JP2000147254A - 偏光分離素子およびその製造方法 - Google Patents

偏光分離素子およびその製造方法

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JP2000147254A
JP2000147254A JP10318453A JP31845398A JP2000147254A JP 2000147254 A JP2000147254 A JP 2000147254A JP 10318453 A JP10318453 A JP 10318453A JP 31845398 A JP31845398 A JP 31845398A JP 2000147254 A JP2000147254 A JP 2000147254A
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Kazuo Kobayashi
一雄 小林
Takahisa Fukuzawa
孝久 福澤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 偏光分離素子において、紫外線によるパター
ン露光後の透明相に含まれるカルボン酸の揮発を抑制
し、この透明相の凹みの発生を防止、あるいは抑制でき
ること。 【解決手段】 偏光分離素子1はガラス基板10を有し
ている。このガラス基板10の表面101にはポリジア
セチレン誘導体膜11からなる周期格子12が形成され
ている。この周期格子12は、誘導体膜11に紫外線を
選択的に照射することにより形成されている。周期格子
12の第1の色相変化部121は透明相に色相変化して
いる。紫外線照射により第1の色相変化部121に生成
された揮発性のカルボン酸は、カルシウムイオンによっ
てキレート化される。このため、当該カルボン酸が時間
の経過と共に揮発するのを抑制できる。従って、偏光分
離素子1は、第1の色相変化部121の凹みの発生を防
止、あるいは抑制でき、周期格子12の回折特性を安定
したものにできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種の光学装置、
特に光ピックアップ装置に用いられる偏光分離素子およ
びその製造方法に関するものである。さらに詳しくは、
ポリジアセチレン誘導体からなる薄膜の表面に周期格子
を形成した偏光分離素子およびその製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】光ピックアップ装置等に用いられる偏光
分離素子としては、ポリジアセチレン誘導体からなる薄
膜の表面に周期格子を形成したものが知られている。こ
の偏光分離素子は以下のようにして製造される。
【0003】まず、光学的等方性基板の一方の表面に、
ポリエチレンテレフタレート(PET)塗布工程、ラビ
ング工程の後、ジアセチレンモノマーを蒸着する。次
に、蒸着したジアセチレンモノマーに紫外線を照射し、
当該ジアセチレンモノマーを重合してポリジアセチレン
誘導体からなる薄膜を形成する。次に、光学的等方性基
板を紫外線透過部分が周期格子状に形成されたフォトマ
スクで覆い、当該フォトマスクを介して薄膜の表面に紫
外線をパターン露光する。この結果、当該薄膜の表面に
は、互いに屈折率の異なる第1および第2の色相変化部
が交互に配列された周期格子が形成される。第1の色相
変化部は、パターン露光時に紫外線照射を受けて透明相
に色相変化したポリジアセチレン誘導体膜となってお
り、第2の色相変化部は、その時に紫外線照射を受けず
に色相変化しなかった赤色相または青色相のポリジアセ
チレン誘導体膜になっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ここで、透明相のポリ
ジアセチレン誘導体膜(第1の色相変化部)は時間の経
過と共に凹みが増大し、周期格子の回折特性を変動させ
てしまう傾向にある。本出願人等は、この原因を調べた
ところ、以下のような新たな知見が得られた。ポリジア
セチレン誘導体は、紫外線を用いて透明相に色相変化さ
せると、当該透明相に揮発性のカルボン酸とみられる物
質が生成される。この透明相に生成されたカルボン酸
が、紫外線によるパターン露光後に徐々に揮発して、透
明相の凹みが時間とともに増大する。
【0005】このような知見によれば、偏光分離素子の
周期格子の回折特性が変動することを防止するには、紫
外線によるパターン露光後の周期格子におけるカルボン
酸の揮発を抑制することにより、透明相の凹みの増大を
防止すれば良い。例えば、周期格子は、紫外線のパター
ン露光後に、エージング処理によって、ほぼ完全にカル
ボン酸の揮発成分を周期格子(薄膜)から追い出すこと
も可能である。しかしながら、偏光分離素子は、エージ
ング処理における加熱によって、周期格子からカルボン
酸の揮発成分を追い出すと、周期格子の透明相が過剰に
