備えている。
【0179】図33は、近接効果補正回路部171のよ
り詳細な構成を示すブロック図である。同図に示すよう
に、近接効果補正回路部171は、図形パターンのデー
タを格納するバッファメモリ181〜186と、図形パ
ターンデータ間で後述する領域結合処理を行う領域結合
回路172と、近接効果補正回路173と、照射量デー
タメモリ187,188とを備えている。近接効果補正
回路173は入力および出力のいずれについてもダブル
バンク方式を採用し、これによりパイプライン方式で入
力・計算・出力を並列処理できるようになっている。
【0180】図34は、描画用回路52のより詳細な構
成を示すブロック図である。同図に示すように、描画用
回路52は、照射量データメモリ161〜163、本実
施形態において特徴的な中間フレーム用照射量データ作
成回路174、キャッシュメモリ164、バッファメモ
リ165、ショット分割回路166、照射量選択回路1
67、照射時間算出回路168および制御回路160を
備えている。
【0181】以上の構成を有する電子線描画システム7
の動作について、本発明にかかる電子線描画システムの
制御方法の第7の実施の形態として図面を参照しながら
説明する。本実施形態は、第1のフレームである元フレ
ームに所定の補助領域である余白領域と後方散乱領域を
付加して第2のフレームである拡大フレームを形成し、
これに基づいて近接効果の補正演算を行う点に特徴があ
る。本実施形態は、また、上記方法で演算された補正照
射量データについて、重複部分を除去して中間フレーム
を形成する点に特徴がある。
【0182】まず、上述した拡大フレームについて図3
5から図38を参照しながら説明する。図35に示すよ
うに、フレームの高さ方向(y方向)にサブフイールド
1個と同一の高さを有し、横方向(x方向)にフレーム
の長さと同一の長さを有する長方形でなる領域(以下、
余白領域という)を元フレームに付加し、さらに元フレ
ームと余白領域の外側の高さ方向に、後方散乱電子の影
響を回避するための領域(以下、後方散乱領域という)
をそれぞれ付加する。余白領域は、飛出図形パターンを
分割することなく全領域についていずれかのフレームに
帰属させるための補助領域である。また、後方散乱領域
の高さは、後方散乱径をσとしたとき、2σである。本
実施形態においては上述したように電子ビームの加速電
圧が50kVなのでσ=10μmである。以上のよう
に、本来のフレームに余白領域と2つの後方散乱領域を
付加した領域を拡大フレームと定義し、この拡大された
領域で図形パターンを分割した上で近接効果補正を行
う。この拡大フレームに基づく図形パターンのデータを
分割する方法を図62に示した飛出図形パターン151
を用いて説明する。本実施形態においては、サブフィー
ルドの全領域がある拡大フレーム内に含まれている場合
は、その拡大フレームに帰属するものとし、サブフィー
ルドの一部でも隣接する拡大フレームの領域にある場合
は、隣接する拡大フレームに帰属するものとする。
【0183】図36は、図62に示す図形パターンに拡
大フレームを当てはめたものである。同図に示すよう
に、サブフィールドA,B,Cは、それぞれ全領域が元
フレーム1、余白領域RM1および後方散乱領域Rb1に含
まれている。従って、サブフィールドA〜Cは図37に
示すように、拡大フレーム1に帰属する。この一方、サ
ブフィールドDについては、内部に含む図形パターン1
57も拡大フレーム1内に位置するが、図形パターン1
58は余白領域RMおよび後方散乱領域Rbから外れるた
め、拡大フレーム1に含まれず、図38に示すように拡
大フレーム2に帰属する。
【0184】このような拡大フレームを用いて分割され
た図形パターンは近接効果補正回路部171で処理され
る。LSIの図形パターンに対応する照射量データは、
元フレーム単位で制御計算機37からバッファメモリ1
81〜184に元フレームの順番に従って転送される。
例えば、図33に示すように、制御計算機37は、元フ
レーム1に後方散乱領域Rb1を付加したデータをバッフ
ァメモリ181に格納し、また、元フレーム2のデータ
をバッファメモリ182に格納する。さらに、バッファ
メモリ183には、元フレーム3に余白領域RM2と後方
散乱領域Rb2を付加したデータを格納する。ここで制御
計算機37からバッファメモリ181ヘ元フレーム4の
データが転送されると、これと同時に、領域結合回路1
72は、バッファメモリ181〜183からそれぞれの
図形パターンに対応する照射量データを選択して引出
し、拡大フレーム2を形成する。すなわち、バッファメ
モリ181から後方散乱領域Rb1の図形パターンの照射
量データ、バッファメモリ182から元フレーム2の図
形パターンの照射量データ、バッファメモリ183から
余白領域RM2と後方散乱領域Rbの図形パターンの照射
量データをそれぞれ引出し、これらの領域の図形パター
ンの照射量でーたを結合させて拡大フレーム2を形成
し、これをバッファメモリ185に転送する。各バッフ
ァメモリ181〜183,185に格納された図形パタ
ーンの照射量データを図39に模式的に示す。
【0185】拡大フレーム2のデータが領域結合回路1
72からバッファメモリ185(または、バッファメモ
リ186)に転送されるとき、バッファメモリ186(ま
たは、バッファメモリ185)から、既に形成され格納
された拡大フレーム1のデータが近接効果補正回路17
3に転送される。近接効果補正回路173では、入力さ
れた拡大フレーム1の図形パターンに対応する照射量デ
ータに基づいて近接効果補正計算を行い、最適照射量を
出力する。本実施形態ではこの計算に簡単な近似解の公
式を利用する方法(例えば、前述した、Journal of Vac
uum Science and Techno1ogy B4, 159(1986)(J.M.Parko
vich)に記載の方法)を用いた。この計算結果を近接効果
補正回路173は照射量データメモリ187(または、
照射量データメモリ188)に出力して格納する。
【0186】次に、図34に示すように、近接効果補正
回路171から各拡大フレームの照射量データがメッシ
ュごとに描画用回路52の照射量データメモリ161〜
163に転送される。なお、後方散乱領域Rbの照射量
メッシュは描画では使用されないので、これを除いた元
フレームと余白領域RMの照射量メッシュのデータが描
画用回路52に転送される。
【0187】本実施形態では、1重(初回)描画につい
ては、データ上の元フレームをそのまま描画するので、
これに対応する照射量データが利用される。一方、中間
フレームの描画時には、中間フレーム用照射量データ作
成回路174が照射量データメモリ161〜163に格
納されている照射量メッシュのデータから中間フレーム
を作成する。図40は、中間フレーム用照射量データ作
成回路174が中間フレームを作成するまでの各段階の
データを示す模式図である。同図(a)は、例えば照射
量データメモリ162に格納された元フレーム2および
余白領域RM2のデータを示し、また、同図の(b)
は、例えば照射量データメモリ161に格納された元フ
レーム1および余白領域RM1のデータを模式的に示
す。同図(c)は、従来の技術により2つの元フレーム
を単純に並べたときの模式図であり、また、同図(d)
は本実施形態の制御方法により余白領域RM1を除去し
たときの2つの元フレームの模式図である。さらに、同
図(e)は元フレーム1の領域の一部と元フレーム2の
領域の一部で構成される中間フレームの模式図である。
なお、この中間フレームは、同図(d)に示す距離DS
だけフレーム設定の基準位置をシフトさせた場合の中間
フレームである。
【0188】図40(c)に示すように、2フレームを
単純に並べて中間フレームを作成すると、元フレーム2
と余白領域RM2で照射量メッシュの座標がずれてしま
う。これは、図37と図38との対比から明らかなよう
に、余白領域RM1と、元フレーム2の底辺付近の照射
量メッシュが本来同じ物であるため、その分ずれること
になるからである。このことは、図40の(c)と
(d)の模式図を対比することにより、余白領域RM1
の高さだけ元フレーム2が高さ方向にずれていることか
らもわかる。同図(d)のフレームイメージは、照射量
データメモリ161から元フレーム1の領域を読み出
し、照射量データメモリ162から元フレーム2の領域
と余白領域RM2の領域とを読み出して構成したもので
ある。実際には、中間フレームの描画時に中間フレーム
全体の照射量データを作成するのではなく、中間フレー
ム用照射量データ作成回路174が中間フレームの照射
量データを1mm×1mmの領域毎に作成する。即ち、照射量
メッシュの座標の範囲を指定して照射量データメモリ1
61から、例えば、図40(b)に示す領域βを読み出
す。同様にして照射量データメモリ162から例えば図
40(a)に示す領域δとεを読み出す。これにより、
キャッシュメモリ164には、同図(e)に示すよう
に、1mm×1mmの領域を構成する領域(β十δ十ε)が転
送される。以上の読出および転送を処理する間に、既に
作成したブロック内の描画が並列処理で行われている。
【0189】キャッシュメモリ164ヘのデータ転送
は、予め格納されたメッシュデータの利用手順のデータ
に基づいて行われる。照射量データの設定はショット毎
に行うわれるが、本実施形態では、キャッシュメモリ1
64に格納された照射量データを次のように利用する。
【0190】まず、あるショットに対応する照射量メッ
シュの位置(k,l)を次式により算出する。その照射
量メッシュが有する照射量がそのショットの値に該当す
る。
【0191】(k)=(ショットの中心のX座標−描画
ストライプのメッシュ原点のX座標)/メッシュサイズ
X (l)=(ショットの中心のY座標−描画ストライプの
メッシュ原点のY座標)/メッシュサイズY
【0192】描画用回路52の照射時間算出回路168
は、ショット毎に設定された照射量データを照射時間の
クロック数のデータに変換する。このクロック数はブラ
ンキング制御回路部34へ供給される。ブランキング制
御回路部34は、ショット毎にこのクロック数だけビー
ムをONした後OFFする。クロック数は、ユーザが指
定する、基準照射量(塗りつぶし部の照射量)D0と電
流密度I、照射時間の制御単位Δから次の様に算出され
る。
【0193】クロック数=D0×(ショットの照射量デー
タ)/(電流密度I×制御単位Δ) 以上の方法により、照射量をショット毎に制御でき、照
射量補正が実行される。この操作を各描画ストライプ毎
に行うことによって、近接効果補正と多重描画とを両立
して行うことができる。
【0194】次に、本発明にかかる電子線描画システム
の第5〜第7の実施の形態について図面を参照しながら
説明する。第5の実施の形態は、近接効果の補正に際す
る計算エラー等の異常の有無を電子線描画システム内部
に備えるハードウェアにより自己診断する形態であり、
第6の実施の形態は、上記ハードウェアまたは制御ソフ
トに含まれるソフトウェアにて自己診断する形態であ
る。また、第7の実施の形態は、計算エラー等の異常が
発見された場合に、CRT等の表示手段から容易に異常
箇所を特定できるデータ検証支援システムを備えた実施
形態である。
【0195】まず、本発明に係る電子線描画システムの
第5の実施の形態について図面を参照しながら説明す
る。本実施形態の特徴は、近接効果の補正に際する計算
エラー等の異常の有無を診断する演算結果自己診断手段
を備えた点にある。
【0196】図41は、本実施形態である電子線描画シ
ステム1の概略構成を示すブロック図である。
【0197】同図に示す電子線描画システム1は、電子
ビームを基板11に照射する電子光学系2と、この電子
光学系2を制御する描画制御部3eと、システム全体を
制御する制御部4とを備えている。
【0198】電子光学系2は、電子光学鏡筒20と試料
室10とを備えている。電子光学鏡筒20内には、電子
銃21、各種レンズ系22a〜22e、各種偏向系23
〜26、ブランキング板27aおよびビーム成形用アパ
ーチャマスク27b,27cを備えている。また、試料
室10は、ウェーハやマスク等の基板11とこれを上面
