JP2000146918A - 高炭素鋼材の表面欠陥検査方法 - Google Patents
高炭素鋼材の表面欠陥検査方法Info
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Abstract
って鉄鋼材料の表面欠陥を検査する際のノイズ低減を図
り、誤検査のない高精度の検出を行うこと。 【解決手段】 鋼材の表面欠陥を磁気探傷するに当た
り、鋼材表面の脱炭層厚を薄くする処理を行うか、鋼材
表面層の固溶炭素濃度を減少させる熱処理を行うかの少
なくとも1つの処理方法を採用することによって解決さ
れる。
Description
探傷法のような磁気探傷によって、鉄鋼材料の表面欠陥
を非破壊検査する方法に関し、特に探傷ノイズを減少さ
せて誤検査をなくするのに好適な方法を提案する。
傷による鉄鋼材料の表面欠陥検出において、ノイズを減
少させて欠陥の誤検出を防止する方法としては、特開昭
55ー128151号公報に記載されているような方法
が知られている。この方法は、磁気探傷や渦流探傷に先
立ち、2本ロール式曲がり矯正機を用いて黒皮極細丸鋼
を曲がり矯正したり、スケールの除去、かえりの矯正、
真円度の向上等の丸鋼の表面性状を改善することで、表
面欠陥の検査能率や精度を向上させる技術である。
象である鋼材の種類によっては、上述したような表面性
状の改善だけでは十分にノイズを減少させることができ
ない場合がある。例えば、この方法を高炭素鋼材に対し
て適用した場合には、固溶炭素の含有量が大きいため、
鋼材内部の固溶炭素濃度や脱炭層厚のばらつきに起因す
るノイズが大きくなり、欠陥の誤検出率が高くなるとい
う問題があった。
な問題点を解消するためになされたもので、その目的と
するところは、鉄鋼材料の表面欠陥を検査する際のノイ
ズを低減させて、誤検出をなくすることにある。
研究した結果、発明者らは、鉄鋼材料中の固溶炭素濃度
が透磁率、誘電率、電気抵抗等の物性値に影響を与える
こと、鋼材の表面脱炭層厚にばらつきがある場合にもま
た透磁率が大きく変化して漏洩磁束が発生し(磁気探
傷)または誘導磁界が乱れたり(渦流探傷)して検査ノ
イズ発生の原因となることを突き止め、本発明に想到し
た。即ち、本発明は、鋼材の表面欠陥を磁気探傷検査す
るに当たり、 a)鋼材表面の脱炭層厚を薄くする方法、 b)鋼材表面の固溶炭素濃度を減少させる熱処理を行う
方法、の少なくとも1の方法を採用することを特徴とす
る検査方法である。
の一つは、鋼材の製造工程の中間または最終段階におい
て表面層をピーリング,スカーフィングもしくはグライ
ンディングによって研削して除去する処理であることが
好ましい。また、これらの3つの研削方法を適宜組み合
わせて行なうこともできる。
方法は、鋼材の均熱時または加熱時における900℃を
超える高温域での保持を60分以内に抑えることにより
行うことが好ましい。
る熱処理方法は、球状化焼鈍であることが好ましい。
厚Y(×10-2mm)を鋼材中の固溶炭素濃度X(×1
0-2wt%)との関係において、アズロール材について
は、Y≦−0.73X+112.7、熱処理材について
はY≦−0.73X+137.7を満足するように調整
することが好ましい。
[C]含有量に応じて透磁率や誘電率、電気抵抗が異な
ることはよく知られており、とりわけ透磁率の差異が大
きい。そのため、鋼材表面欠陥を磁気探傷検査する場合
に、その透磁率に影響する外乱要因があると、信号出力
のノイズが大きくなり、欠陥の誤検出につながることに
なる。
の固溶炭素量にばらつきがあると、磁気探傷時に欠陥と
無関係な漏洩磁束が出るとか、渦流探傷時に誘導磁界が
乱れたりしてノイズの方が大きくなり、ひいては正確な
検出を阻害することになる。しかも、この傾向は固溶炭
素含有量が大きい材料ほど顕著である。
おける磁束挙動を示す概略図であるが、脱炭層の薄い個
所(A)と厚い個所(B)とでは、漏洩磁束密度に差が
あり、この差がノイズとなって精度の高い欠陥検出を阻
害するのである。
時の信号出力の外乱要因をなくして、ノイズの低減を図
ることで、誤検出のない精度の高い検出を行う方法を提
案する。そのための方法として、本発明は、a)鋼材表
面の脱炭層厚を薄くする方法、b)鋼材表面層の固溶炭
素濃度を減少させる熱処理を行う方法のいずれか少なく
とも1つの方法を採用する。
第1の方法としては、まず鋼材表面の脱炭層厚を薄くす
