JP2000131295A - 溶接部の非破壊検査装置 - Google Patents

溶接部の非破壊検査装置

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JP2000131295A
JP2000131295A JP10301545A JP30154598A JP2000131295A JP 2000131295 A JP2000131295 A JP 2000131295A JP 10301545 A JP10301545 A JP 10301545A JP 30154598 A JP30154598 A JP 30154598A JP 2000131295 A JP2000131295 A JP 2000131295A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶接部の割れやスラグ巻き込みなどの溶接欠
陥を打音により精度良く確実に検出することができる検
査装置を得る。 【解決手段】 溶接部1にハンマ2にて外力を加えて打
音を発生させた際の外力を加振力センサ11にて検出し
比率演算器15にて外力基準値との比率を求める。ま
た、溶接部1に発生した打音をマイクロホン3にて検出
し、アナログBPF5により各周波数帯域毎の時系列信
号に分離し、さらに整流してピークホールド7にて各周
波数帯域毎に瞬間的な最大値を抽出する。その最大値を
比率演算器15にて算出した比率で補正し、比較器9に
おいて予め設定された音圧基準値と比較して所定の関係
から外れたとき比較結果信号を出し、警報器18は比較
結果信号の数が3個以上の場合、警報する。複数の周波
数帯域毎の時系列信号の最大値を抽出して比較するの
で、緩みの状況を的確に検査できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、溶接部の割れや
スラグ巻き込みなどの欠陥を検査する装置に関し、特に
検査の信頼性を向上させることのできる溶接部の非破壊
検査装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】溶接構造物の溶接部の非破壊検査装置と
して、超音波探傷や磁気探傷などによる方法が広く用い
られている。また、打音により対象物の状態の検査を行
う打音検査装置として、例えば壁部のタイルの剥離の検
査を行う特開平6−3336号公報に示されたものがあ
る。これは、打撃装置によりタイルの貼り付けられた壁
を打撃し、発生する打撃音を検出して電気信号に変換
し、帯域フィルタを通して診断に関係する所定の周波数
帯域の成分を抽出する。この抽出された交流状態の信号
電圧の波高値が所定の基準値を超えていないかどうかを
検査し、超えた場合、画面表示装置に警報を出力する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、超音波
探傷による場合は平板状の欠陥は容易に検出できるが、
ブローホールのような球状の欠陥の検出能力は低い。ま
た、磁気探傷においては、適用対象が磁性を有するもの
に限定され、また乾式にしろ湿式にしろ磁性粉を用いな
ければならないので、操作性が悪い。また、従来の打音
検査装置においては、打撃により発生した音圧信号にお
ける周波数帯域の最大レベルの周波数、すなわち主成分
となる周波数の音圧を比較しているだけであるので、複
合周波数を特徴とする打音の検査では主成分以外の周波
数に異常の特徴が現れる場合には正確に異常を検出する
ことができなかった。
【0004】また、周波数帯域の最大レベルを評価対象
としているため、打音の特徴でもある、瞬間的に大きく
発生した音圧と余韻が長くレベルの低い音圧とを区別す
ることができないという問題があった。これらのため、
上記のような打音検査装置を溶接部の検査に適用しよう
としても、欠陥を的確に検出することは困難であった。
【0005】この発明は上記のような課題を解決するた
めになされたものであり、次のような溶接部の非破壊検
査装置を得ることを目的とする。 a.打撃により発生した振動の状態と基準状態と比較し
て検査の信頼性を向上させることができる。 b.安価で高速処理ができる。 c.小形化でき、条件の変更に柔軟に対応できる。
【0006】d.対象物に加えられる外力のばらつきの
影響を防止できる。 e.周囲からの騒音やノイズによる影響を防止できる。
また、さらなる改良として、 f.適正範囲を外れた外力を与えた場合や入力が適正レ
ンジを超えたことを知ることができる。 g.増幅器の増幅率を適切な値に容易に設定できる。 h.振動基準値を容易かつ的確に設定でき、検査の信頼
性を向上させることができる。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記のような目的を達成
するために、この発明にかかる溶接部の非破壊検査装置
においては、外力を加えられた溶接部から発生する振動
を振動信号として検出する信号検出手段と、振動信号を
複数の所定の周波数帯域毎の時系列信号に変換する変換
手段と、時系列信号の最大値を周波数帯域毎に抽出する
抽出手段と、各最大値をあらかじめ設定された周波数帯
域毎の振動基準値と比較する比較手段とを設けたもので
ある。振動信号を複数の周波数帯域毎の時系列信号に変
換し、この各時系列信号における最大値を各々抽出する
ので、振動信号の周波数分解能が向上するとともに、時
系列信号のなかから感度よく最大値を抽出できる。従っ
て、打撃の特徴でもある発生直後の大きな音あるいは振
動の特徴を的確に把握して比較を行うことができる。
【0008】また、変換手段は振動信号の所定の周波数
帯域の周波数成分を通過させる複数の帯域フィルタであ
り、抽出手段は各帯域フィルタを通過した周波数成分を
整流しこの整流された周波数成分の各ピーク値の内最大
のものを各々最大値として抽出するものであることを特
徴とする。変換手段を帯域フィルタとすると、処理を高
速に行うことができ、装置も簡易で、安価になる。特
に、アナログ帯域フィルタとすると、処理を高速化でき
る。デジタル帯域フィルタとすると、小形化でき、条件
の変更に柔軟に対応できる。また、抽出手段は整流され
