JP2000143385A - 結晶製造装置 - Google Patents

結晶製造装置

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JP2000143385A JP10321847A JP32184798A JP2000143385A JP 2000143385 A JP2000143385 A JP 2000143385A JP 10321847 A JP10321847 A JP 10321847A JP 32184798 A JP32184798 A JP 32184798A JP 2000143385 A JP2000143385 A JP 2000143385A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多ゾーンの温度分布帯が構成されたヒータを
有する結晶製造装置であって、装置自体が安価で、か
つ、高純度の結晶を成長することができる、結晶製造装
置を提供する。 【解決手段】 耐圧チャンバ12と、耐圧チャンバ12
内に配置され、3ゾーン以上の温度分布帯が縦型に構成
されたヒータ3と、ヒータ3を含むヒータ域21と結晶
成長が行なわれる成長域22とを分離するための炉心管
1と、を備え、ヒータ3は、少なくとも1ゾーンを塑性
変形可能な材料を抵抗発熱体としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、結晶製造装置に関
するものであり、特に、BSO、LNO等の酸化物、S
i、Ge等の半導体材料、GaAs、InP等のIII
−V族化合物半導体材料、CdTe、ZnSe等のII
−VI族化合物半導体材料等の結晶を製造する装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の結晶製造装置の一例としては、た
とえば、特開昭63−174293号公報に、電気炉の
加熱装置が開示されている。
【0003】この装置においては、たとえばアルミナ製
の炉心管のまわりに、たとえば黒鉛製の抵抗加熱体から
なる複数の発熱体が、軸心を共通にそれぞれが接触しな
いように間隔を設けて縦方向に配置されている。
【0004】また、従来の結晶製造装置の他の例として
は、たとえば、特開平8−333187号公報に、縦型
の単結晶製造装置が開示されている。
【0005】この装置においては、原料収納容器を各ヒ
ータエレメントとヒータ取付け板との内側で囲う気密性
の材料からなるチャンバが設けられ、このチャンバに
は、その底部側に、このチャンバの内外を連通する通気
開口が設けられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の結晶製造装置はいずれも、ヒータとしてカーボ
ンを利用している。このヒータ素材であるカーボンは、
塑性変形ができず、割れやすい。そのため、ヒータの製
造が困難であり、高価になるという問題があった。特
に、多ゾーンのヒータ構造を構成しようとすると、短尺
のヒータが多数必要となり、それだけ高価となる。ま
た、割れやすいため、ヒータの固定治具と電極取出しの
構造、ヒータ同士の接触を防止するための構造に精度が
必要となり、構造がさらに複雑となって、炉の製造費用
が非常に高価になるという問題があった。
【0007】この発明の目的は、上述した課題を解決
し、多ゾーンの温度分布帯が構成されたヒータを有する
結晶製造装置であって、装置自体が安価で、かつ、高純
度の結晶を製造することができる、結晶製造装置を提供
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明による結
晶製造装置は、耐圧チャンバと、耐圧チャンバ内に配置
され、3ゾーン以上の温度分布帯が縦型に構成されたヒ
ータと、ヒータを含むヒータ域と結晶成長が行なわれる
成長域とを分離するための炉心管と、を備え、ヒータの
うち、少なくとも1ゾーンを構成する発熱体が、塑性変
形可能な材料を抵抗発熱体としている。
【0009】請求項2の発明による結晶製造装置は、請
求項1の発明の構成において、ヒータ域のガス圧力と成
長域のガス圧力との差が、所定の値を超えないように制
御する圧力バランス機構をさらに備えている。
【0010】請求項3の発明による結晶製造装置は、請
求項1または請求項2の発明の構成において、塑性変形
可能な材料は、鉄−クロム−アルミニウムを主成分とす
