JP2000141529A - 脱酸素性多層フィルム及び包装容器 - Google Patents

脱酸素性多層フィルム及び包装容器

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヒートシール強度や酸素吸収速度に優れ、か
つ酸素吸収性樹脂層中の脱酸素剤が隠蔽されている脱酸
素性多層フィルム及び脱酸素性包装容器を提供する。 【解決手段】 好ましくは着色顔料を含まないヒートシ
ール性熱可塑性樹脂からなる酸素透過性樹脂層、脱酸素
剤及び着色顔料が分散された熱可塑性樹脂からなる酸素
吸収性樹脂層、並びに、ガスバリア層の少なくとも3層
が積層されてなる脱酸素性多層フィルムであって、酸素
吸収性樹脂層中の脱酸素剤、着色顔料及び熱可塑性樹脂
の体積が所定範囲にあることを特徴とする脱酸素性多層
フィルムを用いて、その酸素透過性樹脂層を内側にして
なる脱酸素性包装容器。 【効果】 酸素吸収性樹脂層の隠蔽と、酸素吸収速度及
びヒートシール強度等の包装用フィルムとしての諸物性
の両立を実現でき、各種食品、医薬品などの収納物品の
長期保存を可能にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は脱酸素機能を有する
多層フィルム、及びそれよりなる包装容器に関する。詳
しくは、ヒートシール強度及び酸素吸収速度に優れ、酸
素吸収性樹脂層中の脱酸素剤が隠蔽されている脱酸素性
多層フィルム、並びに、脱酸素性多層フィルムよりなる
包装容器に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、脱酸素包装技術の一つとして、熱
可塑性樹脂に脱酸素剤組成物を配合した酸素吸収性樹脂
組成物からなる酸素吸収性樹脂層を配した多層材料で容
器を構成し、容器のガスバリア性の向上を図ると共に、
容器自体に脱酸素機能を付与した包装容器の開発が行わ
れている。脱酸素機能を備えた多層体は、通常、脱酸素
剤組成物を配合した酸素吸収性樹脂層を中間層とし、外
面側にガスバリア性を有する外層と、内面側に酸素透過
性の内層とを備えた脱酸素性多層体で構成され、袋、蓋
材等を構成する多層フィルムとして、または、カップ、
トレイ、ボトル、チューブ等の容器に成形加工の容易な
多層シートとして開発されている。
【0003】脱酸素性多層体としては、例えば、特開平
2−72851号公報、特開平4−90848号公報の
ように脱酸素剤を樹脂中に分散させた脱酸素性多層体及
び酸素吸収フィルムが知られている。また、特開平8−
72941号公報には脱酸素性多層体の脱酸素性能の向
上を図る技術が提案されている。さらに、脱酸素剤配合
樹脂層とガスバリア層の間にポリオレフィン層を介在さ
せる構成の脱酸素性多層体及び多層フィルムとして、特
開平8−132573号公報、特開平9−40024号
公報がある。
【0004】脱酸素性多層体は、通常、容器の内側とな
る部分に酸素透過を行うと共にシーラント層としての役
割を有する酸素透過性樹脂層、中間層として酸素透過層
を透過してくる酸素を吸収する役割を有する酸素吸収性
樹脂層、また容器の外側となる部分に容器外から侵入す
る酸素を遮断する役割を有するガスバリア層の、少なく
とも3層がこの順に積層してなるシート状またはフィル
ム状の多層体であり、酸素透過性樹脂層を最内層とし、
熱成形や製袋等の工程を経て脱酸素性包装容器が形成さ
れる。この容器内に物品を収納、密封すると、容器内部
に存在する酸素は酸素透過性樹脂層を透過し、酸素吸収
性樹脂層中の脱酸素剤組成物によって吸収され、また、
容器外部の酸素はガスバリア層によって遮断される。そ
のため、容器内の酸素濃度は低濃度に保たれ、脱酸素性
包装容器に収納された物品は長期間の保存が可能とな
る。
【0005】一般に、食品等の包装容器は無色透明のも
の、或いは容器内面が白色のものが好ましく使用され
る。脱酸素性多層体に関しては、熱可塑性樹脂中に鉄系
脱酸素剤組成物が分散され、黒色を呈する酸素吸収性樹
脂層が中間層として存在するため、これを食品を保存す
るための容器として使用する際には、酸化チタン等の着
色顔料を酸素透過性樹脂層に配合するなどして、酸素吸
収性樹脂層を隠蔽する方法が採られてきた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】脱酸素性多層体を包装
容器として用いる場合において、酸素吸収性樹脂層上に
積層されるシーラント層に着色顔料を添加した場合、着
色顔料の影響により、ヒートシール強度が低下すること
がある。特に、総厚みが薄いフィルム状の脱酸素性多層
体の場合、柔軟性、取り扱い性及び酸素吸収速度を良好
に保つためには、酸素吸収性樹脂層上に積層されるシー
ラント層厚みを薄く設定せざるを得ず、しかも酸素吸収
性樹脂層を隠蔽して外観を整えるためには、シーラント
層中の着色顔料濃度を高くする必要がある。しかし、こ
の着色顔料濃度の高い着色樹脂層を包装容器のシーラン
ト層として使用すると、層中に分散した着色顔料によ
り、ヒートシール強度が大きく低下したり、脱酸素性多
