JP2000131288A - 建築物の壁部の剥離判定装置 - Google Patents

建築物の壁部の剥離判定装置

Info

Publication number
JP2000131288A
JP2000131288A JP10301535A JP30153598A JP2000131288A JP 2000131288 A JP2000131288 A JP 2000131288A JP 10301535 A JP10301535 A JP 10301535A JP 30153598 A JP30153598 A JP 30153598A JP 2000131288 A JP2000131288 A JP 2000131288A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
signal
external force
vibration
maximum value
reference value
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10301535A
Other languages
English (en)
Inventor
Masahiro Ikeda
昌広 池田
Kazuo Ohashi
一夫 大橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Priority to JP10301535A priority Critical patent/JP2000131288A/ja
Publication of JP2000131288A publication Critical patent/JP2000131288A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Ultrasonic Waves (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 タイルの剥離検査などの打音による判定を精
度良く確実に行うことができる壁部の剥離判定装置を得
る。 【解決手段】 タイル1cにハンマ2にて外力を加えて
打音を発生させた際の外力を加振力センサ11にて検出
し比率演算器15にて外力基準値との比率を求める。ま
た、タイル1cに発生した打音をマイクロホン3にて検
出し、アナログBPF5により各周波数帯域毎の時系列
信号に分離し、さらに整流してピークホールド7にて各
周波数帯域における瞬間的な最大値を抽出する。その最
大値を比率演算器15にて算出した比率を基に補正し、
比較器9において予め設定された振動基準値と比較して
所定の関係から外れたとき比較結果信号を出し、警報器
18は比較結果信号の数が例えば3個以上の場合、異常
として警報する。複数の周波数帯域毎の時系列信号の最
大値を抽出して比較するので、判定の信頼性が向上す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、建築物における
タイルや仕上げモルタル等の壁部の剥離を検出する装置
に関し、特に判定の信頼性を向上させることのできる壁
部の剥離検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のタイルの剥離検出装置として、例
えば特開平6−3336号公報に示されたものがある。
これは、打撃装置によりタイルの貼り付けられた壁を打
撃し、発生する打撃音を検出して電気信号に変換し、帯
域フィルタを通して診断に関係する所定の周波数帯域の
成分を抽出する。この抽出された交流状態の信号電圧の
波高値が所定の基準値を超えていないかどうかを判定
し、超えた場合、画面表示装置に警報を出力する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来のタ
イルの剥離検出装置においては、打撃により発生した音
圧信号における周波数帯域の最大レベルの周波数、すな
わち主成分となる周波数の音圧を比較しているだけであ
るので、複合周波数を特徴とする打音の検査では主成分
以外の周波数に異常の特徴が現れる場合には正確に異常
を検出することができなかった。
【0004】また、周波数帯域の最大レベルを評価対象
としているため、打音の特徴でもある、瞬間的に大きく
発生した音圧と余韻が長くレベルの低い音圧とを区別す
ることができないという問題があった。これは、レベル
を平均化する処理の一つとしてフーリエ変換を用いた剥
離検出装置においても同様に発生する問題である。
【0005】この発明は上記のような課題を解決するた
めになされたものであり、次のような壁部の剥離判定装
置を得ることを目的とする。 a.打撃により発生した振動の状態と基準状態とを比較
して判定の信頼性を向上させることができる。 b.安価で高速処理ができる。 c.小形化でき、条件の変更に柔軟に対応できる。
【0006】d.対象物に加えられる外力のばらつきの
影響を防止できる。 e.周囲からの騒音やノイズによる影響を防止できる。
また、さらなる改良として、 f.適正範囲を外れた外力を与えた場合や入力が適正レ
ンジを超えたことを知ることができる。 g.増幅器の増幅率を適切な値に容易に設定できる。 h.振動基準値を容易かつ的確に設定でき、判定の信頼
性を向上させることができる。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記のような目的を達成
するために、この発明にかかる建築物の壁部の剥離判定
装置においては、外力を加えられた建築物の壁部から発
生する振動を振動信号として検出する信号検出手段と、
振動信号を複数の所定の周波数帯域毎の時系列信号に変
換する変換手段と、時系列信号の最大値を周波数帯域毎
に抽出する抽出手段と、各最大値をあらかじめ設定され
た周波数帯域毎の振動基準値と比較する比較手段とを設
けたものである。振動信号を複数の周波数帯域毎の時系
列信号に変換し、この各時系列信号における最大値を各
々抽出するので、振動信号の周波数分解能が向上すると
ともに、時系列信号のなかから感度よく最大値を抽出で
きる。従って、打撃の特徴でもある発生直後の大きな音
あるいは振動の特徴を的確に把握して比較を行うことが
できる。
【0008】また、変換手段は振動信号の所定の周波数
帯域の周波数成分を通過させる複数の帯域フィルタであ
り、抽出手段は各帯域フィルタを通過した周波数成分を
整流しこの整流された周波数成分の各最大値の内最大の
ものを各々最大値として抽出するものであることを特徴
とする。変換手段を帯域フィルタとすると、処理を高速
に行うことができ、装置も簡易で、安価になる。特に、
アナログ帯域フィルタとすると、処理を高速化できる。
デジタル帯域フィルタとすると、小形化でき、条件の変
更に柔軟に対応できる。また、抽出手段は整流された周
波数成分から最大値を抽出するので、振動信号の負符号
部に最大値がある場合でも検出でき、振動信号が急激に
減衰する場合でも的確に比較できる。
【0009】さらに、変換手段は振動信号をウェーブレ
ット変換するウェーブレット変換手段であり、抽出手段
はウェーブレット変換手段による変換結果に基づき周波