る合金、ニッケル−クロムを主成分とする合金、ニッケ
ル−クロム−鉄を主成分とする合金のいずれかからな
る。
【0011】請求項4の発明による結晶製造装置は、請
求項3の発明の構成において、ヒータ域のガスは、酸化
性を有するガスである。
【0012】酸化性を有するガスとしては、空気や二酸
化炭素等がある。請求項5の発明による結晶製造装置
は、請求項1〜請求項4のいずれかの発明の構成におい
て、炉心管は、石英、炭化珪素、酸化アルミニウム、窒
化ホウ素、窒化珪素、窒化アルミニウム、またはカーボ
ンのいずれか、もしくは、これらのいずれかを基材とし
て耐酸化性または緻密質の材料をコーティングした複合
材料からなる。
【0013】耐酸化性または緻密質の材料としては、酸
化珪素、炭化珪素、酸化アルミニウム等がある。
【0014】
【発明の実施の形態】図1は、本発明による結晶製造装
置の一例の概略構成を示す断面図である。
【0015】図1を参照して、この結晶製造装置は、高
圧水冷チャンバ12と、炉心管1とを備えている。
【0016】高圧水冷チャンバ12内は、炉心管1によ
って、ヒータ3を含むヒータ域21と、結晶成長が行な
われる成長域22とに分離されている。
【0017】ヒータ域21には、ヒータ3の他に、断熱
材10と、ヒータ電極11とが配置されている。また、
ヒータ域21には、ヒータ域ガス流入口14と、ヒータ
域ガス流出口13とが設けられている。
【0018】一方、成長域22には、るつぼ2と、断熱
材10とが配置されている。また、成長域22には、成
長域ガス流入口19と、成長域ガス流出口18とが設け
られている。
【0019】この結晶製造装置において、ヒータ3は、
3ゾーン以上の温度分布帯が縦型に構成されたヒータで
あって、そのうち少なくとも1ゾーンが塑性変形可能な
材料を抵抗発熱体としている。そのため、炉の構造が単
純となり、低価格で多ゾーンの温度分布帯を構成するこ
とができる。
【0020】塑性変形可能な材料としては、たとえば、
鉄−クロム−アルミニウムを主成分とする合金、ニッケ
ル−クロムを主成分とする合金、ニッケル−クロム−鉄
を主成分とする合金等を用いることができる。但し、高
温が必要な一部のゾーン等には、塑性変形が不可能な炭
化珪素や二珪素モリブデンを主成分とした材料のヒータ
を利用した方がよい場合がある。
【0021】一方、このような塑性変形可能な材料は、
一般に金属を含有するため、このような材料からなるヒ
ータを用いた場合、金属が不純物として、製造される結
晶中に混入するという問題が考えられる。そこで、本願
発明においては、炉心管1により、ヒータ域21と成長
域22とが分離されている。その結果、製造される結晶
中への不純物の混入が、有効に防止される。さらに、こ
の炉心管1は、製造される結晶中の揮発性成分の蒸気等
が、ヒータと直接接触することを防止するため、ヒータ
の劣化の防止にも作用している。
【0022】また、上述したようにヒータ域21と成長
域22とを分離した場合、ヒータ域21と成長域22と
の圧力差が大きくなり過ぎると、気密容器が破損してし
まうおそれがある。そこで、この実施の形態による結晶
製造装置は、ヒータ域21のガス圧力と、成長域22の
ガス圧力との差が、所定の値を超えないように制御する
ための、圧力バランス機構をさらに備えている。
【0023】具体的には、この結晶製造装置は、圧力バ
ランス機構として、ヒータ域21の圧力を測定するため
のヒータ域ガス圧力センサ15と、成長域22の圧力を
測定するための成長域ガス圧力センサ17とを備えてい
る。
【0024】ヒータ域ガス圧力センサ15により測定さ
れたヒータ域のガス圧力は、圧力センサの信号16とし
て矢印に示すようにヒータ域ガス流入口14へ伝達され
る。
【0025】一方、成長域ガス圧力センサ17により測
定された成長域のガス圧力は、圧力センサの信号20と
して矢印に示すように成長域ガス流入口19へ伝達され
る。
【0026】ヒータ域ガスとして、たとえば空気のよう
な酸化性ガスを用い、成長域ガスとして、たとえばN2
やAr等の非酸化性のガスを用いた場合のように、ヒー
タ域21と成長域22のガスの主成分が異なる場合に
は、圧力バランス機構として、各々の領域に取付けた圧
力センサ15、17の差が一定以上に大きくならないよ
うに、それぞれのガス圧力を調整できる構造を電気的ま
たは機械的に作製することができる。一方、ヒータ域2
