JP2000133198A - レーザーイオン化質量分析装置 - Google Patents
レーザーイオン化質量分析装置Info
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- JP2000133198A JP2000133198A JP10306694A JP30669498A JP2000133198A JP 2000133198 A JP2000133198 A JP 2000133198A JP 10306694 A JP10306694 A JP 10306694A JP 30669498 A JP30669498 A JP 30669498A JP 2000133198 A JP2000133198 A JP 2000133198A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 超音速分子ジェットによる試料導入のレーザ
ーイオン化質量分析技術において、レーザー光発振器部
分に対する温度や湿度あるいは埃やちりの影響を防止で
きる装置を提供する。 【解決手段】 分子ジェットを形成するノズルを備えた
試料導入部と、パルスレーザー光発振器と、真空イオン
化室と、質量分析計を有するレーザーイオン化質量分析
装置において、パルスレーザー光発振器2は恒温槽1の
中に設置されており、恒温槽1は温度とともに湿度を一
定に保持する手段を備えていることを特徴とするレーザ
ーイオン化質量分析装置。さらに、恒温槽1が、ガスパ
ージ手段を備えていることを特徴とするレーザーイオン
化質量分析装置。
ーイオン化質量分析技術において、レーザー光発振器部
分に対する温度や湿度あるいは埃やちりの影響を防止で
きる装置を提供する。 【解決手段】 分子ジェットを形成するノズルを備えた
試料導入部と、パルスレーザー光発振器と、真空イオン
化室と、質量分析計を有するレーザーイオン化質量分析
装置において、パルスレーザー光発振器2は恒温槽1の
中に設置されており、恒温槽1は温度とともに湿度を一
定に保持する手段を備えていることを特徴とするレーザ
ーイオン化質量分析装置。さらに、恒温槽1が、ガスパ
ージ手段を備えていることを特徴とするレーザーイオン
化質量分析装置。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザー光の照射
により被測定物質である試料分子をイオン化し、そのイ
オンの質量スペクトルを測定して試料の質量分析を行う
レーザーイオン化質量分析装置に関するものである。
により被測定物質である試料分子をイオン化し、そのイ
オンの質量スペクトルを測定して試料の質量分析を行う
レーザーイオン化質量分析装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】石炭・重油をはじめとする燃焼排ガス、
都市ごみならびに産業廃棄物の焼却排ガス、プラスチッ
ク熱分解生成ガスなどには、微量ではあるが窒素酸化
物、硫黄酸化物、芳香族化合物、塩素系有機化合物、塩
素化芳香族化合物、その他ハロゲン系化合物などの化合
物が含有されており、多くの場合これらの複数が一緒、
すなわち混合状態で存在する。これらの化合物の迅速な
測定技術としては、測定対象化合物について検出の選択
性のあるレーザー多光子イオン化質量分析による方法が
原理的に優れている。
都市ごみならびに産業廃棄物の焼却排ガス、プラスチッ
ク熱分解生成ガスなどには、微量ではあるが窒素酸化
物、硫黄酸化物、芳香族化合物、塩素系有機化合物、塩
素化芳香族化合物、その他ハロゲン系化合物などの化合
物が含有されており、多くの場合これらの複数が一緒、
すなわち混合状態で存在する。これらの化合物の迅速な
測定技術としては、測定対象化合物について検出の選択
性のあるレーザー多光子イオン化質量分析による方法が
原理的に優れている。
【0003】混合ガス試料をレーザー多光子イオン化質
量分析で測定する例が、Analytical Che
mistry誌、第66巻、1062〜1069頁(1
994年)に紹介されている。すなわち、通常の試料導
入によるレーザー多光子イオン化質量分析技術では、分
子運動のため各々の化合物の紫外・可視領域の光の吸収
線が幅広であるので、単色光を照射しても複数の化合物
がイオン化する。したがって、特定の分子(化合物)の