層フィルムからなる容器を長期間保存した際に、経時的
にヒートシール強度が低下する場合がある。
【0007】本発明は、フィルム状の脱酸素性多層体、
いわゆる脱酸素性多層フィルムにおける上述の問題点を
解決課題とするものであり、ヒートシール強度や酸素吸
収速度に優れ、かつ酸素吸収性樹脂層中の脱酸素剤が十
分に隠蔽されている脱酸素性多層フィルム及び脱酸素性
包装容器を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の従
来技術の問題点に鑑み、酸素吸収性樹脂層上の酸素透過
性樹脂層として着色顔料を配合した着色樹脂層を積層し
なくとも脱酸素剤を外部から隠蔽する脱酸素性多層フィ
ルムに関し、鋭意検討を重ねた結果、酸素吸収性樹脂層
の材料構成を熱可塑性樹脂、脱酸素剤、着色顔料の少な
くとも3成分とし、脱酸素剤組成物と着色顔料の添加量
等を定めることにより、酸素吸収性樹脂層上に着色樹脂
層を積層しなくとも、脱酸素剤組成物の隠蔽が可能であ
ることを見い出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】すなわち本発明は、容器内側から順に、ヒ
ートシール性熱可塑性樹脂からなる酸素透過性樹脂層、
脱酸素剤及び着色顔料が分散された熱可塑性樹脂からな
る酸素吸収性樹脂層並びにガスバリア層の少なくとも3
層が積層されてなる脱酸素性多層フィルムであって、酸
素吸収性樹脂層中の脱酸素剤の体積が2〜9vol%、
酸素吸収性樹脂層中の着色顔料の体積が2〜9vol
%、酸素吸収性樹脂層中の熱可塑性樹脂の体積が85〜
96vol%であることを特徴とする脱酸素性多層フィ
ルムに関する。また本発明は、包装容器の少なくとも一
部が前記脱酸素性多層フィルムからなり、酸素透過性樹
脂層を内側にしてなる包装容器に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の脱酸素性多層フィルムを
構成する酸素透過性樹脂層は、ヒートシール性の熱可塑
性樹脂からなる一層以上の層構成を有し、収容物と酸素
吸収性樹脂層を隔離する隔離層としての役割、酸素吸収
性樹脂層が酸素を吸収するために効率良く酸素透過を行
う役割及び容器を形成する際のヒートシール層としての
役割を有する。
【0011】酸素透過性樹脂層を構成する材料として
は、各種熱可塑性樹脂を使用することができ、例えば、
低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密
度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、メタロセン触媒
によるポリエチレンに例示される各種ポリエチレン、ポ
リプロピレンホモポリマー、プロピレン−エチレンブロ
ック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体
に例示される各種ポリプロピレン、ポリメチルペンテ
ン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−αオレ
フィン共重合体等のポリオレフィン類、各種イージーピ
ール性樹脂が挙げられ、これらを単独で、または組み合
わせて使用することができる。特に、ヒートシール性及
び衛生性や汎用性に優れるポリエチレン及びポリプロピ
レンが好ましく使用される。また、この酸素透過性樹脂
層には必要に応じて、熱可塑性エラストマー等の改質効
果を有する熱可塑性樹脂を添加しても良く、また、ヒー
トシール性を低下させない範囲で、酸化防止剤、スリッ
プ剤、紫外線吸収剤等の添加剤を添加しても良い。
【0012】本発明の脱酸素性多層フィルムにおける酸
素透過性樹脂層の膜厚は、層数や構成材料によらず、1
0〜100μmの範囲とすることが好ましく、特に好ま
しくは20〜80μmの範囲である。酸素透過性樹脂層
の膜厚が10μmより薄いと、ヒートシール強度が低下
して包装容器の強度が低下したり、酸素吸収性樹脂層中
の脱酸素剤組成物が表面に露出する場合がある。また、
100μmより厚いと、酸素透過性が低下して、酸素吸
収性樹脂層において効率良い酸素吸収ができなくなる場
合がある。
【0013】本発明の脱酸素性多層フィルムにおける酸
素透過性樹脂層の酸素透過度は、層数や膜厚、構成材料
によらず、500cc/m2 ・atm・day(25
℃、100%RH)以上であることが好ましく、特に好
ましくは700cc/m2 ・atm・day(25℃、
100%RH)以上である。酸素透過性樹脂層の酸素透
過度が500cc/m2 ・atm・day(25℃、1
00%RH)より低いと、酸素吸収性樹脂層中の脱酸素
剤組成物により行われる酸素吸収に対して、酸素透過性
樹脂層の酸素透過が律速となり、脱酸素性多層フィルム
の酸素吸収速度が低下するため、好ましくない。
【0014】本発明の脱酸素性多層フィルムにおける酸
素吸収性樹脂層は脱酸素剤組成物と着色顔料の少なくと
も2成分が熱可塑性樹脂中に分散してなるものである。
本発明においては、容器内又は収納物品中に溶存する酸
素を吸収する役割、また、容器外部から侵入する微量の
