JP2000128701A - 遺体からの体液流出防止法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 二酸化塩素ガスを棺内に充満させると、遺体
を消毒でき、腐敗を防止できるが、口腔，鼻孔，耳孔，
肛門等から体液が排出される。この体液を吸収保持する
遺体用吸液剤を開発し、口腔，鼻孔，耳孔，肛門等の中
に充填したが、長期間になると、遺体の腐敗が進み、遺
体用吸液剤では吸収しきれず体液が排出される。 【解決手段】 安定化二酸化塩素溶液９を遺体内に注入
後、粉末状の高吸水性ポリマからなる遺体用吸液剤２を
遺体内に挿入する。あるいは、粉末状の高吸水性ポリマ
からなる遺体用吸液剤２を遺体内に挿入後、安定化二酸
化塩素溶液９を遺体内に注入することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、遺体から排出され
る体液を吸収保持する遺体用吸液剤を遺体内に挿入する
方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、遺体の腐敗防止用には、ドライア
イスが使用されていたが、ドライアイスには殺菌消臭効
果がないので、遺体を取り扱う人が、悪臭で困ったり、
また遺体に付着している細菌に感染するということがあ
る。これを改善するために、二酸化塩素をアルカリ性水
溶液に溶解したいわゆる安定化二酸化塩素溶液を、粒子
状の徐放材に吸着させて袋に収容し、これを遺体と共に
棺に詰めている。安定化二酸化塩素溶液より徐々に発生
する二酸化塩素により遺体の腐敗防止だけでなく殺菌消
臭も行えるという利点があるが、ドライアイスと違い遺
体が冷却されないので、体液が凝固せず尿道，口腔，鼻
孔，耳孔，肛門などより排出されるという欠点がある。
この体液の棺外への漏出を防ぐために、実公昭６１−２
８６０８号に記載されているように、高吸水性ポリマを
内蔵する可燃性シートを棺内底に敷設し、体液を吸収保
持するものがある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、口腔，鼻孔，
耳孔等から排出される体液により顔面が汚れるので、棺
に取付けられた窓より死者の顔を見るときに、遺族の悲
しみを増大させ、また死者の尊巌を傷つけることにな
る。また、肛門から排出される体液も極力抑えたほう
が、高吸水性ポリマを内蔵する可燃性シートが吸収する
体液が少なくて済み、ひいては棺より体液が漏洩しな
い。そこで、本発明者らは、口腔，鼻孔，耳孔，肛門等
から排出される体液を吸収保持する遺体用吸液剤を開発
し、これを口腔，鼻孔，耳孔，肛門等の中に充填した
が、長期間になると、遺体の腐敗が進み、遺体用吸液剤
では吸収しきれず体液が排出されることがわかった。

【０００４】本発明は、このような問題点を解消し、口
腔，鼻孔，耳孔，肛門等から排出される体液を遺体用吸
液剤により吸収保持すると共に、さらに遺体の腐敗を防
ぐことにより、長期間経過した場合でも口腔，鼻孔，耳
孔，肛門等から体液が流出するのを防止できる方法を提
供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
の結果、高吸水性ポリマからなる遺体用吸液剤とともに
安定化二酸化塩素溶液を遺体内に入れると腐敗が防止さ
れ体液の排出を防げることを知見し本発明にいたった。
すなわち本発明の方法は、安定化二酸化塩素溶液を遺体
内に注入後、粉末状の高吸水性ポリマからなる遺体用吸
液剤を遺体内に挿入する。あるいは、粉末状の高吸水性
ポリマからなる遺体用吸液剤を遺体内に挿入後、安定化
二酸化塩素溶液を遺体内に注入することを特徴とする。

