JP2000142367A - 液圧システムおよびこの液圧システムを用いたブレーキシステム - Google Patents

液圧システムおよびこの液圧システムを用いたブレーキシステム

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JP2000142367A
JP2000142367A JP10323932A JP32393298A JP2000142367A JP 2000142367 A JP2000142367 A JP 2000142367A JP 10323932 A JP10323932 A JP 10323932A JP 32393298 A JP32393298 A JP 32393298A JP 2000142367 A JP2000142367 A JP 2000142367A
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hydraulic pressure
hydraulic
actuator
brake
input
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Yuji Wachi
和知雄二
Toshiaki Fukushima
福島俊明
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Bosch Corp
Bosch Braking Systems Corp
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Bosch Braking Systems Co Ltd
Bosch Braking Systems Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】入力手段のストロークを従来に比べてはるかに
短い超ショートストロークに設定し、しかも応答性を向
上する。 【解決手段】ブレーキペダル2の通常の踏込みでは、コ
ントローラ21は、電磁開閉弁19,20を早い時期に
閉じる。すると、電磁開閉弁19,20に関してMCY
3側とWCY9〜12側とが比較的早く遮断され、以
後、WCY9〜12のWCY圧はポンプ14a,14b
からの吐出圧によって上昇するが、MCY圧によっては
上昇しない。このため、WCY圧は通常の速度で上昇す
る。ブレーキペダル2の急踏込みでは、コントローラ2
1は電磁開閉弁19,20を通常ブレーキの場合よりは
遅い時期に閉じる。この電磁開閉弁が閉じるまでの比較
的長い間、MCY圧がWCY9〜12に導入されるの
で、WCY圧は遅れることなく急速に上昇する。これに
より、急ブレーキが迅速にかけられ、応答性が向上す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ブレーキペダル等
の入力手段で液圧発生シリンダを作動し、この液圧発生
シリンダで発生された液圧によりアクチュエータを作動
する液圧システムの技術分野に属し、特に、入力手段の
ストロークが従来に比べてはるかに短縮された超ショー
トストロークの液圧システムおよびこの液圧システムを
用いてペダルストロークが超ショートストロークに設定
されたブレーキシステムの技術分野に属するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】自動車のブレーキシステムにおいては、
ブレーキペダルのペダル踏力を液圧に変換し、この液圧
でブレーキを作動させるという液圧を用いたブレーキシ
ステムが採用されている場合が多い。図8は、このよう
な液圧による従来の一般的なブレーキシステムの基本的
構成を模式的に示す図である。図中、aはブレーキシス
テム、bはブレーキ操作を行うブレーキペダル、cはブ
レーキ液圧発生するタンデム型のマスタシリンダ(以
下、MCYともいう)、dはMCYcのプライマリピス
トン、eはMCYcのセカンダリピストン、f,gはリ
ターンスプリング、hは第1ブレーキ系統のプライマリ
液圧室、iは第2ブレーキ系統のセカンダリ液圧室、j
はブレーキ液を貯留するリザーバ、kはプライマリ液圧
室fとリザーバjとの間のブレーキ液のプライマリ側給
排通路、mはセカンダリ液圧室iとリザーバjとの間の
ブレーキ液のセカンダリ側給排通路、nは第1ブレーキ
系統のブレーキ液圧給排通路、oは第2ブレーキ系統の
ブレーキ液圧給排通路、p,qは第1ブレーキ系統のホ
イールシリンダ(以下、WCYともいう)、r,sは第
2ブレーキ系統のWCYである。
【0003】図8に示すように、このブレーキシステム
aにおいては、ブレーキペダルbの踏込でMCYcのプ
ライマリピストンdが図示の非作動位置から前進(図に
おいて左動)し、このプライマリピストンdのシール部
(不図示)がプライマリ側給排通路kの開口(MCYc
の液圧室hへの開口)k1を通過して前進すると、プラ
イマリ液圧室hにMCY圧が発生する。このMCY圧に
より、セカンダリピストンEが前進し、このセカンダリ
ピストンEのシール部(不図示)がセカンダリ側給排通
路mの開口m1を通過して前進すると、セカンダリ液圧
室iにMCY圧が発生する。これらのMCY圧がそれぞ
れ各ブレーキ系統のブレーキ液圧給排通路o,nを介し
て各WCYp,q;r,sに導入されて、ブレーキがかけ
られる。
【0004】このように、このブレーキシステムaで
は、ブレーキペダルbに加えられるペダル踏力がMCY
cによって液圧に変換され、この液圧によって各WCY
p,q;r,sが作動され、ブレーキが作動するようにな
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、ブレ
ーキシステムにおいては、ブレーキペダルのストローク
を可能な限り短縮させることが望まれている。しかしな
がら、前述の従来のブレーキシステムaでは、MCYc
より先のブレーキ系に、例えば各WCYp,q;r,sの
アイドルストローク等により、各ピストンd,eのシー
ル部がリザーバjに連通する各給排通路k,mの開口k1,
1を過ぎてから実際に液圧が発生するまで、所定量の
ブレーキ液をMCYcより先のブレーキ系に送給しなけ
ればならない。このため、両ピストンd,eはこの所定
量のブレーキ液の送給する必要があることから大きく前
方へ移動することになり、この移動は実際に液圧を発生
するためのものではないので、アイドルストロークとな
る。したがって、各ピストンd,eは、それらの非作動
位置から、リザーバjに連通する各給排通路k,mの開
口k1,m1を過ぎるまでのストローク量にこのアイドルス
トローク量を加えた大きなストロークとなっている。そ
の結果、ブレーキペダルbのペダルストロークも必然的
に大きなストロークとなっており、具体的には、従来の
ペダルストロークは、一般的には、60〜80mm程度
であり、短い場合でも約40mm程度である。
【0006】このため、この従来のブレーキシステムで
は、ペダルストロークの可能な限りの短縮という前述の
要望に確実にかつ十分に応えることができない。そのう
え、この従来のブレーキシステムでは、例えば緊急ブレ
ーキ等の、ブレーキペダルbの急速な踏込み時に、ブレ
ーキ液圧の上昇が通常ブレーキ時とあまり変わらなく、
応答性が十分でない。
【0007】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであって、その目的は、入力手段のストロークを従
来に比べてはるかに短い超ショートストロークに設定で
き、しかも応答性を向上できる液圧システムおよびこの
液圧システムを用いたブレーキシステムを提供すること
である。
【0008】
【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するた
めに、請求項1の発明の液圧システムは、作動液を蓄え
るリザーバと、非作動時このリザーバに連通するととも
に作動時リザーバから遮断して液圧を発生する液圧発生
シリンダと、前記液圧発生シリンダに接続され、この液
圧発生シリンダの液圧により作動して出力するアクチュ
エータと、作動時ストロークして入力を前記液圧発生シ
リンダに加えて前記液圧発生シリンダを作動制御する入
力手段とを備え、前記入力手段の入力を液圧発生シリン
ダで液圧に変換し、この液圧でアクチュエータを作動し
て出力する液圧システムにおいて、前記液圧発生シリン
ダと前記アクチュエータとの連通を開閉する開閉手段
と、前記アクチュエータと前記開閉手段との間の通路に
作動液を供給する作動液供給手段と、この作動液供給手