みの分離・検出が不可能となる場合が多い。つまり、定
量に共存する他の化合物の影響を受けて、精度が低下す
る。
量分析で測定する例が、Analytical Che
mistry誌、第66巻、1062〜1069頁(1
994年)に紹介されている。すなわち、通常の試料導
入によるレーザー多光子イオン化質量分析技術では、分
子運動のため各々の化合物の紫外・可視領域の光の吸収
線が幅広であるので、単色光を照射しても複数の化合物
がイオン化する。したがって、特定の分子(化合物)の
みの分離・検出が不可能となる場合が多い。つまり、定
量に共存する他の化合物の影響を受けて、精度が低下す
る。
【0004】そこで、小さな孔径の試料導入バルブを通
してガス試料を真空のイオン化室に導入し、レーザーを
照射してイオン化し、質量分析計で測定する。これによ
り、ガス試料が断熱膨張し、絶対零度近くまで冷却され
るため、各々の化合物の分子の振動・回転が抑制され
る。
してガス試料を真空のイオン化室に導入し、レーザーを
照射してイオン化し、質量分析計で測定する。これによ
り、ガス試料が断熱膨張し、絶対零度近くまで冷却され
るため、各々の化合物の分子の振動・回転が抑制され
る。
【0005】この状態では、各々の化合物の紫外・可視
光の吸収線が鋭くなり、単色のレーザー光を利用して特
定の分子種を選択的にイオン化できる。すなわち、種々
の化合物が共存、つまり混合物として存在していても、
レーザーイオン化質量分析装置により特定の物質のみ選
択的に計測することができる。この方法は、導入した分
子の速度が音速の数十倍程度であることから超音速分子
ビーム分光分析、あるいは超音速分子ジェット分光分析
と呼ばれるときもある。また、この文献には標準的なレ
ーザー光照射時間は10nsと記載されている。
光の吸収線が鋭くなり、単色のレーザー光を利用して特
定の分子種を選択的にイオン化できる。すなわち、種々
の化合物が共存、つまり混合物として存在していても、
レーザーイオン化質量分析装置により特定の物質のみ選
択的に計測することができる。この方法は、導入した分
子の速度が音速の数十倍程度であることから超音速分子
ビーム分光分析、あるいは超音速分子ジェット分光分析
と呼ばれるときもある。また、この文献には標準的なレ
ーザー光照射時間は10nsと記載されている。
【0006】特開平10−69878号公報には、この
ようなレーザーイオン化質量分析装置の例として、超音
速分子ジェットによる試料導入のレーザー多光子イオン
化質量分析技術において、バックグランドを低減し、こ
れにより信号強度を増大する測定装置、および測定方法
が提案されている。
ようなレーザーイオン化質量分析装置の例として、超音
速分子ジェットによる試料導入のレーザー多光子イオン
化質量分析技術において、バックグランドを低減し、こ
れにより信号強度を増大する測定装置、および測定方法
が提案されている。
【0007】この技術の分析装置は、分子ジェットを形
成するパルスバルブを備えた試料導入部と、パルスレー
ザー光発振器と、該発振器から発せられたレーザー光が
通過しうる窓を有する真空イオン化室または相当する部
位と、該レーザー光によってイオン化された分子の質量
を分析する質量分析計を有している。さらに、真空イオ
ン化室については、その排気ポンプにターボ分子ポンプ
が使用されていると記載されている。
成するパルスバルブを備えた試料導入部と、パルスレー
ザー光発振器と、該発振器から発せられたレーザー光が
通過しうる窓を有する真空イオン化室または相当する部
位と、該レーザー光によってイオン化された分子の質量
を分析する質量分析計を有している。さらに、真空イオ
ン化室については、その排気ポンプにターボ分子ポンプ
が使用されていると記載されている。
【0008】特開平8−222181号公報には、共鳴
促進複数光子イオン化に基づく質量分析測定において、
感度が顕著に高いという方法と装置が提案されている。
この技術によれば、ノズルを通って真空中で膨張するキ
ャリヤーガスによってキャリヤーガスの分散流が発生
し、キャリヤーガス流のイオン化ゾーンにおいてサンプ
ル分子が光子を吸収して選択的にイオン化され、サンプ
ル分子イオンが生成する。このサンプル分子イオンは引
力電場によって質量分析計に引き込まれ、質量分析計で
測定される。