酸素を吸収して容器内部への酸素透過を防ぐ役割を有す
る。酸素吸収性樹脂層は、脱酸素剤組成物、着色顔料及
び熱可塑性樹脂を溶融混練して予め作製したコンパウン
ドを、あるいは脱酸素剤組成物と熱可塑性樹脂を溶融混
練して予め作製したコンパウンドと着色顔料のマスター
バッチをブレンドしたものを押し出し機からフィルム状
に押し出すことによって形成できる。酸素吸収性樹脂層
を形成するコンパウンドや着色顔料のマスターバッチ
は、従来公知の方法、例えば、押し出し機による溶融混
練後、ストランドダイから押し出し、冷却工程を経てペ
レット化する等の方法を用いて作製することができる。
【0015】本発明における酸素吸収性樹脂層を構成す
る熱可塑性樹脂としては、酸素を透過し得る各種熱可塑
性樹脂を使用することができる。例えば、低密度ポリエ
チレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレ
ン、高密度ポリエチレン、メタロセン触媒によるポリエ
チレンに例示される各種ポリエチレン、ポリプロピレン
ホモポリマー、プロピレン−エチレンブロック共重合
体、プロピレン−エチレンランダム共重合体に例示され
る各種ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、エチレン
−酢酸ビニル共重合体、エチレン−αオレフィン共重合
体等のポリオレフィン類が挙げられ、これらを単独で、
または組み合わせて使用することができるが、酸素透過
性樹脂層との接着性を考慮し、酸素透過性樹脂層を構成
する熱可塑性樹脂と融着性のある材料を選択することが
好ましい。
【0016】本発明の酸素吸収性樹脂層を構成する熱可
塑性樹脂の酸素透過度は、脱酸素剤組成物の酸素吸収反
応を妨げることがないよう、500cc/m2 ・atm
・day(25℃、100%RH)以上であることが好
ましく、700cc/m2 ・atm・day(25℃、
100%RH)以上であればより好ましい。熱可塑性樹
脂の酸素透過度が500cc/m2 ・atm・day
(25℃、100%RH)より低いと、脱酸素剤組成物
により行われる酸素吸収に対して、熱可塑性樹脂の酸素
透過が律速となり、脱酸素性多層フィルムとしての酸素
吸収速度が低下するため、好ましくない。
【0017】本発明に用いられる脱酸素剤としては、酸
素吸収反応を生起することができるものであって、熱可
塑性樹脂中に分散させることが可能なものであれば制限
することなく使用できるが、好ましくは、被酸化性の主
剤と助剤の組み合わせからなる脱酸素剤組成物が用いら
れる。主剤には鉄粉が好ましく用いられ、助剤には、主
剤の酸素吸収反応を促進する化学物質、例えば、ハロゲ
ン化金属やアルカリ剤が用いられる。
【0018】主剤である鉄粉としては、酸素吸収反応を
起こしうるものであれば純度等には特に制限することな
く使用でき、例えば、表面の一部が既に酸化していても
良く、他の金属を含有するものであっても良い。また、
鉄粉は粒状のものが好ましく、例えば、還元鉄粉、噴霧
鉄粉、電解鉄粉等の鉄粉、鋳鉄、鋼材等の各種鉄の粉砕
物や研削品等が用いられる。その平均粒径は、取り扱い
性や、酸素吸収性樹脂層の膜厚を薄くすること、及び容
器外観に現れる脱酸素剤の凹凸をできるだけ防ぐことを
考慮し、1〜100μmの範囲とすることが好ましく、
特に1〜80μmの範囲とすることが好ましい。
【0019】鉄粉を主剤とした脱酸素剤の場合、助剤で
あるハロゲン化金属は主剤の酸素吸収反応に触媒的に作
用するものである。ハロゲン化金属としては、例えば、
アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩化物、臭化
物、ヨウ化物が用いられ、リチウム、ナトリウム、カリ
ウム、マグネシウム、カルシウム、またはバリウムの塩
化物、ヨウ化物が好ましく用いられる。ハロゲン化金属
の配合量は、鉄粉100重量部当たり0.1〜20重量
部が好ましく、特に0.1〜5重量部が好ましい。
【0020】ハロゲン化金属は、鉄粉を主剤とした脱酸
素剤組成物の必須成分として鉄粉と共に使用されるが、
鉄粉に付着して容易に分離しないよう、予め混合して添
加することが好ましい。例えば、ボールミル、スピード
ミル等を用いてハロゲン化金属と鉄粉を混合する方法、
鉄粉表面の凹凸部にハロゲン化金属を埋め込む方法、バ
インダーを用いてハロゲン化金属を鉄粉表面に付着させ
る方法、ハロゲン化金属水溶液と鉄粉を混合した後乾燥
して鉄粉表面にハロゲン化金属を付着させる方法等を採
ることができる。好ましい脱酸素剤組成物は、鉄粉とハ
ロゲン化金属を含む鉄粉系組成物であり、特に好ましく
は、鉄粉にハロゲン化金属を付着させたハロゲン化金属
被覆鉄粉組成物である。
【0021】本発明の酸素吸収性樹脂層を構成する材料
である着色顔料には、酸化チタン(チタン白)、亜鉛
華、鉛白、リトポン、コバルトイェロー、ベンガラ等の
無機顔料又は有機顔料が使用される。中でも酸化チタン
は、高い屈折率を有し、反射率、不透明度が高く、ま
た、耐薬品性、耐候性、耐熱性に優れるため、本発明に
