JP2000128536A - 酸化チタン薄膜の製造方法 - Google Patents

酸化チタン薄膜の製造方法

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JP2000128536A
JP2000128536A JP10298256A JP29825698A JP2000128536A JP 2000128536 A JP2000128536 A JP 2000128536A JP 10298256 A JP10298256 A JP 10298256A JP 29825698 A JP29825698 A JP 29825698A JP 2000128536 A JP2000128536 A JP 2000128536A
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JP
Japan
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thin film
substrate
titanium oxide
oxide thin
aqueous solution
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JP10298256A
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English (en)
Inventor
Katsuya Wakita
克也 脇田
Masanori Hirota
正宣 広田
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Refrigeration Co
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 焼成工程を要することなく基材表面に良好な
光触媒特性を有する酸化チタン薄膜を形成できる酸化チ
タン薄膜の製造方法を提供する。 【解決手段】 チタンフッ化アンモニウムを含む水溶液
に基板を浸漬させて酸化チタン薄膜を形成する反応にお
いて、基板を発熱体にて加熱し、基板表面を水溶液温度
よりも高めることにより酸化チタン薄膜の膜成長速度及
び結晶性を向上させ良好な光触媒特性を有する酸化チタ
ン薄膜を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化チタン被膜の
製造方法に関し、特に反応溶液と基材とを接触させて基
材表面に酸化チタン被膜を形成する酸化チタン被膜の製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、チタンフッ化アンモニウムを
含む水溶液にほう酸や金属アルミニウム等を添加し、酸
化チタンが過飽和となった水溶液にアルミナ,シリカ,
珪酸カルシウム等の多孔質体を接触させることにより該
多孔質体の表面に酸化チタン被膜を形成させる方法が特
開平10−71336号公報に示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
酸化チタンを用いた光触媒体の製造方法においては液相
反応によって酸化チタンを析出させながら基材上に酸化
チタン被膜を形成していくために、被膜を形成する酸化
チタンの結晶性が低く、基材表面における結晶配向性も
低いものであった。そのため、光触媒としての活性度も
十分ではないものであった。
【0004】これに対し、さらに300℃以上の高温で
焼成することにより酸化チタン膜の結晶性を高め光触媒
活性の向上を図っていたが、この場合には焼成工程が必
要となる分だけ手間が掛かり、製造コストを上昇させる
要因となるものであり、さらには一定の酸化チタン被膜
の形成を行う場合には酸化チタン溶液の塗布工程と焼成
工程を複数回繰り返す必要があった。さらに、焼成工程
においては耐熱性の低い基材は使用できないといった課
題が存在した。
【0005】本発明は、これら従来の課題を解決するも
ので、結晶性が高く光触媒活性の高い酸化チタン薄膜の
製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するた
め、本発明は以下のような構成とする。
【0007】本発明の請求項1に係わる酸化チタン薄膜
の製造方法は、チタンフッ化アンモニウムを含む水溶液
中にあって下式(化3)で表される化学反応を進行させ
る際に酸化チタンの薄膜を形成させる基板を発熱体と密
着させて間接的に加熱しながら行うことを特徴としたも
のである。
【0008】
【化3】
【0009】これにより、上記化学反応が進行し、基板
表面に酸化チタン薄膜が析出しながら形成される際に、
析出反応及び薄膜を形成する酸化チタンの結晶成長が促
進され、結晶性の高い薄膜を得ることが可能となる。
【0010】また本発明の請求項2に係わる酸化チタン
薄膜の製造方法は、チタンフッ化アンモニウムを含む水
溶液中にあって上式(化3)で表される化学反応を進行
させる際に、酸化チタンの薄膜を形成させる基板の一部
を覆い、前記基板を発熱体と密着させて間接的に加熱し
ながら行うことを特徴とするものである。
【0011】これにより、薄膜形成時に基板上で覆われ
た部分は酸化チタンが形成されず、覆われていない部分
に結晶性の高い酸化チタン薄膜が形成されるために光触
媒効果を発現する部分を任意に設定することが可能とな
る。さらには、酸化チタン薄膜を形成する基板に光触媒
効果以外の機能を持たせることによって複合機能の発現
が可能となる。
【0012】また本発明の請求項3に係わる酸化チタン
薄膜の製造方法は、チタンフッ化アンモニウムを含む水
溶液中にあって上式(化3)で表される化学反応を進行
