JP2000128706A - 光触媒を保持したクロス - Google Patents

光触媒を保持したクロス

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JP2000128706A
JP2000128706A JP10304220A JP30422098A JP2000128706A JP 2000128706 A JP2000128706 A JP 2000128706A JP 10304220 A JP10304220 A JP 10304220A JP 30422098 A JP30422098 A JP 30422098A JP 2000128706 A JP2000128706 A JP 2000128706A
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photocatalyst
fiber sheet
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JP10304220A
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English (en)
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Shigeru Sasaki
慈 佐々木
Kenichiro Suzuki
賢一郎 鈴木
Tomoyuki Kayama
智之 香山
Hiroaki Hayashi
宏明 林
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Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期にわたって光触媒が保持され、しかも、
その光触媒が高い触媒活性を発揮することのできる光触
媒保持クロスを提供すること。 【解決手段】 カーテン生地や壁材等の繊維シートの片
面または両面に、酸化チタン等の光触媒を有機系または
無機系の支持体により保持したもので、この場合、繊維
シート上に支持体を保持した後光触媒を保持させてもよ
い(a)し、光触媒を繊維シート上に保持した後支持体
で覆うようにしてもよい(b)。得られた繊維シート
は、光触媒が粉落ち・剥離することなく長期にわたって
高い光触媒性能を発揮できる。しかも、光触媒作用によ
って発生する活性酸素によって繊維シートが侵食される
ことが支持体によって防止されるので繊維シートの風合
いも保持できるものとなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光触媒を保持した
クロスに関し、更に詳しくは、カーテン、壁紙、壁材、
衣服等の生地(繊維シート)に光触媒が保持されること
で脱臭効果・抗菌効果が発揮される光触媒を保持したク
ロスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、抗菌或いは脱臭性能等を光触媒活
性によって発現する複合酸化物等を担持する繊維として
以下のような様々なものが知られている。例えば、特開
平7−109674号公報には、銀、銅、亜鉛等の金属
と無機酸化物との複合酸化物を、その粒径を500nm
以下とし、これらを繊維に担持させたものが開示されて
いる。この場合の担持させる方法としては、前述の複合
酸化物を溶質とするコロイド溶液を作製し、その溶液に
繊維を浸漬させたものである。
【0003】また、特開平8−215295号公報に
は、繊維上に耐食性金属によるアモルファス構造の耐食
性被膜をスパッタリングによって形成されたものに、そ
の耐食性被膜の上に酸化チタン等の金属酸化物からなる
アモルファス構造の光触媒被膜をスパッタリングによっ
て形成したものが開示されている。
【0004】更に、特開平10−37066号公報に
は、光活性触媒を練り込んだり或いはディップニップ方
式で付着させた繊維を緯糸とし、光触媒を含有しない繊
維を経糸として交織させたものが開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来知
られた光触媒を担持する繊維は、金属酸化物を光触媒と
して用い、活性酸素を発生させることで、抗菌・脱臭効
果を発現させるものであるが、長期にわたって光触媒性