1と成長域22のガスの主成分が同じでよい場合には、
圧力バランス機構として、気密性の炉心管1の500℃
以下の部分に、小さな孔をあけたような構造を利用する
こともできる。すなわち、孔をあける部分を500℃以
下とすることにより、原料蒸気によるヒータ3の劣化
や、ヒータ3から原料への不純物汚染を防止することが
できる。なお、ヒータ域21と成長域22のガスの主成
分が同じでよい場合としては、たとえば、BSOやLN
O等の酸化物等を成長する場合は、成長域21、ヒータ
域22ともに空気の雰囲気で成長することができる。
【0027】また、この結晶製造装置において、ヒータ
3の素材を、鉄−クロム−アルミニウムを主成分とする
合金、ニッケル−クロムを主成分とする合金、ニッケル
−クロム−鉄を主成分とする合金からなる抵抗発熱体と
する場合には、ヒータ域21のガスを、空気のように酸
化性のものにすることが好ましい。ヒータ3の劣化を防
止して長寿命化できるため、さらに結晶の製造コストを
低減できるからである。
【0028】また、この結晶製造装置において、炉心管
1の材料としては、石英、炭化珪素、酸化アルミニウ
ム、窒化ホウ素、窒化珪素、窒化アルミニウム、または
カーボンのいずれか、もしくは、これらのいずれかを基
材として耐酸化性または緻密質の材料をコーティングし
た複合材料を用いることが好ましい。このような材料を
用いることによって、製造される結晶の高純度化とヒー
タの劣化防止とを、容易に達成することができる。
【0029】このように構成される結晶製造装置を用い
て、結晶成長を行なう際には、まず、炉心管1内に配置
されたるつぼ2の底部に、種結晶9を設置する。次に、
原料と、必要に応じてB23 等の封止材5とをるつぼ
2内に投入する。ヒータ3によりるつぼ2を加熱して原
料融液6を作製した後、下軸4を矢印に示すように下方
へ移動させながら冷却して、るつぼ2の底部に設置され
た種結晶9の部分から結晶8を成長する。なお、結晶成
長の際には、温度センサにより、温度計測点7の温度が
測定される。
【0030】
【実施例】(実施例1)図1に示す構造の結晶製造装置
を用いて、InP単結晶を製造した。ヒータ3は、ニッ
ケル−クロムを主成分とする合金を用いて縦型10ゾー
ンを構成し、炉心管1には石英を利用した。
【0031】まず、InP多結晶を2kgと、B23
を50gと、SまたはS化合物を種結晶9端部でのS濃
度が1×1018cm-3となるように調製した量とを、種
結晶9が底部に設置された2インチ径の石英製のるつぼ
2内に投入した。ヒータ域21は空気の圧力が40at
mとなるように、成長域22はN2 ガスの圧力が40a
tmとなるように、各領域に圧力センサ15、17を取
付けて圧力バランスがとれるようなガス流出入機構を設
けた。その後、ヒータ3によりるつぼ2を加熱して、1
120℃で多結晶を溶融して原料融液6を作製した後、
60℃/cmの温度勾配下でVGF法により種結晶9か
らInP単結晶8を成長させる実験を8回実施した。
【0032】その結果、単結晶の平均歩留まりが40%
と非常に高く、得られた結晶は、S以外の不純物濃度が
1×1016cm-3以下と非常に高純度であった。また、
圧力バランス機構を設けたため、石英炉心管1は全く変
形しなかった。
【0033】(実施例2)図1に示す構造の結晶製造装
置を用いて、GaP単結晶を製造した。ヒータ3は、鉄
−クロム−アルミニウムを主成分とする合金を用いて低
温部の5ゾーンと、二珪化モリブデンを主成分とする材
料を用いて高温部の2ゾーンとを構成し、炉心管1には
炭化珪素を利用した。
【0034】まず、GaP多結晶を2kgと、B23
を50gと、SまたはS化合物を種結晶9端部でのS濃
度が1×1018cm-3となるように調製した量とを、種
結晶9が底部に設けられた2インチ径のpBN製のるつ
ぼ内に投入した。ヒータ域21は空気の圧力が70at
mとなるように、成長域22はArガスの圧力が70a
tmとなるように、各領域に圧力センサ15、17を取
付けて圧力バランスがとれるようなガス流出入機構を設
けた。その後、ヒータ3によりるつぼ2を加熱して、1
500℃で多結晶を溶融して原料融液6を作製した後、
50℃/cmの温度勾配下でVGF法により種結晶9か
らGaP単結晶8を成長させる実験を6回実施した。
【0035】その結果、単結晶の平均歩留まりが45%
と非常に高く、得られた結晶は、S以外の不純物濃度が