にて支持するステージ12とを備えている。
【0199】また、描画制御部3eは、ステージ12の
移動等を制御する試料台駆動回路部31、レーザ測長系
32、偏向制御回路部33、ブランキング制御回路部3
4、可変成形ビーム寸法制御回路部35、バッファメモ
リ及び制御回路36とを備えている。
【0200】さらに、制御部4は、ワークステーション
等の制御計算機37とデータ変換用計算機38およびC
ADシステム39とを備えている。
【0201】本実施形態の電子線描画システム1は、ス
テージ連続移動方式を採用している。すなわち、ステー
ジを連続移動させながら、ビームを偏向してビーム位置
を制御しながら図形パターンを描画する。
【0202】図21に描画領域の説明図を示す。描画領
域15中のフレーム16は、1回のステージ連続移動で
描画する領域であり、目的の図形パターンは、このよう
な連続移動の描画を繰返すことですべて描画される。連
続移動中、ビーム位置の制御は主偏向器25と副偏向器
26とによって行われる。副偏向器26は約60μm×
60μmの領域面(サブフィールド17)にビームの位
置を制御する。このサブフィールド17の位置決めは、
主偏向器25によって行い、フレーム16の幅(x方向
の長さ)は、主偏向位置を決めることができる範囲で決
まる。
【0203】図41に戻り、電子銃21から放出された
電子ビームはブランキング用偏向器23によりON−O
FFされる。本実施形態の電子線描画システム1は、こ
のON−OFFの際の照射時間を調整することにより、
照射位置に応じて照射量を変化させることを可能として
いる。ブランキング板27aを通過した電子ビームはビ
ーム成形用偏向器24およびビーム成形用アパーチャマ
スク27b,27cにより矩形ビームに成形され、また
その矩形の寸法が可変される。そして、この成形された
電子ビームは偏向器25,26により基板11上で偏向
走査され、このビーム走査により基板11の表面に所望
の図形パターンが描画されるものとなっている。
【0204】制御部4の制御計算機37は、描画用デー
タの書込みと保管、精度管理や描画手順の制御などを行
う。電子線描画システム1に入力できるEB(Electron
Beam)データの構造の概念図を図42に示す。これ
は、代表図形法を利用した近接効果補正用データ圧縮を
実現させる構造である。(参考文献、Japanese
Journal of Applied Physic
s;T.Abe,S.Yamasaki,T.Yama
guchi,R.Yoshikawa&T.Takig
awa, Vol.30,p2965(1991))。
【0205】同図(a)に示すように、各フレーム毎に
図形パターンデータDPが格納され、各図形パターンデ
ータDPには、サブフィールド毎にその位置情報及びア
レイ情報が格納されている。これらの情報のうちには、
例えば、各サブフィールド内の図形情報が含まれる。な
お、図形情報は、ショット分割前の図形が定義され、繰
返し配列の定義等でデータ圧縮されて格納される。
【0206】また、各フレーム毎にそれぞれの図形パタ
ーンデータに対応した照射量データDSが格納される。
即ち、照射量は、図形データとは別個に小さな領域(例
えば1μm×1μm、同図(b)参照)毎に設定され
る。
【0207】バッファメモリ及び制御回路36の詳細な
構成を図43を参照しながら説明する。同図に示すバッ
ファメモリ及び制御回路36aは、補正照射量算出回路
40と描画制御回路51を含み、制御ソフト49を有す
る制御計算機37とともに、本発明において特徴的な演
算結果自己診断手段を構成する。
【0208】補正照射量算出回路40は、計算回路41
と入力バッファ45,46と出力バッファ47,48と
を備えている。また、描画制御回路51は、バッファ5
5〜58を備えている。
【0209】補正照射量算出回路40の入力バッファ4
5,46は、制御計算機37に接続され、図示しないメ
モリに格納された各フレーム毎の照射量データ(図42
参照)の供給を受ける。計算回路41は、回路間の専用
線とは独立に設けられた専用のバス配線59を介して制
御計算機37に接続されている。制御ソフト49により
計算回路41を制御する場合は、制御計算機37がこの
バス配線59を経由して制御信号を送り、制御ソフト4
9により回路状態を把握するためにもこのバス配線59
を利用する。また、出力バッファ47,48もバス配線
59を介して制御計算機37に接続され、出力バッファ
の内容もまたバス配線59を経由して制御計算機37が
制御ソフト49により読込むことができる構成となって
いる。
【0210】描画制御回路51の入力バッファ55,5
6は、制御計算機37に接続され、各フレーム毎の図形
パターンデータDP(図42参照)を受取る。また、描
画制御回路51の入力バッファ57,58は、バス配線
59を介して補正照射量算出回路40の出力バッファ4
7,48に接続され、演算結果としての補正照射量デー
タDSの転送を受ける。さらに、描画制御回路51は、
図示しない出力部が電子光学系2に接続されている。
【0211】図43に示すバッファメモリ及び制御回路
36aの動作は、以下のとおりである。
【0212】即ち、制御計算機37が制御信号を補正照
射量算出回路40の計算回路41に供給し、各フレーム
毎の照射量データDSを入力バッファ45,46に供給
するとともに、この照射量データDSに対応して各フレ
ーム毎の図形パターンデータDPを描画制御回路51に
供給する。
【0213】補正照射量算出回路40の計算回路41
は、1フレーム毎に補正照射量を算出し、この補正照射
量データDSの供給を受けた出力バッファ47,48が
バス配線59を介して描画制御回路51に転送する。
【0214】描画制御回路51は、補正照射量算出回路
40から供給された照射量データDSを利用し、予め制
御計算機37から供給された各フレーム毎の図形パター
ンデータDPに基づいて、電子ビームの各ショット18
(図21参照)毎に照射時間を算出し、ショット18の
サイズや位置とともに、照射時間データを電子光学系2
に送る。
【0215】電子光学系2では、これらのデータに基づ
いて電子ビームを成形し、照射位置や照射時間等を調整
する。
【0216】図43に示すように、補正照射量算出回路
40では、入力、出力ともに、ダブルバンク方式を採用
しており、そのためパイプライン方式で計算・入力・出
力を並列処理できる。また、描画制御回路51も同様に
ダブルバンク方式により、照射量データの入力と描画用
制御とを並列処理できる形態となっている。
【0217】このような構成により、本実施形態の電子
線描画システム1は、補正照射量の算出と描画を並列に
処理する。即ち、描画制御回路51は、補正照射量のデ
ータを利用しながら、描画の制御を行い、この間、補正
照射量算出回路40は、次に描画するフレームの補正照
射量を算出している。
【0218】本実施形態の電子線描画システム1は、規
格化した補正照射量D(x)を図形に対してではなく、
描画領域を等分割した第1の小領域であるメッシュ毎に
算出する。このメッシュのサイズは、図42(b)に示
すように、後方散乱の広がり(10μm×10μm)よ
りも充分に小さな1μm×1μm程度である。
【0219】この補正照射量の演算は、図43に示す計
算回路41により以下のように処理される。
【0220】(1)補正照射量算出回路40の計算回路
41に、制御計算機37から図形パターンデータDP
送られる。この図形パターンデータDPを用いて、計算
回路41は、描画領域を第2の小領域に区分し、この第
2の小領域内部に含まれる図形パターンの面積と重心を
求める。ここで、小領域は後方散乱の広がりと同程度の
10μmとする。
【0221】または、描画領域をメッシュに区分し、こ
のメッシュに含まれる図形パターンの面積を求める。
【0222】メッシュのサイズは、上述したとおり後方
散乱の広がりよりも充分小さな1μmとすれば良い。シ
ステム上は、0.7×0.7μm〜5×5μmの範囲で
可変である。
【0223】(2)各小領域の面積または面積および重
心から、次の式に従って、コンボリューション計算を行
う。
【0224】 U(x,y)=[erf{(x−x′+a)/σb}−erf{(x−x′− a)/σb}]×[erf{(y−y′+b)/σb}−erf{(y−y′−b )/σb}]・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7) ここで、x,yは照射量を設定すべきメッシュの中心座
標である。また、x′,y′およびa,bの定義は以下
のとおりである。
【0225】I.(1)で、面積と重心を利用する場合 x′,y′はx,yから3σ程度以内に存在する第2の
小領域での図形パターンの重心座標a,bは次式であら
わされる。
【0226】a(b)=(第2の小領域での図形パター
ンの面積)1/2 II.(2)で、面積のみを利用する場合 x′,y′はx,yから3σ程度以内に存在する第2の
小領域の中心座標であり、a,bはメッシュの長さの半
分である。
【0227】(3) (2)のコンボリューション値U
から各メッシュ毎の(規格化した)補正照射量dを以下
の式にしたがって算出する。
【0228】 d(x,y)=(1/2+η)/(1/2+η×U(x,y))・・8)
【0229】(4) (3)で得られたd(x)から以
下の式により、照射量データDSを1メッシュあたりに
256階調すなわち1バイトにて表現しなおす。
【0230】 D(x,y)=255×(INT(d(x,y)/(1+η)+0.5) ・・9)
【0231】これにより、最小の(規格化された)照射
量が0で表現され、最大の(規格化された)照射量が2
55で表現される。
【0232】このようにして得られた補正照射量のデー
タは、描画制御回路51に送られ、描画制御回路51は
この照射量データDSと図形パターンデータDPとから、
ショット毎の照射量を算出し、ショット毎に照射時間を
変更しながら図形パターンを描画するための制御を行
う。
【0233】本実施形態の電子線描画システム1では、
このデータを用い、以下の式で照射時間Tを算出する。
【0234】 T=(DO/I)×(1.0+k×D(x)/256.0)・・・10)
【0235】ここで、DOは最小の照射量(μC/cm
2)、Iは電流密度(A/cm2)、kは照射を換算する
ための定数であり、(規格化された)最大照射量が1+
kとなるよう調整してある定数である。
【0236】補正照射量の算出は、1回のフレーム連続
移動で描画する領域即ち1フレーム毎に行われ、補正照
射量が算出された後、場所によって照射時間を調整され
ながら該フレーム内の図形パターンが描画される。
【0237】次に、補正照射量の演算結果を自己診断す
る動作を本発明に係る電子線描画システムの制御方法の
第8の実施の形態として図44ないし図46のフローチ
ャートを参照しながら説明する。
【0238】まず、制御計算機37の図示しないハード
ディスクの内部に数種類〜数十種類の図形パターンデー
タDP(図42参照)を予め格納しておく。この図形パ
ターンデータDPには、1:1のライン・アンド・スペ
ースや、孤立のライン図形パターン、スペース図形パタ
ーンなどの各種のテスト図形パターンが含まれる。これ
らの図形パターンデータDPは、外部の汎用の計算機に
よりデータ変換ソフトなどを用いて予め作成しておく。
【0239】また、制御計算機37のハードディスクの
内部には、これらの図形パターンに対応する基準値とし
ての最適照射量のデータが格納されている。この最適照
射量データは、補正照射量算出回路40が正常動作して
いる際に得られた出力結果である。
【0240】ここで、上記一つの図形パターンに対して
は、一つ以上の最適照射量のデータが格納されている。
これは、一つの図形パターンに対して、メッシュの大き
さを0.7μm×0.7μmから5μm×5μmまでの
5種類(0.7μm×0.7μm、1.0μm×1.0
μm、1.5μm×1.5μm、2.0μm×2.0μ
m、3.0μm×3.0μm、5.0μm×5.0μ
m)の条件で算出された結果が格納され、また、補正計
算用のパラメータη、σの組合わせが3種類(η=0.
