JP2000147476A - 高分子分散型液晶素子及びその製造方法 - Google Patents

高分子分散型液晶素子及びその製造方法

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JP2000147476A
JP2000147476A JP10343588A JP34358898A JP2000147476A JP 2000147476 A JP2000147476 A JP 2000147476A JP 10343588 A JP10343588 A JP 10343588A JP 34358898 A JP34358898 A JP 34358898A JP 2000147476 A JP2000147476 A JP 2000147476A
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Taketo Hikiji
丈人 曳地
Shigeru Yamamoto
滋 山本
Naoki Hiji
直樹 氷治
Sadaichi Suzuki
貞一 鈴木
Masanobu Ninomiya
正伸 二宮
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Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い反射率を有する高分子分散型液晶素子及
びその製造方法を提供する。 【解決手段】 光2量化性構造を有し且つ複数の重合性
基を有する化合物を含有する重合性化合物と低分子液晶
及び重合性基の重合開始剤を混合して重合性組成物を調
液し、セル30に注入する。このセル30に、レーザー
干渉光11を照射すると、レーザー干渉光11の振幅の
大きな領域では重合性化合物の硬化が起こり、屈折率の
低い高分子層9が形成される。またレーザー干渉光11
の振幅の小さな領域では重合相分離が起こり、屈折率の
高い高分子分散型液晶層10が形成される。このセル3
0に偏向光12を照射すると、高分子分散液晶素子中の
低分子液晶が特定の方向へ配向する。その結果、周期的
な屈折率の変化量が増大し、高い反射率を有する高分子
分散液晶素子が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電場や磁場等の印
加によって反射率や透過率を制御することが可能な高分
子分散型液晶素子およびその製造方法に関するものであ
る。本発明により製造された高分子分散型液晶素子は、
ディスプレイ、調光素子、光変調素子等の光学素子とし
て応用可能である。
【0002】
【従来の技術】表示用素子および調光素子として、図1
に示すような3次元構造のポリマーの空隙中に液晶を分
散させた高分子分散型液晶(PDLC)が研究されてい
る。PDLCは、図のように、二つの基板2の間に液晶
領域3と高分子領域4とを備える。電圧が印加されない
状態では、図1(a)に示すように、空隙中の液晶の屈
折率とポリマーの屈折率の差により界面で入射光1が屈
折し、膜全体で多数のドロプレットを通過することによ
り、入射光1は散乱光6となる。これに電圧を印加する
と、図1(b)に示すように、液晶分子5は基板2と垂
直に配向し、液晶の長軸方向の屈折率とポリマーの屈折
率とが一致してPDLC膜は透明となり、入射光1は透
過光7として得られる。このPDLCの技術では偏光板
が不要であり、プロジェクタライトバルブへの応用が検
討され、明るい表示が期待されている。
【0003】これらの3次元ポリマーの構造は、液晶が
分布する空隙が互いに独立に存在するものや、連続的に
分布するものがある。このような液晶高分子複合膜の製
造方法としては、大きく分けて3つの方法が提案されて
いる。第1は、多孔質ポリマーに液晶を含浸させる方法
であり、第2は、溶媒中でポリマーと液晶を混合して乳
化させた後、溶媒を蒸発させることによりポリマーを硬
化させる方法であり、第3は、モノマーやオリゴマー、
またはそれらの混合物と液晶を混合した重合性組成物
を、熱又は紫外線の照射などの手段を用いて重合させる
過程を通して、重合したポリマーと液晶を相分離させる
方法である。
【0004】また、この高分子分散型液晶の応用とし
て、SPIE.1080,83,(1989)には、内
部で周期的に屈折率が変化する高分子分散型液晶素子が
開示されている。具体的には図2のように、高分子層9
と高分子分散型液晶層10とを交互に積層した構造を作
製することにより、屈折率が周期的に変化する層構造を
実現したものである。この場合、電圧が印加されない状
態では、図2(a)に示すように、高分子分散型液晶層
10と高分子層9との周期的な屈折率差に起因した干渉