数帯域毎の最大値を抽出するものであることを特徴とす
る。ウェーブレット変換手段とすると、各周波数帯域毎
の時系列信号に分離する際の特性を向上させることがで
き、判定の信頼性が向上する。
【0010】そして、変換手段は振動信号を短時間高速
フーリエ変換する短時間高速フーリエ変換手段であり、
抽出手段は短時間高速フーリエ変換手段による変換結果
に基づき周波数帯域毎の最大値を抽出するものであるこ
とを特徴とする。短時間高速フーリエ変換手段を用いる
と、周波数の分解能が向上する。
【0011】さらに、加えられた外力の大きさを検出す
る外力検出手段を設けるとともに、外力の大きさに応じ
て振動信号、時系列信号、最大値、及び振動基準値の少
なくとも1つを補正する補正手段を設けたことを特徴と
する。外力の大きさに応じて補正し、比較手段における
比較において外力の大きさのばらつきの影響を受けるの
を防止する。また、例えば周波数帯域毎に外力に応じて
異なる補正をすることにより、加えられた外力に応じて
周波数成分の分布が変化するような複雑な構造を持つ対
象物に対しても高い信頼度で比較できる。
【0012】また、加えられた外力の大きさを検出する
外力検出手段を設けるとともに、外力の大きさが所定値
を超えたとき信号検出手段、変換手段、抽出手段、及び
比較手段の少なくとも1つの動作の開始を指令する指令
手段を設けたことを特徴とする。指令が出されるまで動
作を開始しないので、指令がないときの周囲の騒音、振
動、雑音等を振動信号として誤って処理をするおそれが
ない。従って、これらによる影響を防止でき、判定の信
頼性が向上する。
【0013】さらに、加えられた外力の大きさを外力信
号として検出する外力検出手段を設けるとともに、外力
信号を予め設定された外力基準値にて除した比率を求め
る比率演算手段と、上記比率に基づき振動信号と時系列
信号と最大値と振動基準値とのうちの少なくとも1つを
補正することにより比較手段における最大値と振動基準
値との関係を変更する補正手段と、上記比率が所定範囲
内であるか否かを判定する比率判定手段とを設けたこと
を特徴とする。比率演算手段にて外力と外力基準値との
比率が所定範囲内であるか否か、つまり対象物に与える
外力、つまり加振力が小さすぎたり大きすぎたりしない
かを判定し、この範囲外となるような不適切な外力を与
えたことが判るようにする。加振力が小さすぎたり大き
すぎたりすると、対象物が発する振動の周波数特性が異
なる場合などに、誤った判定を防止できる。不適切な外
力を与えたことが判れば再度外力を与えればよいので、
それほど神経を使うことなく操作でき、操作性も向上す
る。
【0014】さらに、外力信号を増幅して増幅外力信号
として出力する外力信号増幅手段と振動信号を増幅して
増幅振動信号として出力する振動信号増幅手段とを設
け、比率演算手段を増幅外力信号を外力信号として用い
るものとし、変換手段を増幅振動信号を振動信号として
用いるものとし、増幅外力信号と増幅振動信号との少な
くとも一方の波高値が所定値を超えたことを検出するレ
ンジオーバ検出手段を設けたことを特徴とする。測定の
信頼性を確保するために、増幅外力信号や増幅振動信号
が所定値を超えたことを、すなわち外力信号増幅手段や
振動信号増幅手段が飽和するような大きな信号が入力さ
れたことを検出する。
【0015】また、外力信号増幅手段と振動信号増幅手
段との少なくとも一方の増幅率を自動的に設定する増幅
率自動設定手段を設けたことを特徴とする。増幅外力信
号や増幅振動信号が適切な出力範囲となるように増幅率
を容易に設定することができ、操作性が向上する。ま
た、S/N比の低下を防止でき判定の信頼性も向上す
る。
【0016】そして、比較手段は、建築物の壁部の状態
が所定の状態のときに得られる振動信号に基づいて設定
された振動基準値に基づき比較を行うものであることを
特徴とする。建築物の壁部の状態に即した振動基準値を
容易に設定することができ、判定の信頼性が高くなる。
【0017】さらに、建築物の壁部は、下地部の上に貼
り付けられたタイル部であることを特徴とする。このよ
うな判定装置は、タイル部の剥離の判定に好適である。
【0018】また、建築物の壁部は、下地部に形成され
たモルタル部であることを特徴とする。このような判定
装置は、モルタル部の剥離の判定に好適である。
【0019】
【発明の実施の形態】実施の形態1.以下、この発明の
実施の一形態を図1の構成図に基づいて説明する。図に
おいて、1は対象物である建築物の壁部でありコンクリ
ート製の壁本体1aの上に下地モルタル1bを介してタ
イル1cが貼り付けられている。2はタイル1cを打撃
し打音を発生させるハンマ、11はハンマ2に取り付け
られタイル1cに与えた外力としての加振力を電気信号
に変換する外力検出手段としての加振力センサである。
12は加振力センサ11で変換された電気信号を増幅す
る増幅器、13は増幅器12で増幅された信号を直流に
変換する整流器である。
【0020】14は整流器13から出力される直流信号
の最大値を保持するピークホールド、15はピークホー
ルド14の出力と基準値設定器16に格納された外力基
準値との比率を求める比率演算器である。17は整流器
13の出力する直流信号からトリガを検出するトリガ検
出器である。
【0021】19は比率演算器15により求められた比
率が所定範囲内か否かを判定する比率判定器である。2
0はピークホールド14から出力された最大値から増幅
器12の増幅率を自動的に設定するレンジ自動設定器で
ある。21はピークホールド14から出力された最大値
からレンジオーバを検出するレンジオーバ検出器であ
る。
【0022】3はハンマ2に取り付けられ打撃されたタ
イル1cが発する打音を電気信号に変換する信号検出手
段としてのマイクロホン、4はマイクロホン3で変換さ
れた電気信号を増幅する増幅器である。5は増幅器4か
ら得られる信号を各周波数帯毎に分離する変換手段とし
てのアナログBPFである。このアナログBPF5は、
例えば人間の可聴域である20Hz〜20kHzをほぼ
網羅すべく31.25Hz〜16kHzまでの9オクタ
ーブ分を対象とし、1/3オクターブ毎の分解能を与え
るとして全28バンド分設ける。
【0023】6はアナログBPF5から得られる各周波
数帯毎の信号を整流して直流に変換する整流器である。
7は整流器6からの出力の最大値を保持する抽出手段と
してのピークホールド、8は比率演算器15から得られ
る比率に基づきピークホールド7が出力する最大値を補
正する補正器である。9は補正器8の出力と基準値設定
器10に格納された振動基準値としての音圧基準値とを
所定の方法で、つまり所定の比較基準に照らして比較す
る比較器である。18は各比較器9からの比較結果信号
を基に全体の判定を行い異常であると判定したとき警報
を出力する判定手段としての警報器である。
【0024】31は増幅器4で増幅された信号を直流に
変換する整流器である。32は整流器31からの出力の
最大値を保持するピークホールド、33はピークホール
ド32から出力された最大値から増幅器4の増幅率を自
動的に設定するレンジ自動設定器である。34はピーク
ホールド32から出力された最大値からレンジオーバを
検出するレンジオーバ検出器である。