凹んでしまい所望の回折特性を得ることが難しくなる。
【0006】このような点に鑑みて、本発明の課題は、
パターン露光後の透明相におけるカルボン酸の揮発に起
因した当該透明相部分の凹みの発生を防止あるいは抑制
可能な偏光分離素子、およびその製造方法を提供するこ
とにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明の偏光分離素子は、光学的等方性基板と、こ
の光学的等方性基板の光入射面および光出射面の少なく
とも一方の面に形成したポリジアセチレン誘導体からな
る薄膜と、この薄膜に対して紫外線を選択的に照射する
ことにより、互いに屈折率の異なる第1および第2の色
相変化部を周期的に形成した周期格子とを有し、前記第
1の色相変化部を透明相に色相変化させた偏光分離素子
において、前記第1の色相変化部に含まれる揮発性のカ
ルボン酸を所定の金属イオンでキレート化したものとす
ることを特徴としている。
【0008】本発明の偏光分離素子において、周期格子
は透明相である第1の色相変化部に含まれる揮発性のカ
ルボン酸(カルボキシル基)を所定の金属イオンでキレ
ート化することにより、当該カルボン酸のOH基は金属
イオンと置き換えられている。すなわち、本発明の偏光
分離素子は、ポリジアセチレン誘導体からなる薄膜にキ
レート化された金属イオンを含有する。したがって、周
期格子の透明相では、紫外線によるパターン露光後に含
有されるカルボン酸の揮発成分を抑制でき、透明相の凹
み発生を防止あるいは抑制できる。このため、偏光分離
素子における周期格子の回折特性を、経時変化が非常に
少ない、安定した特性にできる。
【0009】ここで、透明相に生成されたカルボン酸を
有効にキレート化するための金属イオンとしては、例え
ば、Ca2+、Cu2+、Mg2+、Ba2+、およびFe2+
の2価の金属イオンを用いれば良い。また、本発明にお
いては、2価の金属イオンに限定するものではなく、2
価以上の金属イオンであればもちろん良い。
【0010】本発明の偏光分離素子は、以下のようにし
て製造することができる。まず、前記光学的等方性基板
の光入射面および光出射面のうちの少なくとも一方の面
に、PET塗布工程、ラビング工程の後、ポリジアセチ
レン誘導体からなる薄膜を形成する。次に、当該薄膜に
対して選択的に紫外線を照射することにより、前記第1
および第2の色相変化部を周期的に形成した前記周期格
子を当該薄膜の表面に形成する。その後、前記周期格子
は、前記金属イオンを含有した塩基、すなわち、水酸化
物の水溶液に前記周期格子を浸漬して、この水酸化物
と、ポリジアセチレン誘導体からなる薄膜を中和反応さ
せ、前記第1の色相変化部に含まれる揮発性のカルボン
酸を前記金属イオンでキレート化する。このような製造
方法によって、偏光分離素子は、透明相に含まれる揮発
性のカルボン酸が所定の金属イオンでキレート化され揮
発し難くなり、透明相の凹みの発生を防止あるいは抑制
できる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して本発明の実
施の形態を説明する。図1は、本発明を適用した偏光分
離素子の概略構成図である。この図に示すように、偏光
分離素子1は、光入射面となる面102と、光出射面と
なる面101を備えた光学的等方性基板としてのガラス
基板10を有している。ガラス基板10は、その出射面
101にポリジアセチレン誘導体(PDA)からなる所
定の膜厚の薄膜11が形成されている。ポリジアセチレ
ン誘導体膜(薄膜)11の表面には、当該表面を紫外線
でパターン露光することによって周期格子12が形成さ
れている。ここで、ガラス基板10の表面101には、
ポリジアセチレン誘導体膜11の下地として、ポリエチ
レンテレフタレート(PET)膜からなる配向誘導膜1
3が成膜されている。なお、周期格子12は、入射面1
02に形成することもできる。
【0012】ポリジアセチレン誘導体膜11は、以下の
化学式(1)に示されるポリジアセチレンの誘導体から
構成されている。
【0013】
【化1】
【0014】ポリジアセチレン誘導体膜11は、図1に
示すように、X―Y平面内で配向されている。その膜1
1の主鎖方向(配向方向)は矢印Hで示すY軸方向であ
る。
【0015】このようなポリジアセチレン誘導体膜11
は、紫外線が照射されると、分子鎖が切断され、青色、
赤色、透明の順に、あるいは、青色にならずに赤色、透
明の順に色相変化する。ポリジアセチレン誘導体膜11
は、このような色相変化に伴って、配向方向Hにおける
屈折率が下がる性質を備えている。
【0016】本形態では、これらの性質を利用して、周
期格子12が形成されている。すなわち、偏光分離素子
1では、ポリジアセチレン誘導体膜11に対して選択的
に紫外線を照射することによって、色相変化した第1の
