JP2000139459A - 超安定化酵素 - Google Patents

超安定化酵素

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JP2000139459A
JP2000139459A JP11027702A JP2770299A JP2000139459A JP 2000139459 A JP2000139459 A JP 2000139459A JP 11027702 A JP11027702 A JP 11027702A JP 2770299 A JP2770299 A JP 2770299A JP 2000139459 A JP2000139459 A JP 2000139459A
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enzyme
ultra
structural unit
porous substance
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JP11027702A
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English (en)
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治雄 ▲高▼橋
Haruo Takahashi
Shinji Inagaki
伸二 稲垣
Nami Ri
波 李
Tsutomu Kajino
勉 梶野
Arimitsu Usuki
有光 臼杵
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Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酵素の利点と無機触媒の利点とを兼備した新
規なタイプの酵素活性構造体の提供。 【解決手段】 構造安定性を有する構造ユニットに酵素
又は酵素の活性ユニットを固定した超安定化酵素。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は酵素の利点と無機触
媒の利点とを兼備した超安定化酵素に関する。
【0002】
【従来の技術】酵素は常温で触媒作用を発揮し、触媒作
用の特異性が高く、副反応が少ない等の長所がある一方
で、安定性が比較的低い等の短所を有する。他方、無機
触媒は安定性が高く、反応の多様性がある等の長所があ
るものの、反応に高温、高圧等の高いエネルギーを必要
とし、反応の特異性が低く、副反応が生じやすい等の短
所を有する。従って、常温において高い反応性を有し、
安定であり、反応特異性が高く、且つ副反応が少ない
等、酵素と無機触媒の両者の長所を兼備する触媒は知ら
れていない。
【0003】酵素はアミノ酸が連結されてなるポリペプ
チドが一定の形態に折りたたまれて立体構造を形成し、
その立体構造中に活性部位を形成している。このような
構造を有する酵素が不活性化する機構としては、蛋白質
分解酵素により酵素を構成するポリペプチド鎖が切断さ
れる場合や熱、pH等の外部環境変化により蛋白質の立体
構造が変化し、活性部位が破壊される場合などがある。
これらの酵素の不活性化を防止する方法として、タンパ
ク質分子内に、S−S結合やグルタルアルデヒド等によ
る架橋を新たに導入し、タンパク質分子自身の構造をか
たく(rigid)にする試みがなされている。しかし
これらの改変は各酵素ごとにその方法が異なり十分な安
定性が得られない場合も多く、汎用性の点で問題があ
る。
【0004】さまざまな酵素の安定化に応用される方法
として固定化酵素(千畑一郎ら、固定化生体触媒、講談
社サイエンティフィック)が提案されている。従来の固
定化酵素では、タンパク質を直接樹脂等に固定させてい
るためタンパク質分解酵素により分解されたり、外部環
境の変化により立体構造が変化するのを防止できない。
また酵素をゲルに封じ込める包括固定化法や半透性のポ
リマー被膜により被覆するマイクロカプセル法が提案さ
れているこれらの方法によれば酵素は、タンパク質分解
酵素による分解を受けることがなく安定性の向上が期待
される。
【0005】しかしながらこれらの方法においては、酵
素と外部を覆う構造体とは一般的に分子サイズに合致し
た形では固定されていないため酵素をゲル格子や、カプ
セル内にしっかりと固定できず酵素が漏出し、失活する
不具合が生じる。また外部環境の変化に伴う酵素の立体
構造変化を防止する効果も低い。
【0006】一方、ポリエチレングリコール(稲田ら特
開平2−222698号公報)や糖脂質(岡畑らJou
rnal of Organic Chemistry
第60巻2244頁(1995年))でタンパク質表面
を修飾することにより酵素の安定化を行う方法が提案さ
れている。しかしながらこれらの方法で酵素を覆う構造
体は分子サイズに合致しておらず構造安定性が不十分で
あるため、外部環境の変化に伴い酵素の立体構造が変化
するのを十分に防止することは困難である。
【0007】他方、いわゆる人工酵素が提案されてお
り、例えば金属フタロシアニンを高分子物質に結合させ
て酵素活性を発現させたもの(特公平2−5765/特
開平2−57260)、ポルフィリンにイミダゾール基