おける隠蔽用の着色顔料として非常に好ましい顔料であ
る。酸化チタンには結晶系の違いから、ルチル型、アナ
タース型があるが、本発明では、特に、高屈折率で、着
色力、隠蔽力の高いルチル型の酸化チタンを使用するこ
とが好ましい。また、酸化チタンの製造方法としては硫
酸法及び塩素法があるが、本発明では製造方法に関係無
く使用することができる。また、本発明で使用される酸
化チタンは、使用上不都合が生じない限り、分散性改良
等の目的で、表面改質された酸化チタンを使用すること
ができる。
【0022】本発明で用いられる着色顔料の平均粒径は
0.15〜0.5μmであることが好ましい。平均粒径
が0.15μmより小さいと、透明性が増して隠蔽性が
低下し、また、平均粒径が0.5μmより大きいと、着
色顔料の散乱係数が低下するため、隠蔽性が低下する傾
向にある。いずれにおいても、十分な隠蔽性を得るため
には、着色顔料配合量を高く設定しなければならず、こ
のようにすると酸素吸収性樹脂層と酸素透過性樹脂層等
の隣接する層との接着強度が低下するため、好ましくな
い。
【0023】また、酸素吸収性樹脂層における脱酸素剤
の体積比(容量%)は、着色顔料の体積比(容量%)に
対して4倍以下であり、好ましくは2倍以下である。こ
の比率で酸素吸収性樹脂層中に鉄系脱酸素剤組成物と着
色顔料を添加することで、鉄系脱酸素剤組成物が着色顔
料により隠蔽され、そのヒートシール側に着色顔料を使
用しなくとも酸素吸収性樹脂層中の脱酸素剤組成物は隠
蔽され、良好な外観を有する脱酸素性多層フィルムが得
られる。
【0024】なお、酸素吸収性樹脂層中の脱酸素剤及び
着色顔料の容量比は、その重量と真比重の商から求めら
れる。また、真比重は、水やアルコール等の液体に予め
重量を測定した脱酸素剤組成物又は着色顔料を沈めて増
加した体積を測定し、重量と体積の商から求められる。
さらに、脱酸素性多層フィルムの酸素吸収性樹脂層中の
脱酸素剤及び着色顔料の容量比は、X線を利用した分析
によって測定することができる。方法の一例としては、
予め酸素吸収性樹脂層中の脱酸素剤及び着色顔料の容量
配合比の既知の標準試料からX線分析検量線を作成し、
次いで、脱酸素性多層フィルム試料の酸素透過性樹脂層
側からX線分析を行なう方法がある。
【0025】本発明において、酸素吸収性樹脂層中の脱
酸素剤の体積は2〜9vol%、酸素吸収性樹脂層中の
着色顔料の体積は2〜9vol%、酸素吸収性樹脂層中
の熱可塑性樹脂の体積は85〜96vol%の範囲内で
ある。脱酸素剤体積比がこの範囲より小さいと、脱酸素
性多層フィルムの酸素吸収性能が低下し、実用性が低く
なるため、好ましくない。また、脱酸素剤体積比がこの
範囲より大きいと、これを隠蔽するための着色顔料添加
量が高くなり、その結果、熱可塑性樹脂量が減少し、酸
素吸収性樹脂層をフィルム化することが困難になった
り、コストの面から好ましくない。また、着色顔料体積
比がこの範囲より小さいと、隠蔽が不十分となるため、
好ましくない。また、着色顔料体積比がこの範囲より大
きいと、脱酸素剤の場合と同様、酸素吸収性樹脂層をフ
ィルム化することが困難になるため、好ましくない。
【0026】酸素吸収性樹脂層中の樹脂成分の体積比が
この範囲であれば、欠陥なく安定的に酸素吸収性樹脂フ
ィルムが製造されるので好ましい。酸素吸収性樹脂層中
の樹脂成分の体積比がこの範囲より小さいと、酸素吸収
性樹脂層をフィルム化することが困難になるので、好ま
しくない。酸素吸収性樹脂層中の樹脂成分の体積比がこ
の範囲より大きいと、脱酸素性多層フィルムの酸素吸収
性能が低下し、実用性が低くなるため、好ましくない。
【0027】本発明において特に好ましい酸素吸収性樹
脂層中の樹脂成分は、ポリエチレンとポリプロピレンで
ある。本発明者らは、これらを使用した場合について詳
細に検討した結果、より好ましい配合比を見出した。す
なわち、酸素吸収性樹脂層中の樹脂成分にポリエチレン
を用いる場合は、酸素吸収性樹脂層中の脱酸素剤の体積
が2〜9vol%、酸素吸収性樹脂層中の着色顔料の体
積が2〜9vol%、酸素吸収性樹脂層中のポリエチレ
ンの体積が85〜96vol%であると、酸素吸収性樹
脂層が均一に押し出されるので厚さムラがなく、生産速
度を大きくすることができ、脱酸素剤組成物の隠蔽、酸
素吸収性能及び外観性を両立するという点で、実用的に
一層優れた脱酸素性多層フィルムが得られる。
【0028】また、酸素吸収性樹脂層中の樹脂成分にポ
リプロピレン又はポリエチレンとポリプロピレンの共重
合体を用いる場合は、酸素吸収性樹脂層中の脱酸素剤の
体積が2〜9vol%、酸素吸収性樹脂層中の着色顔料
の体積が2〜9vol%、酸素吸収性樹脂層中のポリエ
チレンの体積が86〜96vol%であると、酸素吸収
性樹脂層が均一に押し出されるので厚さムラがなく、生
産速度を大きくすることができ、脱酸素剤組成物の隠
蔽、酸素吸収性能及び外観性を両立するという点で、実
用的に一層優れた脱酸素性多層フィルムが得られる。
【0029】本発明の脱酸素性多層フィルムにおける酸
素吸収性樹脂層の膜厚は、構成材料によらず、20〜1