能を発揮することができないものとなっている。
【0006】この従来知られた光触媒を担持する繊維
は、光触媒を担持する方法として、スパッタリング、光
触媒をコロイド溶液として浸漬させる方法、ディップニ
ップ方式で付着させる等の様々な方法が用いられている
が、これらは繊維に直接光触媒を担持させたものである
から、剥離・粉落ち等が生じてしまい、長期にわたって
繊維に担持することが困難なものとされている。
【0007】更にまた、繊維に光触媒を練り込む方法を
用いた場合、光触媒が担持される期間がある程度長くな
るものの、その方法は手間がかかるものであり、簡便に
作製することができないという問題があった。更に、こ
の方法では、光触媒が繊維中に埋没してしまい、触媒性
能を十分に発揮できない可能性がある。
【0008】本発明の解決しようとする課題は、繊維シ
ート面に光触媒が長期にわたって保持され(コートさ
れ)ることにより抗菌・脱臭効果が恒久的に発揮され、
しかも、その光触媒が高い触媒活性を発揮することので
きる光触媒を保持するクロスを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に、本発明の光触媒を保持したクロスは、繊維シートの
片面または両面に、光触媒を有機系または無機系の支持
体により保持したことを要旨とするものである。
【0010】本発明による光触媒保持クロスによれば、
繊維シート上に支持体により光触媒を保持しているた
め、光触媒の剥離・粉落ちが防止される。したがって、
光触媒は安定して繊維シート上に保持されるため、長期
間にわたって抗菌・脱臭効果を維持することができる。
【0011】「繊維シート」は、無機系材料でも有機系
材料でも良い。例えば、繊維シート(有機系材料のクロ
ス)としては、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、ポリ
アクリロニトリル繊維、アラミド繊維等種々の有機系繊
維が挙げられる。
【0012】また、「光触媒」としては、紫外線の照射
等によって触媒活性を発現するものであれば良いが、例
えば、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。この中で
も特に酸化チタンは酸化力が高いことから好ましく、特
に触媒活性の高いアナターゼ型結晶構造の酸化チタンが
好適なものとして用いられる。
【0013】その光触媒を保持する「支持体」として
は、有機系または無機系の支持体が用いられる。尚、光
触媒と接することで触媒能を低下させることがない多孔
質状の材料で、繊維シートとの密着性の良いものが好適
なものとして挙げられる。更に、より好適なものとして
は、溶媒に容易に分散でき、保持させた後に溶媒を容易
に除去できるものが挙げられる。このようなものとして
有機系のものでは、コーンスターチ、キトサン、にかわ
等が挙げられる。また、無機系のものでは、シリカ、ア
ルミナ、FSM(Folded Sheet Mate
rial)、ゼオライト等の二酸化ケイ素をベースとす
る多孔体が挙げられる。これらの支持体の細孔径、膜
厚、粒径等は特に制限させるものではない。
【0014】更に上述の支持体の中でも、請求項3に記
載のように、「二酸化ケイ素をベースとする多孔体」を
支持体として用いることが望ましい。この「二酸化ケイ
素をベースとする多孔体」は、光触媒(特に酸化チタ
ン)との密着性が良好であり、また多孔体であるため、
吸着作用により脱臭効果及び抗菌効果を促進させること
ができるからである。
【0015】この「光触媒」は、請求項2に記載される
ように支持体を介してクロス上に保持されることが望ま
しい。「光触媒」が支持体を介して支持されるように繊
維上に保持された場合、繊維シートは、光触媒と直接接
触しないため、光触媒の作用を受けにくい。したがっ
て、光触媒活性による繊維の劣化を防止することができ
る。特に、有機材料よりなる繊維シートは、光触媒作用
により発生する活性酸素等によって侵食されやすい。上
記支持体は、この侵食を効果的に防止するため、本発明
を有機材料の繊維シートに適用した場合、本発明の効果
をより一層高く発揮することができる。
【0016】繊維シート上に光触媒を支持体により保持
する方法としては、光触媒を繊維シート上に保持(担持
等による)してから支持体で覆う方法、支持体を繊維シ
ート上に保持(密着等による)してから光触媒を保持