段から前記通路への作動液の供給を制御するとともに、
前記アクチュエータの液圧を制御する液圧制御手段と、
前記入力手段の入力に基づいて、前記開閉手段が前記入
力手段の非作動時は前記アクチュエータと前記リザーバ
とを連通し、前記入力手段の作動時は前記アクチュエー
タと前記リザーバとを遮断するように、かつ前記入力手
段の入力上昇速度が高いほど、前記開閉手段が前記液圧
発生シリンダと前記アクチュエータとを遮断する時期を
遅くなるように前記開閉手段を制御するとともに、前記
液圧制御手段が前記入力手段の非作動時は前記作動液供
給手段からの作動液の前記通路への供給を停止し、前記
入力手段の作動時は前記作動液供給手段からの作動液を
前記通路へ供給しかつ前記アクチュエータの液圧を予め
設定された前記入力手段の入力と前記アクチュエータの
出力との関係にしたがって制御するように、前記入力手
段の入力に基づいて前記液圧制御手段を制御する中央処
理装置とを備えていることを特徴としている。
【0009】その場合、入力上昇速度としては、入力手
段のストローク速度、入力手段の入力操作力上昇速度、
あるいは液圧発生シリンダで発生する液圧上昇速度等、
入力手段の入力に関係するものの上昇速度が用いられ
る。
【0010】また、請求項2の発明は、前記入力手段の
入力上昇速度が設定速度より高いときは、前記開閉手段
が前記液圧発生シリンダと前記アクチュエータとを遮断
したとき、前記液圧発生シリンダの液圧が最大圧または
ほぼ最大圧となるように前記開閉手段による前記液圧発
生シリンダと前記アクチュエータとの遮断時期が設定さ
れていることを特徴としている。
【0011】更に、請求項3の発明は、作動液を蓄える
リザーバと、非作動時このリザーバに連通するとともに
作動時リザーバから遮断して液圧を発生する液圧発生シ
リンダと、前記液圧発生シリンダに接続され、この液圧
発生シリンダの液圧により作動して出力するアクチュエ
ータと、作動時ストロークして入力を前記液圧発生シリ
ンダに加えて前記液圧発生シリンダを作動制御する入力
手段とを備え、前記入力手段の入力を液圧発生シリンダ
で液圧に変換し、この液圧でアクチュエータを作動して
出力する液圧システムにおいて、前記アクチュエータと
前記リザーバとの連通を開閉する開閉手段と、前記アク
チュエータと前記開閉手段との間の通路に作動液を供給
する作動液供給手段と、この作動液供給手段から前記通
路への作動液の供給を制御するとともに、前記アクチュ
エータの液圧を制御する液圧制御手段と、前記作動液供
給手段と前記液圧制御手段との間に設けられ、前記作動
液供給手段からの作動液で所定圧に蓄圧されるアキュム
レータと、前記開閉手段が前記入力手段の非作動時は前
記アクチュエータと前記リザーバとを連通し、前記入力
手段の作動時は前記アクチュエータと前記リザーバとを
遮断するように、前記入力手段の入力に基づいて前記開
閉手段を制御するとともに、前記液圧制御手段が前記入
力手段の非作動時は前記アキュムレータからの作動液の
前記通路への供給を停止し、前記入力手段の作動時は前
記アキュムレータからの作動液を前記通路へ供給しかつ
前記アクチュエータの液圧を予め設定された前記入力手
段の入力と前記アクチュエータの出力との関係にしたが
って制御するように、前記入力手段の入力に基づいて前
記液圧制御手段を制御する中央処理装置とを備えている
ことを特徴としている。
【0012】更に、請求項4の発明は、作動液を蓄える
リザーバと、非作動時このリザーバに連通するとともに
作動時リザーバから遮断して液圧を発生する液圧発生シ
リンダと、前記液圧発生シリンダに接続され、この液圧
発生シリンダの液圧により作動して出力するアクチュエ
ータと、作動時ストロークして入力を前記液圧発生シリ
ンダに加えて前記液圧発生シリンダを作動制御する入力
手段とを備え、前記入力手段の入力を液圧発生シリンダ
で液圧に変換し、この液圧でアクチュエータを作動して
出力する液圧システムにおいて、前記アクチュエータと
前記リザーバとの連通を開閉する開閉手段と、前記アク
チュエータと前記開閉手段との間の通路に作動液を供給
する作動液供給手段と、この作動液供給手段から前記通
路への作動液の供給を制御するとともに、前記アクチュ
エータの液圧を制御する液圧制御手段と、前記作動液供
給手段と前記通路との間に設けられ、前記作動液供給手
段からの作動液で所定圧に蓄圧されるアキュムレータ
と、前記開閉手段が前記入力手段の非作動時は前記アク
チュエータと前記リザーバとを連通し、前記入力手段の
作動時は前記アクチュエータと前記リザーバとを遮断す
るように、前記入力手段の入力に基づいて前記開閉手段
を制御するとともに、前記液圧制御手段が前記入力手段
の非作動時は前記作動液供給手段および前記アキュムレ
ータからの作動液の前記通路への供給を停止し、前記入
力手段の作動時で前記入力手段の入力上昇速度が設定速
度以下のときは、前記作動液供給手段からの作動液を前
記通路へ供給し、また、前記入力手段の作動時で前記入
力手段の入力上昇速度が設定速度より高いときは、前記
アキュムレータからの作動液を前記通路へ供給し、更に
前記アクチュエータの液圧を予め設定された前記入力手
段の入力と前記アクチュエータの出力との関係にしたが
って制御するように、前記入力手段の入力に基づいて前
記液圧制御手段を制御する中央処理装置とを備えている
ことを特徴としている。
【0013】更に、請求項5のブレーキシステムは、請
求項1ないし4のいずれか1記載の液圧システムを用い
たブレーキシステムであって、前記入力手段はブレーキ
ペダルであり、前記液圧発生シリンダはタンデム型また
はシングル型のマスタシリンダであり、前記アクチュエ
ータはホイールシリンダであり、前記作動液供給手段は
ブレーキ液供給手段であり、前記液圧制御手段は前記ホ
イールシリンダのブレーキ液圧を制御するブレーキ液圧
制御手段であることを特徴としている。
【0014】
【作用】このような構成をした請求項1の発明の液圧シ
ステムにおいては、入力手段の作動時、開閉手段によっ
て前記液圧発生シリンダとアクチュエータとが遮断され
る。このとき、入力手段の入力上昇速度が高いほど、開
閉手段によるこの遮断の時期が遅くなる。そして、作動
液供給手段からの作動液がアクチュエータと開閉手段と
の間の通路に供給され、この通路やアクチュエータのア
イドルストロークが消滅されるとともに、液圧制御手段
によってアクチュエータの液圧が、予め設定された入力
手段の入力とアクチュエータの出力との関係にしたがっ
て制御される。
【0015】このように、作動液供給手段からの作動液
でアイドルストロークが消滅されることで、入力手段の
ストロークは大幅に短縮され、超ショートストロークと
なる。しかも、例えば通常の作動時等の、入力手段の入
力上昇速度が低いときは、液圧発生シリンダとアクチュ
エータとが比較的早い時期に遮断されるので、液圧発生
シリンダからの液圧はアクチュエータにあまり導入され
なく、アクチュエータの液圧はほとんど作動液供給手段
からの作動液供給によって上昇するようになる。したが
って、アクチュエータの液圧は比較的低い通常速度で上
昇する。
【0016】また、例えば緊急作動時等の、入力手段の
入力上昇速度が高いときは、液圧発生シリンダとアクチ
ュエータとが比較的遅くなって遮断されるので、この遮
断されるまでの間、液圧発生シリンダからの液圧がアク
チュエータに導入されるようになり、アクチュエータの
液圧は、液圧発生シリンダからの液圧と作動液供給手段
からの作動液供給による液圧とによって上昇するように
なる。したがって、アクチュエータの液圧は急速度で上
昇し、この液圧上昇が遅れることはない。これにより、
緊急作動時にもアクチュエータは迅速に作動し、応答性
が向上する。
【0017】また、請求項3の発明では、入力手段の作
動時、開閉手段によって前記液圧発生シリンダとアクチ
ュエータとが遮断されるが、遮断時期は入力手段の入力
上昇速度によって変化することはない。しかし、この作
動時には、所定圧に蓄圧されているアキュムレータの高
液圧がアクチュエータに導入されるので、アクチュエー
タの液圧は急速に上昇し、アクチュエータは迅速に作動
するようになる。
【0018】このように、請求項3の液圧システムにお
いても、入力手段のストロークが大幅に短縮され、超シ
ョートストロークとなり、しかも、応答性が向上する。
【0019】更に、請求項4の発明では、入力手段の作
動時、開閉手段によって前記液圧発生シリンダとアクチ
ュエータとが遮断されるが、遮断時期は入力手段の入力
上昇速度によって変化することはない。入力手段の入力