00μmの範囲とすることが好ましく、特に好ましくは
30〜80μmの範囲である。酸素透過性樹脂層の膜厚
が20μmより薄いと、製膜が困難となったり、フィル
ム単位面積当たりの脱酸素剤組成物量が少なくなり、十
分な酸素吸収性能が得られなくなる。また、100μm
より厚いと、フィルム総厚みが厚くなり、取り扱い性に
不便を生じる場合があったり、コストに問題が生じる。
【0030】また、本発明の酸素吸収性樹脂層には、必
要に応じて、熱可塑性エラストマー等の改質効果を有す
る熱可塑性樹脂、酸化防止剤、アルカリ土類金属酸化
物、シラン系やチタネート系等の分散剤、クレー、マイ
カ、シリカ、炭酸カルシウム等の充填剤、紫外線吸収
剤、活性炭やゼオライト等の吸着剤等を添加しても良
い。
【0031】本発明の脱酸素性多層フィルムにおいて
は、酸素吸収性樹脂層中の着色顔料により脱酸素剤組成
物が隠蔽されているため、酸素透過性樹脂層中に着色顔
料を添加する必要は無い。脱酸素性多層フィルムにおい
て着色樹脂層を積層して酸素吸収性樹脂層を隠蔽する場
合は着色顔料濃度を高く設定する必要がある。しかし、
このように着色顔料濃度が高い樹脂層を包装容器のシー
ラント層として使用すると、ヒートシール強度が大きく
低下したり、また、長期間包装体を保存した際に経時的
にヒートシール強度が低下して、包装容器の強度が低下
することがあるため、好ましくない。
【0032】本発明の脱酸素性多層フィルムにおけるガ
スバリア層は、本発明の多層フィルムを容器とした場合
に、容器外側から侵入する酸素を遮断する役割を有す
る。ガスバリア層を構成する材料としては、アルミ箔等
の金属箔、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−酢酸ビニル
共重合体ケン化物、ナイロン6、ナイロン66、MXナ
イロン、非晶性ナイロン等のポリアミド、ポリエチレン
テレフタレート等のポリエステル、アルミ蒸着フィルム
やシリカ蒸着フィルム等の無機酸化物蒸着フィルム等を
単独でまたは組み合わせて用いることができる。その酸
素透過度は、加工性やコストが許す限りできるだけ小さ
くすることが好ましく、その膜厚に関係無く100cc
/m2 ・atm・day(25℃、50%RH)以下で
あることが必要であり、より好ましくは50cc/m2
・atm・day(25℃、50%RH)以下である。
このようにすることで、本発明にかかる脱酸素性多層体
を用いて容器を製造した際に、容器の外部から進入する
酸素量を少なくすることができ、収納物品の保存性をよ
り優れたものにすることができる。
【0033】本発明の脱酸素性多層体には、強度付与、
耐熱性付与等の各種物性改善を目的としてガスバリア層
の外側に最外層を積層したり、各層の間に中間層を設け
ることができる。これらの層を構成する材料としては、
各種熱可塑性樹脂を使用することができる。中間層とし
ては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレ
ン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、メタロ
セン触媒によるポリエチレンに例示される各種ポリエチ
レン、ポリプロピレンホモポリマー、プロピレン−エチ
レンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム
共重合体に例示される各種ポリプロピレン、ポリメチル
ペンテン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−
αオレフィン共重合体等のポリオレフィン類が使用でき
る。
【0034】最外層としては、ポリプロピレンホモポリ
マー、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピ
レン−エチレンランダム共重合体に例示される各種ポリ
プロピレン、ポリメチルペンテン、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体、エチレン−αオレフィン共重合体等のポリ
オレフィン類、ポリエチレンテレフタレート等のポリエ
ステル類、ナイロン6、ナイロン66等の各種ポリアミ
ド類、熱可塑性エラストマー類が使用できる。これらを
単独で、または組み合わせて使用しても良く、また、こ
れらの材料からなる延伸フィルムも使用できる。
【0035】本発明の酸素透過性樹脂層、酸素吸収性樹
脂層、及びガスバリア層の積層方法については、ラミネ
ート、共押し出し等の従来公知の積層方法が使用でき、
融着性の無い層同士の接着には、各種熱可塑性樹脂或い
は各種熱硬化性樹脂を接着剤として用い、これを介して
接着する積層方法が使用できる。
【0036】本発明の脱酸素性多層フィルムの総厚さ
は、50〜200μm、好ましくは70〜160μmの
範囲である。脱酸素性多層フィルムの総厚さがこの範囲
より薄いと、強度が低くなり、包装材料としての十分な
性能が得られなくなる。また、この範囲より厚いと、フ
ィルム総厚みが厚くなり、製袋性や取り扱い性、コスト
