JP2000141663A - 液体吐出ヘッド、液体吐出方法及び液体吐出装置 - Google Patents

液体吐出ヘッド、液体吐出方法及び液体吐出装置

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JP2000141663A
JP2000141663A JP24353299A JP24353299A JP2000141663A JP 2000141663 A JP2000141663 A JP 2000141663A JP 24353299 A JP24353299 A JP 24353299A JP 24353299 A JP24353299 A JP 24353299A JP 2000141663 A JP2000141663 A JP 2000141663A
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Masahiko Kubota
雅彦 久保田
Masaru Iketani
優 池谷
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/14Structure thereof only for on-demand ink jet heads
    • B41J2/14016Structure of bubble jet print heads
    • B41J2/14088Structure of heating means
    • B41J2/14112Resistive element
    • B41J2/14129Layer structure

Abstract

(57)【要約】 【課題】 多値ヒータを用いること無く、高い階調性を
得ることができ、回路構成の簡素化、ヘッドの小型化を
図ることができ、さらに液体の流路で発生する気泡の体
積を制御することで、吐出する液滴の体積を変化させ、
被記録媒体上での濃度変化及びドット変化を実現する液
体吐出ヘッドを提供する。 【解決手段】 吐出口から液体を吐出するために利用
される熱エネルギーを発生する発熱体と、該発熱体上に
設けられ前記発熱体を保護するための保護層と、を有
し、前記保護層はほぼ均一な所定の厚さをもつ第1の領
域と前記所定の厚さより薄いほぼ均一な厚さをもつ第2
の領域とを有し、前記発熱体に印加される電気エネルギ
ーを変化させることにより前記吐出口から吐出される液
体の滴の体積を変更することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,熱エネルギーを利
用して液体に気泡の発生を含む状態変化を生起させ、こ
の状態変化に伴って吐出口から液体を吐出させて記録を
行う液体吐出ヘッド用、液体吐出方法及び液体吐出装置
に関する。本発明は、一般的なプリント装置の他、複写
機、通信システムを有するファクシミリ、プリント部を
有するワードプロセッサ等の装置、さらには各種処理装
置と複合的に組み合わされた産業用記録装置に適用する
ことができる。
【0002】
【従来の技術】液体吐出装置、特にインクジェット記録
装置は、ノンインパクト記録装置として、静粛性の要求
される現代のビジネスオフィスやその他の事務処理部門
において理想的である。近年、一層の高密度化、高速の
記録性、更にはメンテナンスの一層の容易性の要求か
ら、更なる開発、改良が行われている。中でも、米国特
許第4723129号公報に開示の技術を利用したイン
クジェット記録装置は、その構造的な特徴から高密度、
高速の記録が十分に可能であるため、市場において高く
支持されている。又、記録ヘッドの高密度化、高速化を
達成し得る技術の一つとして、米国特許第442932
1号公報は、高度に集積化された構造をもつインクジェ
ット記録ヘッドを提案している。
【0003】一方、一つの吐出口から一定の吐出量の滴
のみを吐出する記録ヘッドを用いて画質の高い記録を達
成するには、記録ヘッドの発熱素子の配設密度にかなり
依存することとなる。すなわち、同じ画素位置に複数回
インクを打ち込む方法を採ることとなるが、これは記録
ヘッドのスキャンの回数が必然的に多くなり、総体的な
プリント速度が遅くなる傾向にある、という課題をも
つ。
【0004】一つの吐出口から異なる吐出量の滴を吐出
可能とするために、特公昭62−48585号は、一つ
のノズル内に複数の発熱素子を配置した多値出力のカラ
ーインクジェット記録ヘッドを提案している。これは、
いわゆる、「多値ヒーター」と称されるものである。例
えば、一つのノズル内にn個の発熱素子を設けてそれぞ
れ個別に駆動ドライバに接続し、独立して電圧を印加で
きるようにする。更には、一つのノズル内のそれぞれの
発熱素子毎で発熱量が異なるよう、発熱素子のサイズを
変更する。この場合、n個の発熱素子による記録ドット
はそれぞれ異なり、同時に駆動される発熱素子の組み合
わせにより{nn-1nn-2+・・・+ n2n1
1}通りの記録ドットを形成することができる。つま
り、一つのノズルで{nn-1nn-2+・・・+n2
n1+1}値の階調性を得ることができる。
【0005】しかしながら、上記の構成では、発熱素子
に1:1に対応して駆動トランジスタ等の駆動素子を設
ける必要があるので、{nn-1nn-2+・・・+n2
n1+1}値の階調性を得るためには、ノズル密度の
n倍の密度が駆動素子に要求される。発熱素子の駆動素
子としては、バイポーラトランジスタ及びN−MOSト
ランジスタが使用されているが、ノズルに沿った方向で
の駆動素子の領域の長さの一例は約70μmである。例
えば、360dpiの記録ヘッドであれば、一つの駆動
素子の配設長さは(70/n)μmであり、720dp
iの記録ヘッドであれば、(35/n)μmの配設長さ
が要求される。この結果、駆動素子の密度を上げるため
に、トランジスタをn段構成にするなどの工夫が必要と
なる。この場合、制御回路配線が複雑になったり、記録
ヘッドの基体のサイズを大きくせざるを得ないこととな
ってしまう。この結果、コストアップにつながりやすく
なり、また、記録ヘッドの小型化の要求に対応するのが
困難となる。
【0006】ところで、熱エネルギーを利用する液体吐
出技術が多方面に利用されるに従って、一層の高品位な
画質に対する要求の他、高粘度液体等の種々の液体を良
好に吐出する技術や、従来に比べて液体の吐出効率が高