フィルタの原理により、入射光1が反射されて反射光8
を生じる。これに電圧が印加されると、図2(b)に示
すように、高分子分散型液晶層10と高分子層9との屈
折率が一致して膜は透明となり、入射光1は膜を通過し
て透過光7となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】図1に示すような従来
のPDLCでは、散乱性が低いという問題がある。その
原因は高分子領域と液晶領域の屈折率差が小さいことに
よる。このため、従来のPDLCは直視型のディスプレ
ーに適用することが困難であり、その応用が投射型のシ
ャッターに限定されていた。また、図2に示すように、
従来の、内部で周期的に屈折率が変化する高分子分散型
液晶素子では、高分子分散型液晶層中のドロプレット内
の低分子液晶の配向は、高分子分散型液晶層全体ではラ
ンダムとなる。従って、高分子分散型液晶層の屈折率
は、ドロプレットの一次近似された屈折率(ne+2
o)/3、高分子分散型液晶層中の高分子の屈折率の
値(npは略no)、高分子分散型液晶層中の低分子液晶
の高分子に対する体積分率の値(v)から、{no(3
−v)+ne}/3という値に低下する。ここで、np
ポリマーの屈折率、noは光の電場の振動方向が液晶分
子の長軸と直交する場合の屈折率、neは光の電場の振
動方向が液晶分子の長軸と平行な場合の屈折率を示す。
このため、高分子分散型液晶層と高分子層との屈折率差
が小さくなり、高い反射率が得られないという問題があ
った。よって、内部で周期的に屈折率が変化する高分子
分散型液晶素子の反射率を高めるために、素子中の低分
子液晶の配向を揃える技術が求められているが、そのよ
うな技術は知られていない。
【0006】類似の技術として、PDLC中の初期状態
におけるドロプレット内の低分子液晶の配向方向を制御
する技術はいくつか提案されている。例えば、米国特
許第5188760号明細書には、液晶性高分子を用い
たPDLCと配向膜との組合せによる配向制御技術が開
示されている。この技術は、液晶性モノマーをPDLC
の前駆体である重合性組成物に用い、それを配向膜付き
セルに注入する。この状態でUVや熱を加えることによ
り、液晶性モノマーの重合体である液晶性高分子と低分
子液晶が配向膜の方向に配向した状態で重合相分離を行
い、液晶性モノマー硬化後には、低分子液晶の配向が固
定される。
【0007】また、特開平5−281527号公報に
は、PDLCと水平外部磁場や電場との組合せによる配
向制御技術が開示されている。この技術では、重合性組
成物を配向膜のないセルの内部に注入し、このセルに対
して水平方向に外部磁場や電場を印加した状態で、UV
や熱を加えることにより、低分子液晶が外部磁場や電場
の方向に配向した状態で重合相分離を行い、重合性組成
物硬化後に、低分子液晶の配向が固定される。
【0008】また、Japan Display’9
2,699には、PDLCと配向膜との組合せによる配
向制御技術が開示されている。この技術では、PDLC
の前駆体である重合性組成物を、液晶濃度が非常に高い
液晶相となるように調製し、それを配向膜付きセルに注
入する。この状態では、液晶相状態の重合性組成物は配
向膜の方向に配向しているが、この状態にUVや熱を加
えて配向膜付きセルの内部で重合相分離させることによ
り、初期配向の状態を保ったまま低分子液晶の配向が固
定される。
【0009】さらに、Mol.Mat.,2,295
(1993)には、光2量化性構造を有する高分子化合
物を用いた配向制御技術が開示されている。この技術
は、材料として光2量化性構造を有する高分子化合物を
用いた含浸法で作製するものである。まず、乳化法で光
2量化性構造を有する高分子化合物と該高分子化合物の
貧溶媒からなる複合膜を作製し、この複合膜から貧溶媒
を抽出し、乾燥させて、光2量化性構造を有する高分子
化合物からなる多孔質ポリマーを作製する。さらに、こ
の多孔質ポリマーに偏向光を照射して光2量化反応を起
こさせる。この光2量化反応による高分子化合物の構造
変化に伴い、低分子液晶に対する配向規制力を発現させ
る。その後、低分子液晶を多孔質ポリマーに含浸させる
ことにより、液晶粒中の低分子液晶が配向した状態のP
DLCを作製する。
【0010】しかしながら、このうち、及びの配向
固定方法では、配向膜を用いなければならないために、
図2のような複合構造を作製することができなかった。
また、の配向固定方法では、セルと平行に外部磁場や
電場を印加する必要があるが、セルサイズが大きい場合
は、セルの面内一面にわたって有効な外部磁場や電場を
印加することが非常に困難であった。例えば、特開平5
−281527号公報には、外部電場を印加する場合は