に問題が生じる。
【0037】本発明の脱酸素性多層フィルムは、包装材
料として各種用途に使用される。例えば、袋等の包装容
器に加工することによって、また、容器の蓋材、トップ
シールフィルム等の部材として使用することにより、外
観や香味保持性等の物性に優れ、かつ包装加工性に優れ
た脱酸素性包装容器が得られる。本発明の脱酸素性多層
フィルムを、酸素透過性樹脂層を内側にして全体又は部
分的に使用してなる包装容器は、容器外から僅かに侵入
する酸素の他、容器内の酸素を吸収して、容器内保存物
の酸素による変質を防止して、収納物品の長期保存を可
能にする。
【0038】本発明の脱酸素性多層フィルムを利用した
包装容器には、例えば、牛乳、ジュース、日本酒、ウイ
スキー、焼酎、コーヒー、茶、ゼリー飲料、健康飲料等
の液体飲料、調味液、ソース、醤油、ドレッシング、液
体だし、マヨネーズ、味噌、すり下ろし香辛料等の調味
料、ジャム、クリーム、チョコレートペースト等のペー
スト状食品、液体スープ、煮物、漬物、シチュー等の液
体加工食品に代表される液体系食品や、そば、うどん、
ラーメン等の生麺及びゆで麺、精米、調湿米、無洗米等
の調理前の米類や調理された炊飯米、五目飯、赤飯、お
粥等の加工米製品類、粉末スープ、だしの素等の粉末調
味料等に代表される高水分食品、その他農薬や殺虫剤等
の固体状や溶液状の化学薬品、液体及びペースト状の医
薬品、化粧水、化粧クリーム、化粧乳液、整髪料、染毛
剤、シャンプー、石鹸、洗剤等、種々の物品を収納する
ことができ、容器外部から酸素が侵入することがなく、
また容器内部の酸素は脱酸素剤組成物によって吸収され
ることから、物品の酸化腐食等が防止され、長期間の良
好な品質保持が可能となる。
【0039】
【実施例】以下に本発明の実施例を示す。なお、本発明
はこれらの実施例に限定されるものではない。 製造例1 平均粒径30μmの還元鉄粉100重量部に対して、塩
化カルシウム3重量部を含む水溶液を散布後、減圧加熱
乾燥して、塩化カルシウムがコーティングされた鉄粉か
らなる粉粒状の鉄系脱酸素剤組成物Aを得た。
【0040】実施例1 製造例1で得た鉄系脱酸素剤組成物Aを5容量部、ルチ
ル型酸化チタン4容量部、プロピレン−エチレンランダ
ム共重合体(チッソ(株)製、商品名:チッソポリプロ
F8090、以下ランダムPPと略す)91容量部をド
ライブレンドし、35mm二軸押し出し機にて押し出し
を行い、ブロワ付きネットベルトで冷却後ペレタイザー
を経て、酸素吸収性コンパウンド1を得た。
【0041】次に、押し出し機、Tダイ、冷却ロール及
び引き取り機からなる押し出しラミネーターを用い、着
色顔料が添加されていない無着色の無延伸ポリプロピレ
ンフィルム(東洋紡(株)製、商品名;パイレンフィル
ムP1120、以下CPPと略す)を酸素透過性樹脂層
とし、この上に、前記酸素吸収性コンパウンド1を押し
出しラミネートし、CPP/酸素吸収性樹脂層からなる
積層体を作製した。次いで、前記積層体の酸素吸収性樹
脂層側に、アルミ箔/ナイロン6/ポリエチレンテレフ
タレート(以下PETと略す)がこの順に積層されてな
るアルミ箔積層フィルムのアルミ箔側をドライラミネー
トし、CPP(40μm)/酸素吸収性樹脂層(40μ
m)/アルミ箔(7μm)/ナイロン6(15μm)/
PET(12μm)の構成を有する脱酸素性多層フィル
ムを得た。得られた脱酸素性多層フィルムから20cm
×20cmの試験片をサンプリングし、40℃、80%
RHの恒温槽中に48時間放置した後、酸素透過性樹脂
層側から観察し、酸素吸収性樹脂層中に分散された脱酸
素剤組成物の隠蔽の度合いを外観性として評価した。
【0042】得られた脱酸素性多層フィルムから外寸が
縦18cm×横14cmのスタンディングパウチ袋をヒ
ートシールして作製し、米粥200gを充填、袋内空気
量が10cc程度となるようにヒートシールして密封し
た。この米粥包装体を30分間、121℃で加熱殺菌処
理した後、25℃の室内に保存して、袋内空間部の酸素
濃度をガスクロマトグラフィーにて測定した。袋内空間
部の酸素濃度が加熱殺菌処理終了後から0.1%に到達
する迄に要した時間数を脱酸素時間とした。この袋のヒ
ートシール強度は、JIS Z1526に準拠して測定
を行い、4.0kgを超えるものを合格とした。結果を
表1に示す。
【0043】比較例1〜3 製造例1で得られた鉄系脱酸素剤組成物A、酸化チタ
ン、プロピレン−エチレンランダム共重合体の配合比を
変えて、酸素吸収性コンパウンド11〜13を得た。得
られた酸素吸収性コンパウンド11〜13を用い、実施
例1と同様にしてCPP(40μm)/酸素吸収性樹脂
層(40μm)/アルミ箔(7μm)/ナイロン6(1
5μm)/PET(12μm)の構成を有する脱酸素性
多層フィルムを製造し、外観性、脱酸素時間、袋のヒー
トシール強度を実施例1と同様にして評価した。配合比
及び評価結果を表1に示す。
【0044】比較例4 製造例1で得られた鉄系脱酸素剤組成物Aを5容量部、
プロピレン−エチレンランダム共重合体95容量部をド
ライブレンドし、実施例1と同様にして酸素吸収性コン