い液体吐出技術が近年ますます望まれている。このよう
な観点からみた場合、特公昭61−59916号、特開
昭55−81172号、特開昭59−26270号等の
公報の様に、種々の液体吐出技術を開示したものがあ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】本発明の目的の一つは、一つのノズル内に
複数の発熱素子を配置した構造を用いなくとも、高い階
調性を簡易に得ることができ、回路構成の簡素化及び記
録ヘッドの小型化を達成することができる液体吐出ヘッ
ド、液体吐出方法及び液体吐出装置を提供することであ
る。
【0009】また、本発明の他の目的は、液体の流路で
発生する気泡の体積を制御することで、吐出する液滴の
体積を変化させ、被記録媒体上での濃度変化及びドット
変化を実現することのできる液体吐出ヘッド、液体吐出
方法及び液体吐出装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、吐出口から液
体を吐出するために利用される熱エネルギーを発生する
発熱体と、該発熱体上に設けられ前記発熱体を保護する
ための保護層と、を有し、前記保護層はほぼ均一な所定
の厚さをもつ第1の領域と前記所定の厚さより薄いほぼ
均一な厚さをもつ第2の領域とを有し、前記発熱体に印
加される電気エネルギーを変化させることにより前記吐
出口から吐出される液体の滴の体積を変更することを特
徴とする液体吐出ヘッドに関するものである。
【0011】又、本発明は、吐出口から液体を吐出する
ために利用される熱エネルギーを発生する発熱体と、該
発熱体上に設けられ前記発熱体を保護するための保護層
と、前記発熱体に面して設けられ、前記熱エネルギーに
よる気泡の発生に基づいて変位する自由端を前記吐出口
側にもつ可動部材と、を有し、前記保護層はほぼ均一な
所定の厚さをもつ第1の領域と前記所定の厚さより薄い
ほぼ均一な厚さをもつ第2の領域とを有し、前記発熱体
に印加される電気エネルギーを変化させることにより前
記吐出口から吐出される液体の滴の体積を変更すること
を特徴とする液体吐出ヘッドに関するものである。
【0012】又、本発明は、上記のいずれかの液体吐出
ヘッドと、該液体吐出ヘッドを載置するための部材と、
を具備する液体吐出装置に関するものである。
【0013】更に本発明は、吐出口から液体を吐出する
ために利用される熱エネルギーを発生する発熱体と、該
発熱体上に設けられ前記発熱体を保護するための保護層
と、を有し、前記保護層はほぼ均一な所定の厚さをもつ
第1の領域と前記所定の厚さより薄いほぼ均一な厚さを
もつ第2の領域とを有する液体吐出ヘッドを用いる液体
吐出方法であって、前記発熱体に印加する電気エネルギ
ーを変更することにより、前記発熱体上に発生する気泡
の大きさを、発泡の起点領域は前記第2の領域としたま
ま変更し、これにより前記吐出口から吐出される液体の
滴の体積を変更することを特徴とする液体吐出方法に関
するものである。
【0014】また本発明は、吐出口から液体を吐出する
ために利用される熱エネルギーを発生する発熱体と、該
発熱体上に設けられ前記発熱体を保護するための保護層
と、前記発熱体に面して設けられ、前記熱エネルギーに
よる気泡の発生に基づいて変位する自由端を前記吐出口
側にもつ可動部材と、を有し、前記保護層はほぼ均一な
所定の厚さをもつ第1の領域と前記所定の厚さより薄い
ほぼ均一な厚さをもつ第2の領域とを有する液体吐出ヘ
ッドを用いる液体吐出方法であって、前記発熱体に印加
する電気エネルギーを変更することにより、前記発熱体
上に発生する気泡の大きさを、発泡の起点領域は前記第
2の領域としたまま変更し、これにより前記吐出口から
吐出される液体の滴の体積を変更することを特徴とする
液体吐出方法に関するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】本明細書において、「プリント」
(「記録」という場合もある)とは、文字、図形等有意
の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、
また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであ
るか否かを問わず、広くプリント媒体上に画像、模様、
パターン等を形成する、または媒体の加工を行う場合も
言うものとする。ここで、「プリント媒体」とは、一般
的なプリント装置で用いられる紙のみならず、広く、
布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミ
ックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも言う
ものとする。さらに、「インク」(「液体」という場合
もある)とは、上記「プリント」の定義と同様広く解釈
されるべきもので、プリント媒体上に付与されることに
よって、画像、模様、パターン等の形成またはプリント
媒体の加工、或いはインクの処理(例えばプリント媒体
に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化)に供
され得る液体を言うものとする。
【0016】以下、図面を参照して本発明の実施形態を
詳細に説明する。以下の各図においては、同一の部分に
同一の参照番号を付している。
【0017】図1は、本発明の一実施形態に係る液体吐
出ヘッド用基体の発熱素子の近傍領域を示す模式的平面
図である。図2(a)、(b)は、図1で示された基体
をX−X’,Y−Y’の一点鎖線に沿って基板面に垂直
に切断した時の模式的断面図である。
【0018】ここで、発熱素子(「発熱体」、更には
「発熱抵抗体」とも言う)を形成するための基板120
としては、Si基板、あるいはすでに駆動用ICを作り
込まれたSi基板を用いる。Si基板の場合は、熱酸化
法、スパッタ法、またはCVD法などによって発熱抵抗
体の下にSiO2からなる蓄熱層を形成し、ICを作り
込んだ基板も同様にその製造プロセス中で、SiO2
蓄熱層を形成しておく。図2中では106が蓄熱層に相
当する。
【0019】次に反応性スパッタリングなどの手法によ
り、TaN、HfB2、TaAl等からなる発熱抵抗体
層107を約50〜1000Å程度、Al等の配線電極
層103をスパッタリングにより約0.2〜1.0μm
程度の厚さに形成する。
【0020】次に、フォトリソグラフィ法を用いて、図