を導入して配位させ、触媒機能を高めようとするもの
(Science,275,949−951,1997
年)等が知られている。これらの手段によれば、安定性
は向上するが、特異性は天然の酵素にはるかに及ばな
い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明は、常温
での反応を触媒し、長期間安定であり、反応の特異性が
高く、且つ副反応が生じにくい等、酵素と無機触媒の長
所を兼備した超安定化酵素を提供しようとするものであ
る。本発明において固定化する酵素の種類に係わらず酵
素分子の直径に近い細孔径を有する多孔質物質が固定化
率、酵素安定化能に最も優れていることを見出し本発明
を完成するに至った。
【0009】
【課題を解決するための手段】従って、本発明は、構造
安定性を有する構造ユニット中に酵素分子または酵素の
活性ユニットを固定した超安定化酵素を提供する。上記
構造ユニット中には好ましくは1個又は少数個の酵素分
子がそのサイズに合致して収容されている。好ましい構
造ユニットとしてメソ多孔体、ビニル系高分子などが挙
げられる。
【0010】
【発明の効果】本発明では、架橋構造を有し、構造的に
安定な構造ユニットにより酵素分子あるいは酵素の活性
ユニットがその分子の形状に合致した形で覆われる。こ
のためタンパク性の活性ユニットはタンパク質分解酵素
の作用を受けることがない。また活性ユニットは構造ユ
ニットとその分子の形状に合致した形で結合しているた
め活性ユニットの立体構造の自由度が制限され外部環境
の変化により活性ユニットの立体構造が変化するのを効
果的に防止できる。
【0011】すなわち本発明では固定化酵素や、ポリエ
チレングリコール(PEG)修飾、脂質修飾酵素等の従
来技術に比べ熱、pH、等の物理的および有機溶媒中での
安定性等の化学的安定性が格段に高いといったこれまで
の固定化酵素の概念にはない特徴を有する。従って、従
来酵素の不安定性のために実現できなかった環境調和型
の産業プロセスの構築が可能である。例えば、本発明の
超安定化酵素はバイオセンサー、バイオ漂白、バイオ脱
硫、バイオマス、環境汚染物質の浄化等に用いることが
できる。さらに、本発明においては、従来の固定化酵素
のような酵素と固定化担体を化学反応等により結合させ
る必要がなく水もしくは適当な緩衝液中で混和すること
により容易に調製することができる。したがって従来の
方法のように固定化中に酵素が失活することがほとんど
ない。しかも分子のサイズに合致しているので従来の固
定化酵素に比べて安定性が優れている。
【0012】
【発明の実施の形態】この超安定化酵素の構造の1例
は、図1のごとく様式的に示すことができる。この図に
おいて、1は構造ユニットであり、pH、熱等の環境条件
に対して耐性を有し、その形状を維持するものである。
2の酵素またはその活性ユニットは、基質4と相互作用
して酵素活性を発現する部分であり、生来の酵素や活性
部位を含有する酵素の断片などにより構成される。
【0013】また、アンカーユニット3は、構造ユニッ
ト1と活性ユニット2とを連結する要素であって、構造
ユニットの耐環境安定性を活性ユニットに伝えて活性ユ
ニットの大きな構造変化を抑制して活性ユニットを安定
に維持すると共に、活性ユニットが基質と相互作用して
その立体構造を変化させる場合に、その構造変化を許容
するだけ自由度を活性ユニットに付加するものである
が、このユニットは場合によっては必須の構成要素では
ない。図2は、本発明の超安定化酵素の別の構造を残し
ており、酵素またはその活性ユニットと構造ユニットと
はアンカーユニットを介することなく、van der
Waals力等により結合している。
【0014】個々の構造ユニットには1個又は少数個の
酵素またはその活性ユニットを収容する。従って、構造
ユニットの穴は酵素またはその活性ユニットを収容する
のに丁度合致した適当な大きさである必要があり、適切
な大きさは、活性ユニットの大きさにより異る。構造ユ
ニットは無機材料から構成されてもよく、又は有機材
料、特にポリマーから構成されていてもよい。有機材料
としては、特にモノマーを重合する事により高分子材料
が得られるものならよく、熱又は光などで重合可能な2
重結合などの基を1つ有した単官能性、又は2つ以上有
した多官能性のものから得られる高分子をあげる事がで
きる。
【0015】具体的なモノマーの種類としては、アクリ
ル酸、メチル(メタ)アクリル酸、エチル(メタ)アク
リル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)
アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、スチレ
ン、ジビニルベンゼン、アクリルアミド、4−ビニルピ
リジンなどがあげられるが、これらに限定されない。特
に好ましいモノマーはビニル系モノマーである。モノマ
ーは単独で、又は組合わせて使用することができる。酵
素またはその活性ユニットの周りを、場合によってはア
ンカーユニットを介して、被覆するためにポリマー形成
反応が必要である。この反応に必要なモノマー材料とし
てはモノマーを重合する事により高分子材料が得られる
ものならよく、熱又は光などで重合可能な2重結合など
の基を1つ有した単官能性、又は2つ以上有した多官能