た周波数成分から最大値を抽出するので、振動信号の負
符号部に最大値がある場合でも検出でき、振動信号が急
激に減衰する場合でも的確に比較できる。
【0009】さらに、変換手段は振動信号をウェーブレ
ット変換するウェーブレット変換手段であり、抽出手段
はウェーブレット変換手段による変換結果に基づき周波
数帯域毎の最大値を抽出するものであることを特徴とす
る。ウェーブレット変換手段とすると、各周波数帯域毎
の時系列信号に分離する際の特性を向上させることがで
き、検査の信頼性が向上する。
【0010】そして、変換手段は振動信号を短時間高速
フーリエ変換する短時間高速フーリエ変換手段であり、
抽出手段は短時間高速フーリエ変換手段による変換結果
に基づき周波数帯域毎の最大値を抽出するものであるこ
とを特徴とする。短時間高速フーリエ変換手段を用いる
と、周波数の分解能が向上する。
【0011】さらに、加えられた外力の大きさを検出す
る外力検出手段を設けるとともに、外力の大きさに応じ
て振動信号、時系列信号、最大値、及び振動基準値の少
なくとも1つを補正する補正手段を設けたことを特徴と
する。外力の大きさに応じて補正し、比較手段における
比較において外力の大きさのばらつきの影響を受けるの
を防止する。また、例えば周波数帯域毎に外力に応じて
異なる補正をすることにより、加えられた外力に応じて
周波数成分の分布が変化するような対象物に対しても高
い信頼度で比較できる。
【0012】また、加えられた外力の大きさを検出する
外力検出手段を設けるとともに、外力の大きさが所定値
を超えたとき信号検出手段、変換手段、抽出手段、及び
比較手段の少なくとも1つの動作の開始を指令する指令
手段を設けたことを特徴とする。指令が出されるまで動
作を開始しないので、指令がないときの周囲の騒音、振
動、雑音等を振動信号として誤って処理をするおそれが
ない。従って、これらによる影響を防止でき、検査の信
頼性が向上する。
【0013】さらに、加えられた外力の大きさを外力信
号として検出する外力検出手段を設けるとともに、外力
信号を予め設定された外力基準値にて除した比率を求め
る比率演算手段と、上記比率に基づき振動信号と時系列
信号と最大値と振動基準値とのうちの少なくとも1つを
補正することにより比較手段における最大値と振動基準
値との関係を変更する補正手段と、上記比率が所定範囲
内であるか否かを検査する比率検査手段とを設けたこと
を特徴とする。比率演算手段にて外力と外力基準値との
比率が所定範囲内であるか否か、つまり対象物に与える
外力、つまり加振力が小さすぎたり大きすぎたりしない
かを検査し、この範囲外となるような不適切な外力を与
えたことが判るようにする。加振力が小さすぎたり大き
すぎたりすると、対象物が発する振動の周波数特性が異
なる場合などに、誤った検査を防止できる。不適切な外
力を与えたことが判れば再度外力を与えればよいので、
それほど神経を使うことなく操作でき、操作性も向上す
る。
【0014】さらに、外力信号を増幅して増幅外力信号
として出力する外力信号増幅手段と振動信号を増幅して
増幅振動信号として出力する振動信号増幅手段とを設
け、比率演算手段を増幅外力信号を外力信号として用い
るものとし、変換手段を増幅振動信号を振動信号として
用いるものとし、増幅外力信号と増幅振動信号との少な
くとも一方の波高値が所定値を超えたことを検出するレ
ンジオーバ検出手段を設けたことを特徴とする。測定の
信頼性を確保するために、増幅外力信号や増幅振動信号
が所定値を超えたことを、すなわち外力信号増幅手段や
振動信号増幅手段が飽和するような大きな信号が入力さ
れたことを検出する。
【0015】また、外力信号増幅手段と振動信号増幅手
段との少なくとも一方の増幅率を自動的に設定する増幅
率自動設定手段を設けたことを特徴とする。増幅外力信
号や増幅振動信号が適切な出力範囲となるように増幅率
を容易に設定することができ、操作性が向上する。ま
た、S/N比の低下を防止でき検査の信頼性も向上す
る。
【0016】そして、比較手段は、所定の状態の溶接部
に外力が加えられたときに発生する振動信号に基づいて
設定された振動基準値に基づき比較を行うものであるこ
とを特徴とする。溶接部の状態に即した振動基準値を容
易に設定することができ、検査の信頼性が高くなる。
【0017】
【発明の実施の形態】実施の形態1.以下、この発明の
実施の一形態を図1に基づいて説明する。図1は溶接部
の非破壊検査装置の構成図である。1は鉄鋼構造物の溶
接部、2は溶接部1を打撃し打音を発生させるハンマで
ある。11はハンマ2に取り付けられ溶接部1に与えた
外力としての加振力を電気信号に変換する外力検出手段
としての加振力センサである。12は加振力センサ11
で変換された電気信号を増幅する増幅器、13は増幅器
12で増幅された信号を直流に変換する整流器である。
【0018】14は整流器から出力される直流信号の最
大値を保持するピークホールド、15はピークホールド
の出力と基準値設定器16に格納された外力基準値との
比率を求める比率演算器である。17は整流器13の出
力する直流信号からトリガを検出するトリガ検出器であ
る。
【0019】19は比率演算器15により求められた比
率を判定する比率判定器である。20はピークホールド
14から出力された最大値から増幅器12の増幅率を自
動的に設定するレンジ自動設定器である。21はピーク
ホールド14から出力された最大値からレンジオーバを
検出するレンジオーバ検出器である。
【0020】3はハンマ2に取り付けられ打撃された溶
接部が発する打音を電気信号に変換する信号検出手段と
してのマイクロホン、4はマイクロホン3で変換された
電気信号を増幅する増幅器である。5は増幅器4から得
られる信号を各周波数帯毎に分離する変換手段としての
アナログBPFである。このアナログBPF5は、例え
ば人間の可聴域である20Hz〜20kHzをほぼ網羅
すべく31.25Hz〜16kHzまでの9オクターブ
分を対象とし、1/3オクターブ毎の分解能を与えると
して全28バンド分設ける。
【0021】6はアナログBPF5から得られる各周波
数帯毎の信号を整流して直流に変換する整流器である。
7は整流器6からの出力の最大値を保持する抽出手段と