促進複数光子イオン化に基づく質量分析測定において、
感度が顕著に高いという方法と装置が提案されている。
この技術によれば、ノズルを通って真空中で膨張するキ
ャリヤーガスによってキャリヤーガスの分散流が発生
し、キャリヤーガス流のイオン化ゾーンにおいてサンプ
ル分子が光子を吸収して選択的にイオン化され、サンプ
ル分子イオンが生成する。このサンプル分子イオンは引
力電場によって質量分析計に引き込まれ、質量分析計で
測定される。
【0009】このようにこの技術は、キャリヤーガス流
中のサンプル分子を検出する方法・装置であり、キャリ
ヤーガス流の連続体ゾーン、キャリヤーガス流の分子ビ
ームゾーン、及び連続体ゾーンと分子ビームゾーンの間
の境界が求められ、サンプル分子が、この境界付近でイ
オン化される。具体的には、この境界のノズル出口開口
部からの距離(xT )が求められ、サンプル分子は約
0.5xT 〜約3xT の距離でイオン化されるというも
のである。
中のサンプル分子を検出する方法・装置であり、キャリ
ヤーガス流の連続体ゾーン、キャリヤーガス流の分子ビ
ームゾーン、及び連続体ゾーンと分子ビームゾーンの間
の境界が求められ、サンプル分子が、この境界付近でイ
オン化される。具体的には、この境界のノズル出口開口
部からの距離(xT )が求められ、サンプル分子は約
0.5xT 〜約3xT の距離でイオン化されるというも
のである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】一般に、レーザーイオ
ン化質量分析においては、特定の化合物を選択的に励起
・イオン化するために、極めて単色化されたレーザー光
が必要である。すなわち、波長精度の良い(スペクトル
幅の狭い)レーザー光を用いることが肝要である。
ン化質量分析においては、特定の化合物を選択的に励起
・イオン化するために、極めて単色化されたレーザー光
が必要である。すなわち、波長精度の良い(スペクトル
幅の狭い)レーザー光を用いることが肝要である。
【0011】しかしながら、一般には、レーザー発振器
を設置してある場所における気温(温度)、あるいは湿
度などの変動によって、レーザー光の波長にずれが生じ
る。つまり、温度の変化に伴うミラーを固定している台
の伸縮により、ミラーなどを用いて多数回反射させてい
るレーザー光の光路長が変わったり、湿度変化に伴い、
ミラーに曇りが生じたりしてレーザーの反射状態が変化
して波長のずれに繋がる。波長のずれを生じると、特定
の物質のみ選択的にイオン化する波長での励起・イオン
化ができなくなり計測不能となってしまうという問題が
あった。
を設置してある場所における気温(温度)、あるいは湿
度などの変動によって、レーザー光の波長にずれが生じ
る。つまり、温度の変化に伴うミラーを固定している台
の伸縮により、ミラーなどを用いて多数回反射させてい
るレーザー光の光路長が変わったり、湿度変化に伴い、
ミラーに曇りが生じたりしてレーザーの反射状態が変化
して波長のずれに繋がる。波長のずれを生じると、特定
の物質のみ選択的にイオン化する波長での励起・イオン
化ができなくなり計測不能となってしまうという問題が
あった。
【0012】また、レーザー光発振器を設置してある場
所において、埃やちりなどが存在することにより、レー
ザー発振器から発せられたレーザー光が埃やちりにぶつ
かり散乱し、レーザー光のパワーが減少、あるいは方向
が変化するという問題もあった。
所において、埃やちりなどが存在することにより、レー
ザー発振器から発せられたレーザー光が埃やちりにぶつ
かり散乱し、レーザー光のパワーが減少、あるいは方向
が変化するという問題もあった。
【0013】前述の特開平8−222181号公報記載
の技術では、レーザー光発振器の光軸等、光学系の幾何
学的配置については開示されているものの、温度や湿度
については言及されていない。また、埃やちりについて
も、対策は示されていない。これは、前述の特開平10
−69878号公報記載の技術についても同様であり、
従来技術では、レーザー光発振器の温度や湿度あるいは
埃やちりの影響を受け易いという問題があった。
の技術では、レーザー光発振器の光軸等、光学系の幾何
学的配置については開示されているものの、温度や湿度
については言及されていない。また、埃やちりについて
も、対策は示されていない。これは、前述の特開平10