させる際に、酸化チタンの薄膜を形成させる基板を発熱
体と密着させて間接的に加熱しながら形成し、酸化チタ
ンの薄膜を基板上に形成させた後、前記基板を水溶液中
より取り出して加熱することを特徴とするものである。
【0013】これにより、水溶液での薄膜作製条件にお
いては適用できなかった温度での加熱操作が行なえ、結
晶性の高い酸化チタン薄膜とすることが可能である。さ
らには、既に水溶液中での化学反応によって一定の厚み
を有する酸化チタン薄膜を形成しているために繰り返し
て加熱操作をも含めた薄膜形成操作を行う必要も無く結
晶性の高い酸化チタン薄膜を得ることが可能である。
【0014】また、本発明の請求項4に係わる酸化チタ
ン薄膜の製造方法は、チタンフッ化アンモニウム及びヘ
キサフルオロ珪酸を含む水溶液中にあって上式(化3)
及び下式(化4)で表される化学反応を同時に進行させ
る際に酸化チタン及び酸化ケイ素を形成させる基板を発
熱体と密着させて間接的に加熱しながら行うことを特徴
とするものである。
【0015】
【化4】
【0016】これにより、基板上に酸化チタン及び酸化
ケイ素の薄膜を同時に形成することが可能となり、酸化
ケイ素の有する吸着性能が酸化チタンが有する光触媒効
果に加味され、複合的な機能を有する薄膜とすることが
可能となる。さらに酸化チタンの光触媒効果は薄膜近傍
の水分子を光分解して生成されるラジカル種によってな
されているが、酸化ケイ素には吸水作用も有り、酸化ケ
イ素部位には十分な量の水分子が蓄えられる事で酸化チ
タン薄膜の光触媒効果における分解効率を向上させるこ
とが可能となる。
【0017】また、本発明の請求項5に係わる酸化チタ
ン薄膜の製造方法は、チタンフッ化アンモニウム及びヘ
キサフルオロ珪酸を含む水溶液中にあって上式(化3)
及び下式(化4)で表される化学反応を同時に進行さ
せ、酸化チタン及び酸化ケイ素の薄膜を基板上に形成さ
せた後、前記基板を水溶液中より取り出して加熱するこ
とを特徴とするものである。
【0018】これにより、基板上に酸化チタン及び酸化
ケイ素の薄膜を同時に形成することが可能となり、酸化
ケイ素の有する吸着性能が酸化チタンが有する光触媒効
果に加味されることになり複合的な機能が可能となる。
さらに酸化チタンの光触媒効果は薄膜近傍の水分子を光
分解して生成されるラジカル種によってなされている
が、酸化ケイ素には吸水作用も有り、酸化ケイ素部位に
は十分な量の水分子が蓄えられる事で酸化チタン薄膜の
光触媒効果における分解効率を向上させることが可能と
なる。また、水溶液での薄膜作製条件においては適用で
きなかった温度での加熱操作が行なえ、結晶性の高い酸
化チタン薄膜とすることが可能である。さらには、既に
水溶液中での化学反応によって一定に厚みを有する酸化
チタン薄膜を形成しているために繰り返して加熱操作を
も含めた薄膜形成操作を行う必要も無く結晶性の高い酸
化チタン薄膜を得ることが可能である。
【0019】また、本発明の請求項6に係わる酸化チタ
ン薄膜の製造方法は、ヘキサフルオロ珪酸を含む水溶液
中にあって上式(化4)で表される化学反応を進行させ
る際に酸化ケイ素の薄膜を形成させる基板を発熱体と密
着させて間接的に加熱しながら行った後に、酸化ケイ素
の薄膜が形成された基板の一部を覆いながらチタンフッ
化アンモニウムを含む水溶液中に浸漬させて上式(化
3)で表される化学反応を基板を発熱体と密着させて間
接的に加熱しながら行うことを特徴とするものである。
【0020】これにより、基板上に占める酸化チタンと
酸化ケイ素の比率を任意に設定することが可能となり、
結晶性が高い酸化チタン薄膜及び酸化ケイ素薄膜より構
成される光触媒機能及び吸水・吸着機能の制御を行うこ
とが可能な薄膜とすることができる。
【0021】また、本発明の請求項7に係わる酸化チタ
ン薄膜の製造方法は、ヘキサフルオロ珪酸を含む水溶液
中にあって上式(化4)で表される化学反応を進行させ
る際に酸化ケイ素の薄膜を形成させる基板を発熱体と密
着させて間接的に加熱しながら行った後に、酸化ケイ素
の薄膜が形成された基板の一部を覆いながらチタンフッ
化アンモニウムを含む水溶液中に浸漬させて上式(化
3)で表される化学反応を進行させ、酸化チタン薄膜を
形成した後、前記基板を水溶液中より取り出して加熱す
ることを特徴とするものである。
【0022】これにより、基板上に占める酸化チタンと
酸化ケイ素の比率を任意に設定することが可能となり、
結晶性が高い酸化チタン薄膜及び酸化ケイ素薄膜より構
成される光触媒機能及び吸水・吸着機能の制御を行うこ
とが可能な薄膜とすることができる。さらに、水溶液で
の薄膜作製条件においては適用できなかった温度での加
熱操作が行なえ、結晶性の高い酸化チタン薄膜とするこ
とが可能である。また、既に水溶液中での化学反応によ
って一定に厚みを有する酸化チタン薄膜を形成している
ために繰り返して加熱操作をも含めた薄膜形成操作を行
う必要も無く結晶性の高い酸化チタン薄膜を得ることが
可能である。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、チタンフッ化アンモニウムを含む水溶液中にあって
下式(化5)で表される化学反応を進行させる際に、酸
化チタンの薄膜を形成させる基板を発熱体と密着させて
間接的に加熱しながら行うとした酸化チタン薄膜の製造
方法であり、下記化学反応が進行し、基板表面に酸化チ
タン薄膜が析出しながら形成される際に、析出反応速度
及び薄膜を形成する酸化チタンの結晶成長速度が促進さ
れ、酸化チタン薄膜を形成する酸化チタン微粒子を大き
くし、その結晶性を高めるという作用を有する。
【0024】
【化5】
【0025】請求項2に記載の発明は、チタンフッ化ア
ンモニウムを含む水溶液中にあって上式(化5)で表さ