【0025】次に動作として基準となる対象物を用いて
外力基準値及び音圧基準値を設定する基準値設定モード
について説明する。まず、増幅器4及び増幅器12の増
幅率を最小とする。この状態で対象物である剥離のない
ことが確認されたタイル1cをハンマ2により打撃し、
発生した打撃音をマイクロホン3で電気信号に変換し、
増幅器4、整流器31、ピークホールド32によりアナ
ログBPFを通さない音圧信号の最大値を求める。タイ
ル1cが剥離がなく健全なものであることは、熟練者に
よる打音検査等で確認しておく。
【0026】この最大値をレンジ自動設定器33に入力
し適切な計測レンジとなるように増幅器4の利得を設定
する。同様に打撃によりハンマ2に発生した振動を加振
力センサ11で電気信号に変換した後、増幅器12、整
流器13、ピークホールド14により振動信号の最大値
を求める、この最大値をレンジ自動設定器20に入力し
適切な計測レンジとなるように増幅器12の利得を設定
する。
【0027】適切な計測レンジとは、例えばこの実施の
一形態のように加振力の差による補正を行っており、そ
の範囲が1/2〜2倍だとすると基準値と比較して最大
で2倍の入力を受け付ける必要があるため、この基準値
設定モード時に入力される信号レベルが計測レンジの5
0%となるように利得を設定する。
【0028】このようにして基準値設定モードの最初の
1回目の打撃により外力信号である振動信号、音圧信号
両方の増幅率を設定する。
【0029】次に、ハンマ2により対象物としての基準
とする欠陥のないタイル1cを打撃する。このときハン
マ2に発生した振動を加振力センサ11で電気信号に変
換し、増幅器12で、基準値設定モードの最初の1回目
の打撃により設定された利得を与える。この増幅された
信号は整流器13で直流に変換される。トリガ検出器1
7は整流器13からの直流信号とあらかじめ設定された
基準値と比較を行い、直流信号がこの基準値を超えたと
きトリガ出力を行う。
【0030】ピークホールド14は、整流器13から入
力される直流信号の最大値を記録する。このとき、ピー
クホールド14の動作開始はトリガ検出器17からのト
リガ信号により行われる。こうした最大値の記録は打撃
による対象物の発生音圧がある程度減衰するまでの一定
の時間行われ、その後ピークホールド14からの出力を
外力基準値として基準値設定器16に格納する。
【0031】同様に打撃により発生した音波をマイクロ
ホン3で電気信号に変換し、増幅器4で、基準値設定モ
ードの最初の1回目の打撃により設定された利得を与え
る。この増幅された音圧信号を、複数個設けられそれぞ
れ異なった周波数帯を通過させるように設定されたアナ
ログBPF5に入力し、各周波数帯毎の時系列信号に分
離する。
【0032】アナログBPF5で各周波数帯毎に分離さ
れた時系列信号は整流器6で直流信号に変換され、ピー
クホールド7に入力される。ピークホールド7の整流器
6からの直流信号の最大値記録動作は、トリガ検出器7
からのトリガ信号により開始し、振動信号用のピークホ
ールド14と同様に対象物の音圧減衰までの一定時間行
われる。このようにして各周波数帯毎の瞬間的な最大値
が記録される。
【0033】音圧減衰までの一定時間終了後、ピークホ
ールド7により記録された最大値は音圧基準値として基
準設定器10に格納される。このような基準値設定モー
ドの動作により、基準値設定器16には打撃の強さを示
す情報である外力基準値が格納され、基準値設定器10
には打音の各周波数帯域における瞬間的な最大音圧を示
す情報である音圧基準値が格納される。
【0034】次に対象物の検査を行う検査モードについ
て説明する。まずハンマ2により対象物とであるタイル
1cを打撃する。このとき基準値設定モードの時と同様
に、ハンマ2に発生した振動を加振力センサ11で電気
信号に変換し、増幅器12で増幅すると共に整流器13
で直流に変換する。
【0035】トリガ検出器17も同様に整流器13から
の直流信号からトリガ出力を行い、ピークホールド14
はトリガ出力から音圧減衰までの一定時間、直流信号の
最大値を記録する。検査モードの場合、音圧減衰までの
一定時間終了後、ピークホールド14に記録された最大
値を比率演算器15に入力し、比率演算器15は、ピー
クホールド14からの最大値と基準値設定器16に格納
されている外力基準値との比率を演算し出力する。
【0036】打撃により発生した音波も基準値設定モー
ドと同様に、マイクロホン3で電気信号に変換すると共
に増幅器4で増幅し、アナログBPF5により各周波数
帯毎の時系列信号に分離され、整流器6で直流信号に変
換され、ピークホールド7に入力される。ピークホール
ド7は、トリガ出力からの音圧減衰までの一定時間、直
流信号の最大値を記録する。
【0037】検査モードの場合、音圧減衰までの一定時
間終了後、ピークホールド7により記録された最大値を
補正器8に入力し、補正器8は比率演算器15から得ら
れる比率から適切な補正値を演算しこの補正値にてピー
クホールド7から得られる最大値を補正し出力する。
【0038】このとき、例えば加えた外力と発生する音
とが比例するとして、振動レベルと音圧の補正を比例で
行うとすると、基準値に対して2倍の比率が演算で得ら
れた場合、ピークホールド7に記録された最大値を2で
除算する。つまり基準値設定モード時における加振力に
対して検査モード時の加振力が2倍になれば、発生する
各周波数帯域毎の音圧も2倍に増加しているものとして
得られた最大値を基準値設定モード時の加振力に換算す
るために2で除算する。
【0039】このようにして補正された最大値は、比較
器9で基準値設定器10に格納された音圧基準値と所定
の方法あるいは所定の比較基準に基づいて比較される。
この実施の形態では、あらかじめ設定された所定の関係
から外れた場合に比較結果信号を警報器18に出力す
る。
【0040】このときの所定の関係とは、例えばある周
波数帯域においては、補正された最大値がその周波数帯
域の音圧基準値に対して、80%〜120%の範囲内で
あるとき正常、この範囲から外れたときは範囲外とし比
較結果信号を出力するように比較基準を設定しておく。
また、他の、ある周波数帯域においてはその周波数帯域
の音圧基準値に対して、例えば70%〜110%の範囲
内を正常として比較結果信号は出さず、範囲外のとき比
較結果信号を出すように上記基準を設定しておく。
【0041】さらに、音圧基準値が全体的な音圧に比べ
て小さい場合には、範囲の下限を解除する等の処置によ
り主成分で無い周波数帯域において誤って比較結果信号
を出さないようにする。
【0042】警報器18は、各周波数帯域における比較
器9からの比較結果信号を入力し、比較結果信号があら
かじめ設定された個数、例えば2個を超えると異常と判
定するように判定基準が定められ、異常と判定されたと
き外部に警報出力する。
【0043】比率判定器19は比率演算器15により求
められた比率が所定の関係を超えた時に補正範囲外警報
を出力する。この時の所定の関係とは、例えば1/2倍
〜2倍として設定しておく。すると1/2未満や2倍を
超える入力があった場合に補正範囲外警報が出力され
る。
【0044】このように加振力による補正に範囲の制限
を設けることにより、加振力が極端に変化した場合に発