3、σ=10.0μm:η=0.8、σ=8.0μm:
η=1.2、σ=10.0μm)セットされているため
である。
【0241】また、この最適照射量データは、フレーム
毎に算出して格納しておく。
【0242】さらに、制御計算機37のハードディスク
の中には、システムのチェック時間を記述するファイル
(ファイルA)と、チェック終了の有無およびエラーの
内容を記述するファイル(ファイルB)とが格納されて
いる。チェック時間ファイルAには、例えば、1:00
などが記述されている。
【0243】制御ソフト49は、レチクル等の基板の描
画開始前に必ず上記2つのファイルA,Bを読込み、ま
た、制御計算機37内部の現在時刻を読出す。図44に
示すように、(1)現在の時刻が、チェック時間に至っ
ていない場合(ステップS30)、および、(2)チェ
ック時間を過ぎているが、ファイルBにより(ステップ
S31)、チェック終了していることが確認された場合
には(ステップS32)、次のレチクルの描画準備を開
始する(ステップS33)。ここで、ファイルBのエラ
ー内容に、高精度描画不可の記述がある場合(ステップ
S34)、これから描画する図形パターンが高精度の描
画を要するパターンであるか否かの判断を行い(ステッ
プS35)、もし高精度描画が必要ない場合は、描画を
開始し(ステップS36)、この一方、高精度描画を要
する場合には本レチクルの描画を中断し(ステップS3
7)、高精度でない図形パターンを探して描画を行う
(ステップS38)。
【0244】これに対し、(3)チェック時間を過ぎて
おり(ステップS30)、ファイルBにより(ステップ
S31)、当日のチェックが終了していないことが確認
された場合には(ステップS32)、次のレチクルの描
画を開始せず、図45のフローチャートに示すように、
チェック用動作を開始する。
【0245】まず、補正照射量算出回路40にメッシュ
サイズや、補正計算用パラメータをセットする。次に図
形パターンデータ1をハードディスクから補正照射量算
出回路40の入力バッファ45,46にデータを供給し
(ステップS40)、その後、計算回路41に起動をか
ける(ステップS41)。計算回路41は、その演算結
果を出力バッファ47,48に出力して格納し、入力デ
ータをすべて処理した後は処理終了信号を制御計算機3
7に供給して処理を終える。制御ソフト49は、この処
理終了信号を受けて、出力データをバス配線59経由で
読取り、読取結果をハードディスクに格納する。次に、
格納された出力結果を予め算出しておいた補正照射量の
基準値データと比較し(ステップS42)、比較結果を
ハードディスクの内部にファイルの形で格納する(ステ
ップS43)。以上のステップS400〜ステップS4
30の動作を繰返し(ステップS44)、比較結果をす
べてファイルに出力する。
【0246】次に、比較結果の判断を行う。すべての比
較で完全に一致した場合には(ステップS45)、問題
ない旨のメッセージを出力するとともに、完全一致の旨
をファイルに格納しておき、レチクルの描画を開始する
(ステップS46)。
【0247】比較結果が異常な場合には(ステップS4
5)、処理は2つのケースに別れる。
【0248】もし、誤差が1単位程度の軽微なものであ
る場合(ステップS47)、ワーニングとメンテナンス
コールのメッセージを表示して、その旨をファイルBに
出力した上で(ステップS48)、レチクルの描画を開
始する(ステップS49)。
【0249】もし、誤差が2単位以上4単位未満の場合
には(図46ステップS50)、超高精度の描画は不可
能とし、その旨のメッセージを表示するとともにファイ
ルBに出力し(ステップS51)、高精度でない図形パ
ターンを探して描画を行う(ステップS52)。
【0250】もし、差が4単位以上の場合は(ステップ
S50)、すべての描画は不可能とし、その旨のメッセ
ージを表示するとともにファイルBに出力し(ステップ
S53)、描画システムを終了させる(ステップS5
4)。
【0251】このように、本実施形態の電子線描画シス
テム1は、補正照射量算出回路40の演算結果を所定の
基準値と比較してシステムの動作を制御する演算結果自
己診断手段を備えているので、レチクルの製造(図形パ
ターン描画、レジスト現像、エッチング等)を完了した
後に寸法測定等の処理により演算結果を確認する必要な
く、システム単体で演算結果を検証することができる。
このため、演算結果自己診断手段を定期的あるいは不定
期に起動することにより、わずかな時間で演算結果の検
証と補正照射量算出回路40の状態のチェックを終了さ
せることができる。
【0252】従来、現実的ではないが、例えば仮に、す
べての場所の寸法を測定したとしても、レジスト、また
は、クロム等の寸法測定において測定精度は数十nmか
らせいぜい数nmの測定精度しか得られなかった。これ
に対し、本実施形態の電子線描画システム1によれば、
計算回路41等の動作を直接検知してチェックできるた
め、照射量の5%以下の誤差まで検知することができ
る。これは、誤差2nm〜3nmの測定誤差に相当する
高精度のものである。しかも、算出された照射量すべて
をチェックできることになる。
【0253】次に、本発明に係る電子線描画システムの
第6の実施の形態について図面を参照しながら説明す
る。
【0254】まず、本実施形態に適用される補正照射量
の算出方法とその演算誤差を算出する原理について説明
する。
【0255】図47は、本実施形態である電子線描画シ
ステム30に用いられる、照射量補正により近接効果の
影響を抑制する方法を説明する模式図である。即ち、同
図(a)は描画する図形パターンの例201〜203を
示し、同図(b)は補正をしなかった場合の図形パター
ン201〜203に対応する照射量分布とエネルギー分
布を示し、さらに、同図(c)は、補正した場合の図形
パターン201〜203に対応する照射量分布とエネル
ギー分布を示している。同図(b)に示すように、密度
の高い図形パターン201に対応する部分ではエネルギ
ーの蓄積が大きく、また、粗な部分、即ち密度の低い図
形パターン203の部分ではエネルギーの蓄積が少な
い。従って、近接効果の影響は、基板から生じるエネル
ギーをも考慮に加え、同図(c)に示すように、全体の
エネルギーを一定に保つような照射量補正を行うことに
より抑制する。
【0256】図48は、描画する図形パターンの他の一
例253について、本実施形態における照射量補正の方
法を説明する模式図である。
【0257】同図において、それぞれa×bの面積を有
する小領域に分割された描画領域215中のメッシュ2
52に描画すべき図形パターン253が示されている。
図形パターン213および214は、いずれも電子ビー
ムで図形パターン253を描画した場合のエネルギー分
布の境界を示し、図形パターン214のエネルギー強度
は、図形パターン213のエネルギー強度よりも小さ
い。
【0258】まず、位置(x′,y′)での照射量の寄
与を考慮した、メッシュ252の補正照射量D(x,
y)は下記の式で近似できる。ここで、U(x,y),
n(x,y)は、位置(x′,y′)が小領域(x,
y)に及ぼす寄与分である。
【0259】 D(x,y)=Σdn(x,y) ・・・・・・・・・・・・・・・・11) n n:繰返し回数 d0(x,y)=(Fterm+η)/{Fterm+η×U(x,y)} …12) Fterm:定数 η :定数
【0260】
【数2】 即ち、レチクル上に蓄積するエネルギー分布は、図形パ
ターンの面積の大小にかかわらず一定となることが理想
であり、この時もっとも良好な図形パターンを描画する
と考えられる。照射量補正は、この場所毎・面積毎のエ
ネルギー分布の調整を行う。つまり、この理論値と算出
された補正照射量データに基づいて、補正誤差を算出す
ることにより、補正計算をおこなう。
【0261】場所(x′,y′)近傍に存在する図形パ
ターンの端辺でのエネルギーをE(x′,y′)とし、
照射量メッシュサイズを(a,b)とすると、
【0262】
【数3】 ここで、(xj,yj)はメッシュ(xi,yi)の近傍3
σb程度以内のメッシュ中心である。このとき、もし照
射量が完全に正確で、誤差が無い場合、このE(x′,
y′)は1.0となる。つまり、この値からのズレが補
正誤差となり、 Err(x′,y′)=E(x′,y′)−1.000 ・・・・・・・17 ) で表される。
【0263】本実施形態の電子線描画システム30はこ
の点に注目し、16)、17)を制御計算機37の制御
ソフト49に含まれるソフトウェアにより、自動的に計
算する機能を設けたものである。
【0264】本実施形態の電子線描画システム30の基
本的構成は、図41に示す電子線描画システム1と略同
一である。従って、その動作も補正照射量の演算処理お
よび演算結果に対する自己診断処理を除いて同一であ
る。本実施形態の特徴は、電子線描画システム30のバ
ッファメモリ及び制御回路36bに含まれる補正照射量
算出回路130にある。
【0265】図49に電子線描画システム30が備える
補正照射量算出回路130を含むブロック図を示す。同
図に示すように、補正照射量算出回路130は、メッシ
ュ毎に面積または重心を算出する面積・重心算出部13
1と、コンボリューション演算を行うコンボリューショ
ン回路132と、制御計算機37および面積・重心算出
部131に接続されるバッファ141,142と、面積
・重心算出部131およびコンボリューション回路13
2に接続されるバッファ143,144とを備えてい
る。補正照射量算出回路130は、バス配線59を介し
て制御計算機37と接続され、また、補正照射量算出回
路の出力データである補正照射量データDSは、転送回
路134により描画制御回路51に供給される。
【0266】補正照射量算出回路130の動作は、次の
とおりである。なお、以下では、説明を簡略化するた
め、メッシュ毎の重心のデータは利用しないものとす
る。
【0267】まず、制御計算機37からメッシュ毎の描
画図形のパターンデータDPがバッファ141または1
42に供給されると、面積・重心算出部131が制御計
算機37から供給される起動信号により、メッシュ毎の
面積S(x′)を算出し、算出結果である面積データDa
をバッファ143または144に出力する。制御計算機
37は、この面積データDaを引出して図示しないハー
ドディスクに格納する。コンボリューション回路132
は、バッファ143または144から面積データDa
引出して以下の計算式に従ってコンボリューション計算
を行い、補正照射量D(x)を算出して補正照射量デー
タDSとして転送回路134に出力する。
【0268】
【数4】 転送回路134は、補正照射量データDSを描画制御回
路51に供給するとともに制御計算機37にも供給し、
制御計算機37は、これをハードディスクに格納する。
【0269】制御計算機37は、これらの面積データD
aと補正照射量データDSとを用いて面積×照射量、即ち
(x)=D(x)×S(x)を算出して補正照射量算
出回路130のバッファ143または144に供給した