外部電場の大きさが1kV/cm以上であることが必要
であると記載されている。ここで、セルサイズが対角1
2インチであると仮定すると、印加電圧は約350kV
以上必要となる計算になるが、このように大きな印加電
圧は容易には実現できない。さらに、は、材料として
光2量化性構造を有する高分子化合物を用いるため、含
浸法でしか作製できない。また、含浸法では図2のよう
な複合構造を作製することはできない。このように、従
来の液晶配向方法はいずれも問題点を有しており、十分
な反射率を有する高分子分散型液晶素子は得られていな
い。
【0011】したがって本発明の目的は、高い反射率を
有する高分子分散型液晶素子及びその製造方法を提供す
ることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者等は鋭意研究を
重ねた結果、重合性化合物として光2量化性構造を有す
るものを混合し、高分子分散型液晶素子の形成後に偏向
光を照射することによって液晶分子が配向することを見
出した。その結果、HPDLCの反射率は改善された。
そして画質向上のために更に努力を重ねた結果、光2量
化性構造を有する重合性化合物として複数の重合性基を
有する化合物を含有するものを使用した場合には、重合
性基が単数のものに比べて配向性が良くなり、反射率が
一層改善されることを見出し本発明に至った。重合性基
が単数である単官能の重合性化合物を適用した場合に
は、それがHPDLCの微細な周期構造の形成を阻害す
る働きを有する為にその添加量が微量に制限され、した
がって添加量が十分でないことにより、光2量化による
液晶の配向性が不十分となり、僅かな特性向上しか実現
できない。
【0013】本発明に係る高分子分散型液晶素子は、少
なくとも光2量化性構造を有し且つ複数の重合性基を有
する重合性化合物と低分子液晶を含有する重合性組成物
を重合相分離させることにより製造されるものであり、
光2量化した高分子化合物と低分子液晶の複合構造で構
成され、内部で屈折率が周期的に変化する層構造を有す
る。ここで、重合性化合物としては、光2量化性構造を
複数個有するものを用いることができる。また、光2量
化性構造としては、複数個のベンゼン環を有するもの、
あるいはシアノ基を有するものを用いることができる。
【0014】本発明に係る高分子分散型液晶素子の製造
方法は、少なくとも光2量化性構造を有し且つ複数の重
合性基を有する重合性化合物と低分子液晶を含有する重
合性組成物を重合相分離させ、次いで、偏向光を照射し
て低分子液晶を配向させて素子を製造するものである。
ここで、重合性組成物に定在波を照射することにより重
合相分離させ、内部で屈折率が周期的に変化する層構造
を形成することができる。この定在波は、例えばレーザ
ー干渉光により得られる。また、光2量化性構造を有す
る高分子化合物と重合性化合物の重合開始剤とが同時に
感度を持つ波長の偏向光を照射することにより、重合相
分離させると同時に低分子液晶を配向させることもでき
る。偏向光としては、例えば偏向紫外線が用いられる。
このように構成することにより、高い反射率を有する高
分子分散型液晶素子及びその製造方法を得ることができ
る。
【0015】
【発明の実施の形態】最初に、本発明に係る高分子分散
型液晶素子の製造方法の一例について図3を用いて説明
する。本例では、レーザー干渉光を用いて高分子分散型
液晶素子を作製する。まず、図3(a)に示すように、
少なくとも光2量化性構造を有し且つ複数の重合性基を
有する化合物を含有する重合性化合物と低分子液晶、お
よび重合性基の重合開始剤を混合して重合性組成物を調
液し、セル30に注入する。このセル30に、レーザー
干渉光11を照射すると、レーザー干渉光11の振幅の
大きな領域では重合性化合物の硬化が起こり、屈折率の
低い高分子層9が形成される。またレーザー干渉光11
の振幅の小さな領域では重合相分離が起こり、屈折率の
高い高分子分散型液晶層10が形成される。このよう
に、レーザー干渉光の振幅の大きな領域と小さな領域が
空間的に交互に繰り返すため、周期的に屈折率が変化す
る高分子分散型液晶素子を作製することができる。
【0016】次に、高分子分散型液晶素子中の低分子液
晶の配向方法について述べる。低分子液晶の配向は、図
3(b)に示すように、上述のようにして作製された高
分子分散型液晶素子に一様に偏向した光(偏向光)12
を照射することによって行われる。偏向光12の波長
は、光2量化性構造を有する高分子化合物の種類によっ
て異なるが、例えばシンナメート系化合物の場合は25
0nm〜350nmの光を用いることができる。偏向光
12の照射時間は、光の強度や、光2量化性構造の感
度、照射雰囲気によっても異なるが、光の強度が数mJ