1に示す配線パターンを形成するために、リアクティブ
イオンエッチング法で、配線電極層、発熱抵抗体層と続
けてエッチングを行う。
【0021】再びフォトリソグラフィ法を用いて、図1
に示されるように発熱部102を露出させるために、ウ
ェットエッチングにより配線電極層103の一部を除去
する。尚、配線電極103の図示していない端部は、S
i基板の場合はワイヤーボンディング用のパッドとな
り、ICを作り込んだ基板の場合にはスルーホールを介
して、不図示の下部の電極と接続する。
【0022】次に、プラズマCVD法などにより第1の
保護層108を形成する。次に、図1に示すように、発
熱部102の液体吐出方向に関して下流側に保護層を薄
くした領域(「第2の領域」)105を形成するため
に、例えば、フォトリソグラフィ法を用いてマスクに窓
あけパターンを形成し、発熱抵抗体層107をエッチン
グストップ層として、第1の保護層108をウェットエ
ッチングする。その後、プラズマCVD法等を用いて、
第2の保護層109を形成する。本実施の形態では、発
熱抵抗体上における第2の領域以外の領域が、ほぼ「第
1の領域」に相当する。
【0023】本発明において、上記のように第1の保護
層108を成膜し、発熱抵抗体層107をエッチングス
トップ層として第1の保護層108の一部をエッチング
した後に、第2の保護層109を形成する場合、第1の
保護層108と第2の保護層109とは、同一の材料か
らなるものであっても異なる材料からなるものであって
も良い。また、本発明では、材質、特にエッチング特性
の異なる2種類の保護層を積層し、両保護層の間での選
択エッチングにより、いずれかの保護層、特に上層の保
護層を除去して保護層を薄くした領域105を形成して
も良い。その場合の保護層の組み合わせとしては、例え
ば、第1の保護層108(下層)としてSiN膜を形成
し、第2の保護層109(上層)としてPSG(フォス
フォシリケートガラス)膜を形成し、バッファードフッ
酸の選択エッチングにより上層のPSG膜の一部を所望
の面積分除去することにより、保護層を薄くした領域1
05を形成することができる。あるいは下層をSiO2
膜とし、上層をSiN膜として、熱リン酸を用いて同様
に上層を選択エッチングすることにより、保護層を薄く
した領域105を形成することができる。第1の保護
層、第2の保護層の各厚みは、使用する材料の熱伝導
性、保護層を薄くした領域105の面積、制御する吐出
量等を勘案して適宜最適になる様形成すれば良い。ただ
し、少なくとも保護層を薄くした領域105では、保護
層としての機能を達成し得るような膜厚に形成されてい
ることが必要であり、また、十分な階調性を確保するた
めには、薄くした領域105と通常の領域との膜厚は、
3000〜9000Å程度の差を設けるのが望ましい。
本発明において、保護層を薄くした領域105の面積
は、所望の吐出量が得られる様に、各材料或いは膜厚を
勘案して適宜設定すれば良い。
【0024】次に耐キャビテーション用の層としてのT
aなどの不働態を形成する金属膜を図2の110のよう
にスパッタリング法によって、約1000〜5000Å
形成する。最後にフォトリソグラフィ法を用いて、配線
層103、104の所望の位置にパッドの窓あけを行っ
て、インクジェット記録ヘッドの基体101を形成す
る。
【0025】記録ヘッド用基体の完成後は、図3に示す
ように、インクの吐出のための吐出口111等が形成さ
れ、インクジェット記録ヘッドが完成する。ここで液流
路113は、各吐出口に記録液を供給するための共通液
室112に連通しており、それぞれ天板119に設けら
れた分離壁121により分離されている。この共通液室
112には、必要に応じて、不図示の液供給口を通じて
記録ヘッド外部から記録液が導入される。また、天板1
19を接合するに際しては、発熱部102が、液流路1
13のそれぞれに対応するように十分に位置合わせをす
ることが望ましい。かくして、天板119と基体101
とを接合し、液流路113を形成する。また、電極10
3には、記録ヘッドの外部から所望のパルス信号を印加
するための電極リードを有する不図示のリード基体が付
設する。この様にして、図3に示すようなインクジェッ
ト記録ヘッドが完成する。
【0026】なお、液体吐出口や液流路等の形成は、図
3に例示するような溝付き天板を設ける方法である必要
は必ずしも無く、感光性樹脂のパターニング等により液
流路の側壁を形成する方法であっても良い。また、本発
明は、上述したような複数の吐出口を有するマルチアレ
イタイプのインクジェット記録ヘッドのみに限定される
ものではなく、液体吐出口が1つのシングルアレイタイ
プのインクジェット記録ヘッドにも適用できるものであ
る。
【0027】次に、図5を用いて、本発明の他の実施形
態に係る液体吐出ヘッドについて説明する。図5に示す
ように、基体101上に、感光性樹脂(ドライフィル
ム)をスピンナーで塗布した後、フォトリソグラフィ法
を用いて露光、現像して、各発熱部102毎に、発泡液
を供給するための第2の液流路114の形成を行う。そ
して、可動部材を構成する分離壁115は、ニッケル等
の金属等で形成する。
【0028】図5は、本発明の他の実施形態に係る液体
吐出ヘッドを流路方向に沿って示す模式的断面図であ
る。図6は、この液体吐出ヘッドの要部を示す模式的部
分破断斜視図である。発熱部102が設けられた基体1
01上に、発泡液用の第2の液流路114があり、その
上に吐出口111に直接連通した吐出液用の第1の液流
路113が配されている。そして、第1と第2の流路の
間に、金属等の弾性を有する材料で構成された分離壁1
15が配されており、第1の液流路113内の吐出液と
第2の液流路114内の発泡液とを区分している。な
お、後述するように、発泡液と吐出液を同じ液体とする
場合には、共通液室を一つにして共通化させても良い。
【0029】第2の液流路114の高さは、発熱部10
2で発生する気泡の最大高さよりも低くなるように形成
することが好ましく、特に保護層を薄くした領域105
で発生する気泡の最小高さよりも低くして、該領域10
5で発生した気泡が第1の液流路へ延在するように形成
することはより好ましい。このように第2の液流路11
4の高さは、所望の吐出圧が得られる様適宜最適の範囲
に形成すれば良い。
【0030】なお、以上の説明では、可動部材を構成す