性のものをあげる事ができる。
【0016】具体的にはポリアクリル酸、ポリメチル
(メタ)アクリル酸、ポリエチル(メタ)アクリル酸、
ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)
アクリレート、ポリ2−ヒドロキシエチル(メタ)アク
リレート、ポリ1−又は2−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、ポリスチレン、ポリジビニルベンゼ
ン、Kayarad R−167、Kayarad P
ET−128(以上前2製品、日本化薬製)をあげるこ
とができるがこれらに限定されない。
【0017】無機材料としては、例えばSiO2 ,Al
2 3 ,TiO2 ,ZrO2 ,Nb 2 3 等の金属酸化
物やSiO2 −MO2/n (MはAlなどの金属)で表せ
る複合酸化物の組成を有す。例えばSiO2 組成の構造
ユニットを形成する場合は、カネマイトの様な層状シリ
ケート、Si(OR)4 (Rはアルキル基を示す)、シ
リカゲル、水ガラス、ケイ酸ソーダ等が用いられる。S
iO2 以外の金属酸化物組成の場合でも、その金属を含
むアルコキシド、酸化物、塩等が用いられる。無機原料
の種類に応じ、反応溶液の最適なpH、界面活性剤の種類
等が選択される。
【0018】無機材料から構造ユニットを作製するに
は、無機原料を界面活性剤と混合反応させることによ
り、界面活性剤のミセルのまわりに無機の骨格が形成さ
れた界面活性剤/無機複合体を形成させる。この複合体
から、例えば400℃〜600℃での焼成、有機溶媒抽
出等により界面活性剤を除去することにより、界面活性
剤のミセルと同じ形状をしたメソアポ細孔が無機骨格中
に形成される。
【0019】上記の構造ユニットの作製方法において、
珪素含有化合物、例えばSiO2 のごとき酸化珪素を出
発材料とする場合には、カネマイトのごとき層状シリケ
ートをまず形成し、この層間にミセルを挿入し、ミセル
が存在しない層間をシリケート分子で繋ぎ、その後ミセ
ルを除去して細孔を形成することができる。あるいは水
ガラスのごとき珪素含有物質を出発材料として使用し、
ミセルの周囲にシリケートモノマーを集合させ、重合し
てシリカを形成し、次にミセル分子を取り除いて細孔を
形成する。この場合、ミセルは通常柱状となり、その結
果柱状の細孔が形成される。
【0020】いずれの場合にもメソポア細孔を有するメ
ソポーラスモレキュラーシーブとして構造ユニットが形
成される。カネマイトのごとき層状シリケートの形成を
介して行う前者の方法においては、水ガラス等を用いて
行う後者の方法に比べて、細孔表面は疎水性であり、且
つアニオン性を有する。疎水表面は水和していない酵素
またはその活性ユニットの安定な固定化のために好まし
く、アニオン性表面は表面にカチオンを有する酵素又は
その活性ユニットの固定化のために好ましい。
【0021】構造ユニットの作製に用いるミセルは、適
当な媒体中に界面活性剤を分散せしめることにより形成
される。界面活性剤としては、陽イオン性、非イオン
性、陰イオン性界面活性剤のいずれも利用できる。陽イ
オン性界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモ
ニウムの様に、アンモニウム基を有したものがよく用い
られる。非イオン性界面活性剤としては、ポリエチレン
グリコール系のものが用いられる。陰イオン性界面活性
剤としては、アルキルスルホン酸塩、アルキルリン酸
塩、脂肪酸塩等が用いられるが、それらに限定されな
い。
【0022】また、界面活性剤のアルキル鎖の長さを変
えることにより、ミセルの径が変化し、その結果、形成
される細孔の径を制御することができる。また、界面活
性剤と合わせ、トリメチルベンゼン、トリプロピルベン
ゼン等の比較的疎水性の分子を添加することにより、ミ
セルが膨潤し、その結果、更に大きな細孔の形成が可能
となる。これらの方法を利用することにより、活性ユニ
ットの大きさに応じ、構造ユニットの最適な大きさの細
孔を形成できる。
【0023】無機原料と界面活性剤を混合する場合、適
当な溶媒を用いてもよい。溶媒としては、水、アルコー
ル等が用いられる。界面活性剤が構造中に形成するミセ
ルとしては、球状ミセル、シリンダー状ミセル、層状ミ
セル等がある。また、それらが規則的に配列して、ヘキ
サゴナル、キュービック構造をもつ、液晶構造が形成さ
れる。形成可能な構造ユニットの形態としては、粉末
状、顆粒状、シート状、バルク状、膜状がある。
【0024】構造ユニットを構成する多孔性物質の細孔
径(直径)は、その中に固定化される酵素または酵素の
活性ユニットの直径とほぼ同等であるのが好ましい。こ
の直径は通常1nmより大きく、好ましくは2nmより大き
い。この孔径は一般に30nmより小さく、通常は10nm
より小さい。本発明によれば、ミセルを形成する界面活
性剤の選択により細孔径を広範囲の中から選択すること
ができるため種々の分子量を有する酵素又はその活性ユ
ニットを安定に固定化することができる。
【0025】多孔質物質中の細孔径の分布は、中心細孔
直径に対して、半値幅が60%以下であることが好まし
い。これにより細孔の大きさが均一になるため、その細
孔が酵素又は酵素活性ユニットにとって最適であれば、
全細孔にわたって酵素またはその活性ユニットが安定に