(担持等による)する方法、予め支持体に光触媒を含有
させてから繊維シート上に保持(密着等による)する方
法のいずれを用いても良い。
【0017】図1(a)に示す光触媒保持クロスは、繊
維シート上に支持体を保持した後に光触媒を保持したも
のであるが、この保持方法によって作製されたものは、
特に、繊維の劣化防止に効果を発揮するものとなる。ま
た、図1(b)に示した光触媒保持クロスは、繊維シー
ト上に光触媒を保持した後に支持体を保持したものであ
るが、これは光触媒が繊維シート上により強固に密着し
たものとなっている。但し、この図1(b)に示したも
のが、高い光触媒作用を発揮するためには、支持体の光
透過性及び通気性を高くすることが望ましい。
【0018】繊維シート上に保持する際の光触媒の形態
は、湿式或いは乾式のどちらでも良い。例えば、湿式の
場合ゾル、エマルジョン、ゲル等が挙げられ、乾式の場
合粉末状等が挙げられる。また、光触媒を保持させるに
は、塗布、噴霧、浸漬、スパッタリング等に依るのがよ
い。
【0019】そして、支持体によって保持された光触媒
の形状は膜状であっても良いし、粒状であっても良い。
また、これらの保持範囲としては、繊維シート全体或い
は一部を保持すれば良い。
【0020】光触媒を繊維シート上に直接保持させる方
法としては、繊維シートの片面または両面を疎水性にし
てから光触媒を保持させる方法が挙げられる。この場
合、疎水性にした繊維シートの表面は、正に帯電してい
ることが望ましい。これにより、繊維シート表面と光触
媒とのなじみがよくなり、保持する力が強くなる。この
帯電させる方法としては、繊維シートに電流を流し帯電
させても良いし、繊維シートを摩擦等により静電気的に
帯電させても良い。更に、光触媒或いは光触媒前駆体を
保持させる際には、光を照射しながら行うこともでき
る。
【0021】また、繊維シートの風合いを保つため、以
下の形態が好ましい。図2(a)に示すような、繊維シ
ートの風合い、すなわち繊維による表面凸凹に沿った状
態で、支持体及び光触媒が薄膜として保持されているよ
うな形態、或いは、図2(b)に示すような、繊維によ
る表面凸凹を失わない状態で支持体及び光触媒が繊維上
に粒子又は島状に付着・保持されているような形態が好
ましい。
【0022】上記構成を有する光触媒を保持したクロス
によれば、酸化チタン等の光触媒を有機系或いは無機系
の多孔質材料で繊維シート上に保持させるものであるか
ら、触媒性能を低下させることなく、繊維シートに密着
させることができ、しかも光触媒が長期にわたって繊維
シートに保持され(コートされ)、抗菌・脱臭効果を発
揮するクロス(繊維シート)を提供することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下に本発明の好適な実施例を詳
細に説明する。まず最初に、本発明品(実施例1〜9)
及び比較品(比較例1及び2)の作製方法について説明
する。実施例1〜9と比較例1及び2は全て、10cm
×10cmの市販のポリエステル製のカーテン生地に所
定の処理を施したものである。これらに用いた光触媒及
び支持体とそれらの担持量を表1にまとめた。
【0024】
【表1】
【0025】実施例1の作製工程としては、まず上述の
カーテン生地をシリカゾル(シリカ粒径:10nm〜5
0nm、日産化学(株)製)に浸漬した後、乾燥させ
る。乾燥後のシリカ担持量はカーテン生地100重量部
に対し、10重量部である。そして、イソプロピルアル
コールにアナターゼ型のチタニア粒子を分散させた分散
液(チタニア粒径:20nm〜50nm)を作製し、こ
の分散液をシリカを浸漬させたカーテン生地に噴霧し、
乾燥させたものである。乾燥後のチタニア担持量はカー
テン生地100重量部に対し、10重量部である。
【0026】実施例2は、まずカーテン生地に実施例1
で作製したチタニア分散液を噴霧により担持させた後、
乾燥させた。そして、実施例1と同様のシリカゾルを浸
漬させた後、乾燥させたものである。乾燥後のチタニア
の担持量はカーテン生地100重量部に対し10重量部
で、シリカの担持量は10重量部である。
【0027】実施例3は、カーテン生地にシリカをコー
ティングしたチタニア懸濁液(粒径:5μm)を浸漬に
より担持させたものである。乾燥後の担持物量はカーテ
ン生地100重量部に対し20重量部である。
【0028】実施例4は、まずカーテン生地にキトサン