る分離壁115としてニッケルを例示したが、これに限
定されること無く、可動部材、分離壁を構成する材料と
しては、発泡液と吐出液に対して十分な耐液性があり、
発泡によるエネルギーを吐出液に良好に伝達するための
弾性を有し、微細なスリットを形成できるものであれば
良い。
【0031】可動部材の材料としては、耐久性の高い材
料としては、前記したニッケルのほか、銀、金、鉄、チ
タン、アルミニウム、白金、タンタル等の金属、ステン
レス、リン青銅等を含む前記金属或いはその他の金属の
合金、或いは、ポリアクリロニトリル等のニトリル基を
有する樹脂、ブタジエン樹脂、スチレン樹脂、ポリアミ
ド等のアミド基を有する樹脂、ポリカーボネート等のカ
ルボキシル基を有する樹脂、ポリアセタール等のアルデ
ヒド基を有する樹脂、ポリサルフォン等のスルホン基を
有する樹脂、その他、液晶ポリマー等の樹脂及びその化
合物等が挙げられる。また、耐インク性の高い材料とし
ては、金、タングステン、タンタル、ニッケル、チタン
等の金属、ステンレス等の合金、これらを表面にコーテ
ィングしたもの、或いは、ポリアミド等のアミド基を有
する樹脂、ポリアセタール等のアルデヒド基を有する樹
脂、ポリエーテルエーテルケトン等のケトンを有する樹
脂、ポリイミド等のイミド基を有する樹脂、フェノール
樹脂等の水酸基を有する樹脂、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン等のポリアルキレン樹脂、エポキシ樹脂等のエポ
キシ基を有する樹脂、メラミン樹脂等のアミノ基を有す
る樹脂、キシレン樹脂等のメチレン基を有する樹脂及び
これらの化合物、更に、二酸化珪素等のセラミックなど
が望ましい。
【0032】分離壁の材料としては、上記可動部材と同
様のものが使用でき、可動部材と一体に形成しても別部
材で形成しても良い。又、分離壁の厚さは、分離壁とし
ての強度を達成でき、可動部材として良好に動作すると
いう観点からその材質と形状等を考慮して決定すれば良
いが、0.5〜10μm程度が望ましい。
【0033】なお、可動部材と分離壁との間の隙間(ス
リット)の幅は、例えば発泡液と吐出液とが異なる液体
であり、両液体の混液を防止したい場合は、両液体の間
でメニスカスを形成する程度の間隔とし、それぞれの液
体の流通を抑制すれば良い。例えば、発泡液として2c
P程度の液体を用い、吐出液として100cP以上の液
体を用いた場合には5μm程度でも混液を防止すること
ができるが、3μm以下とするのが望ましい。
【0034】発熱部102の面方向上方への投影空間
(以下、「吐出圧発生領域」という。図5中のAの領域
とBの気泡発生領域)に位置する部分の分離壁115
は、スリット118によって吐出口側(液体流れの下流
側)が自由端で、共通液室(112、117)側に支点
が位置する片持梁形状の可動部材116となっており、
気泡発生領域Bに面して可動部材116が配されている
ような構成になっている。このため、後述するように発
泡液の発泡によって第1液流路113側に開口するよう
に動作する(図中矢印方向)。図6においても、上記発
熱部102と、この発熱部に電気信号を印加するための
配線電極103、104とが配された基体101上に、
第2の液流路114を構成する空間を介して分離壁11
5が配置されている。
【0035】記録ヘッド用基体の完成後は、図7に示す
ように、インクを吐出する吐出口111等が形成され、
液体吐出ヘッドが完成する。ここで、液流路113は、
各吐出口に記録液を供給するための共通液室112に連
通しており、それぞれ天板119に設けられた分離壁1
21により分離されている。この共通液室112には、
必要に応じて、不図示の液供給口を通じてヘッド外部か
ら吐出液が導入される。又、天板119を接合するに際
しては、発熱部102及び可動部材116のそれぞれ
が、第1の液流路113のそれぞれに対応するように十
分に位置合わせをすることが望ましい。かくして、天板
119と基体101とを接合し、吐出圧発生領域Aに連
通する液体吐出口111を設ける。又、電極103、1
04には、ヘッドの外部から所望のパルス信号を印加す
るための電極リードを有する不図示のリード基体が付設
する。このようにして、図7に示すような液体吐出ヘッ
ドが完成する。
【0036】発泡液と吐出液とは、同じ液体を用いて
も、また異なる液体を用いてもよい。同じ液体を用いる
場合は、発熱体から加えられる熱によって劣化せずに、
また加熱によって発熱体上に堆積物を生じにくく、熱に
よって気化、凝縮の可逆的状態変化を行うことが可能で
あり、更に液流路や可動部材や分離壁等を劣化させない
液体であれば、種々の液体を用いることができる。
【0037】このような液体のうち、記録のために用い
られる第1の液体(吐出液)としては、従来の記録装置
で採用されていた組成のインクを用いることができる。
【0038】一方、発泡液と吐出液とを別の液体とする
場合には、発泡液としては前述のような性質を有する液
体であればよく、具体的には、メタノール、エタノー
ル、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ヘキサ
ン、n−ヘプタン、n−オクタン、トルエン、キシレ
ン、二塩化メチレン、トリクロロエチレン、「フレオン
TF」、「フレオンBF」(共にデュポン社の商品
名)、エチルエーテル、ジオキサン、シクロヘキサン、
酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケト
ン、水等及びこれらの混合物が挙げられる。又、この場
合の吐出液としては、発泡性の有無、熱的性質に関わり
なく様々な液体を用いることができる。特に、従来吐出
が困難であった発泡性の低い液体、熱によって変質、劣
化しやすい液体あるいは高粘度液体等であってもよい。
【0039】なお、以上の説明では、液体吐出方向に関
して下流側に保護層を薄くした領域105を設けた形態
を説明したが、該領域105は発熱部102上であれば
どの部分に形成しても良い。ただし、気泡のパワーを確
実に液体に伝えるためには、上述した様に液体吐出方向
前部に形成することが好ましい。また、各発熱部102
上に各一つの領域105を形成しているが、複数の領域
に分けて形成しても良い。
【0040】また、本発明は、図3に示す形態を有する
流路群と、図7に示す形態を有する流路群と、を近接し
て配し、両者を使い分ける形態をも含むものである。さ