してのピークホールド、8は比率演算器15から得られ
る比率からピークホールド7が出力する最大値を補正す
る補正器である。9は補正器8の出力と基準値設定器1
0に格納された振動基準値としての音圧基準値とを所定
の方法で、つまり所定の比較基準で照らして比較する比
較器である。18は各比較器9からの比較結果を基に全
体の検査を行い異常であると検査したとき警報を出力す
る判定手段としての警報器である。
【0022】31は増幅器4で増幅された信号を直流に
変換する整流器である。32は整流器31からの出力の
最大値を保持するピークホールド、33はピークホール
ド32から出力された最大値から増幅器4の増幅率を自
動的に設定するレンジ自動設定器である。34はピーク
ホールド32から出力された最大値からレンジオーバを
検出するレンジオーバ検出器である。
【0023】次に動作として基準となる対象物、すなわ
ち欠陥がない健全な溶接部1によって外力基準値及び音
圧基準値を設定する基準値設定モードについて説明す
る。当該溶接部1に割れやブローホールなどの欠陥がな
いことは、例えば超音波探傷及びX線検査により確認し
ておく。
【0024】まず、増幅器4及び増幅器12の増幅率を
最小とする。この状態で健全な溶接部1をハンマ2によ
り打撃し、発生した打撃音をマイクロホン3で電気信号
に変換し、増幅器4、整流器31、ピークホールド32
によりアナログBPF5を通さない音圧信号の最大値を
求める。
【0025】この最大値をレンジ自動設定器33に入力
し適切な計測レンジとなるように増幅器4の利得を設定
する。同様に打撃によりハンマに発生した振動を加振力
センサ11で電気信号に変換した後、増幅器12、整流
器13(アナログBPF5を通していない)、ピークホ
ールド14により振動信号の最大値を求める、この最大
値をレンジ自動設定器20に入力し適切な計測レンジと
なるように増幅器12の利得を設定する。
【0026】適切な計測レンジとは、例えばこの実施の
一形態のように加振力の差による補正を行っており、そ
の範囲が1/2〜2倍だとすると基準値と比較して最大
で2倍の入力を受け付ける必要があるため、この基準値
設定モード時に入力される信号レベルが計測レンジの5
0%となるように利得を設定する。
【0027】このようにして基準値設定モードの最初の
1回目の打撃により振動、音両方の増幅率を設定する。
【0028】次に、ハンマ2により対象物として基準と
する先ほどの健全な溶接部1を打撃する。このときハン
マ2に発生した振動を加振力センサ11で電気信号に変
換し、増幅器12で、基準値設定モードの最初の1回目
の打撃により設定された利得を与える。この増幅された
信号は整流器13で直流に変換される。トリガ検出器1
7は整流器13からの直流信号とあらかじめ設定された
基準値と比較を行い、直流信号がこの基準値を超えたと
きトリガ出力を行う。
【0029】ピークホールド14は、整流器13から入
力される直流信号の最大値を記録する。このとき、ピー
クホールド14の動作開始はトリガ検出器17からのト
リガ信号により行われる。こうした最大値の記録は打撃
によるハンマの発生振動がある程度減衰するまでの一定
の時間行われ、その後ピークホールド14からの出力を
外力基準値として基準値設定器16に格納する。
【0030】同様に打撃により発生した音波をマイクロ
ホン3で電気信号に変換し、増幅器4で、基準値設定モ
ードの最初の1回目の打撃により設定された利得を与え
る。この増幅された音圧信号を複数個設けられ、それぞ
れ異なった周波数帯を通過させるように設定されたアナ
ログBPF5に入力し、各周波数帯毎の時系列信号に分
離する。
【0031】アナログBPF5で各周波数帯毎に分離さ
れた時系列信号は整流器6で直流信号に変換され、ピー
クホールド7に入力される。ピークホールド7の整流器
6からの直流信号の最大値記録動作は、トリガ検出器7
からのトリガ信号により開始し、振動用ピークホールド
14と同様に対象物の音圧減衰までの一定時間行われ
る。このようにして各周波数帯毎の瞬間的な最大値が記
録される。
【0032】音圧減衰までの一定時間終了後、ピークホ
ールド7により記録された周波数帯域ごとの最大値は音
圧基準値として基準設定器10に格納される。このよう
な基準値設定モードの動作により、基準値設定器16に
は打撃の強さを示す情報である外力基準値が格納され、
基準値設定器10には打音の各周波数帯における瞬間的
な最大音圧を示す情報である音圧基準値が格納される。
【0033】次に対象物の検査を行う検査モードについ
て説明する。まずハンマ2により検査対象物である溶接
部1を打撃する。このとき基準値設定モードの時と同様
に、ハンマ2に発生した振動を加振力センサ11で電気
信号に変換し、増幅器12で増幅すると共に整流器13
で直流に変換される。
【0034】トリガ検出器17も同様に整流器13から
の直流信号からトリガ出力を行い、ピークホールド14
はトリガ出力から振動減衰までの一定時間、直流信号の
最大値を記録する。検査モードの場合、振動減衰までの
一定時間終了後、ピークホールド14に記録された最大
値を比率演算器15に入力し、比率演算器15は、ピー
クホールド14からの最大値と基準値設定器16に格納
されている外力基準値との比率を演算し出力する。
【0035】打撃により発生した音波も基準値設定モー
ドと同様に、マイクロホン3で電気信号に変換すると共
に増幅器4で増幅し、アナログBPF5により各周波数
帯毎の時系列信号に分離し、整流器6で直流信号に変換
され、ピークホールド7に入力される。ピークホールド
7は、トリガ出力からの音圧減衰までの一定時間、直流
信号の最大値を記録する。
【0036】検査モードの場合、音圧減衰までの一定時
間終了後、ピークホールド7により記録された最大値を
補正器8に入力し、補正器8は比率演算器15から得ら
れる比率から適切な補正値を演算しこの補正値によりピ
ークホールド7から得られる最大値を補正し出力する。
【0037】このとき、例えば振動レベルと音圧の補正
を比例で行うとすると、基準値に対して2倍の比率が演
算で得られた場合、ピークホールド7に記録された最大
値に対して2の値で除算する。つまり基準値設定モード