後、コンボリューション回路132を起動させる。コン
ボリューション回路132は、計算式18)に従って照
射量D(x)を出力する。この出力データは、転送回
路134により制御計算機37へ転送され、ハードディ
スクに保管される。制御計算機37は、この照射量D
(x)から次のようにコンボリューション結果を逆算す
る。
【0270】 ηU(x)=(1/2+η)/D(x)−1/2・・・・・・・・・19)
【0271】このU(x)が補正照射量算出回路130
で得られたD(x)で図形パターンを描画した場合の後方
散乱電子によるレジストの感光量である。
【0272】また、前方散乱電子によるレジストの感光
量は、 1/2D(x)=1/2D(x)×S(x) であるため、全感光量E(x)は、次式 E(x)=1/2D(x)+ηU(x) =1/2D(x)×S(x)+(1/2+η)/D(x)−1/2 …20) となる。制御計算機37は、制御ソフト49により上式
20)に従って全感光量E(x)を算出する。
【0273】E(x)の理論値は1であるため、E(x)の
所定値1からのずれが補正計算の誤差を意味する。即
ち、E(x)−1で得られる。従って、補正計算誤差が所
定値を超える場合は、補正照射量算出回路にエラーがあ
ることがわかる。
【0274】このように、理論に基づく場合は、発生す
る誤差の上限は数%である。従って、ハードウェアおよ
びソフトウェアに異常がなければ補正誤差がこれを超え
ることはない。よって、制御計算機37は、制御ソフト
49によりこの補正誤差が上限値を超えるか否かを判断
し、超えた場合には、最適照射量算出回路130に異常
があることを認識できたことになり、その旨のメッセー
ジ信号を出力する。
【0275】ここで、面積の算出結果は面積・重心算出
部131から出力されたものを使用したが、別途ソフト
ウェアにより算出しておいても良いし、他の同様の回路
により算出されたものを利用しても良い。
【0276】また、本実施形態では、補正照射量算出回
路130の内部で照射量テータを算出したが、コンボリ
ューション結果そのものを出力させても良いし、誤差そ
のものを出力させても良い。これらは、補正照射量算出
回路130内の、コンボリューション結果から照射量デ
ータを算出する部分をテーブル参照方式にすることで容
易に実現可能である。
【0277】さらに、上記実施形態では補正照射量算出
回路のチェックを描画とは別に行ったが、同時に行って
も良い。
【0278】図50は、本実施形態の電子線描画システ
ム30の一変形例における補正照射量算出回路140を
含むブロック図である。
【0279】同図に示す補正照射量算出回路140は、
図49との対比において明らかなように、コンボリュー
ション回路の出力側に2段の出力バッファ145,14
6を備え、このうち1段を描画制御回路51への転送用
に用い、他の1段をチェック用に利用する。チェック用
バッファの後段には、補正照射量算出回路に備えられた
コンボリューション回路132と同一のコンボリューシ
ョン回路133がさらに備えられている。
【0280】同図に示す変形例では、制御計算機37か
ら供給される面積×照射量のデータに対するコンボリュ
ーション計算はこのコンボリューション回路133が実
行する。
【0281】また、この結果得られた照射量データD
(x)から誤差を算出する回路をさらに備え、この誤差
算出回路で誤差が所定値以上になるか否かを検知させ、
異常時には、これを制御計算機37に通知させるように
しても良い。
【0282】以上は、近接効果補正の計算をハードウェ
アが行ったが、ソフトによって計算を行う場合にも、同
様に実現が可能である。
【0283】このソフトウェアにより演算結果の自己診
断を行うプロセスを図51のフローチャートを参照しな
がら説明する。
【0284】まず、補正照射量の演算の過程でメッシュ
データと図形パターンデータに基づいて図形パターンの
面積分割の結果得られた各小領域の面積データを制御計
算機37のメモリに格納しておく(ステップS10)。
次に、補正演算を実行して各小領域毎に補正照射量のデ
ータをディスクに格納する(ステップS11)。
【0285】次に、このようにして得られた補正照射量
と面積のデータから各小領域毎に面積×補正照射量のデ
ータを作成し(ステップS12)、所定のコンボリュー
ション演算を実行して(ステップS13)、補正誤差を
算出する(ステップS14)。
【0286】次に、この補正誤差を所定の理論値と比較
する(ステップS16)。その結果、すべての比較で完
全に一致した場合には(ステップS20)、問題ない旨
のメッセージを出力して、レチクルの描画を開始する
(ステップS21)。
【0287】比較結果が理論値と合致しない場合には
(ステップS20)、処理は2つのケースに別れる。
【0288】もし、誤差が第1の範囲内に属するような
軽微なものである場合には(ステップS22)、ワーニ
ングとメンテナンスコールのメッセージを表示して(ス
テップS23)、レチクルの描画を開始する(ステップ
S24)。
【0289】もし、誤差が第1の範囲に属さず、第2の
範囲に属する場合には(ステップS25)、高精度の描
画は不可能とし、その旨のメッセージを表示するととも
に(ステップS26)、高精度でない図形パターンを探
して描画を行う(ステップS27)。
【0290】もし、誤差が第2の範囲にも属さない大き
な値である場合は(ステップS25)、すべての描画は
不可能とし、その旨のメッセージを表示するととともに
(ステップS28)、描画システムを終了させる(ステ
ップS29)。
【0291】このように、本実施形態の電子線描画シス
テムによれば、近接効果補正のためのハードウェアまた
はソフトウェアの演算過程に異常がある場合に、自らこ
の異常を検知することができるので、トラブルやエラー
の有無を早期に発見することができる。これにより、描
画後のチェックの負担を大幅に低減することができる。
【0292】次に、本発明に係る電子線描画システムの
第7の実施の形態について図面を参照しながら説明す
る。
【0293】図52は、本実施形態である電子線描画シ
ステム60の基本的構成を示すブロック図である。同図
に示すように、本実施形態の特徴は、補正照射量の演算
過程に異常が発見された場合に、CRT(Cathode Ra
y Tube)等の表示手段から容易に異常箇所を特定でき
るデータ支援システム61をさらに備えた点にある。
【0294】同図に示す電子線描画システム60は、ハ
ードメモリ66を有しシステム全体を制御する制御計算
機37と、制御計算機37から図形パターンデータDP
を受けて近接効果の影響を考慮して補正した電子線照射
量である補正照射量データD Sをバッファメモリ65に
出力する補正照射量算出回路40と、バッファメモリ6
5から供給された補正照射量データDSと制御計算機3
7から供給された図形パターンデータDPに基づいて電
子光学系2を制御する描画制御回路51と、描画制御回
路51の出力信号を受けてレチクル等の基板に目的の図
形パターンを描画する電子光学系2と、補正照射量デー
タDSなどを表示するCRT67と、本発明において特
徴的なデータ検証支援システム61とを備えている。
【0295】データ検証支援システム61は、専用のバ
ス配線59により制御計算機37と接続されている。バ
ッファメモリから出力された補正照射量データDSは、
描画とは別個にバス配線59を経由して、制御計算機3
7のハードディスクに格納される。さらに、この補正照
射量データDSは、制御計算機37からデータ検証支援
システム61に入力され、CRT67にグラフィック出
力することにより異常箇所のチェックが目視にて行われ
る。
【0296】制御計算機37は、図示しないメモリ内に
上述の第5の実施形態の制御ソフト49に含まれる補正
照射量自己診断用ソフトと同一のソフトウェアを格納し
ており、描画領域中のフレーム毎にリアルタイムで描画
直前の補正照射量データの誤差の有無をチェックする。
【0297】図53は、電子線描画システム60に備え
られたデータ検証支援システム61の一構成例である。
同図に示す構成例において、データ検証支援システム6
1は、オペレーションを行うメインタスク62と、表示
を行う子タスク63を備えている。また、メモリのデー
タファイル領域には、制御計算機37から供給された各
種のデータがファイル65a〜65nに格納されてい
る。各ファイルには、メッシュデータDMや描画の図形
パターンデータDPが描画領域中の小領域毎の情報とし
て個々に格納されている。
【0298】メッシュデータDMのファイルは、例え
ば、メッシュの大きさ、メッシュの配置、格納データ数
値、表示色しきい値等の情報から構成されている。
【0299】また、図形パターンデータDPは、例え
ば、その配置情報・図形形状コード・図形辺長さ等の情
報から構成されている。
【0300】電子線描画システム60のデータ検証支援
システム61は、メインタスク62の要求により、対象
となるデータファイルを選び、必要な情報をファイルか
ら取出して子タスク63へ出力する。子タスク63では
メインタスク62のオペレーションにより、配置、色等
に編集された補正照射量データDSを、表示スピード
等、メインタスク62の要求に応じた出力方法でCRT
67にグラフィク表示する。
【0301】本実施形態におけるデータ検証支援システ
ム61は、メッシュデータDMのファイルから、メッシ
ュサイズ73、総数、データ並び方向74、X方向個数
75、Y方向個数76、開始座標および格納データ数値
等を読取り、各メッシュに該当する補正照射量データD
Sの数値と、この数値を色階調化した色を、各座標に配
置されたメッシュに記入し、図54(a)に示す画像9
1のように、メッシュデータを可視化してCRT67に
表示する。
【0302】また、描画図形パターンデータDPは、本
実施形態においてチップサイズおよび配置位置83、各
図形のパターンおよび配置位置85等の情報を読取り、
パレット上に用意した色とハッチを用いて、図54
(b)に示す画像92のように、描画図形パターンを可
視化して表示する。
【0303】さらに、本実施形態におけるデータ検証支
援システム61では、メッシュデータDM、図形パター
ンデータDP等のファイルを同時に読込み、これらの重
ね合わせ等、所望の要求に合致した表示画面を出力す
る。
【0304】図54(c)に示す画像93は、メッシュ
データと図形パターンデータとを重ね合せてCRT67
に表示した一具体例である。同図に示すように、図54
(a)の画像91のメッシュデータDMと図54(b)
の画像92の図形パターンデータDPとが重畳されるこ
とにより、補正照射量データDSが、描画する図形パタ
ーンに対応しているか否かを目視にて点検することが容
易になる。同図からは、垂直方向に帯形状をなす図形パ
ターン95に対応する小領域(メッシュ)では、その周
辺の小領域と比較して補正照射量データDSが小さくな
っており、また、矩形状の一部をなす図形パターン96
に対応する小領域では、表示画像93の中央部から端部
にかけて補正照射量が徐々に小さくなっていく様子がわ