担持されることになり、酵素またはその活性ユニットの
安定性が最大限に高められる。
【0026】構造ユニットは、細孔分布のピークを1個
有していてもよく、また2以上有していてもよい。細孔
分布ピークを1個有する場合には、1種類の酵素もしく
はその活性ユニット又はほぼ同じ分子量および/または
粒子サイズを有する2種類以上の酵素もしくはその活性
ユニットを固定化するのに好ましい。細孔分布ピークが
2以上存在する場合には、その細孔サイズに適合する分
子量および/または粒子サイズを有する2種類以上の酵
素又はその活性ユニットを固定化するために好ましい。
【0027】1つの構造ユニットに複数の酵素又はその
活性ユニットを固定化する際には、各酵素又はその活性
ユニットに適合した複数の細孔径分布を有する構造ユニ
ットを用いる、あるいは酵素に適合する異るアンカーユ
ニットを用いる等の手段により、1つの構造ユニットに
所定の量的比率、所定の場所的分布、等をもって複数の
酵素又はその活性ユニットを担持させることができる。
上記のごとく、複数の酵素又はその活性ユニットを構造
ユニットに固定化することにより、複数の酵素が関与す
る酵素反応を効率よく行うことができる。
【0028】細孔のサイズとそれに導入される酵素又は
その活性ユニットのサイズがよく適合する場合、酵素表
面の多くの部分が細孔内面に近接するため、酵素又はそ
の活性ユニットをvan der Waals力により
細孔内に維持することができる。別の態様によれば、酵
素又はその活性ユニットと構造ユニットとは、該酵素又
はその活性ユニットと構造ユニットの細孔内面との間の
アンカーユニットにより、結合させることもできる。
【0029】アンカーユニットを構成する分子としては
構造ユニットと基本的には同じ構造が望ましく、特に活
性ユニットに結合するために、水酸基、アミド基、アミ
ノ基、ピリジン基、ウレア基、ウレタン基、カルボン酸
基、フェノール基、アゾ基、ヒドロキシル基、シラン誘
導体、アミノアルキレン基などの官能基が結合している
事が必要である。
【0030】酵素またはその活性ユニットとしては、生
来の(native)酵素分子でもよく、また活性部位
を含む酵素の断片であってもよい。酵素またはその活性
ユニットは、動植物や微生物から抽出し、所望によりそ
れを切断してもよく、また遺伝子工学的に又は化学的に
合成してもよい。本発明に使用し得る酵素としては、ペ
ルオキシダーゼ等の酸化還元酵素、各種の転移酵素、蛋
白質分解酵素等の加水分解酵素、例えばサチライシン、
リパーゼ等、カルボキシやアルデヒド等の脱離酵素、各
種異性化酵素やリガーゼなどがあげられる。
【0031】本発明の超安定化酵素を組立てるには、ま
ず酵素またはその活性ユニットに直接連結させる分子を
介してポリマー反応を行い、活性ユニットを収容するよ
うに構造ユニットを形成してもよく、また構造ユニット
を先に形成しておき、これに、場合によっては酵素また
はその活性ユニット自身が有するリジンのアミノ基等を
介して、酵素又はその活性ユニットを導入してもよい。
酵素またはその活性ユニットと構造ユニットとの結合
は、前記のvan der Waals係合や共有結合
のみならず、イオン結合、水素結合、疎水結合等の非共
有結合であってもよい。
【0032】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説
明する。実施例1.メソ多孔体の構造1(FSM/8,10,1
2,14,16,18) 日本化学工業(株)製の粉末ケイ酸ソーダ(SiO2
Na2 O=2.00)を700℃で6時間、空気中で焼
成し、ジケイ酸ソーダ(δ−Na2 Si2 5)に結晶
化させた。この結晶50gを500ccの水に分散させ、
3時間攪拌した。その後、濾過により固形分を回収して
層状シリケートであるカネマイト結晶を得た。
【0033】このカネマイトを乾燥せず、乾燥重量で5
0gのカネマイトを0.1Mの界面活性剤であるヘキサ
デシルトリメチルアンモニウムクロライド〔C1633
(CH3)3 Cl〕水溶液1000mlに分散させ、70℃
で3時間攪拌しながら加熱した。加熱初期の分散液のpH
は12.3であった。その後70℃で加熱・攪拌しなが
ら、2規定の塩酸を添加して、分散液のpHを8.5に下
げた。それから更に70℃で3時間加熱してから室温ま
で放冷した。固形生成物を一旦濾過し、1000mlのイ
オン交換水に分散させ攪拌した。この濾過・分散攪拌を
5回繰り返してから60℃で24時間乾燥した。この試
料を、窒素ガス中450℃で3時間加熱した後、空気中
550℃で6時間焼成することによりメソ多孔体を得た
(FSM/16)。
【0034】上記と同じ操作で、オクタデシルトリメチ
ルアンモニウムクロライド〔C18 37N(CH3)3
l〕を用いてメソ多孔体を合成し、FSM/18と符号
を付けた。さらに、ヘキサデシルトリメチルアンモニウ
ムクロライドの代わりに〔Cn2n+1〕鎖の長さ(n)
が異なる四種類のアルキルトリメチルアンモニウム〔C
n 2n+1N(CH3)3 〕クロライド(n=14)あるい
はブロマイド(n=8,10,12)を用いて、計6種
類のメソ多孔体を製造した。それぞれ用いたアルキルト
リメチルアンモニウムのアルキル鎖長の長さの数字
(n)を付け、FSM/8,FSM/10,FSM/1