時における加振力に対して検査モード時の加振力が2倍
になれば、発生する各周波数帯域毎の音圧も2倍に増加
しているものとして得られた最大値を基準値設定モード
時の加振力に換算するために2で除算する。
【0038】このようにして補正された最大値は、比較
器9で基準値設定器10に格納された音圧基準値と所定
の方法あるいは所定の比較基準に基づいて比較される。
この実施の形態では、補正された最大値があらかじめ設
定された所定の関係から外れた場合に比較結果信号を警
報器18に出力する。
【0039】このときの所定の関係とは、例えばあるバ
ンドにおいては、補正された最大値がそのバンドの音圧
基準値に対して、例えば80%〜120%の範囲内であ
るとき正常、この範囲から外れたときは範囲外とし比較
結果信号を出力するように比較基準を設定しておく。ま
た、他の、あるバンドにおいてはそのバンドの音圧基準
値に対して、例えば70%〜110%の範囲内を正常と
して比較結果信号は出さず、範囲外のとき比較結果信号
を出すように比較基準を設定しておく。
【0040】さらに、音圧基準値が全体的な音圧に比べ
て小さい場合には、範囲の下限を解除する等の処置によ
り主成分で無い周波数帯域において誤って比較結果信号
を出さないようにする。
【0041】警報器18は、各周波数帯における比較器
9からの比較結果信号を入力し、比較結果信号があらか
じめ設定された個数、例えば2個を超えると異常と判定
するように判定基準が定められ、異常と判定されたとき
外部に警報出力する。
【0042】比率判定器19は比率演算器15により求
められた比率が所定の関係を超えた時に補正範囲外警報
を出力する。この時の所定の関係とは、例えば1/2倍
〜2倍として設定しておく。すると1/2未満や2倍を
超える入力があった場合に補正範囲外警報が出力され
る。
【0043】加振力が極端に変化すると発生する音の周
波数成分は大きく変化するため補正が困難となる。この
溶接部の検査の場合のように、加振力が極端に弱い場合
や極端に強い場合には、検査目的である溶接部の欠陥と
は関係の無い音が発生し、検査の信頼性を大きく低下さ
せることとなる。しかし、このように加振力による補正
に範囲の制限を設けることにより、加振力が極端に変化
した場合に発生する打撃音の周波数特性が変化する対象
物に対しても確実に検査でき、加振力の極端な変化によ
る誤検査を防止することができる。
【0044】なお、補正は、振動信号の大きさに応じて
波形分析結果と音圧基準値、つまり比較器9における基
準値設定器10に記憶されている音圧基準値との関係を
補正すればよいので、増幅器12の出力、各アナログB
PF5の出力、整流器6の出力、あるいは基準値設定器
10に記憶されている音圧基準値などのうちの一つある
いは複数を補正するようにしてもよい。
【0045】また、加振力センサ11にて検出される振
動の大きさが所定値を超えたときに、ピークホールド1
4、抽出手段としてのピークホールド7に動作の開始を
指令するトリガ検出器17を設けたので、周囲からのノ
イズ等の影響を軽減し、検査の信頼性を向上させること
ができる。
【0046】なお、トリガ検出器17のトリガ信号をピ
ークホールド7に与えるものを示したが、マイクロホン
3、増幅器4、変換手段としてのアナログBPF5、整
流器6、補正手段としての補正器8、比較手段としての
比較器9等に与えて最大値の記憶動作の開始あるいは比
較動作の開始等をするようにしても同様の効果を奏す
る。
【0047】基準値設定モード、検査モードの各モード
時においてレンジオーバ検出器21は、振動信号につい
てピークホールド14から得られる最大値を入力し、最
大値が所定の関係を超えたときにレンジオーバ警報を出
力する。レンジオーバ検出器34は、音の信号について
ピークホールド7から得られる最大値を入力し、計測信
号が所定の関係を超えたときにレンジオーバ警報を出力
する。
【0048】この時の所定の関係とは、例えば計測レン
ジの99%として設定しておく。この場合、99%を超
えた信号が入力されるとレンジオーバ警報が出力され
る。
【0049】また、基準値設定モード時の最初の1回目
の打撃で適切な計測レンジを設定することにより、手動
で計測レンジを設定する煩わしさが無くなり、操作性が
向上する。さらに、手動で設定する際にはレンジが適切
でない場合にはS/N比が低下し、検査の信頼性が低下
するが、自動で適切なレンジに設定されるためこのよう
なことは発生せず、検査の信頼性を向上させた打音検査
装置を得ることが可能となる。
【0050】また、各信号の入力が飽和する直前でレン
ジオーバ警報を出力することで、増幅器の飽和による誤
判定を防止し、検査の信頼性を向上させた打音検査装置
を得ることが可能となる。なお、アナログBPFを用い
ることで検査を高速に行うことが可能となる。
【0051】実施の形態2.図2は、この発明の他の実
施の形態を示す溶接部の非破壊検査装置の構成図であ
る。図2において、次の点が図1に示したものと異なる
が、他の構成については図1に示したものと同様のもの
である。ピークホールド7で抽出された各周波数帯域毎
の音圧の最大値は補正器8にて補正された後、基準設定
器10へ入力される点、及び基準設定器10は入力され
た最大値の平均値を周波数帯域ごとに求めこれを音圧基
準値とするとともに、最大値のばらつきの範囲を求め、
そのばらつきの範囲に基づき比較基準を決定する機能を
有している点が異なる。
【0052】次に、動作について説明する。まず、健全
な任意の溶接部1をハンマ2にて打撃する。このときハ
ンマ2に発生した振動を加振力センサ11で溶接部1に
加えた外力として検出して電気信号に変換し、ピークホ
ールド14にて最大値を抽出する。ピークホールド14
にて抽出された最大値は、基準設定器16に外力基準値
として記憶する。このとき、比率演算器15は比率1を
出力する。これらは、図1の実施の形態で示したものと
同様である。溶接部1の健全性は、実施の形態1で述べ
たのと同様にX線検査や磁気探傷、超音波探傷等により
確認しておく。
【0053】一方、ピークホールド7により抽出された
音圧信号の最大値は、上記比率演算器15が出力する比