ることである。すなわち、この方法は鋼材表面の脱炭層
厚を薄くすることにより、検査個所の差を少なくするた
めに鋼材表面を研削除去する方法である。この方法は、
ピーリング、スカーフィングもしくはグラインディング
によって鋼材表面を研削除去することで、鋼材表面の脱
炭層厚を薄くかつ均一にすることでノイズの発生を相対
的に少なくしかつ均一にして、傷部分の出力を極立たせ
る方法である。なお、この処理は、製造工程の中間段階
(半製品)でも最終段階(製品)のいずれで行っても良
く、また鋼材表面の研削方法はピーリング、スカーフィ
ングまたはグラインディングを適宜組み合わせて行って
も良い。
方法としては、鋼材を均熱、加熱するときに、900℃
を超える高温雰囲気での処理を60分以内の短時間保持
とすることで達成される。即ち、均熱炉、加熱炉の高温
域での在炉時間を短くすることが有効である。均熱また
は加熱温度が900℃を超える高温雰囲気であることの
理由は、そのような高温雰囲気において鋼材の脱炭速度
が急激に増加するためである。また、鋼材の溶融点やエ
ネルギーコストを考慮した場合に、高温領域の上限値を
約1300℃とすることが望ましい。また、高温雰囲気
での保持時間の下限値は、鋼材温度を均一にするために
必要な時間であることが望ましい。この時間は鋼材の種
類、形状、サイズ等によって若干異なるが、一般的に
は、10分以上の時間であることが望ましい。
発明の第2の方法は、鋼中の固溶炭素量を少なくする方
法である。この方法の実現のために本発明では圧延後に
熱処理を行う。特に、球状化焼鈍が好ましい。この球状
化焼鈍は非酸化性雰囲気下で行うことが好ましい。
軸受鋼(SUJ2)により丸鋼(丸棒鋼)を製造するプ
ロセスに適用した例を説明する。
ものであり、均熱工程10、加熱工程20、圧延工程3
0、そして磁気探傷か渦流探傷による非破壊検査工程4
0で構成されており、さらに前記均熱工程10と加熱工
程20との間に表面研削工程50が、また圧延工程30
と検査工程40との間に球状化焼鈍工程60が設けられ
る。
確かめるためにSUJ2の丸棒鋼素材(170mmφ)
を65mmφの丸鋼に成形した際、表面研削工程50に
おいてピーリングして脱炭層を除去した場合の製品の最
大脱炭層厚と磁気探傷(MFLT)のノイズレベル
(%)との関係を示したものである。この図に示すとお
り、最大脱炭層厚が大きくなれば、磁気探傷(MLF
T)のノイズレベルもそれにほぼ比例して大きくなって
いる。つまりノイズを抑えて誤検出を防止するには、鋼
材表面の炭層厚を薄くすればよいことが確認された。
表面層の削除量に対する最大脱炭層厚および磁気探傷ノ
イズレベルとの関係を調べたものであり、表面層の削除
量が大きくなれば、製品最大脱炭層厚が薄くなると同時
にノイズレベルが低下することが確認された。
ばらつきを減少させるための処理としてのピーリングを
均熱工程10と加熱工程20との中間において実施した
が、この処理は圧延工程30を終了した後に実施しても
ほぼ同じ効果を得ることができる。また、この研削処理
はピーリングに代えてスカーフィングまたはグラインデ
ィングでも良いことは勿論であり、さらに、これらを組
み合わせた表面研削を行うこともできる。
て900℃以上の高温の雰囲気内に所定時間だけ保持す
ることによって、最終的には直径を38mmの棒鋼とし
たときの在炉時間と磁気探傷合格率との関係を示すグラ
フである。この図に示される磁気探傷合格率は、磁気探
傷合格ton数/磁気探傷検査ton数で定義され、誤
検出したものを除いた最終合格率を表している。この図
からわかるように、在炉時間が40分前後の場合の合格
率は70〜90%と高く、60分を超えると40%前後
と次第に低くなっている。このことは、900℃以上の
高温の雰囲気における在炉時間は60分以下であれば、
誤検出が減少して良好な磁気探傷合格率を得ることがで
きることを意味している。
900℃以上の高温雰囲気に30分未満保持する例を述
べたが、これは加熱炉に限定されるべきでなく、均熱炉
や再加熱を行うプロセスにおいても同様のことが言え
る。
実施例として、鋼材中の固溶炭素濃度[C]を減少させ
る方法について実験した。この実験は、図2に示す製造
プロセスにおいて、圧延工程30の直後に非酸化性雰囲
気下で行った球状化焼鈍工程60の例である。図7は、
このような熱処理を行って最終製品とした熱処理材の直