上昇速度が設定速度以下の通常作動時には、作動液供給
手段からの作動液がアクチュエータに供給されるので、
アクチュエータの液圧は比較的低い通常速度で上昇す
る。また、入力手段の入力上昇速度が設定速度より高い
の高速作動時には、所定圧に蓄圧されているアキュムレ
ータの高液圧がアクチュエータに導入されるので、アク
チュエータの液圧は急速に上昇し、アクチュエータは迅
速に作動するようになる。
【0020】このように、請求項4の液圧システムにお
いても、入力手段のストロークが大幅に短縮され、超シ
ョートストロークとなり、しかも、入力手段の入力上昇
速度が設定速度以下の時は、アクチュエータは通常の速
度で作動するとともに、入力手段の入力上昇速度が設定
速度より高い時は、アクチュエータは迅速に作動し、応
答性が向上する。一方、本発明のブレーキシステムにお
いては、このような液圧システムを用いているので、ブ
レーキペダルのストロークが超ショートストロークとな
る。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明の実施
の形態について説明する。図1および図2は、それぞれ
本発明に係るブレーキシステムにおける基本的な原理を
説明する図である。なお、図1および図2において、同
じ構成要素には同じ符号を付してある。
【0022】まず、本発明のブレーキシステム1の第1
原理について説明する。図1に示すように、このブレー
キシステム1は、前述の図8に示す従来のブレーキシス
テムaと同様に、本発明の入力手段に相当するブレーキ
ペダル2、本発明の液圧発生手段に相当するタンデム型
のMCY3、ブレーキ液を貯留するリザーバ4、MCY
3とリザーバ4との間のブレーキ液給排通路5,6、第
1および第2ブレーキ系統の液圧給排通路7,8、本発
明のアクチュエータに相当する第1および第2ブレーキ
系統のWCY9,10;11,12を備えている。MCY
3は従来のMCYcと同じものであり、この従来のMC
Ycと同様のプライマリおよびセカンダリピストン3
a,3b、リターンスプリング3c,3d、第1および第
2ブレーキ系統の液圧室3e,3fを備えており、給排
通路5および第1ブレーキ系統の液圧給排通路7がプラ
イマリ液圧室3eに連通しており、給排通路6および第
2ブレーキ系統の液圧給排通路8がセカンダリ液圧室3
fに連通している。
【0023】また、本発明のブレーキシステム1は、モ
ータ13で駆動されポンプ14(本発明の作動液供給手
段に相当)によってチェックバルブ15を介して吸い込
まれたリザーバ4のブレーキ液がそれぞれブレーキ液供
給通路17,18を介して液圧給排通路7,8およびWC
Y9,10,11,12に供給され、WCY9,10,11,
12にブレーキ液圧が発生されるようになっている。そ
の場合、WCY9,10,11,12のブレーキ液圧Pは
ブレーキ液圧制御装置16(本発明の液圧制御手段に相
当)によって、後述するようにペダル踏力に応じて制御
されるようになっている。
【0024】更に、ブレーキ液給排通路5,6には、そ
れぞれ開位置と閉位置とが設定された電磁開閉弁19,
20(本発明の開閉手段に相当)が設けられており、こ
れらの電磁開閉弁19,20は、ともに非作動時には図
示の開位置に設定される常開の開閉弁とされている。
【0025】そして、ブレーキ液圧制御装置16、電磁
開閉弁19,20、およびポンプ14を駆動するモータ
13は、ともに中央処理装置であるコントローラ21に
よって作動制御されるようになっている。
【0026】更に、ペダル踏力検出手段22によってペ
ダル踏力が検出されるとともに、ブレーキ液圧検出手段
23によって、ブレーキ液圧制御装置16で制御された
ブレーキ液圧Pが検出され、検出されたペダル踏力およ
びブレーキ液圧がともにコントローラ21に入力される
ようになっている。そして、コントローラ21は、これ
らのペダル踏力とブレーキ液圧とに基づいて、ブレーキ
液圧Pが予め設定されたペダル踏力−ブレーキ液圧の関
係にしたがってそのペダル踏力に対応する液圧となるよ
うにブレーキ液圧制御装置16を作動制御し、ブレーキ
液圧制御装置16はブレーキ液圧Pをこのペダル踏力に
対応する液圧に制御する。
【0027】ペダル踏力検出としては、ブレーキペダル
2に加えられるペダル踏力α自体の検出、ブレーキレバ
ーの撓みβの検出、ブレーキレバー枢支点での反力γの
検出、ブレーキレバー枢支点でのモーメントδの検出、
ブレーキレバーとMCY3のピストンとを連結するロッ
ドにブレーキレバーが加える押圧力εの検出、およびこ
のロッドの軸力ζの検出がある。これらの検出を行うセ
ンサとしては、踏力荷重センサ、ロードセル、圧電素子
等がある。そして、これらの撓みβ、反力γ、モーメン
トδ、押圧力εおよび軸力ζは、いずれもペダル踏力と
に所定の関係があって、直接的ではないがペダル踏力を
示していることになるので、ペダル踏力αそのものに代
えて、これらの値をペダル踏力として用いることが可能
である。
【0028】しかし、ブレーキペダル2の摺動抵抗およ
びMCY3のピストン等の摺動抵抗等により、ペダル踏
力とMCY圧との関係が作動時と戻り時とでヒステリシ
スを生じるため、ペダル踏力と減速度(ブレーキ液圧)
との関係が直線的でないため、例えば、MCY圧を検出
して、そのMCY圧に基づいてブレーキ液圧制御しよう
とすると、ペダル踏力に対するブレーキ液圧のリニアな
制御が行うことができない。そこで、ペダル踏力をブレ
ーキペダル2またはブレーキペダル2にできるだけ近い
ところで検出するのが、ブレーキ液圧のよりリニアに近
い制御を行うために望ましい。一方、ブレーキ液圧検出
としては、ブレーキ液供給通路17,18のいずれか一
方のブレーキ液圧の検出または両方のブレーキ液圧の検
出がある。
【0029】また、予め設定されたペダル踏力−ブレー
キ液圧の関係は、
【0030】
【数1】 P > (ε−Fspg)/A で与えられる。ここで、εはペダル踏力に関係した前述
の押圧力、Pはブレーキ液圧、Fspgはプライマリピス
トンを付勢するリターンスプリングのばね力、およびA
はプライマリピストンの有効受圧面積である。なお、プ
ライマリピストンおよびセカンダリピストンは、このブ
レーキシステム1に相当する従来のブレーキシステムに
使用されているMCYの各ピストンと同じ有効受圧面積
に設定されている。
【0031】このように構成されたブレーキシステム1
において、ブレーキペダル2が踏み込まれると、そのペ
ダル踏力がペダル踏力検出手段22によって検出されて
コントローラ21に入力される。コントローラ21は、
ペダル踏力検出信号が入力されるとすぐに電磁開閉弁1
9,20を閉じるとともに、モータ13を駆動してポン
プ14を運転し、更にブレーキ液圧制御装置16を作動
する。
【0032】すると、MCY3とリザーバ4とが遮断さ
れて、電磁開閉弁19,20より先のブレーキ系(WC
Y側のブレーキ系)が密閉状態となるとともに、この密
閉状態のブレーキ系に、ポンプ14から吐出されたブレ
ーキ液がブレーキ液供給通路17,18を介して供給さ
れる。このブレーキ液により、密閉状態のブレーキ系の
アイドルストロークが吸収された後、WCY9,10,1
1,12にブレーキ液圧Pが発生する。このブレーキ液
圧Pはブレーキ液圧検出手段23によって検出されてコ
ントローラ21に入力される。そして、コントローラ2
1は、ペダル踏力とブレーキ液圧Pとに基づいて、ブレ
ーキ液圧Pが前述の数式1を満足する液圧となるように
ブレーキ液圧制御装置16を作動制御し、このブレーキ
液圧制御装置16はブレーキ液圧Pを数式1を満足する
液圧に制御する。
【0033】密閉状態のブレーキ系に発生されかつ前述
のように制御されたブレーキ液圧Pによって、WCY
9,10,11,12が作動し、ブレーキがかけられる。
また、ブレーキ液圧PがMCY3のプライマリピストン
に作用するが、このとき、ブレーキ液圧Pは数式1を満
足しているので、ブレーキレバーによるプライマリピス
トンの押圧力εより、この押圧力εに対抗するプライマ
リピストンに作用する力の方が大きくなる。したがっ
て、プライマリピストンはほとんど前進しなく、ブレー
キペダル2のペダルストロークはほぼ0に近いきわめて
短いストロークとなる。こうして、従来の一般的なペダ
ルストロークの60〜80mmに比べてはるかに短いほ
ぼ0ないし約15mm程度の超ショートストロークのペ
ダルストロークが得られるようになる。このとき、WC
Y9,10,11,12のアイドルストロークは、ブレー