パウンド14を得た。次に、酸化チタンを4容量%含有
するCPP組成物フィルム上に前記酸素吸収性コンパウ
ンド14を押し出しラミネートし、白色CPP/酸素吸
収性樹脂層からなる積層体を作製した。次いで、この積
層体の酸素吸収性樹脂層側とアルミ箔/ナイロン6/P
ETからなるアルミ箔積層フィルムのアルミ箔側をドラ
イラミネートし、白色CPP(40μm)/酸素吸収性
樹脂層(40μm)/アルミ箔(7μm)/ナイロン6
(15μm)/PET(12μm)の構成を有する脱酸
素性多層フィルムを製造し、外観性、脱酸素時間、袋の
ヒートシール強度を実施例1と同様にして評価した。配
合比及び評価結果を表1に示す。
【0045】実施例2〜4 製造例1で得られた鉄系脱酸素剤組成物A、酸化チタ
ン、プロピレン−エチレンランダム共重合体を表2の配
合比でブレンドして、実施例1と同様にして酸素吸収性
コンパウンド2〜4を得た。得られた酸素吸収性コンパ
ウンド2〜4を用い、実施例1と同様にしてCPP(4
0μm)/酸素吸収性樹脂層(40μm)/アルミ箔
(7μm)/ナイロン6(15μm)/PET(12μ
m)の構成を有する脱酸素性多層フィルムを製造し、外
観性、脱酸素時間、袋のヒートシール強度を実施例1と
同様にして評価した。配合比及び評価結果を表2に示
す。
【0046】実施例5 熱可塑性樹脂として低密度ポリエチレン(三井化学
(株)製、商品名:ミラソン18SP、以下LDPEと
略す)を用い、製造例1で得られた鉄系脱酸素剤組成物
A、酸化チタン、LDPEを表2の配合比でブレンドし
て、酸素吸収性コンパウンド5を得た。次に、押し出し
機、Tダイ、冷却ロール及び引き取り機からなる押し出
しラミネーターを用い、着色顔料が添加されていない無
着色無延伸の直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(東セ
ロ(株)製、商品名;TUX−TC#25、以下LLD
PEと略す)上に前記酸素吸収性コンパウンド2を押し
出しラミネートし、LLDPE/酸素吸収性樹脂層から
なる積層体を作製した。次いで、前記積層体の酸素吸収
性樹脂層側と、アルミ箔/PETからなるアルミ箔積層
フィルムのアルミ箔側をLDPEを介してサンドラミネ
ートし、LLDPE(25μm)/酸素吸収性樹脂層
(30μm)/LDPE(20μm)/アルミ箔(9μ
m)/PET(12μm)の構成を有する脱酸素性多層
フィルム5を製造した。次いで、米粥包装体を30分
間、85℃で加熱殺菌したこと以外は、実施例1と同様
にして外観性、脱酸素時間、袋のヒートシール強度を評
価した。配合比及び評価結果を表2に示す。
【0047】実施例6 熱可塑性樹脂としてメタロセンポリエチレン(ダウケミ
カル社製、商品名:アフィニティーPT1450、以下
M−PEと略す)を用い、製造例1で得られた鉄系脱酸
素剤組成物A、酸化チタン、M−PEを表2の配合比で
ブレンドして、酸素吸収性コンパウンド6を得た。次
に、押し出し機、Tダイ、冷却ロール及び引き取り機か
らなる押し出しラミネーターを用い、着色顔料が添加さ
れていないM−PEフィルム上に前記酸素吸収性コンパ
ウンド3を押し出しラミネートし、M−PE/酸素吸収
性樹脂層からなる積層体を作製した。次いで、前記積層
体の酸素吸収性樹脂層側と、アルミ箔/二軸延伸ポリプ
ロピレン(東洋紡績(株)製、商品名;パイレンフィル
ムP2161、以下、OPPと略す)からなるアルミ箔
積層フィルムのアルミ箔側を、LDPEを介してサンド
ラミネートし、M−PE(50μm)/酸素吸収性樹脂
層(30μm)/LDPE(20μm)/アルミ箔(1
2μm)/OPP(25μm)の構成を有する脱酸素性
多層フィルム6を製造し、外観性、脱酸素時間、袋のヒ
ートシール強度を実施例5と同様にして評価した。配合
比及び評価結果を表2に示す。
【0048】表1に示したように、脱酸素剤と酸化チタ
ンの配合比が本発明の範囲内である酸素吸収性樹脂層を
積層した実施例1〜6の脱酸素性多層フィルムは、表面
の酸素透過性樹脂層に酸化チタンを添加しなくても、外
観上、酸素吸収性樹脂層中の脱酸素剤の隠蔽が十分であ
った。また、袋内の酸素を吸収する脱酸素速度が速く、
包装容器として必要な性質の一つであるヒートシール強
度にも優れていた。
【0049】それに対して、酸素吸収性樹脂層中の脱酸
素剤組成物と酸化チタンの配合比が本発明の範囲外であ
る比較例1〜2では、酸素吸収が進行した段階で、酸素
吸収性樹脂層中の酸化された脱酸素剤が酸素透過性樹脂
層表面から茶色く見えたため、隠蔽性は十分とは言えな
い。比較例3では、酸素吸収層が一定の厚さに押し出さ
れなかったため、厚みムラを生じ、外観を損ねた。酸化
チタンを酸素透過性樹脂層に添加した比較例4では、ヒ
ートシール強度が低下した。
【0050】