−69878号公報記載の技術についても同様であり、
従来技術では、レーザー光発振器の温度や湿度あるいは
埃やちりの影響を受け易いという問題があった。
【0014】本発明は、このような問題点を解決するた
めになされたもので、超音速分子ジェットによる試料導
入のレーザーイオン化質量分析技術において、レーザー
光発振器部分に対する温度や湿度あるいは埃やちりの影
響を防止できる装置を提供することを目的とする。
めになされたもので、超音速分子ジェットによる試料導
入のレーザーイオン化質量分析技術において、レーザー
光発振器部分に対する温度や湿度あるいは埃やちりの影
響を防止できる装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記課題は、次の発明に
より解決される。
より解決される。
【0016】第1の発明は、分子ジェットを形成するノ
ズルを備えた試料導入部と、パルスレーザー光発振器
と、真空イオン化室と、質量分析計を有するレーザーイ
オン化質量分析装置において、パルスレーザー光発振器
は恒温槽の中に設置されており、この恒温槽は温度とと
もに湿度を一定に保持する手段を備えていることを特徴
とするレーザーイオン化質量分析装置である。
ズルを備えた試料導入部と、パルスレーザー光発振器
と、真空イオン化室と、質量分析計を有するレーザーイ
オン化質量分析装置において、パルスレーザー光発振器
は恒温槽の中に設置されており、この恒温槽は温度とと
もに湿度を一定に保持する手段を備えていることを特徴
とするレーザーイオン化質量分析装置である。
【0017】この発明は、レーザーイオン化質量分析装
置のパルスレーザー光発振器部分を、温度および湿度を
厳密に管理された恒温槽内に設置している。すなわち、
本発明に用いるレーザーイオン化質量分析装置は、パル
スバルブを備えた試料導入部により分子ジェットを形成
する。パルスレーザー光発振器から発せられたレーザー
光が、真空イオン化室または相当する部位に設けられた
窓を通過し、質量分析計では、レーザー光によってイオ
ン化された分子の質量を分析する。この発明では、パル
スレーザー光発振器部分が、温度および湿度を厳密に管
理された恒温槽内に設置されている。
置のパルスレーザー光発振器部分を、温度および湿度を
厳密に管理された恒温槽内に設置している。すなわち、
本発明に用いるレーザーイオン化質量分析装置は、パル
スバルブを備えた試料導入部により分子ジェットを形成
する。パルスレーザー光発振器から発せられたレーザー
光が、真空イオン化室または相当する部位に設けられた
窓を通過し、質量分析計では、レーザー光によってイオ
ン化された分子の質量を分析する。この発明では、パル
スレーザー光発振器部分が、温度および湿度を厳密に管
理された恒温槽内に設置されている。
【0018】分析の際は、この装置のパルスバルブを開
口させ、イオン化室の高真空を駆動力として超音速の分
子ジェットのレーザー多光子イオン化質量分析装置に測
定対象物質を導入する。イオン化室において、測定対象
物質のみが選択的にイオン化する波長の紫外レーザー光
を照射する。この際、この発明では、レーザー発振器部
分が温度および湿度が厳密に管理された恒温槽内に設置
されているため、波長精度の良い(スペクトル幅の狭
い)レーザー光が提供できる。
口させ、イオン化室の高真空を駆動力として超音速の分
子ジェットのレーザー多光子イオン化質量分析装置に測
定対象物質を導入する。イオン化室において、測定対象
物質のみが選択的にイオン化する波長の紫外レーザー光
を照射する。この際、この発明では、レーザー発振器部
分が温度および湿度が厳密に管理された恒温槽内に設置
されているため、波長精度の良い(スペクトル幅の狭
い)レーザー光が提供できる。
【0019】第2の発明は、恒温槽が、ガスパージ手段
を備えていることを特徴とする第1の発明のレーザーイ
オン化質量分析装置である。
を備えていることを特徴とする第1の発明のレーザーイ
オン化質量分析装置である。
【0020】この発明では、さらに、レーザー光発振器
部分が設置される恒温槽内が、防塵のために不活性ガス
等でパージされている。不活性ガス等で恒温槽内がパー
ジされていれているため、埃やちりを防ぐことが可能と
なり、レーザー光の散乱によるレーザーパワーの損失や