らに、図3及び図7における符号Iは、複数の発熱体を
それぞれ独立に駆動するために設けられた機能素子を有
する駆動回路が、複数の発熱体が設けられた基体101
の内部に設けられた領域を示すものである。
【0041】図9は、本発明に係る液体吐出ヘッドが装
着される液体吐出装置の一例を示す模式的斜視図であ
る。図9において、601は上記の方法で作製した液体
吐出ヘッドである。このヘッド601は、駆動モータ6
02の正逆回転に連動して駆動力伝達ギア603及び6
04を介して回転するリードスクリュ606の螺旋溝6
05に対して係合するキャリッジ607上に搭載されて
おり、上記駆動モータ602の動力によってキャリッジ
607とともにガイド608に沿って矢印a及びb方向
に往復移動される。図示しない記録媒体供給装置によっ
てプラテン609上を搬送されるプリント用紙Pの紙押
さえ板610は、キャリッジ移動方向にわたってプリン
ト用紙Pをプラテン609に対して押圧する。
【0042】上記リードスクリュ606の一端の近傍に
は、フォトカプラ611及び612が配設されている。
これらはキャリッジ607のレバー607aのこの域で
の存在を確認して駆動モータ602の回転方向切り換え
等を行うためのホームポジション検知手段である。
【0043】図において613は、上述の液体吐出ヘッ
ド601の吐出口のある前面を覆うキャップ部材614
を支持する支持部材である。又、615はキャップ部材
614の内部にヘッド601から空吐出等されて溜まっ
たインクを吸引するインク吸引手段である。この吸引手
段615によりキャップ内開口部616を介してヘッド
601の吸引回復が行われる。617はクリーニングブ
レードであり、618はブレード617を前後方向(上
記キャリッジ607の移動方向に直交する方向)に移動
可能にする移動部材であり、ブレード617及び移動部
材618は本体支持体619に支持されている。上記ブ
レード617はこの形態に限らず、他の周知のクリーニ
ングブレードであってもよい。620は吸引回復操作に
あたって、吸引を開始するためのレバーであり、キャリ
ッジ607と係合するカム621の移動に伴って移動
し、駆動モータ602からの駆動力がクラッチ切り換え
等の公知の伝達手段で移動制御される。ヘッド601に
設けられた発熱部102に信号を付与したり、前述した
各機構の駆動制御を司ったりする液体吐出制御部は装置
本体側に設けられており、ここには図示しない。
【0044】以上の構成を有する液体吐出装置600
は、図示しない被記録材給送装置によりプラテン609
上を搬送されるプリント用紙Pに対し、ヘッド601は
用紙Pの全幅にわたって往復移動しながら記録を行う。
【0045】記録装置が記録できる記録媒体の最大幅に
対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドに
対しても、本発明は有効に適用できる。そのような記録
ヘッドとしては、複数の記録ヘッドの組み合わせによっ
てその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の
記録ヘッドとしての構成のいずれかでもよい。
【0046】又、搭載される記録ヘッドの種類ないし個
数についても、例えば単色のインクに対応して1個のみ
が設けられたものの他、記録色や濃度を異にする複数の
インクに対応して複数個数設けられるものであってもよ
い。即ち、例えば記録ヘッドを一体的に構成するか複数
個の組み合わせによるかのいずれでもよいが、異なる色
の複色カラー、または混色によるフルカラーの各記録モ
ードの少なくとも一つを備えた装置にも、本発明は極め
て有効である。
【0047】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるもの
ではない。
【0048】実施例1 図1、図2に示すように、Si基板120上に、反応性
スパッタリングにより、発熱抵抗体としてTaN層10
7を約500Å、電極配線としてのAl層103、10
4をスパッタリングにより約5500Åの厚さに形成す
る。次に、フォトリソグラフィ法を用いて、図1の10
2で示される発熱部を露出させるためにウェットエッチ
ングによりAlを除去する。このようにして形成される
発熱部の面積は、40×150μm2であった。
【0049】次に、保護層としてPSG膜をプラズマC
VD法により、図2に示すように約7000Åの厚さに
形成する。次に、図1に示すように保護層を薄くした領
域105にフォトリソグラフィ法により窓空けパターン
を形成するために、発熱抵抗体のTaN層107をエッ
チングストップ層として、バッファードフッ酸を用いて
PSG膜をウェットエッチングする。このようにして形
成された保護膜除去領域の面積は、42×50μm2
あった。
【0050】この上に、プラズマCVD法により第2の
保護層としてSiN膜を4000Å成膜した。更にTa
膜をスパッタリング法により約2500Å形成し、所望
のパッドの窓空けを行って、本実施例のインクジェット
記録ヘッド用基体を作製した。
【0051】この基体に対して、径が30μmの吐出口
が設けられた吐出口プレートが一体化された溝付き天板
を接合することにより、インクジェット記録ヘッドを製
造した。
【0052】図4(a)に示すように、発熱部102全
体に膜沸騰による気泡Aが発生する温度まで加熱する電
圧パルス(幅:5μs、高さ:25V)を印加すること
により、吐出量が80ngの滴を得た。また、ドライバ
の制御により、発熱部全体から気泡Aを発生させるのに
必要な電圧の2/3程度の電圧を同程度のパルス幅で印
加することにより、図4(b)に示すように、保護層を
薄くした領域105のみで膜沸騰による気泡Bを発生さ
せ、吐出量が20ngの滴を得た。
【0053】なお、本実施例では、3値の階調性(図4
(c)の無吐出を含む)を示しているが、発熱部上の保
護層の厚さを3段以上の階段状にすることにより、更な
る多値化も可能である。また、本実施例では、気泡のパ
ワーを発熱抵抗体への印加電圧で制御しているが、これ
に限られるものではなく、パルス長や、パルス形状等に
よっても制御できるものである。
【0054】実施例2 実施例1と同様にして発熱抵抗体及び配線材料を成膜し
た後、発熱部を露出させた基板上に、第1の保護層とし
てSiN膜を7000Å、第2の保護層としてPSG膜
を4000Å成膜した。しかる後、発熱部の保護層を薄