れる化学反応を進行させる際に、酸化チタンの薄膜を形
成させる基板の一部を覆い、前記基板を発熱体と密着さ
せて間接的に加熱しながら行うとした酸化チタン薄膜の
製造方法であり、薄膜形成時に基板上で覆われた部分は
酸化チタンが形成されず、覆われていない部分に結晶性
の高い酸化チタン薄膜が形成されるために光触媒効果を
発現する部分を任意に設定することを可能とする作用を
有する。さらには、酸化チタン薄膜を形成する基板に光
触媒効果以外の機能を持たせることによって複合機能の
発現が可能とする作用を有する。
【0026】請求項3に記載の発明は、チタンフッ化ア
ンモニウムをを含む水溶液中にあって上式(化5)で表
される化学反応を進行させる際に、酸化チタンの薄膜を
形成させる基板を発熱体と密着させて間接的に加熱しな
がら形成し、酸化チタンの薄膜を基板上に形成させた
後、前記基板を水溶液中より取り出して加熱するとした
酸化チタン薄膜の製造方法であり、水溶液中においては
不可能であった加熱温度条件で酸化チタン薄膜が形成さ
れた基板を加熱することが可能となり結晶性の高い酸化
チタン薄膜とする作用を有している。また、水溶液中に
て一定の厚みを持った酸化チタン薄膜が基板上に形成さ
れた後に基板を再加熱しているために繰り返し加熱操作
をも含めた薄膜形成操作を行う必要が無く一定の厚みを
持った結晶性の高い酸化チタン薄膜を1回の加熱操作に
よって得ることができるという作用を有している。
【0027】請求項4に記載の発明は、チタンフッ化ア
ンモニウム及びヘキサフルオロ珪酸を含む水溶液中にあ
って上式(化5)及び下式(化6)で表される化学反応
を同時に進行さる際に酸化チタン及び酸化ケイ素を形成
させる基板を発熱体と密着させて間接的に加熱しながら
行うとした酸化チタン薄膜の製造方法であり、光触媒効
果を有する酸化チタンと吸着効果及び吸水能力に優れた
酸化ケイ素が同一基板上に形成されることにより、光触
媒効果によって分解される物質を酸化ケイ素薄膜上にお
いても捕捉することが可能となり、さらには水分子を酸
化ケイ素薄膜が保持することによって、光触媒の酸化分
解において重要な物質となるヒドロキシラジカルの生成
時に必要な水分子の供給源となり酸化チタン薄膜上での
光触媒反応を効果的に促進させるという作用を有してい
る。
【0028】
【化6】
【0029】請求項5に記載の発明は、チタンフッ化ア
ンモニウム及びヘキサフルオロ珪酸を含む水溶液中にあ
って上式(化5)及び(化6)で表される化学反応を同
時に進行させ、酸化チタン及び酸化ケイ素の薄膜を基板
上に形成させた後、前記基板を水溶液中より取り出して
加熱するとした酸化チタン薄膜の製造方法であり、水溶
液中においては不可能であった加熱温度条件で酸化チタ
ン薄膜及び酸化ケイ素が形成された基板を加熱すること
が可能となり結晶性の高い酸化チタン及び酸化ケイ素の
薄膜とする作用を有している。また、水溶液中にて一定
の厚みを持った酸化チタン及び酸化ケイ素の薄膜が基板
上に形成された後に基板を再加熱しているために繰り返
し加熱操作をも含めた薄膜形成操作を行う必要が無く一
定の厚みを持った結晶性の高い酸化チタン及び酸化ケイ
素の混合薄膜を1回の加熱操作によって得ることができ
るという作用を有している。
【0030】請求項6に記載の発明は、ヘキサフルオロ
珪酸を含む水溶液中にあって上式(化6)で表される化
学反応を進行させる際に酸化ケイ素の薄膜を形成させる
基板を発熱体と密着させて間接的に加熱しながら行った
後に、酸化ケイ素の薄膜が形成された基板の一部を覆い
ながらチタンフッ化アンモニウムを含む水溶液中に浸漬
させて上式(化5)で表される化学反応を基板を発熱体
と密着させて間接的に加熱しながら行うとした酸化チタ
ン薄膜の製造方法であり、結晶性の高い酸化チタン薄膜
及び酸化ケイ素薄膜が得られるという作用ばかりでは無
く、前記示したように酸化チタンと酸化ケイ素の薄膜を
混合することにより、酸化チタンの光触媒効果を向上さ
せる作用を有する他に、基板上に占める酸化チタンと酸
化ケイ素の比率を任意に設定することが可能となり光触
媒機能及び吸水・吸着機能の制御を行うことを可能とす
る作用を有する。
【0031】請求項7に記載の発明は、ヘキサフルオロ
珪酸を含む水溶液中にあって上式(化6)で表される化
学反応を進行させる際に酸化ケイ素の薄膜を形成させる
基板を発熱体と密着させて間接的に加熱しながら行った
後に、酸化ケイ素の薄膜が形成された基板の一部を覆い
ながらチタンフッ化アンモニウムを含む水溶液中に浸漬
させて上式(化5)で表される化学反応を進行させ、酸
化チタンの薄膜を形成した後、前記基板を水溶液中より
取り出して加熱するとした酸化チタン薄膜の製造方法で
あり、水溶液中においては不可能であった加熱温度条件
で酸化チタン薄膜及び酸化ケイ素が形成された基板を加
熱することが可能となり結晶性の高い酸化チタン及び酸
化ケイ素の薄膜とする作用を有している。
【0032】また、水溶液中にて一定の厚みを持った酸
化チタン及び酸化ケイ素の薄膜が基板上に形成された後
に基板を再加熱しているために繰り返し加熱操作をも含
めた薄膜形成操作を行う必要が無く一定の厚みを持った
結晶性の高い酸化チタン及び酸化ケイ素の混合薄膜を1
回の加熱操作によって得ることができるという作用を有
している。さらには、基板上に占める酸化チタンと酸化
ケイ素の比率を任意に設定することが可能となり、結晶
性が高い酸化チタン薄膜及び酸化ケイ素薄膜より構成さ
れる光触媒機能及び吸水・吸着機能の制御を行うことを
可能とする作用を有する。
【0033】ここで、請求項1,2,3,4,5,6又
は7における基板とはステンレス,石英ガラス,ソーダ
ライムガラス,ゼオライトあるいはセラミックス材料で
あることが好ましい。