生する打撃音の周波数特性が変化する対象物に対しても
確実に判定でき、加振力の極端な変化による誤判定を防
止することができる。
【0045】なお、補正は、振動信号の大きさに応じて
波形分析結果と音圧基準値、つまり比較器9における基
準値設定器10に記憶されている音圧基準値との関係を
補正すればよいので、増幅器4の出力、各アナログBP
F5の出力、整流器6の出力、あるいは基準値設定器1
0に記憶されている音圧基準値などのうちの一つあるい
は複数を補正するようにしてもよい。
【0046】また、加振力センサ11にて検出される振
動の大きさが所定値を超えたときに、ピークホールド1
4、抽出手段としてのピークホールド7に動作の開始を
指令するトリガ検出器17を設けたので、周囲からのノ
イズ等の影響を軽減し、判定の信頼性を向上させること
ができる。
【0047】なお、トリガ検出器17のトリガ信号をピ
ークホールド7に与えるものを示したが、マイクロホン
3、増幅器4、変換手段としてのアナログBPF5、整
流器6、補正手段としての補正器8、比較手段としての
比較器9等に与えて最大値の記憶動作の開始あるいは比
較動作の開始等をするようにしても同様の効果を奏す
る。
【0048】基準値設定モード、検査モードの各モード
時においてレンジオーバ検出器21は、振動信号につい
てピークホールド14から得られる最大値を入力し、最
大値が所定の関係を超えたときにレンジオーバ警報を出
力する。レンジオーバ検出器34は、音の信号について
ピークホールド7から得られる最大値を入力し、計測信
号が所定の関係を超えたときにレンジオーバ警報を出力
する。
【0049】この時の所定の関係とは、例えば計測レン
ジの99%として設定しておく。この場合、99%を超
えた信号が入力されるとレンジオーバ警報が出力され
る。
【0050】また、基準値設定モード時の最初の1回目
の打撃で適切な計測レンジを設定することにより、手動
で計測レンジを設定する煩わしさが無くなり、操作性が
向上する。さらに、手動で設定する際にはレンジが適切
でない場合にはS/N比が低下し、検査の信頼性が低下
するが、自動で適切なレンジに設定されるためこのよう
なことは発生せず、検査の信頼性を向上させた打音検査
装置を得ることが可能となる。
【0051】また、各信号の入力が飽和する直前でレン
ジオーバ警報を出力することで、増幅器の飽和による誤
判定を防止し、検査の信頼性を向上させた打音検査装置
を得ることが可能となる。なお、アナログBPFを用い
ることで検査を高速に行うことが可能となる。
【0052】実施の形態2.図2は、この発明の他の実
施の形態を示すタイルの剥離判定装置の構成図である。
図2において、次の点が図1に示したものと異なるが、
他の構成については図1に示したものと同様のものであ
る。ピークホールド7で抽出された各周波数帯域毎の音
圧の最大値は補正器8にて補正された後、基準設定器1
0へ入力される点、及び基準設定器10は入力された最
大値の平均値を求めて音圧基準値とするとともに最大値
のばらつきの範囲を求め、そのばらつき範囲に基づき比
較基準を決定する機能を有している点が異なる。
【0053】次に、動作について説明する。タイル1c
は、所定の形状例えば矩形のタイル片が多数枚、コンク
リート製の壁本体1aに下地モルタル1bを介して貼り
付けられているとする。まず、健全な壁1のタイル1c
の任意の表面をハンマ2にて打撃する。このときハンマ
2に発生した振動を加振力センサ11でタイル1cに加
えた外力として検出して電気信号に変換し、ピークホー
ルド14にて最大値を抽出する。ピークホールド14に
て抽出された最大値は、基準設定器16に外力基準値と
して記憶する。このとき、比率演算器15は比率1を出
力する。これらは、図1の実施の形態で示したものと同
様である。
【0054】一方、ピークホールド7により抽出された
音圧信号の最大値は、上記比率演算器15が出力する比
率が1であるので補正器8をそのまま通過し基準設定器
10に入力され、音圧基準値として記憶される。
【0055】次に、音圧基準値のばらつきを求める。例
えば、健全なタイル1c面の異なる100箇所を打撃す
る。タイル1cの健全性は、熟練者がハンマで当該タイ
ル面を打撃して打音から判定する。打撃毎に得られる音
圧の最大値、すなわちピークホールド7にて抽出された
各周波数帯域毎の最大値は、補正器8にて比率演算器1
5の算出する比率にて補正され、基準値設定器10に記
憶される。すなわち、比率が1.2ならば、今回の加え
られた外力は先に基準設定器16に外力基準値を記憶さ
せたときの外力の1.2倍であったとして、1.2で除
して正規化する。このようにして、各周波数帯域毎に1
00個のデータを得る。
【0056】そして、その平均値を求めて音圧基準値と
する。また、最大値のばらつきの範囲を各周波数帯域毎
に求める。例えば、周波数帯域番号A1においては、音
圧基準値を100として90〜110、周波数帯域番号
A2においては80〜120のごとく、以下全28帯域
についてその最大値のばらつきの範囲を求める。そし
て、上記のようにして定めた範囲内ならば比較器9は比
較結果信号を出さず、これをはみ出せば比較結果信号を
警報器18に出力するように比較基準を定める。
【0057】警報器18においては、正常であっても上
記100箇所から得られたデータからはみ出す可能性が
あるとして、比較結果信号が1個出されただけでは異常
と判定せず、3個以上の時に異常と判定して、警報する
ように判定基準を定める。
【0058】さらに、上述のような基準を、試料を作成
して決定することもできる。例えば、タイルの剥離面積
がタイル片の面積の50%程度のものを検出したい場合
に、試料を作成して音圧基準値及び比較基準を定め、さ
らに実際の検査において得られたデータによって各基準
を修正し、学習させることもできる。試料については、
例えば以下に記すような判定用の試料を作成してこれを
打撃して各周波数帯域毎の最大値のデータを得て、音圧
基準値及び比較器9における比較基準、警報器18にお
ける判定基準を定める。
【0059】タイル片の面積を100として、剥離を許
容できる剥離面積を例えばこの半分の50とする。試料
として、剥離の無いモデル、剥離面積が50である矩
形、円形、楕円形のタイルの剥離部、検証用として、4
0,60の剥離面積の矩形、円形、楕円形のタイル剥離
部を各50箇所、作成する。剥離部は、剥離面積に相当
する薄い発泡スチロールのシートをタイル片と下地モル
タルとの間に介装して模擬する。
【0060】上記のようにして作成した試料のうち、剥
離の無いモデル、剥離面積が50である矩形、円形、楕
円形のモデルから外力で補正した最大値の平均値及びば
らつきの範囲のデータを得る。そして、この範囲を基準
にして範囲内か否かの比較を行うようにする。検証用と
して作成した剥離面積40の矩形、円形、楕円形のタイ
ル剥離部の試料で出される比較結果信号の有無や数、剥
離面積が60の矩形、円形、楕円形のタイル剥離部の試
料での比較結果信号の有無や数に基づいて、比較結果信
号が何個以上出されたら警報器18が異常と判定して警
報するかの判定基準を定める。
【0061】上記した比較基準をさらにきめ細かくすれ