くした領域105を形成するために、フォトレジストを
塗布してパターニングし、このフォトレジストをマスク
にバッファードフッ酸を用いてPSG膜をウェットエッ
チングした。その後、実施例1と同様に耐キャビテーシ
ョン層及び耐インク層としてのTa膜をスパッタリング
により約2500Å形成し、窓あけを行って本実施例の
インクジェット記録ヘッド用基体を作製した。
【0055】この基体を用いて実施例1と同様にしてイ
ンクジェット記録ヘッドを作製した。実施例1と同様に
印加電圧を調整してインク吐出を行ったところ、実施例
1と同様に3階調の吐出が可能であった。
【0056】実施例3 実施例1と同様にして発熱抵抗体及び配線材料を成膜し
た後、発熱部を露出させた基板上に、第1の保護層とし
てSiO2膜を7000Å、第2の保護層としてSiN
膜を4000Å成膜した。しかる後、発熱部の保護層を
薄くした領域105を形成するために、フォトレジスト
を塗布してパターニングし、このフォトレジストをマス
クに熱リン酸を用いてSiN膜をウェットエッチングし
た。その後、実施例1と同様に耐キャビテーション層及
び耐インク層としてのTa膜をスパッタリングにより約
2500Å形成し、窓あけを行って本実施例のインクジ
ェット記録ヘッド用基体を作製した。
【0057】この基体を用いてインクジェット記録ヘッ
ドを作製した。実施例1と同様に印加電圧を調整してイ
ンク吐出を行ったところ、実施例1と同様に3階調の吐
出が可能であった。
【0058】実施例4 図1、図2に示すように、Si基板120上に、反応性
スパッタリングにより、発熱抵抗体としてTaN層10
7を約500Å、電極配線としてのAl層103、10
4をスパッタリングにより約5500Åの厚さに形成す
る。次にフォトリソグラフィ法を用いて、図1の102
で示される発熱部を露出させるために、ウェットエッチ
ングによりAlを除去する。このようにして形成される
発熱部の面積は40×100μm2であった。
【0059】次に、保護層としてPSG膜をプラズマC
VD法により、図2に示すように約7000Åの厚さに
形成する。次に、図1に示すように保護層を薄くした領
域105にフォトリソグラフィ法により窓空けパターン
を形成するために、発熱抵抗体のTaN層107をエッ
チングストップ層としてバッファードフッ酸を用いてP
SG膜をウェットエッチングする。このようにして形成
された保護膜除去領域の面積は42×40μm2であっ
た。
【0060】この上に、プラズマCVD法により第2の
保護層としてSiN膜を4000Å成膜した。更にTa
膜をスパッタリング法により約2500Å形成し、所望
のパッドの窓空けを行って、本実施例のインクジェット
記録ヘッド用基体を作製した。
【0061】次に、図5、図7に示すように、各発熱部
間に第2の液流路114を構成する流路壁を形成するた
め、厚さ15μmのドライフィルムをスピンナーで塗布
した後、フォトリソグラフィー法を用いて各流路を形成
した。そして、厚さ5μmのニッケルで分離壁115を
設けた。分離壁115には各流路毎に可動部材116が
形成されており、その寸法は40×250μmであっ
た。
【0062】さらにその上に、径が30μmの吐出口が
設けられた吐出口プレートが一体化された溝付き天板を
接合することにより、図5〜7に示すインクジェット記
録ヘッドを製造した。次に、発泡液及び吐出液としてそ
れぞれ下記組成のものを使用し、液体吐出動作について
確認した。
【0063】発泡液 エタノール 40重量% 水 60重量% 吐出液(染料インク:粘度2cP) 染料(C.I.フードブラック2) 3重量% ジエチレングリコール 10重量% チオジグリコール 5重量% エタノール 3重量% 水 残部
【0064】図8(a)に示すように発熱部102全体
に気泡Aが発生する温度まで加熱する電圧パルス(幅:
5μs、高さ:25V)を発熱部に印加することによ
り、吐出量が80ngの滴を得た。また、ドライバの制
御により、発熱部全体から気泡Aを発泡させるのに必要
な電圧の2/3程度の電圧を同程度のパルス幅で印加す
ることにより、図8(b)に示すように保護層を薄くし
た領域105のみで気泡Bを発生させ、吐出量が20n
gの滴を得た。
【0065】なお、本実施例では、3値の階調性(図8
(c)の無吐出を含む)を示しているが、発熱部上の保
護層の厚さを3段以上の階段状にすることによって、更
なる多値化も可能である。また、本実施例では、気泡の
パワーを発熱抵抗体への印加電圧で制御しているが、こ
れに限られるものではなく、パルス長や、パルス形状等
によっても制御できるものである。
【0066】実施例5 実施例4と同様にして発熱抵抗体、配線材料を成膜した
後、発熱部を露出させた基板上に、第1の保護層として
SiN膜を7000Å、第2の保護層としてPSG膜を
4000Å成膜した。しかる後、発熱部の保護層を薄く
した領域105を形成するためにフォトレジストを塗布
してパターニングし、このフォトレジストをマスクにバ
ッファードフッ酸を用いてPSG膜をウェットエッチン
グした。その後、実施例4と同様に耐キャビテーション
膜としてのTa膜をスパッタリングにより約2500Å
形成し、窓あけを行ってインクジェット記録ヘッド用基
体を作製した。
【0067】この基体を用いて、実施例4と同様にして
インクジェット記録ヘッドを作製した。実施例4と同様
に印加電圧を調整してインク吐出を行ったところ、実施
例4と同様に3階調の吐出が可能であった。
【0068】実施例6 実施例4と同様にして発熱抵抗体、配線材料を成膜した
後、発熱部を露出させた基板上に、第1の保護層として
SiO2膜を7000Å、第2の保護層としてSiN膜
を4000Å成膜した。しかる後、発熱部の保護層を薄
くした領域105を形成するためにフォトレジストを塗
布してパターニングし、このフォトレジストをマスクに
熱リン酸を用いてSiN膜をウェットエッチングした。
その後、実施例4と同様に耐キャビテーション膜として
のTa膜をスパッタリングにより約2500Å形成し、
窓あけを行って本実施例のインクジェット記録ヘッド用
基体を作製した。
【0069】この基体を用いて、実施例4と同様にして
インクジェット記録ヘッドを作製した。実施例4と同様
に印加電圧を調整してインク吐出を行ったところ、実施
例4と同様に3階調の吐出が可能であった。
【0070】実施例7 発熱抵抗体の層を次のように形成した点を除いて、実施