かる。従って、ある小領域で図形パターンに対応して概
ね期待される数値およびその階調色と大きく逸脱した数
値・階調色が発見された場合は、その小領域を演算エラ
ーの発生箇所と特定することが可能になる。
【0305】また、前述したとおり、照射量の全データ
はきわめて膨大であるため、異常箇所の特定に当って
は、全図形パターンについて概略的に把握した後、異常
と思われる箇所の拡大表示・縮小表示を繰返して特定す
る必要がある。データ検証支援システム61では、子タ
スク63側の表示画面をマウスでドラッグすることによ
り、表示画面上から座標指定や領域指定を行い、目的の
領域の拡大、縮小、スクロール等の表示を行うことがで
きる。これは、表示画面上で指示された位置および領域
情報に基づいてメインタスク62がデータファイル65
から必要な情報を呼出し、要求されたデータを子タスク
63へ送って画面表示することにより実現する。
【0306】このような画面表示の一具体例を図55に
示す。同図(a)は紙面右方向に画面をスクロールする
ことにより図形パターン97の近傍の図形パターン8
8,87とともに表示した例を示し、また、同図(b)
は図形パターン97の一部をマウスで領域指定すること
により画面全体に拡大表示した例を示し、さらに、同図
(c)は図形パターン97の全体をマウスで領域指定す
ることにより縮小表示した例を示す。
【0307】また、同様の操作により、表示画面上のカ
ーソルで示す座標の単位系を切替えることもできる。例
えば、X方向及びY方向の個数で示すメッシュ座標の単
位から所定の基準位置からの距離、例えば(Xμm,Y
μm)等の単位や、16進法に基づく座標単位系に変更
することもできる。
【0308】なお、データファイルはメインタスク62
によりリアルタイムでアクセスされる。
【0309】また、本実施形態のデータ検証支援システ
ム61は、ダンプツール64をも備えているので、従来
技術でのダンプ表示への表示切替えや上述したグラフィ
ック表示との重ね合せ表示も可能である。
【0310】図56は、このようなダンプ表示を実現す
る構成を説明するブロック図である。同図に示すよう
に、子タスク63側の表示画面であるメッシュデータ表
示画像91に対し、マウスでドラッグすることにより目
的の領域98を指定すると、子タスク63は、この指定
に基づいてダンプ表示の指令をメインタスク62に供給
する。メインタスク62は、この指令を受けてダンプツ
ール64を起動させ、該当するデータファイル65から
指定された領域の座標データと補正照射量データDS
引出して、目的の領域だけのダンプ表示94を出力す
る。
【0311】本実施形態の電子線描画システム60は、
上述した第6の実施の形態である電子線描画システム3
0と同様に、ソフトウェアによる演算結果自己診断機能
を有するので、自己診断の結果エラー出力がされた場合
に、さらに備えるデータ検証支援システム61により、
メッシュの補正照射量の数値をこの数値を階調化した色
とともに可視化した画像で表示されるので、データを広
く同時に捕らえることができ、数値を羅列したダンプ表
示のみの場合に比べ、補正照射量データDSの確認や異
常箇所の検出が容易になる。また、画面上からのアクセ
スによる、データ表示画像の拡大、縮小、スクロール等
が可能であるためデータ検索の操作性を高めることがで
きる。さらに、補正照射量データDSと図形パターンデ
ータDPとを同時に読込み、重ね合わせて出力する場合
は、データ同士の比較が非常に容易になり、データ検証
がより一層容易になる。これにより、電子線描画システ
ムの精度および効率をさらに高めることができる。
【0312】以上、本発明の実施の形態のいくつかにつ
いて説明したが、本発明は上記形態に限るものでなく、
その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して適用すること
ができる。例えば、上述した第5ないし第7の実施形態
においては、補正照射量の算出をフレーム毎に行い、動
作確認もこれに対応してフレーム単位で行ったが、レチ
クルに描画する図形パターンに対して一度にすべての補
正照射量を算出するタイプの電子線描画システムについ
ては、これに対応してレチクル毎にシステムの動作確認
をしても良い。
【0313】逆に、そのようなシステムであっても、敢
てフレーム毎に、また、さらに小さな領域毎に動作確認
をしても良い。
【0314】さらに、上記第6の実施形態においては、
補正照射量算出回路40のみをチェックしたが、描画制
御回路51においても同様の処理を行い、システムの安
定性をさらに確認することも可能である。
【0315】
【発明の効果】以上詳述したとおり、本発明は、以下の
効果を奏する。
【0316】即ち、本発明にかかる電子線描画システム
によれば、隣接する第1の領域の図形パターンを結合し
て第2の領域の被結合中間データを形成する中間データ
結合手段と、この被結合中間データを近接効果補正演算
手段に供給する制御手段とを備えているので、同一基板
内に配置された複数チップデータを短時間でマージし
て、1チップにすることができる。これにより、隣接す
るチップ内の情報を考慮して近接効果補正ができるの
で、各チップについて端部の図形パターンに至るまで高
精度な図形パターンを形成することができる。
【0317】また、本発明に係る電子線描画システムに
よれば、近接効果補正パラメータを半導体チップごとに
設定する近接効果補正パラメータ設定手段と、この近接
効果補正パラメータに基づいて上記半導体チップごとに
上記電子線の最適照射量を算出する最適照射量算出手段
とを備えるので、複数の半導体チップに対して一度に近
接効果の影響を考慮して照射量を補正して一枚の基板上
に描画することができる電子線描画システムが提供され
る。これにより複数の近接効果補正パラメータが割当て
られた半導体チップについて一枚の基板で評価すること
が可能となる。この結果、上記複数の半導体チップ間で
描画後の現像やエッチングなどのプロセス条件もほぼ同
一にすることができるので、近接効果以外の寸法変動の
要因を少なくすることが可能になる。さらに、一枚の基
板で複数パラメータに関する評価ができるので、評価時
間を短縮するとともに、評価用基板の数量も減少させる
ことができる。
【0318】また、本発明にかかる電子線描画システム
によれば、記憶手段から最適照射量のデータを各描画回
数での各描画ストライプに対応するように選択的に引出
して電子線描画手段に供給する制御手段を備えているの
で、多重描画の描画回数に影響されることなく、1回の
みの描画の場合の処理速度で近接効果の影響を考慮した
補正処理を実行することができる。これにより、単純な
回路構成で、近接効果補正と多重描画とを両立させ、高
精度かつ高速で図形パターンを描画することができる電
子線描画システムを提供することができる。
【0319】また、本発明にかかる電子線描画システム
によれば、第2のフレームごとに図形パターンのデータ
を分割して演算用データを形成するデータ変換手段と、
最適照射量のデータに基づいて隣接する上記第2のフレ
ームの最適照射量データから重複部分を除去して描画用
データを作成する制御手段とを備えているので、単純な
回路構成で、近接効果補正と多重描画とを両立させ、高
精度で高速な近接効果補正を実現することができる。こ
れにより高精度でかつスループットの高い電子線描画シ
ステムが提供される。
【0320】上記第2のフレームが所定の大きさの補助
領域を有する場合は、フレームに分割される飛出図形に
ついても、補正照射量を高精度で設定できる電子線描画
システムが提供される。
【0321】また、本発明に係る電子線描画システムに
よれば、補正照射量を所定の基準値と比較して補正照射
量の誤差を算出して補正照射量演算手段の動作の精度を
判断する演算結果自己診断手段を備えているので、補正
照射量演算手段による演算過程の異常を高い精度で自ら
検知することができる。これにより、トラブルやエラー
の有無を早期に発見することができる。この結果、描画
後のチェックの負担を大幅に低減することができ、シス
テムの稼働効率を高めるとともに、その安定性を確保す
ることができる。
【0322】また、本発明に係る電子線描画システムに
よれば、補正照射量演算手段が出力する補正照射量で電
子線を照射した場合に基板に蓄積されるエネルギー量を
算出し、このエネルギー量を所定の理論値と比較して誤
差を算出して、上記補正照射量演算手段の動作の精度を
判断し、この判断結果に基づいて電子線描画手段を制御
する制御手段を備えるので、補正演算過程における演算
エラーを単純な構成で高い精度で検出することができ
る。これにより、ハードウェアまたはソフトウェアの異
常による描画不良の基板の生産とこれに伴う電子線描画
システムの稼動損失を抑止することができる。
【0323】また、補正照射量演算手段が出力する補正
照射量で電子線を照射した場合に基板上に蓄積されるエ
ネルギー量を算出し、このエネルギー量を所定の理論値
と比較して誤差を算出する演算誤差算出手段をさらに備
え、制御手段がこの誤差の大きさにより補正照射量演算
手段の動作の精度を判断し、この判断結果に基づいて電
子線描画手段を制御する場合は、単純な構成でトラブル
やエラーの有無を早期に発見するとともに不良基板の生
産と電子線描画システムの稼動損失を抑止することがで
きる。
【0324】また、本発明に係る電子線描画システムに
よれば、演算結果を可視的に階層化した情報を小領域毎
に表示手段に表示させるデータ検証支援手段を有する制
御手段を備えているので、基板上の小領域毎に分布する
照射量等の膨大な数値データを一画面の映像に可視化す
ることができる。このため、数値を羅列したダンプ表示
のみの場合とに比較して、データの内容を画像イメージ
としてより明瞭に認識できるため、照射量データの確認
や異常箇所の検出が容易になる。これにより描画効率の
高い電子線描画システムを提供することができる。
【0325】また、制御手段が所定の理論値に対する上
記照射量の誤差を算出して補正照射量演算手段の動作の
精度を判断する場合は、精度が低いことを示すエラー信
号が出力されたときに、異常箇所を容易に特定すること
ができる電子線描画システムを提供することができる。
【0326】また、本発明に係る電子線描画システムの
制御方法によれば、複数の図形パターンを含む被結合中
間データを形成して近接効果補正演算手段へ供給し、上
記複数の図形パターンについて補正演算させるので、短
時間で描画用データを作成することができる上、図形パ
ターンの隣接する端部同士の図形情報を考慮して近接効
果補正を行うことができる。これにより、各図形パター
ンの端部に至るまで、高い精度で描画することができる
電子線描画システムの制御方法が提供される。
【0327】また、本発明にかかる電子線描画システム
の制御方法によれば、隣接する半導体チップの図形パタ
ーンが相互の近接効果の影響を免れるようにチップレイ
アウト情報を変更する第3の過程を備えるので、近接効
果補正パラメータがそれぞれ割当てられた複数の半導体