1×1016cm-3以下と非常に高純度であった。また、
圧力バランス機構を設けたため、炭化珪素炉心管1は破
損しなかった。
【0036】(実施例3)図1に示す構造の結晶製造装
置を用いて、GaAs多結晶を製造した。ヒータ3は、
鉄−クロム−アルミニウムを主成分とする合金を用いて
縦型12ゾーンを構成し、炉心管1には酸化アルミニウ
ムを利用した。
【0037】まず、Gaを3kgと、Asを3.3kg
と、B23 を300gとを、6インチ径のpBN製の
るつぼ内に投入した。なお、種結晶は入れなかった。ヒ
ータ域21は空気の圧力が50atmとなるように、成
長域22はArガスの圧力が50atmとなるように、
各領域に圧力センサ15、17を取付けて圧力バランス
がとれるようなガス流出入機構を設けた。その後、炉内
を昇温してGaAs多結晶6の合成を行ない、約100
℃/cmの温度勾配下でるつぼ2底部からGaAs多結
晶8を成長させる実験を6回実施した。
【0038】その結果、組成がストイキオメトリックの
多結晶の平均歩留まりが98%と非常に高く、得られた
結晶は、不純物濃度が1×1015cm-3以下と非常に高
純度であった。また、圧力バランス機構を設けたため、
酸化アルミニウム炉心管1は破損しなかった。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本願請求項1の発
明によれば、多ゾーンで温度分布を構成する場合、ヒー
タ構造を低コストにすることができる。また、炉心管で
分離することにより、製造する結晶を高純度化でき、か
つ、ヒータの劣化を防止することができる。
【0040】請求項2の発明によれば、炉心管の破損や
変形を防止することができる。請求項3の発明によれ
ば、ヒータ構造の低コスト化を容易に実現できる。
【0041】請求項4の発明によれば、ヒータの劣化を
防止することができる。請求項5の発明によれば、製造
する結晶をさらに高純度化でき、かつ、ヒータの劣化を
容易に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による結晶製造装置の一例の概略構成を
示す断面図である。
【符号の説明】
1 炉心管 2 るつぼ 3 ヒータ 4 下軸 5 封止材 6 結晶原料融液 7 温度計測点 8 結晶 9 種結晶 10 断熱材 11 ヒータ電極 12 高圧水冷チャンバ 13 ヒータ域ガス流出口 14 ヒータ域ガス流入口 15 ヒータ域ガス圧力センサ 16 圧力センサの信号 17 成長域ガス圧力センサ 18 成長域ガス流出口 19 成長域ガス流入口 20 圧力センサの信号 21 ヒータ域 22 成長域

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐圧チャンバと、 前記耐圧チャンバ内に配置され、3ゾーン以上の温度分
    布帯が縦型に構成されたヒータと、 前記ヒータを含むヒータ域と結晶成長が行なわれる成長
    域とを分離するための炉心管と、を備え、 前記ヒータのうち、少なくとも1ゾーンを構成する発熱
    体が、塑性変形可能な材料を抵抗発熱体とした、結晶製
    造装置。
  2. 【請求項2】 前記ヒータ域のガス圧力と前記成長域の
    ガス圧力との差が、所定の値を超えないように制御する
    圧力バランス機構をさらに備えた、請求項1記載の結晶
    製造装置。
  3. 【請求項3】 前記塑性変形可能な材料は、鉄−クロム
    −アルミニウムを主成分とする合金、ニッケル−クロム
    を主成分とする合金、ニッケル−クロム−鉄を主成分と
    する合金のいずれかからなる、請求項1または請求項2
    に記載の結晶製造装置。
  4. 【請求項4】 前記ヒータ域のガスは、酸化性を有する
    ガスである、請求項3記載の結晶製造装置。
  5. 【請求項5】 前記炉心管は、石英、炭化珪素、酸化ア
    ルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素、窒化アルミニウ
    ム、またはカーボンのいずれか、もしくは、これらのい
    ずれかを基材として耐酸化性または緻密質の材料をコー
    ティングした複合材料からなる、請求項1〜請求項4の
    いずれかに記載の結晶製造装置。
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