色相変化部121と、紫外線が照射されずに、そのまま
残された第2の色相変化部122とが交互に配列された
周期格子12が形成されている。周期格子12の屈折率
は、第1の色相変化部121の屈折率が紫外線の照射前
より低下しており、第2の色相変化部122の屈折率が
紫外線の照射前とほぼ同一である。周期格子12の第2
の色相変化部122および第1の色相変化部121は、
それぞれ、赤色相および透明相に色相変化している。な
お、第2の色相変化部122の色相は青色相である場合
もある。
【0017】ここで、周期格子12の透明相に色相変化
した第1の色相変化部121には、揮発性のカルボン酸
と見られる物質が生成されることが明らかとなってい
る。このため、本形態では、後述のように、第1の色相
変化部121に生成されたカルボン酸を所定の金属イオ
ンでキレート化して、当該カルボン酸による揮発性を抑
制している。
【0018】(偏光分離素子1の製造方法)図2および
図3には、偏光分離素子1の製造工程の概略のフローチ
ャートを示してある。これらのフロチャートに従って、
本形態の偏光分離素子1の製造方法を説明する。
【0019】まず、図2(A)に示すように、ガラス基
板10の表面101にPET膜からなる配向誘導膜13
を形成する。配向誘導膜13は次のようにして形成す
る。まず、PETを少量のフッ素系アルコール溶液に飽
和するまで溶解する。その後、塩素系の希釈液で10倍
に希釈して沈殿物などを取り除く。そして、このように
して用意したPET溶液を光学的等方性を有するガラス
基板10の表面101に塗布する。この結果、ガラス基
板10の表面101にはPET膜が成膜される。このP
ET膜の膜厚は、例えば100〜200nmである。次
に、PET膜の表面をナイロン、レーヨン、ポリエステ
ル等の材質のクロスで一方向にラビング処理(配向処
理)する。これにより、PET膜が配向誘導膜13にな
る。
【0020】次に、図2(B)に示すように、配向誘導
膜13の表面に、化学式(1)に示したポリジアセチレ
ン誘導体膜11を形成するためのジアセチレンモノマー
11aを真空蒸着法により成膜する。この真空蒸着の際
に、ジアセチレンモノマー11aは、配向誘導膜13が
ラビング処理された方向に沿って自発的に配向する。こ
のときの真空蒸着の条件は、例えば、抵抗加熱による加
熱温度が124℃、蒸着速度が0.2nm/s、圧力が
1〜4×10-3Paである。この結果、配向誘導膜13
の表面に所望の膜厚のジアセチレンモノマー11aが成
膜する。
【0021】図2(C)に示すように、ジアセチレンモ
ノマー膜11aの全面に紫外線(UV)を照射してジア
セチレンモノマー膜11aをポリマー化(重合)する。
この重合時には、Xe−Hgランプの放射照度を約2m
W/cm2 とし、照射時間を20秒程度として紫外線を
照射する。この結果、紫外線重合されたポリジアセチレ
ン誘導体膜11が成膜される。この後に、ポリジアセチ
レン誘導体膜11を熱処理して、青相から赤相へ色相変
化させる。
【0022】これは、偏光分離素子1を、DVDの記録
再生用の光ピックアップ装置に組込むことを想定してい
るためである。すなわち、以下の工程を経て作製される
偏光分離素子1が、DVD用の光ピックアップ装置に使
用されるレーザ光の波長(650nm)に対する吸収が
少なくなるためである。なお、偏光分離素子1をCDの
記録再生用の光ピックアップ装置に組込むことを想定し
ている場合は、熱処理を省いて、ポリジアセチレン誘導
体膜11が青相のままでも良い。これは、偏光分離素子
1がCD用の光ピックアップ装置で使用される光の波長
(780nm)に対する吸収が少なくなるためである。
【0023】次に、図3(A)に示すように、ポリジア
セチレン誘導体膜11の表面に紫外線を部分的に照射し
て周期格子12を形成する。この工程においては、ま
ず、ポリジアセチレン誘導体膜11上に、フォトマスク
15(クロムマスク)を配置する。このフォトマスク1
5には、透光部分151と、遮光部分152を備えた回
折格子パターンが形成されている。このようなフォトマ
スク15の上方からコリメートされた紫外線を照射す
る。このときの光源としては、Xe−Hgランプを用
い、その強度を約2mW/cm2 、照射(露光)時間を
約1時間とする。
【0024】この結果、ポリジアセチレン誘導体膜11
の表面には、フォトマスク15の透光部分151を通っ
て紫外線が照射されて透明相に色相変化した第1の色相
変化部121が形成される。また、ポリジアセチレン誘
導体膜11の表面には、フォトマスク15の遮光部分1
52に相当する部分が、紫外線の影響を受けないため、
そのままの状態を保持され第2の色相変化部122が形
成される。すなわち、ポリジアセチレン誘導体膜11の
表面には、パターン露光されることによって、しばらく
した後、周期格子12が形成される。なお、第2の色相
変化部122の色相は赤色相または青色相である。