キ液供給通路17,18から液圧給排通路7,8に導入さ
れるブレーキ液により吸収される。
【0034】このブレーキシステム1の各特性は次のよ
うになる。すなわち、図2(a)に示すようにペダルス
トロークとペダル踏力との関係は、ペダルストロークの
微増に対して、ペダル踏力は急増するような急勾配のリ
ニア特性となる。また、同図(b)に示すようにペダル
ストロークと減速度(つまり、ブレーキ液圧)との関係
は、同様にペダルストロークの微増に対して、減速度
(ブレーキ液圧)は急増するような急勾配のリニア特性
となる。同図(c)に示すようにペダルスト踏力と減速
度(ブレーキ液圧)との関係は、ペダルストロークの増
大に対して、減速度(ブレーキ液圧)はほぼ同じように
増大する45゜またはこの45゜に近いリニア特性とな
る。
【0035】実際に実験した結果、図2(a)ないし
(c)に示す特性では、ペダル踏力の増減に応じて減速
度(ブレーキ液圧)が素直に応答し、良い運転フィーリ
ングが得られる。しかし、ペダルストロークがまったく
ないと、運転フィーリングが素直過ぎて味気なくなって
高級感がなく、何か物足りない感じになってしまう。
【0036】そこで、図2(d)ないし(e)に示すよ
うに、最初、所定のペダル踏力および所定の減速度にな
るまでは、ペダルストロークの増大に対してペダル踏力
および減速度を従来と同程度に増大させ、その後、同図
(a)ないし(c)に示すようにペダルストロークの微
増に対してペダル踏力および減速度が急増するようにす
る。このとき、ペダル踏力および減速度の急増開始の折
れ点までのペダルストロークは、あまり短いと前述のよ
うに物足りなさが出てきてしまい、またあまり長いとこ
の折れ点が図りやすくなって運転に違和感を生じてしま
うので、折れ点までのペダルストロークは、7mmない
し15mm程度が望ましい。しかし、これに限定される
ものではなく、ほぼ0mmから15mmを超えてもよ
い。また、このように折れ点を設けても、同図(f)に
示すようにペダル踏力と減速度(ブレーキ液圧)との関
係は折れ点のないリニヤの関係になるようにペダル踏力
に対してブレーキ液圧を制御するようにする。このよう
に、図2(d)ないし(f)の特性にすると、図2
(a)ないし(c)の特性に比べてより高級感のあるよ
り良い運転フィーリングが得られる。
【0037】なお、図1では電磁開閉弁19,20をM
CY3のリザーバ4側に設けた場合を示しているが、図
1に点線で示すようにこれらの電磁開閉弁19,20は
MCY3のWCY側でブレーキ液圧通路17,18との
合流点よりMCY3側の液圧給排通路7,8に設けるこ
ともできる。この場合には、MCY3とリザーバ4とが
作動時に遮断されないので、MCY3の各ピストン3
a,3bのシール部が作動時にブレーキ液給排通路5,6
の開口を通過する必要があるため、ペダルストロークが
前述の場合と比べて若干大きくなる。しかし、MCY3
の各ピストン3a,3bのシール部がブレーキ液給排通
路5,6の開口を通過した時点でMCY3の液圧室3e,
3fおよびこの液圧室3e,3fから電磁開閉弁19,2
0までの間の通路が密閉状態となるので、液圧室3e,
3fの圧力が急上昇して、これらの圧力がそれぞれMC
Y3の各ピストン3a,3bに作用するため、各ピスト
ン3a,3bの前進が抑止され、ペダルストロークは同
様に従来に比べてはるかに短い超ショートストロークと
なる。したがって、この場合のブレーキシステム1で
も、ほぼ図2(d)ないし(f)と同様の特性が得られ
る。
【0038】また、この場合は、ペダル踏力の検出とし
て、前述のような電磁開閉弁19,20をMCY3のリ
ザーバ4側に設けた場合に加えて、MCY3が発生する
MCY圧P′の検出がある。このMCY圧P′もペダル
踏力とに所定の関係があって、直接的ではないがペダル
踏力を示している。前述のように、ペダル踏力とMCY
圧との間にヒステリシスがあるため、ペダル踏力に対し
てブレーキ液圧の完全なリニアな制御はできないが、し
かし、通常のブレーキ制御を行うためには、このように
MCY圧をペダル踏力として用いても何ら問題はない。
【0039】次に、本発明のブレーキシステムの第2原
理について説明する。前述の第1原理のブレーキシステ
ム1においては、MCYの各ピストン3a,3bの有効
受圧面積が従来と同じに設定されているとしているが、
この第2原理では、MCY3の各ピストン3a,3bの
有効受圧面積を、従来のMCYの各ピストンの有効受圧
面積より、大きく設定している。すなわち、
【0040】
【数2】 A > (ε−Fspg)/P = A′ となるように設定している。この数式2において、押圧
力ε、リターンスプリングのばね力Fspgおよびブレー
キ液圧Pは通常のブレーキシステムにおいて従来から設
定されているもので、従来のMCYのピストンの有効受
圧面積A′はこれらに基づいて設定されている。この第
2原理のブレーキシステム1の他の構成、他の作用効果
は図1に示すブレーキシステム1と同じである。
【0041】このように、MCY3の各ピストン3a,
3bの有効受圧面積を従来のMCYのピストンの有効受
圧面積A′より大きくすることにより、ブレーキ液圧が
ピストンに作用することで生じる反力を従来のブレーキ
システムに比べて大きくして、ブレーキ踏力に対してブ
レーキ液圧が必要以上に大きく上昇するのを抑制し、ブ
レーキシステム1の耐久性を向上している。
【0042】したがって、この場合のブレーキシステム
1も、ほぼ図2(d)ないし(f)に示す特性を有する
ようになるが、ブレーキ液圧が若干低くなることから、
図2(e)において直線の勾配がペダルストローク側に
傾いて若干緩やかになるとともに、図2(f)において
直線の勾配がペダル踏力側に傾いて若干緩やかになる。
【0043】次に、このような原理に基づいた本発明に
係るブレーキシステムの実施の形態の具体的な例につい
て説明する。図3は、本発明に係るブレーキシステムの
実施の形態の第1例を模式的に示す図である。なお、図
1に示すブレーキシステムと同じ構成要素には同じ符号
を付して、その詳細な説明は省略する。以後の各例のブ
レーキシステムにおいても、それより前に示されている
例に用いられている符号については同様である。
【0044】図3に示すように、この第1例のブレーキ
システム1は、図1に示す第1原理に従ったブレーキシ
ステム1であり、電磁開閉弁19,20がそれぞれ図1
に点線で示すと同様に液圧給排通路7,8に設けられて
いる。
【0045】また、この第1例のブレーキシステム1で
は、ブレーキ液圧制御装置16が、第1および第2ブレ
ーキ系統にそれぞれ2個ずつ計4個の常閉の電磁開閉弁
26,27;28,29により構成されている。その場
合、電磁開閉弁26,28は、それぞれ、ブレーキ液供
給通路17,18に設けられているとともに、電磁開閉
弁27,29は、それぞれ、WCY9,10;11,12と
リザーバ4とを接続する戻し通路30,31に設けられ
ている。
【0046】更に、ペダル踏力検出手段22として、1
個の液圧センサ22aがMCY3と電磁開閉弁19,2
0との間の液圧給排通路7に設けられている。この液圧
センサ22aは、第1ブレーキ系統のMCY圧を検出す
るようになっている。また、ブレーキ液圧検出手段23
として、2個の液圧センサ23a,23bがそれぞれブ
レーキ液供給通路17,18の合流点よりWCY側に設
けられている。
【0047】図3にはコントローラ21およびポンプ1
4a,14bを駆動するモータ13が示されていない
が、この第1例のブレーキシステム1は図1に示す場合
と同様にコントローラ21およびモータ13を備えてお
り、モータ13、各電磁開閉弁19,20,26,27,2
8,29および各液圧センサ22a,23a,23bはい
ずれもコントローラ21に接続されている。そして、コ
ントローラ21は各液圧センサ22a,23a,23bで
検出された液圧に基づいて、モータ13および各電磁開
閉弁19,20,26,27,28,29を、ブレーキ液圧
が予め設定されたペダル踏力−ブレーキ液圧の関係にし
たがってそのペダル踏力に対応する液圧となるように制
御する。
【0048】このとき、この第1例のブレーキシステム
では、ブレーキペダル2の踏込み時の電磁開閉弁19,
20の閉制御は次のように設定されている。すなわち、
コントローラ21は、液圧センサ22aからのMCY圧
検出値に基づいてMCY圧の上昇速度(つまり、ペダル
踏力の上昇速度;本発明の入力上昇速度に相当する)を
求め、この上昇速度に応じて常開の電磁開閉弁19,2
0を閉にする時期を変えるようにしている。その具体的