ば、タイルやモルタル等の微妙な剥離をより的確に判定
できる。
【0062】実施の形態3.実施の形態1では各周波数
帯域毎の最大値を求めるのに、アナログBPFを用いた
が、デジタルBPFを用いてもよい。この実施の形態で
はデジタルBPFを用いた場合について図3の構成図に
基づいて説明する。図3において、51は整流器13か
らのアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換
器、52は増幅器4からのアナログ信号をデジタル信号
に変換するA/D変換器である。53はA/D変換器5
1の出力の最大値を演算する最大値演算器である。
【0063】61はデジタル信号を各周波数帯域毎の時
系列信号に変換する変換手段としてのデジタルBPFで
ある。デジタルBPF61は、例えば図1の実施の形態
と同様に人間の可聴域である20〜20,000Hzを
ほぼ網羅すべく31.25〜16,000Hzまでの9
オクターブ分を対象とし、1/3オクターブ毎の分解能
を与えるとして全28バンド分設ける。62はデジタル
BPFからの交流信号を整流する整流器、63は整流さ
れたデジタル信号から最大値を抽出する抽出手段として
の最大値演算器である。
【0064】64は補正器であり、比率演算器15から
得られる比率により最大値演算器63が出力する最大値
を補正して補正値を出力する。65は比較器であり、補
正器64の出力と基準値設定器66に格納された音圧基
準値とを所定の方法で比較する。なお、整流器62、ピ
ークホールド回路63、補正器64、比較器65、基準
値設定器66は全28バンド分設けられたデジタルBP
F61にそれぞれ対応して28個設けられている。
【0065】41は最大値演算器であり、整流器31に
より整流されたA/D変換器52からのデジタル信号か
ら最大値を抽出する。その他の構成については、図1に
示されたものと同様のものであるので、相当するものに
同一符号を付して説明を省略する。
【0066】次に動作を説明する。まず、基準となる対
象物を用いて各基準値を設定する基準値設定モードにつ
いて説明する。A/D変換器51は、整流器13からの
アナログの直流信号をデジタル信号に変換する。このと
き、A/D変換器51はトリガ検出器17からのトリガ
信号を受けて動作を開始し、打撃による対象物の発生音
圧が所定値以下に減衰するまでの一定の時間継続して行
われる。最大値演算器53は、A/D変換器51からデ
ジタル信号の最大値を抽出し、この最大値が基準値設定
器16に外力基準値として収納される。
【0067】同様に、打撃により発生した音波は、マイ
クロホン3で電気信号に変換され、増幅器4で適当な利
得を与えらえれた後、A/D変換器52でデジタル信号
に変換される。このとき、A/D変換器52はトリガ検
出器17からのトリガ信号により動作を開始し、打撃に
よる対象物の発生音圧が所定値以下に減衰するまでの一
定時間の間動作する。この変換されたデジタル信号は、
それぞれ異なった周波数帯域を通過させるように設定さ
れた28個のデジタルBPF61に入力され、各周波数
帯域毎の時系列信号に分離される。
【0068】デジタルBPF61で各周波数帯域毎に分
離された時系列信号は整流器62で直流信号に変換さ
れ、最大値演算器63に入力される。最大値演算器63
は、この直流信号の最大値を抽出し、基準値設定器66
に格納する。このようにして各周波数帯域毎の瞬間的な
最大値が抽出され、音圧基準値として基準値設定器66
に格納される。
【0069】このような基準値設定モードの動作によ
り、基準値設定器16には打撃の強さを示す情報である
外力基準値が格納され、基準値設定器66には打音の各
周波数帯域における瞬間的な最大音圧を示す情報である
音圧基準値が格納される。
【0070】次に対象物の判定を行う判定モードについ
て説明する。まずハンマ2により対象物であるタイル1
cを打撃する。このとき基準値設定モードの時と同様
に、ハンマ2に発生した振動を加振力センサ11で電気
信号に変換し、増幅器12で増幅すると共に整流器13
で直流に変換する。トリガ検出器17も同様に整流器1
3からの直流信号からトリガ信号を出力し、A/D変換
器51はトリガ出力から音圧減衰までの一定時間、直流
信号をデジタル信号に変換する。最大値演算器53はデ
ジタル信号の最大値を抽出し出力する。
【0071】判定モードの場合、最大値演算器53によ
り抽出された最大値は比率演算器15に入力され、比率
演算器15は、最大値と基準値設定器16に格納されて
いる外力基準値との比率を演算し出力する。
【0072】打撃により発生した音波も基準値設定モー
ドと同様に、マイクロホン3で電気信号に変換すると共
に増幅器4で増幅し、A/D変換器52によりデジタル
信号に変換される。このときA/D変換器52の動作は
トリガ検出器17からのトリガ信号により開始され、音
圧減衰までの一定時間行われる。デジタル信号はデジタ
ルBPF61により各周波数帯域毎の時系列信号に分離
され、整流器62で直流信号に変換され、最大値演算器
63に入力される。最大値演算器63は、直流信号の最
大値を抽出し出力する。
【0073】判定モードの場合、最大値演算器63によ
り抽出された最大値は補正器64に入力され、補正器6
4は比率演算器15から得られる比率に基づき適切な補
正値を演算し最大値演算器63から得られる最大値を補
正し出力する。
【0074】補正された最大値は、比較器65で基準値
設定器66に格納された音圧基準値と比較され、あらか
じめ設定された所定の関係から外れた場合に比較結果信
号が警報器18に出力される。設定する所定の関係は、
図1に示した実施の形態と同様に、例えばあるバンドに
おいては、補正された最大値がそのバンドの音圧基準値
に対して80%〜120%の範囲内であるとき正常とし
て比較結果信号は出さず、この範囲から外れたとき、す
なわち80%未満及び120%超のとき異常として比較
結果信号を出力するように設定しておく。また、他の、
あるバンドにおいてはそのバンドの音圧基準値に対して
70%〜110%から外れたとき範囲外として比較結果
信号を出すように設定しておく。
【0075】また、音圧基準値が全体的な音圧に比べて
小さい場合には、下限側の比較を解除する等の処置によ
り主成分で無い周波数帯域において誤って比較結果信号
を出さないようにする。警報装置18は、入力された比
較結果信号があらかじめ設定された数、例えば2個を超
えると報知要としてブザーを鳴らすとともにランプを点
滅して警報する。
【0076】このように各周波数帯域毎の時系列信号を
求める手法としてデジタルBPF61を用いることで装
置を小型化できるとともに、ソフトウェア(S/W)で
処理するためフィルタ特性の変更や診断する周波数帯域
の追加などに柔軟に対応することが可能である。
【0077】実施の形態4.図4は、さらにこの発明の
他の実施の形態を示すタイルの剥離判定装置の構成図で
ある。図3の実施の形態では各周波数帯域毎の最大値を
求めるのに、デジタルBPFを用いたが、ウェーブレッ
ト変換(Wavelet Transform)を用い
てもよい。以下、ウェーブレット変換を用いた場合につ
いて図4の構成図に基づいて説明する。