(和光純薬工業(株)製)水溶液を浸漬させた後、乾燥
させる。そして、実施例1で作製したチタニア分散液を
噴霧により担持させ、乾燥させたものである。乾燥後の
チタニアの担持量はカーテン生地100重量部に対し1
0重量部で、キトサンの担持量は2重量部である。
【0029】実施例5は、まずカーテン生地にコーンス
ターチ(和光純薬工業(株)製)水溶液に浸漬させた
後、乾燥させる。そして、実施例1で作製したチタニア
分散液を噴霧により担持させ、乾燥させたものである。
乾燥後のチタニアの担持量はカーテン生地100重量部
に対し10重量部で、コーンスターチの担持量は2重量
部である。
【0030】実施例6は、まずカーテン生地に実施例1
と同様のシリカゾルを浸漬させた後、乾燥させる。そし
て、実施例1で作製したチタニア分散液をカーテン生地
の両面に噴霧し、乾燥させたものである。乾燥後のチタ
ニアの担持量はカーテン生地100重量部に対し15重
量部で、シリカの担持量は10重量部である。
【0031】実施例7は、まずカーテン生地に直流5
V、1Aの電流を通電させ、実施例1と同様のシリカゾ
ルに浸漬させた後、乾燥させる。そして、実施例1で作
製したチタニア分散液を噴霧し、乾燥させたものであ
る。乾燥後のチタニアの担持量はカーテン生地100重
量部に対し10重量部で、シリカの担持量は10重量部
である。
【0032】実施例8は、まずカーテン生地を撥水剤
(シリコーンスプレー:ファインケミカルジャパン
(株)製)でスプレーコートした後、直流5V、1Aの
電流を通電させてから、実施例1と同様のシリカゾルに
浸漬させ、その後乾燥させる。そして、実施例1で作製
したチタニア分散液を噴霧し、乾燥させたものである。
乾燥後のチタニアの担持量はカーテン生地100重量部
に対し10重量部で、シリカの担持量は10重量部であ
る。
【0033】実施例9は、まずカーテン生地を実施例1
と同様のシリカゾルに浸漬させた後、乾燥させる。そし
て、最大波長が360nm、その波長での紫外線出力が
4mW/cmの光を照射しながら、実施例1で作製し
たチタニア分散液を浸漬させてから、乾燥させたもので
ある。乾燥後のチタニアの担持量はカーテン生地100
重量部に対し10重量部で、シリカの担持量は10重量
部である。
【0034】そして、比較例1は、カーテン生地にチタ
ニアゾル(チタニア粒径:20nm〜50nm)を噴霧
により担持させ、乾燥させたものである。乾燥後のチタ
ニアの担持量はカーテン生地100重量部に対し30重
量部である。
【0035】比較例2は、カーテン生地にチタニアゾル
(チタニア粒径:20nm〜50nm)を噴霧により担
持させ、乾燥させたものである。乾燥後のチタニアの担
持量はカーテン生地100重量部に対し20重量部であ
る。
【0036】上述の発明品及び比較品を評価するため
に、それぞれの悪臭成分除去性能及びチタニアの担持力
を調べた。
【0037】悪臭除去性能の試験は、アルデヒドの除去
反応を用いて、その指標とした。その試験方法として
は、まず所定の処理を施したカーテン生地を反応管に入
れる。そして、初期濃度20ppm、全量10リットル
のアセトアルデヒド(空気バランス)を4リットル/分
で閉鎖系において循環しながら光を照射して、アセトア
ルデヒドの濃度の時間変化を測定した。アセトアルデヒ
ドの除去反応は一次反応であることから、初期濃度と測
定濃度との対数を時間に対してプロットした直線の傾
き、すなわち反応速度定数kを指標として用いることが
でき、これを求めた。このkを求める式を数1に示し、
求めたkの値を表2に示した。尚、本性能試験では、比
較のために光を照射しない場合のkをも求めたので、そ
れらも併せて表2に示した。
【0038】
【数1】−ln(C/C)=kt C :測定濃度 C:初期濃度 t :アセトアルデヒド循環時間
【0039】
【表2】
【0040】また、チタニアの担持力は、粉落ち率をそ
の指標とした。この粉落ち率の求め方としては、まず所
定の処理を施したカーテン生地の重量を測定する。次
に、このカーテン生地を超音波洗浄器に5分間かけた
後、重量を測定する。これらの値を数2に代入して粉落
ち率を求め、チタニア担持力の指標とした。こうして求
めた結果を表2に示した。
【0041】
【数2】粉落ち率(%)={(前重量−後重量)/前重
量}×100
【0042】まず、表2に示した反応速度定数kについ