な方法として、上昇速度が高いほど電磁開閉弁19,2
0の閉時期を遅らせるようにしている。
【0049】このように、電磁開閉弁19,20の閉時
期を変えた場合には、各液圧センサ22a,23a,23
bで検出される各液圧は、図4に示すように変化するよ
うになる。具体的に説明すると、まず、通常ブレーキ時
等の設定速度以下の通常速度でのブレーキペダル2の踏
込みでは、図4において点線で示すようにペダル踏力a
が通常の速度で上昇し、MCY圧PMCYも通常の速度で
上昇する。これに伴い、コントローラ21は、電磁開閉
弁19,20を比較的早い時期に、すなわちペダル踏込
み後同図に示す時間t1で閉じる。これにより、電磁開
閉弁19,20に関してMCY側とWCY側とが比較的
早く遮断され、以後、WCY9,10,11,12のWC
Y圧PWCY1,PWCY2(つまり、ブレーキ液圧)はポンプ
14a,14bからの吐出圧によって上昇するが、MC
Y圧PMCYによっては上昇しない。このため、WCY圧
WCY1,PWCY2は同図に示すように通常の速度で上昇す
るようになり、最終的にこれらのWCY圧PWCY1,P
WCY2は通常の時間で最大圧となる。
【0050】一方、緊急ブレーキ等の設定速度より高い
高速度でのブレーキペダル2の急踏込みでは、同図にお
いて実線で示すようにペダル踏力aが比較的高い速度で
上昇し、MCY圧PMCYも通常ブレーキの場合より急速
に上昇する。これに伴い、コントローラ21は電磁開閉
弁19,20を前述の通常ブレーキの場合よりは遅く、
すなわち同図に示す時間t2(t2>t1)で閉じる。こ
の時間t2では、MCY圧PMCYがほぼ最大圧にサチュレ
ートした状態となっており、したがって、この例のブレ
ーキシステム1では電磁開閉弁19,20を、MCY圧
が最大圧にサチュレートしたときに閉じるようになって
いる。
【0051】これらの電磁開閉弁19,20の閉によ
り、電磁開閉弁19,20に関してMCY側とWCY側
とが通常ブレーキの場合よりは遅く遮断され、WCY
9,10,11,12のWCY圧PWCY1,PWCY2は比較的遅
くまでMCY圧とポンプ14a,14bからの吐出圧と
によって上昇するようになる。このため、WCY圧P
WCY1,PWCY2は同図に実線で示すように急速に上昇する
ようになる。電磁開閉弁19,20の閉後は、前述の通
常ブレーキの場合と同様にWCY圧PWCY1,PWCY2はポ
ンプ14a,14bからの吐出圧のみによって上昇す
る。しかし、このときは、WCY圧PWCY1,PWCY2は同
図に示すように既に比較的高くなっているため、最終的
にこれらのWCY圧PWCY1,PWCY2は比較的早い時間で
最大圧となる。
【0052】なお、WCY圧が後輪ブレーキ側の第2ブ
レーキ系統が前輪ブレーキ側の第1ブレーキ系統より低
いのは、ロックし易い後輪ブレーキが早期にロックする
のを防止するためである。この第1例のブレーキシステ
ム1の他の構成は図1に示すブレーキシステム1と同じ
である。
【0053】このように構成された第1例のブレーキシ
ステム1においては、ブレーキ非操作時は、常開の電磁
開閉弁19,20は図示の開位置に、常閉の電磁開閉弁
26,27,28,29は図示の閉位置にそれぞれ設定さ
れている。
【0054】ブレーキペダル2が通常速度で踏み込まれ
て通常ブレーキ操作が行われ、MCY3がMCY圧を発
生すると、このMCY圧を液圧センサ22aが検出して
ブレーキペダル踏込み信号としてコントローラ21へ出
力する。コントローラ21は常閉の電磁開閉弁26,2
8を開き、更にモータ13を駆動してポンプ14a,1
4bを運転する。すると、ポンプ14a,14bによっ
てリザーバ4のブレーキ液が電磁開閉弁26,28およ
びブレーキ液供給通路17,18を介して、WCY9,1
0,11,12側の液圧給排通路7,8にそれぞれ送給さ
れる。
【0055】また、コントローラ21はペダル踏込み
後、図4に示す比較的早い時間t1で前述の第1原理で
説明したように常開の電磁開閉弁19,20をともに閉
じる。これにより、ポンプ14a,14bから吐出され
たブレーキ液はMCY3およびリザーバ4の方へ漏出し
ないので、この液圧給排通路7,8の液圧、つまりポン
プ吐出圧がブレーキ液圧として電磁開閉弁19,20よ
りWCY9,10,11,12側の液圧給排通路7,8に導
入される。これにより、ブレーキ液圧がWCY9,10,
11,12に導入され、ブレーキが作動する。
【0056】このとき、コントローラ21は、液圧セン
サ22aで検出されたMCY圧から換算したペダル踏力
と液圧センサ23a,23bで検出されたブレーキ液圧
とに基づいて、ペダル踏力−ブレーキ液圧のリニアな関
係にしたがってブレーキ液圧を制御する。具体的には、
そのときのペダル踏力に対するブレーキ液圧が、ペダル
踏力−ブレーキ液圧の関係にしたがった値より大きくな
ると、常閉の電磁開閉弁27,29を開いてブレーキ液
圧をリザーバ4に逃して前述の関係にしたがう値となる
ように低下する。ブレーキ液圧が前述の関係にしたがう
値より低くなると、再び常閉の電磁開閉弁27,29を
閉じてブレーキ液圧を前述の関係にしたがう値となるよ
うに上昇する。その場合、前述のようにコントローラ2
1は比較的早く電磁開閉弁19,20を閉じるので、W
CY圧はその大部分がポンプ吐出圧のみによる通常の速
度で上昇するようになる。このときペダル踏力−ブレー
キ液圧のリニアな関係は維持され、くずれることはな
い。
【0057】そして、この通常ブレーキ作動時のペダル
ストロークは、前述の第1原理で説明したようにほぼ0
ないし約15mm程度のきわめて短いストロークとな
る。すなわち、このブレーキシステム1の各特性は、図
2(d)ないし(f)とほぼ同じ特性となる。
【0058】ブレーキペダル2を解放すると、ブレーキ
ペダル2、MCY3の各ピストン3a,3bが非作動位
置に戻る。MCY3の各ピストン3a,3bも図示の非
作動位置に戻るので、MCY3の各液圧室3e,3fが
リザーバ4に連通し、MCY圧が消滅する。すると、コ
ントローラ21はペダル踏力が0と判断して、電磁開閉
弁19,20を開くとともに、モータ13つまりポンプ
14を停止し、更に電磁開閉弁26,27,28,29を
閉じて、図示の非作動状態にする。これにより、WCY
9,10,11,12の圧液が液圧給排通路7,8、MCY
3およびブレーキ液給排通路5,6を通ってリザーバ4
に排出されてブレーキ液圧が消滅し、通常ブレーキが解
除される。
【0059】一方、ブレーキペダル2が急速に踏み込ま
れて、例えば緊急ブレーキ操作が行われると、まず前述
の通常ブレーキの場合と同様にコントローラ21は電磁
開閉弁26,28を開くとともに、モータ13を駆動し
てポンプ14a,14bを運転する。ポンプ14a,14
bによってリザーバ4のブレーキ液が電磁開閉弁19,
20よりWCY9,10,11,12側の液圧給排通路7,
8にそれぞれ送給される。
【0060】また、コントローラ21はペダル踏込み
後、図4に示す比較的遅い時間t2で電磁開閉弁19,2
0をともに閉じる。この遅い時間t2で電磁開閉弁19,
20が閉じるまでの間、前述のようにWCY圧はMCY
圧とポンプ吐出圧とにより急速に上昇するようになる。
これにより、このブレーキペダル2の急踏込みでも、ペ
ダル踏力−ブレーキ液圧のリニアな関係は確保され、く
ずれることはなく、緊急ブレーキが遅れずに確実に作動
するようになる。なお、このブレーキペダル2の急踏み
込みでは、電磁開閉弁19,20の閉時期が遅いことか
ら、ペダルストロークは通常の場合より若干大きくなる
が、しかし、従来のブレーキシステムの場合に比べる
と、大幅に短縮されることは言うまでもない。
【0061】モータ13、ポンプ14あるいはコントロ
ーラ21が故障した場合は、各電磁開閉弁19,20,2
6,27,28,29が図示の状態に保持されたままとな
る。したがって、この場合には、ブレーキペダル2を踏
み込むとMCY3が作動してMCY圧が発生し、従来の
ブレーキシステムと同様にこのMCY圧がブレーキ液圧
としてWCY9,10,11,12に導入されてブレーキ
が作動する。この場合には、ペダルストロークは従来の
ブレーキシステムでのペダルストロークと同じになり、
短縮されない。
【0062】このように、この第1例のブレーキシステ
ム1によれば、超ショートストロークのペダルストロー
クが得られるようになる。また、ブレーキペダル2の急
踏み込み時には、ブレーキ液圧の上昇をMCY圧によっ
て、このブレーキ液圧が比較的高圧に上昇するまで行う