率が1であるので補正器8をそのまま通過し基準設定器
10に入力され、音圧基準値として記憶される。
【0054】次に、音圧信号の最大値の平均値を求めこ
れを音圧基準値とする。また、最大値のばらつきを求め
る。健全性が完全には担保されてはいないが欠陥のない
健全と思われる溶接部1をその溶接部に沿って100箇
所選んで打撃し、100個のデータを得る。打撃毎に得
られる音圧の最大値、すなわちピークホールド7にて抽
出された各周波数帯域毎の最大値は、補正器8にて比率
演算器15がその都度算出する比率にて補正され、基準
値設定器10に記憶される。すなわち、比率が1.2な
らば、今回の加えられた外力は先に基準設定器16に外
力基準値を記憶させたときの外力の1.2倍であったと
して、1.2で除して正規化する。このようにして、各
周波数帯域毎に100個のデータを得る。
【0055】そして、その最大値の平均値及び最大値の
ばらつきの範囲、標準偏差σを各周波数帯域毎に求め
る。そして、標準偏差σの3倍をはみ出すデータがある
場合は、欠陥があるとして、このデータを除外して、再
び最大値の平均値を求めこれを音圧基準値とし、またば
らつきの範囲を求める。例えば、周波数帯域番号A1に
おいては、音圧基準値を100として95〜110、周
波数帯域番号A2においては90〜105のごとく、以
下全28帯域についてそのばらつきの範囲を求める。こ
のようにすれば、溶接部の欠陥があるデータを音圧基準
値や比較基準に取り込むことを防止できる。なお、基準
値設定モードで得られる正常データのばらつきを超える
ケースもあり得ると予想される場合には±10%程度の
余裕を持つなどして誤判定を防止しても良い。
【0056】そして、上記のようにして定めたばらつき
の範囲内ならば比較器9は比較結果信号を出さず、これ
をはみ出せば比較結果信号を警報器18に出力するよう
に比較基準を定める。
【0057】警報器18においては、正常であっても上
記100個の溶接部から得られたデータからはみ出す可
能性もあるとして、比較結果信号が1個出されただけで
は異常と検査せず、3個以上の時に異常と検査して、警
報するように判定基準を定める。
【0058】以上のように、健全と思われる溶接部を打
撃して十分な個数のデータから振動信号の周波数帯域毎
の時系列信号の最大値のばらつきの範囲を求め、これを
基準にして比較を行えば、溶接部のしかるべき欠陥があ
ると上記周波数帯域のどこかで異常が現れ比較基準から
はみ出すので、確実に欠陥を検出できる。なお、上記の
ような方法で設定した比較基準を、さらに後の実際の検
査において得られたデータによって修正し、学習させる
こともできる。
【0059】実施の形態3.実施の形態1では各周波数
帯域毎の最大値を求めるのに、アナログBPFを用いた
が、デジタルBPFを用いてもよい。この実施の形態で
はデジタルBPFを用いた場合について図3の構成図に
基づいて説明する。図3において、51は整流器13か
らのアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換
器、52は増幅器4からのアナログ信号をデジタル信号
に変換するA/D変換器である。53はA/D変換器5
1の出力の最大値を演算する最大値演算器である。
【0060】61はデジタル信号を各周波数帯域毎の時
系列信号に変換する変換手段としてのデジタルBPFで
ある。デジタルBPF61は、例えば図1の実施の形態
と同様に人間の可聴域である20〜20,000Hzを
ほぼ網羅すべく31.25〜16,000Hzまでの9
オクターブ分を対象とし、1/3オクターブ毎の分解能
を与えるとして全28バンド分設ける。62はデジタル
BPFからの交流信号を整流する整流器、63は整流さ
れたデジタル信号から最大値を抽出する抽出手段として
の最大値演算器である。
【0061】64は補正器であり、比率演算器15から
得られる比率により最大値演算器63が出力する最大値
を補正して補正値を出力する。65は比較器であり、補
正器64の出力と基準値設定器66に格納された音圧基
準値とを所定の方法で比較する。なお、整流器62、ピ
ークホールド回路63、補正器64、比較器65、基準
値設定器66は全28バンド分設けられたデジタルBP
F61にそれぞれ対応して28個設けられている。
【0062】41は最大値演算器であり、整流器31に
より整流されたA/D変換器52からのデジタル信号か
ら最大値を抽出する。その他の構成については、図1に
示されたものと同様のものであるので、相当するものに
同一符号を付して説明を省略する。
【0063】次に動作を説明する。まず、基準となる対
象物を用いて各基準値を設定する基準値設定モードにつ
いて説明する。A/D変換器51は、整流器13からの
アナログの直流信号をデジタル信号に変換する。このと
き、A/D変換器51はトリガ検出器17からのトリガ
信号を受けて動作を開始し、打撃によるハンマ2の発生
振動が所定値以下に減衰するまでの一定の時間継続して
行われる。最大値演算器53は、A/D変換器51から
デジタル信号の最大値を抽出し、この最大値が基準値設
定器16に外力基準値として収納される。
【0064】同様に、打撃により発生した音波は、マイ
クロホン3で電気信号に変換され、増幅器4で適当な利
得を与えらえれた後、A/D変換器52でデジタル信号
に変換される。このとき、A/D変換器52はトリガ検
出器17からのトリガ信号により動作を開始し、打撃に
よる対象物の発生音圧が所定値以下に減衰するまでの一
定時間の間動作する。この変換されたデジタル信号は、
それぞれ異なった周波数帯域を通過させるように設定さ
れた28個のデジタルBPF61に入力され、各周波数
帯域毎の時系列信号に分離される。
【0065】デジタルBPF61で各周波数帯域毎に分
離された時系列信号は整流器62で直流信号に変換さ
れ、最大値演算器63に入力される。最大値演算器63
は、この直流信号の最大値を抽出し、基準値設定器66
に格納する。このようにして各周波数帯域毎の瞬間的な
最大値が抽出され、音圧基準値として基準値設定器66
に格納される。
【0066】このような基準値設定モードの動作によ
り、基準値設定器16には打撃の強さを示す情報である