レーザー光の方向性変化も回避できる。その結果、測定
対象物質に対して、選択的に励起・イオン化するレーザ
ー光が照射できるので、後段の質量分析計で検出するこ
とができる。
部分が設置される恒温槽内が、防塵のために不活性ガス
等でパージされている。不活性ガス等で恒温槽内がパー
ジされていれているため、埃やちりを防ぐことが可能と
なり、レーザー光の散乱によるレーザーパワーの損失や
レーザー光の方向性変化も回避できる。その結果、測定
対象物質に対して、選択的に励起・イオン化するレーザ
ー光が照射できるので、後段の質量分析計で検出するこ
とができる。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の質量分析装置における試
料導入部は超音速分子ジェットを作り出せるようなノズ
ル(オリフィスを含む)を備えているものであれば連続
的な導入、パルス的な導入の何れでも構わないが、ポン
プなどの排気系に掛かる負担を勘定するとパルス的な導
入の方が好ましい。
料導入部は超音速分子ジェットを作り出せるようなノズ
ル(オリフィスを含む)を備えているものであれば連続
的な導入、パルス的な導入の何れでも構わないが、ポン
プなどの排気系に掛かる負担を勘定するとパルス的な導
入の方が好ましい。
【0022】パルスバルブは、エンジンの燃料噴射など
で使用されており、日本化学会編、第4版、実験化学講
座、第8巻、127〜129頁(1993年)に記載さ
れているように、通常、ばねでシール面に押さえつけら
れているプランジャーが、後方のソレノイド(電磁コイ
ル)への瞬間的な通電によって電磁気的に後方に引きつ
けられて、その間だけ開口するものがよく用いられる。
その他、Gentry−Gieseタイプのパルスバル
ブ、ピエゾ素子を用いたパルスバルブなども用いること
ができる。
で使用されており、日本化学会編、第4版、実験化学講
座、第8巻、127〜129頁(1993年)に記載さ
れているように、通常、ばねでシール面に押さえつけら
れているプランジャーが、後方のソレノイド(電磁コイ
ル)への瞬間的な通電によって電磁気的に後方に引きつ
けられて、その間だけ開口するものがよく用いられる。
その他、Gentry−Gieseタイプのパルスバル
ブ、ピエゾ素子を用いたパルスバルブなども用いること
ができる。
【0023】レーザー光発振器部分が設置される恒温槽
は、温度制御および湿度制御の両方の機能を備えていれ
ばよく、温度は室温程度および湿度が30〜50%程度
に制御できるものが好ましい。温湿度管理に必要な自動
給排水機能を備えているとさらに好ましい。
は、温度制御および湿度制御の両方の機能を備えていれ
ばよく、温度は室温程度および湿度が30〜50%程度
に制御できるものが好ましい。温湿度管理に必要な自動
給排水機能を備えているとさらに好ましい。
【0024】恒温槽内をパージする不活性ガスである
が、窒素あるいはヘリウムガス、アルゴンガスのような
希ガスなどがあげられる。パージ圧力は、外部からの埃
やちりの進入が防ぐことができればとくに限定されるも
のではない。
が、窒素あるいはヘリウムガス、アルゴンガスのような
希ガスなどがあげられる。パージ圧力は、外部からの埃
やちりの進入が防ぐことができればとくに限定されるも
のではない。
【0025】恒温槽は、レーザー光発振器部が十分収ま
る大きさであればとくに大きさは限定されるわけではな
いが、全体の装置システムを考慮すればできるだけレー
ザー光発振器部にあったコンパクトな大きさが好まし
い。
る大きさであればとくに大きさは限定されるわけではな
いが、全体の装置システムを考慮すればできるだけレー
ザー光発振器部にあったコンパクトな大きさが好まし
い。
【0026】パルスレーザー光発振器は、高出力のパル
スレーザー光を発振できればとくに限定されるものでは
ないが、例えばナノ秒オーダーのパルスレーザー光を発
振するものであれば、次のようなものを用いることがで
きる。つまり、チタンサファイアレーザー、あるいは色
素レーザーが最も一般的に使用される。
スレーザー光を発振できればとくに限定されるものでは
ないが、例えばナノ秒オーダーのパルスレーザー光を発
振するものであれば、次のようなものを用いることがで
きる。つまり、チタンサファイアレーザー、あるいは色
素レーザーが最も一般的に使用される。
【0027】これは、エキシマーレーザー、あるいはヤ