/cm2〜数十mJ/cm2において1分〜120分程度
の照射が好ましい。また、光2量化性構造を有する高分
子化合物と重合性化合物の重合開始剤とが同時に感度を
持つ波長の偏向光を用いる場合は、重合相分離と低分子
液晶の配向制御を同時に行うことができる。
【0017】上述のように高分子分散型液晶素子に偏向
光12が照射されると、光2量化性構造を有する高分子
化合物光吸収係数の異方性から、偏向光12の振動方向
と平行な方向に強い吸収を有する光2量化性構造が効率
よく反応し、高分子分散液晶素子中の高分子が光2量化
する。この光2量化は分子の構造変化を伴う。特定の方
向を向いた分子の構造変化に伴い、図3(b)に示すよ
うに、内部で屈折率が周期的に変化する層構造を有する
高分子分散液晶素子中の低分子液晶は特定の方向へ配向
するようになる。その結果、周期的な屈折率の変化量が
増大し、従来よりも光反射率の高い、内部で屈折率が周
期的に変化する層構造を有する高分子分散液晶素子の作
製が可能となる。
【0018】本発明のように、光2量化性構造を有し且
つ複数の重合性基を有する化合物を用いることによっ
て、重合相分離時に形成される微細な周期構造の形成を
阻害する働きが大幅に低減され、光2量化性構造を有す
る重合性化合物の添加によるHPDLCの反射率の劣化
が抑制される。従って、光2量化性構造の適用による配
向性向上の効果がHPDLCの反射率に対して更に顕著
になると同時に、多量の光2量化性構造の添加が可能と
なり、より一層の反射率の向上が可能となる。また、光
2量化構造を有し且つ複数の重合性基を有する化合物を
用いた一般的な高分子分散型液晶素子においても、従来
の光2量化性構造を有する材料を用いた場合と比較して
相分離性が向上する。従って、相分離後の偏向光の照射
によって高分子分散型液晶素子中の液晶分子の配向方向
を制御することにより、高い光散乱性が得られると同時
に重合反応に要する照射光エネルギーの低減、照射時間
の短縮といった実用的な効果が得られる。さらに、光2
量化構造が複数個存在する、光2量化構造にフェニル基
が複数個存在する構造、あるいは光2量化構造にシアノ
基が付加されている構造とすることにより、低分子液晶
の配向性が更に向上し、HPDLCの反射率が一層改善
される。
【0019】本発明に係る高分子分散型液晶素子を体積
ホログラム調光素子として用いた場合の一例を図4に示
す。素子に電圧が印加されない状態では、図4(a)に
示すように、高分子分散型液晶層10と高分子層9との
周期的な屈折率差に起因した干渉フィルタの原理によ
り、入射光1が反射されて反射光8を生じる。ここで高
分子分散液晶素子中の低分子液晶は、図のように特定の
方向へ配向しているので、周期的な屈折率の変化量が大
きく、従来よりも反射率の高い反射光8を得ることがで
きる。素子に電圧が印加された状態では、図4(b)に
示すように、高分子分散型液晶層10と高分子層9との
屈折率が一致して膜は透明となり、入射光1は膜を通過
して透過光7となる。
【0020】次に本発明に用いられる重合性組成物につ
いて説明する。重合性組成物は、少なくとも光2量化性
構造を有し且つ複数の重合性基を有する化合物を含有す
る重合性化合物と低分子液晶と重合開始剤からなる。本
発明における光2量化性構造とは、図5(a)に示すシ
ンナモイル基もしくはそれに類似した構造を指してお
り、具体的には図5(b)に示すナフタレン構造、図5
(c)に示すビフェニル構造、図5(d)に示すシアノ
ビフェニル構造等が挙げられる。光2量化性構造はこれ
らに限定されるものではなく、これらに類似した構造を
有するものであれば同様の効果が得られる。
【0021】また、光2量化性構造を有し且つ複数の重
合性基を有する化合物とは、光2量化性構造をもった化
合物に、重合性基であるアクリロイル基やメタクロイル
基を複数付与した化合物およびその誘導体をいう。具体
的な重合性化合物としては、例えば2官能の化合物とし
ては、シンナミルジアクリレート、シンナミルジメタク
リレート、シンナモイロキシエチルジアクリレート、シ
ンナモイロキシエチルジメタクリレート、シンナミリデ
ンエチルジアクリレート、シンナミリデンエチルジメタ
クリレート等があげられる。更に本発明を実現する為に
は2官能である必然性はなく、多官能であればよい。多
官能のものでは2官能と同等若しくはそれ以上の効果が
得られる。
【0022】また、本発明に使用される重合性組成物
は、少なくとも前記の光2量化性構造を有する重合性化
合物を含むが、それ以外にも種々の重合性化合物を組み
合せて使用することができる。例えば、アクリル酸アル
キルエステル、アクリルアミド、アクリル酸ヒドロキシ
エステル、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル
アミド、メタクリル酸ヒドロキシエステル、ビニルピロ
リドン、スチレンおよびその誘導体、アクリロニトリ
ル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、エチレン、ブタジエ
ン、イソプレン、ビニルピリジン等の単官能および多官
能モノマーが好ましく用いられる。また、本発明におけ
る重合性組成物には、重合性化合物を重合させる目的で
重合開始剤が含まれる。重合開始剤は内部で周期的に屈
折率が変化する高分子分散型液晶素子を作製する際に用
いる定在波の波長に、感度をもつ材料の中から選択され
る。さらに、光2量化性構造を有し且つ複数の重合性基
を有する化合物は、単独でも感光性を有するが、感光色
素や増感剤などと併用することによって感光感度を増加
させたり、感光波長を選択したりすることもできる。
【0023】次に、本発明に用いられる低分子液晶につ
いて説明する。本発明の高分子分散型液晶を構成する低
分子液晶化合物は、ネマチック液晶、コレステリック液
晶、スメクチック液晶、および強誘電性液晶等、一般的
に電界駆動型表示材料として使用されている種々の低分
子液晶材料が使用可能である。具体的にはビフェニル
系、フェニルベンゾエート系、シクロヘキシルベンゼン
系、アゾキシベンゼン系、アゾベンゼン系、ターフェニ
ル系、ビフェニルベンゾエート系、シクロヘキシルビフ
ェニル系、フェニルピリミジン系、シクロヘキシルピリ
ミジン系等の各種低分子液晶化合物があげられる。これ
らの低分子液晶化合物は、一般に使用されている低分子
液晶材料と同様に、単一の組成である必要はなく、複数
の成分から構成される化合物であってもよい。また、本
発明に係るデバイス形態としては、通常の液晶表示素子
と同様に、2つの電極板からなるセルに挟まれた構造が
好ましい。電極板としては、例えば、表面にITOを施
したガラス基板やプラスチックフィルム、NESAガラ
ス基板等の透明電極付基板が好ましく使用される。
【0024】
【実施例】実施例 2量化性構造を有する重合性化合物として、図6に示す
ようなp−フェニルシンナモイロキシエチルジアクリレ
ートを合成した。この化合物は重合性基を2個有してお
り、更に光2量化性構造を2個有している。また、光2
量化性構造中にはフェニル基が2個存在し、低分子液晶
の配向性が更に良好となるように配慮されている。p−
フェニルシンナモイロキシエチルジアクリレート0.2
2g、重合性化合物としてジペンタエリスルトールヘキ
サアクリレート(日本化薬社製)0.53g、重合性化
合物の重合開始剤としてローズベンガル(日本化薬社
製)3.5mgとN−フェニルグリシン(和光純薬社
製)0.01g、低分子液晶E7(メルク社製)0.2
5gとを混合し、重合性組成物を調液し、透明電極(I
TO)付き石英基板を対向して張り合わせたセル(10
ミクロン)に重合性組成物を注入した。そして、488
nmのArイオン・レーザー光を2光束に分け、セルの
裏表からセル表面にレーザー光をそれぞれ照射した。こ
れら2光束はセル内で干渉光を形成した。このレーザー
光を10分間照射したのち、高圧水銀灯を光源とした偏
向紫外線(偏向光)を30mJ/cm2の照射強度で5
分間照射して、内部で屈折率が周期的に変化する層構造
を有する高分子分散液晶素子を作製した。
【0025】比較例1 重合性基の数が単数の場合の比較例として、p−フェニ
ルシンナモイロキシエチルジアクリレートの代わりに、
重合性基が単数であるp−フェニルシンナモイロキシエ
チルメタクリレートを用い、シンナモイロキシエチルメ
タクリレート、ジペンタエリスルトールヘキサアクリレ
ートの混合量をそれぞれ0.08g、0.67gとした
こと以外は上記実施例と同一の条件で、内部で屈折率が
周期的に変化する層構造を有する高分子分散液晶素子を
作製した。
【0026】比較例2 光2量化性構造を有する重合性化合物を含まない比較例
として、p−フェニルシンナモイロキシエチルジアクリ
レートを用いず、ジペンタエリスルトールヘキサアクリ
レートの混合量を0.75gとしたこと以外は上記実施
例と同一の条件で、内部で屈折率が周期的に変化する層
構造を有する高分子分散液晶素子を作製した。
【0027】<評価試料の評価>実施例と比較例1及び
2で作製した試料の反射率と、配向特性をそれぞれ以下
のようにして評価した。 <試料の配向特性評価実験>セナルモン補償光学系を用
いてセルの異方性を測定した。セルギャップは10μm
のものを用いた。 <試料の反射特性評価実験>評価試料15の反射率は、
図7に示すゴニオメーターヘッドを用いたΘ−2Θ光学
系と、白色光光源14とスペクトロメーター13を組み