外力基準値が格納され、基準値設定器66には打音の各
周波数帯域における瞬間的な最大音圧を示す情報である
音圧基準値が格納される。
【0067】次に対象物の検査を行う検査モードについ
て説明する。まずハンマ2により対象物である溶接部1
を打撃する。このとき基準値設定モードの時と同様に、
ハンマ2に発生した振動を加振力センサ11で電気信号
に変換し、増幅器12で増幅すると共に整流器13で直
流に変換する。トリガ検出器17も同様に整流器13か
らの直流信号からトリガ信号を出力し、A/D変換器5
1はトリガ出力から振動減衰までの一定時間、直流信号
をデジタル信号に変換する。最大値演算器53はデジタ
ル信号の最大値を抽出し出力する。
【0068】検査モードの場合、最大値演算器53によ
り抽出された最大値は比率演算器15に入力され、比率
演算器15は、最大値と基準値設定器16に格納されて
いる外力基準値との比率を演算し出力する。
【0069】打撃により発生した音波も基準値設定モー
ドと同様に、マイクロホン3で電気信号に変換すると共
に増幅器4で増幅し、A/D変換器52によりデジタル
信号に変換される。このときA/D変換器52の動作は
トリガ検出器17からのトリガ信号により開始され、音
圧減衰までの一定時間行われる。デジタル信号はデジタ
ルBPF61により各周波数帯域毎の時系列信号に分離
され、整流器62で直流信号に変換され、最大値演算器
63に入力される。最大値演算器63は、直流信号の最
大値を抽出し出力する。
【0070】検査モードの場合、最大値演算器63によ
り抽出された最大値は補正器64に入力され、補正器6
4は比率演算器15から得られる比率に基づき適切な補
正値を演算し最大値演算器63から得られる最大値を補
正し出力する。
【0071】補正された最大値は、比較器65で基準値
設定器66に格納された音圧基準値と比較され、あらか
じめ設定された所定の関係から外れた場合に比較結果信
号が警報器18に出力される。設定する所定の関係は、
図1に示した実施の形態と同様に、例えばあるバンドに
おいては、補正された最大値がそのバンドの音圧基準値
に対して80%〜120%の範囲内であるとき正常とし
て比較結果信号は出さず、この範囲から外れたとき、す
なわち80%未満及び120%超のとき異常として比較
結果信号を出力するように設定しておく。また、他の、
あるバンドにおいてはそのバンドの音圧基準値に対して
70%〜110%から外れたとき範囲外として比較結果
信号を出すように設定しておく。
【0072】また、音圧基準値が全体的な音圧に比べて
小さい場合には、下限側の比較を解除する等の処置によ
り主成分で無い周波数帯域において誤って比較結果信号
を出さないようにする。警報装置18は、入力された比
較結果信号があらかじめ設定された数、例えば2個を超
えると報知要としてブザーを鳴らすとともにランプを点
滅して警報する。
【0073】このように各周波数帯域毎の時系列信号を
求める手法としてデジタルBPF61を用いることで装
置を小型化できるとともに、ソフトウェア(S/W)で
処理するためフィルタ特性の変更や診断する周波数帯域
の追加などに柔軟に対応することが可能である。
【0074】実施の形態4.図4は、さらにこの発明の
他の実施の形態を示す溶接部の非破壊検査装置の構成図
である。図3の実施の形態では各周波数帯域毎の最大値
を求めるのに、デジタルBPFを用いたが、ウェーブレ
ット変換(Wavelet Transform)を用
いてもよい。以下、ウェーブレット変換を用いた場合に
ついて図4の構成図に基づいて説明する。
【0075】この実施の形態においては、ウェーブレッ
ト変換演算器71を設け、各周波数帯域毎の時系列信号
を求めるようにしたものであり、その他の動作は、図3
の実施の形態と同様である。なお、ウェーブレット変換
は、その解析演算により実効値を算出するので、整流手
段を設ける必要はない。
【0076】図において、71は変換手段としてのウェ
ーブレット変換(WaveletTransform)
演算器であり、基底関数(マザーウェーブレット)を拡
大あるいは縮小することにより、デジタル音圧信号を各
周波数帯域毎の時系列信号に分離する。ウェーブレット
変換された信号は、28組設けられた最大値演算器6
3、補正器64、比較器65に入力される。
【0077】比較器65は、図1や図3に示されたもの
と同様に基準値設定器66に格納された音圧基準値と比
較され、あらかじめ設定された所定の関係に該当する場
合に比較結果信号を警報器18に出力する。
【0078】この際に、測定波形や観測したい現象に合
わせて適切な基底関数を選択することにより周波数の分
離特性が向上し、検査の信頼性を向上させることができ
る。また、ウェーブレット変換演算器を用いることで装
置を小型化することができる。
【0079】実施の形態5.図5は、さらにこの発明の
他の実施の形態を示す溶接部の非破壊検査装置の構成図
である。図3の実施の形態では各周波数帯域毎の最大値
を求めるのに、デジタルBPFを用いたが、短時間FF
Tを用いてもよい。以下、短時間FFTを用いた場合に
ついて図5に基づいて説明する。この実施の形態におい
ては、短時間FFT演算器81を設け、各周波数帯域毎
の時系列信号を求めるようにしたものである。
【0080】その他の動作は、図3に示した実施の形態
と同様である。なお、短時間FFTは、その解析演算に
より実効値を算出するため、整流手段を設ける必要はな
い。図5において、81は変換手段としての短時間FF
T(STFT:Short−Time Fourier
−Transform)演算器であり、各周波数帯域毎
の時系列信号を求めるようにしたものである。
【0081】このようにフーリエ変換器である短時間F
FT演算器81を設けて各周波数帯域毎の時系列信号を
求めることにより、周波数の分解能を向上させることが
できる。
【0082】従って、短時間FFTの優れた分解能を利
用して、溶接部の構成により周波数の変化に特徴が現れ
るといった場合に診断の信頼性を向上させることができ
る。また、短時間FFT演算器を用いることで装置を小
型化することができる。
【0083】また、上記各実施の形態においてはハンマ