グレーザーをポンピング光源として用い、このレーザー
光をそのままあるいは倍波に変換して、チタンサファイ
アレーザーあるいは色素レーザーへ導入することによ
り、紫外領域の可変レーザー光を発振することができ
る。第二高調波を利用することで、排ガス中のダイオキ
シン類やクロロベンゼン類など、塩素化芳香族化合物を
選択的に励起・イオン化できる。
グレーザーをポンピング光源として用い、このレーザー
光をそのままあるいは倍波に変換して、チタンサファイ
アレーザーあるいは色素レーザーへ導入することによ
り、紫外領域の可変レーザー光を発振することができ
る。第二高調波を利用することで、排ガス中のダイオキ
シン類やクロロベンゼン類など、塩素化芳香族化合物を
選択的に励起・イオン化できる。
【0028】最近は光パラメトリック発振レーザーが市
販され、チタンサファイアレーザー光や色素レーザーの
代わりに、これを用いて発振することもできる。また、
フェムト秒オーダーのレーザー光については、大別して
XeClエキシマーレーザー励起フェムト秒パルス色素
レーザー、ならびに増幅用KrFエキシマーレーザーか
ら構成されるシステムで発振できる。
販され、チタンサファイアレーザー光や色素レーザーの
代わりに、これを用いて発振することもできる。また、
フェムト秒オーダーのレーザー光については、大別して
XeClエキシマーレーザー励起フェムト秒パルス色素
レーザー、ならびに増幅用KrFエキシマーレーザーか
ら構成されるシステムで発振できる。
【0029】これは、ナノ秒色素レーザーをクエンチン
グしてさらにショートキャビティーレーザーを励起し、
過飽和吸収体を通過させ、9psのパルスを発生する。
この光パルスは色素アンプで増幅し、分布帰還型色素レ
ーザーのポンプ光として用いる。最終的には、紫外線領
域の波長、フェムト秒オーダーで最大20mJ程度の出
力のパルスレーザー光が得られるものである。なお、フ
ェムト秒レーザー部の発振を遮ると、ナノ秒オーダーの
レーザー光も発振できる。
グしてさらにショートキャビティーレーザーを励起し、
過飽和吸収体を通過させ、9psのパルスを発生する。
この光パルスは色素アンプで増幅し、分布帰還型色素レ
ーザーのポンプ光として用いる。最終的には、紫外線領
域の波長、フェムト秒オーダーで最大20mJ程度の出
力のパルスレーザー光が得られるものである。なお、フ
ェムト秒レーザー部の発振を遮ると、ナノ秒オーダーの
レーザー光も発振できる。
【0030】レーザー光の集光については、なんら限定
されるものではなく、通常のビーム断面が円形、あるい
は特殊レンズ(シリンドリカルレンズ)を用いてできる
分子ジェットの断面に楕円状のビームなど種々の形状の
ものを用いることができる。照射時間については、通
常、数ナノ秒から数ピコ秒であるが、レーザーエネルギ
ーが同程度であればさらに短くしても良い。例えば、フ
ェムト秒領域のものでも構わない。
されるものではなく、通常のビーム断面が円形、あるい
は特殊レンズ(シリンドリカルレンズ)を用いてできる
分子ジェットの断面に楕円状のビームなど種々の形状の
ものを用いることができる。照射時間については、通
常、数ナノ秒から数ピコ秒であるが、レーザーエネルギ
ーが同程度であればさらに短くしても良い。例えば、フ
ェムト秒領域のものでも構わない。
【0031】イオン化室は高真空を形成しうる構造をし
ていて、レーザー光を透過する材質でつくられている窓
を設けてあればよい。真空イオン化室と質量分析計の真
空室が連設されて仕切がない場合もある。その場合、イ
オン化が行われる部位が真空イオン化室に相当する部位
になる。また、質量分析計としては、飛行時間型、四重
極型、二重収束型など何れの形式のものも用いることが
できる。
ていて、レーザー光を透過する材質でつくられている窓
を設けてあればよい。真空イオン化室と質量分析計の真
空室が連設されて仕切がない場合もある。その場合、イ
オン化が行われる部位が真空イオン化室に相当する部位
になる。また、質量分析計としては、飛行時間型、四重
極型、二重収束型など何れの形式のものも用いることが
できる。
【0032】イオン化室およびこれに隣接する質量分析
計には油回転ポンプ、メカニカルブースターポンプ、油
拡散ポンプ、ターボ分子ポンプなどを接続して10-6〜
10 -8torr程度に保持できるようにする。