チップに対して一度に近接効果の影響を考慮して照射量
を補正して一枚の基板上に描画することができる電子線
描画システムの制御方法が提供される。
【0328】また、本発明にかかる電子線描画システム
の制御方法によれば、第2回目以降の描画については記
憶手段から最適照射量のデータを各描画回数での各描画
ストライプに対応するように選択的に引出す第3の過程
とを備えているので、多重描画の描画回数に影響される
ことなく、1回のみの描画の場合の処理速度で近接効果
補正処理を制御ソフトにより実行することができる。こ
れにより、専用の近接効果補正回路を備えていない電子
線描画システムを用いる場合でも、近接効果補正と多重
描画とを両立させ、高精度かつ高速で図形パターンを描
画することができる制御方法が提供される。
【0329】また、本発明にかかる電子線描画システム
の制御方法によれば、多重描画において、ストライプを
用いた近接効果補正を高い精度と速度で処理することが
できる。これにより、所望の図形パターンを高精度かつ
高速で基板上に描画することができる電子線描画システ
ムの制御方法が提供される。
【0330】また、本発明に係る電子線描画システムの
制御方法によれば、上述の基板のエネルギー量を算出
し、このエネルギー量を所定の理論値と比較して誤差を
算出し、この誤差の大きさにより電子線描画手段の動作
を制御するので、演算過程の異常を電子線描画システム
単体で自ら検知することができる制御方法が提供され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる電子線描画システムの制御方法
の第1の実施の形態を説明するフローチャートである。
【図2】本発明にかかる電子線描画システムの制御方法
の第2の実施の形態を説明するフローチャートである。
【図3】本発明にかかる電子線描画システムの制御方法
の第3の実施の形態を説明するフローチャートである。
【図4】本発明にかかる電子線描画システムの制御方法
の第4の実施の形態を説明するフローチャートである。
【図5】本発明に係る電子線描画システムの第1の実施
の形態の概略構成を示すブロック図である。
【図6】一般的な電子ビーム描画の進行状況の様子を示
す模式図である。
【図7】描画用データのデータ構造を簡略的に示す説明
図である。
【図8】複数チップのマージ処理の具体例を示す模式図
である。
【図9】複数チップのマージ処理の具体例を示す模式図
である。
【図10】本発明にかかる電子線描画システムの制御方
法の効果を説明する模式図である。
【図11】本発明にかかる電子線描画システムの制御方
法による近接効果補正の精度を説明する特性図である。
【図12】本発明にかかる電子線描画システムの制御方
法の第5の実施の形態の概略を示すフローチャートであ
る。
【図13】本発明にかかる電子線描画システムの第2の
実施の形態の概略構成を示すブロック図である。
【図14】本発明により描画した基板の評価用図形パタ
ーンの一具体例である。
【図15】(a)は本発明の評価に用いたチップレイア
ウトの一具体例であり、(b)は従来の技術の評価に用
いたチップレイアウトの一具体例である。
【図16】図14に示す図形パターンを図15に示すチ
ップレイアウトで描画した後に寸法を測長した結果を示
す特性図である。
【図17】図19に示す電子線描画システムの動作を説
明するフローチャートである。
【図18】図19に示す電子線描画システムの動作を説
明するフローチャートである。
【図19】本発明にかかる電子線描画システムの第3の
実施の形態の概略を示すブロック図である。
【図20】図19に示す電子線描画システムの描画用回
路のより詳細な構成を示すブロック図である。
【図21】基板上の描画領域の説明図である。
【図22】図20に示す描画用回路のキャッシュメモリ
に格納される照射量データの2次元的配置を示す模式図
である。
【図23】図20に示す描画用回路のキャッシュメモリ
に格納される照射量データテーブルの説明図である。
【図24】メッシュ境界の設定方法を説明する模式図で
ある。
【図25】図20に示す描画用回路の照射量データ用メ
モリに格納される照射量データを示す説明図である。
【図26】ショットに対応する最適照射量データのメッ
シュ位置(k,l)の算出方法を説明する模式図であ
る。
【図27】本発明にかかる電子線描画システムの制御方
法の第6の実施形態を説明するフローチャートである。
【図28】本発明にかかる電子線描画システムの制御方
法の第6の実施形態を説明するフローチャートである。
【図29】本発明にかかる電子線描画システムの制御方
法の第6の実施形態に用いる電子線描システムの概略構
成を示すブロック図である。
【図30】図29に示す電子線描画システムの描画回路
のより詳細な構成を示すブロック図である。
【図31】本発明にかかる電子線描画システムの第4の
実施の形態の概略を示すブロック図である。
【図32】図31に示す電子線描画システムのバッファ
メモリおよび制御回路部の具体的な構成を示すブロック
図である。
【図33】図31に示す電子線描画システムの近接効果
回路部のより詳細な構成を示すブロック図である。
【図34】図31に示す電子線描画システムの描画用回
路のより詳細な構成を示すブロック図である。に
【図35】第2のフレームである拡大フレームの説明図
である。
【図36】第2のフレームである拡大フレームの説明図
である。
【図37】第2のフレームである拡大フレームの説明図
である。
【図38】第2のフレームである拡大フレームの説明図
である。
【図39】図33に示す近接効果回路部のバッファメモ
リに格納された図形パターンデータの模式図である。
【図40】図34に示す描画用回路の中間フレーム用照
射量データ作成回路の動作を説明する模式図である。
【図41】本発明に係る電子線描画システムの第5の実
施の形態の概略構成を示すブロック図である。
【図42】図41に示す電子線描画システムに入力でき
るデータ構造の概念図である。
【図43】図41に示す電子線描画システムのバッファ
メモリ及び制御回路部の詳細な構成を含むブロック図で
ある。
【図44】本発明に係る電子線描画システムの制御方法
の第8の実施の形態を説明するフローチャートである。
【図45】本発明に係る電子線描画システムの制御方法
の第8の実施の形態を説明するフローチャートである。
【図46】本発明に係る電子線描画システムの制御方法
の第8の実施の形態を説明するフローチャートである。
【図47】本発明に係る電子線描画システムの第6の実
施の形態に用いられる、照射量補正により近接効果の影
響を抑制する方法を説明する模式図である。
【図48】本発明に係る電子線描画システムの第6の実
施の形態に用いられる、照射量補正の方法の説明図であ
る。
【図49】本発明に係る電子線描画システムの第6の実
施の形態が備えるバッファメモリ及び制御回路部の詳細
な構成を含むブロック図である。
【図50】本発明に係る電子線描画システムの第6の実
施の形態の変形例が備えるバッファメモリ及び制御回路
部の詳細な構成を含むブロック図である。
【図51】本発明に係る電子線描画システムの第6の実
施の形態の変形例の動作を説明するフローチャートであ
る。
【図52】本発明に係る電子線描画システムの第7の実
施の形態の基本的構成を示すブロック図である。
【図53】図52に示す電子線描画システムに備えられ
たデータ検証支援システムの一構成例である。
【図54】(a)ないし(c)のいずれも図52に示す
データ検証支援システムによる表示画像の具体例であ
る。
【図55】図52に示すデータ検証支援システムによる
表示画像の拡大、縮小、スクロールの説明図である。
【図56】図52に示すデータ検証支援システムのダン
プ表示機能を説明するブロック図である。
【図57】従来の描画用データ作成の流れを示すフロー
チャートである。
【図58】近接効果を説明するための模式図である。
【図59】従来の技術による近接効果補正方法の概略を
示す模式図である。
【図60】補正照射量で描画した場合の照射量分布の一
例を示す模式図である。
【図61】(a)は従来技術を説明するための図形パタ
ーン図の一例であり、(b)は従来技術を説明するため
の特性図である。
【図62】従来の技術を説明する図形パターン図であ
る。
【図63】補正照射量の演算過程において計算エラーが
発生した場合の照射量分布の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
1,5,7,8,9,30,50,60 電子線描画シ
ステム 2 電子光学系 3,3a〜3d 描画制御部 4 制御部 10 試料室 11 基板 12 試料台 20 電子光学鏡筒 21 電子銃 22a〜22c レンズ系 23〜26 偏向系 27a〜27c アパーチャマスク 36,36a,36b,36c バッファメモリ及び制
御回路 37 制御計算機 38 データ変換用計算機 39 CADシステム 40,130 補正照射量算出回路 41 計算回路 42 近接効果補正回路 43 照射量データ選択回路 44 照射量データ用メモリ 45〜48,55〜58,141〜146 バッファ 49 制御ソフト 51 描画制御回路 52 描画用回路 53 制御回路 59 バッファメモリ及び制御回路部 60 近接効果補正回路 61 データ検証支援システム 62 メインタスク 63 子タスク 64 ダンプツール 65 データファイル 66 近接効果補正回路及び制御回路 67 CRT 68 近接効果補正パラメータ入力部 69 描画回路 102 評価用チップ図形パターン 111,112,115,116,121,122,1
25,126 マージ前のチップ(第1の領域の図形パ
ターン) 110,113,117,123,127 マージ後の
チップ(第2の領域の図形パターン) 131 面積・重心算出部 132,133 コンボリューション回路 134 転送回路 151,157 図形パターン 161〜163,165,187,188 照射量デー
タメモリ 164 キャッシュメモリ 166 ショット分割回路 167 照射量選択回路 168 照射時間算出回路 171 近接効果補正回路部 173 近接効果補正回路 174 中間フレーム用照射量データ作成回路 181〜186 バッファメモリ DP 図形パターンデータ DS 照射量データ DM メッシュデータ RM,RM1,RM2 余白領域 Rb,Rb1,Rb2 後方散乱領域