て評価する。このkの値は大きい程、触媒性能が高く、
優れたものである。実施例1〜9及び比較例1〜2は、
光照射がない場合においては、一様に低い触媒性能を示
している。しかし、光照射がある場合においては、各実
施例はそれぞれ高い触媒性能を示しているのに対し、比
較例の触媒性能は低いものとなっている。
【0043】この触媒性能(kの値)について、各実施
例を比較例1及び2に対し評価すると、実施例1、4、
5、6、7、8、9は高い値を示し、極めて優れた値で
あるといえる。また、実施例2及び3は、比較例1より
高い値ではあるが、その差がそれ程大きくはない。しか
し、実施例2及び3のチタニア担持量と比較例1の担持
量とを比較してみると、比較例1の方が1.5〜2倍多
くなっている。つまり、実施例2及び3は担持量が少な
いにもかかわらず、比較例1より優れた触媒性能を示す
ことから優れているといえる。
【0044】実施例2及び3は、上述したように優れた
触媒性能を示しているが、他の実施例に比べるとやや低
い値となっている。実施例2及び3以外の実施例は、支
持体を担持させた後に光触媒を担持させるという順で処
理されているものであるが、実施例2は光触媒を担持さ
せた後に支持体を担持させたものであり、実施例3は光
触媒と支持体を同時に担持させたものである。いずれの
処理工程を用いても、高い触媒性能が得られるが、より
高い触媒性能を得るためには、光触媒を最後に担持させ
たものが好ましいようである。
【0045】また更に、各実施例の中でもとりわけ実施
例6、実施例7及び実施例9が優れた触媒性能を示して
いる。実施例6は表1を見て分かる通り、チタニアの担
持量が他の実施例の1.5倍(15重量部)となってお
り、しかもカーテン生地の両面に担持されている。つま
り、同様の処理工程においても担持量を増やすことで触
媒性能の向上が図れることを示している。
【0046】また、実施例7及び9は他の実施例と同じ
担持量(10重量部)であるが、実施例7は処理工程の
最初の段階でカーテン生地を帯電させたものであり、実
施例9は光を照射しながら担持させたものである。つま
り、光触媒及び支持体の担持において繊維に帯電させる
こと或いは光を照射することは非常に効果があることが
分かる。
【0047】次に、表2に示した粉落ち率について評価
する。この値は、超音波振動によりカーテン生地から担
持されている物質がカーテン生地より剥離された量を示
すものであるから、その値が小さいほど優れたものであ
るといえる。
【0048】この粉落ち率について、比較例1及び2に
対して評価すると、実施例2及び3は0%であることか
ら極めて優れているといえる。また、その他の実施例は
やや粉落ちするものの、その割合は低くなっており、優
れたものであるといえる。
【0049】ここで、実施例6の値が0.7%となって
おり、比較例2と同じ値を示している。しかし、実施例
6はカーテン生地の両面に光触媒が担持されたものであ
り、比較例2よりもその担持されている面積が広くなっ
ている。すなわち、実施例6は比較例2よりも超音波の
影響を大きく受けるものである。つまり、その影響が大
きくとも粉落ち試験において比較例2と同じ値を示した
ということは、実施例6が比較例2より優れた担持力を
有しているということである。
【0050】また、実施例4及び5は支持体の担持量が
2重量部と他の実施例の1/5になっているが、実施例
4はキトサンを支持体とし、実施例5はコーンスターチ
を支持体としていることから、他の実施例と変わらぬ担
持力を示している。つまり、支持体の選択によって、担
持力の強化を図れることを示している。
【0051】また、この粉落ち試験においては、光触媒
を支持体よりも先に担持させた実施例2と、光触媒と支
持体を同時に担持させた実施例3が他の実施例より優れ
た値を示している。光触媒を最後に担持させたものも十
分な担持力を示しているが、より高い担持力を持たせる
ためには、光触媒を支持体より先に、或いは支持体と同
時に担持させることが好ましいようである。
【0052】以上の結果を踏まえて、各実施例を総合的
に評価する。光照射時のkの値が8.0×10−3mi
−1以上のものは触媒性能に優れているということが
でき、粉落ち率が0.5%以下のものは担持力に優れて
いるということがいえる。そこで、触媒性能及び担持力
が共に優れているものを「極めて優れている(◎印)」
と、触媒性能或いは担持力の何れか一方が優れているも