合せた評価装置で評価した。 <配向特性の評価結果>実施例と比較例1及び2の液晶
分子配向特性の評価結果を表1に示す。
【0028】
【表1】 表1 液晶分子配向性評価結果 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実施例 比較例1 比較例2 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 面内異方性(nm) 83 20 7 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0029】表1において、実施例と比較例1では液晶
が配向して高分子分散型液晶が光学的異方性を相当有し
ているのに対して、比較例2では光学的異方性が小さい
ことがわかる。また、実施例の異方性は比較例1と比較
して高くなっていることがわかる。この結果から本発明
の高分子分散液晶素子は、素子中の低分子液晶の配向性
が良く、素子として光学的に高い異方性を有することが
明らかとなった。 <反射光強度の評価結果>反射光強度の評価結果を表2
に示す。ここでは、体積ホログラム素子の反射率特性評
価の目安として、反射率30%以下を×、30%〜50
%を△、50%〜70%を○、70%以上を◎とした。
【0030】
【表2】 表2 反射特性の評価結果 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実施例 比較例1 比較例2 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 反射率(%) 88 65 48 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 評 価 ◎ ○ △ −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0031】表2に示すように、実施例は、比較例1及
び2より反射率が大幅に向上していることがわかる。本
実施例では二つの光2量化性構造を有し、且つ光2量化
性構造中に二つのフェニル基を有するp−フェニルシン
ナモイロキシエチルジアクリレートを用いたが、本化合
物は光2量化性構造が単数の場合、更にフェニル基が単
数の場合と比較して良好な配向性が得られる。また、光
2量化性構造にシアノ基が付加したものを用いると更に
液晶分子との相互作用が高くなり、配向性が向上する。
このように本発明では、内部で屈折率が周期的に変化す
る層構造を有する高分子分散液晶素子中の低分子液晶の
配向性が良好となり、従来よりも反射率の高い、内部で
屈折率が周期的に変化する層構造を有する高分子分散液
晶素子の作製が可能となる。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、高い反射率を有する高
分子分散型液晶素子及びその製造方法を得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の高分子分散型液晶の模式図であり、
(a)は電圧非印加の状態を示し、(b)は電圧印加の
状態を示す。
【図2】従来の、内部で屈折率が周期的に変化する層構
造を有する高分子分散液晶素子の模式図であり、(a)
は電圧非印加の状態を示し、(b)は電圧印加の状態を
示す。
【図3】本発明の、内部で屈折率が周期的に変化する層
構造を有する高分子分散液晶素子の製造方法の一例を示
す図であり、(a)はレーザー干渉光照射工程を示し、
(b)は偏向光照射工程を示す。
【図4】本発明の、内部で屈折率が周期的に変化する層
構造を有する高分子分散液晶素子の模式図であり、
(a)は電圧非印加の状態を示し、(b)は電圧印加の
状態を示す。
【図5】(a)〜(d)はそれぞれ本発明に係る光2量
化構造の例を示す図である。
【図6】本発明の実施例に用いた化合物の構造を示す図
である。
【図7】反射率評価の光学系の配置を示す図である。
【符号の説明】
1 入射光 2 基板 3 液晶領域 4 高分子領域 5 液晶分子 6 散乱光 7 透過光 8 反射光 9 高分子層 10 高分子分散型液晶層 11 レーザー干渉光 12 偏向光 13 スペクトロメーター 14 白色光光源 15 評価試料
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 氷治 直樹 神奈川県足柄上郡中井町境430 グリーン テクなかい 富士ゼロックス株式会社内 (72)発明者 鈴木 貞一 神奈川県足柄上郡中井町境430 グリーン テクなかい 富士ゼロックス株式会社内 (72)発明者 二宮 正伸 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼロ ックス株式会社内 Fターム(参考) 2H089 HA04 KA08 KA15 NA60 QA11 QA16 SA18 TA04 TA17 TA18 UA03