例1と同様のインクジェット記録ヘッドを製造した。
【0071】本実施例では、発熱抵抗体の層として、プ
ラズマCVD法を用いてポリシリコン膜を形成した。そ
して、イオン・インプランテーション法を用いて、B、
P、Asなどの不純物原子をポリシリコン膜に打ち込ん
だ。その後、この不純物を発熱抵抗体層内に均一に拡散
させるために、500〜600℃で30分〜1時間のア
ニールを行った。次に、フォトリソグラフィ・プロセス
を用いて、発熱抵抗体層をパターニングした。
【0072】本実施例では、ポリシリコンからなる発熱
抵抗体層に上記不純物をドープすることにより、正の温
度係数をもつ発熱抵抗体を形成することができる。これ
により、環境温度の上昇に伴い、発熱抵抗体の抵抗値が
大きくなる。一方、記録ヘッドの温度上昇に伴い、シキ
ソトロピー性を通常もつインクは、粘度が下がって動き
やすくなる。このため、発熱体への投入エネルギーに対
する温度上昇による影響は相殺される方向にある。この
結果、温度上昇による影響をさほど考慮しなくとも、発
熱体への投入エネルギーに基づいて吐出される液滴量を
適切に制御することができる。
【0073】本実施例においても実施例1と同様に印加
電圧を調整してインク吐出を行ったところ、3階調の吐
出が可能であった。
【0074】実施例8 発熱抵抗体の層として実施例7と同じ材料を用いた点を
除いて、実施例4と同様のインクジェット記録ヘッドを
製造した。
【0075】本実施例においても、実施例4と同様に印
加電圧を調整してインク吐出を行ったところ、3階調の
吐出が可能であった。
【0076】
【発明の効果】本発明によれば、一つの吐出口から吐出
される液滴の体積を、簡易に複数段階に変化させること
ができる。また、一つのノズルに複数の発熱素子を配置
する必要はなく、一つの発熱素子に入力させる信号を選
択的に変えることによって達成することができる。さら
に、発熱素子を必要以上に高密度に配列する必要がない
ので、回路構成の簡素化及び記録ヘッドの小型化を図る
ことができる。
【0077】加えて、本発明は、部分的に保護層の薄い
領域を有するので、通常の液体吐出量を得るために必要
な消費電力を従来より低減できる、という効果も奏す
る。
【0078】本発明では、発熱体上の保護層については
ほぼ均一な所定の厚さをもつ第1の領域と前記所定の厚
さより薄いほぼ均一な厚さをもつ第2の領域とを段状に
設ける。これにより、所定の印加エネルギーに対する各
領域における到達温度が異なるので、いわばデジタル的
な簡易な階調記録を高い実現性をもって達成することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る液体吐出ヘッド用基
体を示す模式的平面図である。
【図2】(a)は、図1をX−X’の一点鎖線で垂直に
切断したときのヘッド用基体を示す模式的断面図、
(b)はY−Y’の一点鎖線で垂直に切断したときのヘ
ッド用基体を示す模式的断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る液体吐出ヘッドの要
部を示す模式的部分破断斜視図である。
【図4】(a)〜(c)は、本発明の一実施形態に係る
液体吐出ヘッドにおける吐出量制御を説明するための模
式図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係る液体吐出ヘッドを
示す模式的断面図である。
【図6】図5の液体吐出ヘッドの要部を示す模式的部分
破断斜視図である。
【図7】図5の液体吐出ヘッドを示す模式的部分破断斜
視図である。
【図8】(a)〜(c)は、本発明の他の実施形態に係
る液体吐出ヘッドにおける吐出量制御を説明するための
模式図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る液体吐出装置の一例
を示す模式的斜視図である。
【符号の説明】
101 液体吐出ヘッド用基体 102 発熱部 103、104 配線電極 105 保護層を薄くした領域 108 第1の保護層 109 第2の保護層 110 耐キャビテーション層 111 液体吐出口 112 共通液室 113 液流路(第1の液流路) 114 第2の液流路 115 分離壁 116 可動部材 117 共通液室 118 スリット 119 天板 120 基板 121 分離壁

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吐出口から液体を吐出するために利用さ
    れる熱エネルギーを発生する発熱体と、該発熱体上に設
    けられ前記発熱体を保護するための保護層と、を有し、 前記保護層はほぼ均一な所定の厚さをもつ第1の領域と
    前記所定の厚さより薄いほぼ均一な厚さをもつ第2の領
    域とを有し、前記発熱体に印加される電気エネルギーを
    変化させることにより前記吐出口から吐出される液体の
    滴の体積を変更することを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記第2の領域が前記第1の領域より前
    記吐出口に近い側に配設されていることを特徴とする請
    求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  3. 【請求項3】 前記保護層が複数層の保護層からなり、
    前記第1の領域は前記複数層の保護層からなり、前記第
    2の領域は前記複数層の保護層のうちのいずれかの保護
    層が除去されてなることを特徴とする請求項1に記載の
    液体吐出ヘッド。
  4. 【請求項4】 前記第2の領域は、下層の保護層をエッ
    チングした後、上層の保護層を成膜することにより形成
    されてなることを特徴とする請求項3に記載の液体吐出
    ヘッド。
  5. 【請求項5】 前記下層の保護層がフォスフォシリケー
    トガラス膜からなり、前記上層の保護層がSiN膜から
    なり、前記エッチングがバッファードフッ酸によって行
    われたものであることを特徴とする請求項4に記載の液
    体吐出ヘッド。
  6. 【請求項6】 前記複数層の保護層が互いにエッチング
    特性の異なる材料からなり、前記第2の領域は、前記複
    数層の保護層を形成した後、上層の保護層のみを選択エ