2,FSM/14と記号を付けた。
【0035】実施例2.メソ多孔体の構造2(FSM/
M05,10,20) 実施例1のメソ多孔体の製造方法において、0.1モル
のヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライドに加
え、メシチレン〔C6 3 (CH3 3 〕を添加して、
他は同じ条件でメソ多孔体の製造を行った。メシチレン
の添加量は0.05,0.1,0.2モルの3条件で製
造を行った。それぞれ、FSM/M05,FSM/M1
0,FSM/M20と記号を付けた。
【0036】実施例3.実施例2の製造法で示したメソ
多孔体FSM/M20(細孔直径=4.7nm)の細孔内
に、蛋白質分解酵素の一種であるサチライシンを固定す
る方法を説明する。1.0gのサチライシン(シグマ社
製)を溶解させたイオン交換水100mlに、FSM/M
20の粉末3gを添加して室温で約5時間ゆるやかに上
下に攪拌した。その後、FSM/M20粉末をろ別し、
100mlのイオン交換水で洗浄した。室温で乾燥するこ
とによりサチライシンを固定したメソ多孔体粉末を得
た。
【0037】サチライシンを固定したメソ多孔体粉末の
熱重量分析(TG)を実施した。その結果、室温から1
50℃にかけてと200℃から500℃にかけての二つ
の重量減少が観察された。前者の重量減少は吸着水の脱
離で、後者は固定されたサチライシンの熱分解によるも
のである。サチライシンの熱分解による重量減少から、
メソ多孔体へのサチライシンの固定量を計算したとこ
ろ、メソ多孔体の重量に対し約10%となった。
【0038】実施例4.実施例3で得られたFSM/M
20−被覆サチライシン(1mg)を緩衝液(100mM
Tris−HCl、pH9.0)1mlに添加し、所定温度
で1時間インキュベートした。氷冷後1mlの0.5%ア
ゾカゼイン溶液(シグマ社製:100mMTris−HC
l、pH9.0)を添加して、37℃、1時間反応させ
た。2mlの10%トリクロロ酢酸を添加して反応を停止
し、室温に20分間放置した後、遠心した。この上清画
分に4mlの0.5N NaOHを加え、440nmの吸光
度を測定することにより、サチライシンの活性を測定し
た。比較例として天然のサチライシンは70℃、1時間
の熱処理によりほとんど活性を失った(<10%)のに
対し、FSM/M20−被覆サチライシンは70℃、1
時間の熱処理の後も高い活性(>80%)を維持してい
た。
【0039】実施例5.サチライシン(濃度:10mg/
ml)の溶液1000mlにメタクリル酸0.33g、2−
ヒドロキシエチルメタクリレート5.0g、架橋モノマ
ー(2官能性ビニルモノマー)KayaradR167
(日本化薬)0.2g、重合開始剤アゾビスイソブチロ
ニトリル(AIBN)0.1g、ジステアリルジメチル
アンモニウムクロライド0.5gを混合し、強力に攪拌
して分散溶液とした。1晩放置後、60℃で攪拌しなが
ら6時間で重合し、高分子被覆サチライシンを生成させ
た。
【0040】実施例6.実施例5で得た反応液を10倍
量のエタノール中に添加し、高分子被覆サチライシンを
遠心により回収した。1mgの高分子被覆サチライシンを
緩衝液(100mM Tris−HCl、pH9.0)1ml
に添加し、所定温度で1時間インキュベートした。氷冷
後実施例4に記載の方法により残存するサチライシンの
活性を測定した。一方比較例として天然のサチライシン
は70℃、1時間の熱処理によりほとんど活性を失った
(<10%)のに対し、高分子被覆サチライシンは70
℃、1時間の熱処理の後も高い活性(>80%)を維持
していた。
【0041】実施例7.酵素としてチトクロムC 、サチ
ライシン(いずれもシグマ社製)を脱イオン水によって
10mg/mlに調製した。合成した各種のメソ多孔体2
00mgに各種酵素溶液5mlを加え4℃でゆるやかに
4時間以上混和した。得られた酵素が結合した多孔体は
遠心分離で上澄を除いて回収し、脱イオン水で3回洗浄
をおこなった。この際、元の酵素溶液と結合後の上澄み
と洗浄液のそれぞれを、チトクロムCは403nm,サチライ
シンは280nm の吸光度から結合量を計算した。
【0042】その結果を表1にまとめて示した。径の大
きさが2nm 以下の多孔体では酵素の結合量は極めて少な
く、FSM/18が最も結合率が高かった。また比較例
として示した細孔の径が不均一なシリカゲル(平均細孔
径2.5nm )では酵素の吸着はほとんど認められなかっ
た。又細孔の中に酵素分子が入っていることはN2 吸着
測定装置により、その細孔への吸着量が減少したことで
確認した。
【0043】
【表1】
【0044】実施例8.サチライシンを固定化したFSM/
14、FSM/16、FSM/18、FSM/M20 に50mMTris−HCl,(pH8.
0) 90μlを加え80℃で一定時間処理し、この溶液に基
質として4mg /mlに調製したBoc-GLL-pNA(BACHEM社
製)10μlを加え37℃で30分反応を行い、残存してい
る酵素活性を測定した。また比較データとしてサチライ
シン1μgを50mMTris−HCl,(pH8.0) 90μlに加え80℃
で一定時間処理し、この溶液に基質として4mg /mlに調
製したBoc-GLL-pNA(BACHEM社製)10μlを加え37℃