【0078】この実施の形態においては、ウェーブレッ
ト変換演算器71を設け、各周波数帯域毎の時系列信号
を求めるようにしたものであり、その他の動作は、図3
の実施の形態と同様である。なお、ウェーブレット変換
は、その解析演算により実効値を算出するので、整流手
段を設ける必要はない。
【0079】図において、71は変換手段としてのウェ
ーブレット変換(WaveletTransform)
演算器であり、基底関数(マザーウェーブレット)を拡
大あるいは縮小することにより、デジタル音圧信号を各
周波数帯域毎の時系列信号に分離する。ウェーブレット
変換された信号は、28組設けられた最大値演算器6
3、補正器64、比較器65に入力される。
【0080】比較器65は、図1や図3に示されたもの
と同様に基準値設定器66に格納された音圧基準値と比
較され、あらかじめ設定された所定の関係に該当する場
合に比較結果信号を警報器18に出力する。
【0081】この際に、測定波形や観測したい現象に合
わせて適切な基底関数を選択することにより周波数の分
離特性が向上し、判定の信頼性を向上させることができ
る。また、ウェーブレット変換演算器を用いることで装
置を小型化することができる。
【0082】実施の形態5.図5は、さらにこの発明の
他の実施の形態を示すタイルの剥離判定装置の構成図で
ある。図3の実施の形態では各周波数帯域毎の最大値を
求めるのに、デジタルBPFを用いたが、短時間FFT
を用いてもよい。以下、短時間FFTを用いた場合につ
いて図5に基づいて説明する。この実施の形態において
は、短時間FFT演算器81を設け、各周波数帯域毎の
時系列信号を求めるようにしたものである。
【0083】その他の動作は、図3に示した実施の形態
と同様である。なお、短時間FFTは、その解析演算に
より実効値を算出するため、整流手段を設ける必要はな
い。図5において、81は変換手段としての短時間FF
T(SFFT:Short−Time Fast Fo
urier−Transform)演算器であり、各周
波数帯域毎の時系列信号を求めるようにしたものであ
る。
【0084】このようにフーリエ変換器である短時間F
FT演算器81を設けて各周波数帯域毎の時系列信号を
求めることにより、周波数の分解能を向上させることが
できる。
【0085】従って、短時間FFTの優れた分解能を利
用して、壁部の構成により周波数の変化に特徴が現れる
といった場合に診断の信頼性を向上させることができ
る。また、短時間FFT演算器を用いることで装置を小
型化することができる。
【0086】また、上記各実施の形態においてはハンマ
で外力を加えるものを示したが、他の手段により外力が
加えられるもの、電磁波やシリンダ等により加振力を与
えるものにも用いることができる。
【0087】上記各実施の形態においては、外力を加振
力センサ11にて検出し、打撃音をマイクロホン3で検
出するものを示したが、打撃音についてマイクロホンの
代わりに振動検出器を用いてもよい。なお、上記各実施
の形態においては、可聴周波数のものを音、これより広
い周波数範囲のものを振動と呼んでいるが、この発明に
おいては、判定装置は音によるものに限らず、音と振動
を区別せず、振動によるものを含むものである。
【0088】なお、警報器18により警報するものを示
したが、このような判定における各信号や演算された
値、例えば図1の実施の形態において設定器10に記憶
された各音圧基準値及び比較器9に設定された比較結果
信号を出すか否かの基準となる範囲、比率演算器15に
より算出された補正値、判定における各補正器8からの
補正された最大値等を点や帯状にCRTに表示し、かつ
範囲外となったものは赤色等で色分けするなどして、容
易に確認できるようにして、操作性を向上させることも
できる。
【0089】補正器8により補正された最大値を正常範
囲に重ねて図示し、視覚的に把握できるようにすること
もできる。このとき、比較結果が所定の関係から外れた
場合は、そのとき検出された最大値を赤色で表示する等
してもよい。
【0090】なお、このような判定装置は、対象がタイ
ルに限られるものではなく、コンクリートの壁本体の上
に施工されたモルタル等他のものの剥離の判定に用いる
こともできる。
【0091】また、実施の形態3〜5に示した音圧基準
値、比較基準の代りに、実施の形態2に示したものと同
様の定め方により求めた音圧基準値、比較基準を用いる
こともできる。
【0092】
【発明の効果】本発明は、以上に説明したように構成さ
れているので、次に記載するような効果を奏する。
【0093】外力を加えられた建築物の壁部から発生す
る振動を振動信号として検出する信号検出手段と、振動
信号を複数の所定の周波数帯域毎の時系列信号に変換す
る変換手段と、時系列信号の最大値を周波数帯域毎に抽
出する抽出手段と、各最大値をあらかじめ設定された周
波数帯域毎の振動基準値と比較する比較手段とを設けた
ので、打音の特徴でもある発生直後の大きな音圧の周波
数分布を的確に把握でき、比較の信頼性を向上させるこ
とができる。
【0094】また、変換手段は振動信号の所定の周波数
帯域の周波数成分を通過させる複数の帯域フィルタであ
り、抽出手段は各帯域フィルタを通過した周波数成分を
整流しこの整流された周波数成分の各最大値の内最大の
ものを各々最大値として抽出するものであることを特徴
とするので、変換手段を帯域フィルタとすると、処理を
高速に行うことができ、装置も簡易で、安価になる。ま
た、抽出手段は整流された周波数成分から最大値を抽出
するので、振動信号の負符号部に最大値がある場合でも
検出でき、振動信号が急激に減衰する場合でも的確に比
較できる。
【0095】さらに、変換手段は振動信号をウェーブレ
ット変換するウェーブレット変換手段であり、抽出手段
はウェーブレット変換手段による変換結果に基づき周波
数帯域毎の最大値を抽出するものであることを特徴とす
るので、各周波数帯域毎の時系列信号に分離する際の特
性を向上させることができ、比較及び判定の信頼性を向
上させることが可能となる。
【0096】そして、変換手段を短時間高速フーリエ変
換手段とし、抽出手段を短時間高速フーリエ変換手段に
よる変換結果に基づき周波数帯域毎の最大値を抽出する
ものとしたので、周波数の分解能を向上させることがで
きる。
【0097】さらに、加えられた外力の大きさを検出す
る外力検出手段を設けるとともに、外力の大きさに応じ
て振動信号、時系列信号、最大値、及び振動基準値の少
なくとも1つを補正する補正手段を設けたことを特徴と
するので、外力の大きさに応じて補正することにより、
比較手段における比較において外力の大きさのばらつき
の影響を受けるのを防止でき、比較の信頼性が向上す
る。
【0098】また、加えられた外力の大きさを検出する
外力検出手段を設けるとともに、外力の大きさが所定値
を超えたとき信号検出手段、変換手段、抽出手段、及び
比較手段の少なくとも1つの動作の開始を指令する指令
手段を設けたことを特徴とし、指令が出されるまで動作
を開始しないので、指令がないときの周囲の騒音、振
動、雑音等を振動信号として誤って処理をするおそれが
ない。従って、これらによる影響を防止でき、判定の信
頼性が向上する。
【0099】さらに、加えられた外力の大きさを外力信