計には油回転ポンプ、メカニカルブースターポンプ、油
拡散ポンプ、ターボ分子ポンプなどを接続して10-6〜
10 -8torr程度に保持できるようにする。
【0033】試料の導入については、通常、イオン化室
(または相当する部位)が10-6torr以下に保持さ
れているので、ガス状になっていさえいれば常圧付近の
圧力で十分である。また、これが駆動力になり導入され
るため、とくに加圧等の圧力調整はしなくてもよい。
(または相当する部位)が10-6torr以下に保持さ
れているので、ガス状になっていさえいれば常圧付近の
圧力で十分である。また、これが駆動力になり導入され
るため、とくに加圧等の圧力調整はしなくてもよい。
【0034】分子イオンの質量数決定と検出については
質量分析計を通常の作動状態で運転すればよく、記録に
ついては一般的なデジタルオシロスコープ、レコーダー
で行うことができる。
質量分析計を通常の作動状態で運転すればよく、記録に
ついては一般的なデジタルオシロスコープ、レコーダー
で行うことができる。
【0035】なお、本発明のレーザーイオン化質量分析
装置は多光子イオン化質量分析装置に限定されるもので
はなく、レーザー光発振器部分の波長変化および埃、ち
りの問題を生ずるレーザーイオン化質量分析装置に広く
適用できるものである。
装置は多光子イオン化質量分析装置に限定されるもので
はなく、レーザー光発振器部分の波長変化および埃、ち
りの問題を生ずるレーザーイオン化質量分析装置に広く
適用できるものである。
【0036】本発明の測定対象となるダイオキシン類
は、塩素が2〜8個のポリ塩化ジベンゾーp−ジオキシ
ン、ポリ塩化ジベンゾフラン等であり、その指標物質と
なるクロロベンゼン類に塩素が1〜6個のクロロベンゼ
ン、クロロフェノール類は塩素が1〜5個のクロロフェ
ノールである。
は、塩素が2〜8個のポリ塩化ジベンゾーp−ジオキシ
ン、ポリ塩化ジベンゾフラン等であり、その指標物質と
なるクロロベンゼン類に塩素が1〜6個のクロロベンゼ
ン、クロロフェノール類は塩素が1〜5個のクロロフェ
ノールである。
【0037】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説
明する。図1は、本発明のレーザー多光子イオン化質量
分析装置の一実施例を示す。1は恒温槽、2はレーザー
光発振器部および3はレーザー多光子イオン化質量分析
装置の本体、すなわちイオン化室と質量分析計である。
明する。図1は、本発明のレーザー多光子イオン化質量
分析装置の一実施例を示す。1は恒温槽、2はレーザー
光発振器部および3はレーザー多光子イオン化質量分析
装置の本体、すなわちイオン化室と質量分析計である。
【0038】恒温槽1は、温度、湿度ともに厳密に管理
されており、具体的な温度は10〜30℃、湿度は30
〜60%の範囲で一定値に設定されており、マイクロコ
ンピュータを用いた制御により厳密に管理されている。
また、内部はアルゴンガスあるいはその他の不活性ガス
によりパージされ、内部に外部からの埃やちりが進入す
ることを防ぐ構造となっている。
されており、具体的な温度は10〜30℃、湿度は30
〜60%の範囲で一定値に設定されており、マイクロコ
ンピュータを用いた制御により厳密に管理されている。
また、内部はアルゴンガスあるいはその他の不活性ガス
によりパージされ、内部に外部からの埃やちりが進入す
ることを防ぐ構造となっている。
【0039】サンプリング装置4は、ごみ焼却炉の煙道
(集塵器の下流)10から試料ガスを導くための装置
で、吸引ポンプ11を備えている。
(集塵器の下流)10から試料ガスを導くための装置
で、吸引ポンプ11を備えている。
【0040】レーザー多光子イオン化質量分析装置に連
設しているパルスバルブ12(例えばGeneralV
alve社製、P/N91−47−900型)を作動さ
せると、ダイオキシン類がイオン化室に導入される。し
たがって、例えば、2、7−ジクロロジベンゾジオキシ
ンが選択的にイオン化し、後段の質量分析計によって検
出される。ナノ秒オーダーでエネルギーが数mJのパル
スレーザー光は、Spectra−Physics社
製、MOPO−730型のレーザーシステムなどにより
発振できる。
設しているパルスバルブ12(例えばGeneralV