で30分反応を行い、残存している酵素活性を測定した。
【0045】その結果をまとめて表2に示した。この表
に示されるように酵素(サチライシン)のおよその直径
(3.5nm) 程度に近い細孔径を有するFSM/18( 細孔径3.2n
m)やFSM/M20( 細孔径4.7nm)では安定化効果が高いが、
細孔径が小さいFSM/14やFSM/16では安定化効果が小さい
ことがわかった。
【0046】
【表2】
【0047】実施例9.有機溶媒としてジオキサンまた
はジメチルホルムアミドの各濃度の水溶液を調製した。
一方、サチライシンを固定化したFSM/18、FSM/M20 の3m
g をガラスチューブに入れたものの中に1ml の各種濃度
の有機溶媒を入れ30℃で20時間保った。その後、遠心で
上澄を除き、脱イオン水1mlで洗浄した。この固定化し
たFSM/18,FSM/M20に50mMTris−HCl,(pH8.0) 90μlと基
質として4mg /mlに調製したBoc-GLL-pNA(BACHEM社
製)10μlを加え37℃で30分反応を行い酵素活性を測定
した。
【0048】またサチライシンのみを各種濃度の有機溶
媒に加え、同様に30℃で20時間保ったものを用いて上記
と同等の方法で残存活性を測定した。FSM に固定化され
たサチライシンは有機溶媒濃度80% 以下の濃度では100%
の活性を保持しており、有機溶媒濃度100 %でも90%以
上の残存活性を有していた。一方、酵素のみでは有機溶
媒濃度80%以上では酵素活性は残存していなかった。
【0049】実施例10.サチライシンを固定化したFSM/
18及びFSM/M20 に40%ジメチルホルムアミドを含む50mM
Tris−HCl,(pH8.0) 90μlと基質として4mg /mlに調製
したBoc-GLL-pNA(BACHEM社製)10μlを加え37℃で30
分間反応して酵素活性を測定した。活性測定後、遠心分
離で上澄を除いて、さらに脱イオン水1ml で洗浄した
後、上記の測定を繰り返した。10回連続測定を行ったが
活性の低下は認められなかった。
【0050】実施例11.サチライシンを固定化したFSM/
18及びFSM/M20 各3mg またはサチライシン30μgに50mM
Tris−HCl,(pH8.0) 90μlと非特異的蛋白質分解酵素で
あるプロナーゼE(シグマ社製)10μgを加え30℃で5
または20時間反応した。また反応後、特異的基質として
4mg /mlに調製したBoc-GLL-pNA(BACHEM社製)10μl
を加え37℃で30分間反応して酵素残存活性を測定した。
その結果を表3に示す。 FSMに固定された酵素はタンパ
ク質分解酵素に対しても強い抵抗性を示すことが明らか
となった。
【0051】実施例12.サチライシンを固定化したFSM/
M20 を3mg またはサチライシン10μgに、ジメチルホル
ムアミドを脱イオン水で希釈した各種濃度の溶液90μl
を加えた。そこに特異的基質として、ジメルホルムアミ
ドに溶解した4mg/mlのBoc-GLL-PNA(BACHEM社製)を10
μlを加え37℃で30分間反応して酵素活性を測定した。
その結果を図3に示す。FSM に固定された酵素は有料溶
媒(ジメチルホルムアミド)の濃度が高くなっても酵素
活性がある程度残存していることが明らかとなった。
【0052】
【表3】
【0053】実施例13.カネマイト系メソ多孔体FSM
−Rの合成法 FSM16−19の合成 100mlのビーカーに5.0g(0.028mol )のδ
−Na2 Si2 5 および50mlのイオン交換水を入
れ、室温(約25℃)で3時間撹拌してカチオン交換し
た。水溶液をろ過してδ−Na1.6 0.4 Si2 5
澱物を得た。この沈澱物に50mlのイオン交換水を入
れ、均一な分散液になるまで撹拌しA液とした。100
mlの三角フラスコに3.0g(0.0082mol )のヘ
キサデシルトリメチルアンモニウムプロマイト(HDT
MA−Br)および50mlのイオン交換水を入れて撹拌
し完全透明液になってから、5.0g(0.025mol
)のトリイソプロピルベンゼン(TIPB)を添加し
激しく10分間撹拌し、この溶液をB液とした。
【0054】上記のA液を250mlの三口丸型フラスコ
に移して激しく撹拌しながら、それにB液を徐々に添加
し80℃まで昇温させ、続けて3時間恒温反応させた。
次に、2N塩酸を用いて反応液のpHを8.5±0.1
まで調整し、続けて3時間撹拌した。反応終了後すぐに
ろ過し、イオン交換水で200mlずつ5回洗浄ろ過し
た。生成物(白い粉末)を45℃で24時間風乾させ、
550℃の電気炉で6時間焼成し、テンプレートを除い
たメソ多孔体を約3.5g得た。メソ多孔体の構造をX
線回折装置(理学RAD−B)で確認し、メソ多孔体の
細孔径や表面積および細孔総容積をN2 吸着装置(Au
tosorb)で測定した。
【0055】FSM22−7の合成 100mlのビーカーに5.0g(0.028mol )のδ
−Na2 Si2 5 および50mlのイオン交換水を入
れ、室温(約25℃)で3時間撹拌してカチオン交換し
た。得られた水溶液をろ過してδ−Na1.6 0.4 Si
2 5 沈澱物を得た。この沈澱物に50mlのイオン交換
水を入れ、均一な分散液になるまで撹拌し、A液とし
た。
【0056】100mlの三角フラスコに4.0g(0.