【0025】ここで、第1の色相変化部121には揮発
性のカルボン酸(R−COOH)が生成される。この揮
発成分(カルボン酸)は時間の経過とともに揮発して、
第1の色相変化部121に凹みが発生してしまう。そこ
で、本形態の偏光分離素子1の製造方法では、以下の化
学式(2)に示す中和処理(中和反応)を行って、カル
ボン酸を中和して、周期格子12の第1の色相変化部1
21に凹み発生し難くする。
【0026】
【化2】
【0027】詳しく説明すると、図3(B)に示すよう
に、周期格子12が形成されたガラス基板10を、水酸
化カルシウム溶液{Ca(OH)2 aq}の入った容器
30に浸漬する。浸漬する時間は、例えば、5分であ
る。また、容器30には飽和状態の水酸化カルシウム水
溶液を入れる。ここで、水酸化カルシウムは、水1Lに
対して1.8g(0℃)または、0.8g(100℃)
溶解することが知られている。このため、例えば、容器
30に入れる水酸化カルシウム水溶液は、水1Lに対し
て水酸化カルシウムを1.8g入れた溶液をスターラで
十分に撹拌したものとする。
【0028】このようにすると、先の化学式(2)に示
すように、第1の色相変化部121に含まれるカルボン
酸と水酸化カルシウムが中和反応する。この結果、周期
格子12(透明相の第1の色相変化部121)には、カ
ルボキシル基に変わってカルボキシレート基(−COO
- )からなる多座配位子がカルシウムイオン(Ca2+
に配位したキレート化合物が含有される。したがって、
周期格子12の透明相の第1の色相変化部121は、カ
ルボン酸のH+ がカルシウムイオンと置き換わるように
キレート化される。
【0029】5分後に、水酸化カルシウム水溶液の入っ
た容器30から、周期格子12の形成されたガラス基板
10を取出し、3段カスケード漕を用いて水洗する。こ
の水洗時間は、例えば、3段カスケード漕の各漕におい
て、30秒、30秒、4分とする。その後、ガラス基板
10を窒素ブローして表面上の水分を除去する。
【0030】このようにして製造された偏光分離素子1
では、透明相である第1の色相変化部121に生成され
た揮発性のカルボン酸が、カルシウムイオンでキレート
化される。したがって、本形態の偏光分離素子1は、当
該カルボン酸の揮発を抑制でき、紫外線のパターン露光
後における第1の色相変化部121の凹みの発生を防
止、あるいは抑制できる。このため、カルボン酸の揮発
成分に起因して周期格子12の回折特性が変動すること
を防止できる。
【0031】ここで、本形態の周期格子12は、水酸化
カルシウムにより、透明相の第1の色相変化部121に
含まれるカルボン酸の揮発成分が中和処理される。この
ような周期格子12は、エージング処理前後、すなわ
ち、経時変化によって周期格子12の回折特性に大きな
差(変動)は見られないはずである。
【0032】一方、図3(A)に示したポリジアセチレ
ン誘導体膜11に紫外線を照射させる工程において、フ
ォトマスク15をポリジアセチレン誘導体膜11に密着
させた状態で露光を行い、この密着状態を維持させたま
ま中和処理させれば、第1の色相変化部121の凹みの
発生はみられない。
【0033】そこで、本出願人等は、紫外線のパターン
露光後に中和処理、そしてエージング処理を行う周期格
子12において、中和処理前後の回折特性を比較をして
カルボン酸の揮発性が抑制されていることの確認(実
験)を行った。
【0034】なお、この実験は、周期格子12の格子ピ
ッチ(第1の色相変化部121と第2の色相変化部12
2の幅を足した寸法)が異なる偏光分離素子を形成して
行った。ここで、周期格子12の格子ピッチは、2.5
μm、3.0μm、4.0μm、6.0μm、および
8.0μmである。
【0035】この実験にあたって、中和処理した偏光分
離素子は、紫外線によるパターン露光後のエージング処
理前と、中和処理をしてエージング処理後の回折特性を
比較している。偏光分離素子の回折特性は、常光および
異常光の0次光、±1次光のそれぞれの強度を測定し、
常光の0次光の回折効率η0(o)を算出した。また、
中和処理を行わずにエージング処理した偏光分離素子の
回折特性も、同様に測定し算出した。図4には、この結
果をグラフとして示してある。また、常光の0次光の回
折効率η0(o)については、エージング処理前後の回
折効率の変化率も求めた。図5には、この結果をグラフ
として示してある。
【0036】図4のグラフから分かるように、中和処理
された周期格子12では、エージング処理の前後で、常
光の0次光の回折効率η0(o)がほとんど変化してい
ない。また、図5から明らかなように、エージング処理
の前後で、回折効率η0(o)の変化率がほぼ±10%
以内に抑えられている。このことから周期格子12の第
1の色相変化部121の凹みが増大していないと判断で
きる。また、中和処理されない周期格子では、エージン