【0034】
【実施例】以下本発明で適用される酸化チタン薄膜の製
造方法について図面を参照しながら具体的に説明する。
【0035】(実施例1)図1は本発明の請求項1に示
される酸化チタン薄膜の製造方法に関する実施例の一例
である。図中1はステンレス,石英ガラス,ソーダライ
ムガラス,ゼオライト及び各種セラミックス材料からな
る基板であり、発熱体2に固定されている。発熱体2の
形状は固定する基板に合わせて板状でなく円筒状であっ
ても特に問題は無い。また、熱源も内部に発熱ヒーター
を埋め込み、外部から通電することによって直接発熱す
るものであっても、熱伝導率に優れた材料から構成さ
れ、他の熱源との接触による伝熱現象によって外部から
の熱を利用するものであっても構わない。
【0036】さらに上記基板1及び発熱体2はチタンフ
ッ化アンモニウムを含む水溶液3中に浸漬され、反応槽
4は恒温水槽5中において一定温度に保たれている。こ
こで、恒温水槽の温度設定範囲としては15℃〜30℃
程度が好ましく、発熱体の温度は恒温水槽での設定温度
より20℃〜50℃程度高くすることが好ましい。但
し、チタンフッ化アンモニウムの濃度や作製する酸化チ
タン及び酸化ケイ素の薄膜の厚さ及び作製時間によって
設定されるべき反応温度も変化するために上記の範囲に
限定されるものでは無い。
【0037】より具体的な実施例として基板にステンレ
スを用いて酸化チタンの薄膜を形成した。すなわち、チ
タンフッ化アンモニウム(Aldrich社製)1.0
gを純水100mlに加えて反応溶液を作製した。この
時反応を促進させる添加剤としてほう酸(和光純薬
(株)社製)1.9gをチタンフッ化アンモニウムと共
に加えた。この反応を促進させるための添加剤としては
上記ほう酸の他にアルミニウム金属,塩化アルミニウム
等が挙げられる。
【0038】作製した反応液中に発熱体と接触させなが
らステンレス基板を浸漬させた。この時反応液の温度は
20℃を保つように恒温水槽を調整し、発熱体の温度は
60℃とした。反応開始より24hr経過後に基板を取
り出し、形成された酸化チタンの膜厚を測定したところ
0.8μmであった。
【0039】この基板を容積6000cm3 の容器中に
設置し、容器中に臭気物質としてアセトアルデヒド20
ppmを加え、波長365nmの蛍光ランプを照射し
た。経時的に容器中のガスを採取し、アセトアルデヒド
濃度を測定した結果、10分経過後に初期濃度の半分に
まで低下していた。
【0040】比較例として基板温度を上げずに実施例1
と同様の作製条件にて酸化チタン薄膜をステンレス基板
上に作製した。この基板を容積6000cm3 の容器中
に設置し、容器中に臭気物質としてアセトアルデヒド2
0ppmを加え、波長365nmの蛍光ランプを照射し
た。経時的に容器中のガスを採取し、アセトアルデヒド
濃度を測定した結果、20分経過後に初期濃度の半分に
まで低下していた。
【0041】さらに、実施例1及び比較例における酸化
チタンの粉末X線回折の測定を行った結果、実施例1で
作製した薄膜の(004)面を示すピークの方が大きく
観測された。
【0042】以上のように、本発明の酸化チタン薄膜の
製造方法は反応溶液の温度は室温近傍に固定されたまま
で、酸化チタン薄膜が形成される基板の温度のみを加熱
させているために、薄膜が作製される際に酸化チタンの
結晶成長が促進され、結晶性の高い酸化チタン薄膜を得
ることが可能となり光触媒効果に優れた酸化チタン薄膜
を作製することができる。
【0043】(実施例2)図2は本発明における別の形
態での酸化チタン薄膜の製造方法を示したものである。
【0044】図中1は基板であり、発熱体2に固定され
ている。基板1上にはさらに任意に基板1を覆うマスク
板6が設置されており、チタンフッ化アンモニウムを含
む水溶液3中に浸漬されている。また、この反応槽4は
恒温水温5中に入れられて一定温度にて化学反応が進行
するように設定されている。
【0045】また、図3は基板1,発熱体2及びマスク
板6から構成されたものであり反応液に浸漬される部位
を示したものである。発熱ヒーターが埋め込まれた発熱
体2に基板1が接触した状態で固定化されており、さら
には一定間隔で貫通孔を持つマスク板6が固定化されて
いる。
【0046】貫通孔の大きさや孔径は任意であり、間隔
も一定間隔に限定されるものでは無い。
【0047】より具体的な実施例として基板にステンレ
スを用いて酸化チタンの薄膜を形成した。すなわち、チ
タンフッ化アンモニウム(Aldrich社製)1.0
gを純水100mlに加えて反応溶液を作製した。この
時反応を促進させる添加剤としてほう酸(和光純薬
(株)社製)1.9gをチタンフッ化アンモニウムと共
に加えた。作製した反応液中に発熱体と接触させながら
ステンレス基板を浸漬させた。この時反応液の温度は2
5℃を保つように恒温水槽を調整し、発熱体の温度は6
0℃とした。反応開始より15hr経過後に基板を取り
出し、形成された酸化チタンの膜厚を測定したところ
0.6μmであり、マスク板にて覆われていない部分に
のみ酸化チタン薄膜の形成が観測された。
【0048】この基板を容積6000cm3 の容器中に
設置し、容器中に臭気物質としてアセトアルデヒド20
ppmを加え、波長365nmの蛍光ランプを照射し
た。経時的に容器中のガスを採取し、アセトアルデヒド
濃度を測定した結果、20分経過後に初期濃度の半分に
まで低下していた。
【0049】比較例として基板温度を上げずに実施例2
と同様の作製条件にて酸化チタン薄膜をステンレス基板
上に作製した。この基板を容積6000cm3 の容器中
に設置し、容器中に臭気物質としてアセトアルデヒド2
0ppmを加え、波長365nmの蛍光ランプを照射し
た。経時的に容器中のガスを採取し、アセトアルデヒド