で外力を加えるものを示したが、他の手段により外力を
加えるもの、例えば電磁波やシリンダ等により加振力を
与えるものであってもよい。
【0084】上記各実施の形態においては、外力を加振
力センサ11にて検出し、打撃音をマイクロホン3で検
出するものを示したが、打撃音についてマイクロホンの
代わりに振動検出器を用いてもよい。なお、上記各実施
の形態においては、可聴周波数のものを音、これより広
い周波数範囲のものを振動と呼んでいるが、この発明に
おいては、検査装置は音によるものに限らず、音と振動
を区別せず、振動によるものを含むものである。
【0085】なお、警報器18により警報するものを示
したが、このような検査における各信号や演算された
値、例えば図1の実施の形態において設定器10に記憶
された各音圧基準値及び比較器9に設定された比較の基
準となる正常及び異常とする範囲、比率演算器15によ
り算出された補正値、検査における各補正器8からの補
正された最大値等を点や帯状にCRTに表示し、かつ範
囲外となったものは赤色等で色分けするなどして、容易
に確認できるようにして、操作性を向上させることもで
きる。
【0086】補正器8により補正された最大値を正常範
囲に重ねて図示し、視覚的に把握できるようにすること
もできる。このとき、比較結果が所定の関係から外れた
場合は、そのとき検出された最大値を赤色で表示する等
してもよい。
【0087】また、実施の形態3〜5に示した音圧基準
値、比較基準の代りに、実施の形態2に示したものと同
様の定め方により求めた音圧基準値、比較基準を用いる
こともできる。
【0088】
【発明の効果】本発明は、以上に説明したように構成さ
れているので、次に記載するような効果を奏する。
【0089】外力を加えられた溶接部から発生する振動
を振動信号として検出する信号検出手段と、振動信号を
複数の所定の周波数帯域毎の時系列信号に変換する変換
手段と、時系列信号の最大値を周波数帯域毎に抽出する
抽出手段と、各最大値をあらかじめ設定された周波数帯
域毎の振動基準値と比較する比較手段とを設けたので、
打音の特徴でもある発生直後の大きな音圧の周波数分布
を的確に把握でき、比較の信頼性を向上させることがで
きる。
【0090】また、変換手段は振動信号の所定の周波数
帯域の周波数成分を通過させる複数の帯域フィルタであ
り、抽出手段は各帯域フィルタを通過した周波数成分を
整流しこの整流された周波数成分の各ピーク値の内最大
のものを各々最大値として抽出するものであることを特
徴とするので、変換手段を帯域フィルタとすると、処理
を高速に行うことができ、装置も簡易で、安価になる。
また、抽出手段は整流された周波数成分から最大値を抽
出するので、振動信号の負符号部に最大値がある場合で
も検出でき、振動信号が急激に減衰する場合でも的確に
比較できる。
【0091】さらに、変換手段は振動信号をウェーブレ
ット変換するウェーブレット変換手段であり、抽出手段
はウェーブレット変換手段による変換結果に基づき周波
数帯域毎の最大値を抽出するものであることを特徴とす
るので、各周波数帯域毎の時系列信号に分離する際の特
性を向上させることができ、比較及び検査の信頼性を向
上させることが可能となる。
【0092】そして、変換手段を短時間高速フーリエ変
換手段とし、抽出手段を短時間高速フーリエ変換手段に
よる変換結果に基づき周波数帯域毎の最大値を抽出する
ものとしたので、周波数の分解能を向上させることがで
きる。
【0093】さらに、加えられた外力の大きさを検出す
る外力検出手段を設けるとともに、外力の大きさに応じ
て振動信号、時系列信号、最大値、及び振動基準値の少
なくとも1つを補正する補正手段を設けたことを特徴と
するので、外力の大きさに応じて補正することにより、
比較手段における比較において外力の大きさのばらつき
の影響を受けるのを防止でき、比較の信頼性が向上す
る。
【0094】また、加えられた外力の大きさを検出する
外力検出手段を設けるとともに、外力の大きさが所定値
を超えたとき信号検出手段、変換手段、抽出手段、及び
比較手段の少なくとも1つの動作の開始を指令する指令
手段を設けたことを特徴とし、指令が出されるまで動作
を開始しないので、指令がないときの周囲の騒音、振
動、雑音等を振動信号として誤って処理をするおそれが
ない。従って、これらによる影響を防止でき、検査の信
頼性が向上する。
【0095】さらに、加えられた外力の大きさを外力信
号として検出する外力検出手段を設けるとともに、外力
信号を予め設定された外力基準値にて除した比率を求め
る比率演算手段と、上記比率に基づき振動信号と時系列
信号と最大値と振動基準値とのうちの少なくとも1つを
補正することにより比較手段における最大値と振動基準
値との関係を変更する補正手段と、上記比率が所定範囲
内であるか否かを検査する比率検査手段とを設けたこと
を特徴とするので、所定範囲外となるような不適切な外
力を与えたことが判り、比較の信頼性を向上させること
ができる。
【0096】さらに、外力信号を増幅して増幅外力信号
として出力する外力信号増幅手段と振動信号を増幅して
増幅振動信号として出力する振動信号増幅手段とを設
け、比率演算手段を増幅外力信号を外力信号として用い
るものとし、変換手段を増幅振動信号を振動信号として
用いるものとし、増幅外力信号と増幅振動信号との少な
くとも一方の波高値が所定値を超えたことを検出するレ
ンジオーバ検出手段を設けたことを特徴とするので、増
幅外力信号や増幅振動信号が所定値を超えたことを、す
なわち外力信号増幅手段や振動信号増幅手段が飽和する
ような大きな信号が入力されたことを検出して、検査の
信頼性の確保が可能となる。
【0097】また、外力信号増幅手段と振動信号増幅手
段との少なくとも一方の増幅率を自動的に設定する増幅
率自動設定手段を設けたことを特徴とするので、増幅外
力信号や増幅振動信号が適切な出力範囲となるように増
幅率を容易に設定することができ、操作性が向上する。
また、S/N比の低下を防止でき検査の信頼性も向上す
る。
【0098】そして、比較手段は、所定の状態の溶接部
に外力が加えられたときに発生する振動信号に基づいて
設定された振動基準値に基づき比較を行うものであるこ