【表1】 表1.配合比及び評価結果(容量%) 実施例1 比較例1 比較例2 比較例3 比較例4 〔酸素透過層〕 CPP CPP CPP CPP 白色CPP 熱可塑性樹脂 40μm 40μm 40μm 40μm 40μm 〔酸素吸収層〕 脱酸素剤組成物 5 5 11 5 5 酸化チタン 4 1 4 12 0 熱可塑性樹脂 ランダムPP ランダムPP ランダムPP ランダムPP ランダムPP 92 94 85 83 95 外観性 ○ × ×※1 ○※1 ○ 脱酸素時間 24時間 24時間 22時間 24時間 24時間 シール強度 >5kg >5kg >5kg 5kg 3.8kg ○………外観上、脱酸素剤組成物が視認できず、十分隠蔽されている。 ×………外観上、脱酸素剤組成物が視認でき、十分隠蔽されていない。 ※1:酸素吸収層の厚さが一定に押し出されなかったため、厚みムラを生じ、外 観が損なわれた。
【0051】
【表2】 表2.配合比及び評価結果(容量%) 実施例2 実施例3 実施例4 実施例5 実施例6 〔酸素透過層〕 CPP CPP CPP LLDPE M−PE熱可塑性樹脂 40μm 40μm 40μm 25μm 50μm 〔酸素吸収層〕 脱酸素剤組成物 5 9 3 4 8 酸化チタン 9 2 2 7 4 熱可塑性樹脂 ランダムPP ランダムPP ランダムPP LDPE M−PE 86 89 96 89 88 外観性 ○ ○ ○ ○ ○ 脱酸素時間 24時間 22時間 28時間 20時間 12時間 シール強度 >5kg >5kg >5kg >5kg >5kg ○………外観上、脱酸素剤組成物が視認できず、十分隠蔽されている。 ×………外観上、脱酸素剤組成物が視認でき、十分隠蔽されていない。
【0052】
【発明の効果】本発明の脱酸素性多層フィルム乃至該脱
酸素性多層フィルムからなる包装容器は、従来の脱酸素
性多層フィルムにおいて問題であった、脱酸素剤の隠
蔽、高い酸素吸収速度及びヒートシール強度等の包装用
フィルムとしての諸物性の両立を実現できる。また、本
発明の脱酸素性多層フィルムは、大きな生産速度で製造
しても、酸素吸収性樹脂層が均一に押し出されるので厚
さムラがなく製造することができる。本発明の脱酸素性
多層フィルム乃至該脱酸素性多層フィルムからなる包装
容器は、各種食品、医薬品などの収納物品の長期保存を
可能にする包装材料として、極めて実用的なものであ
る。
フロントページの続き Fターム(参考) 3E067 BA03A BA07A BA10A BA14A BB12A BB14A BB15A BB16A BB22A BB25A CA03 CA04 CA24 EE25 EE32 GB13 4F100 AA21 AB02 AB10 AB33 AK01A AK01B AK05 AK07 AK42 AK48 AK64 AL03 AR00C BA03 BA07 BA10A BA10C CA09B CA13B DE01B EH23 GB15 GB16 GB23 JB16A JB16B JD02C JD03 JD03A JD14B JL12 JL12A YY00A YY00B

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも、ヒートシール性熱可塑性樹
    脂からなる酸素透過性樹脂層、脱酸素剤及び着色顔料が
    分散された熱可塑性樹脂からなる酸素吸収性樹脂層、並
    びに、ガスバリア層の少なくとも3層が積層されてなる
    脱酸素性多層フィルムであって、酸素吸収性樹脂層中の
    脱酸素剤の体積が2〜9vol%、酸素吸収性樹脂層中
    の着色顔料の体積が2〜9vol%、酸素吸収性樹脂層
    中の熱可塑性樹脂の体積が85〜96vol%であるこ
    とを特徴とする脱酸素性多層フィルム。
  2. 【請求項2】 酸素透過性樹脂層が、着色顔料を含まな
    いヒートシール性熱可塑性樹脂からなることを特徴とす
    る請求項1記載の脱酸素性多層フィルム。
  3. 【請求項3】 酸素吸収性樹脂層に分散された脱酸素剤
    の平均粒径が1〜100μmの範囲内にあることを特徴
    とする請求項1記載の脱酸素性多層フィルム。
  4. 【請求項4】 酸素吸収性樹脂層に分散された着色顔料
    の平均粒径が0.15〜0.5μmの範囲内にあること
    を特徴とする請求項1記載の脱酸素性多層フィルム。
  5. 【請求項5】 構成材料の少なくとも一部が、請求項1
    〜4記載の脱酸素性多層フィルムからなり、酸素透過性
    樹脂層を内側にしてなる脱酸素性包装容器。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002307536A (ja) * 2001-04-11 2002-10-23 Toyo Seikan Kaisha Ltd 酸素吸収性多層フイルムの製造方法
JP2003034001A (ja) * 2001-07-24 2003-02-04 Toppan Printing Co Ltd 包装材料および包装体
JP2006095833A (ja) * 2004-09-29 2006-04-13 Toppan Printing Co Ltd 酸素吸収バリア性積層体及びそれを用いて作製された包装体

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