フロントページの続き (72)発明者 安 瀬 博 人 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1 株式会 社東芝研究開発センター内 (72)発明者 大 木 進 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1 株式会 社東芝研究開発センター内 (72)発明者 上久保 貴 司 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1 株式会 社東芝研究開発センター内 (72)発明者 村 上 英 司 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1 株式会 社東芝研究開発センター内 (72)発明者 服 部 芳 明 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1 株式会 社東芝研究開発センター内 (72)発明者 飯 島 智 浩 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1 株式会 社東芝研究開発センター内 (72)発明者 日 暮 等 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1 株式会 社東芝研究開発センター内 (72)発明者 松 木 一 人 静岡県沼津市大岡2068の3 東芝機械株式 会社沼津事業所内 Fターム(参考) 2H095 BA08 BB10 BB32 BB36 BD03 2H097 AA03 BB01 CA16 LA10 5C034 BB03 BB04 5F056 BA01 BB01 BC01 CB03 CB14 CC12 CC13 CD03

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】図形パターンのデータに所定の変換処理を
    した描画用データに基づいて基板の表面に電子線を照射
    して前記図形パターンを描画する描画手段と、 前記電子線の照射により前記基板の表面に発生する反射
    電子により近接した図形の露光量が増加する近接効果の
    影響を考慮して前記図形パターンに対応する前記電子線
    の照射量を補正した補正照射量を算出する近接効果補正
    演算手段と、 前記図形パターンデータを前記描画用データにするため
    の中間データに変換するデータ変換手段と、 隣接する第1の領域の前記図形パターンのデータから変
    換された前記中間データを結合して前記第1の領域より
    も大きい第2の領域の図形パターンに対応する被結合中
    間データを作成する中間データ結合手段と、 前記被結合中間データを前記近接効果補正演算手段に供
    給して前記第2の領域で補正演算させ、その演算結果を
    前記描画手段に供給して前記第2の領域について連続描
    画させる制御手段と、を備えた電子線描画システム。
  2. 【請求項2】前記制御手段は、前記隣接する第1の領域
    の図形パターン相互間の距離を所定の基準値と比較し
    て、この距離が前記所定の基準値よりも小さい場合に、
    前記中間データ結合手段に前記中間データを結合させる
    ことを特徴とする請求項1に記載の電子線描画システ
    ム。
  3. 【請求項3】前記制御手段は、前記図形パターンデータ
    に基づいて描画時間を予測し、前記中間データを結合す
    ることにより描画時間を短縮できると判断した場合に、
    前記中間データ結合手段に前記中間データを結合させる
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の電子線描画
    システム。
  4. 【請求項4】図形パターンのデータに所定の変換処理を
    した描画用データに基づいて基板の表面に電子線を照射
    して前記図形パターンを連続的に描画できる描画手段
    と、前記電子線の照射により前記基板の表面に発生する
    反射電子により近接した図形の露光量が増加する近接効
    果の影響を考慮して前記図形パターンに対応する前記電
    子線の照射量を補正した補正照射量を算出する近接効果
    補正演算手段と、前記図形パターンデータを処理して前
    記描画用データに変換するデータ処理手段とを備えた電
    子線描画システムの制御方法であって、 前記図形パターンデータに所定の処理をして前記描画用
    データに至るまでの中間データを作成し、この中間デー
    タを結合して複数の図形パターンを含む被結合中間デー
    タを形成して前記近接効果補正演算手段へ供給し、前記
    複数の図形パターンについて補正演算させてその演算結
    果を前記描画手段へ供給し、前記複数の図形パターンに
    ついて連続描画させる、電子線描画システムの制御方
    法。
  5. 【請求項5】前記図形パターン相互間の距離を所定の基
    準値と比較して、この相互間距離が前記所定の基準値よ
    りも小さい場合に前記中間データを結合することを特徴
    とする請求項4に記載の電子線描画システムの制御方
    法。
  6. 【請求項6】前記図形パターンデータに基づいて描画時
    間を予測し、前記中間データを結合することにより描画
    時間を短縮できると判断した場合に、前記中間データを
    結合することを特徴とする請求項4または5に記載の電
    子線描画システムの制御方法。
  7. 【請求項7】基板の表面に電子線を照射して所望の図形
    パターンを描画する電子線描画手段と、 近接効果の影響を考慮して前記電子線の照射量を補正す
    るための係数である近接効果補正パラメータを第1の領
    域を有する半導体チップ単位で設定してその図形パター
    ンのデータに割付ける近接効果補正パラメータ設定手段
    と、 前記近接効果パラメータに基づいて前記半導体チップの
    図形パターンごとに前記電子線の最適照射量を算出する
    最適照射量算出手段と、 前記最適照射量算出手段の算出結果を前記電子線描画手
    段に供給し、前記基板の表面に複数の前記半導体チップ
    の図形パターンを描画させる制御手段とを備えた電子線
    描画システム。
  8. 【請求項8】前記近接効果補正パラメータを隣接する半
    導体チップ毎に照合し、同一の近接効果補正パラメータ
    を有する前記半導体チップの図形パターンを結合して各
    図形パターンの領域の大きさが異なる新たなチップレイ
    アウトを形成するチップレイアウト調整手段をさらに備
    え、 前記制御手段は、前記新たなチップレイアウトに基づい
    て前記最適照射量算出手段に最適照射量を算出させ、こ
    の算出結果を前記電子線描画手段に供給して、前記電子
    線描画手段に描画させることを特徴とする請求項7に記
    載の電子線描画システム。
  9. 【請求項9】前記チップレイアウト調整手段は、前記半
    導体チップの図形パターン相互間の距離を算出し、異な
    る近接効果補正パラメータを有する前記半導体チップに
    ついては、相互の近接効果の影響を免れるように相互間
    の距離を引離すことを特徴とする請求項8に記載の電子
    線描画システム。
  10. 【請求項10】基板の表面に電子線を照射して所望の図
    形パターンを描画する電子線描画手段と、前記図形パタ
    ーンの情報を格納する記憶手段と、近接効果の影響を考
    慮して前記電子線の照射量を補正する最適照射量演算手
    段と、を備えた電子線描画システムの制御方法であっ
    て、 半導体チップの図形パターンの配置状況を表すチップレ
    イアウト情報を前記記憶手段に格納する第1の過程と、 前記電子線の照射量を補正するための係数である近接効
    果補正パラメータを前記半導体チップ毎に設定して前記
    半導体チップの図形パターンに対応させて前記記憶手段
    に格納する第2の過程と、 隣接する半導体チップの図形パターンが相互の近接効果
    の影響を免れるように前記チップレイアウト情報を変更
    する第3の過程と、 前記近接効果補正パラメータに基づいて前記半導体チッ
    プ毎に近接効果の影響を考慮して照射量を補正し、最適
    照射量を演算する第4の過程と、 前記最適照射量のデータに基づいて複数の前記半導体チ
    ップの図形パターンを前記基板の表面に描画する第5の
    過程と、を備えた電子線描画システムの制御方法。
  11. 【請求項11】前記第3の過程は、隣接する半導体チッ
    プ相互の間隔と、相互に近接効果の影響が及ぶ距離とを
    比較し、前記間隔が前記距離を下回る場合に、同一の前
    記近接効果補正パラメータを有する半導体チップの図形
    パターン同士は結合して前記半導体チップの領域よりも
    大きい領域を有する図形パターンを形成し、異なる前記
    近接効果補正パラメータを有する半導体チップの図形パ
    ターン同士は前記間隔が前記距離以上になるように相互
    に引離す過程を含むことを特徴とする請求項10に記載
    の電子線描画システムの制御方法。
  12. 【請求項12】電子線を偏向する主偏向器及び副偏向器
    を有し、基板の表面に前記電子線を照射して所望の図形
    パターンを前記主偏向器および副偏向器の最大偏向幅で
    定義されるストライプに分割してこのストライプ毎に描
    画する電子線描画手段と、 近接効果の影響を考慮して前記電子線の照射量を補正し
    た最適照射量を前記ストライプ毎に算出する近接効果補
    正演算手段と、 前記最適照射量のデータを前記図形パターンの全領域に
    至るまで順次格納する記憶手段と、 描画回数毎に前記ストライプを用いた全描画領域の分割
    形態を所定の基準位置から前記副偏向の方向に所定距離
    だけシフトさせながら、前記記憶手段から前記最適照射
    量のデータを各描画回数での各描画ストライプに対応す
    るように選択的に引出して前記電子線描画手段に供給
    し、前記基板の表面に同一の図形パターンを複数回多重
    描画させる制御手段と、を備えた電子線描画システム。
  13. 【請求項13】前記近接効果補正演算手段は、前記スト
    ライプの領域を格子状に等分割した小領域ごとに最適照
    射量を算出し、 前記記憶手段は、前記小領域のそれぞれを前記所定の基
    準位置を原点とする相対位置のデータとともに前記最適
    照射量のデータを格納し、 前記制御手段は、前記相対位置データに基づいて各描画
    回数毎に各ストライプについて前記記憶手段から前記最
    適照射量のデータを選択的に引出して前記電子線描画手
    段に供給することを特徴とする請求項12に記載の電子
    線描画システム。
  14. 【請求項14】前記制御手段は、前記電子線描画手段の
    描画中に、次に描画すべき前記ストライプについて前記
    最適照射量のデータを選択することを特徴とする請求項
    12または13のいずれかに記載の電子線描画システ
    ム。
  15. 【請求項15】電子線を偏向する主偏向器及び副偏向器
    を有し、基板の表面に前記電子線を照射して所望の図形
    パターンを前記主偏向器および副偏向器の最大偏向幅で
    定義されるストライプに分割してこのストライプ毎に描
    画する電子線描画手段と、記憶手段とを有し、同一の図
    形パターンを前記基板の表面に複数回多重描画する電子