濃度を測定した結果、30分経過後に初期濃度の半分に
まで低下していた。
【0050】さらに、実施例2及び比較例において作製
された酸化チタン薄膜部位の粉末X線回折の測定を行っ
た結果、実施例2で作製した薄膜の(004)面を示す
ピークの方が大きく観測された。
【0051】以上のように、本発明の酸化チタン薄膜の
製造方法は反応溶液の温度は室温近傍に固定されたまま
で、酸化チタン薄膜が形成される基板の温度のみを加熱
させているために、薄膜が作製される際に酸化チタンの
結晶成長が促進され、結晶性の高い酸化チタン薄膜を得
ることが可能となり光触媒効果に優れた酸化チタン薄膜
を作製することができる。
【0052】(実施例3)図4は本発明における別の形
態での酸化チタン薄膜の製造方法を示したものである。
基板1に酸化チタンの薄膜を形成する過程は実施例1に
示した製造方法と同じではあるが、さらに恒温槽7中
で、作製した試料9を試料台8に固定して加熱する工程
が加わっている。この場合の加熱温度は形成した酸化チ
タンの膜厚や基板の材質にも依存するため特に限定する
ものでは無いが、100℃〜400℃が望ましい。
【0053】より具体的な実施例として基板に石英ガラ
スを用いて酸化チタンの薄膜を形成した。すなわち、チ
タンフッ化アンモニウム(Aldrich社製)1.0
gを純水100mlに加えて反応溶液を作製した。この
時反応を促進させる添加剤としてほう酸(和光純薬
(株)社製)1.9gをチタンフッ化アンモニウムと共
に加えた。作製した反応液中に発熱体と接触させながら
石英ガラス基板を浸漬させた。この時反応液の温度は2
0℃を保つように恒温水槽を調整し、発熱体の温度は6
0℃とした。反応開始より24hr経過後に基板を取り
出し、形成された酸化チタンの膜厚が0.8μmである
ことを確認後、酸化チタン薄膜が形成された石英ガラス
を純水にて洗浄し、250℃の恒温槽中に1hr放置し
た。
【0054】この基板を容積6000cm3 の容器中に
設置し、容器中に臭気物質としてアセトアルデヒド50
ppmを加え、波長365nmの蛍光ランプを照射し
た。経時的に容器中のガスを採取し、アセトアルデヒド
濃度を測定した結果、10分経過後に初期濃度の半分に
まで低下していた。
【0055】比較例として基板温度を上げずに実施例3
と同様の作製条件にて酸化チタン薄膜を石英ガラス基板
上に作製した。さらには、作製後の基板の加熱処理も行
わなかった。
【0056】この基板を容積6000cm3 の容器中に
設置し、容器中に臭気物質としてアセトアルデヒド50
ppmを加え、波長365nmの蛍光ランプを照射し
た。経時的に容器中のガスを採取し、アセトアルデヒド
濃度を測定した結果、30分経過後に初期濃度の半分に
まで低下していた。さらに、実施例3及び比較例におけ
る酸化チタンの粉末X線回折の測定を行った結果、実施
例3で作製した薄膜の(004)面を示すピークの方が
大きく観測された。
【0057】以上のように、本発明の酸化チタン薄膜の
製造方法は反応溶液の温度は室温近傍に固定されたまま
で、酸化チタン薄膜が形成される基板の温度のみを加熱
させているため、さらには酸化チタン薄膜作製後の加熱
処理工程によって、薄膜が作製される際及び薄膜作製後
においても酸化チタンの結晶成長が促進され、結晶性の
高い酸化チタン薄膜を得ることが可能となり光触媒効果
に優れた酸化チタン薄膜を作製することができる。
【0058】(実施例4)図5は本発明における別の形
態での酸化チタン薄膜の製造方法を示したものである。
構成としては実施例1と同様であるが、反応液10がチ
タンフッ化アンモニウム及びヘキサフルオロ珪酸を含む
水溶液となっている。この場合に、チタンフッ化アンモ
ニウム及びヘキサフルオロ珪酸の濃度比は形成される酸
化チタン薄膜と酸化ケイ素薄膜の占める割合に影響し、
光触媒機能の発現を制御することとなり目的に応じて濃
度比を決定する必要があるために、特に制限は無い。成
膜反応を促進させるための添加剤としては実施例1にお
いて記述したようにほう酸,アルミニウム金属,塩化ア
ルミニウム等が挙げられる。
【0059】より具体的な実施例としてステンレス基板
を用いて酸化チタンの薄膜を形成した。すなわち、チタ
ンフッ化アンモニウム(Aldrich社製)1.0
g,ヘキサフルオロ珪酸(和光純薬(株)社製)0.7
gを純水100mlに加えて反応溶液を作製した。この
時反応を促進させる添加剤として金属アルミニウムワイ
ヤーを前記反応溶液加えた。作製した反応液中に発熱体
と接触させながらステンレス基板を浸漬させた。この時
反応液の温度は20℃を保つように恒温水槽を調整し、
発熱体の温度は60℃とした。反応開始より24hr経
過後に基板を取り出し、形成された酸化チタン及び酸化
ケイ素混合薄膜の膜厚が0.7μmであることを確認し
た。
【0060】この基板を容積6000cm3 の容器中に
設置し、容器中に臭気物質としてアセトアルデヒド50
ppmを加え、波長365nmの蛍光ランプを照射し
た。経時的に容器中のガスを採取し、アセトアルデヒド
濃度を測定した結果、8分経過後に初期濃度の半分にま
で低下していた。
【0061】比較例として基板温度を上げずに実施例4
と同様の作製条件にて酸化チタン薄膜を石英ガラス基板
上に作製した。この基板を容積6000cm3 の容器中
に設置し、容器中に臭気物質としてアセトアルデヒド5
0ppmを加え、波長365nmの蛍光ランプを照射し
た。経時的に容器中のガスを採取し、アセトアルデヒド
濃度を測定した結果、20分経過後に初期濃度の半分に
まで低下していた。
【0062】以上のように、本発明の酸化チタン薄膜の
製造方法は反応溶液の温度は室温近傍に固定されたまま
で、酸化チタン薄膜が形成される基板の温度のみを加熱