号として検出する外力検出手段を設けるとともに、外力
信号を予め設定された外力基準値にて除した比率を求め
る比率演算手段と、上記比率に基づき振動信号と時系列
信号と最大値と振動基準値とのうちの少なくとも1つを
補正することにより比較手段における最大値と振動基準
値との関係を変更する補正手段と、上記比率が所定範囲
内であるか否かを判定する比率判定手段とを設けたこと
を特徴とするので、所定範囲外となるような不適切な外
力を与えたことが判り、比較の信頼性を向上させること
ができる。
【0100】さらに、外力信号を増幅して増幅外力信号
として出力する外力信号増幅手段と振動信号を増幅して
増幅振動信号として出力する振動信号増幅手段とを設
け、比率演算手段を増幅外力信号を外力信号として用い
るものとし、変換手段を増幅振動信号を振動信号として
用いるものとし、増幅外力信号と増幅振動信号との少な
くとも一方の波高値が所定値を超えたことを検出するレ
ンジオーバ検出手段を設けたことを特徴とするので、増
幅外力信号や増幅振動信号が所定値を超えたことを、す
なわち外力信号増幅手段や振動信号増幅手段が飽和する
ような大きな信号が入力されたことを検出して、測定の
信頼性の確保が可能となる。
【0101】また、外力信号増幅手段と振動信号増幅手
段との少なくとも一方の増幅率を自動的に設定する増幅
率自動設定手段を設けたことを特徴とするので、増幅外
力信号や増幅振動信号が適切な出力範囲となるように増
幅率を容易に設定することができ、操作性が向上する。
また、S/N比の低下を防止でき判定の信頼性も向上す
る。
【0102】そして、比較手段は、建築物の壁部の状態
が所定の状態のときに得られる振動信号に基づいて設定
された振動基準値に基づき比較を行うものであることを
特徴とするので、建築物の壁部の状態に即した振動基準
値を容易に設定することができ、判定の信頼性を向上さ
せることができる。
【0103】さらに、建築物の壁部は、下地部の上に貼
り付けられたタイル部であることを特徴とするので、タ
イル部の剥離の判定に好適である。
【0104】また、建築物の壁部は、下地部に形成され
たモルタル部であることを特徴とするので、モルタル部
の剥離の判定に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の一形態であるタイルの剥離
判定装置の構成図である。
【図2】 この発明の他の実施の形態であるタイルの剥
離判定装置の構成図である。
【図3】 さらに、この発明の他の実施の形態であるタ
イルの剥離判定装置の構成図である。
【図4】 さらに、この発明の他の実施の形態であるタ
イルの剥離判定装置の構成図である。
【図5】 さらに、この発明の他の実施の形態であるタ
イルの剥離判定装置の構成図である。
【符号の説明】
1 壁、1b 下地モルタル、1c タイル、2 ハン
マ、3 マイクロホン、4 増幅器、5 アナログBP
F、6 整流器、7 ピークホールド回路、8 補正
器、9 比較器、10 基準値設定器、11 加振力セ
ンサ、12 増幅器、13 整流器、14 ピークホー
ルド、15 比率演算器、16 基準値設定器、17
トリガ検出器、18 警報器、19 比率判定器、20
レンジ自動設定器、21 レンジオーバ検出器、31
整流器、32 ピークホールド、33 レンジ自動設
定器、34 レンジオーバ検出器、41 最大値演算
器、51,52 A/D変換器、53 最大値演算器、
61 デジタルBPF、62 整流器、63 最大値演
算器、64 補正器、65 比較器、66 基準値設定
器、71 ウェーブレット変換演算器、81 短時間F
FT演算器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2G047 AA09 AA10 BA04 BC04 CA03 CA07 EA11 GG09 GG10 GG12 GG16 GG17 GG24 GG27 GG33 GG41

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外力を加えられた建築物の壁部から発生
    する振動を振動信号として検出する信号検出手段と、上
    記振動信号を複数の所定の周波数帯域毎の時系列信号に
    変換する変換手段と、上記時系列信号の最大値を上記周
    波数帯域毎に抽出する抽出手段と、上記各最大値をあら
    かじめ設定された上記周波数帯域毎の振動基準値と比較
    する比較手段とを備えた建築物の壁部の剥離判定装置。
  2. 【請求項2】 変換手段は振動信号の所定の周波数帯域
    の周波数成分を通過させる複数の帯域フィルタであり、
    抽出手段は上記各帯域フィルタを通過した上記周波数成
    分を整流しこの整流された周波数成分の各最大値の内最
    大のものを各々最大値として抽出するものであることを
    特徴とする請求項1に記載の建築物の壁部の剥離判定装
    置。
  3. 【請求項3】 変換手段は振動信号をウェーブレット変
    換するウェーブレット変換手段であり、抽出手段は上記
    ウェーブレット変換手段による変換結果に基づき周波数
    帯域毎の最大値を抽出するものであることを特徴とする
    請求項1に記載の建築物の壁部の剥離判定装置。
  4. 【請求項4】 変換手段は振動信号を短時間高速フーリ
    エ変換する短時間高速フーリエ変換手段であり、抽出手
    段は上記短時間高速フーリエ変換手段による変換結果に
    基づき周波数帯域毎の最大値を抽出するものであること
    を特徴とす請求項1に記載の建築物の壁部の剥離判定装
    置。
  5. 【請求項5】 加えられた外力の大きさを検出する外力
    検出手段を設けるとともに、外力の大きさに応じて振動
    信号、時系列信号、最大値、及び振動基準値の少なくと
    も1つを補正する補正手段を設けたことを特徴とする請
    求項1に記載の建築物の壁部の剥離判定装置。
  6. 【請求項6】 加えられた外力の大きさを検出する外力
    検出手段を設けるとともに、外力の大きさが所定値を超
    えたとき信号検出手段、変換手段、抽出手段、及び比較
    手段の少なくとも1つの動作の開始を指令する指令手段
    を設けたことを特徴とする請求項1に記載の建築物の壁
    部の剥離判定装置。
  7. 【請求項7】 加えられた外力の大きさを外力信号とし
    て検出する外力検出手段を設けるとともに、上記外力信
    号を予め設定された外力基準値にて除した比率を求める
    比率演算手段と、上記比率に基づき振動信号と時系列信
    号と最大値と振動基準値とのうちの少なくとも1つを補
    正することにより比較手段における最大値と振動基準値
    との関係を変更する補正手段と、上記比率が所定範囲内
    であるか否かを判定する比率判定手段とを設けたことを
    特徴とする請求項1に記載の建築物の壁部の剥離判定装
    置。
  8. 【請求項8】 外力信号を増幅して増幅外力信号として
    出力する外力信号増幅手段と振動信号を増幅して増幅振
    動信号として出力する振動信号増幅手段とを設け、比率