alve社製、P/N91−47−900型)を作動さ
せると、ダイオキシン類がイオン化室に導入される。し
たがって、例えば、2、7−ジクロロジベンゾジオキシ
ンが選択的にイオン化し、後段の質量分析計によって検
出される。ナノ秒オーダーでエネルギーが数mJのパル
スレーザー光は、Spectra−Physics社
製、MOPO−730型のレーザーシステムなどにより
発振できる。
【0041】イオン化室および質量分析計は、以下のも
のから構成されている。レーザー光を透過する窓を有し
ているイオン化室と、200l/sの排気速度のターボ
分子ポンプ、および質量分析計は長さ1200mmの飛
行管のリフレクトロンタイプの飛行時間型のもので、検
出器にマイクロチャンネルプレートを用いている。質量
分析計は同様のターボ分子ポンプを備えている。
のから構成されている。レーザー光を透過する窓を有し
ているイオン化室と、200l/sの排気速度のターボ
分子ポンプ、および質量分析計は長さ1200mmの飛
行管のリフレクトロンタイプの飛行時間型のもので、検
出器にマイクロチャンネルプレートを用いている。質量
分析計は同様のターボ分子ポンプを備えている。
【0042】
【発明の効果】以上のように、本発明技術によると、レ
ーザー光発振器部分が、温度・湿度を厳密に管理し、ま
た好ましくは内部を不活性ガスでパージしているので、
レーザー光の波長、強度および方向が一定となり、正し
い分析値を得られるという効果がある。
ーザー光発振器部分が、温度・湿度を厳密に管理し、ま
た好ましくは内部を不活性ガスでパージしているので、
レーザー光の波長、強度および方向が一定となり、正し
い分析値を得られるという効果がある。
【図1】発明の分析装置の一実施例を示す構成図。
1 恒温槽 2 レーザー光発振器 3 レーザー多光子イオン化質量分析装置 4 サンプリング装置 10 煙道 11 吸引ポンプ 12 パルスバルブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 近藤 隆明 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 5C038 GG07 GH10 GH15
Claims (2)
- 【請求項1】 分子ジェットを形成するノズルを備えた
試料導入部と、パルスレーザー光発振器と、真空イオン
化室と、質量分析計を有するレーザーイオン化質量分析
装置において、パルスレーザー光発振器は恒温槽の中に
設置されており、この恒温槽は温度とともに湿度を一定
に保持する手段を備えていることを特徴とするレーザー
イオン化質量分析装置。 - 【請求項2】 恒温槽が、ガスパージ手段を備えている
ことを特徴とする請求項1記載のレーザーイオン化質量
分析装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10306694A JP2000133198A (ja) | 1998-10-28 | 1998-10-28 | レーザーイオン化質量分析装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10306694A JP2000133198A (ja) | 1998-10-28 | 1998-10-28 | レーザーイオン化質量分析装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000133198A true JP2000133198A (ja) | 2000-05-12 |
Family
ID=17960192
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10306694A Pending JP2000133198A (ja) | 1998-10-28 | 1998-10-28 | レーザーイオン化質量分析装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000133198A (ja) |
-
1998
- 1998-10-28 JP JP10306694A patent/JP2000133198A/ja active Pending
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