ことができるので、ブレーキ液圧の上昇遅れをなくすこ
とができる。したがって、ブレーキペダル2の急踏み込
み時にも、ペダル踏力と車両減速度の直線性を確保でき
る。
【0063】なお、この第1例のブレーキシステム1で
は、ブレーキペダル2の急踏み込み時には、電磁開閉弁
19,20をMCY圧が最大圧にサチュレートしたとき
に閉じるようにしているが、必ずしもこれに限定される
ことはなく、通常ブレーキの場合より遅くして、MCY
圧をより長くWCY9,10,11,12に導入するよう
にしさえすればよい。
【0064】また、第1例のブレーキシステム1では、
ペダル踏力としてMCY圧を検出し用いているが、この
ペダル踏力としては、他に第1原理で説明したようにブ
レーキペダル2に加えられるペダル踏力そのもの等を始
め、第1原理で述べた種々のものを使用することができ
る。
【0065】更に、本発明の入力上昇速度としては、前
述のMCY圧の上昇速度の他に、ペダル踏力自体の上昇
速度、ブレーキペダル2のストローク速度等の、入力手
段の入力に関係するものの上昇速度であれば、どのよう
なものでも用いることができる。
【0066】更に、第1例のブレーキシステム1では、
一方のブレーキ系統の液圧給排通路7に、この一方のブ
レーキ系統のMCY圧を検出する液圧センサ22aのみ
を設けているが、他方のブレーキ系統の液圧給排通路7
にも、この他方のブレーキ系統のMCY圧を検出する液
圧センサを設けて、両系統のMCY圧の上昇速度を用い
るようにすることもできる。
【0067】更に、ポンプ14a,14bで吸い込まれ
るブレーキ液を貯留するリザーバをMCY3のリザーバ
4と共用にしているが、このリザーバはMCY3のリザ
ーバ4と別個に設けることもできる。
【0068】図5は本発明の実施の形態の第2例を示す
図である。図5に示すように、この第2例のブレーキシ
ステム1は、図3に示す第1例のブレーキシステム1に
対して、MCY3がピストン3a、リターンスプリング
3cおよび液圧室3eからなるシングル型のMCYとな
っている。したがって、MCY3の液圧室3eには、一
方のブレーキ系統の液圧給排通路7が接続されていると
ともに、この液圧給排通路7に、他方のブレーキ系統の
液圧給排通路8が接続されている。その場合、電磁開閉
弁19は液圧給排通路8との接続点とブレーキ液供給通
路17との合流点との間の液圧給排通路7に設けられて
いる。
【0069】更に、ペダル踏力検出手段22として、1
個の液圧センサ22aがMCY3と電磁開閉弁19,2
0との間で、両液圧給排通路7,8の接続点に設けられ
ている。また、2個の液圧センサ23a,23bがそれ
ぞれ液圧給排通路7,8とブレーキ液供給通路17,18
との合流点に設けられている。
【0070】更に、ブレーキ液供給通路17には、ポン
プ14aと常閉の電磁開閉弁26との間に位置して、チ
ェックバルブ32および所定圧を蓄えるアキュムーレー
タ33がポンプ14a側からこれらの順に設けられてい
るとともに、このアキュムーレータ33の液圧を検出す
る液圧センサ34が設けられている。同様にして、ブレ
ーキ液供給通路18にも、ポンプ14bと常閉の電磁開
閉弁28との間に位置して、チェックバルブ35,アキ
ュムーレータ36およびアキュムーレータ36の液圧を
検出する液圧センサ37がそれぞれ設けられている。こ
れらの液圧センサ34,37も同様にコントローラ21
に接続されている。
【0071】そして、コントローラ21は液圧センサ3
4,37でそれぞれ検出されたアキュムレータ33,36
の蓄圧に基づいて、この蓄圧が所定圧より低いときはモ
ータ13を駆動してポンプ14a,14bを運転し、ア
キュムレータ33,36の蓄圧を所定圧になるまで昇圧
し、アキュムレータ33,36の蓄圧が所定圧になった
らモータ13を停止してポンプ14a,14bによるア
キュムレータ33,36の昇圧を停止するようにして、
アキュムレータ33,36の蓄圧制御を行う。その場
合、1つのモータ13で2つのポンプ14a,14bを
運転するときは、低蓄圧の方のアキュムレータ33,3
6のうち、蓄圧が低い方のアキュムレータの蓄圧が所定
圧になるまでモータ13を駆動制御し、また、ポンプ1
4a,14bをそれぞれ個別のモータで個別に運転する
ときは、アキュムレータ33,34の蓄圧制御を独立し
て行うようにする。
【0072】また、コントローラ21は、前述の第1例
のようにペダル踏力あるいはMCY圧の上昇速度に応じ
て各電磁開閉弁19,20の閉作動を制御しなく、MC
Y圧の発生を検出してブレーキペダル2の踏み込みが行
われたことを判断したとき、各電磁開閉弁19,20の
閉じるようにしている。
【0073】更に、コントローラ21は各液圧センサ2
2a,23a,23bで検出された液圧に基づいて、各電
磁開閉弁26,27,28,29を、ブレーキ液圧が予め
設定されたペダル踏力−ブレーキ液圧の関係にしたがっ
てそのペダル踏力に対応する液圧となるように制御す
る。この第2例のブレーキシステム1の他の構成は図1
に示すブレーキシステム1と同じである。
【0074】このように構成された第2例のブレーキシ
ステムにおいては、ブレーキ非操作時は、常開の電磁開
閉弁19,20は図示の開位置に、常閉の電磁開閉弁2
6,27,28,29は図示の閉位置にそれぞれ設定され
ている。また、両アキュムレータ33,36には所定圧
が蓄圧されている。
【0075】ブレーキペダル2が踏み込まれてブレーキ
操作が行われ、MCY3がMCY圧を発生すると、この
MCY圧を液圧センサ22aが検出してコントローラ2
1へ出力する。コントローラ21は前述の第1原理で説
明したように常開の電磁開閉弁19,20をともに閉じ
るとともに、常閉の電磁開閉弁26,28を開く。する
と、MCY3とWCY9,10,11,12とが遮断され
るとともに、アキュムレータ33,36の圧液が電磁開
閉弁26,28およびブレーキ液供給通路17,18を介
して、電磁開閉弁19,20よりWCY9,10,11,1
2側の液圧給排通路7,8にそれぞれ送給される。この
とき、電磁開閉弁19,20が閉じられていて、ブレー
キ液はMCY3およびリザーバ4の方へ漏出されないの
で、この液圧給排通路7,8の液圧が上昇する。しか
も、アキュムレータ33,36に予め所定圧が蓄圧され
ているので、液圧給排通路7,8の液圧が急速に上昇す
るようになる。これにより、この液圧がブレーキ液圧と
してWCY9,10,11,12に導入され、ブレーキが
遅れることなく迅速に作動する。
【0076】また、コントローラ21は、液圧センサ2
2aで検出されたMCY圧から換算したペダル踏力と液
圧センサ23a,23bで検出されたブレーキ液圧とに
基づいて、前述の数式1を満足するように予め設定され
ている、ペダル踏力−ブレーキ液圧の関係にしたがって
ブレーキ液圧を制御する。具体的には、そのときのペダ
ル踏力に対するブレーキ液圧が、ペダル踏力−ブレーキ
液圧の関係にしたがった値より大きくなると、常閉の電
磁開閉弁27,29を開いてブレーキ液圧をリザーバ4
に逃して前述の関係にしたがう値となるように低下す
る。ブレーキ液圧が前述の関係にしたがう値より低くな
ると、再び常閉の電磁開閉弁27,29を閉じてブレー
キ液圧を前述の関係に従う値となるように上昇する。
【0077】一方、このブレーキ作動時のペダルストロ
ークは、ブレーキ液圧が数式1を満足するように制御さ
れるので、前述の第1原理で説明したようにほぼ0ない
し約15mm程度のきわめて短いストロークとなる。す
なわち、このブレーキシステム1の各特性は、図2
(d)ないし(f)とほぼ同じ特性となる。
【0078】ブレーキペダル2を解放すると、ブレーキ
ペダル2およびMCY3のピストン3aが図示の非作動
位置に戻るので、MCY3の液圧室3eがブレーキ液給
排通路5を介してリザーバ4に連通し、MCY圧が消滅
する。すると、コントローラ21は液圧センサ22aの
検出圧に基づいてペダル踏力が0と判断して、電磁開閉
弁19,20を開くとともに、電磁開閉弁26,27,2
8,29を閉じて、図示の非作動状態にする。これによ
り、WCY9,10,11,12の圧液が液圧給排通路7,
8、MCY3およびブレーキ液給排通路5を通ってリザ
ーバ4に排出されてブレーキ液圧が消滅し、ブレーキが
解除される。
【0079】このように、この第2例のブレーキシステ
ム1によれば、超ショートストロークのペダルストロー
クが得られるようになる。また、ブレーキペダル2の踏
込み操作でポンプ14a,14bを運転開始するように
した場合に比べて、アキュムレータ33,36に予め蓄