    演算手段を上記増幅外力信号を外力信号として用いるも
    のとし、変換手段を上記増幅振動信号を振動信号として
    用いるものとし、上記増幅外力信号と上記増幅振動信号
    との少なくとも一方の波高値が所定値を超えたことを検
    出するレンジオーバ検出手段を設けたことを特徴とする
    請求項7に記載の建築物の壁部の剥離判定装置。
  9. 【請求項9】 外力信号増幅手段と振動信号増幅手段と
    の少なくとも一方の増幅率を自動的に設定する増幅率自
    動設定手段を設けたことを特徴とする請求項8に記載の
    建築物の壁部の剥離判定装置。
  10. 【請求項10】 比較手段は、建築物の壁部の状態が所
    定の状態のときに得られる振動信号に基づいて設定され
    た振動基準値に基づき比較を行うものであることを特徴
    とする請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の建築
    物の壁部の剥離判定装置。
  11. 【請求項11】 建築物の壁部は、下地部の上に貼り付
    けられたタイル部であることを特徴とする請求項10に
    記載の建築物の壁部の剥離判定装置。
  12. 【請求項12】 建築物の壁部は、下地部に形成された
    モルタル部であることを特徴とする請求項10に記載の
    建築物の壁部の剥離判定装置。
JP10301535A 1998-10-23 1998-10-23 建築物の壁部の剥離判定装置 Pending JP2000131288A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10301535A JP2000131288A (ja) 1998-10-23 1998-10-23 建築物の壁部の剥離判定装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10301535A JP2000131288A (ja) 1998-10-23 1998-10-23 建築物の壁部の剥離判定装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000131288A true JP2000131288A (ja) 2000-05-12

Family

ID=17898112

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10301535A Pending JP2000131288A (ja) 1998-10-23 1998-10-23 建築物の壁部の剥離判定装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000131288A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002243708A (ja) * 2001-02-20 2002-08-28 Taisei Corp 欠陥診断装置
JP2007309827A (ja) * 2006-05-19 2007-11-29 Ohbayashi Corp タイル貼り付け面の剥離診断方法、タイル貼り付け面の剥離診断装置
JP2008076354A (ja) * 2006-09-25 2008-04-03 Okinaya:Kk 建物調査装置
JP2015227808A (ja) * 2014-05-30 2015-12-17 古河機械金属株式会社 打撃判定装置、打撃判定方法、及び、プログラム
JP2016205900A (ja) * 2015-04-17 2016-12-08 株式会社フジタ 検査対象物の状態評価装置
JP2019011993A (ja) * 2017-06-29 2019-01-24 株式会社フジタ 検査対象物の状態評価装置および状態評価方法
JP2019011998A (ja) * 2017-06-29 2019-01-24 株式会社フジタ 検査対象物の状態評価装置および状態評価方法

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002243708A (ja) * 2001-02-20 2002-08-28 Taisei Corp 欠陥診断装置
JP2007309827A (ja) * 2006-05-19 2007-11-29 Ohbayashi Corp タイル貼り付け面の剥離診断方法、タイル貼り付け面の剥離診断装置
JP2008076354A (ja) * 2006-09-25 2008-04-03 Okinaya:Kk 建物調査装置
JP2015227808A (ja) * 2014-05-30 2015-12-17 古河機械金属株式会社 打撃判定装置、打撃判定方法、及び、プログラム
JP2016205900A (ja) * 2015-04-17 2016-12-08 株式会社フジタ 検査対象物の状態評価装置
JP2019011993A (ja) * 2017-06-29 2019-01-24 株式会社フジタ 検査対象物の状態評価装置および状態評価方法
JP2019011998A (ja) * 2017-06-29 2019-01-24 株式会社フジタ 検査対象物の状態評価装置および状態評価方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11532226B2 (en) System and method for acoustically identifying gunshots fired indoors
JPH09297892A (ja) ガラス割れ検出装置
JP3438525B2 (ja) 打音判定装置
JP3560830B2 (ja) ボルトの緩み判定装置
JP2000131288A (ja) 建築物の壁部の剥離判定装置
JP2000131290A (ja) コンクリートの非破壊検査装置
JP3513405B2 (ja) 発電機のリップルばねの緩み検査装置
JP2000088817A (ja) 打撃判定装置
JPH0830874A (ja) ガラス割れ検出装置
JP2000131293A (ja) トンネルスタッドの固定状態判定装置
JP3568400B2 (ja) 鋳物の内部空洞検査装置
JP3492217B2 (ja) 溶接部の非破壊検査装置
JP2000074889A (ja) 打音判定装置
JP2000131296A (ja) ゴルフクラブヘッドの非破壊検査装置
JP2001330595A (ja) 打音検査装置
JP2000131292A (ja) 配管検査装置
JP6485958B2 (ja) 異音解析装置
JP2000131291A (ja) 鋳物の材質検査装置
JP2000131294A (ja) 金属製車輪の割れ検査装置
JP3609272B2 (ja) ゴルフボールの傷検査装置
JPH0883090A (ja) 環境音検出装置
JP2002139377A (ja) 機器異常診断装置
JP2000131180A (ja) 缶の気密検査装置
JPH09250971A (ja) 異常検査方法及びその装置
JP2006058314A (ja) 異常検査方法及びその装置