のは「優れている(○印)」と、どちらも優れていない
ものを「不良(×印)」と評価し、表2の評価項に示し
た。
【0053】実施例1、4、5、7、8、9は、極めて
高い触媒性能を示し、優れた担持力を有することから、
極めて優れている(表中◎印)と評価された。また、実
施例2及び3は、十分な触媒性能を示し、優れた担持力
を有することから優れている(表中○印)と評価され、
実施例6は優れた触媒性能を示し、十分な担持力を有す
ることから優れている(表中○印)と評価された。これ
に対し、比較例1及び2は不良(表中×印)と評価され
た。
【0054】次に、本発明品を上述したような実験室で
の性能ではなく、実際のカーテンとして一般の室内で用
いた場合の性能について説明する。この性能試験のため
に本発明品(実施例10)及び比較品(比較例3)を以
下の手順で作製した。
【0055】まず、実施例10は、1間(1.8m×
2.4m)のカーテン生地に実施例1と全く同様の処理
を施したものである。そして、比較例3は、1間(1.
8m×2.4m)のカーテン生地に何も担持せず、カー
テン生地そのままとしたものである。
【0056】測定方法としては、まず、この実施例10
及び比較例3をそれぞれ8畳間の南面のガラス窓に取り
付けた。このガラス窓は十分に日光が差し込み、カーテ
ンの全面に光が当たるようにしてあり、光触媒の性能試
験を行うのに最適な場所としている。これらの測定期間
は1998年4月から6月の3ヶ月間で行った。測定日
は、それぞれ4月22日、5月29日、6月26日とし
た。これら測定日の天気は晴れであり、測定時刻はいず
れも午後2時とした。そして、この測定の指標として
は、THC濃度、NOx濃度を用い、それぞれFID式
連続HC計、ガス検知管(北川式ガス検知管 型式17
5SA:光明理化学工業製)を用いて測定した。こうし
て行った測定の結果を図3及び図4に示した。
【0057】図3の結果から、実施例10を設置した8
畳間のTHC濃度は、比較例3を設置した8畳間のTH
C濃度の約半分程になっており、優れた触媒性能を示し
ていることが分かる。また、図4の結果からNOx濃度
についても同様に、実施例10を設置した8畳間のNO
x濃度は、比較例3を設置した8畳間のNOx濃度の約
1/3になっており、優れた触媒性能を示している。
【0058】4月、5月、6月の気温、湿度等には大き
な差があるが、これらの異なる条件下においても、本発
明品は変わらぬ優れた触媒性能を発揮できるものとなっ
ている。また、経時的変化によっても触媒性能が劣化す
ることがなく優れたものとなっている。
【0059】また、この実施例10について、作製直後
と3ヶ月経時後の引張強さをそれぞれ調べたが、3ヶ月
の経時後も全く低下のないものとなっていた。つまり、
カーテン生地に上記処理工程を施しても、カーテン生地
が活性酸素により劣化されていないことが分かる。
【0060】以上、本発明の各実施例を順に説明した
が、要するに、本発明に係る光触媒をコートした繊維シ
ートは、繊維シート上に支持体によって保持された状態
で光触媒を担持させたものであるから、光触媒が繊維シ
ートに強固に保持される(コートされる)ものとなる。
よって、本発明の光触媒をコートした繊維シートは、長
期にわたって光触媒性能を発揮し、しかも繊維シート上
で高い触媒活性を示すものとなる。
【0061】本発明は、上記した実施例に何等限定され
るものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々
の改変が可能である。例えば、上記実施例はカーテン生
地を用いて説明したが、これに限定されず、壁紙、敷
物、衣服、車の座席シート等の繊維シートであれば適用
することができる。
【0062】また、光触媒として上記実施例では酸化チ
タンを用いたが、酸化亜鉛等を用いることもできる。そ
して、光触媒を保持する支持体としては、上記実施例以
外に、有機系、無機系を問わず、にかわ、アルミナ、F
SM等を適用することができる。これら支持体の細孔
径、膜厚、粒径等は特に制限されるものではない。
【0063】そして、光触媒及び支持体を担持させる順
序は特に限定されるものではなく、どちらが先であって
も良いし、同時であっても良い。また、担持方法につい
ては、上記実施例のように、そのまま塗布、噴霧等する
方法、帯電させる方法、光を当てながら行う方法等のほ