01mol )のドコシルトリメチルアンモニウムクロロラ
イト(DTMA−Cl)および50mlのイオン交換水を
入れ、60℃で撹拌し完全透明液になってから、8.0
g(0.04mol )のトリイソプロピルベンゼン(TI
PB)を添加し、激しく10分間撹拌し、この溶液を6
0℃のまま保持しB液とした。前記A液を250mlの三
口丸型フラスコに移して激しく撹拌しながらそれにB液
を添加し、80℃まで昇温させ、続けて3時間恒温反応
させた。
【0057】2N塩酸を用いて反応液のpHを8.5±
0.1まで調整し、続けて3時間撹拌した。反応終了後
すぐに固体の生成物を濾取し、イオン交換水で200ml
ずつ5回洗浄濾過した。生成物(白い粉末)を45℃で
24時間風乾させ、550℃の電気炉で6時間焼成し、
テンプレートを除いたメソ多孔体を約4.5g得た。メ
ソ多孔体の構造をX線回折装置(理学RAD−B)で確
認し、メソ多孔体の細孔径や表面積および細孔総容積を
N2吸着装置(Autosorb)で測定した。
【0058】実施例14.水ガラス系メソ多孔体MCM4
1/22及びMCM41/M22の合成法 250mlの三角フラスコに7.3g(0.018mol )
のドコシルトリメチルアミンの塩素酸塩型界面活性剤
(C22TMACl)および60mlのイオン交換水を入
れ、60℃で完全に溶解してから、10%(w/w)の
硫酸水溶液24mlを添加してA液とした。100mlのビ
ーカーに10gの水ガラス(SiO2 ,36−38%,
Na2 O,17−19%)および20mlのイオン交換水
を入れ、B液とした。
【0059】A液を60−65℃で恒温激しく撹拌しな
がら、それにB液を加え、10%(w/w)の硫酸で反
応液のpHを8.5±0.1まで調整し、続いて5〜8
時間撹拌した。つぎに、この混合液を250mlのオート
クレープに移して105℃で2日〜5日熱処理した。反
応液を真空濾過し、粗生成物を約9g得た。粗生成物を
45℃で24時間風乾させ、550℃の電気炉で6時間
焼成し、テンプレートを除いたメソ多孔体を約4.5g
得た。メソ多孔体の構造をX線回折装置(理学RAD−
B)で確認し、メソ多孔体の細孔径や表面積および細孔
総容積をN2吸着装置(Autosorb)で測定し
た。
【0060】また上記の反応でドコシルトリメチルアン
モニウムクロライド溶液に膨張剤としてトリイソプロピ
ルベンゼン(TIPB)を4.9g加えて合成したもの
をMCM41/M22とした。さらにドコシルトリメチ
ルアンモニウムクロライドの代わりにヘキサデシルトリ
メチルアンモニウムクロライド〔C16bH33N(C
3 3 Cl〕を用いて合成したものをMCM41/1
6とした。
【0061】実施例15.酵素として西洋ワサビ由来のペ
ルオキシダーゼ(シグマ社製)を、pH3または5の5
0mM酢酸ナトリウム緩衝液あるいはpH7または9の5
0mMのトリス塩酸緩衝液によって5mg/mlに調製した。
合成した各種のメソ多孔体(FSMまたはMCM41)
200mgに各種酵素溶液5mlを加え4℃でゆるやかに4
時間以上混和した。
【0062】得られた酵素が結合した多孔体は遠心分離
で上澄を除いて回収し、脱イオン水で3回洗浄した。こ
の際、元の酵素溶液と、結合後の上澄みおよび洗浄液の
それぞれの403nmでの吸光度を測定し、酵素の結合量
を計算した。その結果を表4にまとめて示した。一般的
にペルオキシダーゼの結合能はFSMの方が大きくMC
M41では酵素の結合量は極めて少ないことが明らかと
なった。またFSMの中でも細孔径が4.7のFSM/
M20が結合能力が高いことが明らかとなった。またp
Hは酸性条件下の方が結合率が高いことが明らかとなっ
た。
【0063】
【表4】
【0064】実施例16.ペルオキシダーゼ固定化したメ
ソ多孔体のトルエン中での酸化活性 トルエン10mlに20mMとなるように1,2−ジアミノ
ベンゼンを溶解し、この溶液に、0.05Mになるよう
にt−ブチルヒドロキシペルオキサイドをデカン溶液に
溶解したものを2ml加え、この溶液に各種ペルオキシダ
ーゼ固定化したメソ多孔体(実施例1で作製したFSM
/18、実施例2で作製したFSM/M20、及び実施
例14で作製したMCM41/M22)並びに糖脂質に
結合させたペルオキシダーゼ及び遊離のペルオキシダー
ゼ)を酵素に換算して0.5mg相当を加えて反応し、3
8℃での酸化反応により生じた1,2−ジニトロベンゼ
ンの470nmにおける吸光度を測定した。
【0065】また、比較試験としてペルオキシダーゼそ
のものと有機溶媒中で活性が発現できるように糖脂質に
よる被覆酵素を後藤らの方法(Biotechnolo
gyTechnique、11巻、6号、375−37
8、1997年)にしたがって調整し、それぞれ酵素
(ペルオキシダーゼ)換算で0.5mg相当を用いて上記
の酸化反応を行い、470nmにおける吸光度の上昇を測
定した。その結果、図4に示すごとく、酵素だけではト
ルエン中での酸化活性はほとんど起こらなかったが、ペ
ルオキシダーゼ固定化したメソ多孔体では、これまで最
も有機溶媒中で優れた活性を示すといわれている糖脂質
による被覆酵素に比べても優れた活性をしめした。特に
FSM/M20に固定化したものでは活性が高かった。
【0066】上記の方法と同様にし、溶媒としてトルエ
ン20mlを用い、1,2−ジアミノベンゼンの濃度を5
0mMとし、使用したメソ多孔体中のペルオキシダーゼ酵
素の量を0.3mgとした。固定化酵素としては、実施例
3において作製したFSM16−19(細孔径5.0n
m;酵素固定量3.8%)及びFSM22−7(細孔径
6.5nm;酵素固定量2.8%)、並びに実施例1にお
いて作製したFSM18(細孔径3.2nm;酵素固定量
9.0%)を用い、さらにペルオキシダーゼのみを用い
た場合、及び酵素を添付しなかった場合についても反応
を行った。反応液の470nmでの吸光度(担体としての
FSM固体酸のバック値を引いたもの)を反応転化率の
標示とした。結果を図5に示す。
【0067】ペルオキシダーゼのサイズは4.6nmであ
り、これに近い細孔径を有するFSM16−19(細孔
径5.0nm)において最も反応性が高く、酵素のサイズ
より大きい細孔径を有するFSM22−7(細孔径6.