圧された液圧をWCY9,10,11,12に導入するよ
うにしているので、WCY9,10,11,12のWCY
圧を急上昇させることができ、ブレーキを迅速に作動さ
せることができる。特に、ブレーキペダル2の急踏込み
時にも、ブレーキ液圧が急上昇するようになるので、ブ
レーキ液圧上昇遅れを防止でき、迅速にブレーキを作動
させることができる。これにより、ブレーキシステム1
の応答性が向上する。この第2例のブレーキシステム1
の他の作用効果は、第1例と同じである。
【0080】なお、この第2例のブレーキシステム1で
は、ペダル踏力としてMCY圧を検出し用いているが、
このペダル踏力としては、他に第1原理で説明したよう
にブレーキペダル2に加えられるペダル踏力そのもの等
を始め、第1原理で述べた種々のものを使用することが
できる。
【0081】図6は本発明の実施の形態の第3例を示す
図である。前述の図5に示す第4例のブレーキシステム
1では、ブレーキペダル2の踏み込みによるブレーキ操
作が行われると、電磁開閉弁26,28が開いて、通常
のペダル踏込あるいは急速なペダル踏込等のブレーキ操
作状況に関係なく、アキュムレータ33,36の蓄圧が
液圧給排通路7,8に導入されてWCY圧(つまり、ブ
レーキ液圧)が迅速に上昇するようにされているのに対
し、この第3例のブレーキシステム1では、通常のペダ
ル踏込による通常ブレーキ時にはWCY圧が通常の速度
で上昇し、急速なペダル踏込等によるWCY圧の急上昇
要求時にはWCY圧が急速に上昇するようにされてい
る。
【0082】すなわち、図6に示すように、この第3例
のブレーキシステム1では、ポンプ14a,14bの吐
出側を、電磁開閉弁26,28をバイパスして液圧給排
通路7,8に接続するバイパス通路17′,18′がそれ
ぞれ設けられており、これらのバイパス通路17′,1
8′に、チェックバルブ32,35、アキュムレータ3
3,36、ブレーキ液圧制御手段16に設けられ、電磁
開閉弁26,28とは別の常閉の電磁開閉弁38,39、
および液圧センサ34,35がそれぞれ配設されてい
る。常閉の電磁開閉弁38,39はともにコントローラ
21に接続されており、コントローラ21はWCY圧の
急上昇が要求されたときにこれらの電磁開閉弁38,3
9を開くようにしている。この第3例のブレーキシステ
ム1の他の構成は図5に示す第2例のブレーキシステム
1と同じである。
【0083】このように構成された第3例のブレーキシ
ステム1においては、両アキュムレータ33,36のい
ずれかに所定圧が蓄圧されていないときは、コントロー
ラ21は少なくとも所定圧が蓄圧されていない側のポン
プを駆動し、そのアキュムレータに所定圧を蓄圧する。
また、両アキュムレータ33,36にともに所定圧が蓄
圧されているときは、コントローラ21はポンプ14
a,14bを停止する。
【0084】通常のペダル踏込による通常ブレーキ操作
が行われてMCY圧を発生したとき、コントローラ21
はこのMCY圧の上昇速度が通常の上昇速度であると判
断すると、電磁開閉弁19,20をともに閉じるととも
に、ポンプ14a,14bを駆動し、更に常閉の電磁開
閉弁26,28を開く。これにより、ポンプ14a,14
bから吐出されたブレーキ液が液圧給排通路7,8に供
給され、WCY圧が上昇し、通常ブレーキが作動する。
このとき、WCY圧の上昇速度は、前述の第1例のブレ
ーキシステム1の通常ブレーキ時と同様に比較的ゆっく
りとした通常の速度となる。
【0085】ブレーキペダル2を解放すると、前述の第
1および第2例と同様に、電磁開閉弁19,20を開く
とともに、ポンプ14a,14bを停止し、更に常閉の
電磁開閉弁26,28を閉じる。これにより、WCY9,
10,11,12のブレーキ液が電磁開閉弁19,20、
MCY3およびブレーキ液給排通路5を通ってリザーバ
4に排出され、ブレーキが解除する。
【0086】また、急速なペダル踏込による緊急ブレー
キ操作が行われてMCY圧を発生したとき、コントロー
ラ21はこのMCY圧の上昇速度が通常より速い急上昇
速度であると判断すると、電磁開閉弁19,20をとも
に閉じるとともに、常閉の電磁開閉弁38,39を開
く。これにより、アキュムレータ33,34の蓄圧が開
いた電磁開閉弁38,39を通って液圧給排通路78,7
9に導入され、更にWCY9,10,11,12に導入さ
れて、ブレーキ作動する。このとき、アキュムレータ3
3,36の液圧が所定圧以上となっているので、前述の
第2例のブレーキシステム1と同様に、WCY圧の上昇
速度は急速度となる。したがって、緊急ブレーキ操作時
には、ブレーキ液圧上昇遅れを防止でき、迅速に急ブレ
ーキを作動させることができる。これにより、ブレーキ
システム1における急ブレ−キ時の応答性が向上する。
この第3例のブレーキシステム1の他の作用効果は、第
1例と同じである。
【0087】なお、前述の各例のブレーキシステム1
に、従来周知の負圧倍力装置および液圧倍力装置等の流
体圧倍力装置を用いることもできる。また、第2および
第3例のブレーキシステム1においては、電磁開閉弁1
9,20は、図7に示すようにMCY3とリザーバ4と
の間のブレーキ液給排通路5に設けてもよい。
【0088】更に、前述の図5ないし7に示す各例では
シングルマスタシリンダを用いているが、従来周知のタ
ンデム型のマスタシリンダを用いることもできる。更
に、前述の例では、第2原理の例が示されていないが、
第1原理に従った各例のMCY3のピストンの有効受圧
面積を、WCY9,10,11,12の従来の有効受圧面
積対して、数式2に従って従来より大きく設定すればよ
い。
【0089】更に、前述の例では、電磁開閉弁19,2
0の閉制御は、図示しないがストップランプの点灯で行
うようにすることもできる。すなわち、ストップランプ
の点灯を検知して、コントローラ21が電磁開閉弁1
9,20を閉じるようにする。
【0090】更に、このようにペダルストロークが超シ
ョートストロークになるので、従来ペダルストロークで
作動されるストップランプの点灯制御を、ペダル踏力あ
るいはMCY圧で行うようにすることも、この超ショー
トストロークのブレーキシステムに適用できる。
【0091】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の液圧システムによれば、入力手段のストロークを従来
に比べて大幅に短縮でき、超ショートストロークにでき
る。しかも、入力手段の入力上昇速度が高い時にも、ア
クチュエータが迅速に作動し、応答性が向上する。
【0092】また、本発明のブレーキシステムによれ
ば、このような液圧システムを用いているので、ブレー
キペダルのストロークを超ショートストロークにでき、
ブレーキフィーリングを良好にできる。しかも、急ブレ
ーキ時でのブレーキペダルの急踏込みのときにも、ホイ
ールシリンダが迅速に作動して急ブレーキを遅れること
なくかけることができ、急ブレーキ時の応答性が向上す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るブレーキシステムにおける基本
的な第1原理を説明する図である。
【図2】 図1に示すブレーキシステムの各特性を示す
図である。
【図3】 本発明に係るブレーキシステムの実施の形態
の第1例を模式的に示す図である。
【図4】 図3に示す第1例のブレーキ液圧上昇を示す
図である。
【図5】 本発明の実施の形態の第2例を模式的に示す
図である。
【図6】 本発明の実施の形態の第3例を模式的に示す
図である。
【図7】 本発明の実施の形態の第4例を模式的に示す
図である。
【図8】従来の一般的なブレーキシステムを模式的に示
す図である。
【符号の説明】 1…ブレーキシステム、2…ブレーキペダル、3…マス
タシリンダ(MCY)、4…リザーバ、5,6…ブレー
キ液給排通路、7,8…液圧給排通路、9,10,11,1
2…ホイールシリンダ(WCY)、14…ポンプ、16
…ブレーキ液圧制御装置、17,18…ブレーキ液供給
通路、17′,18′…バイパス通路、19,20…常開
の電磁開閉弁、21…中央処理装置(コントローラ)、
22…ペダル踏力検出手段、22a…ブレーキ液圧セン
サ、23…ブレーキ液検出手段、23a,23b…ブレ
ーキ液圧センサ、26,27,28,29…常閉の電磁開
閉弁、32,35…チェックバルブ、33,36…アキュ
ムレータ、34,37…液圧センサ、38,39…常閉の
電磁開閉弁
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年12月28日(1999.12.