    線描画システムの制御方法であって、 近接効果の影響を考慮して前記電子線の照射量を補正し
    た最適照射量のデータを前記図形パターンの全領域に至
    るまで順次算出して前記記憶手段に格納する第1の過程
    と、 第1回目の描画については前記記憶手段に格納された前
    記最適照射量のデータをそのまま引出して前記電子線描
    画手段に供給する第2の過程と、 第2回目以降の描画については、前記ストライプを用い
    た全描画領域の分割形態を所定の基準位置から前記副偏
    向の方向に所定距離だけ描画回数毎にシフトさせなが
    ら、前記記憶手段から前記最適照射量のデータを各描画
    回数での各描画ストライプに対応するように選択的に引
    出して前記電子線描画手段に供給する第3の過程と、を
    備えた電子線描画システムの制御方法。
  16. 【請求項16】前記第1の過程は、前記ストライプの領
    域を格子状に等分割した小領域ごとに前記最適照射量を
    算出し、前記小領域のそれぞれについて前記所定の基準
    位置を原点とする相対位置を算出し、この相対位置に対
    応させて前記小領域毎に前記最適照射量を前記記憶手段
    に格納する過程であり、 前記第3の過程は、前記相対位置のデータに基づいて前
    記最適照射量のデータを選択的に引出す過程を含むこと
    を特徴とする請求項15に記載の電子線描画システムの
    制御方法。
  17. 【請求項17】前記第2および第3の過程は、前記電子
    線描画手段が一描画ストライプについて描画している間
    に、次に描画すべき前記描画ストライプに対応する前記
    最適照射量のデータを前記記憶手段から選択的に引出す
    ことを特徴とする請求項15または16のいずれかに記
    載の電子線描画システムの制御方法。
  18. 【請求項18】電子ビームを偏向する主偏向器及び副偏
    向器を有し、基板の表面に前記電子線を照射して所望の
    図形パターンを前記主偏向器および副偏向器の最大偏向
    幅で定義される第1のフレームに分割してこの第1のフ
    レーム毎に描画する電子線描画手段と、 前記第1のフレームの領域を副偏向の方向に伸張した第
    2のフレームごとに前記図形パターンのデータを分割し
    て演算用データを形成するデータ変換手段と、 前記データ変換手段から前記演算用データの供給を受け
    て、近接効果の影響を考慮して前記電子線の照射量を補
    正した最適照射量を算出する補正照射量演算手段と、 前記最適照射量のデータに基づいて隣接する前記第2の
    フレームの前記最適照射量データから重複部分を除去し
    て前記第1のフレームに含まれる図形パターンに対応す
    る描画用データを作成して前記描画手段に供給して描画
    させ、前記描画手段の描画中は、次に描画すべき前記第
    1のフレームの描画用データを形成するとともに、描画
    回数毎に前記第1のフレームを設定する基準位置を前記
    副偏向の方向に所定距離だけシフトして多重描画用デー
    タを形成して前記電子線描画手段に供給し、前記基板の
    表面に同一の図形パターンを複数回多重描画させる制御
    手段と、を備えた電子線描画システム。
  19. 【請求項19】前記第2のフレームは、前記第1のフレ
    ームと、この第1のフレームに付加された所定の大きさ
    の補助領域と、この補助領域および前記第1のフレーム
    の外側の相反する副偏向方向にそれぞれ付加され、他の
    第1のフレーム内の図形パターンによる近接効果の影響
    を排除するための後方散乱領域とでなり、 2つの前記第1のフレームの境界で分割される図形パタ
    ーンは、この図形パターンを含む副偏向領域であるサブ
    フィールドの全領域が前記補助領域に含まれるときに前
    記第2のフレームの領域に属するように定義されること
    を特徴とする請求項18に記載の電子線描画システム。
  20. 【請求項20】電子線を偏向する主偏向器及び副偏向器
    を有し、基板の表面に前記電子線を照射して所望の図形
    パターンを前記主偏向器および副偏向器の最大偏向幅で
    定義される第1のフレーム毎に描画する電子線描画手段
    と、近接効果の影響を考慮して前記電子線の照射量を補
    正した最適照射量を算出する補正照射量演算手段とを備
    えた電子線描画システムの制御方法であって、 前記第1のフレームの領域を副偏向の方向に伸張した第
    2のフレームごとに前記図形パターンのデータを分割し
    て演算用データを形成する第1の過程と、 前記演算用データに基づいて前記図形パターンに対応す
    る電子線照射量のデータを前記補正照射量演算手段によ
    り補正して最適照射量を算出する第2の過程と、 前記最適照射量のデータに基づいて隣接する前記第2の
    フレームの前記最適照射量データから重複部分を除去し
    て前記第1のフレームに属する図形パターンに対応する
    描画用データを形成する第3の過程と、 前記第1のフレームを設定する基準位置を描画回数毎に
    前記副偏向の方向に所定距離だけシフトして多重描画用
    データを形成して前記電子線描画手段に供給し、前記基
    板の表面に同一の図形パターンを複数回多重描画させる
    第4の過程と、 前記描画手段の描画中に、次に描画すべき前記第1のフ
    レームの描画用データを形成する第5の過程とを備えた
    電子線描画システムの制御方法。
  21. 【請求項21】前記第2のフレームは、前記第1のフレ
    ームと、この第1のフレームに付加された所定の大きさ
    の補助領域と、この補助領域および前記第1のフレーム
    の外側の相反する副偏向方向にそれぞれ付加され、他の
    第1のフレーム内の図形パターンによる近接効果の影響
    を排除するための後方散乱領域とでなり、 2つの前記第1のフレームの境界で分割される図形パタ
    ーンは、この図形パターンを含む副偏向領域であるサブ
    フィールドの全領域が前記補助領域に含まれるときに前
    記第2のフレームの領域に属するように定義されること
    を特徴とする請求項20に記載の電子線描画システムの
    制御方法。
  22. 【請求項22】基板の表面に電子線を照射して所望の図
    形パターンを描画する電子線描画手段と、 近接効果の影響を考慮して前記図形パターンに対応する
    前記電子線の照射量を補正した補正照射量を全描画領域
    をメッシュ状に分割した小領域毎に算出する補正照射量
    演算手段と、 表示手段と、 前記補正照射量を可視的に階層化した情報を前記小領域
    毎に前記表示手段に表示させるデータ検証支援手段を有
    する制御手段とを備えた電子線描画システム。
  23. 【請求項23】前記制御手段は、所定の理論値に対する
    前記補正照射量の誤差を算出して前記補正照射量演算手
    段の動作の精度を判断することを特徴とする請求項22
    に記載の電子線描画システム。
  24. 【請求項24】基板の表面に電子線を照射して所望の図
    形パターンを描画する電子線描画手段と、 近接効果の影響を考慮して前記図形パターンに対応する
    前記電子線の照射量を補正した補正照射量を算出する補
    正照射量演算手段と、 前記補正照射量を前記補正照射量演算手段が正常に動作
    したときに得られた補正照射量である基準値と比較して
    前記補正照射量の誤差を算出して前記補正照射量演算手
    段の動作の精度を判断する演算結果自己診断手段と、 前記演算結果自己診断手段の出力結果に基づいて前記電
    子線描画手段を制御する制御手段とを備えた電子線描画
    システム。
  25. 【請求項25】基板の表面に電子線を照射して所望の図
    形パターンを描画する電子線描画手段と、 近接効果の影響を考慮して前記図形パターンに対応する
    前記電子線の照射量を補正した補正照射量を算出する補
    正照射量演算手段と、 前記補正照射量で前記電子線を照射した場合に前記基板
    上に蓄積されるエネルギー量を算出し、このエネルギー
    量を所定の理論値と比較して前記補正照射量の誤差を算
    出して前記補正照射量演算手段の動作の精度を判断し、
    この判断結果に基づいて前記電子線描画手段を制御する
    制御手段とを備えた電子線描画システム。
  26. 【請求項26】前記補正照射量演算手段が出力する前記
    補正照射量で前記電子線を照射した場合に前記基板上に
    蓄積されるエネルギー量を算出し、このエネルギー量を
    所定の理論値と比較して前記補正照射量の誤差を算出す
    る演算誤差算出手段をさらに備え、 前記制御手段は、前記誤差の大きさにより前記補正照射
    量演算手段の動作の精度を判断し、この判断結果に基づ
    いて前記電子線描画手段を制御することを特徴とする請
    求項25に記載の電子線描画システム。
  27. 【請求項27】前記制御手段は、前記誤差が第1の範囲
    に属する軽微な誤差である場合は、前記電子線描画手段
    を継続して作動させ、前記誤差が第2の範囲に属する中
    程度の誤差である場合は、これに対応する微細度を有す
    る図形パターンについて前記電子線描画手段を動作さ
    せ、前記誤差が第3の範囲に属する重大な誤差である場
    合は、警告信号を出力するとともに、前記電子線描画シ
    ステムの動作を終了させることを特徴とする請求項24
    ないし26のいずれかに記載の電子線描画システム。
  28. 【請求項28】基板の表面に電子線を照射して所望の図
    形パターンを描画する電子線描画手段と、近接効果の影
    響を考慮して前記図形パターンに対応する前記電子線の
    照射量を補正した補正照射量を算出する補正照射量演算
    手段と、所定の理論値を格納する記憶手段とを備えた電
    子線描画システムの制御方法であって、 前記補正照射量演算手段が出力する前記補正照射量で前
    記電子線を照射した場合に前記基板上に蓄積されるエネ
    ルギー量を算出し、このエネルギー量を所定の理論値と
    比較して前記補正照射量の誤差を算出し、この誤差が第
    1の範囲に属する軽微な誤差である場合は、前記電子線
    描画手段を継続して作動させ、前記誤差が第2の範囲に
    属する中程度の誤差である場合は、これに対応する微細
    度を有する図形パターンについて前記電子線描画手段を
    作動させ、前記誤差が第3の範囲に属する重大な誤差で
    ある場合は、警告信号を出力するとともに、前記電子線
    描画システムの動作を終了させる電子線描画システムの
    制御方法。
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