とを特徴とするので、溶接部の状態に即した振動基準値
を容易に設定することができ、検査の信頼性を向上させ
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の一形態である溶接部の非破
壊検査装置の構成図である。
【図2】 この発明の他の実施の形態である溶接部の非
破壊検査装置の構成図である。
【図3】 さらに、この発明の他の実施の形態である溶
接部の非破壊検査装置の構成図である。
【図4】 さらに、この発明の他の実施の形態である溶
接部の非破壊検査装置の構成図である。
【図5】 さらに、この発明の他の実施の形態である溶
接部の非破壊検査装置の構成図である。
【符号の説明】
1 溶接部、2 ハンマ、3 マイクロホン、4 増幅
器、5 アナログBPF、6 整流器、7 ピークホー
ルド回路、8 補正器、9 比較器、10 基準値設定
器、11 加振力センサ、12 増幅器、13 整流
器、14 ピークホールド、15 比率演算器、16
基準値設定器、17 トリガ検出器、18 警報器、1
9 比率判定器、20 レンジ自動設定器、21 レン
ジオーバ検出器、31 整流器、32 ピークホール
ド、33 レンジ自動設定器、34 レンジオーバ検出
器、41 最大値演算器、51,52 A/D変換器、
53 最大値演算器、61 デジタルBPF、62 整
流器、63 最大値演算器、64 補正器、65 比較
器、66 基準値設定器、71 ウェーブレット変換演
算器、81 短時間FFT演算器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2G047 AB07 BA04 BC04 BC07 CA03 CA07 EA11 GG09 GG10 GG12 GG16 GG17 GG24 GG33 GG41 GH04 GH05

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外力を加えられた溶接部から発生する振
    動を振動信号として検出する信号検出手段と、上記振動
    信号を複数の所定の周波数帯域毎の時系列信号に変換す
    る変換手段と、上記時系列信号の最大値を上記周波数帯
    域毎に抽出する抽出手段と、上記各最大値をあらかじめ
    設定された上記周波数帯域毎の振動基準値と比較する比
    較手段とを備えた溶接部の非破壊検査装置。
  2. 【請求項2】 変換手段は振動信号の所定の周波数帯域
    の周波数成分を通過させる複数の帯域フィルタであり、
    抽出手段は上記各帯域フィルタを通過した上記周波数成
    分を整流しこの整流された周波数成分の各ピーク値の内
    最大のものを各々最大値として抽出するものであること
    を特徴とする請求項1に記載の溶接部の非破壊検査装
    置。
  3. 【請求項3】 変換手段は振動信号をウェーブレット変
    換するウェーブレット変換手段であり、抽出手段は上記
    ウェーブレット変換手段による変換結果に基づき周波数
    帯域毎の最大値を抽出するものであることを特徴とする
    請求項1に記載の溶接部の非破壊検査装置。
  4. 【請求項4】 変換手段は振動信号を短時間高速フーリ
    エ変換する短時間高速フーリエ変換手段であり、抽出手
    段は上記短時間高速フーリエ変換手段による変換結果に
    基づき周波数帯域毎の最大値を抽出するものであること
    を特徴とする請求項1に記載の溶接部の非破壊検査装
    置。
  5. 【請求項5】 加えられた外力の大きさを検出する外力
    検出手段を設けるとともに、外力の大きさに応じて振動
    信号、時系列信号、最大値、及び振動基準値の少なくと
    も1つを補正する補正手段を設けたことを特徴とする請
    求項1に記載の溶接部の非破壊検査装置。
  6. 【請求項6】 加えられた外力の大きさを検出する外力
    検出手段を設けるとともに、外力の大きさが所定値を超
    えたとき信号検出手段、変換手段、抽出手段、及び比較
    手段の少なくとも1つの動作の開始を指令する指令手段
    を設けたことを特徴とする請求項1に記載の溶接部の非
    破壊検査装置。
  7. 【請求項7】 加えられた外力の大きさを外力信号とし
    て検出する外力検出手段を設けるとともに、上記外力信
    号を予め設定された外力基準値にて除した比率を求める
    比率演算手段と、上記比率に基づき振動信号と時系列信
    号と最大値と振動基準値とのうちの少なくとも1つを補
    正することにより比較手段における最大値と振動基準値
    との関係を変更する補正手段と、上記比率が所定範囲内
    であるか否かを検査する比率検査手段とを設けたことを
    特徴とする請求項1に記載の溶接部の非破壊検査装置。
  8. 【請求項8】 外力信号を増幅して増幅外力信号として
    出力する外力信号増幅手段と振動信号を増幅して増幅振
    動信号として出力する振動信号増幅手段とを設け、比率
    演算手段を上記増幅外力信号を外力信号として用いるも
    のとし、変換手段を上記増幅振動信号を振動信号として
    用いるものとし、上記増幅外力信号と上記増幅振動信号
    との少なくとも一方の波高値が所定値を超えたことを検
    出するレンジオーバ検出手段を設けたことを特徴とする
    請求項7に記載の溶接部の非破壊検査装置。
  9. 【請求項9】 外力信号増幅手段と振動信号増幅手段と
    の少なくとも一方の増幅率を自動的に設定する増幅率自
    動設定手段を設けたことを特徴とする請求項8に記載の
    溶接部の非破壊検査装置。
  10. 【請求項10】 比較手段は、所定の状態の溶接部に外
    力が加えられたときに発生する振動信号に基づいて設定
    された振動基準値に基づき比較を行うものであることを
    特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の
    溶接部の非破壊検査装置。
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