させているため、薄膜が作製される際の酸化チタンの結
晶成長が促進され、結晶性の高い酸化チタン薄膜を得る
ことが可能となり光触媒効果に優れた酸化チタン薄膜を
作製することができる。さらには同時に形成される酸化
ケイ素薄膜との比率を変化させる事により光触媒効果の
制御も可能とし、酸化ケイ素薄膜が有する吸着及び吸水
機能を合わせ持った混合薄膜を作製することができる。
【0063】(実施例5)実施例5の薄膜作製条件に従
い、酸化チタン薄膜を形成した後、酸化チタン薄膜が形
成されたステンレス基板を純水にて洗浄し、300℃の
恒温槽中に1hr放置した。
【0064】この基板を容積6000cm3 の容器中に
設置し、容器中に臭気物質としてアセトアルデヒド50
ppmを加え、波長365nmの蛍光ランプを照射し
た。経時的に容器中のガスを採取し、アセトアルデヒド
濃度を測定した結果、3分経過後に初期濃度の半分にま
で低下していた。
【0065】以上のように、本発明の酸化チタン薄膜の
製造方法は反応溶液の温度は室温近傍に固定されたまま
で、酸化チタン薄膜が形成される基板の温度のみを加熱
させているため、さらには酸化チタン薄膜作製後の加熱
処理工程によって、薄膜が作製される際及び薄膜作製後
においても酸化チタンの結晶成長が促進され、結晶性の
高い酸化チタン薄膜を得ることが可能となり光触媒効果
に優れた酸化チタン薄膜を作製することができる。さら
には同時に形成される酸化ケイ素薄膜が有する吸着及び
吸水機能を合わせ持った混合薄膜を作製することができ
る。
【0066】(実施例6)図6は本発明における別の形
態での酸化チタン薄膜の製造方法を示したものである。
製造方法は2段階に分かれている。まず第一段階として
は酸化ケイ素薄膜の作製であり、発熱体2に固定された
基板1をヘキサフルオロ珪酸を含む水溶液中に浸漬し、
反応槽4は反応温度を一定に保つために恒温水槽5内に
設置された状態で作製を行う。第二段階は酸化チタン薄
膜の作製であり以下の手順に従って行われる。すなわ
ち、一定時間経過後、形成された酸化ケイ素薄膜の上に
マスク板を取り付け、チタンフッ化アンモニウムを含む
水溶液3が入った反応槽4中に前記マスク板が取り付け
られた基板を浸漬し、恒温水槽中にて一定温度での薄膜
作製を行う。この様にして光触媒素子14が作製され、
基板1,酸化ケイ素薄膜12及び酸化チタン薄膜13か
ら構成されている。
【0067】より具体的な実施例としてソーダライムガ
ラス基板を用いて光触媒素子の作製を行った。すなわ
ち、ヘキサフルオロ珪酸(和光純薬(株)社製)1.0
gを純水100mlに加えて反応溶液を作製した。この
際に、シリカゲルをあらかじめ純水に溶解させたシリカ
ゲル飽和水溶液とすると酸化ケイ素の析出反応が促進さ
れるために有効である。さらに、反応を促進させる添加
剤として金属アルミニウムワイヤーを前記反応溶液に加
えた。作製した反応液中に発熱体と接触させながらソー
ダライムガラス基板を浸漬させた。この時反応液の温度
は30℃を保つように恒温水槽を調整し、発熱体の温度
は60℃とした。反応開始より24hr経過後に基板を
取り出し、形成された酸化ケイ素薄膜の膜厚が1.0μ
mであることを確認した。次にこの基板にマスク板を取
り付け、チタンフッ化ナトリウム水溶液中に浸漬し、反
応温度25℃,発熱体の温度55℃にて酸化チタン薄膜
の作製を行った。反応開始より24hr経過後に基板を
取り出し、マスク板を取り外し、酸化チタン薄膜が形成
されていることを確認した。
【0068】この基板を容積4000cm3 の容器中に
設置し、容器中に臭気物質としてアセトアルデヒド50
ppmを加え、波長365nmの蛍光ランプを照射し
た。経時的に容器中のガスを採取し、アセトアルデヒド
濃度を測定した結果、3分経過後に初期濃度の半分にま
で低下していた。
【0069】作製された酸化チタン薄膜の粉末X線回折
結果より、基板を加熱せずに同条件で作製された酸化チ
タン薄膜よりも(004)面に関する強度が強く現れて
おり、結晶性が向上していることを確認した。
【0070】以上のように、本発明の酸化チタン薄膜の
製造方法は反応溶液の温度は室温近傍に固定されたまま
で、酸化チタン薄膜が形成される基板の温度のみを加熱
させているため、薄膜が作製される際において酸化チタ
ンの結晶成長が促進され、結晶性の高い酸化チタン薄膜
を得ることが可能となり光触媒効果に優れた酸化チタン
薄膜を作製することができる。
【0071】さらには光触媒素子の一部を形成している
酸化ケイ素薄膜が有する吸着及び吸水機能を合わせ持っ
た混合薄膜を作製することができる。
【0072】(実施例7)実施例6の薄膜作製条件に従
い、酸化チタン薄膜を形成した後、酸化チタン薄膜が形
成されたステンレス基板を純水にて洗浄し、300℃の
恒温槽中に1hr放置した。
【0073】この基板を容積4000cm3 の容器中に
設置し、容器中に臭気物質としてアセトアルデヒド50
ppmを加え、波長365nmの蛍光ランプを照射し
た。経時的に容器中のガスを採取し、アセトアルデヒド
濃度を測定した結果、2分経過後に初期濃度の半分にま
で低下していた。
【0074】作製された酸化チタン薄膜の粉末X線回折
結果より、基板を加熱せずに同条件で作製された酸化チ
タン薄膜よりも(004)面に関する強度が強く現れて
おり、結晶性が向上していることを確認した。
【0075】以上のように、本発明の酸化チタン薄膜の
製造方法は反応溶液の温度は室温近傍に固定されたまま
で、酸化チタン薄膜が形成される基板の温度のみを加熱
させているため、さらには酸化チタン薄膜作製後の加熱
処理工程によって、薄膜が作製される際及び薄膜作製後
においても酸化チタンの結晶成長が促進され、結晶性の
高い酸化チタン薄膜を得ることが可能となり光触媒効果