28)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正内容】
【図5】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正内容】
【図6】
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図7
【補正方法】変更
【補正内容】
【図7】
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図8
【補正方法】変更
【補正内容】
【図8】

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 作動液を蓄えるリザーバと、非作動時こ
    のリザーバに連通するとともに作動時リザーバから遮断
    して液圧を発生する液圧発生シリンダと、前記液圧発生
    シリンダに接続され、この液圧発生シリンダの液圧によ
    り作動して出力するアクチュエータと、作動時ストロー
    クして入力を前記液圧発生シリンダに加えて前記液圧発
    生シリンダを作動制御する入力手段とを備え、前記入力
    手段の入力を液圧発生シリンダで液圧に変換し、この液
    圧でアクチュエータを作動して出力する液圧システムに
    おいて、 前記液圧発生シリンダと前記アクチュエータとの連通を
    開閉する開閉手段と、前記アクチュエータと前記開閉手
    段との間の通路に作動液を供給する作動液供給手段と、
    この作動液供給手段から前記通路への作動液の供給を制
    御するとともに、前記アクチュエータの液圧を制御する
    液圧制御手段と、前記入力手段の入力に基づいて、前記
    開閉手段が前記入力手段の非作動時は前記アクチュエー
    タと前記リザーバとを連通し、前記入力手段の作動時は
    前記アクチュエータと前記リザーバとを遮断するよう
    に、かつ前記入力手段の入力上昇速度が高いほど、前記
    開閉手段が前記液圧発生シリンダと前記アクチュエータ
    とを遮断する時期を遅くなるように前記開閉手段を制御
    するとともに、前記液圧制御手段が前記入力手段の非作
    動時は前記作動液供給手段からの作動液の前記通路への
    供給を停止し、前記入力手段の作動時は前記作動液供給
    手段からの作動液を前記通路へ供給しかつ前記アクチュ
    エータの液圧を予め設定された前記入力手段の入力と前
    記アクチュエータの出力との関係にしたがって制御する
    ように、前記入力手段の入力に基づいて前記液圧制御手
    段を制御する中央処理装置とを備えていることを特徴と
    する液圧システム。
  2. 【請求項2】 前記入力手段の入力上昇速度が設定速度
    より高いときは、前記開閉手段が前記液圧発生シリンダ
    と前記アクチュエータとを遮断したとき、前記液圧発生
    シリンダの液圧が最大圧またはほぼ最大圧となるように
    前記開閉手段による前記液圧発生シリンダと前記アクチ
    ュエータとの遮断時期が設定されていることを特徴とす
    る請求項1記載の液圧システム。
  3. 【請求項3】 作動液を蓄えるリザーバと、非作動時こ
    のリザーバに連通するとともに作動時リザーバから遮断
    して液圧を発生する液圧発生シリンダと、前記液圧発生
    シリンダに接続され、この液圧発生シリンダの液圧によ
    り作動して出力するアクチュエータと、作動時ストロー
    クして入力を前記液圧発生シリンダに加えて前記液圧発
    生シリンダを作動制御する入力手段とを備え、前記入力
    手段の入力を液圧発生シリンダで液圧に変換し、この液
    圧でアクチュエータを作動して出力する液圧システムに
    おいて、 前記アクチュエータと前記リザーバとの連通を開閉する
    開閉手段と、前記アクチュエータと前記開閉手段との間
    の通路に作動液を供給する作動液供給手段と、この作動
    液供給手段から前記通路への作動液の供給を制御すると
    ともに、前記アクチュエータの液圧を制御する液圧制御
    手段と、前記作動液供給手段と前記液圧制御手段との間
    に設けられ、前記作動液供給手段からの作動液で所定圧
    に蓄圧されるアキュムレータと、前記開閉手段が前記入
    力手段の非作動時は前記アクチュエータと前記リザーバ
    とを連通し、前記入力手段の作動時は前記アクチュエー
    タと前記リザーバとを遮断するように、前記入力手段の
    入力に基づいて前記開閉手段を制御するとともに、前記
    液圧制御手段が前記入力手段の非作動時は前記アキュム
    レータからの作動液の前記通路への供給を停止し、前記
    入力手段の作動時は前記アキュムレータからの作動液を
    前記通路へ供給しかつ前記アクチュエータの液圧を予め
    設定された前記入力手段の入力と前記アクチュエータの
    出力との関係にしたがって制御するように、前記入力手
    段の入力に基づいて前記液圧制御手段を制御する中央処
    理装置とを備えていることを特徴とする液圧システム。
  4. 【請求項4】 作動液を蓄えるリザーバと、非作動時こ
    のリザーバに連通するとともに作動時リザーバから遮断
    して液圧を発生する液圧発生シリンダと、前記液圧発生
    シリンダに接続され、この液圧発生シリンダの液圧によ
    り作動して出力するアクチュエータと、作動時ストロー
    クして入力を前記液圧発生シリンダに加えて前記液圧発
    生シリンダを作動制御する入力手段とを備え、前記入力
    手段の入力を液圧発生シリンダで液圧に変換し、この液
    圧でアクチュエータを作動して出力する液圧システムに
    おいて、 前記アクチュエータと前記リザーバとの連通を開閉する
    開閉手段と、前記アクチュエータと前記開閉手段との間
    の通路に作動液を供給する作動液供給手段と、この作動
    液供給手段から前記通路への作動液の供給を制御すると
    ともに、前記アクチュエータの液圧を制御する液圧制御
    手段と、前記作動液供給手段と前記通路との間に設けら
    れ、前記作動液供給手段からの作動液で所定圧に蓄圧さ
    れるアキュムレータと、前記開閉手段が前記入力手段の
    非作動時は前記アクチュエータと前記リザーバとを連通
    し、前記入力手段の作動時は前記アクチュエータと前記
    リザーバとを遮断するように、前記入力手段の入力に基
    づいて前記開閉手段を制御するとともに、前記液圧制御
    手段が前記入力手段の非作動時は前記作動液供給手段お
    よび前記アキュムレータからの作動液の前記通路への供
    給を停止し、前記入力手段の作動時で前記入力手段の入
    力上昇速度が設定速度以下のときは、前記作動液供給手
    段からの作動液を前記通路へ供給し、また、前記入力手
    段の作動時で前記入力手段の入力上昇速度が設定速度よ
    り高いときは、前記アキュムレータからの作動液を前記
    通路へ供給し、更に前記アクチュエータの液圧を予め設
    定された前記入力手段の入力と前記アクチュエータの出
    力との関係にしたがって制御するように、前記入力手段
    の入力に基づいて前記液圧制御手段を制御する中央処理
    装置とを備えていることを特徴とする液圧システム。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれか1記載の液
    圧システムを用いたブレーキシステムであって、前記入
    力手段はブレーキペダルであり、前記液圧発生シリンダ
    はタンデム型またはシングル型のマスタシリンダであ
    り、前記アクチュエータはホイールシリンダであり、前
    記作動液供給手段はブレーキ液供給手段であり、前記液
    圧制御手段は前記ホイールシリンダのブレーキ液圧を制
    御するブレーキ液圧制御手段であることを特徴とするブ
    レーキシステム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018012432A (ja) * 2016-07-21 2018-01-25 株式会社アドヴィックス 車両の制動制御装置
CN112096672A (zh) * 2019-07-22 2020-12-18 深圳东风汽车有限公司 一种液压系统的控制方法

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