グ処理前後を比較すると、回折効率η0(o)が大きく
変化していることが分かる。
【0037】したがって、本実験では、周期格子12の
透明相の第1の色相変化部121に含まれる揮発性のカ
ルボン酸が中和処理を行う製造方法によって、偏光分離
素子は、透明相に含まれる揮発性のカルボン酸を所定の
金属イオンでキレート化され揮発し難くなり、透明相の
凹みの増大を防止できることが確認できる。
【0038】なお、本形態では、カルボン酸の中和処理
に用いる水酸化物に、2価のカルシウムイオン(C
2+)を用いた例を説明している。この代わりに、マグ
ネシウムイオン(Mg2+)、鉄イオン(Fe2+)または
銅(Cu2+)等の2価の金属イオンであっても勿論良
い。さらに、カルボン酸の中和処理は、カルボン酸とキ
レート化される金属イオンとして、2価の金属イオンに
限らず3価以上の金属イオンであっても良い。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の偏光分離
素子では、ポリジアセチレン誘導体膜からなる周期格子
の透明相に含まれる揮発性のカルボン酸を所定の金属イ
オンでキレート化している。すなわち、周期格子の透明
相においては、含有される当該カルボン酸を、エージン
グ処理によって透明相から追い出すのではなく、金属イ
オンでキレート化して揮発性を抑制している。このた
め、本発明の偏光分離素子において、紫外線のパターン
露光後の周期格子はカルボン酸の揮発を抑制でき、透明
相の凹みの発生を防止、あるいは抑制できる。したがっ
て、経時変化が少ない回折特性を備えた偏光分離素子を
実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した偏光分離素子の概略構成図で
ある。
【図2】(A)〜(C)は、本発明を適用した偏光分離
素子の製造工程を示す図である。
【図3】(A)および(B)は、図2に示す偏光分離素
子の製造工程以降の工程を示す図である。
【図4】本発明を適用した偏光分離素子の中和処理前後
の回折特性を示すグラフである。
【図5】本発明を適用した偏光分離素子の回折効率の変
化率を示すグラフである。
【符号の説明】
1 偏光分離素子 10 ガラス基板 101 表面 11 ポリジアセチレン誘導体膜(薄膜) 12 周期格子 121 第1の色相変化部 122 第2の色相変化部 13 配向誘導膜 15 フォトマスク 30 容器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H049 BA05 BA24 BC05 BC08 4J100 AT11P CA01 DA61 FA00 JA32 5D119 AA32 BA01 JA12 JA25 NA05

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学的等方性基板と、この光学的等方性
    基板の光入射面および光出射面の少なくとも一方の面に
    形成したポリジアセチレン誘導体からなる薄膜と、この
    薄膜に対して紫外線を選択的に照射することにより、互
    いに屈折率の異なる第1および第2の色相変化部を周期
    的に形成した周期格子とを有し、前記第1の色相変化部
    が透明相に色相変化している偏光分離素子において、 前記第1の色相変化部に含まれる揮発性のカルボン酸が
    所定の金属イオンでキレート化されていることを特徴と
    する偏光分離素子。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記金属イオンは2
    価以上のものであることを特徴とする偏光分離素子。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の偏光分離素子
    の製造方法であって、前記周期格子を形成した後の前記
    光学的等方性基板を、前記金属イオンを含有した水溶液
    に浸漬して、前記第1の色相変化部に含まれる揮発性の
    カルボン酸を当該金属イオンでキレート化することを特
    徴とする偏光分離素子の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010198031A (ja) * 2002-08-02 2010-09-09 Nitto Denko Corp 補償層を有する液晶セルおよびその製造方法

Cited By (1)

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JP2010198031A (ja) * 2002-08-02 2010-09-09 Nitto Denko Corp 補償層を有する液晶セルおよびその製造方法

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