か、これらを組み合わせる等して行っても良い。
【0064】
【発明の効果】本発明に係る光触媒を保持したクロスに
よれば、繊維シートの片面または両面に、光触媒を有機
系または無機系の支持体により保持したものであるか
ら、保持した光触媒が繊維シートから剥離することな
く、長期にわたって高い光触媒性能を発揮するものとな
る。
【0065】また、請求項2に記載のように、支持体を
介して光触媒を繊維シートに保持した場合、支持体によ
る保持によって、光触媒活性による繊維シートの劣化を
防止することができる。
【0066】また、請求項3に記載のように、支持体と
して二酸化ケイ素をベースとする多孔体を用いた場合、
光触媒との密着性が良好となり、また多孔体であるた
め、吸着作用により脱臭効果及び抗菌効果をより一層促
進させることができる。
【0067】この光触媒を保持したクロスをカーテン生
地、壁紙、衣服等に用いれば、クロス自体に悪臭が染み
付いたり、菌が繁殖しないことはもちろん、これを用い
る周囲の空気にも抗菌・脱臭効果を発揮することができ
る。よって、本発明品は一般家庭や工場等の様々な環境
で効果を発揮する有用性の高いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る光触媒を保持する繊
維シートのうち、(a)支持体を先に保持させたもの
と、(b)光触媒を先に保持させたものを示した図であ
る。
【図2】本発明に係る繊維シートの風合いを保つための
好適な光触媒の保持形態として、(a)光触媒が薄膜と
して保持されたものと、(b)光触媒が粒子または島状
に保持されたものを示した図である。
【図3】本発明品及び比較品の室内での性能試験をTH
C濃度を指標として行ったときの結果を示した図であ
る。
【図4】本発明品及び比較品の室内での性能試験をNO
x濃度を指標として行ったときの結果を示した図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 香山 智之 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 林 宏明 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 Fターム(参考) 4H011 AA02 AA03 BB18 BC08 BC18 DA09 DD07 DE15 DE17 DG03 4L031 AB31 BA09 BA20 BA31 BA33 CB10 DA12 DA13

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維シートの片面または両面に、光触媒
    を有機系または無機系の支持体により保持したことを特
    徴とする光触媒を保持したクロス。
  2. 【請求項2】 前記光触媒は、前記支持体を介して保持
    したことを特徴とする請求項1に記載の光触媒を保持し
    たクロス。
  3. 【請求項3】 前記支持体は、二酸化ケイ素をベースと
    する多孔体よりなることを特徴とする請求項1又は2に
    記載の光触媒を保持したクロス。
JP10304220A 1998-10-26 1998-10-26 光触媒を保持したクロス Pending JP2000128706A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009219980A (ja) * 2008-03-14 2009-10-01 Babcock Hitachi Kk 窒素酸化物除去用触媒およびその製造方法
CN111683532A (zh) * 2018-02-09 2020-09-18 株式会社古屋金属 抗菌用多孔质材料及含有其的抗菌加工产品、以及使用其的抗菌方法

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JP2009219980A (ja) * 2008-03-14 2009-10-01 Babcock Hitachi Kk 窒素酸化物除去用触媒およびその製造方法
CN111683532A (zh) * 2018-02-09 2020-09-18 株式会社古屋金属 抗菌用多孔质材料及含有其的抗菌加工产品、以及使用其的抗菌方法

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