に優れた酸化チタン薄膜を作製することができる。さら
には光触媒素子の一部を形成している酸化ケイ素薄膜が
有する吸着及び吸水機能を合わせ持った混合薄膜を作製
することができる。
【0076】
【発明の効果】以上述べたところから明らかなように、
請求項1に記載の発明は、チタンフッ化アンモニウムを
含む水溶液中にあって下式(化7)で表される化学反応
を進行させる際に、酸化チタンの薄膜を形成させる基板
を発熱体と密着させて間接的に加熱しながら行うとした
酸化チタン薄膜の製造方法としたので、下記化学反応が
進行し、基板表面に酸化チタン薄膜が析出しながら形成
される際に、析出反応速度及び薄膜を形成する酸化チタ
ンの結晶成長速度を促進し、酸化チタン薄膜を形成する
酸化チタン微粒子を大きくし、その結晶性を高めること
ができる。
【0077】
【化7】
【0078】また請求項2の発明はチタンフッ化アンモ
ニウムを含む水溶液中にあって上式(化7)で表される
化学反応を進行させる際に、酸化チタンの薄膜を形成さ
せる基板の一部を覆い、前記基板を発熱体と密着させて
間接的に加熱しながら行うとした酸化チタン薄膜の製造
方法としたので、薄膜形成時に基板上で覆われた部分は
酸化チタンが形成されず、覆われていない部分に結晶性
の高い酸化チタン薄膜が形成されるために光触媒効果を
発現する部分を任意に設定することができる。また、酸
化チタン薄膜を形成される部分を設定することができる
ことによって、形成されていない部分の基材における特
性を利用でき、複合的な機能を有する酸化チタン薄膜と
することができる。
【0079】また請求項3の発明はチタンフッ化アンモ
ニウムを含む水溶液中にあって上式(化7)で表される
化学反応を進行させる際に、酸化チタンの薄膜を形成さ
せる基板を発熱体と密着させて間接的に加熱しながら形
成し、酸化チタンの薄膜を基板上に形成させた後、前記
基板を水溶液中より取り出して加熱するとした酸化チタ
ン薄膜の製造方法としたので、水溶液中においては不可
能であった加熱温度条件で酸化チタン薄膜が形成された
基板を加熱することが可能となり結晶性の高い酸化チタ
ン薄膜とすることができる。また、水溶液中にて一定の
厚みを持った酸化チタン薄膜が基板上に形成された後に
基板を再加熱しているために繰り返し焼成操作を行う必
要も無く一定の厚みを持った結晶性の高い酸化チタン薄
膜を1回の加熱操作によって得ることができる。
【0080】さらに請求項4の発明は、チタンフッ化ア
ンモニウム及びヘキサフルオロ珪酸を含む水溶液中にあ
って上式(化7)及び下式(化8)で表される化学反応
を同時に進行さる際に酸化チタン及び酸化ケイ素を形成
させる基板を発熱体と、密着させて間接的に加熱しなが
ら行うとしたことにより、結晶性の高い酸化チタン薄膜
と酸化ケイ素薄膜が同一基板上に形成され、酸化チタン
薄膜の光触媒効果によって分解される物質を酸化ケイ素
薄膜上においても吸着によって捕捉することができる。
さらには光触媒効果を有する酸化チタンと吸着効果及び
吸水能力に優れた酸化ケイ素が同一基板上に形成される
ことにより水分子を酸化ケイ素薄膜が保持し、光触媒の
酸化分解において重要な物質となるヒドロキシラジカル
の生成時に必要な水分子の供給源となり酸化チタン薄膜
上での光触媒反応を効果的に促進させることができる。
【0081】
【化8】
【0082】また、請求項5に記載の発明は、チタンフ
ッ化アンモニウム及びヘキサフルオロ珪酸を含む水溶液
中にあって上式(化7)及び(化8)で表される化学反
応を同時に進行させ、酸化チタン及び酸化ケイ素の薄膜
を基板上に形成させた後、前記基板を水溶液中より取り
出して加熱するとした酸化チタン薄膜の製造方法とした
ので、水溶液中においては不可能であった加熱温度条件
で酸化チタン薄膜及び酸化ケイ素が形成された基板を加
熱することが可能となり結晶性の高い酸化チタン及び酸
化ケイ素の薄膜とすることができる。また、水溶液中に
て一定の厚みを持った酸化チタン及び酸化ケイ素の薄膜
が基板上に形成された後に基板を再加熱したので繰り返
し加熱操作をも含めた薄膜形成操作を行う必要が無く一
定の厚みを持った結晶性の高い酸化チタン及び酸化ケイ
素の混合薄膜を1回の加熱操作によって得ることができ
る。
【0083】また、請求項6に記載の発明は、ヘキサフ
ルオロ珪酸を含む水溶液中にあって上式(化8)で表さ
れる化学反応を進行させる際に酸化ケイ素の薄膜を形成
させる基板を発熱体と密着させて間接的に加熱しながら
行った後に、酸化ケイ素の薄膜が形成された基板の一部
を覆いながらチタンフッ化アンモニウムを含む水溶液中
に浸漬させて上式(化7)で表される化学反応を基板を
発熱体と密着させて間接的に加熱しながら行うとしたの
で、結晶性の高い酸化チタン薄膜と酸化ケイ素薄膜が得
られるだけでは無く、前記示したように酸化チタンと酸
化ケイ素の薄膜を混合することによって、酸化チタンの
光触媒効果を向上させることができ、さらには基板上に
占める酸化チタンと酸化ケイ素の比率を任意に設定する
ことを可能とすることで光触媒機能及び吸水・吸着機能
の制御を行うことができる。
【0084】また、請求項7に記載の発明は、ヘキサフ
ルオロ珪酸を含む水溶液中にあって上式(化8)で表さ
れる化学反応を進行させる際に酸化ケイ素の薄膜を形成
させる基板を発熱体と密着させて間接的に加熱しながら
行った後に、酸化ケイ素の薄膜が形成された基板の一部
を覆いながらチタンフッ化アンモニウムを含む水溶液中
に浸漬させて上式(化7)で表される化学反応を進行さ
せ、酸化チタンの薄膜を形成した後、前記基板を水溶液
中より取り出して加熱することで、水溶液中においては
不可能であった加熱温度条件で酸化チタン薄膜及び酸化
ケイ素が形成された基板を加熱することが可能となり結