【０００６】

【発明の実施の形態】本発明の実施形態を図面に示して
説明する。図２〜４は本発明方法を使用する装置（セッ
ト）のそれぞれの側面図である。１は遺体用吸液剤収納
容器であり、遺体用吸液剤２を収容する容器本体３の一
端に空気導入管４、他端に漏斗状部５を連結したもので
ある。さらに、空気導入管４及び漏斗状部５の開放端を
それぞれ熱熔着やキャップを取付ける等して封止する。
（図２参照） ６は圧縮した気体を収容したスプレであり、連結管７を
介して前記空気導入管４と連結する。（図３参照） ８は安定化二酸化塩素溶液９を収容した消毒液収容管で
あり、図４に示すとおり管を捩じりループ部１０を形成
するとともに、両開放端部を熱熔着やキャップを取付け
る等して封止する。遺体用吸液剤２は、ポリアクリル酸
塩系の高吸水性ポリマやデンプン系の高吸水性ポリマな
どの高吸水性ポリマを粉体にしたものである。容器本体
３，空気導入管４、漏斗状部５、連結管7、消毒液収容
管８は、いずれも空気のもれない材料で形成する。ま
た、口腔，鼻孔，耳孔，肛門内に挿入しやすいよう、可
撓性の材質で形成し、さらに遺体を傷付けないよう先端
を丸くした、遺体用吸液剤供給管（図示せず）を前記漏
斗状部５に連結してもよい。容器本体３は、内容物であ
る遺体用吸液剤２がどの程度口腔，鼻孔，耳孔，肛門等
の中に入ったか分かるよう、目盛りを付けた透明な容器
にする。

【０００７】次に、このようにして成る装置の使用方法
を説明する（図１参照）。まず、遺体用吸液剤収納容器
１の両端を開放し、空気導入管４をスプレ６に連結し、
漏斗状部５を遺体の口腔，鼻孔，耳孔，肛門等に挿入す
る。そして、スプレ６を押して、送出される空気によ
り、容器本体３内の遺体用吸液剤２を、漏斗状部５を介
し遺体の口腔，鼻孔，耳孔，肛門等に充填する。

【０００８】このようにして、口腔，鼻孔，耳孔，肛門
等の中に遺体用吸液剤２を充填した後、スプレ６より遺
体用吸液剤収納容器１をはずす。次に消毒液収容管８の
両端を切って開放し、一端をスプレ６に連結し、他端を
遺体の口腔，鼻孔，耳孔，肛門等に挿入する。そして、
スプレ６を押して、送出される空気により、消毒液収容
管８内の安定化二酸化塩素液溶液９を遺体の口腔，鼻
孔，耳孔，肛門等の中に注入する。安定化二酸化塩素溶
液９から発生する二酸化塩素により、遺体の腐敗防止と
殺菌消臭が行われ、また遺体用吸液剤２より体液がゼリ
ー状になり保持されて口腔，鼻孔，耳孔，肛門等より流
失しないので、遺体を美麗な状態で保持できる。

【０００９】なお、前記実施形態では安定化二酸化塩素
溶液９を、遺体用吸液剤２を挿入した後注入したが、安
定化二酸化塩素溶液９を注入後、遺体用吸液剤２を挿入
してもよい。あるいは、図５に示すように遺体用吸液剤
収納容器１と消毒液収容管８を連結して、安定化二酸化
塩素溶液９及び遺体用吸液剤２を一工程で注入及び挿入
してもよい。遺体用吸液剤２の粒形はどのようなもので
もよいが、図２のように球形にすると、漏斗状部６及び
吸液剤供給管５を素早く通過し、口腔，鼻孔，耳孔，肛
門等の中に充填できる。

【００１０】

【発明の効果】これを要するに、本発明は、遺体用吸液
剤と安定化二酸化塩素溶液とを、遺体の口腔，鼻孔，耳
孔，肛門等の中に充填するので、体液を遺体用吸液剤に
より吸収保持すると共に、さらに体液を遺体用吸液剤に
より吸収保持すると共に、さらに安定化二酸化塩素によ
り遺体の腐敗を防ぎ、長期間経過した場合でも口腔，鼻
孔，耳孔，肛門等から体液が流出するのを防止できると
いう効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の手順を示す図である。

【図２】遺体用吸液剤収納容器の側面図である。

【図３】スプレの側面図である。

【図４】消毒液収容管の側面図である。

【図５】遺体用吸液剤収納容器及び消毒液収容管をそれ
ぞれスプレに連結した状態の図である。

【符号の説明】

１ 遺体用吸液剤収納容器 ２ 遺体用吸液剤 ６ スプレ ８ 消毒液収容管 ９ 安定化二酸化塩素溶液

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 安定化二酸化塩素溶液を遺体内に注入
   後、 粉末状の高吸水性ポリマからなる遺体用吸液剤を遺体内
   に挿入することを特徴とする遺体からの体液流出防止
   法。
2. 【請求項２】 粉末状の高吸水性ポリマからなる遺体用
   吸液剤を遺体内に挿入後、 安定化二酸化塩素溶液を遺体内に注入することを特徴と
   する遺体からの体液流出防止法。