    ッチングすることによって形成されてなることを特徴と
    する請求項3に記載の液体吐出ヘッド。
  7. 【請求項7】 前記下層の保護層がSiN膜からなり、
    前記上層の保護層がフォスフォシリケートガラス膜から
    なり、前記選択エッチングがバッファードフッ酸によっ
    て行われたものであることを特徴とする請求項6に記載
    の液体吐出ヘッド。
  8. 【請求項8】 前記下層の保護層がSiO2膜からな
    り、前記上層の保護層がSiN膜からなり、前記選択エ
    ッチングが熱リン酸によって行われたものであることを
    特徴とする請求項6に記載の液体吐出ヘッド。
  9. 【請求項9】 前記発熱体が正の温度係数をもつ材料か
    らなることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッ
    ド。
  10. 【請求項10】 前記発熱体が複数設けられ、該複数の
    発熱体が設けられた基板の内部に、前記複数の発熱体を
    それぞれ独立に駆動するために設けられた複数の機能素
    子を有する駆動回路が配されていることを特徴とする請
    求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  11. 【請求項11】 吐出口から液体を吐出するために利用
    される熱エネルギーを発生する発熱体と、該発熱体上に
    設けられ前記発熱体を保護するための保護層と、前記発
    熱体に面して設けられ、前記熱エネルギーによる気泡の
    発生に基づいて変位する自由端を前記吐出口側にもつ可
    動部材と、を有し、 前記保護層はほぼ均一な所定の厚さをもつ第1の領域と
    前記所定の厚さより薄いほぼ均一な厚さをもつ第2の領
    域とを有し、前記発熱体に印加される電気エネルギーを
    変化させることにより前記吐出口から吐出される液体の
    滴の体積を変更することを特徴とする液体吐出ヘッド。
  12. 【請求項12】 前記第2の領域が前記第1の領域より
    前記吐出口に近い側に配設されていることを特徴とする
    請求項11に記載の液体吐出ヘッド。
  13. 【請求項13】 前記保護層が複数層の保護層からな
    り、前記第1の領域は前記複数層の保護層からなり、前
    記第2の領域は前記複数層の保護層のうちのいずれかの
    保護層が除去されてなることを特徴とする請求項11に
    記載の液体吐出ヘッド。
  14. 【請求項14】 前記第2の領域は、下層の保護層をエ
    ッチングした後、上層の保護層を成膜することにより形
    成されてなることを特徴とする請求項13に記載の液体
    吐出ヘッド。
  15. 【請求項15】 前記下層の保護層がフォスフォシリケ
    ートガラス膜からなり、前記上層の保護層がSiN膜か
    らなり、前記エッチングがバッファードフッ酸によって
    行われたものであることを特徴とする請求項14に記載
    の液体吐出ヘッド。
  16. 【請求項16】 前記複数層の保護層が互いにエッチン
    グ特性の異なる材料からなり、前記第2の領域は、前記
    複数層の保護層を形成した後、上層の保護層のみを選択
    エッチングすることによって形成されてなることを特徴
    とする請求項13に記載の液体吐出ヘッド。
  17. 【請求項17】 前記下層の保護層がSiN膜からな
    り、前記上層の保護層がフォスフォシリケートガラス膜
    からなり、前記選択エッチングがバッファードフッ酸に
    よって行われたものであることを特徴とする請求項16
    に記載の液体吐出ヘッド。
  18. 【請求項18】 前記下層の保護層がSiO2膜からな
    り、前記上層の保護層がSiN膜からなり、前記選択エ
    ッチングが熱リン酸によって行われたものであることを
    特徴とする請求項16に記載の液体吐出ヘッド。
  19. 【請求項19】 前記発熱体が正の温度係数をもつ材料
    からなることを特徴とする請求項11に記載の液体吐出
    ヘッド。
  20. 【請求項20】 前記発熱体が複数設けられ、該複数の
    発熱体が設けられた基板の内部に、前記複数の発熱体を
    それぞれ独立に駆動するために設けられた複数の機能素
    子を有する駆動回路が配されていることを特徴とする請
    求項11に記載の液体吐出ヘッド。
  21. 【請求項21】 請求項1又は11に記載の液体吐出ヘ
    ッドと、該液体吐出ヘッドを載置するための部材と、を
    具備する液体吐出装置。
  22. 【請求項22】 吐出口から液体を吐出するために利用
    される熱エネルギーを発生する発熱体と、該発熱体上に
    設けられ前記発熱体を保護するための保護層と、を有
    し、前記保護層はほぼ均一な所定の厚さをもつ第1の領
    域と前記所定の厚さより薄いほぼ均一な厚さをもつ第2
    の領域とを有する液体吐出ヘッドを用いる液体吐出方法
    であって、 前記発熱体に印加する電気エネルギーを変更することに
    より、前記発熱体上に発生する気泡の大きさを、発泡の
    起点領域は前記第2の領域としたまま変更し、これによ
    り前記吐出口から吐出される液体の滴の体積を変更する
    ことを特徴とする液体吐出方法。
  23. 【請求項23】 吐出口から液体を吐出するために利用
    される熱エネルギーを発生する発熱体と、該発熱体上に
    設けられ前記発熱体を保護するための保護層と、前記発
    熱体に面して設けられ、前記熱エネルギーによる気泡の
    発生に基づいて変位する自由端を前記吐出口側にもつ可
    動部材と、を有し、前記保護層はほぼ均一な所定の厚さ
    をもつ第1の領域と前記所定の厚さより薄いほぼ均一な
    厚さをもつ第2の領域とを有する液体吐出ヘッドを用い
    る液体吐出方法であって、 前記発熱体に印加する電気エネルギーを変更することに
    より、前記発熱体上に発生する気泡の大きさを、発泡の
    起点領域は前記第2の領域としたまま変更し、これによ
    り前記吐出口から吐出される液体の滴の体積を変更する
    ことを特徴とする液体吐出方法。
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