晶性の高い酸化チタン及び酸化ケイ素の薄膜とすること
ができる。また、水溶液中にて一定の厚みを持った酸化
チタン及び酸化ケイ素の薄膜が基板上に形成された後に
基板を再加熱しているために繰り返し加熱操作をも含め
た薄膜形成操作を行う必要が無く一定の厚みを持った結
晶性の高い酸化チタン及び酸化ケイ素の混合薄膜を1回
の加熱操作によって得ることができる。さらには、基板
上に占める酸化チタンと酸化ケイ素の比率を任意に設定
することを可能とすることで、光触媒機能及び吸水・吸
着機能の制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による酸化チタン薄膜の製造方法におけ
る実施例1の装置概略図
【図2】本発明による酸化チタン薄膜の製造方法におけ
る実施例2の装置概略図
【図3】本発明による酸化チタン薄膜の製造方法におけ
る発熱体に基板及びマスク板を取り付けた部位の斜視図
【図4】本発明による酸化チタン薄膜の製造方法におけ
る実施例3の実験操作を示す概略図
【図5】本発明による酸化チタン薄膜の製造方法におけ
る実施例4の装置概略図
【図6】本発明による酸化チタン薄膜の製造方法におけ
る実施例6の実験操作を示す概略図
【符号の説明】
1 基板 2 発熱体 3 チタンフッ化アンモニウムを含む水溶液 4 反応槽 5 恒温水槽 6 マスク板 7 恒温槽 8 基板固定台 9 作製試料 10 チタンフッ化アンモニウム及びヘキサフルオロ珪
酸を含む水溶液 11 ヘキサフルオロ珪酸を含む水溶液 12 酸化ケイ素薄膜 13 酸化チタン薄膜 14 光触媒素子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G047 CA02 CB05 CC03 CD02 4K022 AA02 AA03 AA04 AA41 BA15 BA20 BA22 BA33 DB04 DB24 EA01

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタンフッ化アンモニウムを含む水溶液
    中にあって下式(化1)で表される化学反応を進行させ
    る際に、酸化チタンの薄膜を形成される基板を発熱体と
    密着させて間接的に加熱しながら行うことを特徴とする
    酸化チタン薄膜の製造方法。 【化1】
  2. 【請求項2】 チタンフッ化アンモニウムを含む水溶液
    中にあって上式(化1)で表される化学反応を進行させ
    る際に、酸化チタンの薄膜を形成させる基板の一部を覆
    い、前記基板を発熱体と密着させて間接的に加熱しなが
    ら行うことを特徴とする酸化チタン薄膜の製造方法。
  3. 【請求項3】 チタンフッ化アンモニウムを含む水溶液
    中にあって上式(化1)で表される化学反応を進行させ
    る際に、酸化チタンの薄膜を形成させる基板を発熱体と
    密着させて間接的に加熱しながら形成し、酸化チタンの
    薄膜を基板上に形成させた後、前記基板を水溶液中より
    取り出して加熱することを特徴とする酸化チタン薄膜の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 チタンフッ化アンモニウム及びヘキサフ
    ルオロ珪酸を含む水溶液中にあって上式(化1)及び下
    式(化2)で表される化学反応を同時に進行させる際に
    酸化チタン及び酸化ケイ素を形成させる基板を発熱体密
    着させて間接的に加熱しながら行うことを特徴とする酸
    化チタン薄膜の製造方法。 【化2】
  5. 【請求項5】 チタンフッ化アンモニウム及びヘキサフ
    ルオロ珪酸を含む水溶液中にあって上式(化1)及び下
    式(化2)で表される化学反応を同時に進行させ、酸化
    チタン及び酸化ケイ素の薄膜を基板上に形成させた後、
    前記基板を水溶液中より取り出して加熱することを特徴
    とする酸化チタン薄膜の製造方法。
  6. 【請求項6】 ヘキサフルオロ珪酸を含む水溶液中にあ
    って上式(化2)で表される化学反応を進行させる際に
    酸化ケイ素の薄膜を形成させる基板を発熱体と密着させ
    て間接的に加熱しながら行った後に、酸化ケイ素の薄膜
    が形成された基板の一部を覆いながらチタンフッ化アン
    モニウムを含む水溶液中に浸漬させて上式(化1)で表
    される化学反応を基板を発熱体と密着させて間接的に加
    熱しながら行うことを特徴とする酸化チタン薄膜の製造
    方法。
  7. 【請求項7】 ヘキサフルオロ珪酸を含む水溶液中にあ
    って上式(化2)で表される化学反応を進行させる際に
    酸化ケイ素の薄膜を形成させる基板を発熱体と密着させ
    て間接的に加熱しながら行った後に、酸化ケイ素の薄膜
    が形成された基板の一部を覆いながらチタンフッ化アン
    モニウムを含む水溶液中に浸漬させて上式(化1)で表
    される化学反応を進行させ、酸化チタンの薄膜を形成し
    た後、前記基板を水溶液中より取り出して加熱すること
    を特徴とする酸化チタン薄膜の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記酸化チタン薄膜を形成させる基板が
    ステンレス,石英ガラス,ソーダライムガラス,ゼオラ
    イト及びセラミックス材からなることを特徴とする請求
    項1,2,3,4,5,6または7に記載の酸化チタン
    薄膜の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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