径とノイズレベルとの関係を、熱処理を行わないで最終
製品としたアズロール材との比較で示したものである。
この図からわかるように、熱処理材の方が明らかにアズ
ロール材よりもノイズレベルが小さいことであり、また
最終製品の直径を小さくする程ノイズレベルが小さくな
っていることである。すなわち、このような熱処理を施
すことで、鋼材の表面層における脱炭層と非脱炭層との
境界がブロードになり、ここでの透磁率の変化分が減少
し、その結果磁気探傷ノイズが減少して、正確な検査が
できるようになることが確認された。
について、固溶炭素濃度と表面傷の探傷に必要な許容最
大脱炭層厚との関係を、熱処理を行わないアズロール材
との比較で示す。許容最大脱炭層厚は、誤検出率が20
%以下となるような脱炭層厚として定義される。この図
からわかるように、固溶炭素濃度が小さい程、表面探傷
の許容最大脱炭層厚が大きい。すなわち、固溶炭素濃度
が小さければ小さい程、許容され得る脱炭層厚の最大値
が大きいことがわかった。なお、熱処理材とアズロール
材について、固溶炭素濃度(X)と許容される製品最大
脱炭層厚(Y)との望ましい関係は、以下のような一次
関数(1)および(2)で表され、 Y=−0.73X+137.7 ・・・(1) Y=−0.73X+112.7 ・・・(2) 各固溶炭素濃度に対する許容最大脱炭層厚の範囲は上式
の負領域で表される範囲(Y≦aX+b)であり、熱処
理材の方が許容範囲が広く、ノイズの少ない検査ができ
ることが確認された。
非破壊検査時のノイズ低減を実現することができるか
ら、高い精度の鋼材表面欠陥検査ができる。
ラフである。
る。
すグラフである。
の関係を示すグラフである。
係を示すグラフである。
フである。
フである。
すグラフである。
Claims (5)
- 【請求項1】 鋼材の表面欠陥を磁気探傷検査するに当
たり、 a)前記鋼材表面の脱炭層厚を薄くする方法、 b)前記鋼材表面の固溶炭素濃度を減少させる熱処理を
行う方法、 の少なくとも1の方法を採用することを特徴とする高炭
素鋼材の表面欠陥検査方法。 - 【請求項2】 脱炭層厚を薄くする方法は、前記製造工
程の中間または最終段階において表面層をピーリング、
スカーフィングまたはグラインディングの少なくとも1
のやり方で研削して除去する処理である請求項1に記載
の表面欠陥検査方法。 - 【請求項3】 脱炭層厚を薄くする方法は、前記鋼材の
均熱時または加熱時における900℃を超える高温域で
の保持を60分以内に抑えることにより行うことを特徴
とする請求項1に記載の表面欠陥検査方法。 - 【請求項4】 固溶炭素濃度を減少させる熱処理方法
は、球状化焼鈍であることを特徴とする請求項1に記載
の表面欠陥検査方法。 - 【請求項5】 製品の最大脱炭層厚Y(×10-2mm)
を鋼材中の固溶炭素濃度X(×10-2wt%)との関係
において、次式; アズロール材: Y≦−0.73X+112.7 熱処理材: Y≦−0.73X+137.7 を満足するように調整することを特徴とする請求項1な
いし4のいずれか1項に記載の表面欠陥検査方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP32061798A JP3755314B2 (ja) | 1998-11-11 | 1998-11-11 | 高炭素鋼材の表面欠陥検査方法 |
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JP3755314B2 JP3755314B2 (ja) | 2006-03-15 |
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JP (1) | JP3755314B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN100454018C (zh) * | 2006-05-18 | 2009-01-21 | 沈睿 | 金属长杆件热处理质量连续式无损检测方法及其设备 |
-
1998
- 1998-11-11 JP JP32061798A patent/JP3755314B2/ja not_active Expired - Fee Related
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