5nm)及び小さい細孔径を有するFSM18(細孔径
3.2nm)では反応性が低かった。
【0068】実施例17.液相吸着実験 種々の吸着材0.4に対して、0.1Mに調製した種々
の界面活性剤水溶を加えて、70℃の湯浴中で5時間攪
拌した。反応終了後、吸引ろ過、イオン交換水で洗浄、
45℃の乾燥器中で一晩放置した。界面活性剤の吸着量
は差動型示差熱天秤(TG/DTA)の測定から決め
た。TG/DTAは、実験から100℃まで20℃/mi
n の昇温速度で行い、25min 保持して吸着水を飛ばし
た後、同様に20℃/min の昇温速度で900℃まで行
った。界面活性剤の吸着量は、100℃から900℃ま
での減少量として見積もった。その際、各界面活性剤は
カチオンあるいはアニオンの状態の分子量で計算を行っ
た。結果を表5及び図6に示す。FSM−16ではカチ
オン性の界面活性剤の吸着量がMCM−41に比して4
〜5倍高い値を示し、他方アニオン性界面活性剤では大
きな差はなかった。
【0069】
【表5】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の超安定化酵素の構造の概念的
模式図である。
【図2】図2は、FSM に固定化した超安定化酵素の構造
を示した模式図である。
【図3】図3は、サチライシンのみ、及びFSM/M20-サチ
ライシンの有機溶媒耐性を示すグラフである。
【図4】図4は、ペルオキシダーゼを固定化した各種多
孔体を用いてトルエン中で酵素反応を行った場合の反応
経過を示すグラフである。
【図5】図5は、ペルオキシダーゼを固定化した各種多
孔体を用いてトルエン中で酵素反応を行った場合の反応
経過を示すグラフである。
【図6】図6は、本発明の多孔体への種々の界面活性剤
吸着量を示すグラフである。
【符号の説明】
1…構造ユニット 2…酵素又はその活性ユニット 3…アンカーユニット 4…基質
フロントページの続き (72)発明者 李 波 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 梶野 勉 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 臼杵 有光 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 Fターム(参考) 4B033 NA23 NA25 NA27 NA30 NB02 NB12 NB24 NB36 NB68 NC04 NC06 NC12 4B050 CC07 GG10 KK01 KK16

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構造安定性を有する構造ユニット中に酵
    素又は酵素の活性ユニットを固定した超安定化酵素。
  2. 【請求項2】 前記構造ユニットが均一な細孔を有する
    多孔質物質であることを特徴とする請求項1に記載の超
    安定化酵素。
  3. 【請求項3】 前記構造ユニットの多孔質物質の細孔径
    (直径) が2nm より大きいことを特徴とする請求項2に
    記載の超安定化酵素。
  4. 【請求項4】 前記構造ユニットの多孔質物質の細孔径
    (直径) が前記固定する酵素または酵素の活性ユニット
    の直径とほぼ同等であることを特徴とする請求項2に記
    載の超安定化酵素。
  5. 【請求項5】 前記構造ユニットが層状シリケートを経
    由して形成されるメソポーラスシリカ多孔体であること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の超安定
    化酵素。
  6. 【請求項6】 前記メソポーラスシリカ多孔体がFSM
    であることを特徴とする請求項5記載の超安定化酵素。
  7. 【請求項7】 前記構造ユニットの表面がアニオン性で
    あることを特徴とする請求項1記載の超安定化酵素。
  8. 【請求項8】 固定する力がvan der Waal
    s力であることを特徴とする請求項1記載の超安定化酵
    素。
  9. 【請求項9】 前記構造ユニットの多孔質物質の細孔径
    (直径)が30nmより小さいことを特徴とする請求項3
    に記載の超安定化酵素。
  10. 【請求項10】 前記構造ユニットの多孔質物質の細孔
    径(直径)が10nmより小さいことを特徴とする請求項
    3に記載の超安定化酵素。
  11. 【請求項11】 前記酵素が酸化還元酵素類、加水分解
    酵素類、脂質分解酵素類、および異性化酵素類からなる
    グループから選択された少なくとも1つであることを特
    徴とする請求項1〜10のいづれか1つに記載された超
    安定化酵素。
  12. 【請求項12】 前記酵素がペルオキシダーゼ、サチラ
    イシン、およびリパーゼからなるグループから選択され
    た少なくとも1つであることを特徴とする請求項11記
    載の超安定化酵素。
  13. 【請求項13】 前記構造ユニットが2つ以上の細孔分
    布のピークを有する多孔質物質であることを特徴とする
    請求項1に記載の超安定化酵素。
  14. 【請求項14】 前記酵素は、ほぼ同じ分子量および/
    またはほぼ同じ粒子サイズであり、種類が異なる2種以
    上の酵素であることを特徴とする請求項1〜10のいづ
    れか1つに記載された超安定化酵素。
  15. 【請求項15】 前記酵素は、分子量および/または粒
    子サイズが異なる2種以上の酵素であることを特徴とす
    る請求項13に記載された超安定化酵素。
  16. 【請求項16】 前記多孔質物質は、中心細孔直径に対
    し、半値幅が60%以下の細孔分布を有することを特徴
    とする請求項2に記載の超安定化酵素。
  17. 【請求項17】 前記多孔質物質は、中心細孔直径に対
    し、半値幅が60%以下の細孔分布を少なくとも1つ有
    することを特徴とする請求項13に記載の超安定化酵
    素。
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