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも光2量化性構造を有し且つ複
    数の重合性基を有する重合性化合物と低分子液晶を含有
    する重合性組成物を重合相分離させることにより製造さ
    れることを特徴とする高分子分散型液晶素子。
  2. 【請求項2】 内部で屈折率が周期的に変化する層構造
    を有することを特徴とする請求項1記載の高分子分散型
    液晶素子。
  3. 【請求項3】 前記重合性化合物が光2量化性構造を複
    数個有することを特徴とする請求項1又は2記載の高分
    子分散型液晶素子。
  4. 【請求項4】 前記光2量化性構造が複数個のベンゼン
    環を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか
    に記載の高分子分散型液晶素子。
  5. 【請求項5】 前記光2量化性構造がシアノ基を有する
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の高
    分子分散型液晶素子。
  6. 【請求項6】 光2量化した高分子化合物と低分子液晶
    の複合構造で構成され、内部で屈折率が周期的に変化す
    る層構造を有することを特徴とする高分子分散型液晶素
    子。
  7. 【請求項7】 少なくとも光2量化性構造を有し且つ複
    数の重合性基を有する重合性化合物と低分子液晶を含有
    する重合性組成物を重合相分離させ、次いで、偏向光を
    照射して低分子液晶を配向させることを特徴とする高分
    子分散型液晶素子の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記重合性組成物に定在波を照射するこ
    とにより重合相分離させ、内部で屈折率が周期的に変化
    する層構造を形成することを特徴とする請求項7記載の
    高分子分散型液晶素子の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記定在波がレーザー干渉光により得ら
    れたものであることを特徴とする請求項8記載の高分子
    分散型液晶素子の製造方法。
  10. 【請求項10】 少なくとも光2量化性構造を有し且つ
    複数の重合性基を有する重合性化合物と低分子液晶を含
    有する重合性組成物に、偏向光を照射して、重合相分離
    させると同時に低分子液晶を配向させることを特徴とす
    る高分子分散型液晶素子の製造方法。
  11. 【請求項11】 少なくとも光2量化性構造を有し且つ
    複数の重合性基を有する重合性化合物と低分子液晶を含
    有する重合性組成物を重合相分離させて作製した高分子
    分散型液晶素子に偏向光を照射することにより低分子液
    晶を配向させることを特徴とする高分子分散型液晶素子
    中の低分子液晶の配向方法。
  12. 【請求項12】 前記偏向光が偏向紫外線であることを
    特徴とする請求項11記載の高分子分散型液晶素子中の
    低分子液晶の配向方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000193954A (ja) * 1998-12-29 2000-07-14 Xerox Corp 高性能反射型液晶ディスプレイおよびその製造方法
KR20020056728A (ko) * 2000-12-29 2002-07-10 주식회사 현대 디스플레이 테크놀로지 반사형 액정표시장치
US6939587B1 (en) * 1999-09-03 2005-09-06 Kent State University Fabrication of aligned crystal cell/film by simultaneous alignment and phase separation
JP4898802B2 (ja) * 2005-06-20 2012-03-21 インダストリアル テクノロジー リサーチ インスティチュート 疎水性バインダー中の液晶液滴
JP4898701B2 (ja) * 2004-12-20 2012-03-21 インダストリアル テクノロジー リサーチ インスティチュート 液晶材料に基づく反射型ディスプレイ

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